JP2010235893A - ガスハイドレートの脱圧装置 - Google Patents

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正浩 高橋
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博子 三町
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Abstract

【課題】高圧下におけるガスハイドレートを大気圧等の低圧にまで脱圧する装置を提供する。
【解決手段】円筒状本体の上部に高圧雰囲気のガスハイドレートが供給される供給口を、下部にガスハイドレートが低圧雰囲気に排出される排出口をそれぞれ設け、前記円筒状本体内に羽根車を軸支すると共に、この羽根車により円筒状本体内に複数のガスハイドレート受入室を区画形成し、前記円筒状本体に、前記供給口より排出口にガスハイドレートを移送する区域の受入室内と前記低圧雰囲気とが連通する脱圧管を設けると共に、前記排出口より供給口に受入室が戻る区域のその受入室内に封液を供給する封液供給管を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧下におけるガスハイドレートを大気圧等の低圧にまで脱圧する装置に関する。
クリーンエネルギーとして注目されているガスハイドレートは、例えば、5〜5.5MPa、2〜4℃の条件下において、原料ガス(メタンガス、プロパンガス、或いはこれらの混合ガス)と原料水との水和反応により生成される。また、生成したガスハイドレートは、スラリー状となっているので、これを脱水・成形し、ペレットなどの形状に成形して製品化される。
ところで、前記ガスハイドレートは、大気圧下でマイナス20℃とすると自己保存効果と称される効果を発揮し、長期間にわたって保管できるという特性を有しており、また、生成圧力(5〜5.5MPa)の高圧下で保存・輸送した場合に、その高圧状態に維持するためのコストがかかる。
係ることから、生成されたガスハイドレートを生成圧力などの高圧から大気圧等の低圧にまで脱圧する方法が提案されている。一例としては、図5に示されるように、ガスハイドレートhを回転体150に設けた収容室150a内に収容し、ガス放出管148からガスgを排気し、高圧雰囲気の圧力P1から低圧雰囲気の圧力P2に脱圧する脱圧装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−268406号公報
特許文献1記載の脱圧装置は、高圧雰囲気の圧力P1から低圧雰囲気の圧力P2に脱圧するには、必然的に収容室150a内のガスgを外部へ放出しなければならない。従って、ガスハイドレートhの脱圧に伴って排気されるガスgを回収し、ガスハイドレートhの生成装置などで再利用するために、回収したガスgを高圧雰囲気の圧力P1にまで再圧縮する圧縮動力がかかる。また、脱圧したガスハイドレートhを低圧雰囲気に放出した収容室150a内に、ガスgを供給して高圧雰囲気の圧力P1にまで昇圧する圧縮動力がかかる。更には、脱圧の際に放出されるガスgは、高圧雰囲気のガスであるので、その高圧雰囲気のガスが排気されて消費される。
そして、高圧雰囲気のガスgが、回転体150と本体170の内壁との隙間から洩れ出すという問題があった。
本発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みて、ガスハイドレートを高圧雰囲気の圧力から低圧雰囲気の圧力にまで脱圧する際に、高圧雰囲気のガスを外部に放出せず、且つガス漏れしない脱圧装置を提供することを目的とする。
本発明に係るガスハイドレートの脱圧装置は上記目的を達成するため、下記の如く構成されている。
(1)上部に高圧雰囲気にあるガスハイドレートが供給される供給口を、下部にガスハイドレートが低圧雰囲気に排出される排出口をそれぞれ設けた円筒状本体と、この円筒状本体内に軸支された羽根車とを有し、前記円筒状本体は、その内部に、前記羽根車により複数のガスハイドレート受入室が区画形成されており、ガスハイドレートが排出口から排出されて前記供給口へ戻る受入室に、この受入室内に封液を供給する封液供給管が接続され、ガスハイドレートが供給口から供給されて前記排出口へ移送する受入室に、この受入室内と前記低圧雰囲気とを連通する脱圧管が接続されていることを特徴としている。
(2)前記羽根車は、前記円筒状本体の内壁との摺接部分にシール部材が設けられていることを特徴としている。
(3)前記シール部材が、ポリウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シリコン樹脂、またはこれらの複合体からなることを特徴としている。
(4)前記封液が、前記ガスハイドレートを構成する原料ガスと同質の液化ガス、液体プロパン、ヘキサン、ケロシン、もしくはシリコンオイルであると共に、その液化ガスの沸点よりも低温としたことを特徴としている。
(5)前記高圧雰囲気の圧力が5.0〜5.5MPaであり、前記低圧雰囲気の圧力が0.1〜0.4MPaであることを特徴としている。
受入室内に封液を充填したことにより、その受入室内と低圧雰囲気とが連通して脱圧される時に、従来のように収容室内のガスを放出して脱圧することがなくなる。また、脱圧時に、封液中のガスハイドレートの周囲に気泡として付着していたガスが放出されたとしても、僅かな量であるので、従来よりも著しく放出ガスが減少する。
また、受入室内に充填された封液が、ガスに比べて粘度が高いため、洩れ量が著しく減少する。例え、漏れたとしても、封液は沸点よりも低温であるので膨脹せず、再圧縮動力が不要である。
本発明に係るガスハイドレート脱圧装置の実施態様を示す図である。 本発明に係るガスハイドレート脱圧装置の要部を示す概略構成図である。 本発明に係るガスハイドレート脱圧装置のX−X矢視断面図である。 本発明に係るガスハイドレート脱圧装置の他の実施態様を示す図である。 従来のガスハイドレート脱圧装置の概略構成図である。
以下、本発明に係る脱圧装置の実施形態について説明する。
本発明に係る脱圧装置1は、例えば、図2及び図3に示すように、円筒状本体3内に軸支された羽根車2により複数の受入室が区画形成されている。また、前記羽根車2の羽根の周縁に形成された凹条に、円筒状本体3の内壁3fと摺接するシール部材4が嵌合されている。このシール部材4としては、ポリウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シリコン樹脂、又はこれらの複合体が使用される。
更に、ガスハイドレートhが排出口3bから排出されて供給口3aに戻る受入室2aに、この受入室2a内に封液rを供給する封液供給管8が接続されている。また、高圧雰囲気の圧力P1のガスハイドレートhが供給口3aから供給されて前記排出口へ移送する受入室2aに、この受入室2a内と低圧雰囲気の圧力P2とを連通する脱圧管9が接続されている。前記高圧雰囲気の圧力P1は、例えば、ガスハイドレートの生成条件となっている5.0〜5.5MPaとなっている。低圧雰囲気の圧力P2は、大気圧などの低圧の0.1〜0.4MPaとなっている。
次に、本発明に係る脱圧装置1の実施形態について、その一例を図1に示す。この図1に示すように、脱圧装置1は、高圧雰囲気の圧力P1下でペレタイザー21により圧縮成形されたガスハイドレートペレットhを、低圧雰囲気の圧力P2の貯蔵容器23に移送する際に使用される。
前記ペレタイザー21は、ガスハイドレートの生成雰囲気である高圧雰囲気の圧力P1(例えば、5.0〜5.5MPa)と温度(2〜4℃)でスラリー状あるいは粉体状のガスハイドレートを圧縮成形し、球形や円柱形で20〜100mm程度の大きさのガスハイドレートペレットhを形成するように構成されている。
ペレタイザー21で圧縮成形されたガスハイドレートhは、移送管19を介してホッパー5aに供給され、脱圧装置1の供給口3aより受入室2a内に投入される。この際、ホッパー5aには封液rが充填されており、一定量を一定温度に保つように制御されている。例えば、封液rの量が不足すれば、ポンプ29、バルブv1,v2を介して補充すればよい。また、封液rの量が増加した場合は、ホッパー5aから固液分離器22へ図示しない配管と圧力制御バルブを介して戻せばよい。
これらの制御は、ホッパー5aの液面レベル計と液面レベル制御機構により行うことができる。なお、ホッパー5aの液面レベルの変動は、投入されてくるガスハイドレートh量の変動やガスハイドレートhを脱圧装置へ送り出す際の封液rの戻り(封液rで満たされた受入室2aへ封液rより比重の大きいガスハイドレートhが沈降することにより、封液rがホッパー5a側に戻ること)によるものである。
一方、温度制御については、図示しない冷却機構(例えば、図1のポンプ27、冷却器28および循環路17)を付帯しておけばよい。
そして、投入されたガスハイドレートhは受入室2a内に充填された封液rによって0℃以下まで冷却され、付着している水分が氷結する。封液rとしては、ガスハイドレートを構成する原料ガスと同質の液化ガス、液体プロパン、ヘキサン、ケロシン、もしくはシリコンオイルが使用され、本実施例においては、液化プロパンガスが使用される。
ガスハイドレートhと封液rとを収容した受入室2aが排出口3bへ移送される途中で、その受入室2a内と低圧雰囲気(例えば、固液分離器22)の圧力P2とが脱圧管9を介して連通し、受入室2aの内圧が低圧雰囲気の圧力P2にまで脱圧される。脱圧されたガスハイドレートhと封液rとは、排出口3bより低圧雰囲気の圧力P2下である固液分離器22内へ排出される。
排出されたガスハイドレートhと封液rとは、固液分離器22内に設けたパンチングメタルなどの固液分離手段22aによりそれぞれ分離され、ガスハイドレートhは貯蔵容器23へ移送され、封液rは貯留槽24へ移送される。貯蔵容器23へ移送されたガスハイドレートhは、大気圧下で自己保存効果を発揮する温度(例えば、マイナス20℃)に冷却されている。
前記貯留槽24内の封液rは、ポンプ27と冷却器28とを備えた循環路17内を循環しながら冷却される。また貯留槽24に、前記受入室2a内に封液r供給するポンプ29を備えた供給管8が設けられている。
図1に示す装置の場合、ホッパー5aと固液分離器22の温度レベルを変えることも可能である。例えば、ホッパー5aを一次冷却としてマイナス5〜0℃、固液分離器22を
二次冷却としてマイナス20℃としておけば、全系内をマイナス20℃とすることに比べてエネルギー効率がよい。特に、封液rが液体プロパンのような蒸気圧の低い物質の場合は、固液分離器22で封液rが蒸発することによる冷却効果が得られる。なお、この場合、蒸発したガスは、配管12より排出され、図示しない液化機構により液化され、封液rの貯留槽24へ戻すようにしておくことが好ましい。
次に、本発明に係るガスハイドレートの脱圧装置1について、受入室2a内の圧力変動について説明する。
ガスハイドレートhを排出口3bより低圧雰囲気へ排出して空となった受入室2aは、供給口3aに戻る区域に接続された封液供給管8より封液rで満たされる。この際、受入室2a内のガスを図示しないガス排出機構(例えば、配管と圧力制御弁の組合せ)により固液分離器22へ戻すようにしておくことが好ましい。封液rで満たされた受入室2aの内圧が高圧雰囲気の圧力P1となる。その圧力P1となった受入室2aは、高圧雰囲気の供給口3aと連通し、ガスハイドレートhがその受入室2a内に投入される。受入室2a内に投入されたガスハイドレートhは封液rよりも比重が大きいので、その封液r中に沈降しながら受入室2aに充填される。
次いで、封液rとガスハイドレートhとが充填された受入室2aは、排出口3bに向かう区域に接続された脱圧管9により、受入室2a内と低圧雰囲気の圧力P2の固液分離器22内と連通し、前記低圧雰囲気の圧力P2にまで脱圧される。さらに、脱圧された収容室2aが排出口3bと連通し、封液rとガスハイドレートhとが排出され、固液分離器22によりガスハイドレートhと封液rとに分離・回収される。
このような圧力変動を繰り返しながらガスハイドレートhが高圧雰囲気の圧力P1から低圧雰囲気の圧力P2にまで脱圧されると共に自己保存効果を発揮する温度にまで冷却される。
上述のように、本発明により、高圧雰囲気より低圧雰囲気へガスハイドレートを脱圧する際に、従来のようにガスを放出することで脱圧する必要がないので、脱圧のために放出されたガスを回収・再圧縮するためのコストが軽減される。
また、封液の粘度がガスよりも高いので、羽根車と円筒状本体の内壁との隙間からは、封液が殆ど漏れ出さなくなる。また、封液がその沸点よりも低温となっているので、漏れ出したとしても膨脹しない。従って、再圧縮動力が不要となる。
なお、図4に示すように、多数の受入室2aを区画形成した場合には、複数の封液供給管8a,8bと、複数の脱圧管9a,9bとを円筒状本体3に設けることで、封液rの供給と脱圧を段階的に行うことができる。これにより、封液の充填と脱圧を、より穏やかに行うことができる。
1 脱圧装置
2 羽根車
2a 受入室
3 円筒状本体
3a 投入口
3b 排出口
4 シール部材
5 供給管
5a ホッパー
6 排出管
7 軸
8 封液供給管
9 脱圧管
11 ハイドレート移送管
12 ガス排気管
13 封液ドレイン
17 循環路
18 ハイドレート供給管
19 ハイドレートペレット移送管
21 圧縮成型器(ペレタイザー)
22 固液分離器
22a パンチングメタル
23 貯蔵容器
24 貯留槽
27 ポンプ
28 冷却器
h ハイドレート
r 封液
g ガス
P1 高圧
P2 低圧

Claims (7)

  1. 円筒状本体の上部に高圧雰囲気のガスハイドレートが供給される供給口を、下部にガスハイドレートが低圧雰囲気に排出される排出口をそれぞれ設け、前記円筒状本体内に羽根車を軸支すると共に、この羽根車により円筒状本体内に複数のガスハイドレート受入室を区画形成し、
    前記円筒状本体に、前記供給口より排出口にガスハイドレートを移送する区域の受入室内と前記低圧雰囲気とが連通する脱圧管を設けると共に、前記排出口より供給口に受入室が戻る区域のその受入室内に封液を供給する封液供給管を設けたことを特徴とするガスハイドレートの脱圧装置。
  2. 円筒状本体の上部に高圧雰囲気のガスハイドレートが供給される供給口を、下部にガスハイドレートが低圧雰囲気に排出される排出口をそれぞれ設け、前記円筒状本体内に羽根車を軸支すると共に、この羽根車により円筒状本体内に複数のガスハイドレート受入室を区画形成し、
    前記円筒状本体に、前記受入室にガスハイドレートが充填された状態で前記排出口に近づいた位置に、低圧雰囲気と連通する脱圧管を設け、更に、前記受入室よりガスハイドレートを排出した後に、空になった受入室に封液を供給する供給管が設けられていることを特徴とするガスハイドレートの脱圧装置。
  3. 前記円筒状本体に、複数の脱圧管と複数の封液供給管とがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスハイドレートの脱圧装置。
  4. 前記羽根車は、前記円筒状本体の内壁との摺接部分にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスハイドレートの脱圧装置。
  5. 前記シール部材が、ポリウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シリコン樹脂、またはこれらの複合体からなることを特徴とする請求項4記載のガスハイドレートの脱圧装置。
  6. 前記封液が、前記ガスハイドレートを構成する原料ガスと同質の液化ガス、液体プロパン、ヘキサン、ケロシン、シリコンオイルの何れかであると共に、その液化ガスの沸点よりも低温としたことを特徴とする請求項1又は2記載のガスハイドレートの脱圧装置。
  7. 前記高圧雰囲気の圧力が5.0〜5.5MPaであり、前記低圧雰囲気の圧力が0.1〜0.4MPaであることを特徴とする請求項1又は2記載のガスハイドレートの脱圧装置。
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