JP2006022152A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ基含有シリコーン化合物と、メルカプト基含有シリコーン化合物および/または酸無水物基含有シリコーン化合物とを含有する硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
耐熱性に優れるエポキシ樹脂組成物としては、エポキシシリカハイブリッド体が注目されている。例えば、特許文献1には、水酸基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂と加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物が記載されている。
(式中R1は、エポキシ基を有する置換基、炭素数10以下のアルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示し、R1はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、少なくとも1つはエポキシ基を含む置換基である。)
(X)a(Y′)b(R1)c SiO(4-a-b-c)/2 (1)
[式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基であり、Y′は加水分解性基又は加水分解性基とシラノール基との混合体(ただし、Y′におけるシラノール基の割合は20モル%以下である)であり、R1 は一価の炭化水素基であり、aは0.05〜0.90の数、bは0.12〜1.88の数、そしてcは0.10〜1.00の数であって、かつa+b+cが2.02〜2.67の範囲となる数である。]で表され、官能基を有する有機基Xが結合するケイ素原子の量が分子中の全ケイ素原子に対し5〜90モル%であり、R1−SiO3/2 で表されるT単位の割合が全シロキサン単位に対し10〜95モル%であり、平均重合度が3〜100であるシリコーン化合物、を含有するコーティング材組成物が記載されている。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
メルカプト基含有シリコーン化合物および/または酸無水物基含有シリコーン化合物と
を含有する硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」という。)は、エポキシ基含有シリコーン化合物と、メルカプト基含有シリコーン化合物および/または酸無水物基含有シリコーン化合物とを含有する硬化性樹脂組成物である。
本発明の組成物に用いられるエポキシ基含有シリコーン化合物は、少なくとも1つのエポキシ基と、シロキサン骨格とを有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有アルコキシシランの縮合物等が挙げられる。ここで、エポキシ基含有アルコキシシランとは、少なくとも1つのエポキシ基と、少なくとも1つのアルコキシシリル基とを有する化合物を意味する。
R1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R1が複数ある場合は、複数のR1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R2は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。R2が複数ある場合は、複数のR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R3は、窒素原子または酸素原子を含んでいてもよい有機基を表し、酸素原子を含んでいてもよい炭素数3〜6の2価の非環状脂肪族基、炭素数6〜10の2価の環状脂肪族基であるのが好ましい。
なお、下記式(2)で表される鎖状のシロキサン骨格を形成する場合においては、シロキサン結合およびエポキシ基との結合に関与しないシラン残基は、アルコキシシリル基および/またはシラノール基である。また、これらの縮合物は、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランを原料として製造することが、原料の入手し易さおよび反応性が高いことから好ましい。
ここで、本明細書において「加水分解縮合」とは、アルコキシシリル基を加水分解させ、生成したヒドロキシシリル基を他のアルコキシシリル基との脱アルコール反応により縮合させるか、ヒドロキシシリル基同士の脱水反応により縮合させることを意味する。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合の形成時にアルコールが生成するため、エポキシ基含有シリコーン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
R1およびR2は、それぞれ上記と同様である。
本発明者は、鋭意検討した結果、少なくともエポキシ基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランの加水分解縮合を一定条件下で行うことによって、低粘度で、貯蔵安定性に優れたエポキシ基含有シリコーン化合物となることを知見した。具体的には、少なくともエポキシ基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランと、そのケイ素原子に対して、0.5〜1.3倍モルの水とを反応して得られるエポキシ基含有シリコーン化合物が好ましい。この条件で加水分解縮合を行い、得られるエポキシ基含有シリコーン化合物の縮合度を調整することにより、低粘度で、耐熱性および貯蔵安定性に優れるエポキシ基含有シリコーン化合物が得られる。したがって、本発明の組成物は、低粘度で、耐熱性および貯蔵安定性に優れたものになる。これらの特性により優れる点から、少なくともエポキシ基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランのケイ素原子に対して、反応させる水の量は、より好ましくは0.6〜1.3倍モル、更に好ましくは0.8〜1.2倍モルである。なお、エポキシ基含有アルコキシシランと、上記置換アルコキシシラン等の他のアルコキシシランとを併用して加水分解縮合させる場合、これらのケイ素原子の合計に対して、上述した量の水を添加する。
本発明の組成物は、硬化剤にもシロキサン骨格を有する化合物を使用することにより、本発明の組成物の硬化物に含まれるシロキサン骨格の割合が、従来のエポキシシリカハイブリッド体を含有する硬化性樹脂組成物(例えば、特許文献2等)より多くなり、耐熱性が飛躍的に向上すると考えられる。
本発明の組成物に用いられるメルカプト基含有シリコーン化合物は、少なくとも1つのメルカプト基と、シロキサン骨格とを有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(6)で表されるメルカプト基含有アルコキシシランの縮合物等が挙げられる。
R1、R2およびR3は、それぞれ上記と同様である。
また、これらの縮合物は、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランを原料として製造することが、原料の入手し易さおよび反応性が高いことから好ましい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合の形成時にアルコールが生成するため、メルカプト基含有シリコーン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
なお、メルカプト基含有アルコキシシランと、上記置換アルコキシシラン等の他のアルコキシシランとを併用して加水分解縮合させる場合、これらのケイ素原子の合計に対して、上述した量の水を添加する。
本発明の組成物に用いられる酸無水物基含有シリコーン化合物は、少なくとも1つの酸無水物基と、シロキサン骨格とを有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、架橋性のシリル基を有する下記一般式(7)で表される酸無水物基含有アルコキシシランの縮合物等が好適に挙げられる。
R2は、上記と同様である。なお、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、加水分解および縮合反応によるシロキサン結合の形成時にアルコールが生成するため、酸無水物基含有シリコーン化合物の縮合物の製造時には、該アルコールを減圧除去するのが好ましい。
このような条件で加水分解縮合を行い、得られる酸無水物基含有シリコーン化合物の縮合度を調整することにより、低粘度で、耐熱性および貯蔵安定性に優れる酸無水物基含有シリコーン化合物が得られる。また、この化合物中には酸無水物基がほとんど開環しないで残っているので、得られる組成物の硬化速度にも優れる。これらの特性により優れる点から、少なくとも酸無水物基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランのケイ素原子に対して、反応させる水の量は、より好ましくは0.6〜1.3倍モル、更に好ましくは0.8〜1.2倍モルである。なお、酸無水物基含有アルコキシシランと、上記置換シラン等の他のアルコキシシランとを併用して加水分解縮合させる場合、これらのケイ素原子の合計に対して、上述した量の水を添加する。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
接着性付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
また、エポキシ基含有シリコーン化合物の硬化剤として酸無水物基含有シリコーン化合物を単独で用いる場合は、空気中の湿気等の水分または加熱することにより硬化させる1液型として用いることができる。
<エポキシ基含有シリコーン化合物(A)の合成>
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー(株)製)236g(1.00モル)に対して、水18g(1.00モル)およびジブチルスズジラウレート0.2gを混合後、80℃で8時間撹拌した。その後、反応により生成したメタノールを減圧除去し、エポキシ当量(理論値)190g/eqで液状のエポキシ基含有シリコーン化合物(A)を得た。
水の使用量を21.6g(1.20モル)に変更した以外は、上記エポキシ基含有シリコーン化合物(A)と同様に合成し、エポキシ当量(理論値)180g/eqで液状のエポキシ基含有シリコーン化合物(B)を得た。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー(株)製)153g(0.65モル)、メチルトリメトキシシラン49g(0.35モル)、水18g(1.00モル)およびジブチルスズジラウレート0.2gを混合後、80℃で8時間撹拌した。その後、反応により生成したメタノールを減圧除去し、エポキシ当量(理論値)240g/eqで液状のエポキシ基含有シリコーン化合物(C)を得た。
水の使用量を54g(3.00モル)に変更した以外は、上記エポキシ基含有シリコーン化合物(A)と同様に合成し、エポキシ当量(理論値)167g/eqで液状のエポキシ基含有シリコーン化合物(D)を得た。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(A189、日本ユニカー(株)製)196g(1.00モル)に対して、水12.6g(0.70モル)を添加後、無触媒下、80℃で15時間撹拌した。その後、反応により生成したメタノールを減圧除去し、SH当量(理論値)164g/eqで液状のメルカプト基含有シリコーン化合物(A)を得た。
水の使用量を23.4g(1.30モル)に変更した以外は、上記メルカプト基含有シリコーン化合物(A)と同様に合成し、SH当量(理論値)136g/eqで液状のメルカプト基含有シリコーン化合物(B)を得た。
3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸(X−12−967、信越化学工業(株)製)10g(0.028モル)に対して、水0.660g(0.036モル)およびトリエチルアミン10mgを混合し、室温下、反応により生成するメタノールを除去できる程度に減圧しながら、約1時間撹拌し、薄黄色味がかった透明な液体を得た。その後、減圧加熱により反応で生成したメタノールを完全に除去し、赤みを帯びた液状の酸無水物基含有シリコーン化合物(混合物)を得た。
得られた液体を1H−NMRによって、メトキシ基とSiCH2のプロトン成分の積分値を算出した。その結果、両者の積分比は4.3:2.0だった。
また、3.8ppm付近にブロードのピークが確認された。これは、酸無水物基が開環し、エステル化等の反応をした縮合物のメチル(エステル)のピークと考えられる。
目的とする縮合物(酸無水物基含有シリコーン化合物)と酸無水物基が開環された縮合物の生成比は、積分比より約4:1だった。
また、赤外分光法(FTIR)によって置換基の帰属を行った。その結果、1860cm-1、1780cm-1に酸無水物基のカルボニル伸縮振動(無水コハク酸は1865cm-1、1782cm-1に吸収を有する)、1720cm-1に酸無水物基が開環して生じるカルボキシ基のカルボニル伸縮振動と考えられる吸収が観察された。
上記で得られたエポキシ基含有シリコーン化合物(A)〜(D)の合成直後の粘度と、20℃、密閉条件下で1週間放置した後の粘度をE型粘度計で測定し、初期粘度に対する粘度上昇率を求めた。結果を第1表に示す。
下記第2表に示す各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、撹拌機を用いて混合し分散させ、第2表に示される各硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物について、以下のようにして貯蔵弾性率(G′)の保持率を測定することにより耐熱性を評価した。結果を第2表に示す。
(1)試験体の作製
離型剤を塗ったスチール製の型に実施例1〜6の各硬化性樹脂組成物を流し込み、23℃、湿度60%の条件下で2時間養生後、80℃で2時間、120℃で1時間、180℃で1時間養生し硬化させた。得られた硬化物(縦45mm×横12mm×高さ1mm)を試験体とした。
比較例1および2の硬化性樹脂組成物については、硬化条件を23℃、湿度60%の条件下で2時間養生後、80℃で2時間、120℃で1時間、150℃で1時間に変更した以外は上記と同様に試験体を作製した。また、比較例3の硬化性樹脂組成物については、硬化条件を80℃で2時間、120℃で2時間、150℃で2時間に変更した以外は上記と同様に試験体を作製した。
(2)貯蔵弾性率保持率の測定
(1)の試験体について、歪み0.01%、周波数10Hzの強制伸長加振時の温度200℃および20℃における貯蔵弾性率、それぞれG′(200℃)、G′(20℃)を測定し、下記式に従って、弾性率保持率(%)を求めた。
弾性率保持率(%)=100×G′(200℃)/G′(20℃)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製
・MXDA(メタキシリレンジアミン):三菱ガス化学(株)製
・メルカプタン:カップキュア3−800、ジャパンエポキシレジン(株)製
・メチルテトラヒドロ無水フタル酸:リカシッドMT500、新日本理化(株)製
・硬化触媒(上記式(8)で表される化合物):(DMP−30)、東京化成(株)製
・シリカ:平均粒子径10μmの球形シリカ
実施例2は、実施例1の組成物で用いているメルカプト基含有シリコーン化合物(A)に比べて、製造時に使用した水の量が多いメルカプト基含有シリコーン化合物(B)を用いた組成物であるが、実施例1の組成物よりもやや保持率が高くなっている。
実施例3は、エポキシ基含有シリコーン化合物と汎用のエポキシ樹脂を併用した組成物であるが、実施例1等に比べると保持率がやや落ちるが、比較例よりは格段に優れている。
実施例4は、実施例1の組成物で用いているエポキシ基含有シリコーン化合物(A)に比べて、製造時に使用した水の量が多いエポキシ基含有シリコーン化合物(B)を用いた組成物であるが、実施例1の組成物よりもやや保持率が高くなっている。
実施例5は、グリシドキシトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランを共縮合して得たエポキシ基含有シリコーン化合物(C)を用いた組成物であるが、実施例1の組成物よりもやや保持率が高くなっている。
実施例6は、エポキシ基含有シリコーン化合物と酸無水物基含有シリコーン化合物との組み合わせであるが、メルカプト基含有シリコーン化合物を用いた組成物(実施例1〜5)とほとんど同等の保持率だった。
Claims (11)
- エポキシ基含有シリコーン化合物と、
メルカプト基含有シリコーン化合物および/または酸無水物基含有シリコーン化合物と
を含有する硬化性樹脂組成物。 - 前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、少なくともエポキシ基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランを加水分解縮合して得られたものである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、前記少なくともエポキシ基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランと、そのケイ素原子に対して0.5〜1.3倍モルの水とが反応して得られたものである請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を前記エポキシ基含有シリコーン化合物のケイ素原子に対して60〜100モル%有する請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記メルカプト基含有シリコーン化合物が、少なくともメルカプト基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランを加水分解縮合して得られるものである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記メルカプト基含有シリコーン化合物が、前記少なくともメルカプト基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランと、そのケイ素原子に対して0.5〜1.3倍モルの水とが反応して得られたものである請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記メルカプト基含有シリコーン化合物が、メルカプト基を前記メルカプト基含有シリコーン化合物のケイ素原子に対して60〜100モル%有する請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記酸無水物基含有シリコーン化合物が、少なくとも酸無水物基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランを加水分解縮合して得られるものである請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記酸無水物基含有シリコーン化合物が、前記少なくとも酸無水物基含有アルコキシシランを含むアルコキシシランと、そのケイ素原子に対して0.5〜1.3倍モルの水とが反応して得られたものである請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記酸無水物基含有シリコーン化合物が、酸無水物基を前記酸無水物基含有シリコーン化合物のケイ素原子に対して60〜100モル%有する請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、硬化触媒を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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