JP2010241241A - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグ10と、エアバッグ10にガスを導入するインフレータ40と、を備えた車両用エアバッグ装置1であって、エアバッグ10は、インフレータ40からのガスを受けて乗員の前面全域に展開する主膨張部20と、主膨張部20の乗員と対向する後面に設けられ、主膨張部20から突出するように膨張する副膨張部30と、を備え、副膨張部30は、乗員の頭部の右側に対応する右側副膨張部31と、乗員の頭部の左側に対応する左側副膨張部32と、を有していることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
さらに、隣接する副膨張部同士の間に形成される谷部の底部に、主膨張部が存在するので、副膨張部で減速しきれずに谷部の底部に到達した乗員は主膨張部によって減速されることとなる。そのため、エアバッグの収容部(例えばインストルメントパネルなど)に乗員が近づきすぎることがなく、谷部の深さ方向への乗員の移動を適正に規制することができる。
また、上側副膨張部の下方に下側副膨張部が設けられているので、上側副膨張部の下側に乗員の頭部がもぐり込み難い。また、仮に、上側副膨張部の下側に乗員の頭部がもぐり込んだとしても、下側副膨張部によって乗員の頭部が拘束されるので、乗員の頭部が前方下向きに過度に曲がることがない。そのため、乗員の頸部への荷重を緩和することができる。
また、右側副膨張部と左側副膨張部と下側副膨張部とが互いに隣接して設けられているので、乗員の体格によって強く当たる位置が異なる場合でも、一の副膨張部のガスが他の副膨張部に移動して、体格差による影響を緩和して乗員を適切に保護することができる。
また、右側副膨張部と左側副膨張部の下方に下側副膨張部が設けられているので、右側副膨張部又は左側副膨張部の下側に乗員の頭部がもぐり込み難い。
図1に示すように、車両たる自動車Cは、運転席DSを右側に備えるとともに助手席PSを左側に備えている。運転席DS及び助手席PSの前方には、計器盤やグローブボックス等を設置するためのインストルメントパネルIP(以下、「インパネIP」という。)が設けられている。そして、助手席PSの前方のインパネIPには、車両用エアバッグ装置1(以下、単に「エアバッグ装置1」という。)が設置されている。
ちなみに、インパネIPの上部には、インパネIPの前端から自動車Cのルーフ(図示せず)に亘って、フロントウィンドウFWが斜めに設置されている。また、運転席DSの前方にはステアリングホイールSWが設置されている。
図1に示すように、エアバッグ装置1は、ガスの流入によって膨張するエアバッグ10と、エアバッグ10にガスを導入するインフレータ40と、を備えている。
なお、エアバッグ装置1は、通常時は、助手席PSの前方のインパネIPの上面に凹設されたエアバッグ設置部IPaに収容されている(図3(a)参照)。
エアバッグ10は、インフレータ40からのガスを受けて助手席PSの前面全域に展開する主膨張部20と、主膨張部20から斜め上後方に向かって突出するように膨張する複数の副膨張部30と、を備えている。
主膨張部20の後面23は、後方に向かうほど下方に位置するように傾斜しており、助手席PSに着座した乗員Mと対向するようになっている。この後面23に、後記する複数の副膨張部30が設けられている。
なお、主膨張部20は、内圧が過剰に上昇することを防止するための図示しないベントホールを有している。
副膨張部30は、乗員Mの頭部Hの右側に対応する右側副膨張部31と、乗員Mの頭部Hの左側に対応する左側副膨張部32と、を有している。より詳しく説明すると、例えば、右側副膨張部31は、助手席PSに着座した乗員Mの頭部Hの右側部分に対向する位置に配置されており、左側副膨張部32は、助手席PSに着座した乗員Mの頭部Hの左側部分に対向する位置に配置されている。
右側副膨張部31及び左側副膨張部32は、乗員Mが当接したときに、左右方向に撓むことにより、主膨張部20に対して相対移動して谷部33が広がるようになっている。
図3は、車両用エアバッグ装置の断面図であり、(a)は通常時、(b)は膨張初期の状態を表している。図4は、車両用エアバッグ装置の断面図であり、(a)は膨張終期の状態、(b)は乗員の当接時の状態を表している。
また、乗員Mは、例えば助手席PS(図1参照)に腰掛けて背もたれ(シートバック)に寄りかかった状態にあり、インパネIPやフロントウィンドウFWとの距離は比較的遠くなっている。
一方、インフレータ40は、衝突検知センサからの作動信号を受けてガスを発生する。これにより、エアバッグ10の主膨張部20が瞬時に膨張を開始し、エアバッグ設置部IPaを閉塞していたリッドIPbを破ってインパネIPの上部から後部に亘って展開を開始する。このとき、主膨張部20と副膨張部30の間は、連通口31a,31b,32a,32bによって絞られているので、インフレータ40からのガスは、副膨張部30よりも主膨張部20全体に行き渡りやすい。そのため、副膨張部30よりも早く主膨張部20が膨張することとなる。これにより、乗員MがインパネIPに衝突することを早期に防止することができ、乗員Mの安全を確保することができる。
主膨張部20は、膨張が完了した状態で、その上面の当接部22がフロントウィンドウFWに当接している。これにより、主膨張部20の位置や内圧が安定する。
副膨張部30の内圧は、主膨張部20の内圧に比較して低くなっている。また、膜面が乗員Mの進入方向に沿っているため、乗員Mの頭部Hに与える押圧力を緩和することができる。
ちなみに、第1実施形態では、副膨張部30に乗員Mの頭部Hが当接する前に、副膨張部30の膨張が完了するように、インフレータ40の性能や連通口31a,31b,32a,32bの断面積などが調整されている。
また、谷部33は、上下方向(及び前後方向)に延在しているため、乗員Mの頭部Hより上方に右側副膨張部31と左側副膨張部32とが展開したとしても、乗員Mの頭部Hを前側下向きに押圧することがない。そのため、乗員Mの頸部Kに対する荷重が上昇することがない。
図5(a)に示すように、第1変形例に係るエアバッグ装置1Aは、右側副膨張部31及び左側副膨張部32の左右方向の幅が均一ではない点が、第1実施形態に係るエアバッグ装置1と異なっている。
右側副膨張部31及び左側副膨張部32は、それぞれ略楕円形状(米粒形状)に形成されており、上下端側の左右方向の幅寸法よりも、中央部の左右方向の幅寸法が大きく形成されている。つまり、右側副膨張部31及び左側副膨張部32の間の谷部33は、上端側33b又は下端側33cから中央部33aに向かうにつれて、その間隔が小さくなっている。これにより、谷部33の上下方向の中央部33aに、谷部33に入り込んだ乗員Mの頭部Hの谷部33に沿う方向への移動を規制する規制部51(規制手段)が構成されることとなる。
これにより、乗員Mの頭部Hの谷部33に沿う方向(特に前方かつ上方)への移動や谷部33からの離脱が抑制され、乗員Mの頭部Hの拘束力の低下を抑制することができる。
右側副膨張部31の上端部31dと、左側副膨張部32の上端部32dとが、連結部材52によって連結されているので、上端側に向かうほど谷部33の間隔が開き難くなっている。これにより、乗員Mの頭部Hの谷部33に沿う方向(特に前方かつ上方)への移動や谷部33からの離脱が抑制され、乗員Mの頭部Hの拘束力の低下を抑制することができる。
図6は、第2実施形態に係る車両用エアバッグ装置を備える自動車の前部座席を左後方から見下ろした斜視図である。図7は、車両用エアバッグ装置の膨張時の断面図である。図8は、車両用エアバッグ装置に乗員が当接した状態の断面図である。
副膨張部60は、主膨張部20の後面23(図7参照)の上半領域に設置された上側副膨張部61と、主膨張部20の後面23の下半領域に設置された下側副膨張部62と、を備えている。
上側副膨張部61と下側副膨張部62とは、互いに上下に隣接しており、両者の間には谷部63が形成されている。
なお、連通口61a、61bの数や大きさは一つに限定されるものではなく、適宜に数を増やしたり、大きさを調整することができる。
このように、上側副膨張部61と下側副膨張部62は、それぞれ、乗員Mの頭部Hと胸部Bの押圧力を適切に緩和しながら、これらを適切に拘束することができる。
例えば、連通口61aの断面積よりも、連通口62aの断面積を大きくすれば、上側副膨張部61よりも下側副膨張部62を早期に膨張させることができる。また、膨張時においては、下側副膨張部62よりも上側副膨張部61の方が、主膨張部20にガスが移動し難いので、上側副膨張部61の方が下側副膨張部62よりも拘束力が若干大きくなる。
このようなときでも、上側副膨張部61の下方に下側副膨張部62が隣接しているので、上側副膨張部61が乗員Mの頭部Hに乗り上げ難い。また、仮に、上側副膨張部61が乗員Mの頭部Hに乗り上げて乗員Mの頭部Hを前側下向きに押圧したとしても、乗員Mの頭部Hは、下側副膨張部62に下方から拘束されるので、乗員Mの頸部Kに局所的な荷重が作用することがない。
図9は、第3実施形態に係る車両用エアバッグ装置を備える自動車の前部座席を左後方から見下ろした斜視図である。図10は、車両用エアバッグ装置に乗員が当接した状態の断面図である。
副膨張部70は、主膨張部20の後面23(図10参照)の上半領域に設置された右上側副膨張部71及び左上側副膨張部72と、主膨張部20の後面23の下半領域に設置された下側副膨張部73と、を備えている。
右上側副膨張部71と左上側副膨張部72とは、互いに左右に隣接しており、両者の間には第1谷部74が形成されている。また、右上側副膨張部71及び左上側副膨張部72と、下側副膨張部73とは、互いに上下に隣接しており、両者の間には第2谷部75が形成されている。
なお、図10に示すように、右上側副膨張部71、左上側副膨張部72及び下側副膨張部73は、それぞれ、主膨張部20の後面23に形成された連通口71a,72a,73aを介して主膨張部20と連通している。
また、このとき、右上側副膨張部71及び左上側副膨張部72が左右に撓んで第1谷部74が開くことによって、頭部Hに与える衝撃が緩和される。
さらに、第1谷部74は、上下方向(及び前後方向)に延在しているため、乗員Mの頭部Hを前側下向きに押圧することがない。そのため、乗員Mの頸部Kに対する衝撃が緩和される。
10 エアバッグ
20 主膨張部
30 副膨張部
31 右側副膨張部
32 左側副膨張部
33 谷部
40 インフレータ
IP インストルメントパネル
FW フロントウィンドウ
PS 助手席
Claims (7)
- 折り畳まれた状態で乗員の前方に収容され、ガスの流入によって膨張するエアバッグと、前記エアバッグにガスを導入するインフレータと、を備えた車両用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、
前記インフレータからのガスを受けて乗員の前面全域に展開する主膨張部と、
前記主膨張部の前記乗員と対向する後面に設けられ、前記主膨張部との間に形成される連通路を介して前記インフレータからのガスを導入することにより、前記主膨張部から突出するように膨張する副膨張部と、を備え、
前記副膨張部は、互いに隣接した状態で複数形成されていることを特徴とする車両用エアバッグ装置。 - 前記副膨張部は、前記乗員の頭部の右側に対応する右側副膨張部と、前記乗員の頭部の左側に対応する左側副膨張部と、を有し、
前記右側副膨張部及び前記左側副膨張部は、前記主膨張部の少なくとも上半領域に左右に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。 - 前記右側副膨張部と前記左側副膨張部との間に形成される谷部に挟まった前記乗員が前記谷部の延在方向に移動するのを規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用エアバッグ装置。
- 前記副膨張部は、前記主膨張部の上半領域に設けられた上側副膨張部と、前記主膨張部の下半領域に前記上側副膨張部に隣接して設けられた下側副膨張部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。
- 前記副膨張部は、前記主膨張部の上半領域に設けられ、前記乗員の頭部の右側に対応する右上側副膨張部と、前記主膨張部の上半領域に設けられ、前記乗員の頭部の左側に対応する左上側副膨張部と、前記主膨張部の下半領域に設けられた下側副膨張部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ装置。
- 前記各副膨張部と前記主膨張部との間にそれぞれ形成される前記連通路の流路断面積を互いに異ならせたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ装置。
- 前記主膨張部は、膨張時にフロントウィンドウに当接するように配置され、
前記副膨張部は、前記主膨張部の前記フロントウィンドウとの当接部よりも後方に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ装置。
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