本発明の遊技機の演出表示装置は、回転ドラムのドラム動作不良が検知された場合、画像表示器の表示部のうち少なくともドラム動作不良の回転ドラムの前側に位置する部分をドラム遮蔽状態に切換えて維持するとともに、このドラム遮蔽状態に維持されている部分で、通常とは異なるドラム動作不良専用の遊技演出を表示するように、画像表示器を制御するものであり、以下、発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールに取付けられる外枠に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉枠2には遊技盤4が装着され、その遊技盤4の前面側に遊技領域5が形成されている。開閉扉3には窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着され、その透明板3bにより遊技領域5の前側が覆われている。
開閉扉3の窓3aの下側に、遊技球を貯留する貯留皿6と、遊技領域5に遊技球を発射させる発射ハンドル7が装着されている。発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿6から発射位置に導入された遊技球が発射され、ここで、貯留皿6に複数の遊技球が存在する場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域5の上部に投入される。
図1、図2に示すように、遊技盤4には、図示略の多数の障害釘の他、始動入賞口装置10、ゲート11、大入賞口装置12、複数の一般入賞口13、センタ役物14、可動役物15、演出表示装置16(ドラム装置17、画像表示器18)、遊技表示盤19が装着され、遊技盤4の裏面側に制御装置20が装着されている。
始動入賞口装置10は、センタ役物14の下側に配置され、第1,第2始動入賞口10a,10b、第2始動入賞口10bを開閉する開閉部材10c、第1,第2始動入賞口10a,10bに入賞した遊技球を夫々検出する第1,第2始動口SW10d,10e、開閉部材10cを開閉駆動する電チューソレノイド10fを有する。開閉部材10cは、閉位置で第2始動入賞口10bへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で第2始動入賞口10bへの遊技球の入賞を可能にする。ゲート11はセンタ役物14の左側に配置され、ゲート11には通過した遊技球を検出するゲートSW11aが付設されている。
大入賞口装置12は、始動入賞口装置10の下側に配置され、大入賞口12a、大入賞口12aを開閉する開閉部材12b、大入賞口12aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW12c、開閉部材12bを開閉駆動する大入賞口ソレノイド12dを有する。開閉部材12bは、閉位置で大入賞口12aへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で大入賞口12aへの遊技球の入賞を可能にする。各一般入賞口13には入賞した遊技球を検出する一般入賞口SW13aが付設されている。
センタ役物14は遊技盤4のうち窓3aを通して見える部分に大きく配置され、このセンタ役物14に可動役物15と演出表示装置16のドラム装置17と画像表示器18が設けられている。可動役物15は、センタ役物14の上部に配設され、遊技盤4の盤面(前面)と平行方向へ可動に構成されている。センタ役物14は遊技盤4の盤面よりも前方へ張出すセンタ枠部材14aを有し、ドラム装置17は、その9個の回転ドラム40が、また、画像表示器18は、その表示部60が、センタ枠部材14aの内側から前方へ臨むように配設されている。演出表示装置16については、後で詳細に説明する。
遊技表示盤19は、遊技盤4の下部右側に前方へ向けて配置され、第1特別図柄表示器19a、第2特別図柄表示器19b、普通図柄表示器19c、第1特別図柄保留ランプ19d、第2特別図柄保留ランプ19e、普通図柄保留ランプ19fを備えている。
第1特別図柄表示器19aには、第1始動入賞口10aへの遊技球の入賞を契機に第1特別図柄が図柄変動後に表示され、第2特別図柄表示器19bには、第2始動入賞口10bへの遊技球の入賞を契機に第2特別図柄が図柄変動後に表示される。第1又は第2特別図柄表示器19a又は19bに大当り図柄(特定の特別図柄)が表示された場合、大当り遊技が発生して、大入賞口装置12が作動し、通常は閉塞の大入賞口12aを開放するように開閉部材12bを複数ラウンドに亙って開閉動作させる。
普通図柄表示器19cには、ゲート11への遊技球の入賞を契機に普通図柄が図柄変動後に表示される。普通図柄表示器19cに当り図柄が表示された場合、補助遊技が発生して、始動入賞口装置10が作動し、通常は閉塞の第2始動入賞口10bを開放するように開閉部材10cを1又は複数回開閉動作させる。
第1特別図柄保留ランプ19dには、第1始動入賞口10aに入賞した遊技球の数であって第1特別図柄表示器19aでの図柄変動に未だ供していない第1保留数が4個まで表示され、第2特別図柄保留ランプ19eには、第2始動入賞口10bに入賞した遊技球の数であって第2特別図柄表示器19bでの図柄変動に未だ供していない第2保留数が4個まで表示され、普通図柄保留ランプ19fには、ゲート11に入賞した遊技球の数であって普通図柄表示器19aでの図柄変動に未だ供していない保留数が4個まで表示される。
発射ハンドル7を回動操作することで、発射され遊技領域5の上部に投入された遊技球は、複数の障害釘に当たって方向を変えながら落下して、入賞口10a,10b,12a,13の何れかに入賞した場合、そこから遊技領域5外へ排出され、入賞口10a,10b,12a,13の何れにも入賞しなかった場合には、最終的に、遊技領域5の下端部に形成されたアウト口9から遊技領域5外へ排出される。
制御系について説明する。
図2に示すように、制御装置20は、メイン制御装置21とサブ制御装置25とで構成されている。メイン制御装置21は、遊技制御基板22にCPUとROMとRAMを備えて構成され、遊技制御基板22は盤用外部情報端子基板23に接続されている。
サブ制御装置25は、払出制御基板26、演出制御基板27、画像制御基板28、ランプ制御基板29を備え、この複数の制御基板26〜29は夫々CPUとROMとRAMを備えて構成され、更に、演出制御基板27はRTCを備えて構成され、払出制御基板26は枠用外部情報端子基板24に接続されている。
遊技制御基板22は、第1,第2始動口SW10d,10e、ゲートSW11a、大入賞口SW12c、一般入賞口SW13aからの検出信号と、払出制御基板26からの制御情報を受けて、電チューソレノイド10f、大入賞口ソレノイド12d、図柄表示器19a,19b,19c、図柄保留ランプ19d,19e,19fを制御し、払出制御基板26と演出制御基板27と盤用外部情報端子基板23に制御情報(遊技情報)を出力する。
払出制御基板26は、遊技制御基板22からの制御情報と、払出球検出SW31、球有り検出SW32、満タン検出SW33からの検出信号を受けて、払出駆動モータ30を制御し、入賞口10a,10b,12a,13への遊技球の入賞1個について、入賞口10a,10b,12a,13毎に設定された数の遊技球を貯留皿6に払出し、遊技制御基板22と枠用外部情報端子基板24に制御情報(払出情報)を出力する。
演出制御基板27は、遊技制御基板22からの制御情報と、貯留皿6に設けられた演出ボタン34からの操作信号を受けて、画像制御基板28に制御情報を出力し、更に、画像制御基板28からの制御情報を受けて、ランプ制御基板29に制御情報を出力する。画像制御基板28は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、ドラム装置17と画像表示器18とスピーカ35とを制御し、演出制御基板27に制御情報を出力する。ランプ制御基板29は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、主に画像制御基板28による制御に同期させて、可動役物15と枠ランプ36と盤ランプ37とを制御する。
次に、演出表示装置16について詳細に説明する。
図1〜図13に示すように、演出表示装置16は、ドラム装置17と、画像表示器18と、画像制御基板28とで構成されている。
図1、図4〜図11、図13に示すように、ドラム装置17は、9個の合成樹脂製の回転ドラム40と、9個の回転ドラム40を夫々回転駆動する9個のステッピングモータ41と、9個の回転ドラム40に夫々付設された9個の原点位置検出用の光学センサ42(原点スイッチ42)とを備え、9個のステッピングモータ41を制御するモータ制御手段43が、画像制御基板28に構成されている。
9個の回転ドラム40の外周面には、夫々、特定図柄(「7」)を含む複数種類の複数の図柄が印されており、この9個の回転ドラム40が、縦3個×横3個のマトリックス状に、且つ隣接する回転ドラム40間の間隔が小さくなるように、また、夫々左右方向向きの軸心回りに回転するように配置されている。ドラム装置17は、縦3個の回転ドラム40を有するドラム機構45(図5〜図9参照)を3組備え、この3組のドラム機構45を左右方向に並設し遊技盤4に固定のドラムケース50に装着して構成されている。
図5〜図9に示すように、各ドラム機構45は、3個の回転ドラム40、3個のステッピングモータ41、3個の光学センサ42、合成樹脂製のドラムベース部材46、プリント基板47を備えている。
ドラムベース部材46は、側面視にて縦長矩形の板状に形成され、ドラムケース50に固定されている。ドラムベース部材46に左方膨出状に形成された3個のモータ取付台座46aに3個のステッピングモータ41が夫々左向きに取付けられ、ドラムベース部材46に右面側から形成された凹部46bにプリント基板47が取付けられている。
回転ドラム40は筒状に形成され、その内周部側に形成された内鍔部40aの中心部に、ステッピングモータ41の出力軸41aが軸連結部材48を介して相対回転不能に連結されている。こうして、回転ドラム40がステッピングモータ41を介してドラムベース46に回転可能に支持され、回転ドラム40の右端部がドラムベース部材46に接近し、回転ドラム40の内側にステッピングモータ41とモータ取付台座46aの大部分が収容された状態になる。
回転ドラム40の外周部右端縁には、遮蔽板40bが回転ドラム40の回転軸心と平行方向の右方へ突出するように設けられている。光学センサ42は、発光部42aと受光部42bとを有し、この発光部42aと受光部42bとの間を遮蔽板40bが通過するようにプリント基板47に実装され、このプリント基板47を介してドラムベース部材46に取付けられている。ドラムベース部材46には、回転ドラム40の外周部右端縁と対向する部分にセンサ用切欠穴46cが形成され、光学センサ42はセンサ用切欠穴46cからドラムベース部材46よりも左方へ突出している。
プリント基板47には、図示略のモータドライバが設けられ、このモータドライバとステッピングモータ41が配線49で接続されている。ドラムベース部材46には、モータ取付台座46aの近傍に、配線49が通る配線通過穴46dが形成されている。尚、プリント基板47(モータドライバ、光学センサ42)が図示略の配線で画像制御基板28に接続されている。尚、9個の回転ドラム40の遮蔽板40bと9個の光学センサ42とが、9個の回転ドラム40の原点位置を夫々検出する原点検出手段44を構成している。
図10、図11に示すように、ステッピングモータ41は、出力軸41aとモータケース41bを有するとともに、モータケース41bの内部に、軸支部材41c、複数のステータ41d(コイル41d)、マグネットロータ41e、減速ギヤ機構41fを有し、出力軸41aとマグネットロータ41eは、夫々、モータケース41bと軸支部材41cに回転自在に支持され、減速ギヤ機構41fを介して連動連結されている。
減速ギヤ機構41fは、ギヤ部材41g〜41jを有し、ギヤ部材41gはマグネットロータ41eに一体的に設けられ、ギヤ部材41jは出力軸41aに一体的に設けられ、ギヤ部材41h,41iは、夫々、ギヤ軸41k,41lを介して、モータケース41bと支軸部材41cに回転自在に支持されている。ここで、ギヤ部材41g〜41j間の噛合不具合(ギヤ部材41h,41i、ギヤ軸41k,41lの脱落等)が発生し、それが原因で、マグネットロータ41eが断続的に又は連続的に空転して、回転ドラム40が正常に動作しないドラム動作不良が発生する場合がある。
図4に示すように、ドラムケース50は、9個の回転ドラム40の前側に配設されたドラム前カバー51を有し、この前カバー51に上中下3段の左右方向へ延びる部分円筒状の凸カバー部52が形成されている。各段の凸カバー部52に3つの表示窓52aが形成され、合計で縦3×横3=9つの表示窓52aから9個の回転ドラム40の外周面が夫々表示され、各表示窓52aからは1つの図柄を停止表示させることが可能である。
図3、図12、図13に示すように、画像表示器18は、9個の回転ドラム40(前カバー51)の前側に配設された遊技演出用の表示部60を有し、この表示部60の全部又は任意の一部を回転ドラム40を透視可能なドラム表示状態と透視不能なドラム遮蔽状態とに択一的に切換え可能な液晶表示器であり、この画像表示器18を制御する表示制御手段61が、画像制御基板28に構成されている。
表示部60は、液晶表示パネル62と、液晶表示パネル62の後側に配設された液晶調光パネル63とを有し、これら液晶パネル62,63は、3枚の透明パネル64(ガラス基盤64)により挟持されている。液晶表示パネル62と液晶調光パネル63は、夫々、偏向フィルタと多数の液晶セル及び透明電極を有し、完全透過状態(透明)になり得るように構成され、更に、液晶表示パネル62は、多数のカラーフィルタを有し、演出画像(動画)をカラー表示可能に構成されている。
表示部60(パネル62〜64)は、その外周部分が枠部材65に嵌合保持され、枠部材65の前端内側の表示窓65aから前方へ臨んでいる。枠部材65はドラムケース50に固定されている。9個の回転ドラム40の前側にはドラム照明が設けられ、表示部60の後側に液晶バックライトが設けられている。このドラム照明と液晶バックライトとを共通の照明とし、その照明光が表示部60(液晶調光パネル63)と9個の回転ドラム40(前カバー51)とに、それらの間から達するように構成することできる。
表示部60の全部又は任意の一部において、液晶表示パネル62と液晶調光パネル63が共に完全透過状態になる場合に、ドラム表示状態となり、ここで、回転ドラム40が完全透視状に鮮明に表示され、液晶表示パネル62と液晶調光パネル63が共に完全透過状態にならない場合に、ドラム遮蔽状態となる。また、表示部60の全部又は任意の一部において、液晶調光パネル63が完全透過状態になる場合に、液晶表示パネル62が完全透過状態にならない場合、液晶表示パネル62で表示される画像の色調等によって、ドラム表示状態とドラム遮蔽状態の何れかになり、ここでのドラム表示状態では、演出画像が幾分不鮮明に表示されるとともに、その後側に回転ドラム40が半透視状に表示される。
さて、図13に示すように、演出表示装置16は、9個の回転ドラム40の各々について、原点検出手段44による原点位置P0の検出時からステッピングモータ41の回転停止時までのモータ制御手段43におけるモータ停止側制御値Caと、ステッピングモータ41の回転開始時から原点検出手段44による原点位置P0の検出時までのモータ制御手段43におけるモータ起動側制御値Cbとに基づいて、回転ドラム40のモータ制御手段43における制御上の回転位置と実際の回転位置との回転ズレによるドラム動作不良を検知可能な第1のドラム動作不良検知手段70を備えている。この第1のドラム動作不良検知手段70は、画像制御基板28に構成されている。
第1のドラム動作不良検知手段70は、回転ドラム40の回転停止の際の回転方向と回転開始の際の回転方向とが同方向の場合に、モータ停止側制御値Caから算出される回転ドラム40の原点位置P0から停止位置Psまでの回転角度θ(P0→Ps)と、モータ起動側制御値Cbから算出される回転ドラム40の停止位置Psから原点位置P0までの回転角度θ(Ps→P0)との和が360度でない場合に、ドラム動作不良であると判断する。
また、第1のドラム動作不良検知手段70は、回転ドラム40の回転停止の際の回転方向と回転開始の際の回転方向とが逆方向の場合に、モータ停止側制御値Caから算出される回転ドラムの原点位置P0から停止位置Psまでの回転角度θ(P0→Ps)と、モータ起動側制御値Cbから算出される回転ドラム40の停止位置Psから原点位置P0までの回転角度θ(Ps→P0)とが一致しない場合に、ドラム動作不良であると判断する。
また、演出表示装置16は、9個の回転ドラム40の各々について、原点検出手段44による原点位置P0の検出時から次の原点位置P0の検出時までのモータ制御手段43におけるドラム1回転に対応するモータ1回転制御値Ccに基づいて、回転ドラム40のモータ制御手段43における制御上の回転位置と実際の回転位置との回転ズレによるドラム動作不良を検知可能な第2のドラム動作不良検知手段71を備えている。この第2のドラム動作不良検知手段71は、画像制御基板28に構成されている。
第2のドラム動作不良検知手段71は、モータ1回転制御値Ccから算出される回転ドラム40の原点位置P0から次の原点位置P0までの回転角度θ(P0→P0)が360度でない場合に、ドラム動作不良であると判断する。
この演出表示装置16において、ドラム動作不良検知手段70又は71でドラム動作不良が検知された場合に、表示制御手段61が、画像表示器18の表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分をドラム遮蔽状態に切換えて維持するとともに、このドラム遮蔽状態に維持されている部分で、通常とは異なるドラム動作不良専用の遊技演出(演出画像)を表示するように、画像表示器18を制御する。
この場合、表示制御手段61が、ドラム動作不良専用の遊技演出として、9個の回転ドラム40のうちドラム動作不良の回転ドラム40で表示する遊技演出の代わりの遊技演出であって、ドラム動作不良の回転ドラム40で表示する遊技演出を画像で疑似表示させる。また、ドラム動作不良検知手段70又は71でドラム動作不良が検知された場合に、モータ制御手段43が、9個の回転ドラム40のうちドラム動作不良の回転ドラム40を回転させないように、ステッピングモータ41を制御する。
次に、画像制御基板28の表示制御手段61、モータ制御手段43、第1,第2のドラム動作不良検知手段70,71が実行する具体的な処理について説明する。併せて、遊技制御基板22、演出制御基板27が実行する処理についても簡単に説明する。
先ず、遊技制御基板22では、始動入賞口10a,10bへの遊技球の入賞を契機に、大当り抽選とその判定を含む各種抽選判定が行われ、その抽選判定に基づく情報を含む変動開始コマンドが演出制御基板27に出力される。演出制御基板27では、遊技制御基板22から受ける変動開始コマンドの情報に基づいて、図14に示す複数種類の遊技演出パターン1、2、3・・・Nの中から何れか1つの遊技演出パターンが選択設定され、その遊技演出パターンの情報を含む変動演出開始コマンドが画像制御基板28に出力される。
表示制御手段61、モータ制御手段43が実行する表示・モータ制御処理を図15のフローチャートで示す。ここで、モータ制御手段43は、各ステッピングモータ41をモータドライバに出力したパルスにより制御し、各回転ドラム40の回転角度はパルス数により制御され、各回転ドラム40の回転方向はパルスの向きによりが制御され、各回転ドラム40の回転速度はパルス周波数により制御される。尚、図画像表示器18の表示部60の表示領域は、9個の回転ドラム40に夫々対応する9つの表示領域60a〜60iからなるものとする。
図15に示すように、この表示・モータ制御処理では、パチンコ遊技機1の電源投入後に、先ず、初期設定(S1)が実行され、この初期設定では、9個の回転ドラム40を復旧させ、そこで、各回転ドラム40が回転されて、原点検出手段44で原点位置P0を検出され、定位置に回転停止される。
次に、変動演出開始コマンドが演出制御基板27から受信されたか否か判定され(S2)、S2;Noの場合、ドラム動作不良フラグFが1か否か(つまり、ドラム動作不良検知手段70又は71でドラム動作不良が検知されたか否か)判定される(S3)。S3;Noの場合には、通常の待機表示制御処理(S4)が実行されて、S2へリターンし、このS4では、図17に示すように、画像表示器18の表示部60の全部を、回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にする。
S3;Yes の場合には、ドラム動作不良用の待機表示制御処理(S5)が実行されて、S2へリターンし、このS5では、図17の状態に対して、画像表示器18の表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分がドラム遮蔽状態に切換えられて維持され、このドラム遮蔽状態に維持されている部分で、その後側に位置する回転ドラム40のドラム動作不良でない場合の回転停止状態が疑似表示される。例えば、表示領域60aの後側の回転ドラム40がドラム動作不良の場合、図18に示すように、表示部60の表示領域60aがドラム遮蔽状態に維持されるとともに、その表示部60の表示領域60aで、図17と同様に特定の図柄(「7」)を停止表示した回転ドラム40の回転停止状態が疑似表示される。
次に、変動演出開始コマンドが演出制御基板27から受信された場合(S2;Yes )、変動演出開始コマンド(遊技演出パターン)が解析される(S6)。次に、ドラム動作不良フラグFが1でない場合(S7;No)、通常の演出モータ制御処理(S8)と通常の演出表示制御処理(S9)が実行されて、S12へ移行する。
このS8とS9では、9個の回転ドラム40が、図17の状態から、図19に示すように、回転開始した後、選択設定された(S6で解析された)演出パターンに対応するドラム動作(図14参照)で回転し、選択設定されたドラム停止位置で回転停止するように、9個のステッピングモータ41が制御されるとともに、画像表示器18が選択設定された演出パターンに対応する表示演出(図14参照)を実行するように制御される。
S9において、図19に示すように、表示部60の全部を回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にしたり、図20に示すように、表示部60の全部をドラム遮蔽状態にして、そこで演出画像を表示したり、図21に示すように、表示部60の全部を回転ドラム40が半透視状になるドラム表示状態にして、そこで演出画像を幾分不鮮明に表示したりする。
また、図22に示すように、表示部60の一部(例えば、表示領域60f)を回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にするとともに、表示部60の前記一部以外をドラム遮蔽状態にして、そこで演出画像を表示したり、図23に示すように、表示部60の一部(例えば、表示領域60c,60f,60i)を回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にするとともに、表示部60の前記一部以外を回転ドラム40が半透視状になるドラム表示状態にしたりする。
複数種類の遊技演出パターンの表示演出は、夫々、図19〜図23の少なくとも1つを有するものとなる。そして、最終的に、図17と同様に、表示部60の全部を回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にして、S8において、9個の回転ドラム40が、選択設定されたドラム停止位置で回転停止するように、9個のステッピングモータ41が制御され、そこで、大当り抽選で当選している場合には、図24に示すように、3個の回転ドラム40の特定の図柄(「7」)が(図24では、2組)一直線上に並ぶように停止表示される。
一方、図15に示すように、ドラム動作不良フラグFが1の場合(S7;Yes )、ドラム動作不良用の演出モータ制御処理(S10)とドラム動作不良用の演出表示制御処理(S11)が実行されて、S12へ移行する。
このS10とS11では、ドラム動作不良の回転ドラム40以外(例えば、8個)の回転ドラム40が、図18の状態から、図25に示すように、回転開始した後、選択設定された(S6で解析された)演出パターンに対応するドラム動作(図14参照)で回転し、選択設定されたドラム停止位置で回転停止するように、9個のステッピングモータ41が制御されるとともに、画像表示器18が選択設定された演出パターンに対応する表示演出に代わるドラム動作不良用の表示演出(図14参照)を実行するように制御される。
S11において実行される表示演出は、その大部分が、S9において実行される表示演出と同様である。例えば、図20、図22については全く同様である。但し、図19に相当する図25と、図21に相当する図26と、図23に相当する図27では、ドラム動作不良の回転ドラム40を隠蔽するために、表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分(例えば、表示領域60a)がドラム遮蔽状態に維持されるとともに、そこで、その後側に位置する回転ドラム40のドラム動作不良でない場合の回転動作が疑似表示される。尚、表示部60のドラム遮蔽状態に維持されている部分では、図26と図27の場合、図21と図23と同様に、回転ドラム40を半透視状に疑似表示することが望ましく、更に、図26の場合、演出画像の一部を、図21と同様に、幾分不鮮明に表示することが望ましい。
そして、最終的に、図18と同様に、表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分はドラム遮蔽状態に維持され、そこで、その後側に位置する回転ドラム40のドラム動作不良でない場合の回転停止状態が疑似表示されるが、その他の部分を回転ドラム40が完全透視状になるドラム表示状態にして、S11において、ドラム動作不良の回転ドラム40以外の回転ドラム40が、選択設定されたドラム停止位置で回転停止するように、9個のステッピングモータ41が制御される。
そこで、大当り抽選で当選している場合には、3個の特定の図柄(「7」)が一直線上に並ぶように停止表示される。ここで、図28に示すように、一直線上に並ぶ特定の図柄を停止表示させる回転ドラム40が動作不良の場合、表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分(例えば、表示領域60a)で、図24と同様に特定の図柄(「7」)を停止表示した回転ドラム40の回転停止状態が疑似表示される。尚、S12では、変動演出停止コマンドが演出制御基板27から受信されたか否か判定され、S12;Noの場合S7へリターンし、S12;Yes の場合S2へリターンする。
第1のドラム動作不良検知手段70が各回転ドラム40について実行する第1のドラム動作不良検知処理を図29と図30のフローチャートで示し、第2のドラム動作不良検知手段71が各回転ドラム40について実行する第2のドラム動作不良検知処理を図31、図32のフローチャートで示す。この第1,第2のドラム動作不良検知処理は、モータ制御手段43が実行する一連の制御と並行して、微小時間毎の割合処理にて実行される。尚、第1,第2のドラム動作不良検知処理に用いる情報について、回転ドラム40の原点位置検出以外の情報は、モータ制御手段43における制御情報に基づくものである。
図29に示すように、第1のドラム動作不良検知処理では、パチンコ遊技機1の電源投入後に、先ず、初期設定(S20)が実行され、ステッピングモータ41が回転開始するまで待機する。ステッピングモータ41が回転開始すると(S21)、モータ制御値Cnが演算更新される(S22)。このS22と後のS31では、モータ制御手段43がモータドライバに出力したパルスの数と向きに基づいてモータ制御値Cnが演算更新される。
尚、S20では、回転ドラム40の復旧の際、回転ドラム40が回転して、原点検出手段44による原点位置P0の検出時に、モータ制御値Cnが0にリセットされ、その後、回転ドラム40を定位置に回転停止させるために、ステッピングモータ41が回転した場合には、モータ制御値CnがS22同様に演算更新される。尚、S20では、基本的にドラム動作不良フラグFが0にリセットされる。但し、パチンコ遊技機1の前回の電源遮断時から今回の電源投入時まで、ドラム動作不良フラグFを記憶可能に構成して、前回のドラム動作不良フラグF(0又は1)を採用してもよい。
次に、回転ドラム40の原点位置P0が検出されたか否か判定され(S23)、S23;Noの場合はS25へ移行し、S23;Yes の場合は、モータ制御値Cnが0にリセットされ(S24)、その後S25へ移行する。次に、ステッピングモータ41が回転停止したか否か判定され(S25)、S25;Noの場合はS22へリターンし、S22〜S25が繰り返し実行される。
ステッピングモータ41が回転停止した場合(S25;Yes )、最新のモータ制御値Cnがモータ停止側制御値Caとして記憶され(S26)、その後、モータ制御値Cnが0にリセットされ(S27)、ステッピングモータ41が回転開始するまで待機する。ステッピングモータ41が回転開始すると(S28;Yes )、モータ制御値Cnが演算更新され(S29)、次に、回転ドラム40の原点位置P0が検出されたか否か判定され(S30)、S30;Noの場合はS29へリターンし、S29〜S30が繰り返し実行される。
回転ドラム40の原点位置P0が検出された場合(S30;Yes )、最新のモータ制御値Cnがモータ起動側制御値Cbとして記憶され(S31)、その後、モータ制御値Cnが0にリセットされ(S32)、次に、第1のドラム動作不良判定処理(S33)が実行され、その後、S25へリターンする。
図30に示すように、S33の第1のドラム動作不良判定処理では、先ず、回転ドラム40の回転停止の際の回転方向と回転開始の際の回転方向が同方向であるか否か判定される(S40)。詳しくは、モータ制御値Cnに基づいて、回転ドラム40が回転停止した直前に原点位置P0を通過した方向と、回転ドラム40が回転開始した直後に原点位置P0を通過した方向が同方向であるか否か判定される。
S40;Yes の場合には、モータ停止側制御値Caから算出される回転ドラム40の原点位置P0から停止位置Psまでの回転角度θ(P0→Ps)と、モータ起動側制御値Cbから算出される回転ドラム40の停止位置Psから原点位置P0までの回転角度θ(Ps→P0)との和が360度であるか否か判定され(S41)、S41;Yes の場合はリターンし、S41;Noの場合は、ドラム動作不良であると判断し、ドラム動作不良フラグFが1にセットされ(S43)、リターンする。
S40;Noの場合には、モータ停止側制御値Caから算出される回転ドラムの原点位置P0から停止位置Psまでの回転角度θ(P0→Ps)と、モータ起動側制御値Cbから算出される回転ドラム40の停止位置Psから原点位置P0までの回転角度θ(Ps→P0)とが一致するか否か判定され(S42)、S42;Yes の場合はリターンし、S42;Noの場合は、ドラム動作不良であると判断し、ドラム動作不良フラグFが1にセットされ(S43)、リターンする。
次に、図31に示すように、第2のドラム動作不良検知処理では、パチンコ遊技機1の電源投入後に、先ず、初期設定(S50)が実行され、ステッピングモータ41が回転開始するまで待機する。ステッピングモータ41が回転開始すると(S51)、モータ制御値Cnが演算更新される(S52)。このS52では、モータ制御手段43がモータドライバに出力したパルスの数と向きに基づいてモータ制御値Cnが演算更新される。
尚、S50では、回転ドラム40の復旧の際、回転ドラム40が回転して、原点検出手段44による原点位置P0の検出時に、モータ制御値Cnが0にリセットされ、その後、回転ドラム40を定位置に回転停止させるために、ステッピングモータ41が回転した場合には、モータ制御値CnがS52同様に演算更新される。また、基本的にドラム動作不良フラグFが0にリセットされる。但し、パチンコ遊技機1の前回の電源遮断時から今回の電源投入時まで、ドラム動作不良フラグFを記憶可能に構成して、前回のドラム動作不良フラグF(0又は1)を採用してもよい。
次に、回転ドラム40の原点位置P0が検出されたか否か判定され(S53)、S53;Noの場合はS57へ移行する。S53;Yes の場合は、最新のモータ制御値Cnがモータ1回転制御値Ccとして記憶され(S54)、その後、モータ制御値Cnが0にリセットされ(S55)、次に、第2のドラム動作不良判定処理(S56)が実行され、その後、S57へ移行する。S57では、ステッピングモータ41が回転停止したか否か判定され、S57;Yes の場合は、S51へ移行し、S57;Noの場合は、S52へ移行する。
図32に示すように、S56の第2のドラム動作不良判定処理では、モータ1回転制御値Ccから算出される回転ドラム40の原点位置P0から次の原点位置P0までの回転角度θ(P0→P0)が360度であるか否か判定され(S60)、S60;Yes の場合はリターンし、S60;Noの場合には、ドラム動作不良であると判断し、ドラム動作不良フラグFが1にセットされ(S61)、リターンする。
尚、第1,第2のドラム動作不良検知処理については、ドラム動作不良が検知された場合、それ以降は実行中止するようにしてもよい。但し、ドラム動作不良が検知された後、電源遮断後に電源投入した場合には、第1,第2のドラム動作不良検知処理を再開させてもよいし、ドラム動作不良が検知された情報をバックアップにて記憶しておいて、その情報を活用して再開さないようにしてもよい。
次に、この演出表示装置16の作用・効果について説明する。
9個の回転ドラム40の前側に画像表示器18の透過型の表示部60を配設することで、多種多様の遊技演出を実行可能になるとともに、ドラム動作不良検知手段70,71でドラム動作不良が検知された場合、画像表示器18を利用して、その画像表示器18の表示部60のうちドラム動作不良の回転ドラム40の前側に位置する部分をドラム遮蔽状態に切換えて維持することで、ドラム動作不良の回転ドラム40を隠蔽して、ドラム動作不良による欠陥のある遊技演出をそのまま遊技者に見せないようにすることができ、大当り抽選で当選していないのに、3個の回転ドラム40の特定の図柄が一直線上に並んで停止表示される(遊技者に疑惑を抱かせてしまう)ことを防止できる。
しかも、画像表示器18の表示部60のドラム遮蔽状態に維持されている部分で、通常とは異なるドラム動作不良専用の遊技演出を表示することで、ドラム動作不良による欠陥をカバーした遊技演出を実行することができ、演出効果を低下させず維持することができる。ドラム動作不良検知手段70,71でドラム動作不良が検知された場合、9個の回転ドラム40のうちドラム動作不良の回転ドラム40を回転させないことで、回転ドラム40のドラム動作不良による悪影響(例えば、ドラム動作不良の回転ドラム40を回転させたことによる異音や更なる故障)の発生を防止できる。
前記ドラム動作不良専用の遊技演出として、9個の回転ドラム40のうちドラム動作不良の回転ドラム40で表示する遊技演出の代わりの遊技演出を画像表示器18の表示部60に表示させることで、ドラム動作不良による欠陥をカバーした遊技演出を確実に実行することができ、更に、回転ドラム40(ドラム動作不良となった回転ドラム40)で表示する遊技演出を疑似表示させることで、ドラム動作不良による欠陥をカバーした遊技演出を、通常の遊技演出のように遊技者に見せることができる。
第1のドラム動作不良検知処理により、既存の原点検出手段44を用いて、原点検出手段44による原点位置P0の検出時からステッピングモータ41の回転停止時までのモータ制御手段43におけるモータ停止側制御値Caと、ステッピングモータ41の回転開始時から原点検出手段44による原点位置P0の検出時までのモータ制御手段43におけるモータ起動側制御値Cbとに基づいて、回転ドラム40のモータ制御手段43における制御上の回転位置と実際の回転位置との回転ズレによるドラム動作不良を、回転ドラム40のドラム動作不良が発生した回転の開始の際、又は、回転ドラム40のドラム動作不良が発生した回転の停止後の次の回転の開始の際に、迅速に確実に検知できる。
この場合、回転ドラム40の回転停止の際の回転方向と回転開始の際の回転方向とが同方向の場合にも、回転ドラム40の回転停止の際の回転方向と回転開始の際の回転方向とが逆方向の場合にも、回転ドラム40のドラム動作不良が発生した回転開始の際、又は、回転ドラム40のドラム動作不良が発生した回転の停止後の次の回転開始の際に、ドラム動作不良を確実に検知できる。
第2のドラム動作不良検知処理により、既存の原点検出手段44を用いて、原点検出手段44による原点位置P0の検出時から次の原点位置P0の検出時までのモータ制御手段43におけるドラム1回転に対応するモータ1回転制御値Ccに基づいて、回転ドラム40のモータ制御手段における制御上の回転位置と実際の回転位置との回転ズレによるドラム動作不良を、回転ドラム40のドラム動作不良が発生した回転の停止までに、迅速に確実に検知できる。そして、第1のドラム動作不良検知処理と共に、この第2のドラム動作不良検知処理を実行することで、ドラム動作不良の検知精度(検知速度)を高めることができる。
尚、第1,第2のドラム動作不良検知処理については、ステッピングモータ41の出力軸41aに対する回転ドラム40の位置ズレ(本実施例のように、ステッピングモータ41の出力軸41aが回転ドラム40に直結されている場合には、出力軸41aのスベリ)にも対応できる、つまり、ドラム動作不良を検知できるものである。