JP2012207372A - 鋼製スリットダム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上流側の鋼管材1と下流側の鋼管材2とを河川水の流れ方向に傾斜させて山形状に組み、コンクリート基礎9に設置してなる自立式山形鋼管材10を、河川水の流れ方向とは直行する方向に間隔をあけて複数設置してなる鋼製スリットダム11である。前記自立式山形鋼管材10の下流側の鋼管材2は、上部の鋼管部材2aと下部の鋼管部材2bとを連結してなる構成とされ、該上部の鋼管部材2aは、その上端部が前記上流側の鋼管材1の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合した構成とされている。前記上部の鋼管部材2aと下部の鋼管部材2bとは、各接合端面部に設けたフランジ3、4をボルト接合して連結されている。
【選択図】図1
Description
この鋼製スリットダムについて、さまざまな形状、構造の技術があるが、特に流木捕捉工対策として設置する場合、流木の捕捉性能はもちろんのこと、捕捉した流木の撤去が容易であることが重要視される。この捕捉した流木を撤去することが容易な形状、構造として、側面方向に連続させて配置しても互いに頭部を連結させない鋼管材を複数設置してなる鋼製スリットダムがある(例えば、特許文献1を参照)。
この鋼製スリットダムによると、前記鋼管材Aを、側面方向に連続する配置であっても互いに頭部を連結せずに設置されるので、特に流木捕捉工対策として設置された場合、バックホウのアームが、隣接する鋼管材Aと鋼管材Aとの間に入り易く、捕捉した流木の撤去作業を容易に行うことができる利点がある。
具体的に、各鋼管材1、2の水平方向に設けたフランジは、面一に突き合わせ、その上にボルト孔を設けたカバープレートを、該ボルト孔が、面一に突き合わせたフランジのボルト孔と一致するように載置し、該一致したボルト孔にボルトを通してナットで締結していた。と同時に、各鋼管材1、2の鉛直方向に設けたフランジ(ガゼットプレート)を、ボルト孔が一致するように重ね合わせ、該一致したボルト孔にボルトを通してナットで締結していた。
したがって、各鋼管材1、2の頭頂部同士を接合するには、水平方向及び鉛直方向にボルト孔を設けたフランジを設けるための溶接作業や、フランジを保持するための補強リブを設けるための溶接作業が必要になるほか、前記カバープレートと多数のボルトが必要になり、溶接量、加工量、および部材点数が多く、手間があった。加えて、各鋼管材1、2の水平方向のフランジを面一に揃えると同時に、鉛直方向のフランジに設けた多数のボルト孔を一致させなければならず、鋼管材のサイズ(径40〜60cm程度、長さ2〜6m程度、重量1500〜4300kg程度)が大掛かりであり、精度の高い現場作業が要求された。
また、特許文献1に係る自立式の鋼管材Aは、前記した頭頂部の接合作業に加え、中途部を連結部材4を用いて水平方向に連結する作業も併せて行う必要があり、以上の問題がさらに顕著となる。
また、前記ボルト接合する鋼管材のフランジの位置合わせ作業も容易、且つ迅速に行うことができ、作業効率を向上させ、工期短縮を図ることができる鋼製スリットダムを提供することにある。
さらに、前記ボルト接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減でき、より安全性を高めることができる鋼製スリットダムを提供することにある。
前記自立式山形鋼管材の下流側の鋼管材は、上部の鋼管部材と下部の鋼管部材とを連結してなる構成とされ、該上部の鋼管部材は、その上端部が前記上流側の鋼管材の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合した構成とされており、前記上部の鋼管部材と下部の鋼管部材とは、各接合端面部に設けたフランジをボルト接合して連結されていることを特徴とする。
鋼管材の接合端面部同士を汎用のフランジを用いてボルト接合できる構成で実施することにより、上記特許文献1と比し、カバープレートや補強リブを無用化し、フランジを取り付けるための溶接作業を省力化できると共に、ボルトの使用本数を低減化できる。よって、施工性および経済性に非常に優れている。
また、前記ボルト接合する鋼管材のフランジの位置合わせ作業も容易、且つ迅速に行うことができる。よって、作業効率を向上させ、工期短縮を図ることができる。
さらに、前記ボルト接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減でき、より安全性を高めることができる。
前記鋼製スリットダム11は、図1と図2に示したように、上流側の鋼管材1と下流側の鋼管材2とを河川水の流れ方向に傾斜させて(傾斜角は60〜70度程度)山形状に組み、コンクリート基礎9に設置してなる自立式山形鋼管材10を、河川水の流れ方向とは直行する方向に間隔をあけて複数設置してなる。
前記自立式山形鋼管材10の下流側の鋼管材2は、上部の鋼管部材2aと下部の鋼管部材2bとを連結してなる構成とされ、該上部の鋼管部材2aは、その上端部が前記上流側の鋼管材1の上端部に前記山形の頂角をなす角度(40〜60度程度)で溶接により一体的に接合した構成とされており、前記上部の鋼管部材2aと下部の鋼管部材2bとは、各接合端面部に設けたフランジ3、4をボルト接合して連結されている。
また、前記鋼管材1、2の下端部はそれぞれ、コンクリート基礎9にほぼ均等に埋め込み固定されている。
なお、隣り合う前記自立式山形鋼管材10の頭部同士は連結されていない。
なお、前記一対の平板状フランジ3、4の代わりに、各接合端面部の外周面に沿って一対のリング状フランジを設けて突き合わせ接合して実施することもできる。
次に、前記山形鋼管材10をクレーン等の重機で起立させ、その下端部、即ち前記上流側の鋼管材1及び下流側鋼管材2(下部の鋼管部材2b)の下端部をそれぞれコンクリート基礎9に埋め込み固定して自立させる。具体的には、前記鋼管材1、2の下端部に設けたベースプレート5、5を、ベースプレート下面まで打設した基礎コンクリート上にアンカーボルト7で固定することにより当該鋼管材1、2の建て込みを行い、しかる後、基礎天端まで打設したコンクリートにより前記鋼管材1、2の下端部がコンクリート基礎9に埋め込み固定される。
なお、前記数値は勿論これに限定されず、設置する河川水の想定流量等に応じて適宜設計変更可能であり、前記自立式山形鋼管材10の高さは埋め込み長を除外して2〜5mの範囲内、埋め込み長は1m程度、および鋼管材のサイズは径300〜600mm、肉厚8〜14mmの範囲内が好適とされる。
また、隣り合う前記自立式山形鋼管材10の配置間隔は、設置する現場の調査結果から決められるため一様でなく状況に応じて適宜設計変更されるが、一般的に1〜7m程度の間隔が採用されている。
ちなみに、図4Bに示す自立式山形鋼管材10を構築する場合は、作業スペースを有効利用するべく、下方から上方へ向ってボルト8を通し、ナット12で締結する手法を採用している。
また、前記ボルト接合する前記フランジ3、4の位置合わせ作業も容易、且つ迅速に行うことができる。よって、作業効率を向上させ、工期短縮を図ることができる。
さらに、前記ボルト接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減できるので、より安全性を高めることができる。
例えば、本発明に係る鋼製スリットダム11は、主として流木捕捉工対策として実施するので、自立式山形鋼管材10の内部構造は空洞で実施しているが、これに限定されず、コンクリート等の充填材を充填して実施することも勿論できる。
また、前記ベースプレート5の形態は、図示例に限定されず、自立式山形鋼管材10を安定した状態で設置できることを条件に、種々のバリエーションで実施できる。
さらに、前記自立式山形鋼管材10の設置数量、及び配置形態は、もちろん図示例に限定されず、設置する河川床の幅、河川水の想定流量等に応じ適宜増減されるし、横一列のみならず、横二列等、種々のバリエーションで実施可能である。
2 下流側の鋼管材
2a 上部の鋼管部材
2b 下部の鋼管部材
3 平板状フランジ
3a ボルト孔
4 平板状フランジ
4a ボルト孔
5 ベースプレート
6 補強リブ
7 アンカーボルト
8 ボルト
9 コンクリート基礎
10 自立式山形鋼管材
11 鋼製スリットダム
12 ナット
Claims (4)
- 上流側の鋼管材と下流側の鋼管材とを河川水の流れ方向に傾斜させて山形状に組み、コンクリート基礎に設置してなる自立式山形鋼管材を、河川水の流れ方向とは直行する方向に間隔をあけて複数設置してなる鋼製スリットダムであって、
前記自立式山形鋼管材の下流側の鋼管材は、上部の鋼管部材と下部の鋼管部材とを連結してなる構成とされ、該上部の鋼管部材は、その上端部が前記上流側の鋼管材の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合した構成とされており、前記上部の鋼管部材と下部の鋼管部材とは、各接合端面部に設けたフランジをボルト接合して連結されていることを特徴とする、鋼製スリットダム。 - 前記各接合端面部に設けたフランジは、一対の平板状フランジ、又は一対のリング状フランジであることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製スリットダム。
- 隣り合う前記自立式山形鋼管材の頭部同士は連結されていないことを特徴とする、請求項1又は2に記載した鋼製スリットダム。
- 前記ボルト接合する部位は、前記自立式山形鋼管材の股下部から200mm〜1500mmの範囲内に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した鋼製スリットダム。
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