以下、本発明の一実施形態であるテーププリンタ1について、図面に基づいて説明する。図1は、カバーが開かれ、テープカセット11が装着されたテーププリンタ1の先端側の平面図(切れ目形成ユニット60が第1の状態)であり、図2は、テープカセット11の斜視図であり、図3は、テープカセット11の下ケース12の平面図(上ケース13を取り外した状態)であり、図4は、ノンラミネートタイプの印字テープ40の部分断面斜視図であり、図5は、切れ目形成ユニット60の正面図であり、図6は、切断刃63によって、印字テープ40のテープ基材42側に切れ目が形成される様子を示す説明図であり、図7は、テープ基材42に切れ目47,47が形成された印字テープ40(テープ基材42側)の平面図であり、図8は、カバーが開かれ、テープカセット11が装着されたテーププリンタ1の先端側の平面図(切れ目形成ユニット60が第2の状態)であり、図9は、切断刃63によって、印字テープ40の剥離シート45側に切れ目が形成される様子を示す説明図であり、図10は、剥離シート45に切れ目48,48が形成された印字テープ40(剥離シート45側)の平面図である。また、図1の右側をテーププリンタ1の先端側とし、図2の右斜め下側をテーププリンタ1の前側とし、図2の左斜め上側をテーププリンタ1の後ろ側とし、図3の下側をテーププリンタ1の前側とし、図3の上側をテーププリンタ1の後ろ側とする。
なお、本実施形態のテーププリンタ1は、ノンラミネートタイプの印字テープ40及びラミネートタイプの印字テープ80の何れのタイプにも対応できる切れ目形成ユニット60を備え、該切れ目形成ユニット60の配置向きを変えることによって、それら各種タイプの印字テープ40,80の何れかの面に対して切れ目を形成できる点に特徴を有するものである。よって、以下の説明では、まず、テーププリンタ1に、ノンラミネートタイプの印字テープ40を排出するテープカセット11が装着された場合について説明し、その後に、ラミネートタイプの印字テープ80を排出するテープカセット110が装着された場合について説明する。
はじめに、テーププリンタ1の概略構造について説明する。図1に示すように、テーププリンタ1は、底の深い略皿型形状の本体容器2と、当該本体容器2の上部に覆設されるカバー(図示外)とをハウジングとして備えている。そして、この本体容器2の先端側の内側には、カセット装着部5が溝状に設けられ、該カセット装着部5の内側に、テープカセット11が着脱可能に装着されている。さらに、本体容器2の先端部側面には、カセット装着部5に装着されたテープカセット11のテープ排出口27から引き出され、印字済みの印字テープ40を、後述するカット機構10によって所望の長さで切断されたラベルとして、外部に排出するためのラベル排出口6が設けられている。また、図示しないが、テーププリンタ1の後端側には、テーププリンタ1に必要な電力を供給するための電池が装填されている。なお、図1に示すラベル排出口6が、「テープ排出口」に相当する。
さらに、本体容器2の先端部の内側には、テープカセット11の後述するアーム部18の開口18a(図3参照)からラベル排出口6に向かって、印字テープ40が搬送される搬送経路が形成されている。そして、その搬送経路に沿うようにして、開口18aから下流側に向かって、サーマルヘッド7、プラテン8、圧接ローラ26、切れ目形成ユニット60、カット機構10が順に配設されている。なお、この切れ目形成ユニット60が本発明の特徴であり、切れ目形成ユニット60については、後に詳しく説明する。
サーマルヘッド7は、図1又は図2に示すように、テープカセット11のアーム部18の開口18aから排出された印字テープ40の片面(テープ基材42)に重合されたインクリボン29側に対向するように配置されている。このサーマルヘッド7は、インクリボン29の幅方向に沿って配置された多数の発熱素子(図示外)を備えている。そして、このようなサーマルヘッド7は、これら多数の発熱素子を選択的に発熱させることによって、図示外のボタン群によって入力された印刷データに基づく所望の印刷を印字テープ40のテープ基材42(図2,図4参照)表面の印字面に施すことができる。
一方、図1乃至図3に示すように、プラテン8は、ローラ状の部材であり、回転軸9aを軸心として回動するプラテン支持アーム9に設けられている。さらに、このプラテン8は、このプラテン支持アーム9の長手方向中間位置に設けられた回転軸8aによって軸支され、印字テープ40とインクリボン29とを挟んでサーマルヘッド7に対向するように配置されている。そして、図示外の操作部を操作することによって、プラテン支持アーム9の先端部(回転軸9a側とは反対の一端部)が、テープカセット11側に回動し、プラテン8が、印字テープ40およびインクリボン29を挟みつつサーマルヘッド7に対して押圧される。さらに、プラテン8は、回転軸8aに連結された駆動機構(図示外)により回転駆動される。これにより、サーマルヘッド7とプラテン8との間で印字テープ40およびインクリボン29が挟持されつつ搬送され、インクリボン29はテープカセット11内に巻き取られ、印字済みの印字テープ40はラベル排出口6に向かって送り出される。
さらに、圧接ローラ26は、プラテン支持アーム9の先端部に設けられた回転軸26aを軸心として回動可能に設けられている。そして、この圧接ローラ26は、テープカセット11の後述するテープ送りローラ22に対向して配置され、該テープ送りローラ22との協働によって、テープスプール38(図3参照)から印字テープ40が引き出され、ラベル排出口6から印字済みの印字テープ40が外部に排出される。
また、カット機構10は、テープカセット11のテープ排出口27からラベル排出口6までの搬送経路上に設けられ、印字テープ40のテープ基材42側に対向するように配設されたカッター刃(図示外)を備えている。そして、このカッター刃に連結された操作レバー(図示外)を操作することによって、印字済みの印字テープ40を所望の長さに切断することができ、文字付きの印字ラベルとしてラベル排出口6から外部に排出することができる。
次に、テープカセット11の構造について説明する。図2に示すテープカセット11は、ノンラミネートタイプの印字テープ40を収納するものである。このテープカセット11は、下ケース12と、該下ケース12の上部に固定される上ケース13とを筐体に備えている。
そして、図2に示すように、上ケース13には、印字テープ40の剥離シート45側を外側に向けて巻回して支持するテープスプール38(図3参照)を回動可能に支持する支持孔14と、テーププリンタ1のサーマルヘッド7(図1参照)によって、印字テープ40のテープ基材42上に文字、記号、図形等を印字する際、リボンスプール30(図3参照)からインクリボン29を引き出し、さらに、使用済みのインクリボン29を巻き取るリボン巻取スプール31(図3参照)を支持する支持孔15とが形成されている。なお、図3に示すように、下ケース12についても同様に、上ケース13の各支持孔14,15(図2参照)に対向して上下方向に連続する支持孔14a,15aが各々形成されている。
また、図2に示すように、テープカセット11の前面には、テープスプール38(図3参照)から引き出された印字テープ40を、リボンスプール30(図3参照)から引き出されたインクリボン29とともに後述するヘッド装着部19に案内し、開口18aから送出させるアーム部18が設けられている。さらに、このアーム部18の開口18aの近傍には、アーム部18と、該アーム部18に対向する壁部19aとに囲まれて形成され、テーププリンタ1のサーマルヘッド7(図1参照)等が装着されるために開口するヘッド装着部19が設けられている。そして、このヘッド装着部19を形成する壁部19aには、テープカセット11の後方に向かって凹状に湾曲し、テープカセット11の上下方向に延設された第1嵌合部20が形成されている。また、ヘッド装着部19の左側(図3中左側)の側壁には、その第1嵌合部20と直交する方向(壁部19aに沿った方向)に凹状に湾曲する第2嵌合部21が形成されている。そして、これら各第1嵌合部20及び第2嵌合部21は、テーププリンタ1のサーマルヘッド7(図1参照)を支持するヘッドホルダ(図示外)に形成された2つの各突起部(図示外)に各々嵌合されるものである。これにより、ヘッド装着部19に対するサーマルヘッド7(図1参照)の装着を、印字テープ40およびインクリボン29に対して干渉することなく確実に行うことができる。
さらに、図2に示すように、印字テープ40およびインクリボン29の搬送方向において、ヘッド装着部19の下流側には、上下方向に貫通する支持孔23が設けられ、該支持孔23の内側には、テープ送りローラ22が回動可能に軸支されている。このテープ送りローラ22は、該テープ送りローラ22に対向して配置されるテーププリンタ1の圧接ローラ26(図1参照)との協働により、テープスプール38(図3参照)から印字テープ40を引き出すものである。また、テープ送りローラ22の近傍であって、印字テープ40の搬送方向の上流側には、上下一対の規制部材24、25が設けられている。これら各規制部材24、25は、サーマルヘッド7(図1参照)の下流側にて文字等が印字された印字テープ40を幅方向に規制して、テープ排出口27に向かって案内するものである。また、これら各規制部材24、25の内側には、図3に示すように、ヘッド装着部19を経由して搬送された使用済みのインクリボン29を、印字テープ40から離間させて、リボン巻取スプール31に向かって案内するための案内部35が設けられている。そして、その案内部35に沿って、使用済みのインクリボン29を通過させるための案内孔35aが設けられている。なお、図2に示すテープ排出口27が、「テープ送出口」に相当する。
また、図2、図3に示すように、テープカセット11の右後縁位置(図2、図3の右斜め上側)には、カセット検出部16が形成されている。このカセット検出部16には、テープカセット11の種類(例えば、印字テープ40の幅、インクリボン29に塗布されたインクの色等により、テープカセット11の種類が特定される)を検出するために、所定のパターンをもって複数個のスイッチ孔16aが穿設されている。このスイッチ孔16aの形成パターンは、各テープカセット11の種類に従って異なるパターンとされている。そして、これら各スイッチ孔16aは、テーププリンタ1側に配設された複数個の検出スイッチ(図示外)のオン・オフの組合せに基づいて検出されるものである。
次に、テープカセット11の内部構造について説明する。図3に示すように、下ケース12内の後部左側には、印字テープ40を巻回して支持するテープスプール38が、前記支持孔14(図2参照)を介して回転可能に配置されている。また、下ケース12の前部右側には、インクリボン29を巻回したリボンスプール30が回転可能に配置されている。さらに、テープスプール38とリボンスプール30との挟まれた間には、リボンスプール30からインクリボン29を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン29を巻き取るリボン巻取スプール31が、前記支持孔15(図2参照)を介して回転可能に配置されている。なお、図示しないが、リボン巻取スプール31の下部には、クラッチバネが取り付けられている。このクラッチバネは、リボン巻取スプール31が逆転して巻き取ったインクリボン29が緩んでしまうことを防止するものである。
そして、上述した案内孔35aを通過して、リボン巻取スプール31に向かって搬送される使用済みのインクリボン29と、テープスプール38に巻回して支持された印字テープ40との間には、インクリボン29と印字テープ40とが互いに接触するのを防止するための分離壁37が起立して設けられている。
次に、ノンラミネート型の印字テープ40について説明する。図4に示すように、テープカセット11(図2参照)に収納される印字テープ40は、長尺状のテープ基材42と、該テープ基材42の一面に塗布形成された粘着剤層43と、該粘着剤層43を介して、テープ基材42の前記一面に剥離可能に接着された長尺状の剥離シート45とから構成されている。そして、テープ基材42の、粘着剤層43が塗布形成される一面とは反対の面が、テーププリンタ1のサーマルヘッド7及びプラテン8等の印字機構によって印字される印字面となっている。また、剥離シート45の材質は、紙や樹脂フィルム等が挙げられる。なお、図示しないが、剥離シート45の、テープ基材42側に、粘着剤層43を介して接着される面には、剥離剤としてのシリコン膜が塗工されているので、剥離シート45をテープ基材42から容易に剥がすことができる。
次に、テープカセット11における印字テープ40の搬送経路について説明する。図3に示すように、印字テープ40は、まず、テープ送りローラ22と、テーププリンタ1の圧接ローラ26(図1参照)との協働により、テープスプール38から引き出される。次いで、テープスプール38から引き出された印字テープ40は、リボンスプール30の外側を通過しながらアーム部18に沿って搬送される。そして、印字テープ40は、テープ基材42(図2参照)側を壁部19a側に、剥離シート45(図2参照)側をヘッド装着部19の外方に向けた状態で開口18aから送出され、ヘッド装着部19の前側に向かって搬送される。一方、開口18aの近傍で、この印字テープ40のテープ基材42上に、リボンスプール30から引き出されたインクリボン29が重合される。さらに、テーププリンタ1のサーマルヘッド7とプラテン8(図1参照)との間に、印字テープ40とインクリボン29とが重合された状態で搬送され、テープ基材42の印字面に文字、図形、記号等が印字される。その後、印字済みの印字テープ40は、一対の規制部材24,25(図1参照)によって幅方向の位置が規制され、テープ送りローラ22の回転によって、テープ排出口27から印字テープ40がテーププリンタ1の切れ目形成ユニット60(図1参照)に向かって搬送される。
次に、本発明の特徴である切れ目形成ユニット60について説明する。図5に示すように、切れ目形成ユニット60は、正面視縦長の略長方形状の支持枠61を備え、当該支持枠61の内側には、一対の切断刃63,63を支持する切断刃ローラ62と、該切断刃ローラ62に対向して配置された受けローラ65とが各々回動可能に設けられている。
支持枠61について説明する。図5に示すように、支持枠61は、右枠片61a、左枠片61b、上枠片61c、下枠片61dとから構成されている。そして、上枠片61cには、切断刃ローラ62の上部を軸支するために凹状に窪んだ軸支穴68aと、受けローラ65の上部を軸支するために凹状に窪んだ軸支穴69aが各々設けられている。一方、下枠片61dにも、切断刃ローラ62の下部を軸支するために凹状に窪んだ軸支穴68bと、受けローラ65の下部を軸支するために凹状に窪んだ軸支穴69bが各々設けられている。なお、軸支穴69bの内側底部の略中央には、下枠片61dを下方に貫通する貫通穴(図示外)が設けられている。なお、図5に示す支持枠61が、「支持手段」に相当する。
次に、切断刃ローラ62について説明する。図5に示すように、切断刃ローラ62は、上下に延設された棒状の切断刃支持軸64と、該切断刃支持軸64の外周面に設けられ、切断刃支持軸64の長手方向に直交する方向にフランジ状に各々延設され、互いに所定間隔を空けて設けられた一対の切断刃63,63とから構成されている。そして、これら一対の切断刃63,63の所定間隔が、印字テープ40のテープ基材32に形成される切れ目47,47(図7参照)の離間幅となっている。
そして、上記構成からなる切断刃ローラ62の切断刃支持軸64の上端部が、支持枠61の上枠片61cの軸支穴68aに差し込まれる。さらに、切断刃支持軸64の下端部が、支持枠61の下枠片61dの軸支穴68bに差し込まれる。こうして、切断刃支持軸64が軸支された状態となり、支持枠61の内側で切断刃ローラ62が回転可能となる。
次に、受けローラ65について説明する。図5に示すように、受けローラ65は、上下に延設された棒状のローラ支持軸67と、該ローラ支持軸67の上端部及び下端部を除く中央部に設けられ、ローラ支持軸67の軸心と同じ軸心を有する略円柱状のローラ体66とから構成されている。また、ローラ支持軸67の下端部には、ローラ支持軸67の軸線に沿って延設される連結軸(図示外)が設けられ、該連結軸の下端部には、テーププリンタ1の本体容器2の底面側に設けられた駆動機構(図示外)の駆動ギア(図示外)と係合するギア75が固定されている。そして、このような受けローラ65のローラ体66の外周面に対して、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部がやや押圧されて接触している。
そして、上記構成からなる受けローラ65のローラ支持軸67の上端部が、支持枠61の上枠片61cの軸支穴69aに差し込まれる。さらに、ローラ支持軸67の下端部が、支持枠61の下枠片61dの軸支穴69bに差し込まれる。このとき、ローラ支持軸67の下端部に連結された連結軸67aは、軸支穴69bの内側底部の略中央部に穿設された貫通穴69cに差し込まれ、その連結軸67aの先端部は下枠片61dを貫通して突出する。そして、その下枠片61dから突出する連結軸67aの先端部にギア75が固定されている。こうして、ローラ支持軸67が軸支された状態となり、支持枠61の内側で受けローラ65が回転可能となる。
次に、切れ目形成ユニット60の固定方法について説明する。図1に示すように、本体容器2の先端部内側の底面であって、テープカセット11のテープ排出口27とラベル排出口6との間には、平面視略コの字型に各々形成され、本体容器2の底面上に起立する一対の差込固定枠71,72が開口側を互いに対向させつつ、所定間隔を空けた状態で各々立設されている。そして、図5に示す切れ目形成ユニット60の支持枠61の下部を、これら一対の差込固定枠71,72の内側に差し込むことによって、切れ目形成ユニット60が本体容器2の底面上に起立して固定される。これにより、切れ目形成ユニット60の支持枠61の内側に印字テープ40の搬送経路が通過するので、切断刃ローラ62の切断刃63,63と受けローラ65のローラ体66との間で印字テープ40を挟持させることができる。なお、図1に示す差込固定枠71,72が、「固定手段」に相当する。
次に、本体容器2の内側における切れ目形成ユニット60の配置向きについて説明する。図1に示すように、一対の差込固定枠71,72に対する切れ目形成ユニット60の配置向きを変えることにより、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部を、印字テープ40のテープ基材42側又は剥離シート45側(図4参照)の何れかに対向させることができる。例えば、図1に示すように、切れ目形成ユニット60の右枠片61a(図5参照)側の下部が差込固定枠71の内側に、切れ目形成ユニット60の左枠片61b(図5参照)側の下部が差込固定枠72の内側となるように、支持枠61を一対の差込固定枠71,72に差し込んで固定する。このときの切れ目形成ユニット60の配置向きを「第1の状態」とした時に、図6に示すように、この第1の状態では、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ40のテープ基材42側に対向するようになっている。
一方、図8に示すように、上記第1の状態とは反対に、切れ目形成ユニット60の右枠片61a(図5参照)側の下部が差込固定枠72の内側に、切れ目形成ユニット60の左枠片61b(図5参照)側の下部が差込固定枠71の内側となるように、支持枠61を一対の差込固定枠71,72に差し込んで固定する。このときの切れ目形成ユニット60の配置向きを「第2の状態」とした時に、図9に示すように、この第2の状態では、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ40の剥離シート45側に対向させることができる。
なお、上記したように、切れ目形成ユニット60は、第1の状態と第2の状態とで互いに向きが逆になるため、切れ目形成ユニット60の配置向きが変更されると、ギア75の位置が移動する。したがって、図示しないが、テーププリンタ1の本体容器2の底面側に設けられた駆動機構(図示外)には、第1の状態及び第2の状態において位置が異なるギア75を、何れの状態でも駆動させるために2枚の駆動ギアが各々設けられている。そして、これら2枚の駆動ギアは、回転方向が互いに逆になっており、切断刃ローラ62と受けローラ65との間で挟まれた印字テープ40をラベル排出口6に向かって搬送するように各ギアが回転するようになっている。
次に、切れ目形成ユニット60による印字テープ40の切れ目形成方法について説明する。はじめに、切れ目形成ユニット60が第1の状態で固定された場合について説明する。図1に示すように、本体容器2の一対の差込固定枠71,72には、切れ目形成ユニット60が第1の状態で固定されている。このとき、図5に示すように、ローラ支持軸67に連結軸67aを介して連結されたギア75は、本体容器2の底面側に設けられた駆動機構(図示外)の駆動ギアと係合する。これによって、ギア75が回転し、受けローラ65全体が回転する。そして、図6に示すように、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ40のテープ基材42側に接触し、テープ基材42及び粘着剤層43にまで到達する。
さらに、この状態で、受けローラ65(図5参照)が回転すると、印字テープ40のテープ基材42及び粘着剤層43が切断される。こうして、図7に示すように、テープ基材42上に一対の切れ目47,47を、テープ基材42の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これによって、テーププリンタ1のラベル排出口6(図1参照)から所望の幅でテープ基材42が切断された印字済みのラベルを得ることができる。
次に、切れ目形成ユニット60が第2の状態で固定された場合について説明する。図8に示すように、本体容器2の一対の差込固定枠71,72には、切れ目形成ユニット60が第2の状態で固定されている。このとき、図5に示すように、ローラ支持軸67に連結軸67aを介して連結されたギア75は、本体容器2の底面側に設けられた駆動機構(図示外)の駆動ギア(第1の状態で係合した駆動ギアとは別の駆動ギア)と係合する。これによってギア75が回転し、受けローラ65全体が回転する。そして、図9に示すように、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ40の剥離シート45に対向して接触し、粘着剤層43まで到達する。
さらに、この状態で、受けローラ65が回転すると、印字テープ40の剥離シート45及び粘着剤層43が切断される。こうして、図10に示すように、印字テープ40の剥離シート45に一対の切れ目48,48を、剥離シート45の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これによって、テーププリンタ1のラベル排出口6(図8参照)から、切れ目48,48によって剥離シート45の剥がし易い印字済みのラベルを得ることができる。なお、ノンラミネートタイプの印字テープ40を使用する場合、切れ目形成ユニット60を第2の状態で固定する時は、切れ目形成ユニット60の切断刃ローラ62の切断刃63を、切断刃支持軸64の略中央に一枚だけにして設けてもよい。
このように、ノンラミネートタイプの印字テープ40を排出するテープカセット11がテーププリンタ1に装着された場合、切れ目形成ユニット60の配置向きを第1の状態と第2の状態とで変更することによって、印字テープ40の何れかの面に切れ目を形成することができる。そして、切れ目形成ユニット60の配置向きを第1の状態にした場合は、テープ基材42に、一対の切れ目47,47を、テープ基材42の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これにより、所望の幅でテープ基材42が切断された印字済みのノンラミネートタイプのラベルを得ることができる。一方、切れ目形成ユニット60の配置向きを第2の状態にした場合は、剥離シート45に、一対の切れ目48,48を、剥離シート45の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これにより、剥離シート45の剥がし易い印字済みのノンラミネートタイプのラベルを得ることができる。
次に、テーププリンタ1に、ラミネートタイプの印字テープ80を排出するテープカセット110が装着された場合について説明する。図11は、カバーが開かれ、テープカセット110が装着されたテーププリンタ1の先端側の平面図(切れ目形成ユニット60が第1の状態)であり、図12は、テープカセット110の斜視図であり、図13は、テープカセット110の下ケース12の平面図(上ケース13を取り外した状態)であり、図14は、ラミネートタイプの印字テープ80の部分断面斜視図であり、図15は、切断刃63によって、印字テープ80の剥離シート87に切れ目が形成される様子を示す説明図であり、図16は、カバーが開かれ、テープカセット110が装着されたテーププリンタ1の先端側の平面図(切れ目形成ユニット60が第2の状態)であり、図17は、切断刃63によって、印字テープ80のフィルムテープ82側に切れ目が形成される様子を示す説明図である。また、図11の右側をテーププリンタ1の先端側とし、図12の右斜め下側をテーププリンタ1の前側とし、図12の左斜め上側をテーププリンタ1の後ろ側とし、図13の下側をテーププリンタ1の前側とし、図13の上側をテーププリンタ1の後ろ側とする。なお、テープカセット110に付した符号について、テープカセット11と同じ構成部分については、同じ符号を付すものとする。
図11に示すように、テーププリンタ1のカセット装着部5には、ラミネートタイプの印字テープ80を排出するテープカセット110が着脱可能に装着されている。
ここで、テープカセット110の構造について説明する。図12に示すテープカセット110は、ラミネートタイプの印字テープ80を排出するものであり、上記したテープカセット11(図2参照)とほぼ同様の構造を備えるものである。このテープカセット110は、下ケース12と、該下ケース12の上部に固定される上ケース13とを筐体に備えている。
そして、図12に示すように、上ケース13には、フィルムテープ82(図13参照)を巻回して支持するフィルムテープスプール370(図13参照)を回動可能に支持する支持孔130と、粘着テープ83(図13参照)を、粘着テープ83の剥離シート87(図14参照)側を外側に向けて巻回して支持する粘着テープスプール380(図13参照)を回動可能に支持する支持孔140と、テーププリンタ1のサーマルヘッド7(図11参照)によって、フィルムテープ82(図13参照)の印字面上に文字、記号、図形等を印字する際、リボンスプール30(図13参照)からインクリボン29(図13参照)を引き出し、さらに、使用済みのインクリボン29を巻き取るリボン巻取スプール31(図13参照)を支持する支持孔150とが形成されている。なお、図13に示すように、下ケース12についても同様に、上ケース13の各支持孔130,140,150(図12参照)に対向して上下方向に連続する支持孔130a,140a,150aが各々形成されている。その他のテープカセット110の外部構造については、上記したテープカセット11(図2参照)と同様である。
次に、テープカセット110の内部構造について説明する。図13に示すように、下ケース12内の後部右側には、透明なフィルムテープ82を巻回して支持するフィルムテープスプール370が、前記支持孔130(図12参照)を介して回転可能に配置されている。さらに、下ケース12内の後部左側には、粘着テープ83を巻回して支持する粘着テープスプール380が、前記支持孔140(図12参照)を介して回転可能に配置されている。さらに、下ケース12の前部右側には、インクリボン29を巻回したリボンスプール30が回転可能に配置されている。
次に、ラミネートタイプの印字テープ80について説明する。図14に示すように、テープカセット110のテープ排出口27(図12,図13参照)から排出される印字テープ80は、片面に印字面を有する透明なフィルムテープ82と、該フィルムテープ82の裏面側に設けられた印字面に積層されて接着される粘着テープ83とから構成されている。
そして、粘着テープ83は、透明なフィルムテープ82の背景となる背景基材85と、該背景基材85の、フィルムテープ82側の面に塗工された粘着剤層84と、前記背景基材85の、粘着剤層84が塗工された面とは反対面に塗工された粘着剤層86と、該粘着剤層86を挟んで、背景基材85の片面に剥離可能に接着された剥離シート87とから構成されている。なお、剥離シート87の材質は、紙や樹脂フィルム等が挙げられる。また、図示しないが、剥離シート87の、背景基材85側に、粘着剤層86を介して接着される面には、剥離剤としてのシリコン膜が塗工されているため、剥離シート45を背景基材85から容易に剥がすことができる。こうして、得られるラミネートタイプの印字テープ80は、透明なフィルムテープ82を使用しているので摩擦等に強く、水等の濡れにも強い。なお、図14に示すフィルムテープ82が、「第1のテープ」に相当し、粘着テープ83が、「第2のテープ」に相当する。また、「第2のテープ」は、粘着剤層84と、背景基材85と、粘着剤層86と、剥離シート87とで構成されている。
次に、テープカセット110における印字テープ80の搬送経路について説明する。図13に示すように、フィルムテープ82は、まず、テープ送りローラ22と、テーププリンタ1の圧接ローラ26(図11参照)との協働により、フィルムテープスプール370から引き出される。次いで、フィルムテープスプール370から引き出されたフィルムテープ82は、リボンスプール30の外側を通過しながらアーム部18に沿って搬送される。さらに、フィルムテープ82は、裏面側に設けられた印字面を壁部19a側に向けた状態で開口18aから送出され、ヘッド装着部19の前側に向かって搬送される。
一方、開口18aの近傍で、このフィルムテープ82の印字面上に、リボンスプール30から引き出されたインクリボン29が重合される。さらに、テーププリンタ1のサーマルヘッド7とプラテン8(図11参照)との間に、フィルムテープ82とインクリボン29とが重合された状態で搬送され、フィルムテープ82の印字面に文字、図形、記号等が実際とは逆向きに印字される。その後、印字済みのフィルムテープ82は、一対の規制部材24,25(図12参照)によって幅方向の位置が規制され、テープ送りローラ22に搬送される。
一方、粘着テープスプール380に巻回して支持された粘着テープ83は、テープ送りローラ22とテーププリンタ1の圧接ローラ26との協働によって引き出される。ここで、粘着テープ83の粘着剤層84側が、フィルムテープ82の印字面上に重合され、テープ送りローラ22とテーププリンタ1の圧接ローラ26とによって圧接されて一本の印字テープ80が作成される。こうして、テープ排出口27から印字テープ80がテーププリンタ1の切れ目形成ユニット60(図11参照)に向かって搬送される。
次に、切れ目形成ユニット60による印字テープ80の切れ目形成方法について説明する。はじめに、切れ目形成ユニット60が第1の状態で固定された場合について説明する。図11に示すように、本体容器2の一対の差込固定枠71,72には、切れ目形成ユニット60が第1の状態で固定されている。このとき、図15に示すように、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ80の剥離シート87側に接触し、剥離シート87及び粘着剤層86にまで到達する。
さらに、この状態で、受けローラ65(図5参照)が回転すると、印字テープ80の剥離シート87及び粘着剤層86が切断される。こうして、図10に示す印字テープ40の切れ目48、48と同様な一対の切れ目を、剥離シート87上に形成することができる。これによって、テーププリンタ1のラベル排出口6(図11参照)から、切れ目によって剥離シート87が剥がし易い印字済みのラベルを得ることができる。なお、ラミネートタイプの印字テープ80を使用する場合、切れ目形成ユニット60を第1の状態で固定する時は、切れ目形成ユニット60の切断刃ローラ62の切断刃63を、切断刃支持軸64の略中央に一枚だけにして設けてもよい。なお、図11に示す切れ目形成ユニット60の第1の状態が、「第4の状態」に相当する。
次に、切れ目形成ユニット60が第2の状態で固定された場合について説明する。図16に示すように、本体容器2の一対の差込固定枠71,72には、切れ目形成ユニット60が第2の状態で固定されている。このとき、図17に示すように、切断刃ローラ62の一対の切断刃63,63の各先端部は、印字テープ80のフィルムテープ82側に接触し、フィルムテープ82、粘着剤層84、背景基材85及び粘着剤層86にまで到達する。
さらに、この状態で、受けローラ65(図16参照)が回転すると、フィルムテープ82、粘着剤層84、背景基材85及び粘着剤層86が切断される。こうして、図7に示す印字テープ40の切れ目47、47と同様な一対の切れ目を、フィルムテープ82及び背景基材85上に形成することができる。これによって、テーププリンタ1のラベル排出口6(図16参照)から所望の幅でフィルムテープ82及び背景基材85が切断された印字済みのラベルを得ることができる。なお、図16に示す切れ目形成ユニット60の第2の状態が、「第3の状態」に相当する。
このように、ラミネートタイプの印字テープ80を排出するテープカセット110がテーププリンタ1に装着された場合でも、切れ目形成ユニット60の配置向きを第1の状態と第2の状態とで変更することによって、印字テープ80の何れかの面に切れ目を形成することができる。そして、切れ目形成ユニット60の配置向きを第1の状態にした場合は、剥離シート87に一対の切れ目を、剥離シート87の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これにより、剥離シート87の剥がし易い印字済みのラミネートタイプのラベルを得ることができる。一方、切れ目形成ユニット60の配置向きを第2の状態にした場合は、フィルムテープ82及び背景基材85上に、一対の切れ目を、フィルムテープ82の幅方向の両端部の長さ方向に沿って各々形成することができる。これにより、所望の幅でフィルムテープ82及び背景基材85が切断された印字済みのラミネートタイプのラベルを得ることができる。
以上説明したように、本実施形態であるテーププリンタ1は、ノンラミネートタイプの印字テープ40及びラミネートタイプの印字テープ80の何れのタイプにも対応できる切れ目形成ユニット60を備え、切れ目形成ユニット60の配置向きを変えることによって、それら各種タイプの印字テープ40,80の何れかの面に対して切れ目を形成することができる。これにより、テーププリンタの内部機構を設計変更しなくても、ノンラミネートタイプの印字テープ40及びラミネートタイプの印字テープ80の何れのタイプにも対応することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。例えば、切断刃ローラ62には一対の切断刃63,63が支持されているが、1枚の切断刃63のみを支持させてもよく、2枚以上の切断刃63を支持させてもよい。また、印字テープの何れの面に切れ目を形成させるかで、切断刃63の枚数を変更してもよい。例えば、剥離シート上に切れ目を入れる場合は、少なくとも一本あればよいので、切断刃63は一枚だけにしてもよい。また、テープ基材側(フィルムテープ側)に切れ目を形成する場合、一度に複数の細幅の印字ラベルが欲しいような場合は、切断刃63の枚数を多くしてもよい。