JP2010240627A - 浄水場の薬品注入制御方法 - Google Patents

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【課題】凝集剤注入後の凝集状態を検出して、凝集剤注入率を適正値に維持するのに好適な浄水場の凝集剤注入制御方法を提供する。
【解決手段】取水した原水中に凝集剤を注入して、この原水に含まれる濁質分をフロック化し、この形成されたフロックを沈降分離する凝集沈殿処理プロセスを含む浄水場の凝集剤注入制御方法において、凝集剤を注入した後の処理水中の残留凝集剤主成分濃度を測定し、測定値と凝集剤注入率に基づいて処理水の凝集剤主成分残留率を求め、凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて原水への凝集剤注入率を補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、取水した原水中の濁質分を凝集沈殿処理する浄水場において、凝集剤の薬品注入量を適切に維持するに好適な浄水場の薬品注入制御方法に関する。
浄水場においては、取水した原水中の濁質分を除去するため、凝集剤を注入して濁質分を凝集させ、生成フロックを沈降分離する操作が行われている。この操作の後、沈降分離しなかった微細なフロックを含有する沈殿処理水はろ過池にてろ過され、清澄なろ過水が得られる。これらの一連の凝集沈殿処理操作に関しては、例えば、〔特許文献1〕に記載されている。
この凝集沈殿処理操作においては、原水に注入する凝集剤注入率の設定が重要な操作因子となるが、一般的には原水水質(濁度,アルカリ度,pH等)の測定結果から予め設定した凝集剤注入モデル式に従って凝集剤注入率を算出し、凝集剤を注入するフィードフォワード方式が採られている。これについては、例えば、〔特許文献2〕に記載されている。
しかし、原水水質が変動して過去に作成された凝集剤注入モデル式の整合性が取れない場合、凝集剤注入率の算出が不適切となり、凝集不良を誘引して沈降性の良いフロックが形成されず、沈殿池でのフロックの沈降分離が促進されない。この結果、沈殿水濁度が高くなると共に、フロックを多量に含む沈殿水がろ過池に導入されるため、ろ過池への負荷が過大となり、ろ過閉塞が早期に進行して、ろ過閉塞を解消するための逆流洗浄操作を頻繁に行う必要が生じるという不都合がある。
上記の不都合への対処法として、沈殿池出口の沈殿水濁度の測定結果に基づいて凝集剤注入率を補正するフィードバック方式が提案されているが、凝集沈殿処理プロセスの滞留時間の関係上、凝集剤注入の良否の結果が沈殿水濁度として判明するまで約3〜4時間要するため、時間遅れが大きい。このため、沈殿水濁度の測定結果に基づいて凝集剤注入率を補正することは合理的でない。
上記の凝集不良の要因は、主に凝集剤注入率の算出が低いことに起因することが多い。
このため、フィードバック制御が困難な状況下では、凝集剤注入モデル式を用いたフィードフォワード方式によって凝集剤注入率を算出する手段が採られ、一般に安全性を高く見込んで高めの凝集剤注入率を算出する操作が実施されている。
しかし、高めの凝集剤注入率の設定は、凝集剤使用コストの増加に繋がるだけでなく、発生汚泥の増量となり、汚泥脱水等の後処理工程への負荷増大に繋がる。
上記以外に、〔特許文献3〕には、アルミニウム系凝集剤を被処理水に添加して懸濁固形物を凝集させ、沈澱処理する水処理設備における凝集剤注入制御システムで、凝集剤が添加された被処理水の溶存アルミニウムイオン濃度を溶存アルミニウムイオン濃度測定装置で測定し、この測定結果から凝集剤の注入率を凝集剤注入率演算装置で演算し、この凝集剤注入率演算結果に基づいて凝集剤注入装置により被処理水へ凝集剤を注入する技術が開示されている。
特開平4−35702号公報 特開平5−146608号公報 特開2008−161809号公報
上述したように、滞留時間が長いプロセスからなる浄水場では、早期に凝集状態を把握し、その結果を凝集剤注入率の補正に反映して適正値に維持することが必要とされる。
ここで、凝集状態の良否の早期検出法として凝集剤注入後の処理水中の凝集剤主成分濃度を測定すれば、濃度の高低によって注入凝集剤が有効に作用している否か、また、凝集剤の注入率が適正か否かの判定指標とすることができる。例えば、凝集剤としてアルミニウム系凝集剤を使用した場合、凝集剤注入後の処理水中の残留アルミニウム濃度を測定して、濃度が低ければ注入凝集剤が有効に作用して沈降性の良いフロックが形成され、最終的に処理水濁度が低くなると判定することができる。逆に、濃度が高ければ、沈降性が悪いフロックが支配的となり、最終的に処理水濁度が高くなると判断できる。
しかし、凝集剤注入率と残留アルミニウム濃度との関係が不明であると共に、残留アルミニウム濃度と処理水濁度(沈殿水濁度)との関係等が不明で、凝集剤注入率の補正指標として処理水中の残留アルミニウム濃度の大小を凝集剤注入率の補正演算に反映させることが困難であった。
本発明の目的は、早期に凝集状態の良否を把握して凝集剤の注入率を適正値に維持するに好適な浄水場の凝集剤注入制御方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、凝集剤注入率を適正値に維持し、過剰な凝集剤注入を抑制するに好適な浄水場の凝集剤注入制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の浄水場の凝集剤注入制御方法は、凝集剤を注入した後のフロックを含有した状態の処理水中の残留凝集剤主成分濃度を測定し、該測定値と凝集剤注入率に基づいて処理水の凝集剤主成分残留率を求め、該凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて前記原水への凝集剤注入率を補正するものである。
又、原水中の有機物濃度を測定し、該測定された有機物濃度に応じて凝集剤主成分残留率の目標値を設定するものである。
本発明によれば、凝集剤注入後の処理水中の残留凝集剤主成分濃度を測定して、測定値と凝集剤注入率に基づいて凝集剤主成分残留率を求め、凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差を凝集剤注入率補正の指標とすることによって、凝集剤注入率が適正値に維持でき、過剰な凝集剤注入を抑制することができ、これに伴う凝集剤注入量及び発生汚泥量の低減が可能となる。
また、有機物濃度が変化しても早期に凝集状態の良否を把握し、精度よく凝集剤注入率の適正値を維持することができ、凝集剤の注入量を抑制し、発生汚泥量の低減を図ることができる。
本発明の実施例1である浄水場の凝集沈殿処理プロセスシステムの構成図である。 本実施例の分級手段としての液体サイクロンの縦断面図である。 図2のA−A矢視断面図である。 本実施例の演算器の演算を示す図である。 凝集剤注入率と残留アルミニウム濃度の関係を示す図である。 凝集剤注入率と処理水濁度及び凝集剤主成分残留率の関係を示す図である。 凝集剤注入率と凝集剤主成分残留率の関係を示す図である。 本発明の実施例2である浄水場の凝集沈殿処理プロセスシステムの構成図である。 凝集剤主成分残留率と処理水濁度の関係を示す図である。 有機物濃度と凝集剤主成分残留率の関係を示す図である。
本発明の各実施例を図面により説明する。
本発明の実施例1を図1から図7により説明する。図1は、本実施例である浄水場の凝集沈殿処理プロセスシステムの構成図である。
河川または湖沼等から取水された原水RWは、導水管(図示せず)を経て沈砂池(図示せず)に至り、ここで、粒径の大きな砂等が沈降除去された後、着水井1に導かれる。
原水RWは、その後、急速混和地2に導かれ、ここで、凝集剤3が注入される。凝集剤3としては、硫酸バンド,PAC(ポリ塩化アルミニウム)等のアルミニウム系凝集剤,または塩化第二鉄,ポリシリカ鉄〔(SiO2)n・(Fe23)〕等に代表される鉄系凝集剤を用いることができ、使用する凝集剤が特に限定されるものではない。
凝集剤3とは別に、原水RWのアルカリ度またはpHが設定目標値よりも低い場合には、凝集補助剤となる水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ剤4が、凝集剤3の注入前の段階で、アルカリ剤注入ポンプ5より、必要に応じて注入される。
凝集剤3は急速混和地2で撹拌混合され、原水RW中の濁質分が凝集してマイクロフロックとなる。その後、マイクロフロックを含有する処理水は、フロック形成池6に導入される。ここで、緩速撹拌するフロッキュレータ7によりフロック相互の衝突が繰返されてフロックの成長が促される。その後、フロックを含有する処理水は沈殿池8に導入され、ここでフロックは沈降分離される。
このようなプロセスを経て、フロックが分離された沈殿水SWは、沈殿池8の下流側に配設されたろ過装置9に導入される。ろ過装置9は、ろ過砂が充填された砂ろ過池、または、MF膜,UF膜等を使用した膜ろ過装置であってもよく、特に限定されるものではない。ろ過装置9では、沈殿池8で沈降分離されなかった微細なフロックがろ過にて除去され、ろ過水FWは、その後、配水池(図示せず)に送られ、最終的に需要端に供給される。
採水ポンプ10により、凝集剤3が注入後の処理水を分級手段11を介して採水する。
本実施例では、フロック形成池6の出口側で採水しているが、その上流側または下流側であってもよく、凝集剤注入後の処理水の採水箇所が特に限定されるものではない。分級手段11は、早期に凝集状態を検出するための手段であり、粒径の大きな沈降性の高いフロックを除外して沈降性の低い微細なフロックを得るための手段である。
分級手段11としては、例えば、図2及び図3に示すような液体サイクロン11Aが用いられる。処理水は、接線方向に配設された液体サイクロン11Aの入口管11Bに流入して旋回流となり、含有フロックFが遠心力の影響を受けて分離され、含有フロックFの分級が行われる。分級後の微細フロックを含有する処理水は、出口管11Cから後述する残留凝集剤濃度測定装置12に導入される。分級された含有フロックFは、排出管11Dから系外に排出される。
なお、処理水の含有フロックFを分級には、液体サイクロンを用いてもよく、沈降槽を用いて分級してもよく、処理水中の含有フロック分級手段が特に限定されるものではない。また、分級手段を用いなくてもよく、その場合は、沈殿池8からの沈殿水SWを採水する。
残留凝集剤濃度測定装置12では、凝集剤としてアルミニウム系凝集剤を使用した場合、処理水中のアルミニウム濃度が残留凝集剤主成分濃度Alとして測定される。アルミニウム濃度は、イオンクロマトグラフ,フレームレス原子吸光光度計,アルミノン法による分光光度計等の測定手段により計測されるが、測定手段が特に限定されるものではない。
一方、凝集剤に鉄系凝集剤を使用した場合、処理水中の鉄濃度が残留凝集剤主成分濃度として測定される。測定手段としては、例えばフェナントロリン法により分光光度計がある。
本発明者らは、凝集剤の過剰または過少注入時における評価指標について検討するため、凝集剤注入率に対する処理水濁度と処理水中の凝集剤主成分残留率の関係を検討した。
原水水質が濁度30度(mg/L),アルカリ度30mg/L,pH7.1,紫外部吸光度(E260)0.05の原水に、アルミニウム系凝集剤(PAC(Poly Aluminium Choride),Al23:10%)の凝集剤を段階的に注入してジャーテストを行い、沈殿操作後の処理水濁度と処理水中の残留凝集剤主成分濃度の測定結果に基づいて、凝集剤注入率に対応した凝集剤主成分残留率について調べた。
ここで、ジャーテストの条件は、1Lのビーカを用い、急速撹拌2分(回転数:140rpm),緩速撹拌10分(回転数:60rpm),静置時間10分である。
その結果を図5に示す。図5に示すように、フロックを含有した処理水中の残留アルミニウム濃度(図中の白丸印)は、凝集剤注入率の増加に比例して高くなる。これに対して、処理水中のフロックをフィルターでろ過してフロックを除去した後の処理水中のアルミニウム濃度(図中の三角印)は、溶解性アルミニウムが主体となって、凝集剤注入率の増減に関係なく一定となり、凝集剤注入率の影響が反映されないことが分かる。
この結果から、凝集剤注入後の処理水中の残留アルミニウム濃度を測定して、測定結果に基づいて凝集状態の良否の判定または凝集剤注入率の補正を行うには、フロック含有状態の処理水を測定対象として、残留凝集剤主成分濃度を測定することが必要である。
処理水中の残留凝集剤主成分濃度は、処理水中に含有するフロックを含め、溶解した凝集剤主成分濃度(溶解性アルミニウム濃度)と、処理水中に溶解していないフロック中の凝集剤主成分濃度とを合算して得た値である。また、フロック含有状態とは、粒径が大きい(沈殿しやすい)フロックを分級し、又は沈殿させた後の処理水の状態であって、処理水中に微小フロックが残存している状態をいう。
例えば、凝集剤としてアルミニウム系凝集剤を用いた場合、残留凝集剤主成分濃度は、残留アルミニウム濃度となり、凝集剤主成分残留率は、残留凝集剤主成分濃度を凝集剤注入率で除して求めた値となる。
図6に、凝集剤注入率に対する処理水濁度と処理水中の凝集剤主成分残留率の関係について調べた結果を示す。図6に示されるように、凝集剤注入率を増加させるに従い処理水濁度が低下する。処理水中の凝集剤主成分残留率は、凝集剤注入率を増加させるに従い、処理水濁度と同様に低下する。これは、処理水濁度の低下に伴い、濁度として検出される処理水中の含有フロック量が減少するので、処理水中の残留凝集剤主成分濃度も低下し、凝集剤主成分残留率が低下するためである。
このように、凝集剤注入率が、その後の凝集剤主成分残留率に影響を与え、凝集剤主成分残留率の高低と処理水濁度の高低とは相関がある。すなわち、凝集剤注入率に対して凝集剤主成分残留率は高い相関性を有することが分る。
この結果から、処理水濁度を適正値に維持し、凝集剤を過不足無く注入して過剰注入を抑制するための評価指標としては、凝集剤主成分残留率が有効である。なお、評価指標として、凝集剤主成分除去率としてよいことも勿論である。
図7に示すように、例えば1度(mg/L)の処理水濁度を維持するための凝集剤主成分残留率の目標値を設定して、設定した目標値よりも凝集剤主成分残留率が高い場合は、凝集剤注入率を増加させて処理水濁度を適正値に維持し、逆に、設定した目標値よりも凝集剤主成分残留率が低い場合は、凝集剤注入率を減少させる操作が必要であることが判明した。
上述した知見から、本実施例では、取水した原水中の濁質分を、凝集剤を注入してフロック化し、形成されたフロックを沈降分離する凝集沈殿プロセスにおいて、凝集剤注入後の処理水中の残留凝集剤主成分濃度を、フロック含有状態で測定し、この測定値と凝集剤注入率に基づいて処理水中の凝集剤主成分残留率を求め、求めた凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて原水への凝集剤注入率を補正している。
この補正により、凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて、凝集剤注入率が過少または過剰である状態を判断することができるので、凝集剤注入率を適正値に維持することが可能となり、良好な凝集沈殿効果が得られる。そして、凝集剤主成分残留率に基づいて凝集剤注入率を補正するようにした場合は、精度良く凝集剤注入率の補正制御が可能となる。
凝集剤注入率の補正制御において、例えば残留凝集剤主成分濃度を測定して、この測定値と設定目標値との偏差に応じて補正制御をすると、凝集剤注入率に対応して残留凝集剤主成分濃度の測定値は多少変動する。これに伴い直接測定値と設定目標値とを対比して算出される偏差も変動し、正負偏差が反転する事項を含むことになり、凝集剤注入率の補正制御の精度低下を招く恐れがある。
これに対して、本実施例のように、制御指標を凝集剤主成分残留率とすると、残留凝集剤主成分濃度の測定値が変動しても、この変動によって凝集剤主成分残留率は大きく影響されず、設定目標値と対比して算出される偏差が残留率変動によって反転することがないので、精度よく凝集剤注入率の補正制御が可能となる。
本実施例は、凝集剤注入後の処理水中の凝集剤主成分残留率を求めて、この残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との正負偏差を求め、原水への凝集剤注入率を正偏差で減じ、負偏差で増加させている。
凝集剤主成分残留率が低い状態では含有フロックが少なく、処理水濁度は良好に維持されている。このため、設定目標値よりも低い正偏差の状態で凝集剤注入率を増加すると、過剰な凝集剤注入率となる。これに対して、本実施例では、正偏差で注入率を減じることによって過剰注入を抑制可能となる。
一方、凝集剤主成分残留率が高い状態では、含有フロックの影響で処理水濁度は高く凝集剤注入率が低い状態にある。このため、負偏差の状態で凝集剤注入率を減じると更に凝集不良を招き処理水濁度が高くなるが、負偏差で注入率を増加させることによって不足分の凝集剤を補うことができ、処理水濁度を低く維持することが可能となる。
残留凝集剤濃度測定装置12で測定された処理水中の残留凝集剤主成分濃度Alは、次に演算器13に入力される。一方、演算器13には、後述する凝集剤注入率PAが入力され、演算器13では、数1により凝集剤主成分残留率RAlが演算される。
〔数1〕
RAl=Al/PA …(1)
演算器13で求められた凝集剤主成分残留率RAlは、凝集剤主成分残留率の設定目標値RAが入力される演算器14に入力され、図4に示すように、または数2により設定目標値RAと処理水中の凝集剤主成分残留率RAlとの偏差±ΔAlが求められる。
〔数2〕
ΔAl=RA−RAl …(2)
すなわち、凝集剤主成分残留率RAlが設定目標値RAよりも低い場合は、凝集剤注入率を減じるように、負の偏差−ΔAlが演算される。一方、処理水中の凝集剤主成分残留率RAlが設定目標値RAよりも高い場合は、凝集剤注入率を増加するように、正の偏差+ΔAlが演算される。
演算器14で演算された凝集剤主成分残留率RAlと目標値RAとの偏差±ΔAlは、原水RWへの凝集剤注入率PAを求めるために演算器15に入力される。演算器15には演算器16から予め基本凝集剤注入率Pが入力されている。
演算器16には、原水水質を測定する水質計17からの測定値Mが入力され、測定値Mに基づいて数3により凝集剤基本注入率Pが演算される。採水ポンプ18により、原水RWを採水して水質計17に供給する。水質計17では、濁度Tu,アルカリ度AL,pH等が測定される。また、水質計17では、原水中の有機物濃度が測定される。有機物濃度の測定手段には、例えば吸光度計が用いられ、紫外部吸光度(E260)が測定される。
〔数3〕
P=eTuc+fALd …(3)
ここで、Pは基本凝集剤注入率、Tuは原水濁度(度)、ALは原水アルカリ度(mg/L)、c,d,e,fは係数である。
演算器15では、入力された偏差±ΔAl値により基本凝集剤注入率Pが補正されて凝集剤注入率PAが求められる。補正後の凝集剤注入率PAは、演算器19に入力される。
一方、演算器19には、流量計20からの原水流量Qが入力され、注入率PAに乗じて凝集剤注入量PAQが算出される。演算器19で求められた凝集剤注入量PAQは、凝集剤注入ポンプ21に入力され、凝集剤注入ポンプ21は、入力された凝集剤注入量PAQに対応した凝集剤3を原水RWに注入する。
原水RWに凝集剤3が注入される場合、本実施例では、処理水中の凝集剤主成分残留率を求め、凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて原水への凝集剤注入率を補正しているので、凝集剤注入率の過少または過剰状態を精度よく判断することができ、凝集剤注入率を適正値に維持することが可能となる。
また、本実施例では、設定目標値と凝集剤主成分残留率との偏差に応じて凝集剤注入率を補正する時に、求められた正偏差で凝集剤注入率を減じる一方、負偏差で注入率を増加させるようにしているので、正偏差下では注入率を減じることによって過剰注入を抑制可能となる。また、負偏差下では注入率を増加させることによって不足分の凝集剤を補うことができ、処理水濁度を低く維持することが可能となる。
本発明の実施例2を図8から図10により説明する。図8は、本実施例である浄水場の凝集沈殿処理プロセスシステムの構成図である。
本実施例は、実施例1と同様に構成されているが、本実施例では、演算器14に入力するための凝集剤主成分残留率RAを演算する演算器22が設けられている。
本実施例では、原水中の有機物濃度を測定して、この有機物濃度に応じて凝集剤主成分残留率の目標値を設定している。
浄水場の取水原水中には、濁度として測定される濁質成分と有機物が含有され、原水濁度の変化と共に有機物濃度も変化する。ここで、凝集剤主成分残留率を求めて、設定目標値との偏差に基づいて凝集剤注入率を補正制御する場合、凝集剤主成分残留率が処理水濁度以外の要素の影響を受けて変化すると凝集剤注入率の補正制御を精度よく行うことが困難となる。
本発明者らは、凝集剤主成分残留率に及ぼす有機物濃度の影響について調べた。原水の有機物としてフミン質を用い、有機物濃度(紫外部吸光度、E260)変化時の処理水濁度及び残留凝集剤主成分濃度について調べた。そして、図9に示す凝集剤主成分残留率と処理水濁度の関係の関係から、適正な処理水濁度(例えば、1度(1mg/L))を維持す
るための凝集剤主成分残留率と各有機物濃度の関係について調べた。
この結果を図10に示す。図10に示すように、凝集剤主成分残留率は、有機物濃度の影響を受けて変化し、有機物濃度が高くなるに従い凝集剤主成分残留率が低下する。
上述した知見から、凝集剤主成分残留率に対する原水中の有機物濃度の影響を取込んで、有機物濃度に応じて凝集剤主成分残留率の設定目標値を設定するようにした。
適正な処理水濁度が得られる凝集剤主成分残留率は、原水中の有機物濃度の影響を受けて変化するので、凝集剤主成分残留率の設定目標値を固定すると、設定した目標値は、原水中の有機物濃度が変化すると、適正な目標値から外れることになる。この場合、固定した目標値と対比して求められる偏差は原水水質に対応した偏差とは異なり、この偏差に従い凝集剤注入率を補正すると過剰または過少な凝集剤が原水に注入される。これに対し、凝集剤主成分残留率の設定目標値を原水中の有機物濃度に応じて設定するようにした場合は、有機物濃度が変化しても、その有機物濃度に応じた適正な凝集剤主成分残留率の設定目標値とその時求められた凝集剤主成分残留率とが対比されて正常な偏差が求められることになる。この結果、原水に過剰または過少な凝集剤が注入されることがなく、適正な凝集剤注入率の補正制御に伴い良好な凝集沈殿作用が遂行されることになる。
本実施例では、原水中の有機物濃度を測定して、この有機物濃度が高くなるに従い凝集剤主成分残留率の目標値を低く設定し、有機物濃度が低くなるに従い凝集剤主成分残留率の目標値を高く設定している。
原水中の有機物濃度に対して適正な処理水濁度を維持するための凝集剤主成分残留率は、有機物濃度が高くなるに従い低下する。このため、凝集剤主成分残留率の目標値は、原水中の有機物濃度に対応して設定する必要があり、有機物濃度が高い状態では目標値を低く設定し、有機物濃度が低い状態では目標値を高く設定することで、原水中の有機物濃度に対応した適正な凝集剤主成分残留率の目標値の設定とすることができる。これにより、処理水中の残留凝集剤主成分濃度と凝集剤注入率に基づいて求められた凝集剤主成分残留率と設定目標値との偏差は、原水中の有機物濃度を反映した正常な偏差として求められ、この偏差に基づく凝集剤注入率の補正制御により良好な凝集沈殿が行われる。
演算器22には水質計177で測定された原水中の有機物濃度OMが入力される。演算器22では、図8に示すように、入力された有機物濃度OMに基づいて、原水中の有機物濃度OMに対応した凝集剤主成分残留率RAが演算され、凝集剤主成分残留率RAは設定目標値RAとして演算器14に入力される。
演算器14では、有機物濃度OMに対応した設定目標値RAが入力されるので、演算器13から入力される凝集剤主成分残留率RAlとの偏差±ΔAlが求められ、偏差±ΔAlは、基本凝集剤注入率Pが入力される演算器15に入力され、演算器15で、偏差±ΔAlに応じて基本凝集剤注入率Pが補正されて凝集剤注入率PAが求められる。求められた凝集剤注入率PAに対応した凝集剤3が原水に注入される。
本実施例では、原水RWに凝集剤3が注入される場合に、凝集剤主成分残留率の目標値を有機物濃度に対応して設定しているので、原水中の有機物濃度が変化しても、その有機物濃度に応じた適正な凝集剤主成分残留率の設定目標値と、その時求められた凝集剤主成分残留率とが対比されて正常な偏差が求められることになる。この結果、原水に過剰または過少な凝集剤が注入されることがなく、適正な凝集剤注入率の補正制御に伴い良好な凝集沈殿作用が遂行されることになる。
また、本実施例では、凝集剤主成分残留率の目標値を有機物濃度に対応して設定する際、有機物濃度が高くなるに従い凝集剤主成分残留率の目標値を低く設定し、有機物濃度が低くなるに従い凝集剤主成分残留率の目標値を高く設定するようにしている。このようにすることにより、正偏差下では注入率を減じることによって過剰注入を抑制可能となる。
また、負偏差下では注入率を増加させることによって不足分の凝集剤を補うことができ、処理水濁度を低く維持することが可能となる。
1 着水井
2 急速混和地
3 凝集剤
4 アルカリ剤
5 アルカリ剤注入ポンプ
6 フロック形成池
7 フロッキュレータ
8 沈殿池
9 ろ過装置
10,18 採水ポンプ
11 分級手段
12 残留凝集剤濃度測定装置
13,14,15,16,19,22 演算器
17 水質計
20 流量計
21 凝集剤注入ポンプ

Claims (4)

  1. 取水した原水中に凝集剤を注入して原水に含まれる濁質分をフロック化させ、該フロックを沈降分離する凝集沈殿処理プロセスを含む浄水場の凝集剤注入制御方法であって、前記凝集剤を注入した後のフロックを含有した状態の処理水中の残留凝集剤主成分濃度を測定し、該測定値と凝集剤注入率に基づいて処理水の凝集剤主成分残留率を求め、該凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との偏差に応じて前記原水への凝集剤注入率を補正する浄水場の凝集剤注入制御方法。
  2. 前記凝集剤主成分残留率と凝集剤主成分残留率の設定目標値との正負偏差を求めて、正偏差で凝集剤注入率を減じ、負偏差で凝集剤注入率を増加させる補正をする請求項1に記載の浄水場の凝集剤注入制御方法。
  3. 前記原水中の有機物濃度を測定し、該測定された有機物濃度に応じて凝集剤主成分残留率の目標値を設定する請求項1に記載の浄水場の凝集剤注入制御方法。
  4. 前記原水中の有機物濃度を測定し、該測定された有機物濃度が高くなるに従い凝集剤主成分残留率の目標値を低く設定し、前記有機物濃度が低くなるに従い前記凝集剤主成分残留率の目標値を高く設定する請求項1に記載の浄水場の凝集剤注入制御方法。
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