JP2010234637A - 成形装置 - Google Patents

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裕 坂井
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Abstract

【課題】成形品の品質を確保しつつ、組付容易性を向上できる成形装置を提供する。
【解決手段】金型を形成する素材の熱膨張係数よりも、コアを形成する素材の熱膨張係数の方が大きくすることで、常温時に比べて成形時における小径部30bと小開口10bとの隙間が小さくなるので、かかる隙間に樹脂が流れ込むことが抑制され、バリ等の少ない高品質な光学素子を成形できる。また、コアの成形転写面の加工時の温度を調整することで、成形品の精度品質も向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、成形装置に関し、光学素子の射出成形等に好適な成形装置に関する。
樹脂の射出成形に光学素子を成形すると、高精度な形状を有する光学素子を大量生産できるというメリットがある。特許文献1には、光学素子形成面を形成したコアを挿入した金型を用いた成形装置が開示されている。このような成形装置においては、コアを交換することで異なる形状の光学素子等を成形可能であり、金型自体を交換する場合に比べ、交換時の手間がかからないという利点がある。更に特許文献1の成形装置においては、コアの形状を調整することで、組み付け時に光学素子形成面を傷付けないような工夫がなされている。
特開平10−291234号公報
ところで、コアを金型に挿入した場合、コアと金型との間には微小な隙間が生じる。この隙間が大きすぎると、成形時に溶融した樹脂が隙間内に侵入し、ここで固化してバリとなり成形品質を低下させるという問題がある。一方、コアと金型との間の隙間が小さすぎると、組み付け時に競り合い等が発生し、組み付け性が悪化する。これを防止するためには、コア及び金型の高精度な加工が必要になってコストが増大する。又、コア及び金型を高精度に加工できたとしても、組み付け時に光学素子の転写面を破損してしまう恐れもある。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、成形品の品質を確保しつつ、組付容易性を向上できる成形装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の成形装置は、
小開口を有する金型と、
成形転写面を形成しており前記小開口内に挿入されるコアと、を有する成形装置において、
前記金型を形成する素材の線膨張係数よりも、前記コアを形成する素材の線膨張係数の方が大きいことを特徴とする。
一般的に、金型及びコアの温度は組み付け時には常温であるが、成形時にはそれより高温となる。従って本発明のごとく、前記金型を形成する素材の線膨張係数よりも、前記コアを形成する素材の線膨張係数の方を大きくすれば、組み付け時における前記小開口と前記コアとの隙間を、成形時における隙間より大きくすることができる。これにより、常温の組み付け時には大きな隙間にできるから、前記小開口への前記コアの挿入が容易になり、前記成形転写面の傷付きが抑制される一方、高温の成形時には、前記小開口と前記コアとの隙間を小さくなるから、バリの発生を効果的に抑制できる。尚、コアの素材の例としては、ステンレス合金鋼(線膨張係数=15×10-6/℃)があり、金型の素材の例としては、インバー(線膨張係数=1.4×10-6/℃)がある。
請求項2に記載の成形装置は、請求項1に記載の発明において、前記コアは、大径部と、前記大径部より小径の小径部とからなり、前記金型は、前記小開口に連通し前記小開口より大径の大開口を有し、組み付け時に、前記大径部が前記大開口に挿入された後に、前記小径部が前記小開口に挿入されることを特徴とする。これにより、組み付け時における前記成形転写面の破損等を更に有効に抑制できる。
請求項3に記載の成形装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記コアの温度を調整しながら、前記成形転写面が加工されていることを特徴とする。従来技術では、コアの加工は常温で行われる。しかしながら、成形時の実際の温度はそれよりも高温で行われるから、熱膨張により、コアの形状が加工時のものに対して変化する可能性がある。そこで、コアの加工時の温度を管理(成形時の温度にするのが望ましい)することで、熱膨張による変形を考慮した加工を行うことが出来るようになり、成形時のコア形状を予測しやすく、金型とコアの隙間を極力0に近づけることが可能になる。
請求項4に記載の成形装置は、請求項3に記載の発明において、前記金型の温度を調整しながら、前記コアの成形転写面が加工されていることを特徴とする。コアと同様に、金型も成形時に熱膨張により変形するため、コアのみならず金型も温度管理を行いながら加工を行うことが望ましい。
請求項5に記載の成形装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記コアの成形転写面は、前記コアが前記金型の小開口に挿入された状態で加工されることを特徴とする。コアと金型を別々に加工すると、両者の組み付け時に成形転写面を傷付けたり、或いは成形時にコアと金型の隙間が小さくなったときに光学面加工により発生する微小な形状ずれのため、かじり等を生じる恐れがあるが、そこで金型にコアを挿入した状態で成形転写面を加工すれば、フリーで加工した場合に比べ誤差が低減され、かじる可能性はより小さくなる。又、両者は既に組み付けられているので、組み付け時のミスにより成形転写面を傷付けることもない。但し、コアの加工後に金型から一度分解しても良い。
本発明によれば、成形品の品質を確保しつつ、組付容易性を向上できる成形装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、コア30を第1の型10に組み付ける状態を示す断面図である。インバーから形成される第1の型10は、同軸に連結された大開口10aと、大開口10aよりも小径の小開口10bとを有する。一方、ステンレス合金鋼から形成されるコア30は、大径部30aと、大径部30aよりも小径の小径部30bとを同軸に連結した構成を有し、小径部30bの端面には成形転写面30cが形成されている。
ここで、コア30の小径部30bの軸線方向の長さをΔ1とし、第1の型10の大開口10aの深さをΔ2としたときに、Δ1<Δ2となっている。かかる寸法関係を有するため、本実施の形態によれば、コア30を第1の型10に組み付けるとき、大径部30aが大開口10aに嵌合した後に、小径部30bが小開口10bに嵌合するので、大開口10aにガイドされることで、小径部30bが小開口10bに対して嵌合位置に位置決めされ、これにより、成形転写面30cを傷付けることなく組付けを行うことができる。又、常温の状態では、小径部30bと小開口10bの隙間が比較的大きいので、カジリ等を生じることが抑制され、スムーズに組み付けを行うことができる。
図2は、光学素子としてのレンズを、本実施の形態にかかる成形装置を用いて成形する状態で示す図である。成形装置は、第1の型10と第2の型20とコア30とを含む。第2の型20も、コア30の成形転写面30cに対応して成形転写面20aを有する。
第2の型20は固定され、第1の型10は、コア30と共に不図示の電動トグル機構や油圧シリンダ等により第2の型20に対して光軸方向(図2で左右方向)に相対移動可能となっている。
次に、本実施の形態の成形装置を用いた光学素子の成形方法について説明する。まず、第2の型20に対向するようにして第1の型10及びコア30をセットする。その後、第2の型20に対して第1の型10及びコア30を相対的に接近させ密着させて、所定の保圧にて型締めを行う。
更に第1の型10及びコア30と第2の型20とを、不図示のヒータにより加熱する。これによりコア30と第1の型10とは熱膨張を生じるが、上述したようにコア30の線膨張係数は、第1の型10の線膨張係数より大きいので、小径部30bの外径の膨張は、小開口10bの内径の膨張より大きくなり、その隙間は常温時より小さくなる。成形転写面20a、30cを所定温度まで加熱した後、不図示のノズルからゲートを介して任意の圧力に加圧された状態で樹脂を供給する。
次に、溶融した樹脂が成形転写面20a、30cの形状を転写した状態で固化した後、型温度を低下させて樹脂を冷却して固化させる。
その後、第1の型10及びコア30と第2の型20とを相対的に移動させて型開きを行って、成形された光学素子を取り出すことができる。本実施の形態によれば、熱膨張の差を利用することにより、常温時に比べて成形時における小径部30bと小開口10bとの隙間が小さくなるので、かかる隙間に樹脂が流れ込むことが抑制され、バリ等の少ない高品質な光学素子を成形できる。
図3は、本実施の形態の変形例にかかるコアの加工状態を示す図である。本変形例のコア30及び第1の型10の素材や形状は、上述した実施の形態と同様であるが、コア30の成形転写面30aの加工のみが異なる。上述した実施の形態では、第1の型10に組み付ける前に、コア30の成形転写面30aを加工しているが、変形例では、第1の型10に組み付けた状態で、コア30の成形転写面30aを加工している。
より具体的には、図3において、成形転写面を未加工のコア30を、第1の型10に対して成形時の状態まで組み付けた後に、工具Tにより成形転写面30aを切削加工する。このとき、第1の型10の外方に配置されたヒータHTにより、第1の型10とコア30とを加熱することで、両者の隙間は常温時よりも狭まる。不図示のセンサで第1の型10及び/又はコア30の温度を測定しつつヒータHTの加熱を調整しながら、成形転写面30aを加工すれば、熱膨張を考慮して、成形時に理想的となる成形転写面の形状を加工することができる。尚、ヒータHTの加熱により、第1の型10とコア30とは必ずしも成形時の温度まで上昇させる必要はない。少なくとも常温より高い温度で加工すれば、成形転写面は理想状態に近づくからである。第1の型10とコア30とは組み付けた状態で成形装置に組み込んでも良いし、一旦分解してから組み付けても良い。
図4は、更に別な変形例にかかるコア30を第1の型10に組み付けた状態で示す図である。図4において、コア30は、大径部30aの軸線方向中央付近(端部以外が好ましい)に大径環状部30dを有しており、また小径部30bの軸線方向中央付近(端部以外が好ましい)に小径環状部30eを有している。大径環状部30dのみが、第1の型10の大開口10aの内周面に接触し、小径環状部30eのみが、第1の型10の小開口10bの内周面に接触している。本変形例によれば、大径部30aの一部と小径部30bの一部(環状部30d、30e)の外周面のみが、大開口10aと小開口10bの内周面に嵌合しているので、全面が接触する場合に比べ、カジリの恐れが更に低下するという利点がある。尚、環状部30d、30eの角部に面取り部を設けると更に好ましい。
本発明によれば、成成形品の品質を確保しつつ、組付容易性を向上できる成形装置を提供することができるが、成形の対象は光学素子に限られず、種々の製品が対象になる。本発明は、特に金型温度を周期的に上下させる、いわゆるヒートサイクル式の成形方法に好適であり、かかる場合、成形時の金型とコアとの隙間をゼロにすることも可能である。
コア30を第1の型10に組み付ける状態を示す断面図である。 光学素子としてのレンズを、本実施の形態にかかる成形装置を用いて成形する状態で示す図である。 変形例にかかるコアの加工状態を示す図である。 更に別な変形例にかかるコア30を第1の型10に組み付けた状態で示す図である。
10 第1の型
10a 大開口
10b 小開口
20 第2の型
20a 成形転写面
30 コア
30a 大径部
30b 小径部
30c 成形転写面
30d 大径環状部
30e 小径環状部
HT ヒータ
T 工具

Claims (5)

  1. 小開口を有する金型と、
    成形転写面を形成しており前記小開口内に挿入されるコアと、を有する成形装置において、
    前記金型を形成する素材の線膨張係数よりも、前記コアを形成する素材の線膨張係数の方が大きいことを特徴とする成形装置。
  2. 前記コアは、大径部と、前記大径部より小径の小径部とからなり、前記金型は、前記小開口に連通し前記小開口より大径の大開口を有し、組み付け時に、前記大径部が前記大開口に挿入された後に、前記小径部が前記小開口に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
  3. 前記コアの温度を調整しながら、前記成形転写面が加工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形装置。
  4. 前記金型の温度を調整しながら、前記コアの成形転写面が加工されていることを特徴とする請求項3に記載の成形装置。
  5. 前記コアの成形転写面は、前記コアが前記金型の小開口に挿入された状態で加工されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012005096A1 (ja) * 2010-07-07 2012-01-12 Hoya株式会社 入れ子式金型
JP2014057021A (ja) * 2012-09-14 2014-03-27 Murata Mfg Co Ltd プレス用金型および積層セラミック電子部品の製造方法

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