JP2009149783A - 接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着性および耐湿熱性に優れ、臭気が少ない接着剤組成物の提供。
【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とを有する化合物(B)とを含有する主剤と、酸無水物(C)を含有する硬化剤とからなり、前記化合物(B)以外の第三級アミンの含有量が前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下である接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物に関する。
近年、光ファイバーネットワークが拡大されつつあり、基幹だけでなく個々の家庭にまで導入されはじめている。しかしながら、光ファイバー同士の接続は非常に難しく、軸を合わせて正確に接続するには高価な接続装置が必要である。そこで、現在では、コネクタを用いて接続するのが主流となっており、これによって正確かつ簡易に接続することが可能となっている。
このコネクタ内のフェルールに光ファイバーを固定するために用いられる接着剤組成物には高い接着強度が求められる。特に、光ファイバーがフェルールの長軸方向に引っ張られて大きな荷重が掛かる場合があるので、高い剪断強度が求められる。
また、光ファイバーは屋外や屋根裏等に設置される場合もあるので、高温高湿等の過酷な環境下でも十分な接着力を維持できる特性が要求される。
また、従来から光ファイバーの材料としては石英やガラスが用いられてきたが、安価で、加工が容易であり、曲げに強く非常に折れにくい性質を有するプラスチック光ファイバー(POF)が開発され、ホームネットワークやデジタル家電等の短距離通信の用途で実用化されてきており、光ファイバー用接着剤組成物には、ガラスのみならず、プラスチック(主にアクリル系プラスチック)に対する接着性も要求されている。
従来、光ファイバー用接着剤組成物としては、エポキシ系接着剤等が用いられている。
従来、光ファイバー用接着剤組成物としては、接着力の高さと信頼性に優れる点からエポキシ系接着剤が用いられているが、近年の研究で、エポキシ系接着剤は耐湿熱性に問題があるとされている。また、従来のエポキシ系接着剤は、通常、硬化触媒としてイミダゾール類等の第三級アミンを含有するため、臭気が強く、作業環境の悪化やかぶれ等の健康被害が生じるという問題がある。
そこで、本発明は、接着性および耐湿熱性に優れ、臭気が少ない接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、エポキシ樹脂(A)と、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とを有する化合物(B)とを含有する主剤と、酸無水物(C)を含有する硬化剤とからなり、上記化合物(B)以外の第三級アミンの含有量が上記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下である接着剤組成物が、接着性および耐湿熱性に優れ、臭気が少ない接着剤組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記(1)〜(8)を提供する。
(1)エポキシ樹脂(A)と、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とを有する化合物(B)とを含有する主剤と、
酸無水物(C)を含有する硬化剤とからなり、
前記化合物(B)以外の第三級アミンの含有量が前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下である接着剤組成物。
(2)前記化合物(B)の反応性ケイ素含有基が、加水分解性ケイ素含有基である上記(1)に記載の接着剤組成物。
(3)前記化合物(B)が、イミノシラン化合物と、イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物とを反応させてなる化合物である上記(1)または(2)に記載の接着剤組成物。
(4)前記イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物が、芳香族エポキシ化合物および/または芳香族イソシアネート化合物である上記(3)に記載の接着剤組成物。
(5)前記化合物(B)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜200質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(6)前記酸無水物(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜200質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(7)前記第三級アミンの含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(8)前記第三級アミンが、イミダゾール類を含む上記(1)〜(7)のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明の接着剤組成物は、接着性および耐湿熱性に優れ、臭気が少ない。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物(以下「本発明の組成物」という。)は、エポキシ樹脂(A)と、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とを有する化合物(B)とを含有する主剤と、酸無水物(C)を含有する硬化剤とからなり、上記化合物(B)以外の第三級アミンの含有量が上記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下である接着剤組成物である。
はじめに、本発明の組成物に用いられるエポキシ樹脂(A)について説明する。
エポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール、ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;エポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂(A)としては、少なくとも1つの芳香環を有するのが、硬化物の機械的強度および耐湿熱性に優れる点から好ましい。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、入手の容易さおよび硬化物の物性のバランスが良好である点から好ましい。
次に、本発明の組成物に用いられる化合物(B)について説明する。
化合物(B)は、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とをそれぞれ少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
上記第三級アミノ基は、式−NRR′で表される基を意味する。RおよびR′は有機基を表す。
上記反応性ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個の反応性基を有し、湿気や架橋剤等の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより反応を起こして架橋しうるケイ素含有基である。具体的には、例えば、ハロゲン化ケイ素含有基、水素化ケイ素含有基、加水分解性ケイ素含有基等が挙げられる。化合物(B)はこれらの反応性ケイ素含有基の1種または2種以上を有することができる。
上記の反応性ケイ素含有基の中でも、加水分解性ケイ素含有基が、貯蔵安定性に優れ、湿気硬化が可能な組成物を得ることができる点から好ましい。
上記ハロゲン化ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個のハロゲン基を有し、具体的には、例えば、クロロジメチルシリル基、ジクロロメチルシリル基、トリクロロシリル基等が挙げられる。
上記水素化ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個の水素原子を有し、具体的には、例えば、ヒドロジメチルシリル基、ジヒドロメチルシリル基、トリヒドロシリル基等が挙げられる。
上記ハロゲン化ケイ素含有基は、例えば、上記水素化ケイ素含有基と脱ハロゲン化水素反応を起こして結合を形成し、架橋することができる。また、ハロゲン化ケイ素含有基は、グリニャール試薬とメタセシス反応を起こして脱ハロゲン化金属反応を起こしてケイ素−炭素結合を形成し、架橋することができる。また、ハロゲン化ケイ素含有基は、アルカリ金属またはマグネシウムを用いると、芳香族炭化水素、共役ジエン、芳香族アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルまたはイミンと、還元的シリル化反応を起こしてケイ素−炭素結合を形成し、架橋することができる。
上記水素化ケイ素含有基は、例えば、上記ハロゲン化ケイ素含有基と脱ハロゲン化水素反応を起こして結合を形成し、架橋することができる。また、水素化ケイ素含有基は、不飽和炭素結合を有する化合物とヒドロシリル化反応を起こしてケイ素−炭素結合を形成し、架橋することができる。
上記加水分解性ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。具体的には、下記式で例示される、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。
Figure 2009149783
中でも、取扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
化合物(B)としては、例えば、イミノシラン化合物と、イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物とを反応させてなる化合物が好適に挙げられる。
上記イミノシラン化合物としては、例えば、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメチルオキシシラン、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表されるN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2009149783
上記イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物としては、例えば、芳香族エポキシ化合物、芳香族イソシアネート化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、芳香族エポキシ化合物、芳香族イソシアネート化合物が好ましい。
芳香族エポキシ化合物を用いた場合、得られる化合物(B)がエポキシ基由来のヒドロキシ基を有する。したがって、得られる本発明の組成物は、このヒドロキシ基とその他のヒドロキシ基または架橋に関与しなかったシラノール基との間に分子間水素結合が形成されるので、剪断強度等の機械的強度がより向上し、接着性および耐湿熱性に優れる。更に、硬化収縮率が適度に高くなるので、線膨張係数の異なる材料同士の接着に用いた場合にも耐久性に優れる。
芳香族イソシアネート化合物を用いた場合、得られる化合物(B)がイソシアネート基由来の尿素結合を有する。したがって、芳香族エポキシ化合物を用いた場合と同様に、剪断強度等の機械的強度がより向上し、接着性および耐湿熱性に優れる。更に、凝集力が高くなるとともに硬化収縮率が適度に高くなるので、線膨張係数の異なる材料同士の接着に用いた場合にも耐久性に優れる。
ここで、組成物の硬化収縮率が適度に高くなると線膨張係数の異なる材料同士の接着に用いた場合にも耐久性が高くなる理由を、光ファイバーとフェルールとを接着剤を用いて接着した場合を例に挙げて説明する。
図1は、コネクタの一部の一例の模式的な縦断面図である。
図1に示されるように、コネクタ10においては、光ファイバー13とフェルール15とが接着剤11により接着されている。上述したように、高温下に放置されたとき、光ファイバー13の材料とフェルール15の材料の線膨張係数の差が大きいため、光ファイバー13がフェルール15に対して相対的に光ファイバーの長軸方向に伸長し(矢印a)、光ファイバー13とフェルール15との接着部分の接着剤11に剪断応力が生じる。一方、この接着部に用いられる接着剤組成物の硬化収縮率が高いと、接着剤11は加熱されたときに適度に収縮するので(矢印b)、光ファイバーとフェルールとの接着部に生じた剪断応力を相殺することができる。その結果として、本発明の組成物を用いると、耐久性が高くなると考えられる。
上記芳香族エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基と、少なくとも1つの芳香環を有する化合物である。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型エポキシ化合物;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型エポキシ化合物;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型エポキシ化合物;アニリン、トルイジン、トリブロモアニリン、キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記芳香族イソシアネート化合物は、少なくとも1つのイソシアネート基と、少なくとも1つの芳香環を有する化合物である。具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のTDI;ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等のMDI;テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートおよび、これらの変成品等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの芳香族イソシアネート化合物の中でも高い耐熱性と機械的強度を有するという点からMDIが好ましい。
化合物(B)の好ましい態様の一例として、上記イミノシラン化合物と、上記芳香族エポキシ化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。例えば、1分子中に2つのエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物に対して、1分子中に1つのイミノ基を有するイミノシラン化合物を1当量反応させて得られたものが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して、上記式(1)で表される構造を有するイミノシラン化合物を1当量反応させて得られる、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009149783
また、化合物(B)の好ましい態様の他の一例としては、1分子中に2つのエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物に対して、1分子中に1つのイミノ基を有するイミノシラン化合物を2当量反応させて得られたものが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して、上記式(1)で表される構造を有する化合物を2当量反応させて得られる、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009149783
また、化合物(B)の他の好ましい態様としては、上記イミノシラン化合物と上記芳香族イソシアネート化合物とを反応させて得られる化合物、エポキシシラン化合物と芳香族アミン化合物とを反応させて得られる化合物、イソシアネートシラン化合物と芳香族アミン化合物とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
上記エポキシシラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネートシラン化合物としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートエチルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートエチルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族アミン化合物は、少なくとも1つのアミノ基および/またはイミノ基と、少なくとも1つの芳香環を有する化合物である。具体的には、例えば、メチレンジアニリン(MDA)、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルケトン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族アミン化合物としては、反応の際にゲル化が生じにくい点から、イミノ基と芳香環を有し、アミノ基を有していない化合物であるのが好ましい。このような化合物としては、例えば、N,N′−ジメチルフェニレンジアミン、N,N′−ジメチルアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
化合物(B)の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
化合物(B)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜200質量部であるのが好ましく、30〜170質量部であるのがより好ましく、50〜150質量部であるのが更に好ましい。この範囲であると、接着性および耐湿熱性に優れ、イミダゾール類等の第三級アミンを使用しなくても硬化性に優れる。
上述した化合物(B)は分子中に反応性ケイ素含有基を有しているので、接着性および耐湿熱性を向上できる。また、化合物(B)は、分子中に第三級アミノ基を有しているので、後述する酸無水物の助触媒として機能すると考えられる。したがって、本発明の組成物は、硬化性に優れるので、イミダゾール類等の第三級アミンの使用量を臭気やかぶれの問題がない程度に抑えることができる。また、化合物(B)は分子中に第三級アミノ基を有するため第三級アミンであるが、通常、臭気が全くないか、臭気がほとんどない。更に、化合物(B)は芳香環を有するため、硬化物の機械的強度および耐湿熱性に優れる。
なお、本明細書において、耐湿熱性とは高温もしくは多湿または高温多湿環境下に長時間放置されたときでも接着性を維持できる特性を意味する。
次に、酸無水物(C)について説明する。
酸無水物(C)としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が、室温で液状であり、作業性が良く、硬化性も高いという点から好適に挙げられる。
酸無水物(C)の含有量は、硬化性に優れる点から、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜200質量部であるのが好ましく、30〜170質量部であるのがより好ましく、50〜150質量部であるのが更に好ましい。
酸無水物(C)は通常、無臭または臭気が少ないため、本発明の組成物の臭気を抑えることができる。また、酸無水物(C)は第三級アミンに比べてかぶれを引き起こし難い。そのため、本発明の組成物はかぶれを軽減できる。
本発明の組成物において、上述した化合物(B)以外の第三級アミンの含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下であり、3質量部以下であるのが好ましい。第三級アミンの含有量がこの範囲であると、臭気およびかぶれの少ない組成物となる。
本発明の組成物の好ましい態様の一例としては、化合物(B)以外の第三級アミンを全く含まないものが挙げられる。
また、本発明の組成物は、上記含有量の範囲であれば化合物(B)以外の第三級アミンを含有してもよい。
上記第三級アミンの含有量は、硬化性に優れる点から、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上であるのが好ましく、0.3質量部以上であるのがより好ましい。
本発明の組成物に用いられる化合物(B)以外の第三級アミンとしては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記第三級アミンは、触媒作用が強い点から、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類を含むことが好ましい。
本発明の組成物は、更に、硬化触媒を含有するのが好ましい。
上記硬化触媒としては、反応性ケイ素含有基含有化合物に一般的に用いられるものを使用できる。具体的には、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズ等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、酸化ジブチルスズとフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズ(トリエトキシシロキシ)、ジブチルスズシリケート等の有機スズ化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナート等のスズキレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタン等のチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレート等のジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート化合物;
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等の第1級アミン;ジブチルアミン等の第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン等の環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタート等の第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。
これらの硬化触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、保存中および作業中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機スズ化合物、スズキレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
また、硬化触媒の含有量は、化合物(B)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましい。硬化触媒の含有量がこの範囲であると、硬化触媒の作用を十分に発揮でき、他の成分との相溶性に関しても問題がなく、硬化時に局所的な発熱や発泡が生じることもない。この特性により優れる点から、1〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤等を含有することができる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグレシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。充填剤の含有量は、硬化物の物性の点で、全組成物中の90質量%以下であるのが好ましい。
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。可塑剤の含有量は、作業性の観点から、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下であるのが好ましい。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されない。本発明の組成物の主剤は、例えば、エポキシ樹脂(A)、化合物(B)および必要により用いられる各種添加剤等を減圧下で混合ミキサー等の撹拌機を用いて十分に撹拌して得ることができる。本発明の組成物に用いられる硬化剤も同様に、酸無水物(C)および必要により用いられる上記第三級アミン、上記硬化触媒および各種添加剤等を十分に撹拌して得ることができる。
上述したように、本発明の組成物は、接着性および耐湿熱性に優れ、臭気およびかぶれが少ない。
本発明の組成物は、例えば、ガラス材料、プラスチック材料、金属、有機無機複合材料等を容易に接着でき、特に、線膨張係数の異なる材料同士の接着や、高温多湿な環境におかれる材料の接着に好適に用いることができる。したがって、建築材料、光学材料、電子材料、自動車材料、土木材料等の接着に用いられる接着剤組成物として使用できる。本発明の組成物は、上述したような優れた特性を有することから、特に、光ファイバーとフェルールとの接着に好適に用いられる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<化合物(B)の合成>
(合成例1〜3)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で混合し、不活性ガス雰囲気下、80℃で8時間撹拌を行った後、上述した化合物(B)に対応する各化合物を得た。
第1表に示すシリル化率は、エポキシ基またはイソシアネート基の数に対して、イミノシラン化合物の反応した数の割合の百分率(理論値)を示す。例えば、合成例1は、エポキシ基を2個有する芳香族エポキシ化合物に対して、イミノシラン化合物が1個反応しているのでシリル化率は50%となる。また、合成例2は、エポキシ基を2個有する芳香族エポキシ化合物に対して、イミノシラン化合物が2個反応しているのでシリル化率は100%となる。
得られた化合物は、合成例1が上記式(3)に示す化合物、合成例2が上記式(4)に示す化合物であったと推測される。
Figure 2009149783
第1表に示す各成分は、以下のとおりである。
・イミノシラン化合物(上記式(1)で示される化合物):Alink−15、日本ユニカー(株)製
・芳香族エポキシ化合物(ビスフェノールAジグリシジルエーテル):エポトートYD−128、東都化成(株)製
・芳香族イソシアネート化合物(4,4′−メチレンビス(フェニルジイソシアネート)):ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業社製
<2液型接着剤組成物の調製と評価>
(実施例1〜4および比較例1〜3)
下記第2表に示すA液の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で混合し、かくはん機を用いて十分に分散させ、次いでB液の成分を全量加えて十分に分散させ、第2表に示す各組成物を得た。
得られた各組成物の臭いを嗅ぎ、臭気が無かったものを「◎」、臭気がほとんど無かったものを「○」、臭気が強かったものを「×」とした。
また、得られた各組成物を用いて、下記の方法により、接着性および耐湿熱性を評価した。
結果を第2表に示す。
(接着性および耐湿熱性の評価)
ガラス板(長さ30mm×幅25mm×厚さ5mm)を2枚用意し、各々の一方の端部3mm×幅25mmを得られた各組成物を介して重ね合わせた後、100℃で1時間加熱硬化した後、20℃で1日放置して試験体を作製した。作製した試験体を用いて、JIS K6852−1994に準拠して剪断強度(初期)を測定した。
また、上記と同様に作製した試験体を、80℃、95%RH環境下で10日間放置して劣化させた。この試験体を用いて、上記と同様に剪断強度(湿熱劣化後)を測定した。
Figure 2009149783
上記第2表に示す各成分は下記のとおりである。
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF−170、東都化成社製
・酸無水物:MH−700、新日本理化社製
・チタン触媒:TPT−100、日本油脂社製
・イミダゾール:2E4MZ、四国化成社製
上記第2表から明らかなように、合成例1〜3で得た化合物の少なくとも1種を含む組成物(実施例1〜4)は、合成例1〜3で得た化合物を含有しない組成物(比較例1〜3)に比べて、優れた接着性を有していた。特に、湿熱劣化後の剪断強度の差が顕著であったことから、実施例1〜4の組成物は耐湿熱性に極めて優れていることが証明された。また、実施例1〜4は、臭気が全くないか、ほとんどなかった。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂(A)と、反応性ケイ素含有基と芳香環と第三級アミノ基とを有する化合物(B)とを含有する主剤と、
    酸無水物(C)を含有する硬化剤とからなり、
    前記化合物(B)以外の第三級アミンの含有量が前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下である接着剤組成物。
  2. 前記化合物(B)の反応性ケイ素含有基が、加水分解性ケイ素含有基である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記化合物(B)が、イミノシラン化合物と、イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物とを反応させてなる化合物である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記イミノ基と反応する反応性基と芳香環とを有する化合物が、芳香族エポキシ化合物および/または芳香族イソシアネート化合物である請求項3に記載の接着剤組成物。
  5. 前記化合物(B)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜200質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 前記酸無水物(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して1〜200質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  7. 前記第三級アミンの含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部以上である請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
  8. 前記第三級アミンが、イミダゾール類を含む請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
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CN106398616A (zh) * 2016-10-17 2017-02-15 北京赛诺膜技术有限公司 一种用于微/超滤膜组件浇注的耐温型环氧胶

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