JP2010241931A - α−オレフィン・環状オレフィン共重合体およびその製造方法、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体を含む成形体 - Google Patents

α−オレフィン・環状オレフィン共重合体およびその製造方法、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体を含む成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率・低アッベ数のオレフィン共重合体およびその製造方法、この共重合体からなる光学部品の提供。
【解決手段】炭素数2〜30のα−オレフィン構成単位と、下記一般式(I)で表される環状オレフィン構成単位からなるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体。
Figure 2010241931

(xは0または1以上の整数。R81〜R88は水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれ、R91〜R94は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれ、隣接する2つの基は互いに結合し単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。芳香族環上の置換基のうち少なくとも1つはハロゲン原子)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料として好適なα−オレフィン・環状オレフィン共重合体に関するものであり、さらに詳しくは、高屈折率、低アッベ数を示すα−オレフィン・環状オレフィン共重合体およびその製造方法、このα−オレフィン・環状オレフィン共重合体を含有する成形体、光学レンズ、フィルム等の光学部品に関するものである。
光学材料・光学部品として古くから幅広く用いられているガラスは、透明性、屈折率が高くかつ複屈折が極めて低い特徴を有している。しかしガラスは成形性に劣り、軽量化が困難という欠点も併せもつことから、最近では軽量で成形性に優れる高分子材料、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などが光学材料・光学部品として用いられるようになっている。
しかし、PMMAは透明性に優れ、複屈折も低いという点では好ましいが、屈折率が低くまた耐熱性も低いという欠点がある。また、PCは屈折率、耐熱性ともPMMAよりは優れているものの、用途によってはより高い屈折率が求められる場合があるが、その要求を満たすことは困難な場合が多い。
一方、α−オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合させて得られるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体は、光学特性、機械特性、熱特性などに優れ、しかもこれらのバランスがよいため、例えば光学メモリディスクや光学ファイバーなどの光学材料として用いられている。
本出願人は特許文献1〜3において、エチレンとテトラシクロドデセンなどの環状オレフィン類とを共重合させて得られる共重合体が透明性に優れ、低複屈折性、耐熱性、耐薬品性、機械強度などのバランスのとれたポリマーであり、光学レンズなどの光学部品に適した材料であることを見出し提案している。
ところで、光学レンズの中でも用いられる用途によっては、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体でも屈折率やにじみなどの光学特性が不十分である場合がある。
光学レンズの特性として、屈折率が高ければ焦点距離を短くすることができ、レンズの厚みを薄くすることができる。また、低アッベ数のレンズが得られれば、高アッベ数のレンズと組み合わせて用いることで、光の分散が小さく、解像度が上がり、にじみが生じないといった効果が発現することが知られている。このような光学特性は組み合わせるレンズのアッベ数の差が大きいほど顕著である。
一方、従来から、屈折率を高くするためには、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を光学材料に導入することが効果的であることが知られている。しかしながら、テトラシクロドデセンのような環状オレフィンの水素原子をハロゲン原子で置換した環状オレフィンを共重合に用いると、ハロゲンによる触媒被毒・助触媒として入れたルイス酸と環状オレフィンとの間に反応が起こる、などの理由により、共重合体を得るのは困難である。そのためにこのような共重合体の報告例はない。
特開昭62−252406号公報 特開2005−330465号公報 特開2004−331965号公報
本発明の課題は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、高屈折率・低アッベ数のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体およびその製造方法を提供することである。また、上記のようなα−オレフィン・環状オレフィン共重合体を含有する光学レンズ、フィルム等の光学部品を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する環状オレフィンを共重合体の構成モノマーとして用いることによって、高屈折率・低アッベ数のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体を製造することが可能であることを見出し、さらにはそのα−オレフィン・環状オレフィン共重合体が光学材料・光学部品、さらに詳しくは光学レンズおよびフィルムとして有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体とは、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンに由来する構成単位と、下記一般式(I)で表される環状オレフィンに由来する構成単位とからなるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]であることを特徴としている。
Figure 2010241931
(一般式(I)中、xは0または1以上の整数であり、R81〜R88は水素原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R91〜R94は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する2つの基は互いに結合し、単環または複環の芳香族環を形成していてもよく、また、R91〜R94および/または、R91〜R94の隣接する2つの基が互いに結合して形成した芳香族環上の置換基のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。)
前記α−オレフィンはエチレンであることが好ましい。
また、本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法とは、下記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと上記一般式(I)で表される環状オレフィンとを共重合させることを特徴とする。
Figure 2010241931
(一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれ、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、mは2であり、Mはチタン原子であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、R1が下記一般式(III)で表わされるアリール基であり、R6がフェニル基であることが好ましい。
Figure 2010241931
(一般式(III)中、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。)
また本発明では、前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は成形され光学レンズまたはフィルムとして好ましく用いられる。
さらに、本発明に係る光学部品は前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を含有するレンズと、前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]以外の環状オレフィン系重合体[b]を含有するレンズとを組み合わせて得られることを特徴としている。
前記環状オレフィン系重合体[b]の23℃、波長598nmにおける屈折率は1.54以下であることが好ましい。
前記光学部品はデジタルカメラ用レンズ、記録媒体用レンズ、計測機器用レンズ、CCDカメラ用レンズまたはCMOSカメラ用レンズとして有用である。
本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は、共重合体の構成モノマーである環状オレフィンにハロゲン原子が導入されているので、高屈折率・低アッベ数を示す。本発明のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を光学部品、特に光学レンズとして加工し、高アッベ数のレンズと組み合わせて色収差の補正レンズとして用いることで、光の分散が小さくなり、解像度があがり、にじみが生じないといった効果が発現する。
実施例4、5(○)および比較例1〜4(●)で得られる屈折率のアッベ数の関係を示す図である。
以下、本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]及びその製造方法、およびα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を用いた光学レンズ、光学部品、フィルムについて具体的に説明する。
<α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]>
本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと、下記一般式(I)で表される環状オレフィンとの共重合体である。以下、本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の構成モノマーである、環状オレフィンとα−オレフィンについて詳細に説明する。
〔環状オレフィン〕
本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の構成モノマーである環状オレフィンは、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2010241931
一般式(I)において、xは0または1以上の整数である。
81〜R88は水素原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
91〜R94は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
81〜R88およびR91〜R94のうち、脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数3〜15のシクロアルキル基などが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどのアルキル基;シクロヘキシルなどのシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、アリール(aryl)基、アラルキル(aralkyl)基などが挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチルなどや、これらの水素原子が他の炭化水素基またはハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
また、R91〜R94の隣接する2つの基は互いに結合して単環または複環の芳香族環を形成していてもよい。
本発明で用いられる環状オレフィンは、R91〜R94、R91〜R94が示す芳香族炭化水素基が有する置換基、およびR91〜R94の隣接する2つの基が互いに結合して形成した芳香族環上の置換基のうち少なくとも1つはハロゲン原子であることを特徴としている。
これらのうち、R91とR92が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2010241931
また、R92とR93が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2010241931
また、R91とR92、R93とR94が結合して芳香族環が形成される環状オレフィンとして具体的には、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2010241931
これらの芳香族環上にハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる置換基が置換された環状オレフィンも例として挙げられる。
本発明で用いられる環状オレフィンは、芳香族環上の置換基のうち少なくとも1つがハロゲン原子であることを特徴としている。ハロゲン原子とは具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示し、より好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
本発明で用いられる環状オレフィンとして、具体的に以下の化合物を例示できる。
Figure 2010241931
Figure 2010241931
上記例示において、当該分子の塩素原子のうち1つまたは複数を他のハロゲン原子で置き換えた分子や、それらの鏡像異性体も例示できる。
これらの環状オレフィンは、R.W.Hoffmann著,“Dehydrobenzene and cycloalkynes”, Academic Press New York刊(1973年),499頁、Y.Himeshima,T.Sonoda,H,Kobayashi著 Chemistry Letters誌 1211頁(1983年)などに記載の公知の方法によって発生させた対応する構造を有するベンザイン誘導体と、シクロペンタジエン誘導体とをディールス・アルダー反応させることによって製造することができる。
〔炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン〕
本発明で用いられるα−オレフィンは炭素原子数が2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンである。
炭素原子数が2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのなかでは、エチレンとプロピレンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
<α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法>
このようなα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は、以下に記載するオレフィン重合用触媒の存在下で、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと、上記の環状オレフィンを共重合させることによって製造することができる。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明にかかるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造に用いるオレフィン重合用触媒について以下に詳細に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(II)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されている。
〔(A)遷移金属化合物〕
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(II)で表される化合物である。
Figure 2010241931
上記一般式(II)において、N…Mは、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などである。Mとして好ましくは周期表第4族の金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、より好ましくはチタン原子である。
1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ヘテロ原子を1〜5個含む環状の基が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子およびホウ素原子などが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、酸素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;エーテル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;カルボナート基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、エステル基などが遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記窒素含有基としては、窒素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジフェニルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどのイミノ基;アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどのアミド基;アセトイミド、ベンズイミドなどのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアン酸エステル基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。これらのうち、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記ホウ素含有基としては、ホウ素原子を1〜5個の含有する基が挙げられ、具体的には、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(nC5112B−、C814B−(9−ボラビシクロノニル基)などのアルキル置換ホウ素;(C652B−などのアリール置換ホウ素;BCl2−などのハロゲン化ホウ素;(Et)BCl−、(iBu)BCl−などのアルキル置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を示す。
前記イオウ含有基としては、イオウ原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メルカプト基;アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのチオエステル基;ジチオエステル基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基;フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどのアリールチオ基;チオアシル基;チオエーテル基;チオシアン酸エステル基;イソチアン酸エステル基;スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどのスルホンエステル基;フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド基;チオカルボキシル基;ジチオカルボキシル基;スルホ基;スルホニル基;スルフィニル基;スルフェニル基;スルフォネート基;スルフィネート基などが挙げられる。これらのうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記リン含有基としては、リン原子を1〜5の含有する基が挙げられ、具体的には、ホスフィノ基;ホスホリル基;ホスホチオイル基;ホスホノ基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、シリル基;シロキシ基、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。これらのうち、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基が好ましい。トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが遷移金属化合物の合成が容易な点で特に好ましい。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
またR1の好ましい態様は芳香性(aromaticity)を示す基であり、さらに好ましくは下記一般式(III)で表わされるアリール基である。
Figure 2010241931
一般式(III)において、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。
1A〜R1Eのハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記R1〜R5に例示したものと同様のものが挙げられる。
これらのうちR1A〜R1Eとして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
またはこれらの水素原子が他のアリール基で置換されたベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチル基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;
フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;
フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどのアリーロキシ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;
アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;
ニトロ、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミド、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、アセトイミド、ベンズイミド、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどの窒素含有基;
メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニル、スルホンアミド、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのイオウ含有基などが挙げられる。
1A〜R1Eは、これらの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに結合して脂肪環、芳香環または、窒素原子などのヘテロ原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに上記で列挙した置換基を有していてもよい。
一般式(II)中、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれる。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基とは、R6の炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が1級または2級炭素である炭素原子数4以下炭化水素基のことであり、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルなどの炭素原子数が1〜4、好ましくは1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピルである。
前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基とは、R6の炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が環構造に含まれていない炭素原子数5以上の炭化水素基のことであり、具体的には、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはネオペンチルである。
前記アリール置換アルキル基としては、ベンジル、クミル、1−ジフェニルエチル、トリフェニルメチルなどが挙げられる。
前記単環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の単環性の脂環骨格を有する炭化水素基が挙げられ、より好ましくは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルである。
前記二環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、スピロ[2.2]ペンチル、スピロ[2.3]ヘキシルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の二環性の脂環骨格を有する炭化水素基などが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30のものが挙げられ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルである。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基、前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、前記アリール置換アルキル基、前記単環性または二環性の脂環族炭化水素基、前記芳香族炭化水素基は、その基内に存在する水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、具体的には、トリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビストリフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
さらにR6として特に好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族炭化水素基、およびこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどである。
一般式(II)中、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、前記nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基も含まれる。
これらのうち、炭素原子数1〜20のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基が好ましい。
前記酸素含有基としては、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコシキ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセチルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリスルフィド基;チオラート基などが挙げられる。
前記窒素含有基としては、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(tmeda)、N,N,N’,N’−テトラフェニルプロピレンジアミン(tppda)などのアルキルまたはアリールアミン基が挙げられる。
前記ホウ素含有基としては、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記アルミニウム含有基としては、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記リン含有基としては、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
前記ハロゲン含有基としては、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。
前記ヘテロ環式化合物残基として具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換した基が挙げられる。
nが2以上の場合は、Xで示される複数の原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
Xと遷移金属原子Mとの結合様式は特に制限されないが、例えば共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合等が挙げられる。
一般式(II)中、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、mが2以上の場合には、一つの配位子に属するR1〜R5のいずれかと、別の配位子に属するR1〜R5のいずれかとが連結されていてもよい。また、R1が前記一般式(III)で表される構造の場合は、一つの配位子に属するR1A〜R1Eのいずれかと、別の配位子に属するR1〜R5(R1はR1A〜R1Eを含む)のいずれかとが連結されていてもよい。すなわちその場合には、二つの配位子が連結(架橋)されることになる。
以下に、上記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、本発明で用いられる遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。例示中のチタン原子は、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などの周期表第4〜5族の遷移金属元素に置き換えてもよい。Xの塩素原子は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基などに置き換えてもよい。mは2を1,3,4に置き換えてもよく、それに応じて、nの数を変化したものに置き換えてもよい。
Figure 2010241931
Figure 2010241931
〔(B−1)有機金属化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる(B−1)有機金属化合物は特開2004−331965号公報に記載の(B−1)有機金属化合物と同様のものが用いられる。
上記公報に記載の(B−1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
上記の(B−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
〔(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。具体的には特開2004−331965号公報に(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物の具体例として挙げられている化合物を本発明でも同様に挙げることができる。
上記の(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
〔(B−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる、(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。具体的には特開2004−331965号公報に(B−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物として挙げられている化合物を本発明でも同様に挙げることができる。
上記の(B−3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
これらのうち、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2010241931
一般式(IV)中、R22としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
23〜R26は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
本発明にかかる遷移金属化合物は触媒、助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)を用いると、オレフィン化合物に対してより良好な活性でより高い共重合性を示す。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(B−3)を用いると良好な活性で分子量の高いオレフィン重合体が得られる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、とともに、必要に応じて後述する担体(E)を用いることもできる。
〔(E)担体〕
本発明で必要に応じて用いられる(E)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、複数の層がイオン結合などによって互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、または加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物担体としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明にかかるオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、必要に応じて担体(E)と共に、必要に応じて後述する特定の有機化合物成分(F)を含むこともできる。
〔(F)有機化合物成分〕
本発明において必要に応じて用いられる(F)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R31−OHで表されるものが使用され、ここで、R31は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。アルコール類としては、R31がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
カルボン酸としては、通常、R32−COOHで表されるものが使用される。R32は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
燐化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
スルホン酸塩としては、下記一般式(V)で表されるものが使用される。
Figure 2010241931
一般式(V)中、Mは周期表1〜14族から選ばれる原子である。
33は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(A)を担体(E)に担持した触媒成分、成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
また、上記の成分(E)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
〔α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法〕
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法では、上記のオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと、上記の環状オレフィンを共重合することにより共重合体を得ることができる。
本発明にかかるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法で共重合されるα−オレフィンと環状オレフィンは、上述したα−オレフィンと環状オレフィンが好ましく用いられる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
以下、本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造方法の条件等について詳細に記載する。
(重合溶媒)
液相重合法において用いられる溶媒は、重合反応中に反応に供されない不活性溶媒が用いられ、特に不活性炭化水素溶媒が用いられる。不活性炭化水素として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができる。また、反応に用いるオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
(触媒の濃度)
上記のオレフィン重合用触媒を用いて、α−オレフィンと環状オレフィンの共重合を行うに際して、成分(A)は、重合容積1リットル当たり通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(B−1)は、成分(B−1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。成分(B−2)は、成分(B−2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。成分(B−3)は、成分(B−3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(F)は、成分(B)が成分(B−1)の場合には、モル比〔(F)/(B−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B−2)の場合には、モル比〔(F)/(B−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B−3)の場合には、モル比〔(F)/(B−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で必要に応じて用いられる。
(重合温度・重合圧力)
また、本発明におけるα−オレフィンと環状オレフィンの共重合の重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜9.8MPa(100kg/cm2)(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜4.9MPa(50kg/cm2)(ゲージ圧)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
(分子量の調節)
得られるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)の違いにより調節することもできる。
(α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の分子量)
本発明により得られるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]のGPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は、1,000≦Mw≦5,000,000、好ましくは、3,000≦Mw≦3,000,000、より好ましくは5,000≦Mw≦2,000,000、さらに好ましくは5,000≦Mw≦1,000,000の範囲にある。
α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあると、成形体とした場合に強度に優れ、成形加工性に優れる傾向がある。
本明細書中におけるMwは、後述するGPC測定条件で測定を行った場合の値である。
(α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の構成単位)
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]中のα−オレフィンに由来する構成単位と、環状オレフィンに由来する構成単位とのモル比(α−オレフィン/環状オレフィン)は、20/80〜99/1、好ましくは30/70〜90/10の範囲、より好ましくは40/60〜80/20の範囲、さらに好ましくは50/50〜70/30の範囲である。
α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]中のα−オレフィン由来の構成単位と、環状オレフィン由来の構成単位とのモル比が上記範囲内にあると、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の特徴である、光学特性、機械特性、熱特性などに優れる傾向があり、共重合体が容易に製造できる。
(その他のモノマー)
本発明におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の製造においては、必要に応じて、上述するα−オレフィン、環状オレフィンのほかに、公知の環状オレフィンの存在下で共重合させても良い。公知の環状オレフィンとしてはビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンやテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどが好ましく挙げられる。
<α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を用いた光学部品>
〔成形体〕
本発明で提供されるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は、周知の方法によって成形加工される。例えば、単軸押出機、ベント式押出機、二本スクリュー押出機、円錐型二本スクリュー押出機などにより射出成形される。
本発明で用いるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]には、上述の成分に加えてさらに、本来の良好な光学部品の特性を損なわない範囲で、公知の耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などが配合されていてもよい。
例えば、任意成分として配合される耐候安定剤の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、ヒンダードアミン系化合物があり、具体的には、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールや2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルフォスフォリックアシッドエチルエステルのニッケル塩、ビス(2,2’,6,6’−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
また、任意成分として配合される耐熱安定剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができ、また、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール−ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよい。
これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合してもよい。組み合わせの具体例としては、テトラキス[メチレン−3−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレートとの組み合わせなどを例示できる。
本発明で使用されるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]と他のポリマー成分や添加剤との混合方法は限定されるものではなく、公知の方法が適用できる。例えば各成分を同時に混合する方法などである。
〔レンズ〕
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は、好ましくは23℃、波長が589nmにおける屈折率が1.584以上、アッベ数は35以下であり、複屈折の指標である光弾性係数が25×10-10Pa-1以下、より好ましくは15×10-10Pa-1以下であり、吸水率が0.20重量%以下、より好ましくは0.10重量%以下である。屈折率がこの範囲にあると、レンズとして使用したときに、レンズ自体の厚みを小さくできるだけでなく、焦点距離を短くすることができ、レンズを組み込んでいる装置を小型化・軽量化することができる。アッベ数がこの範囲にあるとき、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を射出成形して得られるレンズと後述の環状オレフィン系重合体[b]を射出成形して得られるレンズを組み合わせることにより、色収差を小さく抑えた、色にじみのない画像が鮮明に写る光学部品を形成することが可能になる。光弾性係数がこの範囲にあると、光の結像点のずれによる結像性能低下を抑えることができ、鮮明な画像を得られるようになる。吸水率がこの範囲にあると、屈折率の変化を抑えることができ、また変形による成形体の反りが少なく寸法安定性に優れる。
〔光学部品〕
さらに本発明における光学部品は、前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を含有するレンズと、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]以外の環状オレフィン系重合体[b]を含有するレンズとを組み合わせることにより得ることができる。
ここで、本発明における環状オレフィン系重合体[b]とは、23℃、波長が589nmでの屈折率は1.54以下、より好ましくは1.50〜1.54の範囲にあるものが用いられる。環状オレフィン系重合体[b]の屈折率がこの範囲にあるとき、同ポリマーを射出成形して得られるレンズを、前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を射出成形して得られるレンズと組み合わせることにより、画像の歪みがなく、収差が極めて小さく、焦点ボケや色にじみのない光学部品を形成することが初めて可能になる。
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]と環状オレフィン系重合体[b]のアッベ数(屈折率の波長依存性を表す指標として用いられる)の差は10以上、より好ましくは15以上の範囲にある。前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]と環状オレフィン系重合体[b]のアッベ数の差がこの範囲にあるとき、前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を射出成形して得られるレンズと前記環状オレフィン系重合体[b]を射出成形して得られるレンズを組み合わせることにより、更に色収差を小さく抑えた、色にじみのない画像が鮮明に写る光学部品を形成することが初めて可能になる。
環状オレフィン系重合体[b]の具体的な例としては、三井化学(株)製のアペル(登録商標、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体)や日本ゼオン(株)製のゼオネックス(登録商標、銘柄名E48R、330R、480Rなど)が挙げられる。
本発明で得られる光学部品は広範囲な用途に利用することができる。例えばデジタルカメラ用レンズ、記録媒体用レンズ、計測機器用レンズ、カメラ付き携帯電話用CCDカメラレンズ、カメラ付き携帯電話用CMOSカメラレンズ、車載用CCDカメラレンズが挙げられる。具体的には例えばCD、MO、MD、LD等の光ディスクの読み取り用に用いられる非球面のピックアップレンズや読み取り系の円筒レンズ、ダイロックミラー、集光レンズ、結像レンズ等、またはプロジェクションテレビ用のフィールドレンズやカラーレンズ、カメラの撮像系の球面レンズや非球面レンズ、カメラ用ファインダーレンズ、カメラ用ファインダープリズム、望遠鏡用レンズ、光ファイバー用コネクターレンズ、等倍結像素子用レンズアレイ、ルーフミラーアレイレンズ、プリンターや複写機用のエフシータレンズやポリゴンミラー、液晶用プリズムシートや導光板、拡散シート、偏光板、輝度向上シート、視野角制御フィルム、さらにフルネルレンズ、シリンドリカルレンズ等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、エチレンと特定構造を有する芳香族含有ノルボルネン誘導体から構成され、屈折率が1.55以上のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体(前記α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]に該当)を射出成形して得られるレンズと、屈折率が1.54以下である環状オレフィン系重合体(前記環状オレフィン系重合体[b]に該当)を射出成形して得られるレンズを組み合わせることにより、画像の歪みがなく、焦点ボケや色にじみの生じない光学部品を提供するということが初めて実現した。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
〔α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]の物性〕
[分子量]
α−オレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量、および分子量分布はGPC測定により分析した。測定は以下のような条件で行った。
装置:GPC Alliance2000 (Waters社)
カラム:TSKgel GMH6−HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2(計30cm×4本、東ソー社)
検出器:示差屈折
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定流量:1mL/min
測定温度:140℃
カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
分子量換算:PS換算/標品換算法
[極限粘度]
135℃、デカリン中で測定した。
[環状オレフィン含量]
環状オレフィン含量は日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置による1H−NMR測定(測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、測定温度:120℃)により求めた。
[ガラス転移温度]
常温から30℃/分で250℃まで昇温した後、5分間保持し、10℃/分で0℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線から求めた。
[屈折率]
ASTM D542に準拠して、厚さ1mmの試験片を用いて、ナトリウム光源を用いて波長が589nmでの屈折率を測定した。
[屈折率、アッベ数]
ASTM D542に準拠して、厚さ1mmの試験片を用いてアッベ屈折計を用いて23℃における屈折率(nd)およびアッベ数(νd)を求めた。
なお、6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン、5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン、6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン、および錯体化合物(A1)は公知の方法(特開2004−331965号公報等)に従い合成した。
〔実施例1〕
[錯体化合物(A1)によるエチレン・6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合]
充分に窒素置換した内容積50mLのガラス製反応器に、トルエン7.2mLを装入し、6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン(化合物1)のトルエン溶液を11.6mL(14.82mmol、1.28M)加え、エチレン20L/hr、窒素20L/hで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.25mmol、引き続き下記錯体化合物(A1)を0.001mmol加え重合を開始した。エチレンと窒素をそれぞれ20L/hrで連続的に供給し、常圧下25℃で8分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む200mLのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥したところ、ポリマーが0.919g得られた。重合活性は6.9kg/mmol−Ti・hrであった。このポリマーの1H−NMRを測定したところ、得られたポリマーは6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレンがポリマー主鎖中に30.2mol%含まれているエチレン−6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合体(a−1)であった。このポリマーのガラス転移温度Tgを測定したところ、133℃であった。
Figure 2010241931
〔実施例2〕
[錯体化合物(A1)によるエチレン・5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合]
充分に窒素置換した内容積50mLのガラス製反応器に、トルエン10mLを装入し、5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン(化合物2)のトルエン溶液を10mL(2.26mmol、0.226M)加え、エチレン20L/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.10mmol、引き続き実施例1で用いた錯体化合物(A1)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを20L/hrで連続的に供給し、常圧下25℃で4分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む200ミリリットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥したところ、ポリマーが0.685g得られた。重合活性は10.2kg/mmol−Ti・hrであった。このポリマーの1H−NMRを測定したところ、得られたポリマーは5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレンがポリマー主鎖中に6.4モル%含まれているエチレン−5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合体であった。
〔実施例3〕
[錯体化合物(A1)によるエチレン・6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合]
充分に窒素置換した内容積50mLのガラス製反応器に、トルエン19mLを装入し、6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン(化合物3)を9.86g(32.9mmol)加え、エチレン20L/hrと窒素20L/hで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.50mmol、引き続き実施例1で用いた錯体化合物(A)を0.002mmol加え重合を開始した。エチレンと窒素をそれぞれ20L/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む200mLのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥したところ、ポリマーが1.23g得られた。重合活性は7.4kg/mmol−Ti・hrであった。このポリマーの1H−NMRを測定したところ、得られたポリマーは6,7ジブロモ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレンがポリマー主鎖中に28.8mol%含まれているエチレン−6,7−ジブロモ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン共重合体(a−2)であった。このポリマーのガラス転移温度Tgを測定したところ、166℃であった。
〔実施例4〕
得られた共重合体(a−1)を用いて窒素雰囲気下でプレス成形し、厚さ1mmのプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.585、アッベ数27であった。
〔実施例5〕
得られた共重合体(a−2)を用い実施例4と同様の方法での方法でプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.610、アッベ数22であった。
〔比較例1〕
オレフィン共重合体としてエチレンと1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレンの共重合体を用いた他は、実施例4と同様の方法でプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.584、アッベ数35であった。
〔比較例2〕
オレフィン共重合体としてエチレンと1,4−メタノ−1,4,4a、9a−テトラヒドロフルオレンの共重合体を用いた他は、実施例4と同様の方法でプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.572、アッベ数40であった。
〔比較例3〕
オレフィン共重合体としてエチレンとジシクロペンタジエンの共重合体を用いた他は、実施例4と同様の方法でプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.552、アッベ数49であった。
〔比較例4〕
オレフィン共重合体としてエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンの共重合体を用いた他は、実施例4と同様の方法でプレスシートを得た後、屈折率、アッベ数を測定したところ、屈折率1.543、アッベ数53であった。
実施例4、5および比較例1〜4の結果(図1参照)から明らかなように、本発明で得られるオレフィン共重合体は高屈折率・低アッベ数のオレフィン共重合体であることがわかる。
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]は高屈折率・低アッベ数であり、これを射出成形して得られるレンズは、成形後の寸法安定性に優れ、焦点距離を短くすることができ、光の結像点のずれも小さく、耐熱性などに優れている。
また、本発明で規定されるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を射出成形して得られるレンズと、屈折率が1.54以下の環状オレフィン系重合体[b]を射出成形して得られるレンズを組み合わせることにより、画像の歪みがなく、収差が極めて小さく、焦点ボケや色にじみのない光学部品を形成することが初めて可能になる。
本発明で得られる光学部品は広範囲な用途に利用することができる。例えばデジタルカメラ用レンズ、記録媒体用レンズ、計測機器用レンズ、CCDカメラレンズ用のレンズとして好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンに由来する構成単位と、下記一般式(I)で表される環状オレフィンに由来する構成単位とからなることを特徴とするα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]。
    Figure 2010241931
    (一般式(I)中、xは0または1以上の整数であり、R81〜R88は水素原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R91〜R94は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する2つの基は互いに結合し、単環または複環の芳香族環を形成していてもよく、また、R91〜R94、R91〜R94が示す芳香族炭化水素基が有する置換基、およびR91〜R94の隣接する2つの基が互いに結合して形成した芳香族環上の置換基のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。)で
  2. 前記α−オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]。
  3. 下記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)と、
    (B)(B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィンと請求項1に記載の一般式(I)で表される環状オレフィンとを共重合させることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2010241931
    (一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれ、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
  4. 前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、mが2であり、Mがチタン原子であることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、R1が下記一般式(III)で表わされるアリール基であり、R6がフェニル基である請求項3または4に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2010241931
    (一般式(III)中、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、ハロゲン含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。)
  6. 請求項1または2に記載のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を含有する成形体。
  7. 請求項1または2に記載のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を含有するレンズ。
  8. 請求項7に記載のレンズと、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]以外の環状オレフィン系重合体[b]を含有するレンズとを組み合わせて得られることを特徴とする光学部品。
  9. 前記環状オレフィン系重合体[b]が、23℃、波長が589nmにおける屈折率が1.54以下であることを特徴とする請求項8に記載の光学部品。
  10. デジタルカメラ用レンズ、記録媒体用レンズ、計測機器用レンズ、CCDカメラ用レンズまたはCMOSカメラ用レンズである請求項8または9に記載の光学部品。
  11. 請求項1または2に記載のα−オレフィン・環状オレフィン共重合体[a]を含有するフィルム。
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