JP2010235064A - 車両の出力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑通路の制御圧力の切り替えを行う内燃機関について、その燃料消費率の向上を図ることのできる車両の出力制御装置を提供する。
【解決手段】車両の出力制御装置は、機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対するリリーフ圧力を機関回転速度及び軸トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1リリーフ圧力と高圧側の第2リリーフ圧力との間で切り替えるエンジン10と、エンジン10の回転を変速する自動変速機30とを備える車両について、その出力を制御する。そして、要求出力が機関出力の増加方向の変化が生じたときに低圧時最小消費率及び高圧時最小消費率を比較し、低圧時最小消費率が高圧時最小消費率よりも小さいときにはリリーフ圧力を第1リリーフ圧力に設定するとともに自動変速機30及びエンジン10の制御により機関回転速度及び軸トルクを低圧時最小燃費率に対応するものに設定している。
【選択図】図1

Description

本発明は、機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度および機関負荷により定められる機関運転状態に基づいて低圧側と高圧側との間で切り替える内燃機関と、この内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する出力制御装置に関する。
内燃機関の潤滑油供給装置として、制御圧力を低圧側の制御圧力と高圧側の制御圧力との間で切り替える油圧制御機構を有し、各機関潤滑部位に供給する潤滑油の圧力を制御するものが知られている。例えば、特許文献1に記載の潤滑油供給装置では、機関運転状態に基づいて油圧制御弁の制御圧力を変更している。
特開平6−221127号公報
ところで、上記のような潤滑油供給装置を備える内燃機関においては、制御圧力の切り替えが行われたことに伴い内燃機関の負荷に変化が生じ、これが燃料消費率の悪化に繋がることがある。しかしながら、特許文献1の潤滑油供給装置をはじめとする従来の潤滑油供給装置を備える内燃機関においては、上記の制御圧力の切り替えと燃料消費率との関係についての格別の考慮がなされていないため、この点において改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑通路の制御圧力の切り替えを行う内燃機関について、その燃料消費率の向上を図ることのできる車両の出力制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替える内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、所定の要求出力且つ前記第1制御圧力の条件のもとでの最小の燃料消費率A1と同所定の要求出力且つ前記第2制御圧力の条件のもとでの最小の燃料消費率A2とを比較し、前記燃料消費率A1が前記燃料消費率A2よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記所定の要求出力且つ前記燃料消費率A1に対応するものに変更する制御手段を備えることを要旨とする。
この発明によれば、同一の要求出力のもとで第1制御圧力及び第2制御圧力のいずれかを選択するにあたり、燃料消費率A1が小さいときにはこの燃料消費率A1に対応する第1制御圧力を選択するにしているため、第2制御圧力が選択された場合と比較して燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替えるものであって、機関運転状態が第1運転領域にあるときに前記第1制御圧力を選択し、機関運転状態が前記第1運転領域とは別の領域として設定される第2運転領域にあるときに前記第2制御圧力を選択する内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、前記潤滑通路の制御圧力が前記第1制御圧力に設定されている状態のもと、要求出力が得られる機関回転速度及び機関トルクの組み合わせのうち前記第1運転領域に属するもののなかで燃料消費率が最小となる組み合わせを低圧側最小運転状態とし、前記潤滑通路の制御圧力が前記第2制御圧力に設定されている状態のもと、要求出力が得られる機関回転速度及び機関トルクの組み合わせのうち前記第2運転領域に属するもののなかで燃料消費率が最小となる組み合わせを高圧側最小運転状態として、前記低圧側最小運転状態に対応する燃料消費率A1が前記高圧側最小運転状態に対応する燃料消費率A2よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記低圧側最小運転状態に設定する制御手段を備えることを要旨とする。
この発明によれば、同一の要求出力のもとで第1制御圧力及び第2制御圧力のいずれかを選択するにあたり、燃料消費率A1が小さいときにはこの燃料消費率A1に対応する第1制御圧力を選択するにしているため、第2制御圧力が選択された場合と比較して燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替えるものであって、機関運転状態が第1運転領域にあるときに前記第1制御圧力を選択し、機関運転状態が前記第1運転領域とは別の領域として設定される第2運転領域にあるときに前記第2制御圧力を選択する内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、前記潤滑通路の制御圧力が前記第1制御圧力に設定されていることを前提に機関回転速度及び機関トルクからなる運転領域上に複数の等機関出力線及び等燃料消費率線が設定された低圧時出力燃費マップと、前記潤滑通路の制御圧力が前記第2制御圧力に設定されていることを前提に機関回転速度及び機関トルクからなる運転領域上に複数の等機関出力線及び等燃料消費率先が設定された高圧時出力燃費マップとを備え、前記低圧時出力燃費マップの前記第1運転領域内において要求出力に対応する等機関出力線上の燃料消費率が最小となるポイントX1を算出し、前記高圧時出力燃費マップの前記第2運転領域内において前記要求出力に対応する等機関出力線上の燃料消費率が最小となるポイントX2を算出し、これら算出したポイントX1及びX2の燃料消費率を比較し、前記ポイントX1の燃料消費率が前記ポイントX2の燃料消費率よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記ポイントX1に対応するものに設定する制御手段を備えることを要旨とする。
この発明によれば、同一の要求出力のもとで第1制御圧力及び第2制御圧力のいずれかを選択するにあたり、ポイントX1での燃料消費率が小さいときにはこのポイントX1での燃料消費率に対応する第1制御圧力を選択するにしているため、第2制御圧力が選択された場合と比較して燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の出力制御装置において、当該車両は、運転者により操作されることにより車両の走行モードに対する要求を通常走行モード要求と燃費優先モード要求との間で切り替えるモード選択操作子を備えるものであり、前記制御手段は、前記モード選択操作子の操作に基づく燃費優先モード要求があるときに限り前記燃料消費率の対比に基づく制御圧力の選択を行うことを要旨とする。
この発明によれば、モード選択操作子の操作により車両走行モードが燃費優先モードに設定されていることを条件に、燃料消費率A1及び燃料消費率A2の対比に基づく制御圧力の選択を行うようにしている。
ここで、燃費優先モードはアクセルペダル操作を車両走行状態に反映する度合が通常走行モードよりも制限されるものであり、またそうした制限のもとに車両の走行が行われることが運転者に予め認識された上で同運転者によるモード選択操作子の操作により実行される車両の走行モードである。したがって、この走行モードにあるときには、燃料消費率A1及び燃料消費率A2の対比の結果に基づいて燃料消費率の向上を優先して行われる機関回転速度及び機関負荷の変更について、これがアクセルペダル操作から乖離したものであったとしても、このことが運転者に対して大きな違和感を与えることは抑制される。
本発明に係る車両の出力制御装置を具体化した一実施形態について、同出力制御装置を備える車両の構成を示す模式図。 同実施形態の油圧制御機構により設定されるリリーフ圧力と機関回転速度及び機関トルクとの関係を示すグラフ。 (a)〜(d)同実施形態の車両の出力制御装置により実行される機関出力制御態様の一例を示すグラフ。 同実施形態の車両の出力制御装置について、(a)は、第2リリーフ圧力のときの機関出力と燃料消費率との関係を示すグラフ。(b)は、第1リリーフ圧力のときの機機関出力と燃料消費率との関係を示すグラフ。 同実施形態の車両の出力制御装置により実行される「リリーフ圧力選択処理」について、その具体的な実行手順を示すフローチャート。 同実施形態の車両の出力制御装置により実行される「低燃費時制御処理」について、その具体的な実行手順を示すフローチャート。 同実施形態の車両の出力制御装置により実行される「通常走行時出力制御処理」について、その具体的な実行手順を示すフローチャート。 本発明に係る車両の出力制御装置の変形例について、(a)第2リリーフ圧力のときの機関出力と燃料消費率との関係を示すグラフ。(b)オイルポンプの機関への要求出力と機関回転速度との関係における第1リリーフ圧と第2リリーフ圧との要求出力の関係を示すグラフ。
図1〜図6を参照して、本発明の車両の出力制御装置を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、エンジン10は、空気及び燃料からなる混合気の燃焼を通じて動力を発生させるエンジン本体20と、エンジン本体20にて発生した動力を駆動軸に伝達する自動変速機30と、潤滑油をエンジン10の各潤滑部位に供給する潤滑油供給装置40と、これらを統括的に制御する電子制御装置60とを備えている。
エンジン本体20には、インジェクタ26を介して燃焼室27に供給された燃料と吸気装置を通じて燃焼室27内に供給された空気との混合気を燃焼させるシリンダブロック21が設けられている。このシリンダブロック21には、それぞれ燃焼室27を形成する複数のシリンダ22が設けられている。このシリンダ22内には、ピストン23が配設されている。このピストン23には、その往復運動を回転運動に変換してクランクシャフト25に伝達するコネクティングロッド24が接続されている。
シリンダブロック21の下部には、潤滑油を貯留するオイルパン41が設けられている。このオイルパン41の潤滑油は、クランクシャフト25による駆動されるオイルポンプ43を通じてエンジン本体20の各潤滑部位に供給される。
自動変速機30は、クランクシャフト25に連結されるとともに、このクランクシャフト25の回転をドライブシャフトに伝達する役割を果たす。本実施形態の自動変速機30は、連続可変トランスミッション(CVT)を用いている(以下、「無段変速機30」)。この無段変速機30は、入力回転速度(クランクシャフト25側の回転速度)と出力回転速度(ドライブシャフト側の回転速度)との比である変速比を無段階に調整する。なお、動力伝達方式の違いにより、ベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機に分類される。
潤滑油供給装置40は、オイルパン41の潤滑油を供給通路42によりエンジン本体20の各潤滑部位に供給する。この供給通路42の途中には、オイルパン41から潤滑油を汲み上げるとともに吐出するオイルポンプ43が設けられている。また、供給通路42の入口には、オイルパン41内の潤滑油に含まれる異物のうち比較的大きなものを濾過するオイルストレーナ44が設けられている。供給通路42においてオイルポンプ43の下流側の近傍には、潤滑油に含まれる微小な異物を濾過するオイルフィルタ45が設けられている。
また、潤滑油供給装置40には、供給通路42においてオイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側に還流し、これにより供給通路42の潤滑油の圧力(以下、「供給圧力P」)を制御する油圧制御機構50が設けられている。
この油圧制御機構50には、供給通路42においてオイルポンプ43の上流側と下流側とを接続するリリーフ通路53が設けられている。このリリーフ通路53には、オイルポンプ43から吐出された潤滑油の圧力が所定のリリーフ圧力(以下、「リリーフ圧力PX」)以上となることに基づいて開弁し、これによりオイルポンプ43の下流側から上流側に潤滑油を還流するリリーフバルブ51が設けられている。また、リリーフ通路53には、リリーフバルブ51の入口側の潤滑油を同バルブ51の切替室57aに供給する切替バルブ用通路54が接続されている。この切替バルブ用通路54には、同通路54の開閉状態を切り替える切替バルブ52が設けられている。
切替バルブ52は、切替室57aへの潤滑油の供給態様を制御してリリーフバルブ51のリリーフ圧力PXを切り替える。具体的には、切替バルブ52が開弁状態にあることにより切替室57aに潤滑油が供給されるとき、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは低圧側の第1のリリーフ圧力(以下、「第1リリーフ圧力P1」)に設定される。そして、切替バルブ52が閉弁状態にあることにより切替室57aへの潤滑油の供給が遮断されるとき、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは、第1リリーフ圧力P1より大きい高圧側の第2のリリーフ圧力(以下、「第2リリーフ圧力P2」)に設定される。
リリーフバルブ51は、リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定されるとき、供給油圧Pがこの第1リリーフ圧力P1を超えることに基づいて開弁し、これによりオイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側にリリーフする。また、リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定されるとき、供給油圧Pがこの第2リリーフ圧力P2を超えることに基づいて開弁し、オイルポンプ43から吐出された潤滑油を同ポンプ43の上流側にリリーフする。なお、潤滑油供給装置40は、オイルパン41、供給通路42、オイルポンプ43、オイルストレーナ44、オイルフィルタ45、及び油圧制御機構50により構成されている。
電子制御装置60は、アクセルポジションセンサ61、スロットルポジションセンサ62、クランクポジションセンサ63、車速センサ64、及び走行モード選択スイッチ65をはじめとする各種センサ及びスイッチからの信号に基づいて機関運転状態、車両走行状態、及び運転者の要求を把握した上で、例えば、次のような制御を行う。即ち、吸気流量を調整するスロットル制御、インジェクタ26による燃料噴射量を調整する噴射制御、エンジン10の各潤滑部位に供給する潤滑油の油圧を調整する油圧制御、及び運転者の操作に基づいて切り替えられる走行モードの制御の各制御を行う。
アクセルポジションセンサ61は、車両のアクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を出力する。スロットルポジションセンサ62は、スロットルバルブの開度に応じた信号を出力する。クランクポジションセンサ63は、クランクシャフト25の回転速度(以下、「機関回転速度NE」)に応じた信号を出力する。車速センサ64は、車両の車速(以下、「車速V」)に応じた信号を出力する。走行モード選択スイッチ65は、運転者の操作に応じて、通常走行モードと低燃費走行モードとを切り替える。
ここで、油圧制御においては、上記各種センサの信号をもとに把握される機関運転状態に適した油圧をエンジン本体20の各潤滑部位に供給すべく切替バルブ52の制御を行う。具体的には、図2に示すように、クランクシャフト25を回転させる機関トルク(以下、「軸トルクT」)と機関回転速度NEとの関係において基準軸トルクTM及び基準回転速度NEMにより囲まれた機関運転領域を第1運転領域となる「低圧運転領域R1」とし、この低圧運転領域R1以外の残りの運転領域を第2運転領域となる「高圧運転領域R2」とする。そして、軸トルクT及び機関回転速度NEが低圧運転領域R1内にある場合、リリーフ圧力PXは第1リリーフ圧力P1となるように切替バルブ52は制御される。一方、軸トルクT及び機関回転速度NEが高圧運転領域R2内にある場合、リリーフ圧力PXは第2リリーフ圧力P2となるように切替バルブ52は制御される。
油圧制御機構50の油圧制御における切替バルブ52のリリーフ圧力PXの切り替えの制御態様は、機関出力HPの推移によって異なる。即ち、車両の運転者の要求する機関出力HPによっては、リリーフ圧力PXが異なる。以下、図3を参照して、機関出力HPの推移と切替バルブ52のリリーフ圧力PXの切替との関係について説明する。なお、図3にて用いる軸トルクT及び機関回転速度NEは、機関出力HPの推移の説明のために設定した値であり、図4とは異なるものである。
図3に示すように、機関出力HPの推移に伴う切替バルブ52のリリーフ圧力PXの切り替え態様の代表的なものとしては、次の「出力推移態様1」〜「出力推移態様4」の4態様が挙げられる。
図3(a)に示すように、「出力推移態様1」において機関出力HPは、機関出力HPaから同機関出力HPaより高出力である機関出力HPbへ推移する態様である。そして、この機関出力HPの推移に対して、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rは、低圧運転領域R1に維持される。詳細には、機関出力HPaから機関出力HPbへの推移に伴い、機関出力HPaの軸トルクTa及び機関回転速度NEaは、機関出力HPbの軸トルクTb及び機関回転速度NEbにそれぞれ変更される。ここで、軸トルクTa及び機関回転速度NEaと、軸トルクTb及び機関回転速度NEbとは、それぞれ低圧運転領域R1の範囲内であるため、機関出力HPが機関出力HPaから機関出力HPaへ推移しても、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは、第1リリーフ圧力P1のままである。
図3(b)に示すように、「出力推移態様2」において機関出力HPは、機関出力HPbから同機関出力HPbより高出力である機関出力HPcへ推移する態様である。そして、この機関出力HPの推移に伴い、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが低圧運転領域R1から高圧運転領域R2に変更される。詳細には、機関出力HPbから機関出力HPcへの推移に伴い、機関出力HPbにおける軸トルクTb及び機関回転速度NEbは、機関出力HPcにおける軸トルクTc及び機関回転速度NEcにそれぞれ変更される。ここで、機関出力HPbにおける軸トルクTb及び機関回転速度NEbでは、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが低圧運転領域R1であったが、機関出力HPcにおける軸トルクTc及び機関回転速度NEcでは、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが高圧運転領域R2となる。そのため、切替バルブ52のリリーフ圧力PXは、第1リリーフ圧力P1から第2リリーフ圧力P2に切り替えられる。
図3(c)に示すように、「出力推移態様3」において機関出力HPは、機関出力HPcから同機関出力HPcより高出力である機関出力HPdへ推移する態様である。そして、この機関出力HPの推移に対して、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rは、高圧運転領域R2に維持される。詳細には、機関出力HPcから機関出力HPdへの推移に伴い、機関出力HPcにおける軸トルクTc及び機関回転速度NEcは、機関出力HPdの軸トルクTd及び機関回転速度NEdにそれぞれ変更される。ここで、軸トルクTc及び機関回転速度NEcと、軸トルクTd及び機関回転速度NEdとは、それぞれ高圧運転領域R2の範囲内であるため、機関出力HPcから機関出力HPdへ推移しても、切替バルブ52のリリーフ圧力PXは、第2リリーフ圧力P2のままである。
図3(d)に示すように、「出力推移態様4」において機関出力HPは、機関出力HPcから機関出力HPbへ推移する態様である。そして、この機関出力HPの推移に伴い、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが高圧運転領域R2から低圧運転領域R1に変更される。詳細には、機関出力HPcから機関出力HPbへの推移に伴い、機関出力HPcにおける軸トルクTc及び機関回転速度NEcは、機関出力HPbにおける軸トルクTb及び機関回転速度NEbにそれぞれ変更される。ここで、機関出力HPcにおける軸トルクTc及び機関回転速度NEcでは、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが高圧運転領域R2であったが、機関出力HPbにおける軸トルクTb及び機関回転速度NEbでは、切替バルブ52のリリーフ圧力領域Rが低圧運転領域R1となる。そのため、リリーフバルブ51のリリーフ圧力PXは、第2リリーフ圧力P2から第1リリーフ圧力P1に切り替えられる。
以上により、切替バルブ52は、機関出力HPの増減により、そのリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1及び第2リリーフ圧力P2に切り替えることにより、供給油圧Pの制御を行っている。これにより、機関運転状態に応じて、適切な供給油圧Pをもって各潤滑部位に潤滑油が供給されるため、エンジン10の燃費を向上させることができるようになる。
ところで、所定の機関出力HPの最小燃料消費率はリリーフ圧力PXによって異なる。したがって、本実施形態ではリリーフ圧力PX毎の最小燃料消費率を算出する。以下に図4の各マップを参照して、最小燃料消費率の算出について説明する。
図4(a)は、切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態において、軸トルクTと機関回転速度NEとにより規定される運転領域上に等機関出力線HP1〜HP4、低圧運転領域R1、高圧運転領域R2、及び等燃料消費率線L1〜L7を示す高圧時出力燃費マップである。また、図4(b)は、同リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態において、軸トルクTと機関回転速度NEとにより規定される運転領域上に等機関出力線HP1〜HP4、低圧運転領域R1、高圧運転領域R2、及び等燃料消費率線L1〜L6を示す低圧時出力燃費マップである。また、図4(a)及び図4(b)における一点鎖線の曲線LXは、車両の走行において実用上使用される上限境界を定めている(以下、「上限境界線LX」)。
等機関出力線HP1〜HP4は、等機関出力線HP1を最小機関出力とし、等機関出力線HP4を最大機関出力とし、等機関出力線HP1からHP4に向かい機関出力が増大している。
等燃料消費率線L1〜L7と軸トルクTの座標軸または上限境界線LXとにより燃料消費率領域LZ1〜LZ7が形成されている。そして、燃料消費率領域LZにおいては、燃料消費率領域LZ1を最小燃料消費率領域とし、燃料消費率領域LZ7を最大燃料消費率領域とし、燃料消費率領域LZ1からLZ7に向かい燃料消費率が増大している。また、燃料消費率領域L1においては、同一の燃料消費率領域LZ内においても中央に向かい燃料消費率が減少する。そして燃料消費率領域LZ2〜LZ7においては、同一の燃料消費率領域LZ内においても燃料消費率領域LZ1に近づくにつれて燃料消費率が減少する。
ここでは、機関出力HP1における最小燃費率である軸トルクTm1及び機関回転速度NEm1での関係、及び機関出力HP2における最小燃費率である軸トルクTm2及び機関回転速度NEm2での関係について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、切替バルブ52のリリーフ圧力PXの圧力状態によって、燃料消費率領域LZは変化している。詳細には、同リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態の燃料消費率領域LZと比較して、同リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態の燃料消費率領域LZは、燃料消費率領域LZが軸トルクTの増大方向に移動するとともに、同領域LZの大きさが小さくなっている。したがって、同一の軸トルクT及び機関回転速度NEにおいても、燃料消費率領域LZが異なる場合がある。なお、これらマップは、予め実験等により設定されている。
まず、要求出力が機関出力HP2のときの最小燃料消費率について説明する。
図4(b)に示すように、上記リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態において、要求出力である機関出力HP2では、同機関出力HP2において最小燃料消費率となる「ポイントX1」が算出される。このポイントX1では、リリーフバルブ51のリリーフ圧力領域Rは、低圧運転領域R1となり、燃料消費率領域LZは、燃料消費率領域LZ1となる。この燃料消費率領域LZ1におけるポイントX1に相当する燃料消費率を「低圧時最小消費率FL1」とする。また、低圧時最小消費率FL1における軸トルクTm3及び機関回転速度NEm3の組み合わせを低圧側最小運転状態とする。
なお、図4(b)の機関出力HP2上における燃料消費率が最小となるポイントは、「ポイントa」であるが、このポイントaは低圧運転領域R1以外、即ち高圧運転領域R2にあるため、上述の「低圧運転領域R1内において機関出力HP2に対応する等機関出力線HP2上の燃料消費率が最小となるポイントX1」には該当しない。
一方、図4(a)に示すように、上記リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態において、要求出力である機関出力HP2では、同機関出力HP2において最小燃料消費率となる「ポイントX2」が算出される。このポイントX2では、リリーフバルブ51のリリーフ圧力領域Rは、高圧運転領域R2となり、燃料消費率領域LZは、燃料消費率領域LZ2となる。この燃料消費率領域LZ2におけるポイントX1に相当する燃料消費率を「高圧時最小消費率FH1」とする。また、高圧時最小消費率FH1における軸トルクTm1及び機関回転速度NEm1の組み合わせを高圧側最小運転状態とする。
これら高圧時最小消費率FH1と低圧時最小消費率FL1とを比較した際、高圧時最小消費率FH1は燃料消費率領域LZ2にあるのに対し低圧時最小消費率FL1は燃料消費率領域LZ1にあるため、低圧時最小消費率FL1は高圧時最小消費率FH1よりも小さくなる。
そして、機関運転状態を低圧側最小運転状態に設定する。具体的には、無段変速機30及びスロットル制御により、同一機関出力HP2を維持しつつ、軸トルクT及び機関回転速度NEを低圧運転領域R1内の低圧時最小消費率FLとなる軸トルクTm3(軸トルクTM)及び機関回転速度NEm3に変更する。
より具体的には、設定目標となる軸トルクTm3に向けてエンジン10が変化するようにエンジン10の燃料噴射量及び吸入空気量の調整が行われ、現状の軸トルクTから軸トルクTm3に制御するトルク制御が行われる。そして、上記トルク制御と併せて、設定目標となる機関回転速度NEm3に向けて機関回転速度NEが変化するように無段変速機30の変速比である変速機構を調整する変速比制御も行われる。この変速比制御では、まず、機関出力HP2及び車速Vに基づき、図4のマップを参照して、機関回転速度NEm3が算出される。そして、この機関回転速度NEm3に向けて、クランクポジションセンサ63(図1参照)からの信号に基づき求められる現状の機関回転速度NEが変化するように無段変速機30の変速比の調整が行われ、それによって機関回転速度NEを機関回転速度NEm3へと制御するための変速比制御が実現される。
次に、要求出力が機関出力HP3のときの最小燃料消費率について説明する。
図4(b)に示すように、上記リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1に設定された状態において、要求出力である機関出力HP3では、同機関出力HP3において最小燃料消費率となる「ポイントX3」が算出される。このポイントX3では、リリーフバルブ51のリリーフ圧力領域Rは、低圧運転領域R1となり、燃料消費率領域LZは、燃料消費率領域LZ2となる。この燃料消費率領域LZ2におけるポイントX3に相当する燃料消費率を「低圧時最小消費率FL2」とする。また、低圧時最小消費率FL2における軸トルクTm4及び機関回転速度NEm4の組み合わせを低圧側最小運転状態とする。
なお、図4(b)の機関出力HP3上における燃料消費率が最小となるポイントは、「ポイントb」であるが、このポイントbは低圧運転領域R1以外、即ち高圧運転領域R2にあるため、上述の「低圧運転領域R1内において機関出力HP3に対応する等機関出力線HP3上の燃料消費率が最小となるポイントX3」には該当しない。
一方、図4(a)に示すように、上記リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2に設定された状態において、要求出力である機関出力HP3では、同機関出力HP3において最小燃料消費率となる「ポイントX4」が算出される。このポイントX4では、リリーフバルブ51のリリーフ圧力領域Rは、高圧運転領域R2となり、燃料消費率領域LZは、燃料消費率領域LZ1となる。この燃料消費率領域LZ1におけるポイントX4に相当する燃料消費率を「高圧時最小消費率FH2」とする。また、高圧時最小消費率FH2における軸トルクTm2及び機関回転速度NEm2の組み合わせを高圧側最小運転状態とする。
これら高圧時最小消費率FH2と低圧時最小消費率FL2とを比較した際、高圧時最小消費率FH2は燃料消費率領域LZ1にあるのに対し低圧時最小消費率FL2は燃料消費率領域LZ2にあるため、高圧時最小消費率FH2が低圧時最小消費率FL2よりも小さくなる。
そして、機関運転状態を高圧側最小運転状態に設定する。具体的には、無段変速機30及びスロットル制御により、同一機関出力HP3を維持しつつ、軸トルクT及び機関回転速度NEを高圧運転領域R2内の高圧時最小消費率FHとなる軸トルクTm2及び機関回転速度NEm2に変更する。
以上にて説明したように、同一の機関出力のもとで第1リリーフ圧力P1を選択したときの燃料消費率及び第2リリーフ圧力P2を選択したときの燃料消費率について、いずれがより小さいものとなるかは機関運転状態に応じて異なる。
図5〜図7を参照して、「リリーフ圧力選択処理」の具体的な実行手順について説明する。本処理は、電子制御装置60を通じて、例えば、所定時間毎の割り込みにて周期的に実行される。
図5に示すように、ステップS101において、現状の車速V及びアクセルペダルの踏み込み量から要求出力DHPを算出する。ここで、車速Vは、車速センサ64により算出される。また、アクセルペダルの踏み込み量は、アクセルポジションセンサ61により算出される。次いで、ステップS102において、通常走行モードと低燃費走行モードとを切り替える走行モード選択スイッチ65がON状態か否かを判断する。
ここで、走行モード選択スイッチ65がONの場合、即ち低燃費走行モードを選択した場合(ステップS102のYES)、運転者は、ドラビリティよりも低燃費を選択したと判断する。そして、ステップS103において、燃費優先時処理を実行する。一方、走行モード選択スイッチ65がOFFの場合、即ち通常走行モードを選択した場合(ステップS102のNO)、運転者は、低燃費よりもドラビリティを選択したと判断する。そして、ステップS104において、通常走行時処理を実行する。
図6を参照して、「燃費優先時処理」の具体的な実行手順について説明する。
図6に示すように、ステップS201において、図4(a)及び図4(b)のマップに基づいて要求出力DHPの等機関出力線HPを選択する。そして、ステップS202において、図4(a)及び図4(b)のマップにおける要求出力DHPの等機関出力線HPから、高圧時最小消費率FH及び低圧時最小消費率FLをそれぞれ算出する。即ち、切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2のマップである図4(a)のマップの要求出力DHPの等機関出力線HPにおける最小燃費率と、同リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1のマップである図4(b)のマップの要求出力DHPの等機関出力線HPにおける最小燃費率とをそれぞれ算出する。
そして、ステップS203において、図4(b)の算出された低圧時最小消費率FLが図4(a)の算出された高圧時最小消費率FHよりも小さいか否かを判断する。ここで、低圧時最小消費率FLが高圧時最小消費率FHよりも小さい場合(ステップS203のYES)、ステップS204において、現状のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2か否かを判断する。そして、現状のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2である場合(ステップS204のYES)、ステップS205において、リリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に変更する。一方、現状のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1である場合(ステップS204のYES)、現状のリリーフ圧力PXを維持する。
次いで、ステップS206において、図4(b)のマップから要求出力DHPの等機関出力線HPにおける上記低圧時最小消費率FLとなる目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0を算出する。そして、ステップS207において、上述したように、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0となるように、トルク制御及び変速比制御を実行する。
一方、低圧時最小消費率FLが高圧時最小消費率FHよりも大きい場合(ステップS203のNO)、ステップS208において、現状のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1か否かを判断する。そして、現状のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1である場合(ステップS208のYES)、ステップS209において、リリーフ圧力PXを第2リリーフ圧力P2に変更する。一方、現状のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2である場合(ステップS208のNO)、現状のリリーフ圧力PXを維持する。
次いで、ステップS210において、図4(a)のマップから要求出力DHPの等機関出力線HPにおける高圧時最小消費率FHとなる目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0を算出する。そして、ステップS211において、上述したように、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0となるように、トルク制御及び変速比制御を実行する。
図7を参照して、「通常時走行処理」の具体的な実行手順について説明する。
図7に示すように、ステップS301において、図4(a)のマップに基づいて、要求出力DHPの等機関出力線HPから算出した最小燃費率に基づいて、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0を算出する。
次いで、ステップS302において、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0が第1リリーフ圧力P1の領域(低圧運転領域R1)内にあるか否かを判断する。ここで、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0が第1リリーフ圧力P1の領域(低圧運転領域R1)内にある場合(ステップS302のYES)、ステップS303において、現状の切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2か否かを判断する。ここで、現状の切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2である場合(ステップS303のYES)、ステップS304において、同リリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に変更する。一方、同リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1である場合(ステップS303のNO)、同リリーフ圧力PXは維持される。次いで、ステップS305において、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0となるように、トルク制御及び変速比制御を実行する。
一方、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0が第1リリーフ圧力P1の領域(低圧運転領域R1)外である場合、即ち、第2リリーフ圧力P2の領域(高圧運転領域R2)内である場合(ステップS302のNO)、ステップS306において、現状の切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1か否かを判断する。ここで、現状の切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1である場合(ステップS306のYES)、ステップS307において、同リリーフ圧力PXを第2リリーフ圧力P2に変更する。一方、同リリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力である場合(ステップS306のNO)、同リリーフ圧力PXは維持される。次いで、ステップS308において、目標軸トルクT0及び目標機関回転速度NE0となるように、トルク制御及び変速比制御を実行する。
以上の処理を実行することにより、運転者がドラビリティを優先する要求、または低燃費を優先する要求を判断した上で、それぞれの要求に基づく運転モードに切り替えるため、運転者の要求を達成することが可能となる。また、低燃費走行モードでは、切替バルブ52のリリーフ圧力PXを加味した最小燃費率を算出することができるため、機関出力HPにおけるより燃費率の小さい軸トルクT及び機関回転速度NEを算出することができる。したがって、車両の走行において、燃費を低減することができるようになる。
本実施形態の車両の制御装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、要求出力が機関出力HP1から機関出力HP2への増加方向の変化が生じたときに低圧時最小消費率FL及び高圧時最小消費率FHを比較し、低圧時最小消費率FLが高圧時最小消費率FHよりも小さいときにはリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1に設定するとともに自動変速機30及びエンジン10の制御により機関回転速度NE及び軸トルクTをポイントX1に対応するものに設定している。
この構成によれば、同一の要求出力のもとで第1制御圧力である第1リリーフ圧力P1及び第2制御圧力である第2リリーフ圧力P2のいずれかを選択するにあたり、低圧時最小消費率FLが小さいときにはこの低圧時最小消費率FLに対応する第1リリーフ圧力P1を選択するようにしているため、第2リリーフ圧力P2が選択された場合と比較して燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(2)本実施形態では、予め第1リリーフ圧力P1と第2リリーフ圧力P2とにおける最小燃料消費率の算出可能なマップを用意することにより、第1リリーフ圧力P1と第2リリーフ圧力P2との最小燃料消費率の算出の制御を簡素化できるようになる。
(3)本実施形態では、自動変速機30として、例えば、6速の多段変速機を使用した場合、機関出力HPを維持した状態にて機関回転速度NEを変更しようとすると、6段階の変更しかできない。そのため、燃料消費率を最小にしようとしても、細かく調整することが困難であった。その点において、本実施形態では、自動変速機30として無段変速機30を用いるため、機関出力HPを維持した状態にて機関回転速度NEを変更する場合において、より多くの段階の変更を行うことが可能となる。したがって、燃料消費率を最小にするために、細かく調整することが可能となる。その結果、燃料消費率の改善を図ることができるようになる。
(4)本実施形態では、運転者による走行モード選択スイッチ65の操作により車両走行モードが燃費優先モードに設定されていることを条件に、低圧時最小消費率FL及び高圧時最小消費率FHの対比に基づくリリーフ圧力PXの選択を行うようにしている。
ここで、燃費優先モードはアクセルペダル操作を車両走行状態に反映する度合が通常走行モードよりも制限されるものであり、またそうした制限のもとに車両の走行が行われることが運転者に予め認識された上で同運転者による走行モード選択スイッチ65の操作により実行される車両の走行モードである。したがって、この走行モードにあるときには、低圧時最小消費率FL及び高圧時最小消費率FHの対比の結果に基づいて燃料消費率の向上を優先して行われる機関回転速度NE及び機関負荷KLの変更について、これがアクセルペダル操作から乖離したものであったとしても、このことが運転者に対して大きな違和感を与えることは抑制される。
[その他の実施形態]
本発明の車両の制御装置では、上記実施形態に限定されることなく、以下の変更が可能である。
・本実施形態では、運転者が走行モード選択スイッチ65を操作することにより、通常走行モードと低燃費走行モードとを切り替えていたが、走行モード選択スイッチ65は必ずしも必要ではない。例えば、図5及び図6において、走行モード選択スイッチ65を削除してもよい。この場合、「リリーフ圧力選択処理」において要求出力の変化が確認されるときには、常に「燃費優先時処理」が行われることになる。
・本実施形態では、自動変速機30として、無段変速機30を用いたが、自動変速機30の種類はこれに限定されることはない。例えば、自動変速機30として、多段変速機を用いてもよい。また、例えばハイブリッド車に適用してもよい。
・本実施形態では、電子制御装置60が、内燃機関10及び自動変速機30の制御を行ったが、電子制御装置60の構成はこれに限定されることはない。電子制御装置60は、例えば、内燃機関10の制御を行う第1電子制御装置と、自動変速機30の制御を行う第2電子制御装置との2台の構成であってもよい。
・本実施形態では、最小燃費率における軸トルクT及び機関回転速度NEを算出するために、切替バルブ52のリリーフ圧力PXが第1リリーフ圧力P1のときのマップ(図4(a))と、同リリーフ圧力PXが第2リリーフ圧力P2のときのマップ(図4(b))とを用意したが、最小燃費率における軸トルクT及び機関回転速度NEを算出する方法はこれに限定されることはない。
例えば、まず、図8(a)に示すように、第2リリーフ圧力P2におけるマップにおいて、例えば、機関出力HP1での最小燃費率を算出し、その最小燃費率に基づいた軸トルクTm1及び機関回転速度NEm1を算出する。ここで、軸トルクTm1及び機関回転速度NEm1にて示される点は、高圧運転領域R2であるとする。そして、この機関出力HPにおいて、低圧運転領域R1において、最小燃費率となる軸トルクTm3及び機関回転速度NEm3をそれぞれ算出する。
次いで、図8(b)に示すように、リリーフ圧力PXに伴うオイルポンプ43の機関への要求出力OHPと機関回転速度NEとの関係のマップにおいて、第1リリーフ圧力P1の要求出力線G1及び第2リリーフ圧力P2の要求出力線G2のグラフから各要求出力を算出する。即ち、要求出力線G2における機関回転速度NEm1での要求出力OHP2と、要求出力線G1における機関回転速度NEm3での要求出力OHP1とを算出する。そして、要求出力OHP1と要求出力OHP2との差から求められる燃費率ΔLを算出する。
最後に、第2リリーフ圧力P2での燃費率L20と、第1リリーフ圧力P1での燃費率L21(L20−ΔL)とから、より小さい燃費率のリリーフ圧力PXを選択する。以上により、リリーフ圧力PXを含めた最小燃費率を算出することができるようになる。したがって、上記の最小燃費率の算出方法でも、本実施形態の効果(1)〜(4)に準じた効果を奏することができる。
・上記の図8を用いた最小燃費率の算出においては、図8(b)に示すオイルポンプ43の要求出力OHPと機関回転速度NEとの関係のマップから第1リリーフ圧力P1の要求出力線G1及び第2リリーフ圧力P2の要求出力線G2のグラフから要求出力OHP1及び要求出力OHP2を比較して最小燃費率となるリリーフ圧力PXを選択してもよい。
・本実施形態では、供給油圧Pであるリリーフ圧力PXを第1リリーフ圧力P1及び第2リリーフ圧力P2の2段階を用いたが、リリーフ圧力PXの段階数はこれに限定されることはない。例えば、リリーフ圧力PXを3段階以上に設定することも可能である。この場合、図4に示すリリーフ圧力PXに基づくマップは、段階数と同数だけ必要となる。
10…エンジン、20…エンジン本体、21…シリンダブロック、22…シリンダ、23…ピストン、24…コネクティングロッド、25…クランクシャフト、26…インジェクタ、27…燃焼室、30…自動変速機、40…潤滑油供給機構、41…オイルパン、42…供給通路、43…オイルポンプ、44…オイルストレーナ、45…オイルフィルタ、50…油圧制御機構、51…リリーフバルブ、52…切替バルブ、53…リリーフ通路(潤滑通路)、54…切替バルブ用通路、57a…切替室、60…電子制御装置(制御手段)、61…アクセルポジションセンサ、62…スロットルポジションセンサ、63…クランクポジションセンサ、64…車速センサ、65…走行モード選択スイッチ(モード選択操作子)。

Claims (4)

  1. 機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替える内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、
    所定の要求出力且つ前記第1制御圧力の条件のもとでの最小の燃料消費率A1と同所定の要求出力且つ前記第2制御圧力の条件のもとでの最小の燃料消費率A2とを比較し、前記燃料消費率A1が前記燃料消費率A2よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記所定の要求出力且つ前記燃料消費率A1に対応するものに変更する制御手段を備える
    ことを特徴とする車両の出力制御装置。
  2. 機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替えるものであって、機関運転状態が第1運転領域にあるときに前記第1制御圧力を選択し、機関運転状態が前記第1運転領域とは別の領域として設定される第2運転領域にあるときに前記第2制御圧力を選択する内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、
    前記潤滑通路の制御圧力が前記第1制御圧力に設定されている状態のもと、要求出力が得られる機関回転速度及び機関トルクの組み合わせのうち前記第1運転領域に属するもののなかで燃料消費率が最小となる組み合わせを低圧側最小運転状態とし、
    前記潤滑通路の制御圧力が前記第2制御圧力に設定されている状態のもと、要求出力が得られる機関回転速度及び機関トルクの組み合わせのうち前記第2運転領域に属するもののなかで燃料消費率が最小となる組み合わせを高圧側最小運転状態として、
    前記低圧側最小運転状態に対応する燃料消費率A1が前記高圧側最小運転状態に対応する燃料消費率A2よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記低圧側最小運転状態に設定する制御手段を備える
    ことを特徴とする車両の出力制御装置。
  3. 機関潤滑部位に潤滑油を供給する潤滑通路に対する制御圧力を機関回転速度及び機関トルクにより定められる機関運転状態に基づいて低圧側の第1制御圧力と高圧側の第2制御圧力との間で切り替えるものであって、機関運転状態が第1運転領域にあるときに前記第1制御圧力を選択し、機関運転状態が前記第1運転領域とは別の領域として設定される第2運転領域にあるときに前記第2制御圧力を選択する内燃機関と、同内燃機関の回転を変速する自動変速機とを備える車両について、その出力を制御する車両の出力制御装置において、
    前記潤滑通路の制御圧力が前記第1制御圧力に設定されていることを前提に機関回転速度及び機関トルクからなる運転領域上に複数の等機関出力線及び等燃料消費率線が設定された低圧時出力燃費マップと、前記潤滑通路の制御圧力が前記第2制御圧力に設定されていることを前提に機関回転速度及び機関トルクからなる運転領域上に複数の等機関出力線及び等燃料消費率先が設定された高圧時出力燃費マップとを備え、
    前記低圧時出力燃費マップの前記第1運転領域内において要求出力に対応する等機関出力線上の燃料消費率が最小となるポイントX1を算出し、前記高圧時出力燃費マップの前記第2運転領域内において前記要求出力に対応する等機関出力線上の燃料消費率が最小となるポイントX2を算出し、これら算出したポイントX1及びX2の燃料消費率を比較し、前記ポイントX1の燃料消費率が前記ポイントX2の燃料消費率よりも小さいときには前記潤滑通路の制御圧力を前記第1制御圧力に設定するとともに前記自動変速機及び前記内燃機関の制御により機関運転状態を前記ポイントX1に対応するものに設定する制御手段を備える
    ことを特徴とする車両の出力制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の出力制御装置において、
    当該車両は、運転者により操作されることにより車両の走行モードに対する要求を通常走行モード要求と燃費優先モード要求との間で切り替えるモード選択操作子を備えるものであり、
    前記制御手段は、前記モード選択操作子の操作に基づく燃費優先モード要求があるときに限り前記燃料消費率の対比に基づく制御圧力の選択を行う
    ことを特徴とする車両の出力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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