以下、本発明の実施形態であるテープ印刷装置1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
まず、図1乃至図8を参照して、テープ印刷装置1の概略構成について説明する。なお、以下の説明において、図1及び図2の紙面の右斜め上側を、テープ印刷装置1の後側とし、左斜め下側を、テープ印刷装置1の前側とし、右斜め下側を、テープ印刷装置1の右側とし、左斜め上側を、テープ印刷装置1の左側とする。また、紙面の手前側を、テープ印刷装置1の上側、紙面の奥側を、テープ印刷装置1の下側とする。
図1に示すように、テープ印刷装置1は略直方体状に形成されている。その上面の後部(図1の紙面右上)には、印刷データや、設定画面等を表示するための液晶表示部2が設けられている。液晶表示部2の前側(図1の紙面左下側)には、テープ印刷装置1を操作するためのキーボード部3が設けられている。キーボード部3には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キーが含まれている。また、テープ印刷装置1の後面には、印刷済みのラベルテープ80(図9参照)が排出されるテープ排出スリット24(図3参照)が設けられている。テープ印刷装置1の後側面の右部には、印刷済みのラベルテープ80を幅方向に切断するためのカットボタン4が設けられている。
次に、図2を参照して、テープ印刷装置1の下面を構成する下カバー6について説明する。下カバー6は、平面視で、テープ印刷装置1と同じ形状をしている。下カバー6は、着脱可能にテープ印刷装置1に設けられている。下カバー6を取り外すことで、テープカセット31(図9参照)や乾電池8(図3参照)を入れ替えることができる。下カバー6の後部には、上端部に鉤状の係止ロック62を備えた、後側面視で矩形状のロック壁61が立設されている。また、下カバー6の前部には、鉤状のロック部材63が2箇所設けられている。下カバー6を取り外した状態のテープ印刷装置1の底面には、係止ロック62と対応する位置にロック穴11(図3参照)が設けられている。また、2箇所のロック部材63に対応する位置に2箇所のロック穴12(図3参照)が設けられている。下カバー6が取り付けられると、ロック部材63がロック穴12に嵌め込まれ、係止ロック62がロック穴11に嵌め込まれる。これにより、下カバー6の自然開放が防止される。
ロック壁61の右斜め前方には、突起部64が設けられている。突起部64は、下カバー6の着脱動作により、後述する突起部挿入口10(図3参照)に挿抜される。そして、後述するローラホルダ17を印刷位置(図12参照)に移動させたり、待機位置(図11参照)に移動させたりする。ローラホルダ17の詳細は、後述する。
次に、テープ印刷装置1の下カバー6を取り外した状態の底面の構造について、図3及び図4を参照して説明する。なお、以下の説明において、図3及び図4の紙面の右斜め上側をテープ印刷装置1の後側とし、紙面の左斜め下側をテープ印刷装置1の前側とし、紙面の右斜め下側をテープ印刷装置1の右側とし、紙面の左斜め上側をテープ印刷装置1の左側とする。また、紙面の手前側をテープ印刷装置1の上側とし、紙面の奥側をテープ印刷装置1の下側とする。
図3及び図4に示すように、テープ印刷装置1の底面の後部には、テープカセット31を着脱するために凹状に形成された平面視矩形状のカセット装着部7が設けられている。カセット装着部7には、テープカセット31が着脱される。このカセット装着部7の前側(図3及び図4の紙面左下側)には、モータ21(図6参照)を収納するためのモータ収納部5が設けられている。モータ収納部5の前側には、乾電池8を収納するための電池収納部9が設けられている。また、カセット装着部7の後側には、ラベルテープ80を外部に排出するテープ排出スリット24が設けられている。また、カセット装着部7の左側、かつ後述するローラホルダ17の上側には、板状の形状をした合成樹脂製の板部25が設けられている。板部25の後部には、開口部である突起部挿入口10が設けられている。下カバー6がテープ印刷装置1に着脱されることにより、下カバー6に設けられた突起部64が、突起部挿入口10に挿抜される。これにより、後述するローラホルダ17を印刷位置(図12参照)に移動させたり、待機位置(図11参照)に移動させたりすることができる。ローラホルダ17の移動についての詳細は、後述する。
また、テープ印刷装置1の底面の後部には、ロック穴11が設けられている。また、テープ印刷装置1の底面の前部には、ロック穴12が2箇所設けられている。上述したように、下カバー6が取り付けられた場合、下カバー6に設けられた係止ロック62とロック部材63とが、それぞれロック穴11と2箇所のロック穴12とに嵌め込まれる。この構成により、下カバー6の自然開放が防止される。
次に、カセット装着部7について説明する。図4に示すように、カセット装着部7の底面は、合成樹脂製のフレーム13で構成されている。フレーム13の左端部であるフレーム端131は、後述するリブ30及び第一支柱20の左方に設けられている。フレーム13の略中央には、平面視で円形、側面視で凹状に形成されたギア用凹所26が設けられている。ギア用凹所26には、ギア214が設けられている。また、ギア用凹所26の前部には、開口部であるギア用凹所第一開口261が設けられている。ギア214は、ギア用凹所第一開口261を介して、フレーム13の下側の面に設けられたギア213(図5乃至図8参照)と噛合されている。また、ギア用凹所26の後部には、開口部であるギア用凹所第二開口262が設けられている。ギア214は、ギア用凹所第二開口262を介して、フレーム13の下側の面に設けられたギア215(図5乃至図8参照)と噛合されている。また、ギア214の上側には、インクリボン55(図10参照)を巻き取るためのリボン巻取軸14が立設されている。この構成により、モータ21(図6乃至図8参照)の動力がギア213により伝達され、ギア214とリボン巻取軸14とが回転する。モータ21からの動力の伝達経路については、後述する。なお、図4では、説明のために、ギア214の歯部を露出させた状態を示しているが、実際には、ギア214の歯部はフレーム13の壁面によって覆われており、露出していない。
図4に示すように、リボン巻取軸14の左方には、側面視矩形状の放熱板であるヒートシンク15を支持するリブ30が立設されている。リブ30の左側面には、ヒートシンク15が設けられている。そして、ヒートシンク15の左側面には、発熱体を有するサーマルヘッド16(図11及び図12参照)が設けられている。また、リブ30の左方、かつフレーム端131より左方、かつ板部25の下側には、ヒートシンク15の方向(図4の紙面右下方向)へ揺動可能なアーム状のローラホルダ17(図4及び図11及び図12参照)が設けられている。ローラホルダ17には、プラテンローラユニット18と押圧ローラユニット19とが回転可能に軸支されている。下カバー6が取り付けられた場合、突起部64(図2参照)は、ローラホルダ17の左側面を押し、ローラホルダ17をテープカセット31の方向(図4の紙面右下方向)に移動させる。これにより、ローラホルダ17に設けられた押圧ローラユニット19とプラテンローラユニット18とが、印刷位置(図12参照)に移動する。ローラホルダ17の詳細は、後述する。
図4に示すように、ローラホルダ17に回転可能に軸支されたプラテンローラユニット18は、ヒートシンク15の左方に配置されている。プラテンローラユニット18には、プラテンローラ182とプラテンローラ用ギア181とが設けられている。プラテンローラ182は、ヒートシンク15の左側面に設けられたサーマルヘッド16(図11及び図12参照)に対向する位置に配置されている。また、プラテンローラ用ギア181は、フレーム13の下側に設けられたギア218(図5乃至図8参照)に対向する位置に配置されている。プラテンローラユニット18が印刷位置に移動した場合、プラテンローラ182は、透明フィルムテープ51とインクリボン55とを介して、サーマルヘッド16に対して押圧する(図12参照)。また、プラテンローラ用ギア181は、フレーム13の下側に設けられたギア218に噛合される(図6乃至図8参照)。
ラベルテープ80を印刷する場合には、プラテンローラ用ギア181は、ギア218により、モータ21からの動力を伝達されて回転する。そして、プラテンローラ用ギア181が回転することで、プラテンローラ182が回転する。そして、透明フィルムテープ51は、プラテンローラ182によってサーマルヘッド16に押圧されながら、サーマルヘッド16とインクリボン55とによって文字、図形、記号等が印刷される。そして、プラテンローラ182の回転により、リブ30の後方に設けられたテープ排出スリット24の方向へ送出される。
図4に示すように、リブ30とテープ排出スリット24との間には、第一支柱20がフレーム13に立設されている。第一支柱20は、円柱状に形成された円柱部201と、円柱部201の外周から外側に向かって放射状に形成された6個の支柱リブ202とから構成されている。第一支柱20は、テープカセット31に設けられたテープ搬送ローラ39の軸孔391(図9参照)に挿入され、テープ搬送ローラ39を回転可能に支持する。また、第一支柱20は、合成樹脂で形成されており、フレーム13と一体として形成されている。
図4に示すように、第一支柱20の右方には、凸所27が立設されている。凸所27は、後述するテープカセット31のカセット凹所43(図14参照)に挿入されることで、テープカセット31の上下方向の位置決めをする。
第一支柱20の左方、かつフレーム端131より左方には、ローラホルダ17に回転可能に軸支された押圧ローラユニット19が配置されている。押圧ローラユニット19には、押圧ローラ192と押圧ローラ用ギア191とが設けられている。押圧ローラ192は、第一支柱20に対向する位置に配置されている。押圧ローラ192は、押圧ローラユニット19の中心軸の外周に、例えばゴムなどの合成樹脂を設けることで構成されている。また、押圧ローラ用ギア191は、フレーム13の下側に設けられたギア217(図5乃至図8参照)に対向する位置に配置されている。押圧ローラユニット19が印刷位置(図12参照)に移動した場合、押圧ローラ192は、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とを介して、第一支柱20に回転可能に支持されたテープ搬送ローラ39に対して押圧する(図12乃至図14参照)。また、押圧ローラ用ギア191は、フレーム13の下側に設けられたギア217に噛合される(図6乃至図8参照)。
ラベルテープ80を印刷する場合には、押圧ローラ用ギア191は、ギア217を介してモータ21からの動力を伝達されて回転する。そして、押圧ローラ用ギア191が回転することで、押圧ローラ192が回転する。そして、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とは、押圧ローラ192とテープ搬送ローラ39とに挟まれて圧接されて、ラベルテープ80となり、テープ排出スリット24からテープ印刷装置1の外部に排出される。
次に、図5乃至図8を参照して、テープ印刷装置1に備えられているモータ21からの動力が伝達される経路について説明する。
図5において、紙面の手前側をテープ印刷装置1の下側とし、紙面の奥側をテープ印刷装置1の上側とする。また、図6において、紙面の上側をテープ印刷装置1の上側とし、紙面の下側をテープ印刷装置1の下側とする。また、図7において、紙面の手前側をテープ印刷装置1の上側とし、紙面の奥側をテープ印刷装置1の下側とする。また、図8において、紙面の手前側をテープ印刷装置1の下側とし、紙面の奥側をテープ印刷装置1の上側とする。なお、図5乃至図8では、ローラホルダ17は、印刷位置(図12参照)に移動している。
図4に示したカセット装着部7に設けられたフレーム13の下側の面には、図5に示すようにギア212〜213及びギア215〜217が設けられている。また、ギア214は、ギア用凹所26(図4及び図5参照)に設けられており、カセット装着部7側の面に配置されている(図4参照)。図5に示すように、フレーム13の下側の面は、ギア212〜218を設置可能に形成されている。
モータ収納部5の下側(図3及び図4の紙面奥側)には、モータ21(図6乃至図8参照)が設けられている。モータ21の駆動軸210(図6参照)には、駆動ギア211(図5及び図6及び図8参照)が固着されている。図5に示すように、モータ21の下側(図5の紙面手前側)には、モータ収納カバー23が設けられており、モータ収納部5とモータ収納カバー23との間には、モータ21が収納されている。モータ収納カバー23には、平面視で円形の開口部であるカバー開口231が設けられている。駆動ギア211は、モータ収納カバー23に設けられたカバー開口231を介して、モータ収納カバー23の下側(図5の紙面手前側)に配置されている。
駆動ギア211は、ギア212に噛合されている(図5及び図6及び図8参照)。ギア212はギア213に噛合されている(図5及び図6及び図8参照)。また、ギア213は、ギア用凹所26に設けられたギア用凹所第一開口261(図4参照)を介して、カセット装着部7側の面に設けられたギア214に噛合されている(図6及び図7参照)。ギア214には、後述するリボン巻取スプール57(図10参照)を回転させるリボン巻取軸14(図4及び図6及び図7参照)が立設されている。さらに、ギア214は、ギア用凹所26に設けられたギア用凹所第二開口262(図4及び図5参照)を介して、ギア215に噛合されている(図6乃至図8参照)。さらに、ギア215は、ギア216に噛合されている(図5及び図6及び図8参照)。さらに、ギア216は、ギア217とギア218とに噛合されている(図6乃至図7参照)。また、ギア217は、フレーム13の下側の面に立設された第二支柱22(図5及び図14参照)の外周に設けられている。そして、第二支柱22を中心にして回転する。このとき、第二支柱22は、フレーム13と一体として形成されているので、回転しない。また、第二支柱22は、フレーム13を挟んで第一支柱20の反対側に設けられている。また、第二支柱22は、合成樹脂で形成されている。
下カバー6が取り付けられた場合、押圧ローラユニット19とプラテンローラユニット18とが、印刷位置に移動する(図12参照)。この場合、押圧ローラユニット19の下部に設けられた押圧ローラ用ギア191は、ギア217の方向に付勢されて、ギア217と噛合される(図6及び図8及び図14参照)。また、プラテンローラユニット18の下部に設けられたプラテンローラ用ギア181は、ギア218の方向に付勢されて、ギア218と噛合される(図6及び図8参照)。押圧ローラ用ギア191とプラテンローラ用ギア181とが付勢される方法については、後述する。
テープカセット31が、カセット装着部7に装着された状態で、モータ21が回転すると、図5乃至図8に示すように、駆動ギア211と、ギア212と、ギア213とを介してギア214が回転する。ギア214が回転することで、ギア214に立設されているリボン巻取軸14が回転する。リボン巻取軸14は、後述するリボン巻取スプール57に挿入されている(図11及び図12参照)。これにより、リボン巻取軸14の回転により、リボン巻取スプール57が回転する。また、ギア214の回転は、ギア215と、ギア216とを介して、ギア217とギア218とに伝達される。さらに、ギア217の回転は、押圧ローラ用ギア191に伝達され、押圧ローラ用ギア191が回転する。そして、押圧ローラ用ギア191が回転することで、押圧ローラ192が回転する。また、ギア218の回転は、プラテンローラ用ギア181に伝達され、プラテンローラ用ギア181が回転する。そして、プラテンローラ用ギア181が回転することで、プラテンローラ182が回転する。
次に、図9及び図10を参照して、テープ印刷装置1のカセット装着部7に装着されるテープカセット31について説明する。テープカセット31は、所謂ラミネート型のラベルテープ80を排出するものである。なお、以下の説明において、図9の紙面の右斜め下側をテープカセット31の前側とし、紙面の左斜め上側をテープカセット31の後側とし、紙面右斜め上側をテープカセット31の右側とし、紙面の左斜め下側をテープカセット31の左側とする。また、紙面の手前側をテープカセット31の上側とし、紙面の奥側をテープカセット31の下側とする。
はじめに、テープカセット31の外部構造について図9を参照して説明する。図9に示すように、テープカセット31は、カセット上ケース32とカセット下ケース33とから構成されている。テープカセット31には、リボン巻取スプール57(図10参照)を回転可能に支持する支持孔34、両面粘着テープスプール54(図10参照)を回転可能に支持する支持孔35、テープスプール52(図10参照)を回転可能に支持する支持孔36が設けられている。なお、図9には、カセット上ケース32に形成された各支持孔34,35,36のみしか図示されていないが、カセット下ケース33についても同様に、カセット上ケース32の各支持孔34,35,36に対向する各支持孔34,35,36が形成されている。
また、図9に示すように、テープカセット31の前部にはアーム部37が設けられている。アーム部37は、テープスプール52から引き出された透明フィルムテープ51、及びリボンスプール56から引き出されたインクリボン55を案内し(図10参照)、開口部であるカセット開口371から送出する。
アーム部37の後側には、サーマルヘッド16を備えたヒートシンク15(図11及び図12参照)が装着されるヘッド装着部38が設けられている。そして、透明フィルムテープ51及びインクリボン55の搬送方向におけるヘッド装着部38の下流側には、上下一対の規制部材40が設けられている。規制部材40は、文字が印刷された透明フィルムテープ51を、サーマルヘッド16の下流側で幅方向に規制している。
また、図9に示すように、透明フィルムテープ51の搬送方向における規制部材40の下流側には、テープ搬送ローラ39が設けられている。また、テープ搬送ローラ39の中心には、第一支柱20が挿入される円筒状の軸孔391が設けられている。また、軸孔391には、軸孔391の内壁から中心に向かって軸孔リブ392(図10及び図13参照)が6個形成されている。軸孔リブ392については、後述する。テープ搬送ローラ39は、押圧ローラ192と協動して、透明フィルムテープ51と、両面粘着テープ53とを圧接して、ラベルテープ80を作成する。そして、テープ搬送方向におけるテープ搬送ローラ39の下流側に設けられたテープ排出口59の方向に送り出す。ラベルテープ80は、テープ排出口59を通って、テープ印刷装置1に設けられたテープ排出スリット24(図3参照)から外部に排出される。
また、カセット下ケース33におけるテープ搬送ローラ39の後側には、カセット凹所43(図14参照)が設けられている。カセット凹所43に、凸所27(図4参照)が挿入されることで、テープカセット31の上下方向の位置決めが行われる。
次に、図10を参照して、テープカセット31の内部構造について説明する。図10に示すように、カセット下ケース33の右後部には、透明フィルムテープ51を巻回したテープスプール52が回転可能に配置されている。透明フィルムテープ51は、カセット開口371に向けて案内され、カセット開口371から送出される。
また、カセット下ケース33の右前部には、インクリボン55を巻回したリボンスプール56が回転可能に配置されている。インクリボン55は、カセット開口371に向けて案内され、カセット開口371から送出される。
テープスプール52とリボンスプール56との間には、リボン巻取スプール57が、回転可能に配置されている。リボン巻取スプール57は、リボンスプール56からインクリボン55を引き出すとともに、文字等の印刷で消費されたインクリボン55を巻き取る。なお、リボン巻取スプール57の下部にはクラッチバネ58が取り付けられている。クラッチバネ58は、リボン巻取スプール57が逆転することを防ぎ、巻き取ったインクリボン55が緩んでしまうことを防止する。
規制部材40の近傍には、ヘッド装着部38を経由して搬送された使用済みのインクリボン55を透明フィルムテープ51から離間させ、リボン巻取スプール57に向かって案内するための案内壁41が立設されている。案内壁41とリボン巻取スプール57との間には、案内壁41に沿って案内される使用済みのインクリボン55と、両面粘着テープスプール54に巻回して支持された両面粘着テープ53とが互いに接触するのを防止するための分離壁42が立設されている。
また、カセット下ケース33の左後部には、両面粘着テープ53を巻回した両面粘着テープスプール54が、回転可能に配置されている。両面粘着テープ53は、テープ搬送ローラ39に向けて案内されている。両面粘着テープ53と透明フィルムテープ51とは、テープ搬送ローラ39と押圧ローラ192とに圧接されてラベルテープ80となり、テープ排出口59の方向に送り出される。
次に図11及び図12を参照して、ローラホルダ17について説明する。図11及び図12において、紙面の下側をテープ印刷装置1の前側とし、紙面の上側をテープ印刷装置1の後側とし、紙面の右側をテープ印刷装置1の右側とし、紙面の左側をテープ印刷装置1の左側とする。また、紙面の手前側をテープ印刷装置1の上側、紙面の奥側をテープ印刷装置1の下側とする。なお、図11及び図12において、すでに説明済みの各構成部品については、同じ番号で示している。このため、ここでは説明を省略する。
図11及び図12に示すように、テープ印刷装置1のカセット装着部7に装着されたテープカセット31の左側には、プラテンローラユニット18と押圧ローラユニット19とを備えたアーム状のローラホルダ17が、軸支部171を中心に揺動可能に軸支されている。ローラホルダ17は、巻きバネ(図示せず)により、図11に示すテープカセット31から左方向に離れた待機位置に常に弾性付勢されている。このため、下カバー6が取り外された状態では、ローラホルダ17は、図11に示す待機位置で待機している。
図11及び図12に示すように、ローラホルダ17の後部(図11及び図12の紙面上部)には、押圧ローラユニット19が回転可能に軸支されている。押圧ローラユニット19は、テープ搬送ローラ39に対向する位置に配置されている。また、押圧ローラユニット19の前側(図11及び図12の紙面下側)には、プラテンローラユニット18が回転可能にローラホルダ17に軸支されている。プラテンローラユニット18は、ヒートシンク15の左側面に設けられたサーマルヘッド16に対向する位置に配置されている。
押圧ローラユニット19とプラテンローラユニット18とは、それぞれ所定幅で左右に移動可能にローラホルダ17に設けられている。また、ローラホルダ17には、押圧ローラユニット19とプラテンローラユニット18とを、テープカセット31の方向(図11及び図12の紙面右方向)に弾性付勢するための付勢バネ(図示せず)が設けられている。押圧ローラユニット19は、付勢バネによりテープ搬送ローラ39の方向(図11及び図12の紙面右方向)に付勢された状態で、ローラホルダ17に設けられている。また、プラテンローラユニット18は、付勢バネによりサーマルヘッド16の方向(図11及び図12の紙面右方向に付勢された状態で、ローラホルダ17に設けられている。
下カバー6(図2参照)がテープ印刷装置1に装着されると、下カバー6に設けられた突起部64(図2参照)が突起部挿入口10(図3及び図4参照)に挿入され、ローラホルダ17の左側面を右方向に押す。そして、突起部64により右方向に押されたローラホルダ17は、図12に示すテープカセット31に近接した印刷位置に移動する。そして、プラテンローラユニット18に設けられたプラテンローラ182が、透明フィルムテープ51とインクリボン55とを介して、ヒートシンク15の左側面に配置されたサーマルヘッド16を付勢して、押圧する。さらに、プラテンローラユニット18の下部に設けられたプラテンローラ用ギア181は、ギア218の方向に付勢され、ギア218と噛合される(図6及び図8参照)。このとき、プラテンローラユニット18は、付勢バネの付勢力により、サーマルヘッド16及びギア218を押圧している。
また、図12に示すように、押圧ローラユニット19に設けられた押圧ローラ192が、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とを介してテープ搬送ローラ39を付勢して、押圧する。さらに、押圧ローラユニット19の下部に設けられた押圧ローラ用ギア191は、ギア217の方向に付勢され、ギア217と噛合される(図6及び図8参照)。このとき、押圧ローラユニット19は、付勢バネの付勢力により、テープ搬送ローラ39及びギア217を押圧している。なお、このとき、テープ搬送ローラ39が押圧されることで、テープ搬送ローラ39の位置を保持している第一支柱20が押圧される。
この構成により、ローラホルダ17が図12に示す印刷位置に移動した場合、カセット装着部7に装着されたテープカセット31を使用して印刷を行うことが可能となる。
下カバー6が取り外されると突起部64が突起部挿入口10から抜かれ、ローラホルダ17は巻きバネの付勢力により、図11に示す待機位置に移動して待機する。
次に、上述した構成により実現できる、テープカセット31の装着からラベルテープ80を排出するまでの動作について説明する。
まず、テープカセット31をカセット装着部7に装着し(図3参照)、下カバー6を取り付ける。下カバー6が取り付けられると、突起部64(図2参照)が、突起部挿入口10(図3及び図4参照)に挿入される。これにより、ローラホルダ17が突起部64に押され、待機位置(図11参照)から印刷位置(図12参照)へ移動する。このため、ローラホルダ17に設けられているプラテンローラユニット18と、押圧ローラユニット19とが印刷位置に移動する。そして、プラテンローラユニット18の下部に設けられているプラテンローラ用ギア181がギア218に噛合される(図6及び図8参照)。また、プラテンローラユニット18に設けられているプラテンローラ182は、透明フィルムテープ51とインクリボン55とを介して、ヒートシンク15の左側面に設けられているサーマルヘッド16を付勢して、押圧する(図12参照)。このとき、プラテンローラユニット18は、付勢バネの付勢力により、サーマルヘッド16とギア218とを押圧している。
また、押圧ローラユニット19の下部に設けられている押圧ローラ用ギア191はギア217に噛合される(図6及び図8参照)。さらに、押圧ローラユニット19に設けられている押圧ローラ192は、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とを介して、テープ搬送ローラ39を押圧する(図12参照)。このとき、押圧ローラユニット19は、付勢バネの付勢力により、テープ搬送ローラ39とギア217とを押圧している。さらに、テープ搬送ローラ39が押圧されることで、テープ搬送ローラ39の位置を保持している第一支柱20が押圧される。
そして、印刷動作が開始されると、モータ21が回転する。図5乃至図8に示すように、モータ21の回転により、モータ21の駆動軸210に固着された駆動ギア211と、ギア212〜218と、プラテンローラ用ギア181と、押圧ローラ用ギア191とが回転する。そして、これらのギアと接続されている、リボン巻取軸14とプラテンローラ182と押圧ローラ192とが回転する。また、リボン巻取軸14が回転することで、テープカセット31に設けられたリボン巻取スプール57が回転する(図12参照)。
このようにモータ21からの動力が伝達されることで、図12に示すように、透明フィルムテープ51はテープスプール52から引き出される。また、両面粘着テープ53は、両面粘着テープスプール54から引き出される。さらに、インクリボン55は、リボンスプール56から引き出される。引き出された、透明フィルムテープ51及びインクリボン55は、プラテンローラ182によって、サーマルヘッド16に対して押圧される。そして、透明フィルムテープ51の印刷面には、サーマルヘッド16とインクリボン55とにより印刷が行われる。そして、テープ搬送ローラ39の方向に送られる。
図12に示すように、使用済みのインクリボン55は、案内壁41により、透明フィルムテープ51から離間され、リボン巻取スプール57に向かって案内される。そして、リボン巻取スプール57に巻き取られる
図12に示すように、両面粘着テープ53及び印刷された透明フィルムテープ51は、テープ搬送ローラ39と押圧ローラ192とに挟まれて圧接されて、ラベルテープ80となる。そして、ラベルテープ80は、テープ排出口59の方向に送りだされ、テープ排出口59を介してテープ排出スリット24(図3参照)から外部に排出される。
次に、図13及び図14を参照して、本実施形態の要部である、フレーム13と第一支柱20と第二支柱22とギア217と押圧ローラユニット19との構成について、より詳細に述べる。以下の説明において、図13の紙面の手前側をテープ印刷装置1の上側とし、紙面の奥側をテープ印刷装置1の下側とする。また、図14の紙面の上側をテープ印刷装置1の上側とし、紙面の下側をテープ印刷装置1の下側とする。なお、図13及び図14において、上述した各構成部品と同じ部分は、同じ番号で示している。このため、ここでは説明を省略する。
図13及び図14において、ローラホルダ17に回転可能に軸支された、プラテンローラユニット18及び押圧ローラユニット19は、印刷位置に移動している。なお、下カバー6及び突起部64は図示していないが、ローラホルダ17は、突起部64に押されて印刷位置に移動している。
図14に示すように、フレーム13はテープカセット31を支えている。フレーム13の上側には、第一支柱20が立設されている。また、図13及び図14に示すように、第一支柱20は、テープ搬送ローラ39に設けられた軸孔391に挿入されている。上述したように、第一支柱20は、円柱状に形成された円柱部201と、円柱部201の下部の外周から外側に向かって放射状に形成された6個の支柱リブ202とから構成されている。
また、図13に示すように、テープ搬送ローラ39の軸孔391には、軸孔リブ392が6個設けられている。軸孔リブ392は、軸孔391の内壁から中心に向かって放射状に6個形成されている。また、図14に示すように、軸孔リブ392は、第一支柱20の下部に設けられた支柱リブ202より上側の位置に設けられている。このため、軸孔リブ392と支柱リブ202とが接触することはない。
図13及び図14に示すように、テープカセット31は、テープ搬送ローラ39に設けられた軸孔391に、第一支柱20を挿入された状態で、フレーム13の上側に装着されている。このとき、軸孔リブ392が、第一支柱20における円柱状に形成された円柱部201に接触することによって、テープ搬送ローラ39が位置決めされている。また、このとき、6個の支柱リブ202は、テープ搬送ローラ39に接触しないように構成されている。この構成により、テープ搬送ローラ39は、第一支柱20により回転可能に位置決めされる。
図14に示すように、フレーム13を挟んで第一支柱20の反対側の位置には、円筒状の第二支柱22が立設されている。フレーム13と第一支柱20と第二支柱22とは、一体として合成樹脂で構成されている。第二支柱22の中心部分から、フレーム13を介して、第一支柱20の中心部分には空洞29が設けられている。
第二支柱22の外周には、ギア217が回転可能に設けられている。上述したように、ギア217は、モータ21からの動力を伝えられて回転する。なお、第二支柱22は、フレーム13と一体として形成されているので回転しない。
上述したように、下カバー6が閉じられると、下カバー6に設けられた突起部64が、突起部挿入口10に挿入される。そして、ローラホルダ17は、突起部64に押されて、印刷位置に移動する(図12及び図13参照)。これにより、押圧ローラユニット19の下部に配置された押圧ローラ用ギア191は、ギア217と噛合される(図6及び図8及び図14参照)。なお、図14において、押圧ローラ用ギア191とギア217とは、噛合部28で噛合している。
また、図14に示すように、押圧ローラ用ギア191の上側に設けられた押圧ローラ192は、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とを挟みこんだ状態で、テープ搬送ローラ39の方向(図14中の矢視P1の方向)に付勢され、テープ搬送ローラ39を押圧する。押圧ローラユニット19は上述した付勢バネの付勢力によって、付勢されている。このため、押圧ローラ192は、付勢バネの付勢力によって、図14の矢視P1に示す方向にテープ搬送ローラ39を押圧する。また、押圧ローラ用ギア191は、上述した付勢バネの付勢力によって、矢視P2に示す方向にギア217を押圧する。
押圧ローラ192によって、矢視P1の方向に押圧されたテープ搬送ローラ39は、テープ搬送ローラ39の位置を保持している第一支柱20の方向に付勢されて、第一支柱20を押圧する。また、押圧ローラ用ギア191によって、矢視P2の方向に押圧されたギア217は、ギア217を保持している第二支柱22の方向に付勢されて、第二支柱22を押圧する。
上述したように、ラベルテープ80を印刷する場合、モータ21からの動力が押圧ローラ用ギア191に伝達されて回転し、押圧ローラ用ギア191の上側に設けられた押圧ローラ192も回転する。この構成により、透明フィルムテープ51及び両面粘着テープ53が、押圧ローラ192とテープ搬送ローラ39とに挟まれて圧接されて、ラベルテープ80となる。ラベルテープ80は、押圧ローラ192とテープ搬送ローラ39との回転により、テープ排出口59(図13参照)を介して、テープ排出スリット24(図13参照)の方向に送られて外部に排出される。
このとき、テープ搬送ローラ39は、第一支柱20に回転可能に位置決めされている。テープ搬送ローラ39は回転可能なので、押圧ローラ192がテープ搬送ローラ39を矢視P1の方向(図14参照)に押圧しながら回転し、ラベルテープ80を排出するのに伴って、テープ搬送ローラ39が回転する。これにより、第一支柱20が回転しなくても、両面粘着テープ53と透明フィルムテープ51とを圧接して、ラベルテープ80にして外部に排出することができる。
以上の構成により、本実施の形態のテープ印刷装置1はラベルテープ80を作成することができる。図14に示すように、押圧ローラユニット19は、付勢バネの付勢力によって、付勢される。このため、押圧ローラ192は、矢視P1の方向に付勢される。また、押圧ローラ用ギア191は、矢視P2の方向に付勢される。押圧ローラユニット19に設けられた押圧ローラ192からの圧力(矢視P1の方向の付勢力)は、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ53とテープ搬送ローラ39とを介して、フレーム13の上側に設けられた第一支柱20に加えられる。また、押圧ローラユニット19の下部に設けられた押圧ローラ用ギア191からの圧力(矢視P2の方向の付勢力)は、フレーム13の下側に設けられたギア217を介して、第二支柱22に加えられる。つまり、押圧ローラユニット19からの圧力が、フレーム13の上側の第一支柱20と、フレーム13の下側の第二支柱22とに分散されて加えられる。このため、押圧ローラユニット19からの圧力が一本の支柱に加えられる場合と比較して、第一支柱20及び第二支柱22の各支柱に加えられる圧力は小さくなる。第一支柱20及び第二支柱22に加えられる圧力が小さいので、第一支柱20及び第二支柱22の材料に、金属に比べて剛性の低い合成樹脂を使用した場合でも、第一支柱20及び第二支柱22が傾くことはない。
また、仮に、第二支柱22が存在しなかったとする。このとき、第一支柱20のみに、押圧ローラ192からの圧力が加えられる。この場合、第一支柱20のみに加えられる圧力により、第一支柱20を支えているフレーム13に力が加えられる。第一支柱20からフレーム13に加えられる力には、上方向の力の成分が含まれている。フレーム13を合成樹脂で構成した場合、合成樹脂は剛性が低いため、上方向の力により、フレーム13が上方向に反ってしまう。
本実施の形態では、図14に示すように、フレーム13に対して、上側に第一支柱20が立設され、下側に第二支柱22が立設されている。そして、それぞれの支柱に対して、押圧ローラユニット19からの圧力が分散されて加えられている。第一支柱20からフレーム13に加えられる力には、上方向の力の成分が含まれている。また、第二支柱22からフレーム13に加えられる力には、下方向の力の成分が含まれている。そして、これらの上方向の力と下方向の力とが打ち消しあう。このため、フレーム13に加えられる、上方向又は下方向の力が小さくなる。このため、フレーム13を合成樹脂で構成した場合でもフレーム13が反ることはない。
上述したように、押圧ローラユニット19からの圧力は、第一支柱20と第二支柱22とに分散されて加えられる。このため、押圧ローラユニット19からの圧力が一本の支柱のみに加えられる場合と比較して、第一支柱20と第二支柱22との各支柱に加えられる圧力は小さくなる。また、第一支柱20からフレーム13に加えられる上方向の力と、第二支柱22からフレーム13に加えられると下方向の力とが打ち消しあう。このため、フレーム13に加えられる、上方向又は下方向の力が小さくなる。このため、第一支柱20と第二支柱22とフレーム13とを合成樹脂で構成しても、第一支柱20と第二支柱22とが傾いたり、フレーム13が反ったりすることはない。このため、押圧ローラユニット19からの圧力が加えられた場合でも、テープ搬送ローラ39を適切な位置に保持することができる。また、テープ搬送ローラ39を適切な位置に保持できるので、スムーズに両面粘着テープ53と透明フィルムテープ51とを圧接して、ラベルテープ80にして外部に排出することができる。また、第一支柱20と第二支柱22とフレーム13とが合成樹脂で構成されているので、金属で構成する場合に比べて製造コストを低くすることができる。
本実施の形態において、テープ印刷装置1が、本発明の「印刷装置」に相当し、ラベルテープ80が「ラベル」に相当する。また、テープ搬送ローラ39が「テープ搬送ローラ」に相当し、軸孔391が「軸孔」に相当する。また、テープカセット31が「テープカセット」に相当し、第一支柱20が「第一支柱」に相当する。また、フレーム13が「フレーム」に相当し、第二支柱22が「第二支柱」に相当する。また、モータ21が「モータ」に相当し、ギア217が「第一ギア」に相当する。また、押圧ローラ用ギア191が「第二ギア」に相当し、押圧ローラ192が「押圧ローラ」に相当する。
なお、本実施形態に示されている構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施の形態では、第二支柱22が、フレーム13を介して第一支柱20の反対側に配置されていたが、第一支柱20と反対側の面で、第一支柱20の位置とずらして配置してもよい。また、第一支柱20の下部に支柱リブ202が6個設けられていたが、支柱リブ202の数を任意の個数に変更してもよい。もしくは支柱リブ202を削除してもよい。また、テープカセット31は、所謂ラミネート型のラベルテープ80を排出するテープカセットであったが、例えば、所謂ノンラミネート型のラベルテープや布テープ等の、ラミネート型以外のラベルテープを排出するテープカセットを使用してもよい。