JP2010241930A - オレフィン共重合体およびその製造方法 - Google Patents

オレフィン共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のオレフィン共重合体にはない優れた性質を示す非極性−極性オレフィン共重合体および該共重合体を温和な重合条件でかつ高い効率で得ることのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】非極性−極性オレフィン共重合体は、非極性オレフィンと下記一般式(I)で表される極性オレフィンを共重合して得られる。
Figure 2010241930

(式中、pは0〜30の整数を示し、R11〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基から選ばれ、R11〜R15のうち1つ以上がハロゲン原子であるか、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子を1つ以上含んだ基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、α−オレフィンなどの非極性オレフィンと特定の極性オレフィンとの共重合体および該共重合体の製造方法に関する。
一般にオレフィン重合体は、機械的特性などに優れているため、各種成形体など種々の分野に用いられている。しかし近年オレフィン重合体に対する物性の要求が多様化し、様々な性状のオレフィン重合体が望まれている。このような要求を満たすオレフィン重合体として、例えば非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させ、非極性オレフィンのみの重合体にない性質を付与したオレフィン共重合体が知られている。非極性ポリオレフィンと極性基を有するオレフィンとの共重合体は、強度・靭性などの機械物性、他の極性ポリマーとの相溶性、接着性・透過性・加工性・親水性など点において優れた性質の発現が期待できる。
非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させたオレフィン共重合体(以下、非極性−極性オレフィン共重合体と呼ぶ)の製造方法としては従来からラジカル重合法がよく知られており、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エステル共重合体などがこの方法で製造されている。ラジカル重合法で非極性−極性オレフィン共重合体を製造する際には、高温高圧の反応条件を必要とする場合が多く、より温和な条件で極性オレフィン共重合体を得る方法が望まれている。特開2004−51934号公報(特許文献1)には、ルテニウム錯体を用いることにより室温に近い温度で1−ヘキセンとメチルアクリレートを重合する方法が開示されているものの、これらの方法によるポリマーは非極性モノマーの含量が低く、ポリオレフィン本来の性質を示す重合体が得られていない。
一方、温和な条件で非極性−極性オレフィン共重合体を得る方法として、ラジカル重合の他、遷移金属錯体触媒を用いた配位重合により非極性オレフィンと極性オレフィンとを共重合させる方法が報告されている。例えば、Brookhartらはパラジウムのジイミン錯体を用いて温和な条件でエチレンなどの非極性オレフィンとアクリル酸メチルとの共重合体を得る方法を報告している(非特許文献1および2)。またGrubbsらはニッケル錯体を用い、極性基を持つノルボルネン類とエチレンの共重合を報告している(非特許文献3および4)。一般にこれら後周期金属を用いたオレフィン重合では、ポリマー鎖に分岐が生じ、直鎖ポリオレフィンに特有の機械的特性、たとえば高強度・高結晶性などをもつものは合成できない。また、Pughらは系中で発生させたパラジウム触媒を用い、エチレンとアクリル酸メチルとを共重合させ、直鎖状のエチレン−アクリル酸メチル共重合体を得ることに成功しているが、その重合活性は極端に低い(非特許文献5)。前周期金属を用いた例として、特開2003−231710号公報(特許文献2)には層状化合物とジルコニウム化合物によるプロピレンとケイ素保護基を持つアリルアミンとの共重合が、また特開2002−201225号公報(特許文献3)ではジルコニウム化合物によるプロピレンとアルミニウム化合物で保護した5−ヘキセン−1−オールの共重合法が開示されているが、両者とも極性モノマーに保護基を必要とし、かつ前者の場合、得られたポリマーの極性基含有率が0.68重量%程度と非常に低く、十分とはいえない。また、本出願人は、特開2002−80515号公報、特開2006−265541号公報(特許文献4、5)のなかで、サリチルアルドイミン配位子を持つ遷移金属化合物を用いた非極性オレフィンと極性オレフィンの重合方法を提案しているが、極性オレフィンの取り込み量は十分とはいえない。さらに、本出願人は、特開2002−155109号公報において、メタロセン触媒を用いた環状オレフィンと極性オレフィンとから得られる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法を提案しているが、重合には添加した極性オレフィン当量以上のアルキルアルミを必要とするため、コスト的に不利な上に、重合の後工程でアルキルアルミを除く工程が必要となる。
このような状況において、優れた性状を有しつつ従来のオレフィン共重合体にはない性質を示す非極性−極性オレフィン共重合体、およびこれらを高効率で製造しうるような製造方法の出現が望まれていた。
特開2004−51935号公報 特開2003−231710号公報 特開2002−201225号公報 特開2002−80515号公報 特開2006−265541号公報 特開2002−155109号公報
J.Am.Chem.Soc.1998,120巻,888頁 J.Am.Chem.Soc.1996,118巻,267頁 Organometallics 2004,23巻,5121頁 Science 2000,287巻,460頁 Chem.Commun.2002,744頁
本発明の課題は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、優れた性状を有しつつ、従来のオレフィン共重合体にはない性質を示す非極性−極性オレフィン共重合体を提供することである。また、これらの非極性−極性オレフィン共重合体を温和な重合条件でかつ高い効率で製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する極性オレフィンを共重合体の構成要素とすることによって、優れた性質を示す非極性−極性オレフィン共重合体を生成させることが可能であることを見出し、さらにはその非極性−極性オレフィン共重合体の効率的な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体とは、非極性オレフィンと下記一般式(I)で表される極性オレフィンとの共重合体であることを特徴とする。
Figure 2010241930
(一般式(I)中、pは0〜30の整数を示し、R11〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R11〜R15のうち1つ以上がハロゲン原子であるか、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、もしくはスズ原子を1つ以上含んだ基であり、またこれらR11〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。)
また、本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法とは、下記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、非極性オレフィンと上記一般式(I)で表される極性オレフィンを共重合させることを特徴とする。
Figure 2010241930
(一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれ、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、mは2であり、Mはチタン原子であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、R1が下記一般式(III)で表わされるアリール基であり、R6がフェニル基であることが好ましい。
Figure 2010241930
(一般式(III)中、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。)
本発明によると、例えば親水性の面などにおいて、従来のオレフィン共重合体にはない優れた性質を有する非極性−極性オレフィン共重合体を提供することができる。
さらに本発明におけるオレフィン重合用触媒は、従来用いられてきたメタロセン等の重合触媒と比べて、極性オレフィンによる被毒に強いため、該非極性−極性オレフィン共重合体を温和な反応条件で、かつ高い重合活性で製造する方法を提供することができる。
以下、本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体およびその製造方法について具体的に説明する。
<非極性−極性オレフィン共重合体>
〔極性オレフィン〕
本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の構成要素である極性オレフィンとは、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2010241930
一般式(I)において、pは0〜30の整数を示し、好ましくは1〜10である。
11〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、R11〜R15のうち1つ以上がハロゲン原子であるか、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、もしくはスズ原子を1つ以上含んだ基であり、またこれらR11〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ヘテロ原子を1〜5個含む環状の基が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子およびホウ素原子などが挙げられる。環としては4〜7員環の単環および多環が挙げられ、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。より具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、酸素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、ナフトキシ、ベンジルオキシ基などのアリーロキシ基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;エーテル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;カルボナート基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アシル基、ヒドロキシ基が、当該基を持つモノマーの入手が容易な点で好ましい。なお、酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記窒素含有基としては、窒素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジフェニルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基;アルキルアリールアミノ基;メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどのイミノ基;アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどのアミド基;アセトイミド、ベンズイミドなどのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアン酸エステル基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。これらのうち、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基が、当該基を持つモノマーの入手が容易な点で好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記ホウ素含有基としては、ホウ素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(nC5112B−、C814B−(9−ボラビシクロノニル基)などのアルキル置換ホウ素;(C652B−などのアリール置換ホウ素;BCl2−などのハロゲン化ホウ素;(Et)BCl−、(iBu)BCl−などのアルキル置換ハロゲン化ホウ素などが挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を示す。
前記イオウ含有基としては、イオウ原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メルカプト基;アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのチオエステル基;ジチオエステル基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基;フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどのアリールチオ基;チオアシル基;チオエーテル基;チオシアン酸エステル基;イソチアン酸エステル基;スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどのスルホンエステル基;フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド基;チオカルボキシル基;ジチオカルボキシル基;スルホ基;スルホニル基;スルフィニル基;スルフェニル基;スルフォネート基;スルフィネート基などが挙げられる。これらのうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基が、当該基を持つモノマーの入手が容易な点で好ましい。なお、イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記リン含有基としては、リン原子を1〜5の含有する基が挙げられ、具体的には、ホスフィノ基;ホスホリル基;ホスホチオイル基;ホスホノ基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、シリル基;シロキシ基;メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。これらのうち、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基が好ましく、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが、当該基を持つモノマーの入手が容易な点で特に好ましい。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
11〜R15は、これらの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して飽和環、不飽和環、芳香環、または、窒素原子、酸素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに上記で列挙した置換基を有していてもよい。これらの極性オレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
以下に、上記一般式(I)で表される極性オレフィンの具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010241930
Figure 2010241930
Figure 2010241930
〔非極性オレフィン〕
本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の構成要素である非極性オレフィンとは、炭素原子と水素原子のみからなる不飽和炭化水素のことであり、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどの炭素原子数4〜30、好ましくは4〜20で二個以上の二重結合を有する環状または鎖状のジエンまたはポリエン;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;芳香族ビニル化合物;ビニルシクロヘキサン;3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
これらの非極性オレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。非極性オレフィンとしては、炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンあるいは炭素原子数3〜20の環状オレフィンが好ましく、炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐状のα−オレフィンあるいは炭素原子数3〜12の環状オレフィンがより好ましく、エチレン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが特に好ましい。
<非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法>
上記の非極性−極性オレフィン共重合体は、以下に記載するオレフィン重合用触媒の存在下で、上記非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させることによって製造することができる。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の製造に用いるオレフィン重合用触媒について以下に詳細に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(II)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されている。
〔(A)遷移金属化合物〕
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(II)で表される化合物である。
Figure 2010241930
上記一般式(II)において、N…Mは、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などである。Mとして好ましくは周期表第4族の金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、より好ましくはチタン原子である。
1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ヘテロ原子を1〜5個含む環状の基が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子およびホウ素原子などが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、酸素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;エーテル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;カルボナート基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、エステル基などが遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記窒素含有基としては、窒素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジフェニルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどのイミノ基;アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどのアミド基;アセトイミド、ベンズイミドなどのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアン酸エステル基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。これらのうち、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記ホウ素含有基としては、ホウ素原子を1〜5個の含有する基が挙げられ、具体的には、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(nC5112B−、C814B−(9−ボラビシクロノニル基)などのアルキル置換ホウ素;(C652B−などのアリール置換ホウ素;BCl2−などのハロゲン化ホウ素;(Et)BCl−、(iBu)BCl−などのアルキル置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を示す。
前記イオウ含有基としては、イオウ原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メルカプト基;アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのチオエステル基;ジチオエステル基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基;フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどのアリールチオ基;チオアシル基;チオエーテル基;チオシアン酸エステル基;イソチアン酸エステル基;スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどのスルホンエステル基;フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド基;チオカルボキシル基;ジチオカルボキシル基;スルホ基;スルホニル基;スルフィニル基;スルフェニル基;スルフォネート基;スルフィネート基などが挙げられる。これらのうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記リン含有基としては、リン原子を1〜5の含有する基が挙げられ、具体的には、ホスフィノ基;ホスホリル基;ホスホチオイル基;ホスホノ基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、シリル基;シロキシ基、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。これらのうち、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基が好ましい。トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが遷移金属化合物の合成が容易な点で特に好ましい。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
またR1の好ましい態様は芳香性(aromaticity)を示す基であり、さらに好ましくは下記一般式(III)で表わされるアリール基である。
Figure 2010241930
一般式(III)において、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。
1A〜R1Eのハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記R1〜R5に例示したものと同様のものが挙げられる。
これらのうちR1A〜R1Eとして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;またはこれらの水素原子が他のアリール基で置換されたベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチル基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;
フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;
フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどのアリーロキシ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;
アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;
ニトロ、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミド、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、アセトイミド、ベンズイミド、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどの窒素含有基;
メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニル、スルホンアミド、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのイオウ含有基などが挙げられる。
1A〜R1Eは、これらの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに結合して脂肪環、芳香環または、窒素原子などのヘテロ原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに上記で列挙した置換基を有していてもよい。
一般式(II)中、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれる。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基とは、R6の炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が1級または2級炭素である炭素原子数4以下炭化水素基のことであり、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルなどの炭素原子数が1〜4、好ましくは1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピルである。
前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基とは、R6の炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が環構造に含まれていない炭素原子数5以上の炭化水素基のことであり、具体的には、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはネオペンチルである。
前記アリール置換アルキル基としては、ベンジル、クミル、1−ジフェニルエチル、トリフェニルメチルなどが挙げられる。
前記単環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の単環性の脂環骨格を有する炭化水素基が挙げられ、より好ましくは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルである。
前記二環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、スピロ[2.2]ペンチル、スピロ[2.3]ヘキシルなどの炭素原子数が4〜30、好ましくは5〜20の二環性の脂環骨格を有する炭化水素基などが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30のものが挙げられ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルである。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基、前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、前記アリール置換アルキル基、前記単環性または二環性の脂環族炭化水素基、前記芳香族炭化水素基は、その基内に存在する水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、具体的には、トリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビストリフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
さらにR6として特に好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族炭化水素基、およびこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどである。
一般式(II)中、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、前記nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基も含まれる。
これらのうち、炭素原子数1〜20のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基が好ましい。
前記酸素含有基としては、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコシキ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセチルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリスルフィド基;チオラート基などが挙げられる。
前記窒素含有基としては、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(tmeda)、N,N,N’,N’−テトラフェニルプロピレンジアミン(tppda)などのアルキルまたはアリールアミン基が挙げられる。
前記ホウ素含有基としては、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記アルミニウム含有基としては、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記リン含有基としては、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
前記ハロゲン含有基としては、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。
前記ヘテロ環式化合物残基として具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換した基が挙げられる。
nが2以上の場合は、Xで示される複数の原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
Xと遷移金属原子Mとの結合様式は特に制限されないが、例えば共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合等が挙げられる。
一般式(II)中、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、mが2以上の場合には、一つの配位子に属するR1〜R5のいずれかと、別の配位子に属するR1〜R5のいずれかとが連結されていてもよい。また、R1が前記一般式(III)で表される構造の場合は、一つの配位子に属するR1A〜R1Eのいずれかと、別の配位子に属するR1〜R5(R1はR1A〜R1Eを含む)のいずれかとが連結されていてもよい。すなわちその場合には、二つの配位子が連結(架橋)されることになる。
以下に、上記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、本発明で用いられる遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。例示中のチタン原子は、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などの周期表第4〜5族の遷移金属元素に置き換えてもよい。Xの塩素原子は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基などに置き換えてもよい。mは2を1,3,4に置き換えてもよく、それに応じて、nの数を変化したものに置き換えてもよい。
Figure 2010241930
Figure 2010241930
〔(B−1)有機金属化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる(B−1)有機金属化合物は特開2004−331965号公報に記載の(B−1)有機金属化合物と同様のものが用いられる。
上記公報に記載の(B−1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
上記の(B−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
〔(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。具体的には特開2004−331965号公報に(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物の具体例として挙げられている化合物を本発明でも同様に挙げることができる。
上記の(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
〔(B−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物〕
本発明で必要に応じて用いられる、(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。具体的には特開2004−331965号公報に(B−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物として挙げられている化合物を本発明でも同様に挙げることができる。
上記の(B−3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
これらのうち、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2010241930
一般式(IV)中、R22としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
23〜R26は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
本発明にかかる遷移金属化合物は触媒、助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)を用いると、オレフィン化合物に対してより良好な活性でより高い共重合性を示す。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(B−3)を用いると良好な活性で分子量の高いオレフィン重合体が得られる。
また、本発明にかかるオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、とともに、必要に応じて後述する担体(E)を用いることもできる。
〔(E)担体〕
本発明で必要に応じて用いられる(E)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、複数の層がイオン結合などによって互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH3)6+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、または加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物担体としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明にかかるオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、必要に応じて担体(E)と共に、必要に応じて後述する特定の有機化合物成分(F)を含むこともできる。
〔(F)有機化合物成分〕
本発明において必要に応じて用いられる(F)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R31−OHで表されるものが使用され、ここで、R31は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。アルコール類としては、R31がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
カルボン酸としては、通常、R32−COOHで表されるものが使用される。R32は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
燐化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
スルホン酸塩としては、下記一般式(V)で表されるものが使用される。
Figure 2010241930
一般式(V)中、Mは周期表1〜14族から選ばれる原子である。
33は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(A)を担体(E)に担持した触媒成分、成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)を担体(E)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
また、上記の成分(E)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
〔非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法〕
本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法では、上記のオレフィン重合用触媒の存在下に、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合することにより共重合体を得ることができる。
本発明にかかる非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法で共重合される非極性オレフィンと極性オレフィンは、上述した非極性オレフィンと極性オレフィンが好ましく用いられる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
以下、本発明における非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法の条件等について詳細に記載する。
(重合溶媒)
液相重合法において用いられる溶媒は、重合反応中に反応に供されない不活性溶媒が用いられ、特に不活性炭化水素溶媒が用いられる。不活性炭化水素として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができる。また、反応に用いるオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
(触媒の濃度)
上記のオレフィン重合用触媒を用いて、非極性オレフィンと極性オレフィンの共重合を行うに際して、成分(A)は、重合容積1リットル当たり通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(B−1)は、成分(B−1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。成分(B−2)は、成分(B−2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。成分(B−3)は、成分(B−3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(F)は、成分(B)が成分(B−1)の場合には、モル比〔(F)/(B−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B−2)の場合には、モル比〔(F)/(B−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B−3)の場合には、モル比〔(F)/(B−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で必要に応じて用いられる。
(重合温度・重合圧力)
また、本発明における非極性オレフィンと極性オレフィンの共重合の重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜9.8MPa(100kg/cm2)(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜4.9MPa(50kg/cm2)(ゲージ圧)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
(分子量の調節)
得られる非極性−極性オレフィン共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)の違いにより調節することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例において用いた錯体化合物は、特開2004−331965号公報、特開2004−331966号公報等において開示された方法により合成した。
また、非極性−極性オレフィン共重合体中の極性オレフィン含量および当該重合体の接触角は以下の方法により測定した。
[極性オレフィン含量]
極性オレフィン含量は日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置による1H−NMR測定(測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、測定温度:120℃)により求めた。
[接触角]
DropMaster500画像処理式・固液界面解析システム(協和界面科学製)を用い、23℃/50%RHの条件で測定した。
〔実施例1〕
[錯体化合物(1)によるエチレン・4−アリルアニソール共重合]
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器にトルエン250mlを装入し、4−アリルアニソールを31.5mmol加え、エチレン100リットル/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記錯体化合物(1)を0.005mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、50℃で5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
重合停止後、反応物を大量のメタノール・塩酸混合液に投入してポリマーを全量析出させた後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーをメタノールで十分洗浄後、130℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリマーを0.98g得た。このポリマーを1H−NMRで測定したところ、得られたポリマーは4−アリルアニソールがポリマー主鎖中に1.0モル%含まれているエチレン・4−アリルアニソール共重合であった。
Figure 2010241930
〔実施例2、3〕
[錯体化合物(1)によるエチレン・4−アリルアニソール共重合]
実施例1において4−アリルアニソールの量、錯体化合物(1)の量および重合時間を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行って表1のとおりの結果を得た。これらのポリマーを1H−NMRを用いて測定したところ、得られたポリマーは4−アリルアニソールがポリマー主鎖中に表1に示すとおり含まれているエチレン・4−アリルアニソール共重合体であった。
Figure 2010241930
〔実施例4〕
実施例1で得られたエチレン・4−アリルアニソール共重合体を用いて窒素雰囲気下でプレス成形し、厚さ1mmのプレスシートを得た。このシートの水との接触角を測定したところ、100.5°であった。
〔実施例5〕
実施例4において、実施例1で得られたエチレン・4−アリルアニソール共重合体の代わりに実施例2で得られたエチレン・4−アリルアニソール共重合体を用いた他は実施例4と同様の方法で水との接触角を測定したところ、97.2°であった。
〔実施例6〕
[錯体化合物(1)によるエチレン・2−アリルアニソール共重合]
十分に窒素置換した内容積15mLの反応器(アルゴノート社のパラレルプレッシャー触媒反応装置(商品名Endeavor)、並列8連装反応器設備)にトルエン、および2−アリルアニソール0.8mmol、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.10mmol装入し、50℃に昇温後、エチレン1.0kg/cm2・Gで液相および気相を飽和させた。その後、上記錯体化合物(1)を0.2μmol加え重合を開始した。仕込んだトルエンは最終的に5mLになるようにした。合計圧力が1.0kg/cm2(ゲージ圧)を保つようにエチレンガスを連続フィードし、50℃で20分反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止させた。重合終了後、反応物を大量のメタノール塩酸混合液に投入してポリマーを全量析出させた後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーをメタノールで十分洗浄後、130℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリマーを得た。結果を表2に示す。
〔実施例7〕
実施例6において2−アリルアニソールの添加量を1.6mmolに変えた以外は実施例6と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表2に示す。
〔実施例8〕
実施例6において2−アリルアニソールの添加量を4.0mmolに、錯体化合物(1)の添加量を2.0μmolに、メチルアルミノキサンの添加量をアルミニウム原子換算で0.40mmolに変えた以外は実施例6と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表2に示す。
〔実施例9〕
実施例6において2−アリルアニソールの添加量を8.0mmolに、錯体化合物(1)の添加量を5.0μmolに、メチルアルミノキサンの添加量をアルミニウム原子換算で1.0mmolに変えた以外は実施例6と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表2に示す。
Figure 2010241930
〔実施例10〕
実施例6において、2−アリルアニソールに代えて4−アリルアニソールを用いた以外は実施例6と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表3に示す。
〔実施例11〕
実施例7において、2−アリルアニソールに代えて4−アリルアニソールを用いた以外は実施例7と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表3に示す。
〔実施例12〕
実施例8において、2−アリルアニソールに代えて4−アリルアニソールを用いた以外は実施例8と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表3に示す。
〔実施例13〕
実施例9において、2−アリルアニソールに代えて4−アリルアニソールを用いた以外は実施例9と同様に重合および後処理を行い、ポリマーを得た。結果を表3に示す。
Figure 2010241930
〔比較例1〕
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器にトルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、上記錯体化合物(1)を0.0004mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、50℃で5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノール塩酸混合液に投入してポリマーを全量析出させた後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーをメタノールで十分洗浄後、80℃、10時間で減圧乾燥し、ポリエチレンを1.18g得た。このポリエチレンを実施例4と同様の方法で水との接触角を測定したところ、103.0°であった。
4−アリルアニソールを共重合体中に含有する実施例1,2に記載の共重合体と、比較例1のエチレン単独重合体の水との接触角を表4に示す。
Figure 2010241930
〔比較例2〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりに5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物を添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例3〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりに酢酸−5−ヘキセン−1−イルを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例4〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりに塩化アリルを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例5〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりに酢酸ビニルを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例6〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりにアリルアセテートを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例7〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりにメチルアクリレートを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例8〕
実施例1においてアリルアニソールの代わりにアリルアルコールを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例9〕
実施例1において4−アリルアニソールの代わりに5−ノルボルネン−2−イルアセテートを添加した以外は実施例1と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例10〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりに5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物を添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例11〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりに酢酸−5−ヘキセン−1−イルを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例12〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりに塩化アリルを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例13〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりに酢酸ビニルを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例14〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりにアリルアセテートを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例15〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりにメチルアクリレートを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例16〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりにアリルアルコールを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
〔比較例17〕
実施例6において2−アリルアニソールの代わりに5−ノルボルネン−2−イルアセテートを添加した以外は実施例6と同様に重合し、後処理を行ったが、ポリマーは得られなかった。
本発明における非極性−極性オレフィン共重合体は、重合体中に極性基を含有するため、親水性が向上している。このため他の極性ポリマーとの相溶性・接着性などの物性に優れることから、自動車、電気機器部品、食品包装、飲料・化粧品・医療用容器、土木、農業資材など幅広い製品分野において多様化したポリオレフィンに対する要求を満たした製品を提供することが可能となる。

Claims (4)

  1. 非極性オレフィンと下記一般式(I)で表される極性オレフィンとを共重合して得られる非極性−極性オレフィン共重合体。
    Figure 2010241930
    (一般式(I)中、pは0〜30の整数を示し、R11〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよく、R11〜R15のうち1つ以上がハロゲン原子であるか、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、もしくはスズ原子を1つ以上含んだ基であり、またこれらR11〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。)
  2. 下記一般式(II)で表される遷移金属化合物(A)と、
    (B)(B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、非極性オレフィンと、上記一般式(I)で表される極性オレフィンを共重合させることによって請求項1に記載の非極性−極性オレフィン共重合体を得ることを特徴とする非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2010241930
    (一般式(II)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、R6は、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれ、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
  3. 前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、mが2であり、Mがチタン原子であることを特徴とする請求項2に記載の非極性−極性オレフィン共重合体の製造方法。
  4. 前記一般式(II)で表される遷移金属化合物において、R1が下記一般式(III)で表わされるアリール基であり、R6がフェニル基である請求項2または3に記載の極性オレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2010241930
    (一般式(III)中、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。)
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