JP2010235471A - 被膜形成型製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル又はアセトン、或いは、これらの混合物の溶解剤に溶解し、これにエチルアルコールを添加したものに所定量の水溶性高分子を加え、更に被膜の耐水性を強化するとともに水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニールポリマー、ポリビニールアルコール等の水溶性高分子を含有させることを可能するためにロジンを所定比率で添加して、皮膚に塗布した後溶剤が揮散し、塗布部位の皮膚上に透明或いは半透明のフィルムを形成することにより患部を密封し、半ODT効果により含有成分の経皮吸収性を高め揮散薬物の揮散性を抑制し、含有薬物を徐放化することによって効果の持続性を改善し、更に塗付部を皮膜で保護した被膜形成型製剤。
【選択図】図1
Description
しかしながら、本製剤は被膜形成時に有機溶剤を揮散させるために、揮散時に皮膚角質層の水分を含む保湿成分を同時に奪ってしまうという特徴を有する。この現象は長期使用する条件下では被膜除去後の皮膚に肌荒れ、皮膚割れといった皮膚損傷とそれに伴う痛みといったダメージを与えるのである。
本発明の課題は、被膜形成型製剤の被膜形成時の肌に、ダメージを与えずに患部を被覆し、表面が適度粘着性を有するする被膜形成型製剤を提供することにある。
塗布した部位の保湿性は向上したものの、被膜自体に耐水性に欠点が認められ、被膜形成による患部の保護と効果に疑問が残った。そこで水溶性高分子の水分含有による保湿機能を保持し、吸水後の被膜の耐水性と被膜強度を高めるには如何にすればよいかの一点に集中して試行錯誤を重ねた。その結果、松脂、ロジン又はロジン酸の内、特にロジンを所定比率で添加することによって水溶性高分子を含有した製剤組成で形成した被膜の強度を格段に高め、且つ従来の水溶性高分子を含有しない被膜形成型製剤の塗布後の形成被膜の強度も高める結果を得た。更に、従来の形成被膜に無かった適度の滑り止め効果(表面粘着力)を有することも判明した。発明者は、この事実を基にして更に研究を重ねた結果、この発明を完成させることができた。
先ず、ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル、又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加したものに所定量の水溶性高分子を加え、さらにロジンを所定比率で添加したものであるが、従来の被膜形成型製剤と同様な品質の被膜形成が期待でき、皮膚に塗布した後溶剤が揮散し、透明、或いは半透明のフィルムを塗布した部位の皮膚上に即座に形成することにより塗付部位をシールドし、薬物の経皮吸収性を高め、効果の持続性を発揮するが、特に、ロジンを配合することにより、形成被膜の耐水性が格段に向上し、短時間で形成被膜が脱落することが少なく、また、指の皮膚に割れ等の皮膚損傷や、それに伴う痛みの発症も少なく非常に安全に使用できるもので、更に、被膜表面も実際の人間の肌のように適度の粘性を有するものとなる。
勿論、従来の形成被膜と同様に、形成されたフィルムによって肌をシールドすることによって患部からの薬物の離脱を防ぎ、且つ衣服等の摩擦、引っ掻き等の物理的刺激から肌を防御する。つまり肌に防御盾に相当する膜を形成するのである。又、被膜形成製剤を肌に塗布後、皮膜形成時の有機溶剤揮散による皮膚角質層の水分揮散を抑制し、皮膚角質層の保湿成分の離脱を防ぐことによって、使用後の皮膚の保湿性を維持し、肌荒れ等の皮膚障害を予防する。塗付した部位と水分との直接の接触を防止することによって手洗い等によって塗付した薬効成分が肌から流出するのを防ぎ、更に衣服等の接触による薬効成分の喪失を防ぐことが効果の持続性を高めることにつながる。
形成されたフィルムは半ODT(半密封)であり通気性と保湿性を有するために従来の貼付製剤に特徴的な貼付部位の副作用(かぶれ、発赤、水泡等)はまったく認められていない。又、被膜形成型製剤の製剤構成は水分を全く含有しないために有効成分の安定性が極めて高く、一般的な外用製剤に特有の皮膚に対する悪影響を及ぼす危険性があると考えられる防腐剤や界面活性剤を使用する必要性は全く無い。
請求項2の発明は、前記溶解剤の中にフィルムの摩擦係数や強度、柔軟性を調整するためにアセチル化ヒアルロン酸、ミツロウ、カルナバロウ、ラノリン、シリコーンから選択される1種類以上を所定量を添加したことを特徴とする請求項1に記載の被膜形成型製剤である。
請求項3の発明は、前記溶解剤の中に膜形成時の膜の強度・柔軟性とODT効果を高めるようにするためにシソオイル、ごま油、エゴマ油、オリーブ油、馬油、ヒノキオイル、ひまし油の天然油、合成のシリコーン油から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の被膜形成型製剤である。
請求項4の発明は、前記水溶性高分子は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニールポリマー、ポリビニールアルコールから選択される一種以上であることを特徴する請求項1に記載の被膜形成型製剤である。
更に、形成被膜時に揮散する有機溶剤が殺菌効果を有するために塗布患部の殺菌を同時に実施することが可能となる。創傷部位や感染部位の皮膚殺菌には余分な殺菌剤も不用であり、最適な投与形体である。
また、水溶性高分子を添加することによって保湿成分に離脱を抑え、使用時の水溶性高分子の水分保持機能によって皮膚障害を予防でき、さらに、連続使用による皮膚障害を抑えることができる。
なお、ロジンの単独使用の場合に比べて作用・効果証多少劣るが、ロジンに変えてロジンと同等のロジン酸や松脂、あるいはこれらを混合したものを用いてもよい。
本発明の被膜形成型製剤の好適な実施例を説明するが、先ず、この実施例1の配合比は次の[表1]に示すものである。
[実施例1]
[表1]
[組成比]
ニトロセルロース・・・・・・・・・・7.0w/w%
ヒドロキシプロピルセルロース・・・・1.0w/w%
エチルアルコール・・・・・・・・・70.0w/w%
酢酸3−メチルブチル・・・・・・・・5.0w/w%
アセトン・・・・・・・・・・・・・10.0w/w%
ロジン・・・・・・・・・・・・・・・3.0w/w%
シリコーン・・・・・・・・・・・・・2.0w/w%
ゴマ油・・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
ひまし油・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
合計:100.0w/w%
上記の組成比になるように本実施例の被膜形成型製剤は、次のような手順で調製した。
先ず、ニトロセルロースとヒドロキシプロピルセルロースを酢酸3−メチルブチルに溶解させたのち、更にアセトンを添加して常温にて良く攪拌した。 次にこの溶解液にエチルアルコールを加えて良く攪拌したのち、シリコーン、ゴマ油、ひまし油、最後にロジンと順次攪拌下に少量ずつ添加し、3時間撹拌・練合した後、密封した状態で12時間室温放置して製造した。
ここで、ロジンのw/w%(重量%)は、0.1%から10w/w%が適量であるが、後述するように、0.1w/w%以下では効果が確認できず、10w/w%以上となると粘性が高くなり、被膜が形成し難くなり、皮膚のかぶれが生ずる等の不都合が生じたので、1〜5w/w%がより好ましい。また、被膜形成にはニトロセルロースが5〜10w/w%が適量であるが、この値によって最良効果を得るロジンのw/w%も多少変化するが、いずれにしても0.1%から10w/w%、より好ましくは1〜5w/w%の範囲で初期の作用効果が得られる。ここで、ニトロセルロースが5〜10w/w%の範囲でそのw/w%が多くなれば、ロジンのw/w%は0.1%から10w/w%の範囲でそのw/w%少なくなり、ニトロセルロースが5〜10w/w%の範囲でそのw/w%少なくなれば、ロジンのw/w%は0.1%から10w/w%の範囲でそのw/w%が多くなるが、その変動は僅かである。
なお、本実施例で使用したロジンは、松の木などのオレオレジンから抽出し精製した天然の硬化樹脂で酸価が150〜177で、灰分が0.1%以下の日本薬局方に合致したものである。また、ロジンに変えてロジンと同等のロジン酸や松脂、あるいはこれらを混合したものを用いてもよいが、ロジンの単独使用の場合に比べて作用・効果は多少劣ることが、実験の結果判明した。
また、保湿等のための水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロースは0.5から3.0w/w%で、0.5w/w%以下だと使用の際の柔軟性が欠け、3.00w/w%以上だと固化してしまい、好ましくは、1.0から2.0w/w%で、更に好ましくは1.0w/w%である。さらに、摩擦係数や強度、柔軟性を調整するシリコーンは1.0〜3.0w/w%、好ましくは2.0w/w%、膜形成時の膜の強度・柔軟性とODT効果を高めるようにするためにゴマ油は0.5〜2.0w/w%、好ましくは1.0w/w%、同様にひまし油も0.5〜2.0w/w%、好ましくは1.0w/w%を順次攪拌下に少量ずつ添加すればよい。
[比較例1]
[表2]
[組成比]
ニトロセルロース・・・・・・・・・・7.0w/w%
ヒドロキシプロピルセルロース・・・・1.0w/w%
エチルアルコール・・・・・・・・・73.0w/w%
酢酸3−メチルブチル・・・・・・・・5.0w/w%
アセトン・・・・・・・・・・・・・10.0w/w%
シリコーン・・・・・・・・・・・・・2.0w/w%
ゴマ油・・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
ひまし油・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
合計:100.0w/w%
上記の組成比になるように比較例1の被膜形成型製剤は実施例1と同様に、次のような手順で調製した。
ニトロセルロースとヒドロキシプロピルセルロースを酢酸3−メチルブチルに溶解させたのち、更にアセトンを添加して常温にて良く攪拌した。次にこの溶解液にエチルアルコールを加えてよく攪拌したのち、シリコーン、ゴマ油、ひまし油を順次攪拌下に少量ずつ添加し、3時間攪拌・練合した後、密封した状態で12時間室温放置して製造した。
[比較例2]
[表3]
[組成比]
ニトロセルロース・・・・・・・・・・7.0w/w%
エチルアルコール・・・・・・・・・74.0w/w%
酢酸3−メチルブチル・・・・・・・・5.0w/w%
アセトン・・・・・・・・・・・・・10.0w/w%
シリコーン・・・・・・・・・・・・・2.0w/w%
ゴマ油・・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
ひまし油・・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
合計:100.0w/w%
上記の組成比になるように比較例2の被膜形成型製剤も、比較例1と同様に、次のような手順で調製した。ニトロセルロースを酢酸3−メチルブチルに溶解させたのち、更にアセトンを添加して常温にて良く攪拌した。次にこの溶解液にエチルアルコールを加えて良く攪拌したのち、シリコーン、ゴマ油、ひまし油を順次攪拌下に少量ずつ添加し、3時間攪拌・練合した後、密封した状態で12時間室温放置して製造した。
上記の組成、及び調整法で製造した実施例の被膜形成型製剤の形成被膜の耐水性を以下の条件で検証した。
(1)被検体:実施例1(上記の実施例製剤:以下「実施例品」という。)
対照製品:比較例1、比較例2
(2)試験方法:
スライドグラス(厚さ:0.9〜1.2mm・面積:76×26mm)上に各々スポイトを用いて採取した被検体を1mlずつ滴下し、綿棒を用いてスライドグラス上に一定の厚さに均一に塗布した。5分経過後、スライドグラスの非塗布部(裏面)よりドライヤーを用いて10秒間熱風乾燥を施した。次に乾燥したスライドグラスを約30℃に加温した精製水で満たした一定の整列容器に1枚ずつ浸した。その後7日目まで毎日浸漬したスライドグラスを取り出し、スライドグラス上に形成された被膜の状態を観察し、下記の評価基準に従って被膜の剥離度を評価した。更に、温水に界面活性剤(Tween80)を1w/w%添加し、良く攪拌したのち上記と同様な条件で浸漬試験を実施し、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準:正常(殆ど破損無し): 5点
僅かに破損(10%以下):4点
一部破損(10〜20%):3点
やや破損(20〜50%):2点
かなり破損(50%以上):1点
殆ど破損(90%以上): 0点
前記形成被膜の耐水性の試験結果を[表4]に示す。
この[表4]に示すように、温水に浸漬した場合は、本発明の実施例1の実施例品では7日間の試験期間中に被膜の脱落は全く観察されなかった。これに対して比較例1では1日目から被膜の軽度の脱落傾向が認められ、2日目には完全に被膜が脱落する例が出現し、3日目には総ての例で被膜が完全に脱落した。比較例2では2日目までは被膜に変化は無かったが3〜4日から軽度の脱落傾向が5日目まで認められ、6日には総ての例で被膜が完全に脱落したのを確認した。
温水に界面活性剤を添加した溶液に被検体を浸漬した試験では、実施例品では7日間の試験期間中に被膜が脱落・破損する例は皆無であった。これに対して比較例1では試験1日目で被膜の一部の脱落が全例に確認され、2日目には総ての被膜が脱落した。比較例2では試験1日目は被膜に全く脱落は無かったが2日目の一部に脱落が認められ、その傾向は経日的に強くなり試験5日目には総ての被膜が完全に脱落した。
以上の結果から実施例品は温水及び界面活性剤を添加した温水に浸漬した状態でも7日間の試験期間中に形成被膜が脱落することは全く確認されなかったこと、更に皮膚の保水性改善を目的として処方した比較例1と従来の被膜形成型製剤処方である比較例2に比較しても飛躍的に被膜の特性が改善されたことが実証された。
上記の組成、及び調製方法で製造した実施例1の皮膚角質層の水分ロスに伴う皮膚損傷に対する効果を以下の条件で検証した。
(1)被検体:実施例1(上記の実施例1の製剤:以下「実施例品」という。)
対照製品:比較例1、比較例2
(2)被験者:22歳〜35歳女性
(3)試験方法:
被検体3種類を口径2.5cm、容量30mlの3個プラスチック性容器に各30ml入れ、これをA(実施例品)、B(比較例1)、C(比較例2)とした。次に被験者の右手人差し指をAに、中指をBに、薬指をCにそれぞれ指の第一関節部まで浸漬し、数秒後に容器から各指を抜き、約5分間手を使わない状態で自然乾燥させた。この処置を毎朝10時に実施し、24時間後に指の先端部位の皮膚の損傷度を下記の判定基準に従って判定した。この操作は7日間連続して実施した。
尚、試験期間中被験者は拘束条件を付けずに通常の生活行動に影響の無い状態で生活してもらった。
判定基準:皮膚割れ無し・痛み無し :0点
軽度の皮膚割れ・痛み無し :1点
軽度の皮膚割れ・痛み有り :2点
中等度の皮膚割れ・痛み有り:3点
強度の皮膚割れ・痛み有り :4点
皮膚損傷に対する効果の試験結果を[表5]に示す。[表5]に示すように、本発明の実施例1の実施例品は7日間の連続して人差し指に浸漬を繰り返したが、指の皮膚に割れは全く確認されず、従って皮膚割れに伴う痛みの訴えも皆無であった。これに対して比較例1は試験開始3日目までは中指の皮膚に特に変化は認められなかったが、4日目に軽度の皮膚割れと痛みを発症する例が2人に認められた。その後軽度ながら経日的に症状の程度と例数に増加傾向が認められ、試験最終日には全例が軽度以上の皮膚割れと痛み有り以上の症状を呈した。比較例2では試験開始1日目から薬指に痛みを伴わない軽度の皮膚割れが2例に認められ、2日目以降、比較例1の倍以上の速さと程度で症状の悪化が進行し3日目からは総ての例で痛みが発症し、試験最終日まで痛みの症状は持続し、且つ皮膚割れの程度も殆ど強度となった。
以上の結果から比較例1及び2に比較して実施例品は7日間連続使用しても指の先端皮膚に全く影響を与えなかったことから、非常に安全に使用できる被膜形成型製剤であ
ると考えられた。
上記の組成及び調製方法で製造した実施例1の被膜形成後の被膜自体の滑り止め効果をコロガリタック試験法を利用して以下の条件で検証した。
(1)被検体:実施例1(上記実施例1の製剤:以下「実施例品」という)
対照製品:比較例1、比較例2
(2)被検体の調製:実施例品、比較例1及び2をそれぞれガラス板上に0.1g/ 1cm×1cm)の割合で綿棒を用いて均一に塗布し、3分間の自然乾燥後、ドライヤーを用いてガラス裏面より30秒間乾燥させた後、精製水を満たした浸漬槽に浸漬した。3時間後に浸漬槽から取り出し、ピンセットを用いてガラス板上に形成された被膜をピンセットを用いて丁寧に剥離し、水分除去したものを各被検体とした。
(3)試験方法:コロガリタック試験法(医薬品製造指針)準拠して実施した。傾斜角30度の試験器の斜面端に形成被膜(2cm×5cm)をセットし、試験器の上端からスチールボール(No.1:直径3.2mm、重量0.13g、No.2:直径4.8mm、重量0.45g)を転がし、スチールボールが被検体上で停止した位置を斜面末端から計測してその転がり距離を測定した。被検体上のスチールボールの転がりが短いほど粘着力が良いといったことを指標判断とした。
被膜形成後の被膜自体の滑り止め効果の試験結果を[表6]に示す。[表6]に示すように、比較的軽いスチールボールNo.1を使用した場合は、本発明の実施例1の実施例品では5回の試技で総てのボールが形成被膜上0.8〜1.5cmで停止し、その転がり距離は平均で1.14cmであった。また、比較的重いスチールボールNo.2を使用した場合は、5回の試技で総てのボールが形成被膜上2.0〜2.8cmで停止し、その転がり距離は平均で2.58cmであった。
また、これに対して対照である比較例1及び2ではNo.1及び2の何れのスチールボールも5回の試技で形成被膜上で停止した例は全く無かった。
以上の結果から、実施例品は従来の被膜形成型製剤や保湿機能改善被膜に比較して、形成被膜は実際の人間の肌と同様に適度の粘着性やざらつきを有することが明確になった。
また、従来の被膜形成型製剤と同様に、皮膚に塗布した後有機溶剤が揮散し、皮膚角質層の水分を含む保湿成分の離脱を極力抑えて皮膚の保湿機能を維持しつつ透明、或いは半透明の被膜を皮膚上に形成する。そのことにより、塗付部位を半密封・保護し、含有成分の経皮吸収性を高めることによって、効果とその持続性を高め、衣服・掻くことによる物理的刺激から肌を守り、更に貼付剤に多く見られる皮膚刺激による発赤・浮腫形成といったかぶれを防止する。最悪の場合に外用製剤に多く認められる皮膚刺激による痒みの発生で患部を掻き壊しによる炎症の発生・増悪が生じるが、これを防止することができる。更に、形成被膜時に揮散する有機溶剤が殺菌効果を有するために塗布患部の殺菌を同時に実施することが可能となる。創傷部位や感染部位の皮膚殺菌には余分な殺菌剤も不用であり、最適の投与形体である。
更に、病的皮膚、例えば水虫等の場合は、基材に含有するアルコールによる患部の殺菌と、アルコール揮発に伴う病的皮膚組織からの浸出液中の水分、及び、病的皮膚組織自体から水分を奪うことによって、水虫菌の増殖を抑制し、含有抗菌剤の高めることができる。更に、患部の菌を被覆で封じ込めることによって、第三者への感染を予防できる。
基剤単独でも膏体を薄く塗布した皮膚上に皮膜を形成することによって皮膚の保湿性を維持しつつ皮膚自体をガードし、衣服や草木等による擦過といった物理的刺激から皮膚を守る作用を発揮する。つまり形成被膜自体が強靭な第二の人工角質層にもなり得る。このため、塗布した薬物を被膜で被覆することによって入浴やシャワーによる薬剤の流出を防止することができ、その効果の持続性が期待できる。更に、水を介しての第三者への感染と違和感を解消する。
なお、本発明はロジンを単独添加することを特徴するものであるが、ロジンに変えてロジンと同等のロジン酸や松脂、及びこれらを混合したものを用いてもよい。しかし、その作用・効果はロジンの単独使用の場合に比べて多少劣る。
このように、本発明の特徴を損なうものでなければ、上述した実施例に限定されるものでないことは勿論である。
また、スポーツ時の手に、湿布することによって、形成被覆が発汗を抑え、臭い発生を抑制しつつ、手足の滑り止め効果を発揮し、更に、皮膚の強靱性を高めることによって、手の平や足底をガードし、スポーツ障害を防止し成績向上につなげる可能性もある。
Claims (4)
- ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、これにエチルアルコールを添加したものに所定量の水溶性高分子を加え、更にロジン所定比率で添加したことを特徴とする被膜形成型製剤。
- 前記溶解剤の中にアセチル化ヒアルロン酸、ミツロウ、カルナバロウ、ラノリン、シリコーンから選択される1種類以上を所定量を添加したことを特徴とする請求項1に記載の被膜形成型製剤。
- 前記溶解剤の中にシソオイル、ごま油、エゴマ油、オリーブ油、馬油、ヒノキオイル、ひまし油の天然油、合成のシリコーン油から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の被膜形成型製剤。
- 前記水溶性高分子は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニールポリマー、ポリビニールアルコールから選択される一種以上であることを特徴する請求項1に記載の被膜形成型製剤。
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