JP2010236261A - 鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法 - Google Patents

鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変化によるコンクリート、鋼材の伸縮を吸収して温度応力の発生を防止する機能を発揮しつつ、巨礫等を補足した場合において支柱に作用する曲げモーメントを低減することができる鋼製スリットダムを提供すること。
【解決手段】河川の川幅方向に間隔を空けて構築されたコンクリート製の堤体5間に立設された支柱11と、堤体5内に埋め込まれた鞘管19と、端部が鞘管19内に挿入されて堤体5間に架設され支柱11に接続された横梁15とを備えた鋼製スリットダムにおいて、横梁15の下流側外周面15bと鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20に、当該鞘管19の開口19aから抜き差し可能に介装された間隔保持部材21を備えることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、河川の土石流、流木対策用等として好適に用いられる鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法に関するものである。
従来より、土石流発生時に河川を流れる巨礫や流木等の河川下流側への流出を防止するため、特許文献1、2に開示されたような鋼製スリットダムが提案されている。図13は、この鋼製スリットダム101の一つの実施形態を示す斜視図である。
この鋼製スリットダム101は、河川103の川幅方向に間隔を空けて構築されたコンクリート製の堤体105間においてその下端部が基礎コンクリート107に埋設して立設された複数の鋼管からなる支柱111と、堤体105内に埋め込まれた鞘管119と、端部115aが鞘管119内に挿入されて堤体105間に架設され支柱111に接続された複数の鋼管からなる横梁115とを備えている。
図14は、この鞘管119内に挿入された横梁115の端部115aの構成を示す断面図である。この図14に示すように、鋼製スリットダム101は、その横梁115の端部115aが鞘管119内に単に挿入されているのみで、横梁115が鞘管119に対してボルト等で接合されておらず、横梁115と鞘管119との間に横梁115が鞘管119に対して相対移動するだけの余裕代としての間隙120が確保された構成となっている。
このため、鋼製スリットダム101の製作誤差、施工誤差があったとしても、この余裕代としての間隙120によってこれら製作誤差等を吸収し、施工性の向上を図ることが可能となっている。また、温度変化によって堤体105等を構成するコンクリートや横梁115等を構成する鋼材が伸縮した場合、横梁115の端部115aが鞘管119に対して固定されていると横梁115に温度応力が作用し、巨礫等の捕捉時に生じる静荷重や衝撃荷重等の荷重の他に過剰な応力が横梁115に作用することになるので、横梁115として大サイズ、高強度の部材が必要になってしまう。しかし、この鋼製スリットダム101においては、この余裕代としての間隙120によってコンクリート、鋼管の伸縮を吸収することができるので、温度変化による温度応力の影響を受けにくい構造となっている。
また、この鋼製スリットダム101は、支柱111や横梁115がそれぞれの長手方向に分割された複数の柱部材や梁部材をボルトナットによって接続して構成されている。このため、巨礫や流木等を支柱111、横梁115によって捕捉した後に、これら巨礫等の捕捉により損傷した横梁115の端部115aを交換する補修作業時において、ボルトナットを取り外して横梁115を複数の鋼管に分解して横梁115の端部115aを鞘管119内から抜き出すことによって、補修作業を容易に行うことが可能となっている。
特開2007−277972号公報 特開2008−266981号公報
ところで、上述の鋼製スリットダム101は、以下に説明するような問題点を有していた。
図15(a)は、この鋼製スリットダム101の構成をモデル化した側面図である。この鋼製スリットダム101が巨礫や流木等を捕捉して、支柱111や横梁115に下流側に向けて大きな荷重が作用した場合、横梁115は、横梁115の端部115aと鞘管119との間に余裕代としての間隙120があることから、図15(b)に示すように、鞘管119に接触するまでその間隙120の分だけ下流側に移動することになる。
ここで、横梁115に接続されている支柱111の変形挙動について着目すると、支柱111は、その下端部が基礎コンクリート107に埋設されていることから、横梁115が鞘管119に接触するまでは、下端側が固定端で上端側が自由端となった片持ち梁と同様の変形挙動を示すことになる。片持ち梁のような変形挙動を示す構造部材に対しては、図15(b)に示すような、固定端となっている部位近傍である支柱111の根元部111aに対して大きな曲げモーメントが作用することになる。このため、例えば、補修作業を容易に行う観点から横梁115の端部115aと鞘管119との間隙120を広めに調整した場合等においては、横梁115の下流側への変位量が大きくなる結果、支柱111の根元部111aに作用する曲げモーメントが支柱111の弾性範囲を超えて支柱111が降伏してしまう恐れがある。
支柱111が降伏してしまうと、巨礫等の捕捉時に生じる荷重を、支柱111や横梁115を介して基礎コンクリート107と両側の堤体105とに伝達して抵抗していたものが、両側の堤体5のみにしか伝達できなくなってしまい、巨礫等を十分に捕捉できなくなってしまう恐れがある。
これを解決するための技術的手段として、モルタル等の経時硬化性充填材を横梁115の端部115aと鞘管119との間隙120に充填することによって横梁115の端部115aを鞘管119に対して強固に固定し、巨礫等の捕捉時において発生する支柱111の根元部111aの曲げモーメントを低減させることが考えられる。しかし、このように横梁115の端部115aを固定してしまうと、この横梁115の端部115aが鞘管119に対して相対移動するための余裕代としての間隙120がなくなってしまい、温度変化によりコンクリート、鋼材の伸縮が生じた際に温度応力が発生してしまう。また、この場合、補修作業時に横梁115を複数の鋼管に分解して横梁115の端部115aを鞘管119から抜き出すことが困難となって、補修作業時における作業性の低減を招いてしまう。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鞘管内に横梁の端部を挿入する構造の鋼製スリットダムにおいて、温度変化による鋼材、コンクリートの伸縮を吸収して温度応力の発生を防止する機能を発揮しつつ、巨礫等との衝突時において支柱に作用する曲げモーメントを低減することができる鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法を発明した。
第1の発明に係る鋼製スリットダムは、河川の川幅方向に間隔を空けて構築されたコンクリート製の堤体間に立設された支柱と、上記堤体内に埋め込まれた鞘管と、端部が上記鞘管内に挿入されて上記堤体間に架設され上記支柱に接続された横梁とを備えた鋼製スリットダムにおいて、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に、当該鞘管の開口から抜き差し可能に介装された間隔保持部材を備えることを特徴とする。
第2の発明に係る鋼製スリットダムは、第1の発明において、上記鞘管の下流側内周面に固着された位置決め部材を更に備え、上記間隔保持部材は、上記間隙において、少なくとも上記位置決め部材に支持されることによって介装されていることを特徴とする。
第3の発明に係る鋼製スリットダムは、第2の発明において、上記鞘管の下流側内周面に固着された上下一対の位置決め部材を更に備え、上記間隔保持部材は、上記上下一対の位置決め部材間に介装されていることを特徴とする。
第4の発明に係る鋼製スリットダムは、第1〜第3の何れか一つの発明において、上記間隔保持部材は、上記横梁と上記鞘管との間隙に充填された弾性シール材で覆われた状態で介装されていることを特徴とする。
第5の発明に係る鋼製スリットダムは、第1〜第4の何れか一つの発明において、上記間隔保持部材は、上記鞘管の軸芯を通る水平面を間に挟んだ上下に少なくとも二つ介装されていることを特徴とする。
第6の発明に係る鋼製スリットダムの構築方法は、第1〜第5の何れか一つの発明に係る鋼製スリットダムの構築方法であって、上記横梁の端部を上記鞘管内に挿入した後に、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第7の発明に係る鋼製スリットダムの構築方法は、第6の発明において、上記横梁の一部を構成する端部梁部材を上記鞘管内に挿入し、上記支柱に接続した上記横梁の一部を構成する中間部梁部材に上記端部梁部材を接続した後に、上記端部梁部材の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第8の発明に係る鋼製スリットダムの構築方法は、第6又は第7の発明において、予め準備された異なる厚みの複数の間隔保持部材から、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙の径方向長さに応じた厚みの間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第9の発明に係る鋼製スリットダムの補修方法は、第1〜第5の何れか一つの発明に係る鋼製スリットダムの損傷した横梁の端部を補修する鋼製スリットダムの補修方法であって、上記鞘管から既設の間隔保持部材を抜き出すとともに、当該鞘管から既設の横梁の端部を抜き出し、新設の横梁の端部を上記鞘管内に挿入した後に、当該横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第10の発明に係る鋼製スリットダムの補修方法は、第9の発明において、上記鞘管から既設の間隔保持部材を抜き出すとともに、上記支柱に接続した上記横梁の一部を構成する既設の中間部梁部材から当該横梁の一部を構成する既設の端部梁部材を取り外して当該鞘管から抜き出し、新設の端部梁部材を上記鞘管内に挿入し、上記中間部梁部材に上記端部梁部材を接続した後に、上記端部梁部材の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第11の発明に係る鋼製スリットダムの補修方法は、第9又は第10の発明において、予め準備された異なる厚みの間隔保持部材から、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙の径方向長さに応じた厚みの間隔保持部材を介装することを特徴とする。
第1の発明によれば、横梁の下流側外周面と鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材が介装されているため、横梁の端部の下流側への変位量を低減することが可能となっており、これによって、支柱の根元部等に作用する曲げモーメントも抑えることが可能となる。また、本発明によれば、横梁の端部を鞘管に対して強固に固定しない構成としているため、温度変化による鋼材、コンクリートの伸縮時に、この伸縮を吸収することが可能となっている。また、本発明によれば、支柱や横梁の組み立て時においては間隔保持部材を介装しないこととして施工誤差等を吸収可能とし、組み立て後に間隔保持部材を介装することによってこれら支柱の根元部等に作用する曲げモーメントを抑えつつ温度変化による鋼材等の伸縮を吸収可能とする効果が発揮可能となる。
第3の発明によれば、上下の位置決め部材が間隔保持部材を正確に所定位置に介装されるように案内するガイドとして機能しているうえ、上側の間隔保持部材が、巨礫等との衝突時において間隔保持部材が浮き上がって下側の間隔保持部材から抜け落ちるのを防止する機能を発揮しており、施工性、構造信頼性の向上が図られている。
第4の発明によれば、弾性シール材によって鞘管内に水が浸入することによる鞘管や横梁の端部の腐食を防止しつつ、間隔保持部材のずれ動きや抜け落ちをほぼ確実に防止することが可能となる。
第5の発明によれば、横梁の端部の下流側への変位量を低減するとの効果を安定して発揮することが可能となる。
本発明に係る鋼製スリットダムの構成を示す斜視図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの構成を示す正面断面図である。 図2におけるS1部の拡大図である。 図3におけるA−A線断面図である。 (a)は図4におけるS2部の拡大図であり、(b)は図4におけるS3部の拡大図である。 鞘管内に間隔保持部材や横梁を設ける前の状態を示す分解斜視図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの構築方法の一例について説明するための正面断面図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの構築方法の一例について説明するための部分拡大図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの構築方法において鞘管内に間隔保持部材を介装する際の手順について説明するための断面図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの補修方法について説明するための正面断面図である。 (a)は本発明に係る鋼製スリットダムの第2実施形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のB−B線断面図である。 本発明に係る鋼製スリットダムの第3実施形態を示す断面図である。 従来の鋼製スリットダムの構成を示す斜視図である。 従来の鋼製スリットダムにおける鞘管内の横梁の構成を示す断面図である。 従来の鋼製スリットダムの構成をモデル化した側面図である。
以下、本発明を実施するための形態として、河川等に適用される鋼製スリットダム及びその構築方法並びに補修方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る鋼製スリットダム1の構成を示す斜視図であり、図2は、その正面断面図であり、図3は、図2のS1部の拡大図である。
本発明を適用した鋼製スリットダム1は、例えば、図1、図2に示すような河川3に適用されるものである。この河川3には、河床4上に基礎コンクリート7が構築され、更に、川幅方向に間隔を空けて複数のコンクリート製の堤体5が構築される。この河川3は、これらの複数の堤体5及び基礎コンクリート7で囲まれることによって形成された流路3aを水が上流から下流にかけて流れていくものである。
本発明を適用した鋼製スリットダム1は、複数の堤体5間において立設された支柱11と、堤体5内に埋め込まれた鞘管19と、両側の端部15aが鞘管19内に挿入されて複数の堤体5間に架設され支柱11に接続された横梁15とを備えている。
支柱11は、河川3の川幅方向に間隔を空けて略鉛直に複数立設されている。各支柱11は、例えば、鋼管等からなる複数の柱部材12、13によって構成されるものであり、一つの支柱11は、本実施形態において、基礎コンクリート7に埋設された基礎部柱部材12と、基礎部柱部材12や横梁15に上下両側が接続された中間部柱部材13とから構成されている。本実施形態において支柱11は、河川3の川幅方向に三つ立設されている。
横梁15は、高さ方向に間隔を空けて略水平に複数架設されている。各横梁15は、例えば、鋼管等からなる複数の梁部材16、17によって構成されるものであり、一つの横梁15は、本実施形態において、川幅方向両側の鞘管19に挿入された端部梁部材16と、川幅方向に間隔を空けた二つの端部梁部材16に左右両側が接続された中間部梁部材17とから構成されている。本実施形態において横梁15は、高さ方向に二つ架設されている。
本実施形態における二つの中間部梁部材17には、T字状又は十字状に交差するように上下の一方又は両側に分枝された分枝管17aが間隔をおいて複数設けられている。支柱11を構成する各中間部柱部材13は、この中間部梁部材17の分枝管17aに接続されている。
支柱11や横梁15を構成する鋼管からなる各柱部材12、13、梁部材16、17、分枝管17aは、その一端又は両端にフランジ18が取り付けられており、そのフランジ18を互いに接続すべき他の部材におけるフランジ18に当接させて、これらフランジ18をボルト接合することによって着脱可能に互いに接続されている。なお、これら支柱11や横梁15を構成する部材間の接続方法は、フランジ18を用いた如何なる方法を適用してもよいし、フランジ18を形成しないこととして溶接等で接続することとしてもよいが、鋼製スリットダム1の構築作業、補修作業を容易に行う観点からボルト接合によって着脱可能に接続する方法を適用することが好ましい。
支柱11及び横梁15は、格子状構造をなすように接続されており、これによって、河川3を流れる巨礫や流木等を捕捉可能に構成されている。
図4は、図3のA−A線断面図である。また、図5(a)は図4のS2部の拡大図であり、図5(b)は図4のS3部の拡大図である。また、図6は、鞘管19内に間隔保持部材21や横梁15を設ける前の状態を示す分解斜視図である。
本発明に係る鋼製スリットダム1は、図3、図4に示すように、横梁15の下流側外周面15bと鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20に介装された間隔保持部材21と、鞘管19の下流側内周面19bに固着された上下一対の位置決め部材23、24とを更に備えている。
鞘管19は、堤体5間の流路3aに向けて開口されるように堤体5内に埋め込まれており、例えば、鋼管等から構成される。鞘管19は、その内側に横梁15の端部15aが挿入されるものであり、本実施形態においては、横梁15の一部を構成する端部梁部材16が挿入されている。鞘管19内にその端部15aが挿入される横梁15は、支柱11によって支持されており、図3、図4に示すように鞘管19に対して径方向又は軸方向に接触していなくともよいし、一部で接触していてもよい。
間隔保持部材21は、巨礫等を捕捉することによって横梁15が下流側に変位しようとした際に、その横梁15の端部15aの鞘管19に対する間隔が変位し過ぎないようこの間隔を保持するために介装されるものである。間隔保持部材21は、例えば、鋼板を切断して直方体状にした鋼製部材から構成されるものであるが、材質については、ある程度の強度、剛性が確保できれば特に限定するものではなく、例えば、鉄系金属、非鉄系金属、プラスチック、硬質ゴム、木材等から構成されていてもよい。また、間隔保持部材21の断面形状についても特に限定するものではない。
また、間隔保持部材21は、巨礫等の捕捉時に生じる横梁15への静荷重、衝撃荷重等の荷重をこの間隔保持部材21を介して堤体5へ伝達するものであるため、横梁15から下流側に向けて荷重が負荷された場合に横梁15より早期に座屈するのを防止するため、横梁15の圧縮強度と同程度又はこれ以上の圧縮強度があることが好ましい。例えば、横梁15を圧縮強度が200N/mmの鋼材から構成した場合、間隔保持部材21についてもこの圧縮強度と同程度の鋼材から構成すればよい。
上下一対の位置決め部材23、24のうち下側の位置決め部材23は、その上に載置される間隔保持部材21が鞘管19と横梁15との間において落下するのを防止して、間隔保持部材21が所定位置に介装されるようにするために固着されるものである。間隔保持部材21は、この位置決め部材23や鞘管19又は横梁15に支持されることによって介装された状態となる。
本実施形態においては、一つの鞘管19内に二つの間隔保持部材21が介装されているが、この支持態様について図の例で説明すると、上側の間隔保持部材21は、図5(a)に示すように、下側の位置決め部材23及び横梁15に係合されてその位置決め部材23と横梁15との間から下側に抜け落ちないよう支持されている。また、下側の間隔保持部材21は、図5(b)に示すように下側の位置決め部材23及び鞘管19に係合されてその位置決め部材23と横梁15との間から下側に抜け落ちないよう支持されている。このように、間隔保持部材21は、少なくとも位置決め部材23に支持されることによって介装されていればよい。
下側の位置決め部材23に支持されている間隔保持部材21は、その位置決め部材23に対して支承された状態となっており、鞘管19の開口19aから抜き差し可能な状態で介装されている。間隔保持部材21が介装される鞘管19内の軸方向での位置は、鞘管19の開口19aから容易に抜き差しする観点から、図3に示すように鞘管19内の開口19a寄りに介装されていることが好ましいが、特にこれに限定するものではない。
また、間隔保持部材21の軸方向長さは特に限定するものではないが、あまりに短過ぎるとその位置が安定せず、あまりに長すぎると端部梁部材16と中間部梁部材17とを接続しているフランジ18が邪魔となって鞘管19の開口19aから抜き差しするのが困難となってしまう。このため、間隔保持部材21の軸方向長さは、このことを考慮したうえで適宜設定すればよく、例えば、50〜100mm程度とすることが好ましい。本実施形態においては、鞘管19の軸方向長さを1900mm程度とし、間隔保持部材21の軸方向長さを100mm程度としている。
上側の位置決め部材24は、間隔保持部材21を鞘管19の開口19aから抜き差しするうえで、下側の位置決め部材23とともに間隔保持部材21が正確に所定位置に介装されるように案内するガイドとして機能しており、間隔保持部材21は、上下一対の位置決め部材23、24間に介装されることになる。また、上側の位置決め部材24は、支柱11や横梁15に巨礫等が衝突して衝撃荷重が間隔保持部材21まで伝達した際に、間隔保持部材21が浮き上がって下側の位置決め部材23から抜け落ちるのを防止する機能も発揮している。このように、上側の位置決め部材24を設けることによって、施工性、構造信頼性の向上が図れるが、これを設けることは必須とはならず、下側の位置決め部材23のみ設けることとしてもよい。
鞘管19には、図3、図6に示すように、上下一対の位置決め部材23、24よりもその鞘管19の奥側にストッパ部材25が固着されている。このストッパ部材25は、板状部材等からなるものであり、一対の位置決め部材23、24間に間隔保持部材21を差し込む場合に、この差し込まれる間隔保持部材21と接触して鞘管19の奥側に過度に差し込まれるのを防止するものである。ストッパ部材25を設けることは、必須とはならない。
上下一対の位置決め部材23、24やストッパ部材25は、例えば、本実施形態のような鋼製の板状部材を鞘管19に対して溶接することによって固着されるものであるが、その断面形状、材質、固着方法については特に限定するものではない。
上下一対の位置決め部材23、24やストッパ部材25は、横梁15の下流側外周面と鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20において介装すべき間隔保持部材21の数に応じた数だけ鞘管19に固着されていればよく、鞘管19を施工現場に搬送する前段階から固着されていてもよいし、施工現場において固着するようにしてもよい。
このような構成からなる本発明に係る鋼製スリットダム1の支柱11や横梁15によって、河川3を上流側から下流側にかけて流れる巨礫や流木等を捕捉した場合、巨礫等からの静荷重、衝撃荷重等の荷重を支柱11や横梁15を介して基礎コンクリート7や両側の堤体5に伝達することによってこの荷重に抵抗することになる。この場合に、巨礫等からの荷重が鞘管19を介して堤体5に伝達可能となるまで横梁15が下流側に移動しようとすることになる。
ここで、本発明に係る鋼製スリットダム1は、横梁15の下流側外周面15bと鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20において間隔保持部材21が介装されているため、横梁15の端部15aの下流側への変位量を低減することが可能となっており、これによって、横梁15に接続されている支柱11の下流側への変位量も低減することが可能となっている。このため、支柱11の根元部11a等に作用する曲げモーメントも抑えることができ、その結果、巨礫等を捕捉した場合でも支柱11が降伏する恐れを大幅に低減することが可能となる。
また、本発明に係る鋼製スリットダム1は、横梁15と鞘管19との間隙のうち、横梁15の下流側外周面15bと鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20に間隔保持部材21を介装する構成としており、横梁15の端部15aを鞘管19に対して強固に固定しない構成としているため、温度変化による鋼材、コンクリートの伸縮時において、例えば、横梁15の上流側外周面15cと鞘管19の上流側内周面19cとの間の間隙26や、横梁15の軸方向端部15dと鞘管19の奥端部19dとの間の間隙28等でこの伸縮を吸収することが可能となっている。このため、支柱11の根元部11a等に作用する曲げモーメントを抑えつつも、温度変化による鋼材、コンクリートの伸縮を吸収して温度応力の発生を防止する機能を発揮することが可能となっている。
なお、一つの鞘管19につき間隔保持部材21が介装される数は、特段限定するものではなく、一つのみ介装されていてもよい。また、間隔保持部材21を二つ以上介装するうえでは、以下に説明する理由により、図4に示すように、横梁15の端部15aと鞘管19との間隙20において、鞘管19の軸芯Gを通る仮想的な水平面P1を間に挟んだ上下にそれぞれ少なくとも一つずつ介装されていることが好ましい。
鞘管19に挿入されている横梁15に対して巨礫等が衝突する場合、これら巨礫等は横梁15に対して上流側の上下様々な位置から衝突する。このため、巨礫等との衝突によって衝突荷重が負荷された際に、下流側に向かう水平方向のみならず水平面に対して上下に傾斜した下流側に向かう様々な方向に横梁15の端部15aが鞘管19内で移動しようとすることになる。ここで、上述のような条件で二つの間隔保持部材21が介装されていれば、下流側に向かう様々な方向に移動しようとする横梁15の端部15aの変位量を低減するとの効果を安定して発揮することが可能となる。
また、間隔保持部材21は、この鞘管19の軸芯Gを通る水平面P1に対して、その軸芯Gを中心として上下両側に45°傾斜した仮想的な面を傾斜面P2、P3と定義した場合に、これら傾斜面P2、P3間の範囲内に含まれるように介装されていることが好ましい。この範囲を超えるような位置に間隔保持部材21が介装されていると、上述のような下流側に向かう様々な方向に移動しようとする横梁15の端部15aの変位量を安定して低減するとの効果を発揮しにくくなるためである。
また、本発明における間隔保持部材21は、図5に示すように、その間隔保持部材21と横梁15や鞘管19との間において隙間27が形成されていてもよいが、この隙間27が小さければ小さいほど、横梁15の端部15aの下流側への変位を抑えることが可能となるので好ましい。なお、この隙間27が零となるように調整していてもよいのは勿論である。
この隙間27の径方向長さL1は、巨礫等を捕捉して横梁15の端部15aが鞘管19内において下流側に変位しようとした場合に、横梁15に接続されている支柱11の変位量が弾性範囲内となるように調整されていればよい。この隙間27の径方向長さL1は、例えば、3mm以下となるように調整することが好ましく、これによって支柱11や横梁15の寸法、強度に依らず安定して支柱11の根元部11a等の降伏を防ぐことが可能となる。これは、本発明者らが行なった実験的な知見に基づくものである。
なお、この隙間27の径方向長さL1を調整するうえでは、鋼製スリットダム1の構築作業、補修作業時において、例えば3mmピッチのような所定ピッチで厚みの異なる複数の間隔保持部材21を予め準備しておくことが好ましい。これによって、この複数の間隔保持部材21から、鞘管19内に横梁15の端部15aを挿入した後に形成される鞘管19と横梁15の端部15aとの間隙20の径方向長さに応じて、この間隙20の径方向長さに最も近く、これよりも薄い間隔保持部材21を介装することにより、この隙間27の径方向長さL1を常に3mm以下のような一定値以下に抑えることが可能となる。
また、高さ方向に複数架設されている横梁15で巨礫等を捕捉した場合、支柱11の根元部11aの曲げモーメントにその水平方向変位量が最も大きく影響しているのは、複数架設されている横梁15のうちの最も低位置にある横梁15となる。即ち、複数架設されている横梁15のうちのそれぞれのみが水平方向に一定量変位すると仮定すると、変位すると仮定したものが下側となるにつれて、支柱11の鉛直面に対する傾斜角が大きなものとなり、支柱11の根元部11aに作用する曲げモーメントが大きくなる。このため、高さ方向の低位置側にある横梁15の端部15aと鞘管19との間にのみ間隔保持部材21を介装し、高さ方向の高位置側にある横梁15の端部15aと鞘管19との間には間隔保持部材21を介装しないこととしてもよい。これによって、間隔保持部材21の介装に要する部材数、作業工程数を低減して、施工コスト、施工期間の低減を図ることが可能となる。
また、間隔保持部材21を所定位置に介装した状態を保持できるようであれば、下側の位置決め部材23がなくともよい。
次に、このような構成からなる鋼製スリットダム1の構築方法の一例について説明する。図7はこの構築方法の手順について説明するための正面断面図であり、図8はこの構築方法の手順について説明するための部分拡大図であり、図9は鞘管19内に間隔保持部材21を介装する際の手順について説明するための断面図である。
まず、鋼製スリットダム1を構築すべき用地において、河床4の床堀及び整地を行ない、その後に、図7(a)に示すように、河床4上にコンクリートを打設することによって基礎コンクリート7及び堤体5を構築する。基礎コンクリート7の構築時においては、支柱11を構成する基礎部柱部材12が所定位置に埋め込まれるようにコンクリートを打設し、堤体5の構築時においては、鞘管19が所定位置に埋め込まれるようにコンクリートを打設する。基礎コンクリート7や堤体5を構築する順序については特に限定するものではない。また、堤体5を構築するうえでは、予め立方格子状をなすように型鋼等を組んだ補強構造物を河床4上又は基礎コンクリート7上に設置し、補強構造物上に鞘管19を支持させた状態でコンクリートを打設するようにしてもよい。
続いて、図7(a)に示すように、構築された堤体5内に埋め込まれた鞘管19内に、その開口19aから横梁15の端部15aを挿入する。本実施形態においては、横梁15の一部を構成する端部梁部材16を鞘管19内に挿入することになる。
続いて、図7(b)において二点鎖線で示すような、支柱11の一部を構成する中間部柱部材13や横梁15の一部を構成する中間部梁部材17を基礎部柱部材12に対して順に接続して、支柱11や横梁15を組み立てていく。ここで、端部梁部材16は、その端部梁部材16と接続すべき中間部柱部材13が支柱11に接続された後にその中間部柱部材13に接続し、それまでは鞘管19との間に間隔保持部材21を介装せずに鞘管19内に載置させておく。これによって、鋼製スリットダム1の構築時に基礎コンクリート7や支柱11、横梁15等による施工誤差、製作誤差があったとしても、間隔保持部材21が介装されていない分だけ広めの余裕代としての間隙が鞘管19と横梁15の端部15aとの間にあり、この間隙によってこれら施工誤差等を吸収し、施工性の向上が図られる。
支柱11や横梁15を組み立てた後は、図8に示すように、横梁15の端部15aと鞘管19との間隙20に間隔保持部材21を差し込んで介装する。この場合において、横梁15の端部15aと鞘管19との間隙20は、上述のように施工誤差等を吸収するために用いられているため、鞘管19への横梁15の端部15aの挿入状態によって、図4や図9(a)〜図9(c)に示すように、その径方向長さが変動することになる。なお、図9(a)〜図9(c)における二点鎖線Tが示す範囲は、図4における横梁15の位置と同じ位置を示している。
このため、鞘管19への横梁15の端部15aの挿入状態に依らず安定して本発明所期の効果を発揮させるため、上述のように予め準備しておいた所定ピッチで厚みの異なる複数の間隔保持部材21から、鞘管19と横梁15の端部15aとの間隙20の径方向長さに応じた厚みの間隔保持部材21を介装することが好ましい。これによって、図5に示すような、間隔保持部材21と横梁15や鞘管19との間において形成される隙間27の径方向長さL1を常に一定値以下に抑えることが可能となる。
例えば、図9(a)に示すように、図4における横梁15の位置よりも下流側に横梁15が変位した位置に挿入された場合は、図4における間隔保持部材21よりも厚みの小さいものを用い、図9(b)に示すように、図4における横梁15の位置よりも上流側に横梁15が変位した位置に挿入された場合は、図4における間隔保持部材21よりも厚みの大きいものを用いればよい。
このように、複数の鞘管19それぞれについて必要に応じた厚みの間隔保持部材21を介装することによって、鋼製スリットダム1の構築作業が完了する。
なお、図9(c)に示すように、一つの鋼製スリットダム1につき鞘管19が複数あることから、鞘管19によっては、図4における横梁15の位置よりも下流側に横梁15が大きく変位し過ぎて、位置決め部材23、24に接触する程度まで変位してしまう場合がある。この場合は、そもそもこのような横梁15の端部15aは巨礫等の捕捉時においても下流側に大きく変位し得ないことから、間隔保持部材21を介装しないこととしてもよい。
このような構成からなる本発明に係る鋼製スリットダム1の構築方法によれば、支柱11や横梁15の組み立て時においては、鞘管19と横梁15の端部15aとの間隙20に間隔保持部材21を介装しないこととして、これによって、基礎コンクリート7や支柱11等による施工誤差、製作誤差等があったとしてもこれら施工誤差等をこの間隙20によって吸収することが可能となっている。また、支柱11や横梁15の組み立て後において、横梁15の端部15aと鞘管19との間隙20に間隔保持部材21を差し込んで介装することによって、上述のような温度変化による鋼材等の伸縮を吸収して温度応力の発生を防止する機能を発揮しつつ、支柱11の根元部11a等に作用する曲げモーメントを抑えるとの効果を発揮することが可能となっている。
次に、本発明に係る鋼製スリットダム1の補修方法の一例について説明する。図10はこの補修方法の手順について説明するための正面断面図である。
本発明に係る鋼製スリットダム1の支柱11や横梁15で巨礫等を捕捉することによって、支柱11や横梁15を構成する各柱部材12、13、梁部材16、17が損傷する場合がある。この場合、その損傷した部材を交換することになるが、鞘管19内に挿入されている横梁15の端部15aが損傷した場合は、その損傷した横梁15の端部15aを交換して補修するために横梁15の端部15aを鞘管19から抜き出す必要がある。
この横梁15の端部15aの補修作業時には、まず、図10(a)、図10(b)に示すように、鞘管19内から既設の間隔保持部材21を抜き出すとともに、鞘管19内から既設の横梁15の端部15aを抜き出す。この場合に、既設の間隔保持部材21を先に抜き出してもよいし、既設の横梁15の端部15aを先に抜き出してもよい。既設の横梁15の端部15aには、通常、その上流側外周面15cと鞘管19の上流側内周面19cとの間等に間隙26が確保されているので、鞘管19内から既設の横梁15の端部15aを抜き出す作業を容易に行なうことが可能となっている。本実施形態においては、図10(a)に示すように、鞘管19内から既設の間隔保持部材21を抜き出したうえで、横梁15の一部を構成する既設の端部梁部材16Aを中間部梁部材17から取り外した後に、図10(b)に示すように、その横梁15の端部15aである端部梁部材16Aを鞘管19内から抜き出す。
続いて、図10(b)に示すように、新設の横梁15の端部15aを鞘管19内に挿入する。本実施形態においては、新設の端部梁部材16Bを鞘管19内に挿入する。
続いて、図10(c)に示すように、横梁15の下流側外周面15bと鞘管19の下流側内周面19bとの間隙20に間隔保持部材21を差し込んで介装する。本実施形態においては、中間部梁部材17に端部梁部材16Bを接続した後に、間隔保持部材21を介装する。
このように、本発明に係る鋼製スリットダム1によれば、上述のような温度応力の発生を防止しつつ支柱11の根元部11a等に作用する曲げモーメントを抑えるとの効果を発揮しつつも、横梁15の端部15aの補修作業時においても横梁15の端部15aの交換を容易に行うことが可能となっており、補修作業時における作業性に優れたものとなっている。
なお、補修作業時において横梁15の端部15a以外の部材も損傷しているようであれば、横梁15の端部15aの交換とともに、その損傷した他部材も交換するようにしてもよい。
次に、本発明に係る鋼製スリットダム1の他の実施形態について説明する。
図11(a)は、本発明に係る鋼製スリットダム1の第2実施形態を示す正面断面図であり、図11(b)は図11(a)のB−B線断面図である。本実施形態においては、横梁15と鞘管19との間隙に弾性シール材31が充填されており、間隔保持部材21は、この弾性シール材31にその軸方向の一部が覆われた状態で介装されている。
この弾性シール材31は、鞘管19内に水が浸入することによる鞘管19や横梁15の端部15aの腐食を防止すべく、鞘管19と横梁15との間隙の周方向全範囲に充填されるものである。また、間隔保持部材21はこの弾性シール材31に軸方向長さの半分ほどが覆われている状態となることによって、間隔保持部材21が介装されている位置からずれ動いたり抜け落ちたりすることを、ほぼ確実に防止することが可能となる。特に、温度変化によるコンクリート、鋼材の伸縮があっても、この弾性シール材31が弾性を有するものであることから、横梁15の端部15aと鞘管19とが互いに相対移動することが可能であり、この伸縮を吸収して温度応力の発生を防止する機能を発揮したままにすることができる。なお、間隔保持部材21が弾性シール材31に覆われる軸方向長さは特に限定するものではなく、間隔保持部材21の軸方向の全部が弾性シール材31によって覆われていてもよい。
この弾性シール材31は、横梁15の端部15aの補修作業時にこれを容易に取り除くことができ、硬化後においても弾力性を有し、塗料による変質もなく耐久性のあるものであればよく、例えば、アクリル系、シリコン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、油性系等の1成分型又は2成分型組成物を用いることが望ましい。また、腐食防止の観点からは少なくとも鞘管19の開口19a寄りに充填されていればよい。なお、この弾性シール材31内に埋設された間隔保持部材21は、この弾性シール材31を刃物で切りつける等すれば容易に鞘管19の開口19aから抜き差し可能となる。
図12は、本発明に係る鋼製スリットダム1の第3実施形態を示す断面図である。本実施形態における間隔保持部材21や上下一対の位置決め部材23、24は、断面円形の棒鋼から構成されている。このように、間隔保持部材21や上下一対の位置決め部材23、24は、その断面形状について特段限定するものではない。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
例えば、本発明に係る鋼製スリットダム1の支柱11や横梁15は、河川3を流れる巨礫等を捕捉可能な格子状構造となるのであれば、これらを構成する部材の断面形状、大きさ、数、配置態様について、特に上述の実施形態に限定するものではない。このため、支柱11を構成する各柱部材12、13には、その柱部材12、13に対してT字状又は十字状に交差するように左右両側又は片側に分枝された分枝管が更に設けられていてもよい。また、鋼製スリットダム1は、複数の支柱11や横梁15によって構成される一の格子状構造よりも河川3の下流側に更に他の格子状構造を構成し、これらを他の部材によって接続するようにして構成されていてもよい。
また、川幅方向の間隔を空けて三つ以上の堤体5を構築することによって二つ以上の流路3aを設け、各流路3aごとに上述のような鋼製スリットダム1を構築することとしてもよい。
1 :鋼製スリットダム
3 :河川
4 :河床
5 :堤体
7 :基礎コンクリート
11 :支柱
12 :基礎部柱部材
13 :中間部柱部材
15 :横梁
16 :端部梁部材
17 :中間部梁部材
18 :フランジ
19 :鞘管
20 :間隙
21 :間隔保持部材
23 :位置決め部材
24 :位置決め部材
25 :ストッパ部材
31 :弾性シール材

Claims (11)

  1. 河川の川幅方向に間隔を空けて構築されたコンクリート製の堤体間に立設された支柱と、上記堤体内に埋め込まれた鞘管と、端部が上記鞘管内に挿入されて上記堤体間に架設され上記支柱に接続された横梁とを備える鋼製スリットダムにおいて、
    上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に、当該鞘管の開口から抜き差し可能に介装された間隔保持部材を備えること
    を特徴とする鋼製スリットダム。
  2. 上記鞘管の下流側内周面に固着された位置決め部材を更に備え、
    上記間隔保持部材は、上記間隙において、少なくとも上記位置決め部材に支持されることによって介装されていること
    を特徴とする請求項1記載の鋼製スリットダム。
  3. 上記鞘管の下流側内周面に固着された上下一対の位置決め部材を更に備え、
    上記間隔保持部材は、上記上下一対の位置決め部材間に介装されていること
    を特徴とする請求項2記載の鋼製スリットダム。
  4. 上記間隔保持部材は、上記横梁と上記鞘管との間隙に充填された弾性シール材で覆われた状態で介装されていること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の鋼製スリットダム。
  5. 上記間隔保持部材は、上記鞘管の軸芯を通る水平面を間に挟んだ上下に少なくとも二つ介装されていること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の鋼製スリットダム。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の鋼製スリットダムの構築方法であって、
    上記横梁の端部を上記鞘管内に挿入した後に、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする鋼製スリットダムの構築方法。
  7. 上記横梁の一部を構成する端部梁部材を上記鞘管内に挿入し、上記支柱に接続した上記横梁の一部を構成する中間部梁部材に上記端部梁部材を接続した後に、上記端部梁部材の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする請求項6記載の鋼製スリットダムの構築方法。
  8. 予め準備された異なる厚みの複数の間隔保持部材から、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙の径方向長さに応じた厚みの間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする請求項6又は7記載の鋼製スリットダムの構築方法。
  9. 請求項1〜5の何れか1項記載の鋼製スリットダムの損傷した横梁の端部を補修する鋼製スリットダムの補修方法であって、
    上記鞘管から既設の間隔保持部材を抜き出すとともに、当該鞘管から既設の横梁の端部を抜き出し、
    新設の横梁の端部を上記鞘管内に挿入した後に、当該横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする鋼製スリットダムの補修方法。
  10. 上記鞘管から既設の間隔保持部材を抜き出すとともに、上記支柱に接続した上記横梁の一部を構成する既設の中間部梁部材から当該横梁の一部を構成する既設の端部梁部材を取り外して当該鞘管から抜き出し、
    新設の端部梁部材を上記鞘管内に挿入し、上記中間部梁部材に上記端部梁部材を接続した後に、上記端部梁部材の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙に間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする請求項9記載の鋼製スリットダムの補修方法。
  11. 予め準備された異なる厚みの間隔保持部材から、上記横梁の下流側外周面と上記鞘管の下流側内周面との間隙の径方向長さに応じた厚みの間隔保持部材を介装すること
    を特徴とする請求項9又は10記載の鋼製スリットダムの補修方法。
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