JP5919057B2 - 鋼製セルの連結構造 - Google Patents
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Description
鋼製セルを複数設置する際に、土砂が、隣り合う鋼製セル間から下流へ流出しないように遮る必要があるが、施工や補修が容易なように、隣り合う鋼製セルを多少の間隔をあけて配置し、その間隔を連結部材で連結して遮断する(又は流量を制限する)ことが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
この発明によると、射水による洗掘を防止しつつ透水性をもたせ、構造物全体として経済的な断面設計による連結構造を実現できる。
この発明によると、遮断可能な連結部材として汎用されていたアーク部(同文献2の第1図参照)の問題点、すなわちアーク部内に中詰砂を充填すると鋼製セルとアーク部との接合部に引張応力が発生し、該接合部が破損、破壊する問題点を解消した連結構造を実現できる。
この発明によると、前記特許文献2と同様に、遮断可能な連結部材として汎用されていたアーク部の問題点を解消した連結構造を実現できる。
すなわち、例えば、砂防えん堤として鋼製セルが設置される場合、谷間地に設置するので地盤の不安定な場所もあり、鋼製セルの設置箇所が地すべりにより移動することがある。この場合、前記特許文献1〜3の発明では、地すべりによる鋼製セルの移動で、隣り合う鋼製セルの間隔が狭まり、鋼製セルと連結部材との継手部(接合部)が破損することで鋼製セルが破損したり、鋼製セル同士が接触して破損する懸念があった。
そこで、近年、地すべりにより鋼製セルが移動する場合を考慮し、隣り合う鋼製セルの間隔を大きく広げた連結構造にして鋼製セル同士の接触を回避するとともに、間隔が狭まったとしても鋼製セルが接触したり、破損したりすることのない連結構造が求められている。
隣り合う鋼製セルの間に柱状の離脱材が鉛直に配置され、
前記隣り合う鋼製セルの外壁面にはそれぞれ、前記離脱材に線接触又は面接触する支持部材が該鋼製セルの軸方向に延長して設けられ、
前記離脱材は、前記隣り合う鋼製セルの平面視で中心同士を結んだ中心連結線上から外れた位置に配置され、前記支持部材に対し、溶接又はバンド部材で仮固定され、地すべりによる鋼製セルの移動で仮固定状態が解除されるように簡易接続されていることを特徴とする。
すなわち、離脱材は、通常時はもとより、地すべり発生時も隣り合う鋼製セルに接触(衝突)する虞がなく、鋼製セルを破損させる虞もない。よって、例えば1000mm程度の大径の離脱材を用いることができ、ひいては隣り合う鋼製セルの間隔を大きく広げた遮断型(不透過型)の連結構造を実現することができる。
これに伴い、隣り合う鋼製セルの間隔の大部分を離脱材で塞ぐことができるので、該離脱材を支持する支持部材の幅寸を小さくして実施できる。支持部材の幅寸を小さくして実施できるので、隣り合う鋼製セルの間隔が狭くなったとしても支持部材が隣り合う支持部材(又は鋼製セル)に衝突して破損する虞を極力回避できる。よって、支持部材の破損に伴う鋼製セルの破損も極力防止できる。
さらに本実施例では、地すべり発生時に隣接する鋼製セル1、1同士の衝突を回避し易いように、両端部に設置する鋼製セル1と、その1つ内側に設置する鋼製セル1とを、平面視で、あらかじめ前後にずらして設置している。
また、前記支持部材3、3は、前記他側のフランジの裏側面に、前記バンド材4を固定するための孔明きプレート5が、鉛直方向に所要の間隔をあけて溶接等で水平に設けられている。
さらに、前記支持部材3、3は、必要に応じスチフナー11で補剛する等して所要の強度・剛性を備え、河川水や土砂の流れを受けて下流側Dへ移動しようとする離脱材2の押圧力に対し、効率よく抵抗できる位置および対面角度θ(図示例は30度程度)で鋼製セル1に設置されている。
具体的に、前記バンド材(丸鋼)4はあらかじめ、湾曲部が前記離脱材2の曲率とほぼ一致するU字形状に形成され、その両端部は、内側にボルト6が通る程度の小さい輪状(又は鉤状)を形成するように内方へ折り曲げられている。よって、本実施例にかかる簡易接続は、このバンド材4の湾曲部を離脱材2の外周面に沿わせ、両端部を前記孔明きプレート5の上に載せ、ボルト6を該孔明きプレート5の下方からバンド材4の輪(折り曲げ部)の内側へ通して貫通させ、角ワッシャ7等を介してナット8で締め付けて実施されている。
ちなみに本実施例では、所定の押圧力が連結構造に作用した際に、前記ボルト6が破断するような細径で実施したり、前記ナット8が外れるように緩く締めて実施したり、前記バンド材4を、その両端部の折り曲げ部が外方へ曲がりボルト6から外れるような剛性で実施したり、又は前記孔明きプレート5が支持部材3から剥離しやすいように該支持部材3よりも低い強度の溶接材を用いて溶接(アンダーマッチ)したりして、支持部材3と離脱材2との接続状態を解除できるような構造設計で実施されている。
先ず、所定の場所に所定の間隔をあけて複数の鋼製セル1を構築する。中詰材の充填作業は、鋼製セグメントを一段ずつ組み立てて、鋼製セル1が完成した後に行うことが作業上好ましい。
続いて、隣り合う鋼製セル1の外壁面の所定部位、すなわち後に配置する離脱材2の外周面とバランスよく線接触する部位に、前記支持部材(H形鋼)3を鉛直姿勢にしてボルト又は溶接等の接合手段で接合する。支持部材3は、河川水や土砂の流れを遮断するのに必要な高さとし、必要に応じ適宜継ぎ足して前記鋼製セル1に接合する。なお、前記支持部材3は、離脱材2と接触する側のフランジの裏面側にあらかじめ、前記孔明きプレート5を設けて現場溶接の省力化を図っている。
ちなみに本実施例では、地すべりによる鋼製セル1の移動により所定の押圧力が連結構造に作用した際に、前記ボルト6が破断して前記支持部材3と前記離脱材2との簡易接続状態を解除できるような構造設計を採用している(図3参照)。
これに伴い、隣り合う鋼製セル1、1の間隔の大部分を離脱材2で塞ぐことができるので、該離脱材2を支持する支持部材3の幅寸を小さくして実施できる。支持部材3の幅寸を小さくして実施できるので、地すべりにより鋼製セル1が移動して、隣り合う鋼製セル1、1の間隔が狭くなったとしても支持部材3が隣り合う支持部材3(又は鋼製セル1)に衝突して破損する虞を極力回避できる。よって、支持部材3の破損に伴う鋼製セル1の破損も極力防止できる。
ちなみに、以下の実施例2〜7では、鋼製セル1の連結構造を実現する上で主要な構成要素となる離脱材2と支持部材3のバリエーション(実施形態)を図面に基づいて説明する。
要するに、図4A、Bに係る鋼製セル1の連結構造について、上記実施例1と同様に、離脱材2は、曲面を有する丸形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の曲面にフランジが線接触するH形鋼を用いて実施している。ちなみに前記支持部材3は、前記鋼製セル1の外壁面にボルト接合で取り付けているが、溶接接合、或いはこれらを併用して取り付けることもできる。
可撓性に優れたこれらのバンド材4は、丸鋼より剛性(引張強度)が低いので、地すべりによる鋼製セル1の移動により所定の押圧力が連結構造に作用した際に、当該バンド材4自身が破断により切り離されて、前記離脱材2と前記支持部材3との簡易接続状態を解除できるような構造設計で実施することが好ましい。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い丸形鋼管とH形鋼とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は曲面を備え、前記支持部材3は該曲面に線接触する平面を有していればよい。例えば、前記支持部材3は、H形鋼の代わりにI形鋼を用いてもほぼ同様に実施できる。
要するに、図4Cに係る鋼製セル1の連結構造について、離脱材2は、曲面を有する丸形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の曲面に面接触するようにフランジを僅かに湾曲させたH形鋼を用いて実施している。ちなみに前記支持部材3は、前記鋼製セル1の外壁面にボルト接合で取り付けているが、溶接接合、或いはこれらを併用して取り付けることもできる。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い丸形鋼管とH形鋼とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は曲面を備え、前記支持部材3は該曲面に面接触する曲面を有していればよい。
要するに、図4Dに係る鋼製セル1の連結構造として、離脱材2は、曲面を有する丸形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の曲面に線接触する半割状の丸形鋼管を用いて実施している。
ちなみに、前記支持部材3である半割状の丸形鋼管は、溶接で裏当てした平板プレート9を鋼製セル1の外壁面にボルト接合することにより鋼製セル1に取り付けているが、平板プレート9を用いずに、直接鋼製セル1に溶接で取り付けることもできる。また、前記孔明きプレート5は、前記支持部材3である半割状の丸形鋼管の外壁面の鉛直方向に所要の間隔をあけて溶接等で水平に設けられている。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い丸形鋼管と半割状の丸形鋼管とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は曲面を備え、前記支持部材3は該曲面に線接触する曲面を有していればよい。
要するに、図5Aに係る鋼製セル1の連結構造について、離脱材2は、平面を有する角形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の平面に面接触するH形鋼を用いて実施している。ちなみに前記支持部材3は、前記鋼製セル1の外壁面にボルト接合で取り付けているが、溶接接合、或いはこれらを併用して取り付けることもできる。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い角形鋼管とH形鋼とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は平面を備え、前記支持部材3は該平面に面接触する平面を有していればよい。
要するに、図5Bに係る鋼製セル1の連結構造について、離脱材2は、平面を有する角形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の平面に線接触するH形鋼を用いて実施している。ちなみに前記支持部材3は、前記鋼製セル1の外壁面にボルト接合で取り付けているが、溶接接合、或いはこれらを併用して取り付けることもできる。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い角形鋼管とH形鋼とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は平面を備え、前記支持部材3は該平面に線接触する平面を有していればよい。
要するに、図5Cに係る鋼製セル1の連結構造について、離脱材2は、平面を有する角形鋼管を用い、支持部材3は、該離脱材2の平面に線接触する半割状の丸形鋼管を用いて実施している。前記支持部材3である半割状の丸形鋼管を鋼製セル1の外壁面に設置する方法、および該半割状の丸形鋼管に孔明きプレート5を設置する方法は、上記実施例4で説明したとおりである。
なお、前記離脱材2と前記支持部材3はそれぞれ、汎用性が高い角形鋼管と半割状の丸形鋼管とで実施しているが、これは一例に過ぎず、前記離脱材2は平面を備え、前記支持部材3は該平面に線接触する曲面を有していればよい。
2 離脱材
3 支持部材
4 バンド材
5 孔明きプレート
6 ボルト
7 角ワッシャ
8 ナット
9 平板プレート
10 地山
11 スチフナー
Claims (8)
- 間隔をあけて複数設置される鋼製セルを互いに連結して不透過型の砂防えん堤を構成する鋼製セルの連結構造であって、
隣り合う鋼製セルの間に柱状の離脱材が鉛直に配置され、
前記隣り合う鋼製セルの外壁面にはそれぞれ、前記離脱材に線接触又は面接触する支持部材が該鋼製セルの軸方向に延長して設けられ、
前記離脱材は、前記隣り合う鋼製セルの平面視で中心同士を結んだ中心連結線上から外れた位置に配置され、前記支持部材に対し、溶接又はバンド部材で仮固定され、地すべりによる鋼製セルの移動で仮固定状態が解除されるように簡易接続されていることを特徴とする、鋼製セルの連結構造。 - 前記離脱材は曲面を有しており、前記支持部材が、前記離脱材の曲面に線接触又は面接触することを特徴とする、請求項1に記載した鋼製セルの連結構造。
- 前記離脱材は平面を有しており、前記支持部材が、前記離脱材の平面に線接触又は面接触することを特徴とする、請求項1に記載した鋼製セルの連結構造。
- 前記支持部材が、前記離脱材の曲面又は平面に線接触する曲面を有していることを特徴とする、請求項2又は3に記載した鋼製セルの連結構造。
- 前記支持部材が、前記離脱材の曲面又は平面に線接触する平面を有していることを特徴とする、請求項2又は3に記載した鋼製セルの連結構造。
- 前記離脱材は、丸形鋼管、又は角形鋼管であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した鋼製セルの連結構造。
- 前記支持部材は、H形鋼、I形鋼、又は半割状の丸形鋼管であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した鋼製セルの連結構造。
- 両端部に設置する鋼製セルは、その1つ内側に設置する鋼製セルと、平面視で、前後にずらして設置されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載した鋼製セルの連結構造。
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