以下、本発明の第1の実施形態であるテープカセット1について、図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態であるテープカセット1の斜視図であり、図2は、上ケース3を取り外した下ケース2の平面図であり、図3は、印字テープ30の部分断面斜視図であり、図4は、図2に示す切断刃ユニット40近傍を示す部分拡大図であり、図5は、切断刃ユニット40の斜視図であり、図6は、切断刃ユニット40の側面図であり、図7は、切断刃45によって、印字テープ30のテープ基材32が切断される様子を示した説明図である。また、図1において、右斜め下方をテープカセット1の前方とし、左斜め上方をテープカセット1の後方とし、図2において、下方をテープカセット1の前方とし、上方をテープカセット1の後方とする。また、以下の説明では、テープ基材32に切れ目が入れられた印字テープ30のことを「ハーフカットの印字テープ30」と呼ぶことにする。
なお、第1の実施形態のテープカセット1は、カセット内部の印字テープ30の搬送経路上に、一対の切断刃45,45を支持する切断刃ユニット40を設け、カセット内部で、印字テープ30のテープ基材32に一対の切れ目37,37を形成できる点に特徴を有するものである。
はじめに、テープカセット1の概略構成について説明する。図1に示すテープカセット1は、テーププリンタ(図示外)に着脱可能に装着され、下ケース2と、該下ケース2の上側に固定される上ケース3とを筐体に備える。なお、図1に示す下ケース2と、上ケース3とが「ケース」に相当する。
図1に示すように、上ケース3には、印字テープ30の剥離シート35側を外側に向けて巻回して支持するテープスプール18(図2参照)を回動可能に支持する支持孔4と、テーププリンタのサーマルヘッド(図示外)によって、印字テープ30のテープ基材32上に文字、記号、図形等を印字する際、リボンスプール20(図2参照)からインクリボン19を引き出し、さらに、使用済みのインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21(図2参照)を支持する支持孔5とが形成されている。また、図2に示すように、下ケース2についても同様に、上ケース3の各支持孔4,5に対向して連続する支持孔4a,5aが各々形成されている。
また、図1に示すように、テープカセット1の前側(図1中右下側)の側面には、テープスプール18(図2参照)から引き出された印字テープ30を、リボンスプール20(図2参照)から引き出されたインクリボン19とともに後述するヘッド装着部9に案内し、開口8aから送出させるアーム部8が設けられている。さらに、このアーム部8の開口8aの近傍には、アーム部8と、該アーム部8に対向する壁部9aとに囲まれて形成され、テーププリンタのサーマルヘッド(図示外)等が装着されるために開口するヘッド装着部9が設けられている。そして、このヘッド装着部9を形成する壁部9aには、テープカセット1の後方に向かって凹状に湾曲し、上下方向に延設された第1嵌合部10が形成されている。また、ヘッド装着部9の左側(図1中左側)の側壁には、その第1嵌合部10と直交する方向(壁部9aに沿った方向)に凹状に湾曲する第2嵌合部11が形成されている。そして、これら各第1嵌合部10、第2嵌合部11は、テーププリンタのサーマルヘッドを支持するヘッドホルダ(図示外)に形成された2つの各突起部(図示外)に嵌合されるものである。これにより、ヘッド装着部9に対するサーマルヘッドの装着を、印字テープ30およびインクリボン19に対して干渉することなく確実に行うことができる。
さらに、図1に示すように、印字テープ30およびインクリボン19の搬送方向において、ヘッド装着部9の下流側には、上下方向に貫通する支持孔13が設けられ、該支持孔13の内側には、テープ送りローラ12が回動可能に支持されている。このテープ送りローラ12は、該テープ送りローラ12に対向して配置されるテーププリンタの圧接ローラ(図示外)との協働により、テープスプール18(図2参照)から印字テープ30を引き出すものである。また、テープ送りローラ12の近傍であって、印字テープ30の走行方向の上流側には、上下一対の規制部材14、15が設けられている。これら各規制部材14、15は、サーマルヘッド(図示外)の下流側にて文字等が印字された印字テープ30を幅方向に規制して、テープ排出口24に向かって印字テープ30を案内するものである。また、これら各規制部材14、15の内側には、図2に示すように、ヘッド装着部9を経由して搬送された使用済みのインクリボン19を、印字テープ30から離間させて、リボン巻取スプール21に向かって案内するための案内部25が設けられている。そして、その案内部25に沿って、使用済みのインクリボン19を通過させるための案内孔25aが設けられている。
また、図1,図2に示すように、テープカセット1の右後縁位置(図1,図2の右上側)には、カセット検出部16が形成されている。このカセット検出部16には、テープカセット1の種類(例えば、印字テープ30の幅、インクリボン19に塗布されたインクの色等により、テープカセット1の種類が特定される)を検出するために、所定のパターンをもって複数個のスイッチ孔16aが穿設されている。このスイッチ孔16aの形成パターンは、各テープカセット1の種類に従って異なるパターンとされている。そして、これら各スイッチ孔16aは、テーププリンタ(図示外)側に配設された複数個の検出スイッチ(図示外)のオン・オフの組合せに基づいて検出されるものである。
次に、テープカセット1の内部構造について説明する。図2に示すように、下ケース2内の後部(図2中上部)左側には、印字テープ30を巻回したテープスプール18が、前記支持孔4(図1参照)を介して回動可能に配置されている。また、下ケース2の前部(図2中下部)右側には、インクリボン19を巻回したリボンスプール20が回動可能に配置されている。さらに、テープスプール18とリボンスプール20との挟まれた間には、リボンスプール20からインクリボン19を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン19を巻き取るリボン巻取スプール21が、前記支持孔5(図1参照)を介して回動可能に配置されている。なお、図示しないが、リボン巻取スプール21の下部には、クラッチバネが取り付けられている。このクラッチバネは、リボン巻取スプール21が逆転して巻き取ったインクリボン19が緩んでしまうことを防止するものである。
そして、下ケース2の後部右側であって、印字テープ30の搬送経路上には、テープスプール18から引き出された印字テープ30のテープ基材32(図3参照)に対し、一対の切れ目37,37(図1,図5,図6参照)を形成するための一対の切断刃45,45(図4,図5参照)をともに支持する略円筒状の切断刃ユニット40が配置されている。さらに、上述した案内孔25aを通過して、リボン巻取スプール21に向かって搬送される使用済みのインクリボン19と、テープスプール18に巻回して支持された印字テープ30との間には、インクリボン19と印字テープ30とが互いに接触するのを防止するための分離壁27が起立して設けられている。なお、上記した切断刃ユニット40が本発明の特徴であり、切断刃ユニット40の詳細な構造については後述する。
次に、印字テープ30について説明する。図3に示すように、テープカセット1(図1参照)に収納される印字テープ30は、長尺状のテープ基材32と、該テープ基材32の一面に塗布形成された粘着剤層33と、該粘着剤層33を介して、テープ基材32の前記一面に剥離可能に接着された長尺状の剥離シート35とから構成されている。そして、テープ基材32の、粘着剤層33が塗布形成される一面とは反対の面が、テーププリンタ(図示外)の印字機構によって印字される印字面となっている。また、剥離シート35の材質は、紙や樹脂フィルムである。なお、図示しないが、剥離シート35の、テープ基材32側に、粘着剤層33を介して接着される面には、剥離剤としてのシリコン膜が塗工されている。
次に、本発明の特徴である切断刃ユニット40について説明する。図2に示すように、切断刃ユニット40は、下ケース2の後部右側に設けられ、テープスプール18から引き出された印字テープ30の搬送経路上(図4参照)に起立して配置されている。図4,図5に示すように、この切断刃ユニット40は、略円筒状のユニット本体41と、該ユニット本体41の外周面に沿って設けられ、一対の切断刃45,45を互いに上下に所定間隔を空けて支持する切断刃支持台42と、当該切断刃支持台42に支持され、略アーチ型(図4,図7参照)に湾曲する先端部を有する一対の切断刃45,45とから構成されている。
次に、切断刃ユニット40の各構成部品について説明する。まず、ユニット本体41は樹脂製であって、図5及び図6に示すように、略円筒状に形成されている。そして、その外周面の一部が、印字テープ30の搬送経路側に対向するように、下ケース2の後部右側(図2参照)に固定されている。
また、切断刃支持台42は、図4乃至図6に示すように、ユニット本体41の外周面に沿って湾曲する板状に形成されている。そして、この切断刃支持台42は、ユニット本体41の外周面の軸線方向中央寄りに設けられ、印字テープ30の搬送経路側に対向する位置に固定されている。さらに、図5に示すように、切断刃支持台42の表面(印字テープ30の搬送経路に対向する面)には、印字テープ30の搬送方向に対して平行に各々延設され、一対の切断刃45,45の各後端部を各々嵌入させ、切断刃支持台42に固定するための一対の嵌入穴43,43が設けられている。そして、これら一対の嵌入穴43,43に固定された一対の切断刃45,45の互いに離間する幅が、印字テープ30のテープ基材32に設ける切れ目37,37の互いに離間する幅となり、実際に使用に供されるテープ基材32の幅となる。したがって、これら嵌入穴43,43の互いに離間する幅を調整することによって、使用者の要望するテープ基材32の幅を有するハーフカットの印字テープ30を提供することができる。
一方、切断刃45は、図4及び図5に示すように、平面視略円弧状に形成されている。そして、その切断刃の、印字テープ30のテープ基材32に接触する先端部は略アーチ型に湾曲している。そして、この切断刃45の先端部とは反対の下端部を、上記した切断刃支持台42の嵌入穴43に嵌入して固定することによって、切断刃45の先端部を、印字テープ30の搬送経路側に向かって突出させることができる。
ここで、切断刃45の高さについて説明する。図7に示すように、切断刃支持台42の表面から印字テープ30の搬送経路に向かって突出させる切断刃45の高さは、印字テープ30のテープ基材32の厚みとほぼ同じになるように調整されている。これにより、例えば、印字テープ30が、切断刃支持台42の表面に接触したときに、切断刃45の先端部は、剥離シート35までは到達しないようになっている。よって、テープ基材32、粘着剤層33、剥離シート35の全てが、切断刃45によって縦断して切断されてしまうのを防止できる。なお、本実施形態では、粘着剤層33の厚みは、テープ基材32および剥離シート35に比べて極薄いため、切断刃45の高さをテープ基材32の厚みとほぼ同じに調整することによって、テープ基材32とともに粘着剤層33も切断することができる。
次に、テープカセット1における印字テープ30の搬送経路について説明する。図2に示すように、印字テープ30は、まず、テープ送りローラ12と、図示しないテーププリンタ側の圧接ローラとの協働により、テープスプール18から引き出される。次いで、テープスプール18から引き出された印字テープ30は、切断刃ユニット40に向かって搬送される。そして、図5,図6に示すように、切断刃ユニット40では、印字テープ30のテープ基材32に、テープ基材32の幅方向の両端部の長さ方向に平行な一対の切れ目37,37が形成され、ここで、ハーフカットの印字テープ30が作製される。なお、この切断刃ユニット40での切れ目形成方法については後述する。
次いで、切断刃ユニット40で一対の切れ目37,37(図5,図6参照)が形成されたハーフカットの印字テープ30は、図2に示すように、リボンスプール20の外側を通過しながらアーム部8に向かって搬送される。そして、印字テープ30は、テープ基材32(図3参照)側を壁部9a側に、剥離シート35(図3参照)側をヘッド装着部9の外方に向けた状態で開口8aから送出され、ヘッド装着部9の前側(図2中下側)に向かって搬送される。そして、この印字テープ30のテープ基材32側に、リボンスプール20から引き出されたインクリボン19が重ねられる。次いで、図示しないテーププリンタのサーマルヘッドとプラテンとの間に、印字テープ30とインクリボン19とが重ねられた状態で搬送され、テープ基材32の印字面に文字、図形、記号等が印字される。その後、印字済みの印字テープ30は、一対の規制部材14,15(図1,図2参照)によって幅方向の位置が規制され、テープ送りローラ12の回転によって、テープ排出口24からハーフカットの印字テープ30(図1参照)が外部に排出される。
次に、切断刃ユニット40での印字テープ30の切れ目形成方法について説明する。図2に示すように、テープスプール18に巻回して支持された印字テープ30は、テープ送りローラ12と、図示しないテーププリンタ側の圧接ローラとの協働により引き出され、切断刃ユニット40に向かって搬送される。そして、印字テープ30は、図4乃至図6に示すように、切断刃ユニット40の切断刃支持台42上を通過する。このとき、図7に示すように、印字テープ30は、テープ基材32側を切断刃ユニット40に向けているため、切断刃支持台42に支持された一対の切断刃45,45の各先端部に、印字テープ30のテープ基材32が接触する。詳細に言うと、これら一対の切断刃45,45の各先端部は、テープ基材32の幅方向の両端部から所定間隔だけ離間する各位置に接触する。このとき、上記したように、各切断刃45の各先端部は、テープ基材32および粘着剤層33(図3参照)までは到達するが、剥離シート35(図3参照)までは到達しないようになっている。よって、この状態で、印字テープ30が搬送方向に向かって引っ張られることにより、印字テープ30の幅方向の両端部の長さ方向に沿って、テープ基材32及び粘着剤層33に一対の切れ目37,37が形成される。こうして、テープカセット1の内部でハーフカットの印字テープ30を作製することができる。
以上説明したように、第1の実施形態のテープカセット1では、印字テープ30の搬送経路上に、一対の切断刃45,45を支持する切断刃ユニット40を設けている。そして、この切断刃ユニット40によって、テープカセット1の内部で、印字テープ30のテープ基材32に一対の切れ目37,37を形成できる点に特徴を有する。これによって、このテープカセット1が装着されるテーププリンタ(図示外)に対して、ハーフカットの印字テープ30を直接供給することができるので、テーププリンタ側に切断刃45,45等を設ける必要がなくなる。さらに、テーププリンタ内部の構造を変更しなくても、テープ基材32に所望の印字を施したハーフカットの印字テープ30を使用者に供給することができる。
また、切断刃ユニット40の切断刃45の高さが、テープ基材32の厚さと同じに調整されているので、切断刃45の先端部が、剥離シート35まで到達するのを防止できる。さらに、印字テープ30は、切断刃ユニット40上を通過するだけで、テープ基材32に切れ目37,37を形成することができるので、切れ目37を形成するために別の動力機構を備える必要もない。さらに、テープカセット1内の印字テープ30の搬送経路上に、切断刃ユニット40を設けるだけでよいので、従来のテープカセットの設計変更が容易である。また、切断刃ユニット40に設ける切断刃45は、印字テープ30の長さに見合った耐久性を有していればよいので、切断刃45の材質を高価なものにする必要もない。さらに、切断刃45は、テープカセット1に収容された印字テープ30全てが使用された時点で、テープカセット1とともに交換されるので、切断刃45の交換時期が遅れるのを防止できる。
次に、第2の実施形態であるテープカセット100について説明する。図8は、第2の実施形態であるテープカセット100の上ケース3を外した下ケース2の平面図であり、図9は、図8に示す切断刃回動ユニット400近傍を示す部分拡大図であり、図10は、切断刃回動ユニット400の断面斜視図であり、図11は、図9に示すA−A線矢視方向断面図(支持部材500は省略)であり、図12は、図9に示すB−B線矢視方向断面図(支持部材500は省略)であり、図13は、支持部材500の斜視図であり、図14は、図9に示すA−A線矢視方向断面図(上ケース3:閉塞状態)であり、図15は、図9に示すB−B線矢視方向断面図(上ケース3:閉塞状態)である。なお、図8において、下方をテープカセット100の前方とし、上方をテープカセット100の後方とする。
なお、第2の実施形態のテープカセット100は、第1の実施形態のテープカセット1の変形例であり、上記した切断刃ユニット40の構造を変形した切断刃回動ユニット400を備えるものである。この切断刃回動ユニット400は、互いに離間幅の異なる2組の切断刃45,45をそれぞれ備え、テープ基材32に形成する切れ目37,37の離間する幅を2通りに調整できる点に特徴を有するものである。
よって、第2の実施形態では、切断刃回動ユニット400の構造を中心に説明し、その他共通部分については、上記第1の実施形態のテープカセット1の説明を援用する。そして、第1の実施形態と構造が同じ部分については、第1の実施形態で使用した符号と同じものを付すものとする。
はじめに、切断刃回動ユニット400について説明する。図8に示すように、切断刃回動ユニット400は、テープカセット100の後部右側に設けられ、テープスプール18から引き出された印字テープ30の搬送経路上に起立して配置されている。そして、図9に示すように、切断刃回動ユニット400は、印字テープ30の搬送経路上に設けられ、ユニット本体となる略円筒状の回動体410(図10参照)と、該回動体410を回転可能に軸支する支持部材500(図13参照)とから構成されている。
次に、回動体410の構造について説明する。図10に示すように、回動体410は、略円筒状の回動本体411と、当該回動本体411の略リング状の上端部(図10の上側:下ケース2内への組み付け時に上端となる一端部)から径方向内側に所定距離だけ延設された平面視略リング状の天井部412と、該天井部412の内周縁から鉛直下方に各々延設され、互いに対向する位置に設けられた一対の操作部415,415と、当該一対の操作部415,415に挟まれる間に3枚ずつ各々設けられ、天井部412の内周縁から鉛直下方に各々延設された6枚の短壁片418(図10では、3枚のみ図示)とから構成されている。さらに、天井部412の略中央には、後述する上ケース3の突出部3a(図14参照)を挿入するための穴部440が設けられている。また、6枚の短壁片418の外側面と、操作部415,415の外側面と、回動本体411の内周面との間には、支持部材500(図13参照)が挿入されるための略円筒状の挿入穴450が設けられている。
次に、回動本体411について説明する。図9,図11に示すように、回動本体411の外周面の互いに対向する各位置には、平面視略長方形状の切断刃支持台420,421が各々設けられている。さらに、図11に示すように、それら切断刃支持台420,421には、一対の切断刃45、45が各々支持されている。そして、切断刃支持台420に支持されている一対の切断刃45,45の離間幅と、切断刃支持台421側の一対の切断刃45,45の離間幅とは互いに異なっている。なお、本実施形態では、切断刃支持台420には、離間幅の広い一対の切断刃45,45が支持され、切断刃支持台421には、離間幅の狭い一対の切断刃45,45が支持されている。
また、図11に示すように、回動本体411の軸線方向略中央部の外周面には、切断刃支持台420,421を互いに反対側に固定するための嵌合溝412a及び412bと、412c及び412dとが、互いに上下に所定間隔を空けて各々設けられ、回動本体411の外周面の周方向に沿って所定の長さで各々延設されている。また、切断刃支持台420,421の各表面には、回動本体411の外周面の周方向に対して平行に各々延設され、一対の切断刃45,45の各後端部を嵌入させて、切断刃支持台420,421に固定するための一対の嵌入穴43,43が各々設けられている。さらに、切断刃支持台420の裏面(回動本体411の外周面に対向する面)には、回動本体411の嵌合溝412a及び412bに各々嵌合するための上下一対の嵌合突起420a及び420bが各々設けられている。一方、切断刃支持台421の裏面(回動本体411の外周面に対向する面)には、回動本体411の嵌合溝412c及び412dに各々嵌合するための上下一対の嵌合突起421a及び421bが各々設けられている。
次に、操作部415,415について説明する。図12に示すように、操作部415は、天井部412の内周縁から鉛直下方に延設された長尺の板状の撓み片416と、該撓み片416の長手方向中間部よりもやや下側に設けられ、回動体410の径方向外側に向かって隆起する凸部417とから構成されている。そして、一対の撓み片416,416の各先端部は、回動体410の下端部から下方にやや突出している。さらに、その突出する撓み片416,416の各先端部をともに手で摘んで、回動体410の径方向内側に向かって付勢すると、撓み片416,416はその方向に向かって撓むようになっている。さらに、その撓んだ状態の撓み片416,416から手を離すと、撓み片416,416は元の真っ直ぐの状態に戻るようになっている。この性質を利用することによって、撓み片416に設けられた凸部417の位置を自由に調整することができる。そして、これら撓み片416,416に設けられた凸部417,417が、後述する支持部材500の嵌合穴501,501(図13参照)にそれぞれ嵌ることによって、回動体410の位置決めを簡単に行うことができる。さらに、撓み片416,416の先端部を摘むことによって、凸部417,417を嵌合穴501,501から外すことができる。なお、これら操作部415,415による回動体410の位置決め動作については後述する。なお、図10に示す回動体410が、「回動部材」に相当する。
次に、支持部材500の構造について説明する。図13に示す支持部材500は、下ケース2の後部右側(図8,図9参照)に起立状に固定されている。そして、上記した回動体410(図10乃至図12参照)を回転可能に軸支するものである。この支持部材500は、略円筒状に形成され、その側面の互いに対向する位置には、外側と内側とが貫通する一対の略長方形状の嵌合穴501,501が各々設けられている。そして、これら一対の嵌合穴501,501には、図12に示す操作部415,415の凸部417,417がそれぞれ嵌るようになっている。したがって、これら一対の操作部415,415の撓み片416,416と、凸部417,417と、一対の嵌合穴501,501とによって、回動体410の位置決め機構が構成されている。なお、これら嵌合穴501,501は、支持部材500の側面を貫通する穴であるが、例えば凹状に窪んだ穴でもよい。
さらに、図13に示すように、この支持部材500が固定される下ケース2の底面には、支持部材500の内周面に連続する平面視略円形状の操作穴2aが設けられている。この操作穴2aは、回動体410の操作部415,415を外側に突出させ、テープカセット100の外側から撓み片416,416を摘んで操作するための穴である。なお、図13に示す支持部材500が、「支持手段」に相当し、操作穴2aが、「穴部」に相当する。
次に、上記構成からなる切断刃回動ユニット400の位置決め構造とその動作について説明する。図14に示すように、回動体410は、自身の挿入穴450の内側に、下ケース2の支持部材500を配置させることによって回転可能に軸支されている。そして、その回動体410の上部に、上ケース3が覆設されている。さらに、回動体410の天井部412の穴部440(図11参照)の内側に、上ケース3の裏面に凸設された突出部3aが挿入されている。一方、下ケース2の操作穴2aからは、操作部415,415の撓み片416、416の各先端部(図14では、1本のみ図示)が外側に向かって各々突出している。
また、図15に示すように、撓み片416、416に各々設けられた凸部417,417は、支持部材500の嵌合穴501,501にそれぞれ嵌っている。この状態では、回動体410の回動は阻止されるため、回動体410が所定回動位置に固定される。なお、この回動体410の所定回動位置は、第1の回動位置と、第2の回動位置との2種類が設定されている。第1の回動位置は、図14に示すように、回動本体411の切断刃支持台420が、印字テープ30の搬送経路に対向する位置として設定され、第2の回動位置は、回動本体411の切断刃支持台421が、印字テープ30の搬送経路に対向する位置として設定されている。また、上記したように、切断刃支持台420には、離間幅の広い一対の切断刃45,45が支持され、切断刃支持台421には、離間幅の狭い一対の切断刃45,45が支持されているので、図14に示すように、例えば、回動体410が、第1の回動位置に位置決めされた場合は、切断刃支持台420が印字テープ30の搬送経路側に対向するので、印字テープ30のテープ基材32(図3参照)には、離間幅の広い切れ目37,37(図1参照)を形成することができる。
次に、回動体410の回動位置を、第1の回動位置から、第2の回動位置に変更する方法について説明する。はじめに、図15に示すように、操作穴2aから突出する撓み片416、416の各先端部を摘んで、回動体410の径方向内側に各々を撓ませる。次いで、支持部材500の嵌合穴501,501に嵌っていた凸部417,417が、嵌合穴501,501から離れる。すると、回動体410の位置決めが解除されるため、回動体410は回転自由となる。次に、撓み片416、416の各先端部を摘んだまま180度回転させ、回動体410を180度回転させる。そして、凸部417,417を、支持部材500の嵌合穴501,501に対向させてから、撓み片416、416の各先端部から手を離す。すると、撓み片416、416は元の真っ直ぐな状態に戻るため、凸部417,417が支持部材500の嵌合穴501,501に再度嵌る。こうして、回動体410の回転は阻止され、第2の回動位置に位置決めされるので、切断刃支持台421が印字テープ30の搬送経路側に対向する。この状態で、印字テープ30が搬送方向に向かって搬送されることによって、印字テープ30のテープ基材32に、離間幅の狭い切れ目37,37(図1参照)が形成される。
以上説明したように、第2の実施形態のテープカセット100は、第1の実施形態の切断刃ユニット40を変形した切断刃回動ユニット400を備えるものである。この切断刃回動ユニット400は、互いに離間幅の異なる2組の切断刃45,45を備えた回動体410と、該回動体410を回転可能に軸支する支持部材500とから構成されている。さらに、回動体410の回動本体411の外周面には、互いに離間幅の異なる1対の切断刃45,45をそれぞれ支持する切断刃支持台420,421が設けられている。そして、下ケース2の操作穴2aから、回動体410の撓み片416、416の各先端部を摘んで回転させることによって、回動体410が回転され、切断刃支持台420,421のうち何れかを印字テープ30の搬送経路に対向させることができる。また、撓み片416、416に各々設けられた凸部417,417が、支持部材500の嵌合穴501,501に嵌るようになっているため、回動体410の位置決めを行うことができる。さらに、撓み片416,416の先端部を摘んで撓ませることによって、嵌合穴501,501から凸部417,417から離れ、回動体410の回動位置の位置決めを解除することができるしたがって、この回動体410を回転させ、切断刃支持台420,421のうち何れかを印字テープ30の搬送経路に対向させてから位置決めを行うことによって、印字テープ30のテープ基材32に形成する切れ目37,37の離間する幅を調整することができる。
なお、本発明のテープカセットは、上記実施形態に限らず、さらに種々の変更が可能である。例えば、切断刃45,45を配置位置は、印字テープ30の搬送経路上であればどこでもよく、上記第1,第2の実施形態の位置とは異なる位置に設けてもよい。そこで、ここでは、この切断刃45,45の配置位置をそれぞれ変更した2つの変形例について説明する。図16は、変形例1のテープカセット150の上ケースを外した下ケース2の平面図であり、図17は、切断刃ユニット540の側面図であり、図18は、変形例2のテープカセット200の上ケースを外した下ケース2の平面図であり、図19は、切断刃ローラ120の側面図である。なお、図16,18において、下方をテープカセット150,200の前方とし、上方をテープカセット150,200の後方とする。
図16に示すように、変形例1のテープカセット150では、切断刃45,45を支持するローラ状の切断刃ユニット540は、リボンスプール20の右側に配置されている。この切断刃ユニット540は、図17に示すように、略円筒状のユニット本体541と、該ユニット本体541の外周面に沿って設けられ、一対の切断刃45,45を互いに上下に所定の間隔を空けて支持する切断刃支持台542と、当該切断刃支持台542に支持され、略アーチ型に湾曲する先端部を有する一対の切断刃45,45とから構成されている。そして、このような構成からなる切断刃ユニット540の切断刃支持台542上を、印字テープ30が通過することにより、印字テープ30のテープ基材32に切れ目37,37を形成することができる。
一方、図18に示すように、変形例2のテープカセット200では、ヘッド装着部9の下流側に設けられた支持孔(図示外)の内側に、2枚のリング状の切断刃455,455を備えた切断刃ローラ120が回動可能に支持されている。この切断刃ローラ120は、図19に示すように、略円筒状のローラ本体121と、該ローラ本体121の外周面に沿って、互いに上下に所定間隔を空けて各々設けられた2枚の略リング状の切断刃455,455とから構成されている。そして、図18に示すように、このような構成からなる切断刃ローラ120は、該切断刃ローラ120に対向して配置されるテーププリンタの受けローラ(図示外)との協働により、印字テープ30を挟み込むことによって、テープスプール18から印字テープ30を引き出すとともに、印字テープ30のテープ基材32に切れ目37,37(図1参照)を形成することができる。