JP2010233271A - データ処理装置およびディザパターン製造方法 - Google Patents

データ処理装置およびディザパターン製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる複数の色のインクを用い記録を行う際のグレインの発生を抑制しビーディングによる画質劣化を軽減できるディザパターンを提供する。
【解決手段】斥力ポテンシャルの合計が計算される各閾値ドットの中で、例えば、閾値ドットDoが斥力ポテンシャルの合計が最も大きい場合、その移動前後の斥力ポテンシャルの変化を求め、移動前後で最も斥力ポテンシャルの合計が低くなる画素に閾値ドットDoを移動させる。このような処理を繰り返すことによって3プレーン全体の総エネルギーを下げることができ、3プレーンのディザパターンの重なりにおいて閾値ドット分布が、低周波数成分が少なく良好に分散された配置となる。
【選択図】図7

Description

本発明は、データ処理装置およびディザパターン製造方法に関し、詳しくは、画像データの量子化を行うディザ処理ないしそれに用いられるディザパターンに関するものである。
インクジェットプリンタをはじめとするプリンタにおいて記録画像を構成する複数のインクドットを形成するためのドット記録データの生成は、一般には、例えば8ビットの画像データを1ビット2値の画像データに量子化する処理によって行う。これら量子化の手法の1つとしてディザ処理が知られている。特許文献1や特許文献2などに記載されている手法を用いると、分散性のよいパターンを生成でき、これらのパターンで量子化された2値画像データもノイズ感の少ない分散性のよいパターンとなる。ディザ法は、誤差拡散法などと比べて、演算スピードが速いため、スピードが必要とされる高速プリンタ、データ数が多い多色プリンタなどの処理に向いている。
特許第2622429号公報 米国特許第5535020号明細書
ところで、近年のインクジェット記録システムでは、その高速化、高密度化、また、インクの種類の多様化に伴い、単位時間当たりに付与されるインク量や記録媒体の単位面積あたりに付与されるインクの量が増大する傾向にある。このため、これまで以上に重要な課題としてビーディングの問題があげられる。ビーディングは、記録媒体で吸収しきれないインクが媒体上で接触して連なり、それが記録画像においてムラなどの原因となるものである。
ビーディングを低減させるには、短い時間内に付与されるインクを極力異なる位置に配置することが重要である。このために、それぞれの色インク毎に、極力異なるディザパターンを用いるのが有効である。こうすることで、異なる色のインク同士が同じ場所に打ち込まれる確率を下げることができる。
しかしながら、ディザパターンを色毎に異ならせるだけでは、ビーディングの低減は十分ではない。
図32(a)〜(c)はこの問題を説明する図である。同図は、シアン、マゼンタ、イエローの順でそれぞれのインクが記録媒体に打ち込まれて行く過程を示している。図32(a)に示すように、未だ何も打ち込まれていない記録媒体に先ずシアンインクが吐出される。このとき、それぞれのシアンインクが打ち込まれる位置は用いているディザパターンのドットの配置に従うことはもちろんである。そして、このインクが記録媒体に完全に吸収される前は、記録媒体上に上記マスクに従った配置でシアンインク滴10Cが存在する。次に、図32(b)に示すように、マゼンタインクが、同様に対応するディザパターンに従った位置に吐出され、同様に吸収前にはインク滴10Mを形成する。ここで、シアンインクとマゼンタインクについてそれぞれ用いるディザのドット配置の関係によっては、シアンインク滴10Cとマゼンタインク滴10Mとが接して連結したインク滴10B(図中、×印を付したもの)を形成することがある。さらに、図32(c)に示すように、イエローインクが、同様に、対応するディザパターンに従った位置に吐出され吸収前にはインク滴10Yを形成する。この場合も、それぞれのインクについて用いるマスクのドット配置の関係によって、連結したインク滴10B(図中、×印を付したもの)を形成する。さらに走査が重ねられて、画素に対するインク滴の比率が高くとなると、同じ画素にインク滴が重ねて吐出されることもあり、同様の連結したインク滴を形成する。
このように、順次吐出されるインク滴が隣接ないし近接する画素あるいは同じ画素に付与される場合には、互いが接触して相互の表面張力によって引き合い、2つ分あるいは3つ分の(あるいはそれ以上の)インク滴が合体した大きな滴10B(グレイン)を形成する。一度このようなグレインが形成されると、次に隣接ないし近接した位置に付与されたインク滴はそのグレインに引き寄せられ易くなる。すなわち、最初に発生したグレインが核となって徐々に成長し、やがて大きなグレインを生成する。そして、特に一様な画像領域では、このようなグレインが記録媒体に定着したものが不規則に散らばった状態で散在し、ビーディングとして視認されることとなる。
記録の途中で発生するグレインの原因となるドットの近接ないし隣接は、量子化された画像データが本来的に持っている量子化データの配置パターンに依存している。すなわち、ディザパターンにおける閾値の配置パターンに応じて、それによって量子化されたデータのその画像データプレーンにおける配置が定まる。
特許文献1に記載されるディザ処理もしくはディザパターンによっては、図Zにて説明したようなグレインの問題を解決することはできない。すなわち、特許文献1に記載のディザパターンは、異なる色に異なるディザパターンを適用することも可能であるが、この場合異なる色の間ではそれらのディザパターンは無関係に定められたものである。このため、異なる色同士の記録ドットの配置は分散が悪く分割記録の途中の画像(中間画像)におけるドットの隣接やさらにはドットの重なりを避けることができないことがある。
本発明は、上述した問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、異なる複数の色のインクを用い記録を行う際のグレインの発生を抑制しビーディングによる画質劣化を軽減できるデータ処理装置おおびディザパターン製造方法を提供することにある。
そのために本発明では、コンピュータにおいて実行されるディザパターン製造方法であって、第1の色の記録を行うための量子化データを生成するために用いられる第1のディザパターンにおける複数の異なる閾値の配置を決定する第1決定工程と、第2の色の記録を行うための量子化データを生成するために用いられる第2のディザパターンにおける複数の異なる閾値の配置を前記第1のディザパターンの複数の異なる閾値の配置と異なるように決定する第2決定工程と、を有し、前記第1決定工程は、前記第1のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第1の候補位置パターンにおいて、前記第2のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第2の候補位置パターンに基づいて、前記第1の候補位置パターンと第2の候補位置パターンとを論理積したパターンの低周波数成分が少なくなるように所定数の同じ閾値の配置を定める第1の工程を含み、前記第2決定工程は、前記第2のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第2の候補位置パターンにおいて、前記第1の工程において所定数の同じ閾値の配置が定められた第1の候補位置パターンに基づいて、前記第1の候補位置パターンと第2の候補位置パターンとを論理積したパターンの低周波数成分が少なくなるように所定数の同じ閾値の配置を定める第2の工程を含み、前記第1および第2決定工程は、前記閾値が配置された候補位置を除いたそれぞれ前記第1および第2の候補位置パターンを、それぞれ次の前記第1および第2の候補位置パターンとして、前記複数の異なる閾値ごとに順次、それぞれ前記所定数の同じ閾値の配置を定める前記第1、第2の工程を繰り返す工程を含むことを特徴とする。
以上の構成によれば、記録の途中におけるグレインが原因で生じるビーディングによる画質劣化を軽減できる。
本発明の一実施形態に係る画像処理装置としてのPCのハードウェアおよびソフトウェアの構成を主に示すブロック図である。 本発明の一実施形態のインクジェット記録システムにおける、画像データ変換処理の流れを説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録装置を示した斜視図である。 本発明の第一の実施形態に係るディザパターン製法を説明する図である。 本発明の第一の実施形態に係るディザパターン製法の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る基本斥力ポテンシャルE(r)の関数を模式的に示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の第一の実施形態にかかる斥力ポテンシャルの付与と総エネルギーの減衰処理を模式的に説明する図である。 本実施形態のディザパターンの作成処理を示すフローチャートである。 本発明の第一の実施形態に係るディザパターンの閾値の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態に係るディザパターンの閾値の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態に係るディザパターンの閾値の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態に係る2つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態に係る3つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンをずらしたときの2つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンをずらしたときの3つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよびそれをずらしたディザパターンそれぞれの2つのディザパターンの閾値平均のパワースペクトルを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよびそれをずらしたディザパターンそれぞれの3つのディザパターンの閾値平均のパワースペクトルを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよびそれをずらしたディザパターンそれぞれの閾値平均の低周波数成分の違いを示す図である。 従来例に係るディザパターンの閾値の配置を示す図である。 従来例に係る2つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 従来例に係る3つのディザパターンパターンの閾値平均の配置を示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよび従来例のディザパターンそれぞれの3つのディザパターンの閾値平均のパワースペクトルを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよび従来例のディザパターンそれぞれの閾値平均の低周波数成分の違いを示す図である。 本実施形態の積層ディザパターンC、Mを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。 従来例のディザパターンC、Mを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。 他の従来例のディザパターンC、Mを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。 本実施形態の積層ディザパターンC、M、Yを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。 本実施形態の積層ディザパターンC、M、Yを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの[重ね合わせ]パターンを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよび従来例のディザパターンそれぞれの2つのディザパターンパターンを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの[重ね合わせ]のパワースペクトルを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよび従来例のディザパターンそれぞれの3つのディザパターンパターンを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターンの[重ね合わせ]のパワースペクトルを示す図である。 本発明の第一の実施形態のディザパターンおよび従来例のディザパターンそれぞれの3つのディザパターンパターンを用いて均一画像を2値化して得られるドットパターン[重ね合わせ]の低周波数成分の違いを示す図である。 従来技術の問題点を説明する図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態は、マルチパス記録で用いる2値の画像データを生成するためのディザパターンの製造ないしそのディザパターンに関するものである。
図1は、本発明の一実施形態に係るホスト機器として機能するパーソナルコンピュータ(以下、単にPCとも言う)の主にハードウェアおよびソフトウェアの構成を示すブロック図である。このホスト機器は、プリンタ104で記録する画像データを生成する。
図1において、ホストコンピュータであるPC100は、オペレーティングシステム(OS)102によって、アプリケーションソフトウェア101、プリンタドライバ103、モニタドライバ105の各ソフトウェアを動作させる。アプリケーションソフトウェア101は、ワープロ、表計算、インターネットブラウザなどに関する処理を行う。モニタドライバ105は、モニタ106に表示する画像データを作成するなどの処理を実行する。
プリンタドライバ103は、アプリケーションソフトウェア101からOS102へ発行される各種描画命令群(イメージ描画命令、テキスト描画命令グラフィクス描画命令など)を描画処理して、最終的にプリンタ104で用いる2値の画像データを生成する。詳しくは、図2で後述される画像処理を実行することにより、プリンタ104で用いる複数のインク色それぞれの2値の画像データを生成する。
ホストコンピュータ100は、以上のソフトウェアを動作させるための各種ハードウェアとして、CPU108、ハードディスク(HD)107、RAM109、ROM110などを備える。すなわち、CPU108は、ハードディスク107やROM110に格納されている上記のソフトウェアプログラムに従ってその処理を実行し、RAM109はその処理実行の際にワークエリアとして用いられる。
本実施形態のプリンタ104は、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し、その間にインクを吐出して記録を行ういわゆるシリアル方式のプリンタである。記録ヘッドは、C、M、Y、Kそれぞれのインクに対応して用意され、これらがキャリッジに装着されることにより、記録用紙などの記録媒体に対して走査することができる。それぞれの記録ヘッドは、吐出口の配列密度が1200dpiであり、それぞれの吐出口から3.0ピコリットルのインク滴を吐出する。また、それぞれの記録ヘッドの吐出口の数は512個である。
図2は、図1に示した構成においてプリンタ104で記録を行う際のPC100およびプリンタ104における主なデータ処理過程を説明するブロック図である。本実施形態のインクジェットプリンタ104は、上述したようにシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクによって記録を行うものであり、そのためにこれら4色のインクを吐出する記録ヘッドJ0010を備える。
ホストPC100のアプリケーション101を介して、ユーザはプリンタ104で記録する画像データを作成することができる。そして、記録を行うときはアプリケーション101で作成された画像データがプリンタドライバ103に渡される。
プリンタドライバ103は、その処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、2値化処理J0005、および印刷データ作成J0006をそれぞれ実行する。前段処理J0002では、アプリケーションによる画面を表示する表示器が持つ色域をプリンタ104の色域に変換する色域変換を行う。具体的には、R、G、B夫々が8ビットで表現された画像データR、G、Bを3次元LUTにより、プリンタの色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。次いで、後段処理J0003では、変換された色域を再現する色をインク色に分解する。具体的には、前段処理J0002にて得られた8ビットデータR、G、Bが表す色を再現するためのインクの組合せに対応した8ビットデータC、M、Y、Kを求める処理を行う。γ補正J0004では、色分解で得られたCMYKのデータ夫々についてγ補正を行う。具体的には、色分解で得られた8ビットデータCMYK夫々がプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
次いで、2値化処理J0005では、γ補正がなされた8ビットデータC、M、Y、Kそれぞれを1ビットデータC、M、Y、Kに変換する量子化処理を行う。この処理では、後述の各実施形態で説明されるディザパターンと用いた2値化処理を行う。ここで用いるディザパターンのデータは所定のメモリに予め格納しておく。なお、ディザパターンデータが所定のメモリに予め格納されておらず、PC100がディザパターン製造のためのデータ処理装置として機能するときは、後述の各実施形態でそれぞれ説明されるディザパターン製造処理を実行する。そして、製造したディザパターンデータは、PC100の所定のメモリに格納される。
最後に、印刷データ作成処理J0006では、2値化された1ビットデータC、M、K、Yを内容とする2値の画像データに印刷制御データなどを付して印刷データを作成する。ここで、2値の画像データは、ドットの記録を示すドット記録データと、ドットの非記録を示すドット非記録データを含む。なお、印刷制御データは、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および給紙方法等のような「その他制御情報」とから構成されている。以上のようにして生成された印刷データは、プリンタ104へ供給される。
図3は、インクジェットプリンタ104を示す斜視図である。キャリッジM4000は、記録ヘッドおよびこれにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)それぞれのインクを供給するインクタンクH1900を搭載した状態で図のX方向(主走査方向)に移動し、記録ヘッドの各ノズルは、2値の画像データに基づき所定のタイミングでインクを吐出する。
以下では、上記の記録システムの2値化処理J0005で用いられあるいは上記の記録システムで製造される、ディザパターンの製法およびそれによるディザパターンのいくつかの実施形態を説明する。
〔実施形態1〕
(1)実施形態の概要
本発明の第一の実施形態に係るディザパターンによって2値化されたデータは、特に、色ごとのプレーンが重なったときのドット分布が、低周波成分が少ない良好に分散したものとなる。なお、図2にて上述した例は、ディザパターンを用いた2値化処理をホストコンピュータにおいて行う構成に関するものであるが、プリンタなどの印刷装置の処理負荷などに応じて、印刷装置において2値化処理を行ってもよいことはもちろんである。
本実施形態の2値化処理では、C、M、Y、Kに応じた4つのプレーンにおける2値データ(ドット)が、本実施形態の4つのディザパターンによって生成される。なお、以下では、説明の簡略化のため、Kを除いたC、M、Yの3プレーンの2値データを生成するためのディザパターンについて説明する。
本実施形態では、3プレーンに対応したディザパターンの作成において、基本的に、斥力ポテンシャルを用いる。これにより、それぞれのディザパターンを用いて得られる3プレーンのデータは、それぞれ2つまたは3つのプレーンを重ねたときのドット分布が、低周波成分の少ない、良好に分散されたものとすることができる。
(2)ディザパターンの製法
本実施形態に係るディザパターンの具体的な製造方法を説明する前に、この製法における斥力ポテンシャルの適用の仕方を説明する。
本実施形態のディザパターンの製法では、最初に、ディザパターンの複数のプレーンそれぞれについて初期ドットパターンを作成し、その際、斥力ポテンシャルを用いることにより、プレーン内および他のプレーンとの間でそれぞれのドットが分散性の高い配置とする。また、この初期ドットパターンを初期値としてそれから順次ドットを間引き、間引き後のドットパターンの位置に当該ドットパターンに対応した閾値を配置しディザパターンとして行く。その間引きの際に、斥力ポテンシャルのエネルギーの低いドット配置を選ぶようにして間引いた後のドット配置の分散性を高くする。
以下で説明する閾値作成アルゴリズムでは、各閾値を決定する際にその時々においてドットとそれに伴う斥力ポテンシャルを定義し、分散性が増すような設計を行う。よって閾値の分布にかんしてドットが分布していると捉えて述べる。
図4は、本実施形態に係るドットパターンの生成を概念的に示す図である。
ドットパターン生成では、C、M、YそれぞれのドットパターンC、M、Yを生成する。このドットパターンの生成において、ドットパターンC、M、Yそれぞれのドットの配置は、次のように行われる。
図5は、本実施形態に係わる配置移動法によるドットパターンにおけるドットの配置決定処理を示すフローチャートである。
先ず、ステップS501で、ドットパターンC、M、Yそれぞれのプレーンのサイズに対応したC、M、Yそれぞれの50%濃度の画像を取得する。そして、ステップS502で、それぞれの画像について誤差拡散法などの2値化手法を用いて2値化を行う。これにより、ドットパターンC、M、Yそれぞれのプレーンについて、1ビットのデータが“1”であるドットがドットパターンの画素全体の50%に配された初期配置を得ることができる。なお、この2値化の手法を用いてドットの初期配置を得るのは、その用いる2値化の手法に応じてある程度、初期状態で分散性のよい配置を得ることができるからであり、これにより、その後の最終的な配置決定までの演算時間ないし収束時間を短くできるからである。換言すれば、本発明を適用する上で初期配置を得る方法は本質ではなく、例えば、ドットパターンのプレーンにおいて、1ビットのデータが“1”であるドットをランダムに配置した初期配置であってもよい。また、例えば、Cの50%画像を第1プレーンとし、さらに、その画像を時計回りに90度回転させた画像をMの第2プレーンとし、同様に180度回転させた画像をYの第3プレーンとするような初期配置を得てもよい。
次に、ステップS503で、上記のようにして得たドットパターンC、M、Yそれぞれのプレーンの総てのドットについて斥力ポテンシャルを計算する。具体的には、
(i)同一プレーン内のドット間に距離に応じた斥力を与える。
(ii)さらに、異なるプレーン間のドットにも斥力を与える。
(iii)同一プレーンと異なるプレーン間に異なる斥力を与える。
(iv)異なるプレーンのドットの重なりを認め、ドットの重なり(2つのドット重なり、3つのドット重なり、…)同士も組み合わせに応じた斥力を与える。
図6は、本実施形態に係る基本斥力ポテンシャルE(r)の関数を模式的に示す図である。
同図に示すように、本実施形態で規定する斥力関数は、その斥力が及ぶ範囲をr=16(画素;ドットが配置されるドットパターンの画素)までとする。このような距離とともに減衰するポテンシャルを用いることにより、基本的に、ドットが接近して配置されるとエネルギーが高い状態、すなわち不安定な状態となり、収束計算の結果、接近した配置はできるだけ選択されないようにすることができる。
なお、この斥力の形状は、ドットパターン画素全体に対するドットの割合により決定することがより望ましい。
また、複数色のインクを用いて記録を行う場合、インクドットを配置できる位置(解像度1200場合の場合は、1インチ四方に1200×1200個の可能位置がある)以上に重ねてインクドットを配置するため、各ドットについて斥力ポテンシャルを計算する際には、ドットの上にドットが重なることを考慮する。このため、r=0において有限の斥力ポテンシャルを持つように関数を定義する。これにより、ドットの重なりをも考慮した分散が可能となる
本実施形態では、同一プレーンのドット同士に関してαE(r)、異なるプレーン間のドット同士に関してβE(r)、重なるドット同士に関してγs(n)E(r)の斥力ポテンシャルを与えて計算を行う。つまり、あるドットが存在することによるポテンシャルは、距離r以内の範囲にある、同プレーンのドット、異なるプレーンのドット、さらには異なるプレーンの重なるドットについての斥力ポテンシャルが加算される。
なお、ドットパターンパターンのサイズは有限であるが(本実施形態の場合、128×128画素となる)、ポテンシャル計算においては、128×128画素の同じパターンがあたかも繰り返しているような周期境界条件を用いる。従って、ドットパターンの左端は右端と隣接しており、下は上と隣接していることとなる。
上記の斥力ポテンシャルにおいて、係数α、β、γは重み付け係数であり、本実施形態では、α=3、β=1、γ=3の値を用いる。このα、β、γの値によってドットの分散性が影響を受ける。このα、β、γの値は、例えば、実際には実験を行い、ドットパターンを用いて記録される記録画像を参照した最適化により求めることができる。
また、係数s(n)は、重なるドットを分散させるためにγに加えてさらに積算する係数である。この係数s(n)は、重なりが多いほどそれらのドットをより分散させるべく重なりの数に応じた値とするものである。本願発明者の実験によれば、次の2つの式いずれかによって求められるs(n)を用いることにより、分散に関してよい結果を得ることができる。
すなわち、nを重なりの数とするとき、組合せの数の和をs(n)とするものである。詳細には、斥力を計算する注目ドットに対して重なる(同じプレーンまたは異なるプレーンにおける同じ位置の)ドットを調べるとともに、注目ドットから距離rに位置するドットを調べる。この場合に、注目ドットおよびその画素と同じ位置で重なる他のプレーンのドットと、距離rにある各プレーンのその画素で同じように重なるドットの共通する重なりの数をnとする。そして、これら2つの画素間の重なったドット同士による斥力を考える。
この場合、例えば、ある2画素間で第1プレーン、第2プレーンおよび第3プレーンにそれぞれ共通にドットが存在する例を考えると、n=3となる。そして、それらの画素間には3つのドットの重なりに起因する斥力を作用させる。ここで、3つのドットの重なりによる斥力を考えるとき、3つのドットの重なりとともに、2つのドットの重なり同士や1つのドット同士の斥力が多重的に作用すると考える。換言すれば、第3プレーンを考えなければ、第1プレーンと第2プレーンの2つのドットの重なりと考えることができ、また、第2プレーンを考えなければ第1プレーンと第3プレーンの2つのドットの重なりとも考えられる。第1プレーンを考えなければ第2プレーンと第3プレーンの重なりと考えられる。このようなドットが重なることの多重的な効果を計算するために、重なりの組合せによる斥力を定義し上記のようなs(n)を用いる。これによれば、分散性のよいドット配置を得ることができることが実験上確認されている。
再び、図5を参照すると、ステップS503で、すべてのドットの斥力ポテンシャルを合計したそうエネルギーがもとまっている。そして、この総エネルギーを減衰させる処理を行う。
この処理では、すべてのドットについて順番に距離rが4以内の画素の中で、斥力ポテンシャルが最も下がる画素にドットを移す。このような処理を繰り返していくことによって(ステップS504)、総てのドットの斥力ポテンシャルの合計値である総エネルギーを低下させて行く。
ステップS505では、ステップS504における総エネルギーの低下率を計算し、それが所定値以下であると判断すると、エネルギー減衰処理を終了する。なお、この所定値は、例えば、実際に印刷を行った結果をもとに、低周波数成分が適切に抑えられた画像を記録できる低下率として求めることができる。
最後にステップS506で、上記のように総エネルギーの低下率が所定値以下となった状態の各プレーンを、図8にて後述する処理の初期ドットパターンC、M、Yとして設定する。
なお、本実施形態では、ステップS505において総エネルギーの低下率が所定値以下となったか否かを判定し、低下率が所定値以下となったとき、ステップS506へ移行するようにしている。しかし、本実施形態はこの例に限られるものではない。例えば、ステップS505において総エネルギーが所定値以下となったか否かを判定し、総エネルギーが所定値以下となったらステップS506へ移行するようにしてもよい。
図7(a)〜(d)は、上述した斥力ポテンシャルの計算と総エネルギーの減衰処理を模式的に説明する図である。詳しくは、本実施形態に係るC、M、Yの3プレーンを斜視図で示し、また、特にドットの移動を平面図で示す図である。ここで、最小の正方形はドットパターンの画素を示し、3プレーンの重なりにおいて重なる画素がプレーン間で同じ画素位置に対応する。
図7(a)は、同一プレーンにドットが存在する場合にそれらドット間の斥力によってポテンシャルが加えられる(増す)ことを説明する図である。図に示す例では、プレーンCの注目画素のドットDoと同じプレーンで距離r離れた画素にドットが1個存在する例であり、この場合、α=3が適用され、ドットDoのポテンシャルとして1×αE(r)のポテンシャルが加えられる。
図7(b)は、注目ドットDoとは異なるプレーン(プレーンM、Y)にドットが存在する場合に、それら2個のドットとの関係で加えられる斥力ポテンシャルを説明する図である。異なるプレーン間のドットとの関係であるから、β=1が適用されドットDoのポテンシャルとしてドット2個分の2×βE(r)のポテンシャルが加えられる。
図7(c)は、上記の2つの場合である、同一プレーンにドットが存在する場合と異なるプレーンにドットが存在する場合に加え、異なるプレーンの同一画素にドットが存在してドットの重なりが存在する場合に、それらのドットとの関係で加えられる斥力ポテンシャルを説明する図である。図7(a)および(b)の場合に加え、注目ドットDoのプレーンCと異なるプレーンYの同じ画素にドットが存在することにより、同プレーンの斥力ポテンシャル1×αE(r)と、同じ画素の異なるプレーンの1個のドットによる斥力ポテンシャル1×βE(0)と、異なるプレーンの2個のドットによる斥力ポテンシャル2×βE(r)と、重なる数n=2でγ=3が適用される、重なりによる斥力ポテンシャルγs(2)×E(r)のポテンシャルが加えられる。この結果、図7(c)に示すドット配置において注目ドットDoが存在することによる斥力ポテンシャルの合計は、1×βE(0)+1×αE(r)+2×βE(r)+γs(2)×E(r)となる。
図7(d)は、図7(c)に示すドット配置において、ドットDoを移動させることにより、そのドットの斥力ポテンシャルの合計が変化することを説明する図である。図7(d)に示すように、ドットDo(プレーンC1のドット)が同じプレーンの隣の画素に移ると、そのドットDoが存在することによる斥力ポテンシャルの合計は、距離がr2、重なり同士の数nが0となることなどにより、βE(1)+1×αE(r2)+2×βE(r2)に変化する。そして、図7(c)に示すドット配置の場合の斥力ポテンシャルの合計1×βE(0)+2×αE(r)+1×βE(r)+γs(2)×E(r)と、図7(d)のドットDoが移動したことによる斥力の合計とを比較し、この移動前後の斥力ポテンシャルの合計の変化を知ることができる。
なお、この斥力ポテンシャルの合計は、上記の説明では、2つの画素またはドット移動させたときは3つの画素のドットによるエネルギーの合計を求めるものとしているが、これは説明を簡易にするためであり、実際は、これらのドット以外に存在し得る他の画素のドットを含めたドットとの関係に基づく斥力ポテンシャルの積分として求められるものであることはもちろんである。
図7(a)〜(c)に示したように斥力ポテンシャルの合計が計算される各ドットの中で、例えば、ドットDoが斥力ポテンシャルの合計が最も大きい場合、図7(d)で説明したようにその移動前後の斥力ポテンシャルの変化を求め、移動前後で最も斥力ポテンシャルの合計が低くなる画素にドットDoを移動させる。このような処理を繰り返すことによって3プレーン全体の総エネルギーを下げることができる。すなわち、3プレーンのドットパターンの重なりにおいてドット分布が、低周波数成分が少なく良好に分散された配置となる。以上説明した処理によって、ディザパターン生成の基となる分散性の高い初期ドットパターンを得ることができる。
図8は、本実施形態に係るディザパターンの作成処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS301で、初期ドットパターンとして、ある階調において分散性のよい2値パターンを作成する。本実施形態では50パーセント濃度のパターンを作成する。具体的には、図5で説明した方法によって、128×128のサイズの50パーセント濃度の初期ドットパターンを作成する。このように作成されたそれぞれのプレーンのドットパターンC、M、Yを初期パターンとして保存する。
次に、ステップS302で、上記で得た128階調の初期ドットパターンに対して斥力ポテンシャルを適用しドット間引きを行い、低階調方向の128階調の1レベルごとに閾値データを作って行く。具体的には、初期ドットパターンについて斥力ポテンシャルを計算しながら、ドットを間引いていく。この処理では、先ず、ドットパターンYの総てのドットについて、図5にて説明したのと同様に斥力ポテンシャルを計算し、最もエネルギーの高いドットを間引く。次に、ドットパターンMについても同様に総てのドットについて斥力のエネルギーを計算し、最も大きいドットを間引く。さらに、同様に、ドットパター
ンCについても総てのドットの斥力ポテンシャルを計算し最大エネルギーのドットを間引く。
ここで、8ビットのディザパターンを作るため、128階調の1つの階調レベルglごとにドットパターンを求めて、そのパターンに従いディザパターンすなわち閾値の分布を生成することができる。本実施形態では、ディザパターンは128×128のサイズであるため、各プレーン128×128画素÷128階調=128画素/1階調(1階調レベル)となり、1階調レベルにおいて各プレーンについて128個のドットのドットを間引く。
すなわち、上記プレーンごとの間引きを行うと、この間引きの回数パラメータnをインクリメントするとともに(ステップS303)、nが128に達したか否かを判断する(ステップS304)。128個分の間引きが終了するまでステップS302、S303の処理を繰り返し(ステップS304)、終了すると、ステップS305で、最終的に得られた各プレーンのドットパターンのドットをその諧調レベルglの値(階調値)で置き換えた閾値の配置パターンとしてこれを保存する。なお、初期ドットパターンに対応するgl=127の閾値パターンは、その初期パターンに基づいて予め作成されていることはもちろんである。
以上の処理(ステップS302〜S304)を、直前のレベルで得られたドットパターンを初期ドットパターンとして、階調レベルglが0になるまで繰り返し(ステップS302〜S307)、低階調側のそれぞれの諧調値の閾値パターンを得ることができる。
高階調側の閾値のパターンも同様に求めることができる。高階調側の場合は、ドットを付加して行き、斥力ポテンシャルを適用してエネルギー増加分を計算する。先ず、ドットパターンCの空白点に対してドットを付加した場合のエネルギーの増加を総ての空白点について計算する。そして、最もエネルギー増加が少ない点にドットを付加する。この処理は、図8に示した処理と同様にして行うことができる。ドットパターンM、Yについても同様に、ドットを付加する。他の処理は低階調側と同じである。
以上のようにして求められた階調ごとの各プレーンの閾値パターンは、合成されることによってC、M、Y各プレーンのディザパターンとすることができる。
なお、ディザパターンのドットの配置の仕方は、上例のように50%の濃度を初期値としてドット間引くことおよび付加するものに限られない。例えば、初期値を0%として、何も配置されていない状態からドット(閾値)を加えるように配置するようにしてもよい。この付加する場合は、上述した、高階調側の閾値配置の求め方と同じである。
(3)ディザパターンの評価
ディザパターンにおける斥力ポテンシャルの重み付け係数α、β、γs(n)の効果
先ず、以上説明した本実施形態のディザパターン製法によって製造されたディザパターンに対して、斥力ポテンシャル計算の(距離の議論はしていない、係数の影響のみの)重み付け係数α、β、γs(n)それぞれがどのように影響しているかについて具体的に説明する。上述したディザパターンの閾値作成アルゴリズムでは、各閾値を決定する際にその時々においてドットとそれに伴う斥力ポテンシャルを定義し、分散性が増すような設計を行った。よってここでも閾値の分布にかんしてドットが分布していると捉えて述べる。上述したように係数αは同一プレーンにおけるドットの分散に影響し、係数βは異なるプレーン間のドットの分散に影響し、また、γs(n)は異なるプレーンのドットが同じ位置の画素にあって重なる場合のこの重なりの分散に影響している。
なお、本実施形態では、E(r)として同じ関数(図6)を総ての項に用いているが、異なるポテンシャル関数をそれぞれの項に用いることもできる。この場合は、それぞれの関数E(r)と対応するそれぞれの重み付け係数α、β、γ(n)の積であるαE(r)、βE(r)´、γE(r)´´の違いが、本質的に以下で説明する、分散の違いとなって影響を及ぼすことはもちろんである。
仮に、同一のプレーン内のドット間のみに斥力ポテンシャルを定義しエネルギーを減衰させてドット分布を決める場合、すなわち、αE(r)でα=1、β=γ=0とする場合、1つのプレーンのドット分布は、それぞれプレーンにおけるドットの配置の分散性がよい。これはαE(r)の効果によるものである。しかし、2つ(複数)のプレーンを重ねたものから重なるドット(論理積、論理和)のパターンを抽出したものは、ドットの配置に偏りがあり低周波数成分の多いものとなる。2つのプレーン間でたまたま重なってしまうドットが発生してしまったり、2つのプレーン間に関連がないために偏りが生じたりするためである。
次に、3プレーンの総てのドットに同じ斥力ポテンシャルを加えた場合、すなわち、αE(r)およびβE(r)において、α=β=1、γ=0の場合を仮定する。この場合は、それぞれのプレーンのドット分布は、ある大きさの低周波数成分を持ち分布に偏りがある。一方、上記の3色のプレーンを重ねたもののドット分布(論理和)は分散がよい。これはα、βが同じ値であることによって、同一プレーンのドットを分散させる効果が、他のプレーンのドットを分散させる効果と同じであるため、結果として、それぞれのプレーンでは、ドット分布の分散が不十分になるからである。
そこで、同一プレーンと異なるプレーン間で斥力ポテンシャルを変えるべく、例えば、α=3、β=1とする。これにより、他のプレーンの影響を相対的に小さくでき同一プレーン内の分散性がよくなる。さらに、2つのプレーンを重ねたもののドット分布(論理和パターン)は、低周波数成分の少ない分散の良い分布となる。このように、同一プレーン、異なるプレーンのドットの分散性の両方がよくなる。つまり、αE(r)とβE(r)の項を作用させ、かつαとβの値を異ならせることにより、同一プレーン内、異プレーン内両方の分散性が良くなる。
次に、ドットの重なりがある場合において、先ず、γs(n)E(r)の項を用いない場合を考える。低周波数成分をもたないドット分布を持った2つのプレーンを、γs(n)E(r)の項を作用させずに、重ねて得られるもののドット分布から重なりドットを抽出したもの(論理積)は、低周波数成分が多い分散の悪い分布となる。
これに対して、γs(n)E(r)の項を加えた場合、先ず、それぞれのプレーンについて、低周波数成分をもたないドット分布が得られる。そして、これらのプレーンを重ねたもののドット分布から重なりドットを抽出したもの(論理積)の分布も、低周波数成分を持たないドットの配置となる。
このように、γs(n)E(r)の項は、基本的に、重なるドット同士が良好に分散する効果を与えるものであるが、図7(a)〜(d)にて説明したように、この項が、重なりが多いほどポテンシャルが高くなるよう設定され、そのポテンシャルに応じてドットを1つずつ移動し、または配置してエネルギーを減らすことにより、エネルギーを減らす処理の過程で重なりの数を減らす効果を与えている。これは、同じプレーンで隣接するドットについて、αE(r)が隣接するドットの数を減らす効果を与えることと同じことを意味している。このように、γs(n)E(r)の項は、単に重なるドット同士をできるだけ分散させるようにするだけでなく、その重なりの数を減らす効果をも与えている。そして、この効果によって、隣接や重なりによるドットの塊におけるドットの数はできるだけ少なくし、結果として低周波数成分の少ないドット分布を得ることができる。
以上の観点から、本実施形態では、上述したようにα=3、β=1、γ=3の値を用いる。
なお、例えば、α、β<<γとして、複数のプレーンの重なりにおいて抽出される重なるドットに特に注目し、上記γs(n)E(r)の項の効果によって、重なるドットが、特に低周波数成分が少ない分散が良いものとすることも可能となる。
また、本実施形態では、プレーン間の斥力はすべて、βE(r)としているが、相互作用の大きさなどを考えて各プレーン間で相互作用を異ならせることは有効である。例えば、プレーン数が多い場合になるべく近い時間に打ち込まれるインクに用いるディザパターンのプレーン間の斥力ポテンシャルを他の斥力ポテンシャルに対して大きくする、つまりβE(r)の係数やE(r)の形をプレーン間で変えることも有効である。また、例えば、反応系を用いた定着において、反応液またはそのような成分を有したインクを記録ヘッドによって吐出する場合に、その反応液等に用いるディザパターンのプレーンとその反応液等と反応作用が大きいインクに用いるディザパターンのプレーンの斥力ポテンシャルを通常より多くすることも有効である。斥力ポテンシャルの関数を変える具体例として、斥力が及ぶ範囲の距離rを変える例を挙げることができる。例えば、処理にかかる画像データの階調値が50%階調のとき、上記のようにr=16とし、階調値が50%より大きくまたは小さくなるほどrを大きくするようにすることができる。
なお、本明細書では、ドットないしその重なりが均一に分散するほど、「より良好な分散」もしくは「分散がより良いこと」を意味する。そして、「均一な分散」とは、上記の斥力ポテンシャルの例で言えば総エネルギーを可能な限り低くした状態、すなわち、ドットの重なりや隣接による塊があるときはそれらの重なりや隣接の数をできるだけ少なくした状態であり、さらに、このような状態で、ドットを可能な限り均等に配置することである。さらに、「低周波数成分が少なくなる(小さくなる)」とは、上記のように分散が良いとき、その分布について後述されるパワースペクトルにおける、人間の視覚特性における感度の高い領域(低周波数領域)の周波数成分が、その分散が良い程度に応じて少なくなる(小さくなる)ことを意味する。
本実施形態のディザパターンと従来例のディザパターン
図9〜図11は、上述した製法によって製造された本実施形態のディザパターンC、M、Y(以下「積層ディザパターン」ともいう)それぞれの閾値配置パターンを閾値の値に応じた濃度で示す図である。また、図19は、特許文献1や特許文献2に記載される従来例のディザパターンの同様のパターンを示す図である。
図9〜図11および図19に示される各ディザパターンパターンは、128×128の画素のエリアを有している。各パターンにおいて、濃度が薄いほど大きな閾値を表している。
これらの図に示すように、図19に示す従来のディザパターンや本実施形態のディザパターンのパターン(図9〜図11)は、特に、係数αの効果によって同一プレーン内の分散性を考慮したドットが配置されているので、閾値が示す各濃度の分散に偏りが無く、全体的に滑らかな印象を受ける。
図12は、図9および図10に示した本実施形態の積層ディザパターンC、Mの同じ画素の閾値の平均をその値に応じた濃度のパターンを示す図である。また、図13は、図9、図10および図11に示した本実施形態の積層ディザパターンC、M、Yの閾値の平均をその値に応じた濃度のパターンを示す図である。一方、図20は、図19に示した従来のディザパターンCと、それをずらして得たディザパターンMの同じ画素の閾値の平均をその値に応じた濃度のパターンを示す図である。また、図21は、図19に示した従来のディザパターンCと、それをずらして得たそれぞれディザパターンM、Yの同じ画素の閾値の平均をその値に応じた濃度のパターンを示す図である。これらのパターンは前述した周期境界条件を満たしているため容易に重なりをずらす設定ができる。
図12および図13に示すように、本実施形態の2つまた3つのディザパターンを重ねた場合の閾値平均の配置は、ともに分散がよくざらつき感のないものとなっている。これは、上述したように、2つのプレーン相互でドットの分散を考慮(係数β)するとともに、重なり自体の分散を考慮(係数γs(n))しているからである。これに対し、図20および図21に示す従来のディザパターンの閾値平均の配置パターンは、分散性が低下してざらつき感を呈したものとなる。
図22は、本実施形態の積層ディザパターンと従来の積層ディザパターンそれぞれを重ねたときの閾値平均の配置パターンのパワースペクトルの比較を示す図である。ここで、パワースペクトルは、2次元空間周波数を1次元として扱える、「T. Mitsa and K. J. Parker, “Digital Halftoning using a Blue Noise Mask”, Proc. SPIE 1452, pp.47-56(1991)」に記載のradially averaged power spectrum である。
この図からも明らかなように、他のプレーンとの間の分散を考慮していない従来の閾値平均の配置パターンは、周波数領域の全体でより大きなパワーを持つとともに、低周波数領域でも本実施形態のものより成分が大きい。
図23は、本実施形態の積層ディザパターンと従来のディザパターンそれぞれの閾値平均配置パターンのパワースペクトルにおける低周波数成分の量を比較して示す図である。この図からも明らかなように、ディザパターンを重ねたものは、従来のパターンのほうが低周波数成分が多いものとなっている。
ディザパターンの性能評価として、ディザパターンのパワースペクトルが存在する周波数領域のうち、およそ半分より低周波数側にある「低周波数成分」に着目することが本発明の大きな特徴である。ディザパターンの低周波数成分が低く抑えられている状況において、上述したようにグレインの分布に起因するビーディングは現れにくく、また視認されにくい。結果として、記録した画像は視覚的にはザラツキが気にならないものとなる。また、特に、ディザパターンは、1つのパターンが記録画像に対して2次元的に繰り返し用いられる。1つのディザパターンを繰り返し用いた場合は、ディザパターンの低周波数成分が多ければ多いほど、その繰り返しパターンの模様が人の目に認識されやすい。繰り返しになるが、その模様はビーデイングの発生および見え方に大きく影響する。このため、ディザの周期に関連したザラツキ感が発生する。そこで、繰り返しパターンに着目し、ディザパターンの低周波数成分側を抑える設計が重要となる。つまり本発明では、視覚的にザラツキなどが気になる低周波数領域に焦点をあてて、その低周波域の成分を低く抑えるようにしている。また、本発明のディザパターンはそのような低周波数のパワーが低く抑えられていることが特徴である。
また、人間の目の感度に関する周波数特性は、プリント物と人の目の距離などに依存し、例えば、ドーリイ(Dooley)の文献(「R.P. Dooley:Prediction Brightness Appearance at Edges Using Linear and Non-Liner Visual Describing Functions, SPES annual Meeting (1975)」)などによってこれまで多く論じられている。様々な実験からプリント物を見る場合には、およそ10cycles/mmより低い周波数領域の成分が人の目に認識しやすいと言われている。このことに関して、本発明者も実験的に確認している。そこで、10cycles/mmより低周波数側を含む領域(低周波数領域)に着目することが重要といえる。実際には記録物に目をさらに近づける場合もあるため、本発明者は、およそ20cycles/mmより低周波数側に着目し設計することが重要と考える。なお、後述する各実施形態のディザ評価(例えば、図16)で着目している低周波数領域は、おおよそこれらの範囲と重なっている。
ずらしによる評価
本発明の実施形態に係るディザパターンが従来の1つのプレーンのみを考慮して得られるディザパターン(特許文献1、特許文献2に記載のディザパターン)と異なる点の1つは、異なるプレーンのディザパターンを正規の位置で重ねた場合と正規ではない位置で重ねた場合の分散特性の変化である。本発明の実施形態に係るディザパターンは、異なるプレーンのディザパターンの重ね方を意図的にずらした場合、閾値配置パターンの分散性が大きく低下する。すなわち、本実施形態では、異なるプレーン間でも分散を考慮していることから、その分散を考慮するときの正規の重ね方とは異なる重ね方をすると分散性が大きく低下する。一方、従来例に係るディザパターンの場合、異なるプレーン間での分散性は考慮していないため、正規の重ね方とは異なる重ね方をしても分散性に変化はない。
このずれの評価は次のように行う。上述した製法によって作成したパターンC、M、Yを、それぞれから各色ラスター方向にランダムにずらす。このときディザパターン自体は周期的に並ぶためずらすことが可能となる。
図14は、ずらした本実施形態の積層ディザパターンC、Mを重ねたときの閾値平均の閾値配置パターンを示す図であり、また、図15は、ずらした積層ディザパターンC、M、Yを重ねたときの閾値平均の閾値配置パターンを示す図である。これらの図から明らかなように、本実施形態の積層ディザパターンの重ね位置をずらした閾値平均パターンは分散性が低下し、パターンを観察したときのざらつき感が増している。
図16および図17は、重ね位置をずらした場合と重ね位置をずらさない場合(つまり、正規の位置で重ねた場合)のパワースペクトルを比較した図であり、それぞれ本実施形態の積層ディザパターンC、M、または積層ディザパターンC、M、Yの閾値平均の配置パターンのパワースペクトルを示す図である。
これらの図に示す本実施形態の積層ディザパターンは、ずらした場合総ての周波数範囲でパワーが増すとともに、低周波数成分もずらし無しの場合に較べて大きくなる。これは、上述したように、積層ディザパターンは、異なるプレーン間でも分散を考慮していることから、その分散を考慮するときの正規の重ね方とは異なる重ね方としたときは、分散性が大きく低下するからである。
図18は、以上のずらしによる評価を低周波数成分の量で表した図であり、本実施形態の積層ディザパターンの閾値平均の配置パターンについてずらした場合とずらさない場合(正規の場合)それぞれパワースペクトルにおける低周波数成分の量の比較を示している。
図18に示すように、本実施形態の積層ディザパターンの場合、ずらしたものは、ディザパターンC、MおよびディザパターンC、M、Yのパターンのいずれにおいても、ずらしていない場合と比較して、低周波数成分の量が多くなることがわかる。
画像による評価
図24は、本実施形態の積層ディザパターンC、Mを用いて実際に濃度64の均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。また、図27は、本実施形態の積層ディザパターンC、M、Yを用いて濃度64の均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。さらに、図25および図26は、それぞれ従来例に係るランダムにずらして得られる2つのディザパターンC、Mおよび従来例に係る1画素だけずらして得られる2つのディザパターンC、Mを用いてそれぞれ濃度64の均一画像を2値化して得られるドットパターンの論理積パターンを示す図である。
図24および図27に示すように、本実施形態の2つまたは3つのディザパターンを重ねた場合のドットの配置の中からドットが重なったものを抽出したものの配置(論理積)は、分散がよくざらつき感のないものとなっている。これは、上述したように、2つのディザプレーン相互でドットの分散を考慮(係数β)するとともに、重なり自体の分散を考慮(係数γs(n))しているからである。
これに対し、特許文献1や特許文献2に開示されるディザパターンによるドットパターンを重ねたときの論理積は、ずらし方によらず本実施形態のパターン(図24)と較べて分散がよくないものとなっている。これは、上述したように特許文献1などでは、同じプレーン内の分散は考慮しているものの、プレーン相互のドットの分散(係数β)やドットの重なりの分散(係数γs(n))を考慮していないからである。
ここで、ディザパターンパターンの他の評価方法として、「重ね合わせ」パターンを用いたものを定義する。この「重ね合わせ」パターンは、複数のディザパターンを用いて、例えば、濃度64の均一画像を2値化して得られるそれぞれのドットパターンの画素にドット(“1”)が存在するとき、その対応する画素にドットを示すデータ“1”が存在し、かつドットが同じ画素で重なるときはその数に応じたデータが存在するパターンである。たとえば重なりが2である場合は“2”、3である場合には“3”というようにする。そして、以下の図28に示すパターンはそのデータが示す数に応じた濃度で表される。すなわち、この重ね合わせパターンは、異なるプレーンそれぞれのドットの配置を1つのプレーンで示すとともに、ドットの重なりの配置をその重なりの程度とともに示すことができる。
図28は、本実施形態の積層ディザパターンを3つ用いて濃度64の均一画像を2値化して得られるそれぞれのドットパターンを重ねたときの「重ね合わせ」パターンを示す図である。この図28に示すパターンは、本実施形態のディザパターンを用いて記録を行うときの重ね合わせのインクドットのパターンに近いものを表している。従って、これらのパターンからも、重ね合わせのインクドットやそれらの重なりが良好に分散していることがわかる。
図29および図30は、本実施形態の積層ディザパターン、上述した2つの従来例に係るディザパターンをそれぞれ2つおよび3つ重ねたときに、上述のようにして得られる「重ね合わせ」パターンのパワースペクトルを比較して示す図である。
3つの曲線を比較すると、従来の2つのディザパターンによる重ね合わせパターンは、本実施形態の積層ディザパターンによる重ね合わせパターンに比べ、低周波数成分が多くなっている。すなわち、分散が悪くなりパターンのざらつき感が増す。
図31は、本実施形態の積層ディザパターン、上述した2つの従来例に係るディザパターンをそれぞれ2つおよび3つ重ねたときに、上述のようにして得られる「重ね合わせ」パターンのパワースペクトルにおける低周波数成分の量を比較して示す図である。
図に示すように、従来の2つのディザパターンによる重ね合わせパターンは、本実施形態の積層ディザパターンによる重ね合わせパターンに比べ、低周波数成分が多くなっている。すなわち、分散が悪くなりパターンのざらつき感が増すことがわかる。
〔実施形態2〕
階調値に応じてディザパターンを切り替えても良い。すなわち、上記の実施形態のよう
にディザパターンを作成した場合、例えば、3つのプレーンの被覆率がすべて50%のも
のは、比較的きれいになる。しかし、それぞれのプレーンの被覆率が50%、25%,25%のものを比較すると画質が低下することがある。これは、例えばマゼンタ25%の閾値のドット分布は、他の色も総て25%プレーンで印刷したときの斥力の影響を受けながら作られるからである。
そこで、デューティーに応じて、別々のディザパターンを作製しておき切り替えて用いるようにする。具体的には、3つのプレーンを2段階にわけてディザパターンを作成する。まず、第一に、1プレーン255として4分割する。このとき、0〜127、128〜255の2段階にする。そうすると、組み合わせとして、各プレーンの最大グレー値に対して、残りの2プレーンがその半値以上であるかを直ちに計算することができる。
処理に係る画像の階調値の平均値が第1プレーン、第2プレーン、第3プレーン=200、150、50であるとすると、(1,1,0)のディザを選択する。ここで、(1,1,0)のディザとは、初期ドットパターンを、第1プレーンが128/255レベルから作った初期2値画像、第2プレーンも128/255レベルから作った初期2値画像、第3プレーンが64/255レベルから作った初期2値画像でディザパターンをつくったものである。そして、斥力ポテンシャルを適用してドットの配置をしたあと、第1プレーンと第2プレーンで、2ドット間引くのに対し、第3プレーンは1ドット間引くようにする。
〔他の実施形態〕
本発明は、記録装置で用いる複数種類のインク全てについて、上述の実施形態で説明した積層ディザパターンを適用してもよいし、あるいは、記録装置で用いる複数種類のインクの一部のインクの組み合わせについて、積層ディザパターンを適用してもよい。
例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、淡シアン(Lc)、淡マゼンタ(Lm)の6色インクを用いる場合、これら6色全てに対して積層ディザパターンを適用してもよい。この場合、6色分の積層ディザパターンを上記実施形態で説明した製法によって生成することになる。
一方、これら6色のうち一部の色(2色、3色、4色、5色)の組み合わせについて積層ディザパターンを適用してもよい。この場合、2つの形態が考えられる。第1の形態は、上記一部の色分だけ積層ディザパターンを生成し、それ以外の色についてのディザパターン製法を問わない形態である。例えば、6色のうち3色(例えば、CMY)については上述の実施形態で説明した製法によって積層ディザパターンを生成し、それ以外の3色(KLcLm)については周知の製法によってディザパターンを生成する。第2の形態は、上記一部の色分だけ積層ディザパターンを生成し、それ以外の色については上記一部の色のために生成した積層ディザパターンの中から選択したものを割り当てる形態である。例えば、6色のうちCMYの3色については上述の実施形態で説明した製法によって積層ディザパターンを生成し、それ以外の3色(KLcLm)についてはCMYのために生成した積層ディザパターンの中なら選択したものを適用する。
また、上述の実施形態では、異なるインク色の組み合わせについて積層ディザパターンを適用する場合について説明したが、本発明は、この形態に限られるものではない。同じ色で径の異なるドット(吐出体積の異なる同色インク)を用いて記録を行う形態にも適用可能である。この場合、同色で径の異なるドット(例えば、大ドット、小ドット)について上述の積層ディザパターンを適用してもよい。例えば、大シアン、小シアン、大マゼンタ、小マゼンタ、イエロー、ブラックの6種類のドットを用いる場合を考える。この場合、大シアンと小シアン、あるいは大マゼンタと小マゼンタについて、上述の実施形態で説明した製法により積層ディザパターンを生成する。
さらには、同色で径の異なるドット(例えば、大ドット、小ドット)を用いる形態において、異色ドットの組み合わせについては上述の積層ディザパターンを適用し、径の異なる同色ドットの組み合わせについては同じディザパターンを適用する形態であってもよい。例えば、上述の6種類のドットを用いる場合において、大シアンと大マゼンタについて上記実施形態で説明した製法により積層ディザパターンを生成し、且つ小シアンについては大シアンと同じディザパターンを適用し、小マゼンタについては大マゼンタと同じディザパターンを適用するのである。
なお、同色で径の異なるドットの種類数は、大小2種類に限られるものではなく、大中小の3種類であってもよいし、それ以上であってもよい。また、本発明は、色および大きさの少なくとも一方が異なるドットについて適用した場合においてのみ効果を発揮するものではなく、例えば、離間したノズル群から異なるタイミングで吐出される同色インクについて適用しても効果を発揮する。例えば、ヘッドの主走査方向に沿ってCMYMCの順でノズル群が配列されている形態にあっては、離間した同色ノズル群(Cノズル群、Mノズル群)に対して上記製法によって製造した積層ディザパターンを適用する。
また、本発明は、上述した通り、インク以外の液体を用いる形態においても適用可能である。インク以外の液体としては、インク中の色材を凝集あるいは不溶化させる反応液が挙げられる。この場合、少なくとも、ある1種のインクと反応液について、上記実施形態で説明した製法により積層ディザパターンを生成することになる。
なお、本発明では、色材として染料を含有する染料インク、色材として顔料を含有する顔料インク、色材として染料および顔料を含有する混合インクのいずれについても適用可能である。
〔他の実施形態〕
本発明の実施形態におけるディザパターンのずらしによる評価において、そのサイズは、横:128画素×縦:128画素のサイズである。しかし、縦横のサイズが異なるディザパターンもあり得る。このようなパターンについて周波数成分を求めるときは、ディザパターンの縦横サイズを揃えてから周波数成分を求めるようにする。例えば、256×128で縦が短い場合に、縦横サイズを長手方向のサイズ(この例の場合、横方向の256画素)に揃えるため、縦にパターンを繰り返し、256画素×256画素のパターンとして周波数成分を評価する。
その他のサイズの場合も同様であり、縦横サイズを長手方向のサイズに揃えたパターンについて周波数成分を評価する。具体的には、パターンの短手方向のサイズが長手方向のサイズ以上になるまで短手方向にパターンを繰り返し、その中からパターンを切り出し、その切り出したパターンについて評価する。その際、周波数変換を行うときに高速フーリエ変換を使えるよう、縦横サイズは2のn乗(nは正の整数)であることが好ましい。2のn乗でない場合には、長手方向のサイズに最も近い2のn乗を特定し、その特定した2のn乗のサイズで切り出せるようにパターンを縦横に繰り返す。そして、この繰り返しにより生成されたパターンの中から、上記特定した2のn乗のサイズのパターンを切り出し、その切り出したパターンについて評価を行う。例えば、ディザパターンが横:500画素×縦:320画素であった場合について考える。この場合、長手方向のサイズは「500」なので、この「500」に最も近い2のn乗を特定する。最も近い2のn乗は「512」と特定される。そこで、512画素×512画素のパターンを切り出すために、横方向と縦方向に1回ずつパターンを繰り返し、1000画素×640画素のパターンを生成する。こうして生成された1000画素×640画素のパターンの中から512画素×512画素のパターンを切り出し、切り出したパターンについて評価を行う。
100 ホストコンピュータ(PC)
101、J0001 アプリケーション
102 OS
103 プリンタドライバ
104 プリンタ
107 HD
108 CPU
109 RAM
110 ROM
J0005 2値化処理
J0006 印刷データ作成
J0008 マスクデータ変換処理

Claims (5)

  1. コンピュータにおいて実行されるディザパターン製造方法であって、
    第1の色の記録を行うための量子化データを生成するために用いられる第1のディザパターンにおける複数の異なる閾値の配置を決定する第1決定工程と、
    第2の色の記録を行うための量子化データを生成するために用いられる第2のディザパターンにおける複数の異なる閾値の配置を前記第1のディザパターンの複数の異なる閾値の配置と異なるように決定する第2決定工程と、を有し、
    前記第1決定工程は、前記第1のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第1の候補位置パターンにおいて、前記第2のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第2の候補位置パターンに基づいて、前記第1の候補位置パターンと第2の候補位置パターンとを論理積したパターンの低周波数成分が少なくなるように所定数の同じ閾値の配置を定める第1の工程を含み、
    前記第2決定工程は、前記第2のディザパターンに対応した、閾値を配置すべき候補位置の第2の候補位置パターンにおいて、前記第1の工程において所定数の同じ閾値の配置が定められた第1の候補位置パターンに基づいて、前記第1の候補位置パターンと第2の候補位置パターンとを論理積したパターンの低周波数成分が少なくなるように所定数の同じ閾値の配置を定める第2の工程を含み、
    前記第1および第2決定工程は、前記閾値が配置された候補位置を除いたそれぞれ前記第1および第2の候補位置パターンを、それぞれ次の前記第1および第2の候補位置パターンとして、前記複数の異なる閾値ごとに順次、それぞれ前記所定数の同じ閾値の配置を定める前記第1、第2の工程を繰り返す工程を含むことを特徴とするディザパターン製造方法。
  2. 前記第1および第2決定工程はそれぞれ、1つの閾値について前記第2および第1の候補位置パターンに基づいて配置を定め、次の1つの閾値について前記第2および第1の候補位置パターンから前記1つの閾値が配置された候補位置を除いたそれぞれのパターンに基づいて配置を定める処理を繰り返すことにより、前記所定数の同じ閾値の配置を定めることを特徴とする請求項1に記載のディザパターン製造方法。
  3. 前記繰り返す工程における最初の第1および第2の候補位置パターンのそれぞれは、閾値を配置可能な位置のうち100%に満たない位置に候補位置が定められており、前記最初の第1の候補位置パターンの候補位置の配置は、前記最初の第2の候補位置パターンにおける候補位置の配置に基づいて定められ、
    前記最初の第2の候補位置パターンの候補位置の配置は、前記最初の第1の候補位置パターンにおける候補位置の配置に基づいて定められていることを特徴とする請求項1に記載のディザパターン製造方法。
  4. 前記第1決定工程における前記閾値の配置を定める工程は、その閾値を配置するとしたときに、その候補位置と、当該第1の候補位置パターンにおける他の候補位置および前記第2の候補位置パターンにおける他の候補位置との間で、候補位置ごとに斥力ポテンシャルを計算する工程と、前記斥力ポテンシャルが計算されたそれぞれの候補位置について、斥力ポテンシャルが最小となる候補位置に閾値を配置する工程を含み、
    前記第2決定工程における前記閾値の配置を定める工程は、その閾値を配置するとしたときに、その候補位置と、当該第2の候補位置パターンにおける他の候補位置および前記第1の候補位置パターンにおける他の候補位置との間で、候補位置ごとに斥力ポテンシャルを計算する工程と、前記斥力ポテンシャルが計算されたそれぞれの候補位置について、斥力ポテンシャルが最小となる候補位置に閾値を配置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のディザパターン製造方法。
  5. 請求項1に記載の製造方法で製造されたディザパターンを用いて量子化処理を行う手段を具えたデータ処理装置。
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