JP2010240939A - ノズル基板、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、並びにノズル基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造中にシリコン基板が割れたり欠けたりすることを低減する。
【解決手段】シリコン基板1の片側面をエッチングして、ノズル孔10、位置決め用のピンアライメント穴13a及びトラック穴13b、外周部14となる部分を形成する工程と、シリコン基板1に酸化膜11aを形成する工程と、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14の部分の酸化膜11aを除去する工程と、エッチングによる加工面と反対側の面からシリコン基板1を研磨及び研削して、ノズル孔10、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を開口する工程とを備える。その際の研磨は、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーを混合した混合スラリーを用いて、CMP加工により行う。
【選択図】図3
【解決手段】シリコン基板1の片側面をエッチングして、ノズル孔10、位置決め用のピンアライメント穴13a及びトラック穴13b、外周部14となる部分を形成する工程と、シリコン基板1に酸化膜11aを形成する工程と、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14の部分の酸化膜11aを除去する工程と、エッチングによる加工面と反対側の面からシリコン基板1を研磨及び研削して、ノズル孔10、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を開口する工程とを備える。その際の研磨は、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーを混合した混合スラリーを用いて、CMP加工により行う。
【選択図】図3
Description
本発明はインクジェットプリンタなどの液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置に係り、特にノズル孔が形成されるノズル基板に関する。
液滴吐出ヘッドの一種であるインクジェットヘッド用ノズル基板の製造においては、シリコン基板にノズル孔を形成した後、そのシリコン基板を支持基板にテープで貼り合わせてから、ノズル孔形成面と反対側面から基板をCMP等により研削して薄くし、ノズル孔を貫通させる方法が利用されている(例えば、特許文献1参照)。なお、「CMP」とは、Chemichal Mechanichal Polishingの略称で、化学的機械的研磨のことである。
しかしながら、研削により薄くしてノズル孔を貫通させる場合に、ノズル基板となるシリコン基板の外周溝、位置決め用のアラインメント穴及びトラック穴などの開口面積が大きい場所については、製造時にチッピングが発生し易くなる。もしシリコン基板にチッピングが発生した場合には、そこを起点にクラックが発生するなどして、製品の歩留まりを低下させる要因となる。
本発明は、上記課題に対応したものであり、ノズル基板及びそれを用いた液滴吐出ヘッドの製造時に、ノズル基板が割れたり欠けたりすることを低減できるノズル基板およびその製造方法を提案するものである。また併せて、そのノズル基板を備えた液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置を提案するものである。
本発明は、上記課題に対応したものであり、ノズル基板及びそれを用いた液滴吐出ヘッドの製造時に、ノズル基板が割れたり欠けたりすることを低減できるノズル基板およびその製造方法を提案するものである。また併せて、そのノズル基板を備えた液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置を提案するものである。
本発明に係るノズル基板は、
液滴吐出面側に開口した直線形状の第1ノズル孔と、前記液滴吐出面側と反対側に開口した前記第1ノズル孔より断面積が大きい第2ノズル孔とが連続したノズル孔と、
前記液滴吐出面側の開口端が面取された形状の位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴と、
前記液滴吐出面側が面取りされた形状の外周部と、を有する。
このノズル基板によれば、ノズル孔などに比して開口面積が大きいピンアライメント穴及びトラック穴の液滴吐出面側開口端が面取りされ、かつノズル基板の外周部が面取りされた形状になっているため、ノズル基板の加工時やノズル基板を液滴吐出ヘッドに組み付ける際に、それらの開口端でのチッピングが低減して、歩留まりが向上する。
液滴吐出面側に開口した直線形状の第1ノズル孔と、前記液滴吐出面側と反対側に開口した前記第1ノズル孔より断面積が大きい第2ノズル孔とが連続したノズル孔と、
前記液滴吐出面側の開口端が面取された形状の位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴と、
前記液滴吐出面側が面取りされた形状の外周部と、を有する。
このノズル基板によれば、ノズル孔などに比して開口面積が大きいピンアライメント穴及びトラック穴の液滴吐出面側開口端が面取りされ、かつノズル基板の外周部が面取りされた形状になっているため、ノズル基板の加工時やノズル基板を液滴吐出ヘッドに組み付ける際に、それらの開口端でのチッピングが低減して、歩留まりが向上する。
本発明に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、液滴吐出部に上記のノズル基板を備えたものである。これにより液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置の製造歩留まりが向上する。
本発明に係るノズル基板の製造方法は、
シリコン基板の片側面をエッチングして、ノズル孔、位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴となる部分、シリコン基板の外周部を形成する工程と、
前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、
前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部の部分に形成された前記酸化膜を除去する工程と、
前記エッチングによる加工面とは反対側の面から前記シリコン基板を研磨及び研削して、前記ノズル孔、前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部を開口する工程とを備えたものである。
この方法によれば、ピンアライメント穴、トラック穴及び外周部の部分では酸化膜が除去され、一方ノズル孔の部分では酸化膜が除去されていないため、シリコン研磨用の研磨剤を使用して研磨を行うと、酸化膜が除去されていないノズル孔開口端の直線性を維持したまま、液滴吐出面側のピンアライメント穴、トラック穴の開口端、外周部の端部を曲面状に形成することができる。
シリコン基板の片側面をエッチングして、ノズル孔、位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴となる部分、シリコン基板の外周部を形成する工程と、
前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、
前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部の部分に形成された前記酸化膜を除去する工程と、
前記エッチングによる加工面とは反対側の面から前記シリコン基板を研磨及び研削して、前記ノズル孔、前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部を開口する工程とを備えたものである。
この方法によれば、ピンアライメント穴、トラック穴及び外周部の部分では酸化膜が除去され、一方ノズル孔の部分では酸化膜が除去されていないため、シリコン研磨用の研磨剤を使用して研磨を行うと、酸化膜が除去されていないノズル孔開口端の直線性を維持したまま、液滴吐出面側のピンアライメント穴、トラック穴の開口端、外周部の端部を曲面状に形成することができる。
なお、研磨をCMP加工により行うことが好ましい。CMP加工は化学的機械的研磨のため、加工時、ノズル孔の損傷をより少なくすることができるからである。
また、CMP加工においては、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーを混合した混合スラリーを用いることが好ましい。このように、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーとの混合比を調整することで、アライメント穴及びトラック穴の開口端の曲面形状、ノズル基板の外周部の曲面形状を所望の形状に調整することができる。
また、CMP加工においては、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーを混合した混合スラリーを用いることが好ましい。このように、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーとの混合比を調整することで、アライメント穴及びトラック穴の開口端の曲面形状、ノズル基板の外周部の曲面形状を所望の形状に調整することができる。
実施形態1(ノズル基板、液滴吐出ヘッド)
図1は、本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドを示した縦断面図である。なお図1では、駆動回路4の部分を模式的に示している。実施形態1に係る液滴吐出ヘッドは、ノズル基板1、キャビティ基板2、電極基板3が順に積層されて構成されている。
図1は、本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドを示した縦断面図である。なお図1では、駆動回路4の部分を模式的に示している。実施形態1に係る液滴吐出ヘッドは、ノズル基板1、キャビティ基板2、電極基板3が順に積層されて構成されている。
ノズル基板1は、シリコン基板からなり、例えば狭い孔径の第1ノズル孔10aとそれより広い孔径の第2ノズル孔10bからなるノズル穴10が形成されている。第1ノズル孔10aは、液滴吐出面1aの側に形成されており、第2ノズル孔部分10bは、キャビティ基板2との接着面1bの側に形成されている。
キャビティ基板2は、例えば単結晶シリコンからなり、底壁が変形可能な振動板23に形成された吐出室(圧力室ともいう)20が複数形成されている。吐出室20はノズル基板1のノズル孔10に連通している。なお、吐出室20は、図1の紙面奥側又は紙面手前側に並んで形成されているものとする。また、キャビティ基板2には、各吐出室20にインク等の液滴を供給するためのリザーバ22が形成されており、このリザーバ22と各吐出室20の間には細溝状のオリフィス21が形成されている。さらに、キャビティ基板2の電極基板3との対向面には、例えば熱酸化によって酸化シリコンからなる絶縁膜24が形成されている。この絶縁膜24は、液滴吐出ヘッドの駆動時の絶縁破壊やショートを防止するために設けられる。
電極基板3は、キャビティ基板2の振動板23のある側に配置されたガラス等から成る基板である。電極基板3には、複数の溝が形成され、各溝内に各振動板23と対向するそれぞれ独立した複数の固定電極(個別電極ともいう)31が形成されて、そのリード部31aが開口部まで引き出されている。振動板23と固定電極31との間にはギャップ30が形成されており、そのギャップ30は封止材33で封止されている。このギャップ30を介した振動板23と固定電極31により、静電力により振動板23が変形する静電アクチュエータが構成される。
電極基板3にはまた、リザーバ22と連通するインク供給孔32が形成されている。このインク供給孔32は、リザーバ22の底壁に設けられた孔25と繋がっており、リザーバ22にインク等の液滴を外部から供給するために設けられている。
電極基板3にはまた、リザーバ22と連通するインク供給孔32が形成されている。このインク供給孔32は、リザーバ22の底壁に設けられた孔25と繋がっており、リザーバ22にインク等の液滴を外部から供給するために設けられている。
ここで図1に示す液滴吐出ヘッドの動作について説明する。なお、キャビティ基板2と各固定電極31の間には駆動回路4が接続されている。駆動回路4によりキャビティ基板2と固定電極31の間にパルス電圧が印加されると、振動板23が静電力によって固定電極31の側に撓み、リザーバ22の内部に溜まっていたインク等の液滴が吐出室20に流れ込む。そして、キャビティ基板2と固定電極31の間に印加された電圧がなくなると、振動板23が元の位置に戻るため吐出室20の内部圧力が高くなり、その圧力によってノズル孔10からインク等の液滴が吐出される。
図2は、ノズル基板1を液滴吐出面側1aから見た上面図である。図2に示すように、ノズル基板1の表面には複数のノズル孔10が直線状に列を形成して配置されている。なお、符号13aは、ノズル基板1をキャビティ基板2に接合する際のピンアライメント穴、符号13bは、ピンアライメント穴13aと共にノズル基板1をキャビティ基板2に接合する際の位置調整用のトラック穴である。
図3は、図2のノズル基板1のA−A部分の断面形状図である。図3に示すように、ノズル基板1のノズル穴10は、その第1ノズル孔10aが液滴吐出面1a側の終端まで直線形状に形成されている。一方、ピンアライメント穴13aやトラック穴(図3にはない)は、液滴吐出面1a側の開口端が面取された形状に形成され、さらにノズル基板1の液滴吐出面1a側の外周部も、液滴吐出面1a側の端部が面取りされた形状となっている。
このため、ノズル基板1の製造時や液滴吐出ヘッドの組み立て時に、チッピングが生じにくく歩留まりが向上する。また、ピンアライメント穴13aやトラック穴13bの液滴吐出面1a側の端部が面取りされた形状のため、ノズル基板1をキャビティ基板2に接合する際のアラインメント作業も容易である。
このため、ノズル基板1の製造時や液滴吐出ヘッドの組み立て時に、チッピングが生じにくく歩留まりが向上する。また、ピンアライメント穴13aやトラック穴13bの液滴吐出面1a側の端部が面取りされた形状のため、ノズル基板1をキャビティ基板2に接合する際のアラインメント作業も容易である。
実施形態2(ノズル基板及び液滴吐出ヘッドの製造方法)
図4〜図6は、実施形態1で説明したノズル基板1の製造工程の一例を示した工程図である。これに基づいて、ノズル基板1の製造方法を説明する。
(A)まず、例えば厚さが625μmの単結晶シリコン基板(以下、ノズル基板1と称する)を準備し、このノズル基板1の両面に熱酸化膜(SiO2)15を厚さ0.5μm程度形成する。そして、接着面1b側の第2ノズル孔10bとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分の熱酸化膜15を除去するパターニングを施す。
(B)ノズル基板1の接着面1b側に厚さ1.0μmのレジスト膜16を形成し、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分のレジスト膜16を除去するパターニングを施す。
(C)異方性ドライエッチングで、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分を所定の深さ(例えば40μm)までエッチングする。
(D)レジスト膜16を除去し、異方性ドライエッチングで第2ノズル孔10bを所定の深さ(例えば40μm)までエッチングする。この際、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分も対応して所定量エッチングされる。
(E)酸化膜15を剥離し、厚さ0.3μmの液滴保護膜11aを熱酸化で形成する。
(F)ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分が開口したシリコンマスク19を、ノズル基板1の異方性ドライエッチングが行われた面に重ねて、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分の液滴保護膜(酸化膜)11aをドライエッチングにより除去する。
(G)接着面1bにサポート基板17を貼り付けた後、液滴吐出面1a側を所定の板厚になるまで、研削及び研磨して薄くし、ノズル孔10、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を貫通させる。
なお、ここでの研磨にはCMP加工を利用するのが好ましい。そのCMP加工において、シリコン研磨用スラリーに酸化膜用スラリーを適切に混合した混合スラリーを用いることで、酸化膜が形成されていないアライメント穴及びトラック穴と、チップ外周部(外縁部に同じ)を滑らかな面取り形状(曲面形状)にしつつ、ノズル孔10の開口端は直線性を維持させることができる。
(H)液滴吐出面1a側からプラズマCVDにより酸化膜を0.2μm形成する。これにより、液滴吐出面1a、ノズル孔10の内面、ピンアライメント穴13aの内面、トラック穴13bの内面、及び外周部14に液滴保護膜11となる厚さ0.2の酸化膜が形成される。
(I)シランカップリング材をディップコートし、液滴吐出面1aに撥水膜12を形成する。この際、ノズル孔10の内壁にも撥水膜12が形成される。
(J)液滴吐出面1aにサポートテープ18を貼り付けてから、接着面1bのサポート基板17を剥離し、接着面1bから酸素若しくはアルゴンのプラズマ処理をすることで、ノズル孔10の内面の撥水膜12を親水化する。
(K)最後にサポートテープ18を剥離して、ノズル基板1が完成する。
以上により、液滴吐出面側1aの開口端が直線性を維持したノズル孔10と、液滴吐出面側1aの開口端や外縁部を曲面形状にしたアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を同時に形成することができる。
図4〜図6は、実施形態1で説明したノズル基板1の製造工程の一例を示した工程図である。これに基づいて、ノズル基板1の製造方法を説明する。
(A)まず、例えば厚さが625μmの単結晶シリコン基板(以下、ノズル基板1と称する)を準備し、このノズル基板1の両面に熱酸化膜(SiO2)15を厚さ0.5μm程度形成する。そして、接着面1b側の第2ノズル孔10bとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分の熱酸化膜15を除去するパターニングを施す。
(B)ノズル基板1の接着面1b側に厚さ1.0μmのレジスト膜16を形成し、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分のレジスト膜16を除去するパターニングを施す。
(C)異方性ドライエッチングで、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分を所定の深さ(例えば40μm)までエッチングする。
(D)レジスト膜16を除去し、異方性ドライエッチングで第2ノズル孔10bを所定の深さ(例えば40μm)までエッチングする。この際、第1ノズル孔10aとなる部分、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分も対応して所定量エッチングされる。
(E)酸化膜15を剥離し、厚さ0.3μmの液滴保護膜11aを熱酸化で形成する。
(F)ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分が開口したシリコンマスク19を、ノズル基板1の異方性ドライエッチングが行われた面に重ねて、ピンアライメント穴13a及びトラック穴13bとなる部分、外周部14となる部分の液滴保護膜(酸化膜)11aをドライエッチングにより除去する。
(G)接着面1bにサポート基板17を貼り付けた後、液滴吐出面1a側を所定の板厚になるまで、研削及び研磨して薄くし、ノズル孔10、ピンアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を貫通させる。
なお、ここでの研磨にはCMP加工を利用するのが好ましい。そのCMP加工において、シリコン研磨用スラリーに酸化膜用スラリーを適切に混合した混合スラリーを用いることで、酸化膜が形成されていないアライメント穴及びトラック穴と、チップ外周部(外縁部に同じ)を滑らかな面取り形状(曲面形状)にしつつ、ノズル孔10の開口端は直線性を維持させることができる。
(H)液滴吐出面1a側からプラズマCVDにより酸化膜を0.2μm形成する。これにより、液滴吐出面1a、ノズル孔10の内面、ピンアライメント穴13aの内面、トラック穴13bの内面、及び外周部14に液滴保護膜11となる厚さ0.2の酸化膜が形成される。
(I)シランカップリング材をディップコートし、液滴吐出面1aに撥水膜12を形成する。この際、ノズル孔10の内壁にも撥水膜12が形成される。
(J)液滴吐出面1aにサポートテープ18を貼り付けてから、接着面1bのサポート基板17を剥離し、接着面1bから酸素若しくはアルゴンのプラズマ処理をすることで、ノズル孔10の内面の撥水膜12を親水化する。
(K)最後にサポートテープ18を剥離して、ノズル基板1が完成する。
以上により、液滴吐出面側1aの開口端が直線性を維持したノズル孔10と、液滴吐出面側1aの開口端や外縁部を曲面形状にしたアライメント穴13a、トラック穴13b及び外周部14を同時に形成することができる。
ここで、上記(G)工程の研磨加工について補足をしておく。
貫通孔に酸化膜が形成されているノズル孔10を、シリコン研磨用スラリーのみで研磨した場合、貫通孔内壁の酸化膜が研磨除去されにくいため、貫通孔の垂直性が維持される。但し、酸化膜用のスラリーを全く混入しない場合は、残った酸化膜がシリコンの研磨を阻害するため、ノズル孔10の先端部に対してその周囲が凹んだ形状となりやすい。
これに対して、貫通孔に酸化膜が形成されていないアライメント穴13aやトラック穴13bでは、貫通孔内壁に酸化膜がない為、シリコンの研磨は阻害されず、垂直方向だけではなく、水平方向にも研磨が行われ、その結果、表面が滑らかな面取り形状となる。
以上を考慮して、シリコン研磨用スラリーと酸化膜用スラリーの混合比を適宜選択することにより、ノズル基板1の貫通孔の先端形状を所望の形状に制御することが可能となる。一般的に言えば、シリコン研磨用スラリーの混合比をUPさせると、アライメント穴、トラック穴、外周部の面取り部分が大きくなる。
なお、CMP加工の際に、研磨パッドの柔軟性をUPし、かつ研磨時の荷重をUPさせることにより、アライメント穴、トラック穴、外周部の面取り部分を大きくできることがわかっている。
貫通孔に酸化膜が形成されているノズル孔10を、シリコン研磨用スラリーのみで研磨した場合、貫通孔内壁の酸化膜が研磨除去されにくいため、貫通孔の垂直性が維持される。但し、酸化膜用のスラリーを全く混入しない場合は、残った酸化膜がシリコンの研磨を阻害するため、ノズル孔10の先端部に対してその周囲が凹んだ形状となりやすい。
これに対して、貫通孔に酸化膜が形成されていないアライメント穴13aやトラック穴13bでは、貫通孔内壁に酸化膜がない為、シリコンの研磨は阻害されず、垂直方向だけではなく、水平方向にも研磨が行われ、その結果、表面が滑らかな面取り形状となる。
以上を考慮して、シリコン研磨用スラリーと酸化膜用スラリーの混合比を適宜選択することにより、ノズル基板1の貫通孔の先端形状を所望の形状に制御することが可能となる。一般的に言えば、シリコン研磨用スラリーの混合比をUPさせると、アライメント穴、トラック穴、外周部の面取り部分が大きくなる。
なお、CMP加工の際に、研磨パッドの柔軟性をUPし、かつ研磨時の荷重をUPさせることにより、アライメント穴、トラック穴、外周部の面取り部分を大きくできることがわかっている。
次に、液滴吐出ヘッドの製造方法の一例を簡単に説明しておく。
まず、ガラス基板に溝を形成し、その溝内にITOを成膜して固定電極(個別電極)31及びリード部31aを形成して、電極基板3を製造する。
続いて、キャビティ基板2となるシリコン基板を、固定電極31に陽極接合する。この際、シリコン基板と固定電極31との間には、後に形成される振動板23が変形する空間となるギャップ30を介在させる。そして、そのシリコン基板にウェットエッチング等を施して、振動板23を底面とした吐出室20、オリフィス21及びリザーバ22等の流路を形成してキャビティ基板2とする。
その後、固定電極31と振動板23との間のギャップ30を封止材33で封止する。
最後に、実施の形態1で説明したノズル基板1を、電極基板3と一体となっているキャビティ基板2の流路形成面側に接着剤で接合して、液滴吐出ヘッドが完成する。
まず、ガラス基板に溝を形成し、その溝内にITOを成膜して固定電極(個別電極)31及びリード部31aを形成して、電極基板3を製造する。
続いて、キャビティ基板2となるシリコン基板を、固定電極31に陽極接合する。この際、シリコン基板と固定電極31との間には、後に形成される振動板23が変形する空間となるギャップ30を介在させる。そして、そのシリコン基板にウェットエッチング等を施して、振動板23を底面とした吐出室20、オリフィス21及びリザーバ22等の流路を形成してキャビティ基板2とする。
その後、固定電極31と振動板23との間のギャップ30を封止材33で封止する。
最後に、実施の形態1で説明したノズル基板1を、電極基板3と一体となっているキャビティ基板2の流路形成面側に接着剤で接合して、液滴吐出ヘッドが完成する。
実施形態3(液滴吐出装置)
図7は、本発明の実施形態3に係る液滴吐出装置の例を示すインクジェット記録装置100である。このインクジェット記録装置100は、実施形態1で説明したノズル基板1を有した液滴吐出ヘッドを備えたものであり、ピンアライメント穴やトラック穴等の液滴吐出面側の開口端や基板外周部が面取りされた形状となっているため、チッピングが生じにくく、装置の歩留まりや耐久性が向上している。
なお、本発明に係る液滴吐出装置は、上記のインクジェットプリンタの他に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置や、液晶表示装置のカラーフィルタの製造装置、DNAデバイスの製造装置等にも適用できる。
図7は、本発明の実施形態3に係る液滴吐出装置の例を示すインクジェット記録装置100である。このインクジェット記録装置100は、実施形態1で説明したノズル基板1を有した液滴吐出ヘッドを備えたものであり、ピンアライメント穴やトラック穴等の液滴吐出面側の開口端や基板外周部が面取りされた形状となっているため、チッピングが生じにくく、装置の歩留まりや耐久性が向上している。
なお、本発明に係る液滴吐出装置は、上記のインクジェットプリンタの他に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置や、液晶表示装置のカラーフィルタの製造装置、DNAデバイスの製造装置等にも適用できる。
1 ノズル基板、1a ノズル基板の液滴吐出面、1b ノズル基板の接着面、2 キャビティ基板、3 電極基板、4 駆動回路、10 ノズル孔、10a 第1ノズル孔、10b 第2ノズル孔、11,11a 液滴保護膜、12 撥水膜、13a ピンアライメント穴、13b トラック穴、20 吐出室(圧力室)、21 オリフィス、22 リザーバ、23 振動板、24 絶縁膜、25 キャビティ基板の液滴供給孔、26 共通電極、30 ギャップ、31 固定電極(個別電極)、31a リード部、32 電極基板の液滴供給孔、33 封止材。
Claims (6)
- 液滴吐出面側に開口した直線形状の第1ノズル孔と、前記液滴吐出面側と反対側に開口した前記第1ノズル孔より断面積が大きい第2ノズル孔とが連続したノズル孔と、
前記液滴吐出面側の開口端が面取された形状の位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴と、
前記液滴吐出面側が面取りされた形状の外周部と、
を有することを特徴とするノズル基板。 - 請求項1記載のノズル基板を液滴吐出部に備えた液滴吐出ヘッド。
- 請求項2記載の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置。
- 請求項1記載のノズル基板の製造方法であって、
シリコン基板の片側面をエッチングして、ノズル孔、位置決め用のピンアライメント穴及びトラック穴となる部分、シリコン基板の外周部を形成する工程と、
前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、
前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部の部分に形成された前記酸化膜を除去する工程と、
前記エッチングによる加工面とは反対側の面から前記シリコン基板を研磨及び研削して、前記ノズル孔、前記ピンアライメント穴、前記トラック穴及び前記外周部を開口する工程とを備えた、ことを特徴とするノズル基板の製造方法。 - 前記研磨をCMP加工により行うことを特徴とする請求項4記載のノズル基板の製造方法。
- 前記CMP加工において、シリコン研磨用スラリーと酸化膜研磨用スラリーを混合した混合スラリーを用いることを特徴とする請求項5記載のノズル基板の製造方法。
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JP2009090775A JP2010240939A (ja) | 2009-04-03 | 2009-04-03 | ノズル基板、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、並びにノズル基板の製造方法 |
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JP2013001107A (ja) * | 2011-06-22 | 2013-01-07 | Seiko Epson Corp | 基板の孔あけ方法及び基板 |
JP2018083316A (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | コニカミノルタ株式会社 | ノズルプレートの製造方法およびインクジェットヘッドの製造方法 |
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2009
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