JP2009079219A - シロキサン樹脂組成物、硬化物およびこれを用いた光半導体 - Google Patents

シロキサン樹脂組成物、硬化物およびこれを用いた光半導体 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光透過率が高く、高い硬度を有し、室温保存でも粘度の上昇が小さく、一液硬化が可能な光半導体封止用シロキサン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤を含有し、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンが下記一般式(1)で表される有機基を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物。
【化1】
Figure 2009079219

(Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1または2のアルキレン基を表す。Rは直接結合または炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、白色発光ダイオード(LED)、青色LED等の光半導体封止用シロキサン樹脂組成物に関する。
光半導体封止用樹脂としては、従来エポキシ化合物が一般に用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、エポキシ化合物を主成分とする封止用樹脂は、LEDが発する紫外光を吸収して着色、黄変するため、光半導体の封止材として十分な可視光透過率を長期間に渡って保持するのは困難である。
これに対し、シロキサン樹脂は透過率、耐光性に優れていることから、シロキサン樹脂を封止用樹脂として用いる技術が開発されている。このような材料として、例えば、ポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン組成物が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、このようなシロキサン樹脂は、硬化物の硬度が低い等の課題を有している。
また、Si−H結合を有するポリオルガノシロキサンを含有するシロキサン樹脂組成物も開示されている(例えば、特許文献4参照)。このようなシロキサン樹脂組成物の硬化は、通常、Si−H結合を有するポリシロキサンとビニル基を有するポリシロキサンとを、白金、ルテニウム、ロジウムなどの触媒存在下で付加させる反応(ヒドロシリル化反応)により行う。しかしながら、上記触媒存在下では容易に樹脂組成物の硬化が進むので、保管中に粘度が上昇する等の課題があり、一液硬化型組成では十分なポットライフを確保するのが困難である。このため、Si−H結合を有するポリシロキサンとビニル基を有するポリシロキサンとを別々の液として用いる二液硬化型が一般的であり、作業性に劣る。また、中でもSi−H結合を有するポリシロキサン樹脂組成物は、Si−H結合が水分に対して不安定であり比較的容易に加水分解反応が進行するため、二液硬化型であっても材料の保存安定性に課題がある。
また、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンと、エポキシ化合物等を含有する樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしこのような樹脂組成物は可視光透過率が低く、光半導体封止材として用いるのは困難である。
特許第3432445号 特開2000−198930号公報 特開2004−221308号公報 特開2006−335845号公報 特開2004−300327号公報
本発明は、可視光透過率が高く、高い硬度を有し、室温保存でも粘度の上昇が小さく、一液硬化が可能な光半導体封止用シロキサン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤を含有し、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンが下記一般式(1)で表される有機基を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物である。
Figure 2009079219
(Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1または2のアルキレン基を表す。Rは直接結合または炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
本発明のシロキサン樹脂組成物を用いることで、LED素子や固体撮像素子の封止に適した高い可視光透過率、硬度を有する硬化物が得られる。また、本発明のシロキサン樹脂組成物は室温で安定であり、作業性に優れる一液硬化型として使用可能である。
本発明は、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤を含有し、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンが下記一般式(1)で表される有機基を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物である。
Figure 2009079219
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(a)に含まれるカルボキシル基と(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物が結合することで硬化反応が進行し、特に硬度等に優れた硬化物を与える。
は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1または2のアルキレン基を表す。Rは直接結合または炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
としてはメチレン基、エチレン基が例として挙げられる。
の具体例としては、直接結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンは、その製造方法は特に限定されるものではないが、下記一般式(2)および(3)で表されるシラン化合物を加水分解、縮合して得られるポリシロキサンであることが好ましい。
Si(OR4−x (2)
は加水分解またはアルコリシスによって一般式(1)で表される有機基を生成する有機基を表す。ここでいうアルコリシスとは、加水分解反応または縮合反応において系中に存在する、あるいは生成するアルコールとRに含まれる有機基とが反応し、アルコキシル基が置換する反応をいう。該Rに含まれる有機基としては、エステル基、酸無水物基などが挙げられる。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。xは1〜3の整数を表す。
の例としては、コハク酸無水物残基やグルタル酸無水物残基を含有する有機基が挙げられる。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、アセチル基、フェニル基等が挙げられる。これらのうち、入手の容易さや加水分解反応の進行し易さの点で、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(2)で表されるシラン化合物の具体例としては、2−トリメトキシシリルエチルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルグルタル酸無水物、3−トリエトキシシシリルプロピルグルタル酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルグルタル酸無水物などの3官能性シラン、ジ−1−ブトキシ−ビス(3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル)シラン、ビス(3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−(ジヒドロ‐2H‐ピラン‐2,6(5H)‐ジオニル)プロピル)ジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリス(3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル)メトキシシランなどの1官能性シランなどが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
Si(OR4−y (3)
は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、アラルキル基、炭素数4〜10の(メタ)アクリロイルアルキル基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。yは0〜3の整数を表す。
のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリロイルアルキル基は置換基を有していても、置換基を有していない無置換体であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基などが挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アラルキル基の具体例としては、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルアルキル基の具体例としては、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、硬化物に高い硬度を付与するにはメチル基、硬化物の屈折率を向上するにはフェニル基、基材や上層膜との密着性、濡れ性を付与するには3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基が、それぞれ好ましく用いられる。
の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、アセチル基、フェニル基などが挙げられる。これらのうち、入手の容易さや加水分解反応の進行し易さの点で、メチル基、エチル基が好ましく用いられる。
一般式(3)で表されるシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
また、上記一般式(3)で表されるシラン化合物は、下記一般式(4)および/または(5)で表されるシラン化合物を必須成分として含むことも好ましい。下記一般式(4)および/または(5)で表されるシラン化合物は、ポリシロキサンの縮合を抑制する、末端封止的な役割を果たす。すなわち、一般式(4)で表されるシラン化合物は、R、Rに立体的にかさ高い置換基を有するため、2つのOR10のうち一方しか反応に関与できない。また、一般式(5)で表される化合物はOR15を1つしか有しない。このような化合物を用いることで、保管中に縮合反応が進行せず、容易に粘度が上昇することなく、十分なポットライフを確保することができる。
Si(OR10 (4)
、Rは炭素数6〜10の無置換アルキル基、炭素数6〜10の置換アルキル基、炭素数6〜15のアリール基またはR111213C−で表される基(R11〜R13はアルキル基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。またR11〜R13のいずれか1つは水素原子であってもよい)のいずれかであり、複数のR、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R10は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR10はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
ここで炭素数6〜10の置換アルキル基とは、主鎖のアルキル基および置換基に含まれる全ての炭素原子数の総和が6〜10であるものをいう。R、Rにおける置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリロイルアルキル基、エポキシ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
、Rの具体例としては、n−ヘキシル基、n−デシル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R111213C−で表される基は、炭素数3〜10の基であり、その具体例としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、硬化物の屈折率を向上するにはフェニル基、基材や上層膜との密着性、濡れ性を付与するには3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基が、それぞれ好ましく用いられる。
10の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、アセチル基、フェニル基などが挙げられる。これらのうち、入手の容易さや加水分解反応の進行し易さの点で、メチル基、エチル基が好ましく用いられる。
一般式(4)で表されるシラン化合物の具体例としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ-t-ブチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシランなどの2官能性シランが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
14 SiOR15 (5)
14は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、アラルキル基、炭素数4〜10の(メタ)アクリロイルアルキル基のいずれかを表し、複数のR14はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R15は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。
アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリロイルアルキル基は置換基を有していても、置換基を有していない無置換体であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基などが挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アラルキル基の具体例としては、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルアルキル基の具体例としては、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、硬化物に高い硬度を付与するにはメチル基、硬化物の屈折率を向上するにはフェニル基、基材や上層膜との密着性、濡れ性を付与するには3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3−グリシドキシプロピル基が、それぞれ好ましく用いられる。
14の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、アセチル基、フェニル基などが挙げられる。これらのうち、入手の容易さや加水分解反応の進行し易さの点で、メチル基、エチル基が好ましく用いられる。
一般式(5)で表されるシラン化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
上記一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物の共重合比に特に制限はないが、一般式(2)で表されるシラン化合物の共重合比は重合に用いたモノマーのうち好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。共重合比を上記範囲とすることで、十分な硬度を有する硬化物を得ることができる。
また、一般式(4)および/または(5)で表されるシラン化合物を用いる場合の共重合比は重合に用いたモノマーのうち好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。共重合比を上記範囲とすることで、高い硬度を有し、室温での縮合反応が進行せず安定な硬化物が得られる。
本発明に用いられる(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンは、例えば、上記一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物を加水分解した後、あるいは加水分解反応と並行して、該加水分解物を縮合反応させることによって得ることができる。
加水分解反応および縮合反応における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などの反応場の環境や、目的とする用途およびそれに適した物性などを考慮して、たとえば酸濃度、反応温度、反応時間などを適宜設定することができる。以下に一例を示すが、これらに限られるものではない。
加水分解反応は、溶媒中あるいは無溶媒で、一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物に水を1〜180分かけて添加した後、室温〜110℃で1〜180分反応させることが好ましい。添加する水は、イオン交換水や超純水を用いることが好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、アルコキシシラン化合物1.0モルに対して、1.0〜5.0モルの範囲で用いることが好ましい。また、反応温度は、より好ましくは40〜105℃である。該加水分解反応において、一般式(2)〜(5)のSi−OR基は加水分解されてシラノール基となる。また、一般式(2)のシラン化合物のRも、添加した水による加水分解や、反応系中に生成あるいは存在するアルコールによるアルコリシスを受けて一般式(1)の有機基に変換される。
縮合反応は、上記一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物の加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、あるいは加水分解反応と並行して、50℃以上、200℃以下で1〜50時間加熱して行なうことが好ましい。
加水分解反応および縮合反応は、特に触媒を加えずとも、一般式(2)のシラン化合物の加水分解によって生じるカルボン酸によって自己触媒的に進行するが、別途酸触媒を添加してもよい。ここで用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。これら酸触媒の好ましい含有量としては、加水分解反応時に使用される上記一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。酸触媒の量が、0.05重量部を下回ると、加水分解反応の速度が遅くなり反応のコントロールが困難となる場合がある。また、酸触媒の量が10重量部を越えると、加水分解反応が暴走する恐れがある。
上記一般式(2)〜(5)で表されるシラン化合物の加水分解反応および該加水分解物の縮合反応には、溶媒を用いても良い。溶媒は2種類以上の混合物として用いることも可能である。溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
反応終了後に、さらに溶媒を添加することにより、適切な濃度に調整しても良い。また、ポリシロキサンの濃度、粘度を上げる等の目的で、生成したアルコールや溶媒等を加熱および/または減圧下にて適量を留出、除去してもよい。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物を含有する。これらを含有することにより、本発明のシロキサン樹脂組成物は高い屈折率、可視光透過率を有している。ここでいう可視光透過率とは、波長400nmにおける透過率をいう。また、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物は、(a)に含まれるカルボキシル基と反応し架橋を形成するため、高い硬度が得られる。エポキシ化合物、オキセタン化合物は2種以上を混合して用いてもよい。また、オキセタン化合物を用いる場合は、架橋反応を促進するためにエポキシ化合物を共存させることが好ましい。
(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物のうち、エポキシ化合物としては、たとえば、エポキシ基を1つ有するものとしてエポライトM−1230、エポライトEHDG−L(商品名、共栄社化学(株)製)、PP−101(商品名、東都化成(株)製)、NKオリゴEA−1010/ECA(商品名、新中村化学)等、2つ有するものとしてエポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト80MF、エポライト4000、エポライト3002(商品名、共栄社化学工業(株)製)、NC6000(商品名、日本化薬(株)製)、デナコールEX−212L、デナコールEX−214L、デナコールEX−216L、デナコールEX−850L(商品名、ナガセケムテックス(株)製)、セロキサイド2021P(商品名、ダイセル化学工業(株)製)、GAN,GOT(日本化薬(株)製)、エピコート828、エピコート1002、エピコート1750、エピコート1007、YX8100−BH30、E1256、E4250、E4275(商品名、ジャパンエポキシ(株)製)、BPFG、BPEFG(商品名、大阪ガスケミカル(株)製)、エピクロンEXA−9583、HP4032(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、EP−4088S、EP−4085S、EP−4080S((株)アデカ)、3つ有するものとして、VG3101(商品名、三井化学(株)製)、テピックS、テピックG、テピックP(商品名、日産化学工業(株)製)、デナコールEX−321L(ナガセケムテックス(株)製)、4つ以上有するものとして、エポトートYH−434L(商品名、東都化成(株)製)、EPPN502H、NC3000、NC6000(商品名、日本化薬(株)製)、エピクロンN695、HP7200(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物のうち、オキセタン化合物としては、エタナコールEHO、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(商品名、宇部興産(株)製)、OX−SC、TMSOX、OX−SQ−H、TESOX−D(商品名、東亞合成(株)製)オキセタン化フェノールノボラックなどが挙げられる。
本発明において、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物はエポキシ基またはオキセタン基を2つ以上有するものが好ましい。エポキシ基またはオキセタン基を2つ以上有することにより、熱硬化後の樹脂中に架橋構造を導入し、硬度を向上できる。硬化物の屈折率をさらに向上するためには、芳香環を2個以上有する化合物を用いることが好ましく、可視光透過率をさらに高めるためには脂環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物の含有量は、保存安定性などの観点から(a)カルボキシル基含有ポリシロキサン100重量部に対して好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。
本発明のシロキサン樹脂組成物は(c)硬化剤を含有する。該硬化剤は、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンと(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物との硬化反応、あるいは(a)同士、(b)同士の硬化反応を促進する。該硬化剤としては、有機リン化合物、熱酸発生剤、イミダゾール化合物、金属キレート化合物などを用いることができる。
有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン等のトリオルガノホスフィン類や、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等の四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
熱酸発生剤としては、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L(商品名、三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートなどが挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、IS−1000、IS−1000D、IM−1000、SP−1000,IA−100A、IA−100P、IA−100F(以上、商品名、(株)日鉱マテリアルズ製)などのイミダゾールシラン類などが挙げられる。
金属キレート化合物としては、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物およびマグネシウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物は、金属アルコキシドにキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを挙げることができる。金属キレート化合物の具体的な例としては、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、プレンアクトAL−M(商品名、川研ファインケミカル(株)製)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物、マグネシウムエチルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、マグネシウムアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート化合物、ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(アセトアセテート)ジブチレートなどが挙げられる。
これらのうち、保存安定性、硬化物の硬度、可視光透過率の点で金属キレート化合物を用いることが好ましく、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、プレンアクトAL−M(商品名、川研ファインケミカル製)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセチルアセトネート)が特に好ましく用いられる。
(c)硬化剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物全量100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲が好ましい。0.01重量部以上とすることで硬化を効果的に促進し、10重量部以下とすることで、安定に長期保存することができる。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(d)溶剤を含有してもよい。溶剤を添加することで、組成物の粘度や、封止・硬化工程での流動性を調整することができる。溶剤の種類に特に制限はないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
(d)溶剤の含有量は、ポッティングモールドや孔版印刷法での成形性の観点から、樹脂組成物全体に対して30重量%以下であることが好ましい。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、熱伝導性向上や屈折率向上などのため(e)金属酸化物粒子を含有してもよい。ただし、硬化物の可視光透過率を損なわないため、該金属酸化物粒子の数平均粒子経は5nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。数平均分子量は、ガス吸着法や動的光散乱法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡で粒子径を直接測定する方法などにより測定することができるが、本発明における数平均粒子経は動的光散乱法で測定した値をいう。
(e)金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ニオブ粒子や、これらの複合酸化物粒子などが挙げられ、目的に応じて適した粒子を使用する。たとえば、熱伝導性を向上するためにはアルミナ粒子を用いることができる。また、硬化物の屈折率を向上するためには、酸化ジルコニウムや酸化チタン、酸化ニオブ粒子を用いることができる。金属酸化物粒子の含有量は、樹脂組成物の可視光透過率などを損なわない限り制限はないが、シロキサン樹脂組成物全量100重量部に対し、5〜200重量部の範囲が好ましい。
本発明のシロキサン樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて蛍光物質などの波長調整剤、顔料、染料、耐酸化剤、カップリング剤、難燃剤などを含んでもよい。
次に、本発明のシロキサン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物について説明する。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、ポッティングモールド法、スピンコーティング、孔版印刷法などの各種印刷法により各種光半導体素子や、透明基板などに樹脂組成物膜を成形した後、加熱を行うことで硬化を行うことができる。ここでいう光半導体とは、LEDや光センサ、フォトカプラ、イメージセンサなどが例として挙げられる。より具体的な用途として、光半導体装置の封止材、ダイボンディングペースト材、あるいはチップの周囲を被覆するチップコート材、レンズ材などが挙げられる。
該樹脂組成物の膜厚は、用いられる用途にもよるが、たとえばLEDの封止樹脂として用いられる場合は、硬化後の膜厚を0.1〜10mmとするのが一般的である。加熱硬化の温度、条件の例としては、100℃から180℃の温度で1分から10時間程度加熱する方法や、50℃から120℃で30分から4時間程度一次硬化を行ったのち、100℃から180℃で30分から4時間程度の二次硬化を行う方法などがある。短時間で硬化を行う場合は、たとえば140℃から250℃で1分から30分程度の加熱条件で硬化を行うことができる。
このようにして得られた本発明の硬化物は、一液硬化が可能である、可視光透過率が高いなどの性質を有するため、半導体の封止樹脂として好適に用いられる。特に、高い可視光透過率や高い硬度を有していることから、LEDなどの光半導体の封止樹脂として特に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお評価は以下の方法により行った。
保存安定性(粘度変化率)
ポリエチレン製密閉容器中で23℃にて樹脂組成物を1ヶ月間保存し、保存前の25℃における粘度a(mPa・s)および保存後の25℃における粘度b(mPa・s)を測定し、下式により粘度変化率を算出した。粘度の測定には(株)トキメック製EHD型粘度計を用いた。粘度変化率が小さいほど、経時による粘度変化が小さく保存安定性が良好である。本発明においては、粘度変化率は±10%以下であることが好ましく、±5%以下であることがより好ましい。
粘度変化率(%)=(b−a)×100/a
硬度の測定
直径30mmのアルミカップ3個に、樹脂組成物をそれぞれ厚さ2mmとなるよう滴下し、80℃の熱風循環オーブンで1時間加熱した後、150℃の熱風循環オーブンで1時間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜をアルミカップから取り出し、3枚を重ねて6mm厚とし、タイプAのデュロメーターを用いて硬度を測定した。本測定法において、硬度は60以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましい。
可視光透過率の測定
樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコーティングにより塗布したのち、150℃の熱風循環オーブンで1時間加熱して硬化膜を得た。スピンコーティングの条件は硬化膜の膜厚が15μm(±5μm)となるように調整した。この硬化膜について、紫外−可視分光光度計UV−260(島津製作所(株)製)を用い波長400nmにおける透過率T(%)を得た。測定後、硬化膜の膜厚d(μm)を段差計サーフコム1400D((株)東京精密製)で測定し、下式にて膜厚20μmにおける可視光透過率T20μmを算出し、比較した。
20μm=100×e(Ln(T/100)×20/d)
屈折率の測定
樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコーティングにより塗布したのち、150℃の熱風循環オーブンで1時間加熱して硬化膜を得た。スピンコーティングの条件は硬化膜の膜厚が15μm(±5μm)となるように調整した。この硬化膜について、プリズムカプラー(メトリコン社製)を用い波長633nmにおける屈折率を測定した。
合成例1
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 29.7g(0.15mol)、ジメチルジメトキシシラン 30.1g(0.25mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 13.1g(0.050mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水22.5gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で3時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーAを得た。ポリマーAの粘度は10000mPa・sであった。
合成例2
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 49.6g(0.25mol)、ジメチルジメトキシシラン 18.0g(0.15mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 13.1g(0.050mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水22.5gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーBを得た。ポリマーBの粘度は6000mPa・sであった。
合成例3
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 44.6g(0.225mol)、ジメチルジメトキシシラン 24.0g(0.200mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 13.1g(0.0250mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水25.6gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で4時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーCを得た。ポリマーCの粘度は4000mPa・sであった。
合成例4
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 37.7g(0.190mol)、ジメチルジメトキシシラン 30.1g(0.250mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 5.2g(0.010mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水22.5gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で3時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーDを得た。ポリマーDの粘度は3000mPa・sであった。
合成例5
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 24.7g(0.125mol)、ジメチルジメトキシシラン 30.1g(0.250mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 13.1g(0.0500mol)、トリメチルメトキシシラン 2.6g(0.025mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水21.6gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で3時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーEを得た。ポリマーEの粘度は2000mPa・sであった。
合成例6
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 47.6g(0.240mol)、ジメチルジメトキシシラン 18.0g(0.150mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物 13.1g(0.0500mol)、ジフェニルジメトキシシラン 2.44g(0.0100mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水24.1gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーFを得た。ポリマーFの粘度は3000mPa・sであった。
合成例7
メチルトリメトキシシラン 6.8g(0.050mol)、フェニルトリメトキシシラン 39.7g(0.200mol)、ジメチルジメトキシシラン 30.1g(0.250mol)を反応容器に入れ、この溶液に、水22.5gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液を105℃で3時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた後、室温まで冷却し、ポリマーGを得た。ポリマーGの粘度は5000mPa・sであった。
実施例1〜12および比較例1〜3
表1に示す組成で各成分を撹拌混合してシロキサン樹脂組成物を得た。これらにつき、前記の方法で、粘度変化率、硬度、可視光透過率および屈折率を測定した。結果を表1に示す。
比較例4
カルボキシル基を有する化学式(6)のポリシロキサンX−22−3701E(商品名、信越化学工業(株)製、Rは直鎖アルキル基)7g、BPFG4g、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)0.03gを撹拌混合して得た樹脂組成物を用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009079219
比較例5
水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル10g、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物10gを撹拌混合して得た樹脂組成物を用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキサンで封止されたジメチルポリシロキサン10g(粘度5000mPa・s)、塩化白金酸0.01g、メチルハイドロジェンシロキサン2g(粘度20mPa・s)を撹拌混合して得た樹脂組成物を用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
各実施例および比較例で用いた化合物を以下に示す。
エポキシ化合物およびオキセタン化合物
Figure 2009079219
セロキサイド2021P(商品名、ダイセル化学工業(株)製)
Figure 2009079219
NC−6000(商品名、日本化薬(株)製)
Figure 2009079219
エピコート828(商品名、ジャパンエポキシ(株)製)
Figure 2009079219
OX−SC(商品名、東亞合成(株)製)
Figure 2009079219
プレンアクトAL−M(商品名、川研ファインケミカル(株)製)
Figure 2009079219
デナコールEX−212L(商品名、ナガセケムテックス(株)製)
Figure 2009079219
BPFG(商品名、大阪ガスケミカル(株)製)
硬化剤
SI−100L(商品名、スルホニウム塩系熱酸発生剤、三新化学工業(株)製)
IS−1000(商品名、イミダゾールシラン化合物、(株)日鉱マテリアルズ製)
Figure 2009079219

Claims (11)

  1. (a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤を含有し、(a)カルボキシル基含有ポリシロキサンが下記一般式(1)で表される有機基を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物。
    Figure 2009079219
    (Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1または2のアルキレン基を表す。Rは直接結合または炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
  2. (a)が下記一般式(2)および(3)で表されるシラン化合物を加水分解および縮合して得られるポリシロキサンであることを特徴とする請求項1記載のシロキサン樹脂組成物。
    Si(OR4−x (2)
    (Rは加水分解またはアルコリシスによって一般式(1)で表される有機基を生成する有機基を表す。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。xは1〜3の整数を表す。)
    Si(OR4−y (3)
    (Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、アラルキル基、炭素数4〜10の(メタ)アクリロイルアルキル基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。yは0〜3の整数を表す。)
  3. 上記一般式(3)で表されるシラン化合物が、下記一般式(4)および/または(5)で表されるシラン化合物を必須成分として含むことを特徴とする請求項2記載のシロキサン樹脂組成物。
    Si(OR10 (4)
    (R、Rは炭素数6〜10のアルキル基、炭素数6〜10の置換アルキル基、炭素数6〜15のアリール基またはR111213C−で表される基(R11〜R13はアルキル基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。またR11〜R13のいずれか1つは水素原子であってもよい。)のいずれかであり、複数のR、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R10は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR10はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
    14 SiOR15 (5)
    (R14は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、アラルキル基、炭素数4〜10の(メタ)アクリロイルアルキル基のいずれかを表し、複数のR14はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R15は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  4. (a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤および(d)溶剤を含有し、溶剤の含有量が組成物全体の30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  5. (b)のエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物が分子内に2個以上のエポキシ基および/またはオキセタニル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  6. (b)のエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物が芳香環を分子内に2個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  7. (b)のエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物が脂環構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  8. (a)カルボキシル基含有ポリシロキサン、(b)エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物、(c)硬化剤および(e)金属酸化物粒子を含有し、該金属酸化物粒子の数平均粒子経が5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  9. (c)の硬化剤が金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のシロキサン樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  11. 請求項10に記載の硬化物で封止された光半導体。
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