JP2000059626A - 閾値マトリックス、及びそれを使用した階調再現方法とその装置 - Google Patents

閾値マトリックス、及びそれを使用した階調再現方法とその装置

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JP2000059626A
JP2000059626A JP11155106A JP15510699A JP2000059626A JP 2000059626 A JP2000059626 A JP 2000059626A JP 11155106 A JP11155106 A JP 11155106A JP 15510699 A JP15510699 A JP 15510699A JP 2000059626 A JP2000059626 A JP 2000059626A
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Takashi Suzuki
隆史 鈴木
Keiji Okinaka
啓二 沖中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型のマスクでドット分布の一様性に優れた
高画質な画像を得ることができるとともに、高精細プリ
ンタにおいてもマスクサイズを大きくする必要が無く、
マスクを記憶しておくためのメモリ容量を小さくするこ
とができる閾値マトリックス、及びそれを使用した階調
再現方法とその装置を提供する。 【解決手段】 閾値マトリックスにより階調処理され生
成されるドットパターンが、(1)各要素マスクに対応す
る各要素画素区画内のドットの分布が全階調で全く同じ
となる要素画素区画の組を持ち、(2)1階調目以降の低階
調のうちのいずれかの階調において弱い不規則性、また
は、擬似周期性が導入され、(3)すべての階調で、すべ
ての要素画素区画内のドットの数が等しく、 (4)4n (n
は整数) 階調毎に、各要素画素区画を四等分した大きさ
を持つ四つの部分要素画素区画内のドットの数がすべて
等しくなるように、閾値マトリックスを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は閾値マトリックス、
及びそれを使用した階調再現方法とその装置に関し、特
に入力画像データを二値または多値のデータに階調処理
するための閾値マトリックス、及びそれを使用した階調
再現方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、実用的な階調再現方法には、大別
して、誤差拡散法とマスク法とがあった。マスク法と
は、基本的には、二値化の際に原画の画素と閾値マトリ
ックスの要素とを 1対1 に対応させて出力画の画素の出
力値を決める方法である。
【0003】これに対し、誤差拡散法は、個々の画素の
出力値を、既に決められた出力値が持つ原画との間に生
じた誤差を取り戻すよう計算しながら決めてゆくので、
マスク法に比べ、画質は良いが処理速度が遅くなり、高
速のプロセッサーを用いても、現状でマスク法の 3ない
し 5倍程度の時間を必要とする。
【0004】以前から知られたマスク法としての組織的
ディザ法には、大別して集団ドット(clustered-dot)デ
ィザ法と分散ドット(dispersed-dot)ディザ法とがある
(R.Ulichney, Digital Halftoning (MIT Press, Cambri
dge, Massachusetts) 1987))。
【0005】今から10年程前、プリンタの精細度がまだ
低く、平均的には 300〜500dpi程であった頃は、画質へ
の要求度が低い場合は分散ドットディザ法、高い場合は
誤差拡散法が用いられていた。その理由は、分散ドット
ディザ法では、出力画像の低階調部分などでマスクサイ
ズを周期とする周期的パターンが目立ったり、また表示
したい画像に周期性パターンが含まれている場合、モア
レが発生することがあるなど、画質は必ずしも良好では
なかったからである。集団ドットディザ法は階調によら
ずマスクサイズを周期とする周期的パターンとなり、階
調数が上がるに連れ、集団としてのドットの大きさが大
きくなる。従って、もともと精細度の高い印刷分野で用
いられて来ており、精細度が低い場合には適さない。
【0006】実際に、出力画像が肉眼で観測される場
合、人間の眼の明視の距離における周波数応答特性に
は、1 lp(line pairs)/mmあたりにピークがあり、分解
限界は、7lp/mm程度と言われているので、ドットとドッ
トの間隔のみに関して言えば 0.14mm程度が分解出来る
限界になる。分散ドットディザ法では、再現すべき階調
数を256階調とすると、マスクサイズは 16×16であるか
ら、画像空間に直すと、300dpiでは1.4mm角、500dpiで
は 0.8mm角となり、入力画像に一様低階調の部分がある
と、出力画像には、一つのマスクが作る低階調での特徴
あるドット分布が繰り返し現れるので、眼の感度が高い
1mm前後の周期を持つその周期性パターンは虚像として
十分観測されることになる。
【0007】また、分散ドットディザ法では、128 階調
目でのドットパターンを最も高い周波数として、各階調
のドットパターンの周期性が高いので入力画像にそれら
と同程度の周期を持つ周期性パターンがあると、それら
の差の周波数を持つ周期性パターンとしてのモアレが、
肉眼で感知しやすい1mm前後から数mm程度の周期構造を
持つ虚像として観測される。このようなモアレを別にす
れば、組織的ディザ法のマスク一枚のみにより生成され
るパターンが繰り返されることによる周期性パターンの
周期を目の分解能と同程度にするには、2860dpiのプリ
ンタが必要となる。
【0008】誤差拡散法では、誤差の拡散のさせかたに
いろいろな方式があったが、Ulichney(前掲書、§8.3.
1、p.268、及び Dithering with Blue Noise, Proc. IE
EE, vol. 76, No. 1, 1988, p. 56)により、摂動誤差拡
散法が、各階調で生成された二値化パターン(ドットパ
ターン)の空間周波数スペクトルが青色ノイズ特性を持
つため、視覚的に優れていることが示された。そのよう
な青色ノイズパターンは、非周期的で相関のない構造を
持ち、低周波数の粒状性がないという特徴を持つ(Ulich
ney、前掲書、p.233)。
【0009】スペクトル空間での青色ノイズの特性と、
実空間における青色ノイズパターンの特徴との対応関係
を図 68 に示す。同図において、スペクトル空間で低周
波数成分が少ないことは、実空間ではドットパターンの
粒状性が少ないことに対応し、スペクトル空間で非周期
的であることは、実空間では、組織的ディザ法で見られ
るような、マスクサイズを周期とする周期的パターン
や、入力画像との干渉で生ずるモアレなどの虚像が発生
しないことに対応する。即ち、視覚的に好ましいドット
パターンであるためにはスペクトル空間で低周波数成分
が少ないことと、非周期的であることとの両者が必須で
ある。従って、Ulichneyにより示されたこの理論体系(s
cheme)では、対偶として、青色ノイズでなければ視覚的
に好ましくはないと言うことと、その逆とが成立するこ
とになる。
【0010】この結果に基づいて、処理速度の速いマス
ク法で青色ノイズパターンを実現する方法が考案され始
めた。先ず、各階調毎に青色ノイズマスクを持つ方法
(USP4,920,501、USP 5,214,517)が考案され、次いで閾
値マトリックスとしての一枚のマスクのみを用いる青色
ノイズマスク法(特許公報 第2622429号、USP 5,111,31
0、USP 5,477,305等)が考案された。さらには、空所/集
団(void and cluster)法 (USP 5,535,020)や、その改良
技術(USP 5,317,418)も考案された。
【0011】青色ノイズマスク法も図68に示された理
論体系に基づく二値化法である。同方法に関わるすべて
の発明 (特許公報 第2622429号、USP 5,111,310、USP
5,323,247、USP 5,341,228、USP 5,477,305、USP 5,54
3,941) に記載されているように、同方法により生成さ
れる青色ノイズパターンの持つ青色ノイズ特性とは、任
意の階調に設定した場合のドットの出力パターン (ドッ
トパターン) が局所的に非周期的(locally aperiodic)
かつ等方的(isotropic)で低周波数成分が少ないことを
言う。また、任意の階調におけるドットの分布が予め定
められた一定の分布を全く持たず、マスク作成のアルゴ
リズムの持つランダム性にのみ委ねられるという意味で
非決定論的であるため、青色ノイズ特性を持つドットの
分布を、ランダム(random)かつ非決定論的(non-determi
nistic)で非白色ノイズ(non-white noise)特性を持つと
言うこともできる( USP 5,111,310)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ここで注意しなければ
ならないことは、図68の理論体系は、入力信号に応じ
て実時間的に二値化処理をした出力信号を出力する誤差
拡散法において構築されているので、基本的に出力画面
の大きさによらずに青色ノイズ特性を持つドットの分布
を生成出来ることである。しかし、マスク法の場合は、
一定階調の入力画像に対し、マスクの大きさと出力装
置、例えばプリンタ、の精細度とから決まる大きさを持
った同じドットパターンが、出力画面上に繰り返し周期
的に現れるという誤差拡散法にない極めて強い周期性を
必ず持つことになり、基本的に非周期的(等方的)である
という青色ノイズ特性の理論体系と原理的に矛盾すると
いう重大な課題を持つ。先に示した青色ノイズ特性に関
わる種々のマスク法においては、この矛盾点を解消する
具体的な条件に関する開示は全くなされていない。
【0013】青色ノイズマスク法の持つ上記基本的問題
点と青色ノイズマスク法固有の問題点とから来る該方法
の限界を以下に具体的に示す。
【0014】上記方法が発明された時期、プリンタの精
細度は平均して 300〜500dpi 程であった(特許公報 第2
622429号、USP 5,111,310、USP 5,323,247、USP 5,341,
228、USP 5,477,305、USP 5,543,941)。この発明により
開示された青色ノイズマスクの作成法では、階調数を25
6とすると、先ず中央の 128階調目の青色ノイズパター
ンを作成する。次ぎに 128階調目より下の階調のドット
パターンを作成する系統と128階調目より上の階調のド
ットパターンを作成する系統とに分け、次々とそれぞれ
の系統における階調のドットパターンを作成してゆく。
全階調のドットパターンが決まれば全閾値が定まりマス
クが完成する。その際、一つ前の階調までにドットが打
たれてしまっている位置には新たなドットが打てないの
で、中央の階調から離れれば離れるほど、ドットの位置
を選択する自由度が減って行き、良好な青色ノイズパタ
ーンが得られにくく成る。図69、70 に、入力画像
の階調数を256、出力画面サイズを256×256画素とした
ときの組織的ディザ法の1階調目(図69)と青色ノイズ
マスク法の 1階調目(図70)を示す。因みに集団ドット
ディザ法と分散ドットディザ法の1階調目のドットパタ
ーンは同一である。分散ドットディザ法に比べ、青色ノ
イズマスク法の低階調におけるドットの分布の一様性の
悪さが歴然としていることがわかる。
【0015】青色ノイズマスク法において、中央の階調
で最初の青色ノイズパターンを用意することを止め、低
階調、例えば 1階調目で青色ノイズパターンを用意すれ
ば、低階調でより良好な青色ノイズパターンが得られる
はずである。そのようにした場合、今度は、高階調にな
ればなる程特性が悪くなり、255階調の特性の悪さは中
央の階調から作成し始めた場合の倍程度悪くなることに
なる。このように、この方法において中央の階調から始
めるのは、全階調における特性のバランスを考慮したか
らであり、従って低階調で良好な青色ノイズパターンが
得られにくいのは、青色ノイズマスク法固有の問題点で
ある。
【0016】更に、青色ノイズマスク法では、プリンタ
の精細度が上がると、青色ノイズマスク法の持つ、先に
示した原理上の問題点から来る限界が明らかとなる。即
ち、青色ノイズマスク法で良好な青色ノイズ特性を得る
ためにはプリンタの精細度が上がる程マスクが大型化す
ることである。さらに、600〜700dpi から 1200dpi程度
へとプリンタが高精細化するにつれ、分散ドットディザ
法固有の周期的パターンが細かくなり、視覚的に感知し
にくくなるので、同方法と比べたとき、青色ノイズマス
ク法における低階調でのドット分布の一様性の悪さが目
立つようになるという、同方法固有の問題点も一層顕著
に現れることになる。
【0017】このように、従来の青色ノイズマスク法で
は、低階調におけるドットの分布の一様性が悪いといっ
た欠点があり、更にプリンタの精細度があがると、一様
性の悪さが目立つので、それをなくすためには大きなサ
イズのマスクが必要となり、メモリの容量が大きくなっ
てしまうといった欠点があった。
【0018】本発明は上述した従来技術の課題を解決す
るものであり、小型のマスクでドット分布の一様性に優
れた高画質な画像を得ることができるとともに、高精細
プリンタにおいてもマスクサイズを大きくする必要が無
く、マスクを記憶しておくためのメモリ容量を小さくす
ることができる閾値マトリックス、及びそれを使用した
階調再現方法とその装置の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め本発明の階調再現方法は、原画の各画素と閾値マトリ
ックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応させて出力画
の個々の画素における濃度を二値あるいは多値で表現す
る階調再現方法において、基準となる大きさの画素区画
より小さいサイズのマスクを用いて前記基準となる大き
さの画素区画内に生成するドットパターンがすべての階
調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、入力画像を階調処
理し、およそ600dpi 以上の精細度を持つ出力装置によ
り出力した場合に、出力画像に、視覚的に好ましくない
程のコントラストを有するモアレやマスク自体に起因す
る一定の繰り返しパターン等の虚像が発生しないことを
特徴とする。
【0020】又本発明の階調再現方法は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現方法において、前記マスク単独
により生成されるドットパターンが、すべての階調で非
青色ノイズ特性を持ち、かつ、出力画像に、視覚的に好
ましくない程のコントラストを有するモアレやマスク自
体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像が発生し
ないことを特徴とする。
【0021】又本発明の階調再現方法は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現方法において、前記マスク単独
により生成されるドットパターンの二次元空間周波数ス
ペクトルが、すべての階調でマスクの持つ周期性に起因
する複数の孤立スペクトルを持つと共に、複数の階調
で、該階調のドットの分布に弱い不規則性(摂動)を導入
し、一次元半径方向のスペクトルに低周波数成分の少な
いノイズ成分を持たせることにより、階調処理をした出
力画像に、視覚的に好ましくない虚像が発生しないこと
を特徴とする。
【0022】又本発明の階調再現方法は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現するために、同一の閾値配列を持った比較的
小規模の閾値マトリックスを原画全体に対応して二次元
的かつ規則的に配列して用いる階調再現方法において、
該マスクが、分散ドットディザ法のマスクと同じ大きさ
のマスク(要素マスク)を複数並べた大きさを持ち、か
つ、該マスクにより生成されるドットパターンが、
(1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドッ
トの分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を
持ち、(2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調
において弱い不規則性、または、擬似周期性が導入さ
れ、(3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のド
ットの数が等しく、(4)4n (n は整数) 階調毎に、各要
素画素区画を四等分した大きさを持つ四つの部分要素画
素区画内のドットの数がすべて等しくなる、ことを特徴
とする。
【0023】又本発明の階調再現装置は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現装置において、閾値マトリック
スを記憶する記憶手段と、前記閾値マトリックスの値を
閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に比較する比
較手段と、前記比較手段の比較結果に応じて、二値ある
いは多値化されたドットパターンを出力する出力手段と
を有し、前記閾値マトリックスは、そのサイズは基準と
なる大きさの画素区画より小さいサイズであり、前記基
準となる大きさの画素区画内に生成されるドットパター
ンがすべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、入
力画像を階調処理し、およそ600dpi 以上の精細度を持
つ出力装置により出力した場合に、出力画像に、視覚的
に好ましくない程のコントラストを有するモアレやマス
ク自体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像が発
生しないことを特徴とする。
【0024】又本発明の階調再現装置は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現装置において、閾値マトリック
スを記憶する記憶手段と、前記閾値マトリックスの値を
閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に比較する比
較手段と、前記比較手段の比較結果に応じて、二値ある
いは多値化されたドットパターンを出力する出力手段と
を有し、前記閾値マトリックスは、前記閾値マトリック
ス単独により生成されるドットパターンが、すべての階
調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、出力画像に、視覚
的に好ましくない程のコントラストを有するモアレやマ
スク自体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像が
発生しないことを特徴とする。
【0025】又本発明の階調再現装置は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現装置において、閾値マトリック
スを記憶する記憶手段と、前記閾値マトリックスの値を
閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に比較する比
較手段と、前記比較手段の比較結果に応じて、二値ある
いは多値化されたドットパターンを出力する出力手段と
を有し、前記閾値マトリックスは、単独の閾値マトリッ
クスにより生成されるドットパターンの二次元空間周波
数スペクトルが、すべての階調で閾値マトリックスの持
つ周期性に起因する複数の孤立スペクトルを持つと共
に、複数の階調で、該階調のドットの分布に弱い不規則
性(摂動)を導入し、一次元半径方向のスペクトルに低周
波数成分の少ないノイズ成分を持たせることにより、階
調処理をした出力画像に、視覚的に好ましくない虚像が
発生しないことを特徴とする。
【0026】又本発明の階調再現装置は、原画の各画素
と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応
させて出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは
多値で表現する階調再現装置において、閾値マトリック
スを記憶する記憶手段と、前記閾値マトリックスの値を
閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に比較する比
較手段と、前記比較手段の比較結果に応じて、二値ある
いは多値化されたドットパターンを出力する出力手段と
を有し、前記閾値マトリックスは、分散ドットディザ法
のマスクと同じ大きさのマスク(要素マスク)を複数並べ
た大きさを持ち、かつ、生成されるドットパターンが、
(1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドット
の分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を持
ち、(2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調に
おいて弱い不規則性、または、擬似周期性が導入され、
(3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のドット
の数が等しく、(4)4n (n は整数) 階調毎に、各要素画
素区画を四等分した大きさを持つ四つの部分要素画素区
画内のドットの数がすべて等しくなる、ことを特徴とす
る。
【0027】又本発明の閾値マトリックスは、原画の各
画素における濃度を二値あるいは多値のデータに変換す
る際に用いられる閾値マトリックスにおいて、そのサイ
ズは基準となる大きさの画素区画より小さいサイズであ
り、前記基準となる大きさの画素区画内に生成されるド
ットパターンがすべての階調で非青色ノイズ特性を持
ち、かつ、入力画像を階調処理し、およそ600dpi 以上
の精細度を持つ出力装置により出力した場合に、出力画
像に、視覚的に好ましくない程のコントラストを有する
モアレやマスク自体に起因する一定の繰り返しパターン
等の虚像が発生しないことを特徴とする。
【0028】又本発明の閾値マトリックスは、原画の各
画素における濃度を二値あるいは多値のデータに変換す
る際に用いられる閾値マトリックスにおいて、前記閾値
マトリックス単独により生成されるドットパターンが、
すべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、出力画
像に、視覚的に好ましくない程のコントラストを有する
モアレやマスク自体に起因する一定の繰り返しパターン
等の虚像が発生しないことを特徴とする。又本発明の閾
値マトリックスは、原画の各画素における濃度を二値あ
るいは多値のデータに変換する際に用いられる閾値マト
リックスにおいて、単独の閾値マトリックスにより生成
されるドットパターンの二次元空間周波数スペクトル
が、すべての階調で閾値マトリックスの持つ周期性に起
因する複数の孤立スペクトルを持つと共に、複数の階調
で、該階調のドットの分布に弱い不規則性(摂動)を導入
し、一次元半径方向のスペクトルに低周波数成分の少な
いノイズ成分を持たせることにより、階調処理をした出
力画像に、視覚的に好ましくない虚像が発生しないこと
を特徴とする。
【0029】又本発明の閾値マトリックスは、原画の各
画素における濃度を二値あるいは多値のデータに変換す
る際に用いられる閾値マトリックスにおいて、分散ドッ
トディザ法のマスクと同じ大きさのマスク(要素マスク)
を複数並べた大きさを持ち、かつ、生成されるドットパ
ターンが、(1)各要素マスクに対応する各要素画素区画
内のドットの分布が全階調で全く同じとなる要素画素区
画の組を持ち、(2)1階調目以降の低階調のうちのいずれ
かの階調において弱い不規則性、または、擬似周期性が
導入され、(3)すべての階調で、すべての要素画素区画
内のドットの数が等しく、(4)4n (n は整数) 階調毎
に、各要素画素区画を四等分した大きさを持つ四つの部
分要素画素区画内のドットの数がすべて等しくなる、こ
とを特徴とする。
【0030】又本発明の記憶媒体は、原画の各画素と閾
値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応させ
て出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは多値
で表現する階調再現処理を制御する制御プログラムをコ
ンピュータ読み出し可能に記憶する記憶媒体であって、
基準となる大きさの画素区画より小さいサイズであり、
前記基準となる大きさの画素区画内に生成されるドット
パターンがすべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、か
つ、入力画像を階調処理し、およそ600dpi 以上の精細
度を持つ出力装置により出力した場合に、出力画像に、
視覚的に好ましくない程のコントラストを有するモアレ
やマスク自体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚
像が発生しない閾値マトリックスと、前記閾値マトリッ
クスの値を閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に
比較して、前記比較結果に応じて、二値あるいは多値化
されたドットパターンを出力するよう制御するモジュー
ルを含むことを特徴とする。
【0031】又本発明の記憶媒体は、原画の各画素と閾
値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応させ
て出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは多値
で表現する階調再現処理を制御する制御プログラムをコ
ンピュータ読み出し可能に記憶する記憶媒体であって、
前記閾値マトリックス単独により生成されるドットパタ
ーンが、すべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、か
つ、出力画像に、視覚的に好ましくない程のコントラス
トを有するモアレやマスク自体に起因する一定の繰り返
しパターン等の虚像が発生しないことを特徴とする閾値
マトリックスと、前記閾値マトリックスの値を閾値とし
て、原画の各画素の濃度と画素毎に比較して、前記比較
結果に応じて、二値あるいは多値化されたドットパター
ンを出力するよう制御するモジュールを含むことを特徴
とする。
【0032】又本発明の記憶媒体は、原画の各画素と閾
値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応させ
て出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは多値
で表現する階調再現処理を制御する制御プログラムをコ
ンピュータ読み出し可能に記憶する記憶媒体であって、
単独の閾値マトリックスにより生成されるドットパター
ンの二次元空間周波数スペクトルが、すべての階調で閾
値マトリックスの持つ周期性に起因する複数の孤立スペ
クトルを持つと共に、複数の階調で、該階調のドットの
分布に弱い不規則性(摂動)を導入し、一次元半径方向の
スペクトルに低周波数成分の少ないノイズ成分を持たせ
ることにより、階調処理をした出力画像に、視覚的に好
ましくない虚像が発生しない閾値マトリックスと、前記
閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素の濃
度と画素毎に比較して、前記比較結果に応じて、二値あ
るいは多値化されたドットパターンを出力するよう制御
するモジュールを含むことを特徴とする。
【0033】又本発明の記憶媒体は、原画の各画素と閾
値マトリックス(マスク)の各要素とを 1対1 に対応させ
て出力画の個々の画素における濃度を二値あるいは多値
で表現する階調再現処理を制御する制御プログラムをコ
ンピュータ読み出し可能に記憶する記憶媒体であって、
分散ドットディザ法のマスクと同じ大きさのマスク(要
素マスク)を複数並べた大きさを持ち、かつ、生成され
るドットパターンが、(1)各要素マスクに対応する各要
素画素区画内のドットの分布が全階調で全く同じとなる
要素画素区画の組を持ち、(2)1階調目以降の低階調のう
ちのいずれかの階調において弱い不規則性、または、擬
似周期性が導入され、(3)すべての階調で、すべての要
素画素区画内のドットの数が等しく、(4)4n (n は整数)
階調毎に、各要素画素区画を四等分した大きさを持つ
四つの部分要素画素区画内のドットの数がすべて等しく
なる、閾値マトリックスと、前記閾値マトリックスの値
を閾値として、原画の各画素の濃度と画素毎に比較し
て、前記比較結果に応じて、二値あるいは多値化された
ドットパターンを出力するよう制御するモジュールを含
むことを特徴とする。また本発明の階調再現装置は、原
画の各画素と閾値マトリックス(マスク)の各要素とを1
対1に対応させて出力画の個々の画素における濃度を二
値あるいは多値で表現する階調再現装置であって、閾値
マトリックス単独により生成されるドットパターンの非
等方性において、すべての階調で該非等方性の平均値が
3dB以上を示し、極大値が10dB以上を示すスペクトル
を持ち、かつ、出力画像に、視覚的に好ましくない程の
コントラストを有するモアレやマスク自体に起因する一
定の繰り返しパターン等の虚像が発生しないことを特徴
とする。
【0034】これら本発明によれば、小型のマスクでド
ット分布の一様性に優れた高画質な画像を得ることがで
きるとともに、高精細プリンタにおいてもマスクサイズ
を大きくする必要が無く、マスクを記憶しておくための
メモリ容量を小さくすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を説明する。
【0036】本発明は、従来型のインクジェットプリン
タやバブルジェット(BJ)プリンタなどのように、最も単
純な場合、出力画像の画素毎にインクの液滴を紙に打つ
か打たないかを定めて画像を形成する装置において中間
調を表現するために適用でき、同様に、各画素につい
て、明か暗かで画像を表示する類の液晶表示装置等にお
いても中間調を表現するために好適に用いられる。
【0037】より一般的には、連続階調の白黒又はカラ
ー画像を濃度に関して二値あるいは多値に変換して出力
するインクジェットプリンタ等をはじめレーザービーム
プリンタ、ファクシミリや印刷機などの機器においても
中間調を好ましく表現するために用いられる。
【0038】さらに、本発明は、プリンタ等の出力装置
の持つ精細度がおよそ600dpi以上、1200dpi程度と高く
なればなる程、より効果的に用いられる。
【0039】本実施の形態の理解を容易にするため、従
来の青色ノイズマスク法の課題を更に詳細に説明し、そ
の後実施の形態のポイントを説明する。
【0040】課題で述べた大型の青色ノイズマスクを必
要とする理由を以下に説明する。
【0041】再現すべき階調数を 256とし、精細度が60
0dpiの市販のインクジェットプリンタを用いて実験を行
なった。開示された青色ノイズマスクの作成法(USP 5,1
11,310等、及び、T. Mitsa and K.J.Parker, J. Opt.
Soc. Am., 9, 1920-1929 (1992)) に従って、大きさが2
56×256(画面上では10.8mm角)、128×128(画面上で5.4m
m角)、64×64(画面上で2.7mm角)の 3種類の青色ノイズ
マスクを試作した。先ず視覚的に評価することとし、対
象となる画像は、大きさが18.5mm角で、個々の画面が一
定の階調を持ち、濃度が階段状に変化するグレースケー
ルとした。そのようにして試作したドットパターンを、
マスクの大きさの順に図71(256×256)、図72(128×
128)、図73(64×64) に示した。それぞれ、上段左か
ら右に 30、31、32階調目、中段左から右に40、41、42
階調目、下段左から右に50、51、52階調目のドットパタ
ーンである。ただし、同図はプリンタで打ち出した原画
の複写機によるコピーであり、コピー段階での非線形特
性のため濃淡のコントラストが若干変化している。
【0042】256×256 の大きさの青色ノイズマスクは
一画面あたりマスク約4個分を含んでいるので、10.8mm
角の青色ノイズパターンが約4個弱含まれているはずで
あるが、図71でわかるように不定型のムラはあるもの
の周期的パターンは感知されず、他の階調でも同様であ
った。
【0043】しかし、128×128の大きさのマスクでは、
図72 に見られるように多くの階調でマスク 9個分の
パターンが二次元的に繰り返されている様子が感知さ
れ、実用には供し難い程度であった。
【0044】64×64 の大きさのマスクでは、図73 に
見られるようにより多くの階調でこの現象がさらに顕著
に現れ、本来ならば一様にグレーとして見られるべき個
々の画面に、2.7mm 周期の格子状の模様がはっきり感知
された。マスクの大きさが小さくなると、その中に生じ
るドットの分布のムラの変化率が相対的に大きくなり、
そのムラの変化の繰り返しが、ちょうど人間の目に感知
し易い数mmの周期となるからである。
【0045】以上の結果から、600dpiのインクジェット
プリンタを用いた場合の青色ノイズマスクの最適な大き
さは、256×256 であることが分かった。
【0046】プリンタの精細度が 300〜500dpi と低い
場合、例えば、具体的に 300dpiの場合には、分散ドッ
トディザ法におけるマスク自体の持つ規則的パターンに
よる虚像がより顕著になる反面、128×128の大きさの青
色ノイズマスクに関しては図72に示されたような虚像
はより感知し難くなった。しかし、プリンタの精細度が
600dpiに上がると、マスク一枚分が作るドットパターン
の大きさが小さくなり、分散ドットディザ法の周期的虚
像がより感知し難くなる一方で、逆に図72に見られる
ように、青色ノイズマスク法による虚像はより感知し易
くなることが明らかとなった。即ち、青色ノイズマスク
法で良好なドットパターンを得るためにはプリンタの精
細度が上がる程大型のマスクが必要であることが視覚特
性の面からわかる。
【0047】次ぎに、これらのマスクを用いて生成され
たドットパターンが青色ノイズ特性を持つか否かをスペ
クトル空間で評価した。出力画面サイズを、大きさが 2
56×256のマスクがつくる画面と同じにした。この大き
さは、Ulichney(前掲書、p.54)が誤差拡散法によるドッ
トパターンの一次元周波数特性Pr(fr)(二次元周波数空
間において中心半径 frの輪帯状に区分けした領域内で
平均したパワースペクトルを半径方向 fr を横軸にして
表示)と、非等方性(anisotropy:Ulichney、前掲書 p.5
6)とを調べた際に用いた画面の大きさに等しい。
【0048】Ulichneyは非等方性を誤差拡散法において
次ぎのように定義した。
【0049】
【外1】
【0050】ここで、s2(fr)は一次元パワースペクトル
Pr(fr)の分散、Pr2(fr)はパワースペクトルの自乗であ
る。ただし、誤差拡散法の場合は、同じ階調であって
も、発生させる度にドットパターンが異なるので、256
×256の画面10サンプルのパワースペクトルを計算し、
相互に独立であるとの仮定のもとで足し合わせ、合計を
サンプル数10で割り誤差拡散法におけるパワースペクト
ルと定義する。このとき、非等方性の値は完全に等方的
な場合が ー10dBとなる。ここで、等方的であれば非周期
的であると言えるが、その逆は必ずしも真ではないこと
に注意すべきである。逆の言い方をすれば、周期的であ
れば必ず非等方的となる。先にも示したように、Ulichn
eyにより定められた青色ノイズパターン、従って視覚的
に好ましいパターンであるためには、等方的であること
よりも非周期的で相関のないことが要件となっているこ
とに注意しなければならない。
【0051】Ulichneyの記述(前掲書 §8.2)によれば、
Floyd と Steinbergの誤差拡散法では、いくつかの階調
では等方的で良好なドットパターンが得られるものの多
くの階調におけるドットパターンに上記誤差拡散法特有
の各種の虚像の原因となる強い非等方性が存在する。ス
ペクトルの非等方性を示すグラフ(Ulichney、前掲書、F
ig. 8.8)によれば、階調数g を1に規格化したとき、参
照し得る全7階調で全周波数帯域にわたる非等方性の平
均値が ー6dB以上を示す。また、非等方性の極大値は、
6階調で0dB以上、g =7/8でー2dBを示す。なお、最低周
波数や最高周波数近傍では、ドットの数が少ないため、
非等方性の値自体が大きく変動するので、それらを除外
する必要がある。どれか一つの周波数でも非等方性の値
が0dB以上を示すスペクトルがあれば、そのようなパタ
ーンは特に非等方的 (especiallyanisotropic)であると
する(Ulich-ney、前掲書 p.242)。実際、非等方性の平
均値がー6dB以上でかつ極大値が0dB以上を示す6階調につ
いては、例外なく相関のある虚像(correlated artifac
ts)が認められる。但し、g =7/8では、極大値は0dBに
達してはいないが、平均値のレベルは、ー5.5dBと高く、
弱い虚像が認められる。
【0052】また、Floyd と Steinberg による誤差拡
散法において存在するいくつかの虚像を減少させた Jar
vis らの誤差拡散法においても、高ないし低階調域での
方向履歴現象(directional hysteresis)は増加し、中階
調領域での画素の一層の集団化が起こる(Ulichney、前
掲書、§8.2.1、p.253)。この誤差拡散法においてはFlo
yd と Steinberg による誤差拡散法に比べれば全体的に
非等方性が弱くなっている。因みにJarvis らによる誤
差拡散法では、参照し得る5階調すべてにおいて非等方
性の平均値が ー7dB強からー4dB程度の範囲にあり、平均
するとー6dB程度となっている。非等方性の平均値が ー7
dB強以上でかつ極大値が0dB以上を示す3階調については
例外なく虚像が認められる。従って、両誤差拡散法を通
じて、非等方性の平均値が ー7dB強以上で、極大値が0dB
以上を示すスペクトルがあるドットパターンには例外な
く虚像が認められると言うことができる。
【0053】以上の記載に基づくならば、非等方性の極
大値が0dB以上で平均値が ー7dB強以上となるような誤差
拡散法のドットパターンは、青色ノイズ特性を持つとは
言えず、非青色ノイズ特性を持つとしなければならな
い。なぜなら、Ulichney(前掲書)に基づいて図 68に
示したように、本来、青色ノイズ特性を持つドットパタ
ーンであれば、上記のような虚像は発生しないからであ
る。従って、パワースペクトルのいかんにかかわらず、
非等方性に関する極大値と平均値の値のみに基いて例外
なく非青色ノイズ特性を持つと判定できることになる。
【0054】さらに、非等方性に関する青色ノイズ特性
の限界は、Jarvis らによる誤差拡散法で階調数g =1/8
の場合を参考にするなら、低周波数成分が少ないことを
前提として、非等方性の平均値が -7dB以下となるドッ
トパターンであるとして良かろう。因みに、この階調の
非等方性の極大値はかなり高く-2.5dBである。視覚的に
好ましいg =1/8を青色ノイズ特性の限界に選んだ理由を
以下に示す。g =1/8のパワースペクトルを見るとUlichn
eyの示す青色ノイズの理想的なパワースペクトルの形状
(Ulichney、前掲書p. 238、Fig. 8.3)に極めて近いこ
とがわかる。但し、同図と比較しても、主周波数(Prin
cipal Frequency)fgの位置に極めて高いピークが存在
し、その周波数位置で非等方性も極大値をとる。非等方
性の平均値も-7dBと、この誤差拡散法が示す非青色ノイ
ズ特性の非等方性に関する平均値の下限-7dB強に極めて
近く、比較的高い非等方性を示す。非等方性に関するこ
れらの値がより大きくなるとドットパターンの視覚特性
はかなり急速に悪化し、明らかに非青色ノイズ特性を持
つようになるが、逆に非等方性の平均値が、-7dB以下と
なり、-10dB(等方的)に近づいても、後に示すように
やはり視覚特性が悪化する方向にある。即ち、Jarvis
らの誤差拡散法のこの階調は、結果的に見て、視覚特性
の面から非等方性が最も高いレベルで最適化されている
可能性が極めて高い。非等方性の極大値が非青色ノイズ
特性を示すレベルよりさらに一層高くなっても、分散ド
ットディザ法の場合は、例えば、600dpiのプリンターで
同じくg =1/8(全階調数を256としたとき32階調目)に
おけるドットパターンを作成すればわかるように、視覚
的には極めて好ましく感じられる。だからと言って青色
ノイズ特性を持つわけではない。
【0055】Ulichney (前掲書 p.272、及び Fig. 8.1
5)が、青色ノイズ特性を持つとして具体例を示した単一
の重みを持った確率的摂動誤差拡散法(Perturbed Error
Diffusion with a Stochastic Error Filter with One
Weight)のスペクトルは、階調数g を1に規格化したと
き、上記の図(Fig. 8.15)に示された全ての階調 (g =1/
32, 1/16, 1/8, 1/4, 1/2, 3/4 の 6階調)で以下の条件
を満たすとしている。(1) 非常に低い非等方性 (very l
ow anisotropy)を示す。(2) 平坦な青色ノイズ領域(fla
t blue noise region)を持つ。(3)カットオフ周波数 fg
(cutoff at fg)を持つ。ここで、(1)は非等方性に関
するスペクトル特性、(2)と(3)はパワースペクトルに関
する特性である。従って、青色ノイズ特性を持つか否か
は、非等方性にしろパワースペクトルにしろ、どちらか
一方のスペクトルからだけでは評価できない。ただし、
すでに述べたように、非青色ノイズ特性を持つか否か
は、非等方性の極大値と平均値の値からだけでも判定で
きる。上記青色ノイズの定義に照らし合わせても、非等
方性が特に非等方的とされるレベルであれば、明らかに
上記特性の(1)、「非常に低い非等方性 (very low anis
otropy)を示す。」に反することがわかる。いずれにし
ても、青色ノイズ特性とは、プリンターの解像力やドッ
トパターンの階調数gのいかんに関わりなく、上記(1)〜
(3)のスペクトル特性のみによって定義されていること
がわかる。
【0056】すべての階調で上記 3条件が文字通り満た
されればそのドットパターンは青色ノイズ特性を持つと
言えるが、厳密には、Ulichneyの示した前記摂動誤差拡
散法もg = 1/2 では条件(2)を満たさず、低周波数成分
がかなり多い。その結果、ドットパターンには粒状性が
目立つことになる。しかし、Ulichneyに従い白色ノイズ
と比較すれば、条件(2)からのこの程度のずれは、青色
ノイズ特性として許容される範囲とされることになる。
このように、Ulichneyの定義した青色ノイズ特性に基い
ているため、摂動誤差拡散法は、全ての階調で周期性や
相関のある虚像は厳しく抑制し、モアレが発生するよう
な恐れは皆無ではあるが、粒状性の抑制力は弱いという
特徴を持つことになる。
【0057】前記摂動誤差拡散法では、6階調の内 g =
1/8, 1/4, 7/8 の 3階調での非等方性の値はほぼ全周波
数帯域で −10±2.5dB の範囲にあり、平均値として −
10dBを示すので等方的と言える。しかし、残りの3階調
では、帯域によっては平均値自体が −10dBより大き
く、明らかに非等方性を示し、非等方性の強い階調では
極大値が−4dB、平均値が −7dB程度である。ただし、
それらの非等方性はすべて主周波数fgよりも低周波数帯
域に存在し、パワースペクトルで見ても、特定の周波数
にピークを持つわけではないので、虚像らしきものは感
知されない。先に、青色ノイズ特性の限界を、Jarvis
らによる誤差拡散法で階調数g =1/8の場合に設定した。
摂動誤差拡散法の階調数g =1/8の場合を見ると非等方性
の平均値はほぼ−10dBと良好な等方性を示すが、パワー
スペクトルを見ると低周波数成分が多く、Jarvis らの
誤差拡散法における階調数g =1/8のドットパターンと比
較すると、粒状性は大幅に悪化していることがわかる。
【0058】マスク法で得られたドットパターンは、階
調が同じであれば常に同じパターンが繰り返し得られる
ので、10サンプルを取り平均する操作は不要となる。従
って、非等方性に関する極大値と平均値のそれぞれにつ
いて、誤差拡散法における値とマスク法における値の対
応関係を調べる必要がある。そのため、FloydとSteinbe
rgによる誤差拡散法と Jarvis らの誤差拡散法につい
て、誤差拡散法としてのそれらの値と、10サンプルの中
の個別のサンプルに関するそれらの値との対応関係を調
べた。誤差拡散法でも、実際に眼で見るドットパターン
は個々のサンプルであるから、サンプル毎の非等方性や
パワースペクトルは、視覚特性とより直接的な対応関係
を持つことになる。
【0059】先ず、誤差拡散法での非等方性が、ピーク
値で5dB程度以下の場合には、すべてのサンプルで、個
々のサンプルの非等方性の平均値の、等方性の基準値0
dBからの差の値は、10サンプルを総合した非等方性の平
均値の、基準値 -10dBからの差の値の半分よりは小さい
値を示すことがわかった。このことは、誤差拡散法とマ
スク法とで非等方性を比較する場合、それぞれの平均値
の基準値からの差の値として、マスク法が誤差拡散法の
値の半分の値を示せば、二つの方法の非等方性はほぼ等
しいか、より厳密に言えば、マスク法の非等方性がやや
上回るとして良いことを意味する。次に、誤差拡散法で
特に非等方的とされる極大値0dB(基準値 −10dBに対し
+10dB)が、個々のサンプルではどのような値をとるか
を調べた。結果のみを記すと、10サンプルの中の個別の
サンプルによって値がばらつくが、その範囲は5dB±1dB
=4dB〜6dBの中に収まった。また、誤差拡散法で例外な
く虚像が出る場合の非等方性の平均値は極大値が0dB以
上であるという前提で、基準値−10dBに対し3dB強上の-
7dB強であったから、マスク法でのその平均値は1.5dB強
未満となる。実際にその平均値を10サンプルの各々につ
いて計算したところ最低値は0.6dBとなった。また、青
色ノイズ特性の限界に関して、Jarvis らによる誤差拡
散法で階調数g =1/8の場合を参考に、非等方性の平均値
が -7dB以下、極大値は -2.5dBとなるドットパターンと
定めた。従って、マスク法における青色ノイズ特性の限
界は、非等方性の平均値については1.5dB未満となるド
ットパターンであると言うことになる。実際にこの平均
値を10サンプルの各々について計算したところ最大値は
0.9dBとなった。この値は、非青色ノイズ特性を持つべ
きサンプルの平均値の下限0.6dBを上回っている。極大
値は、10サンプルの中の個別のサンプルについて、2.5d
Bから4dBの範囲でばらつき、平均値は3.2dBであった。
ただし、10サンプル中9サンプルで誤差拡散法としての
非等方性の極大値を持つ周波数としてのfgより低周波数
側で、サンプル毎に異なる周波数に極大値が現われ、そ
の最大値は5.4dBに達した。だからといって虚像が知覚
される訳ではない。
【0060】その理由は次ぎのように考えられる。誤差
拡散法の場合、10サンプルすべてのドットパターンが異
なる。しかも、例えば上記極大値5.4dBを示すスペクト
ルは特定の1サンプルにおいて主周波数fgよりも低周波
数帯域にあり、パワースペクトルで見ても、その周波数
にピークは見あたらない。このことは、その非等方性に
関与するドットの数が非常に少ないことを意味するの
で、虚像は二重に感知し難くなる。従って、個々のパタ
ーンの極大値については、誤差拡散法で極大値を持つ周
波数にのみ注目すれば良い。ただし、数値的には非等方
性が同等であっても、視覚的にはマスク法の場合の方が
虚像が感知され易いという意味で非等方性が強い。なぜ
なら、マスク法では、マスク一枚分に相当する全く同じ
ドットパターンが繰り返されるので、ドット分布の偏り
がより目立つからである。このドット分布の偏りの目立
ち易さは、すでに示したように、マスクの大きさが小さ
くなるほど顕著になる。従って、マスク一枚分のドット
パターンが数値的に誤差拡散法と同等の非等方性を示す
場合でも、以上のような視覚特性を加味した非青色ノイ
ズ特性は、マスク法の方が強く、マスクが小さければ小
さい程一層強いことになる。
【0061】さらに視覚特性との関連で述べるならば、
たとえマスクの大きさが同じであっても、出力装置の精
細度が上がる程、虚像が目立ち易くなる。
【0062】話をもとにもどすと、マスク法において
も、非等方性に関する極大値と平均値の値のみから、例
外なく非青色ノイズと判定できる。誤差拡散法で0dBに
相当する極大値はマスク法では5dB±1dB=4dB〜6dBの範
囲に含まれたから、極大値については4dB以上の値を示
せば非青色ノイズ特性と判定して良いことにはなる。し
かし、Jarvis らの階調数g =1/8における個々のパター
ンの極大値の最大値は4dBであったから、極大値のみ
で言えば、本来青色ノイズであるパターンが非青色ノイ
ズであるための条件を満たすことになる。そのような例
を排除すために、極大値が4dB以上、好ましくは5dB
以上という条件の外に、非等方性の平均値に関する条件
を加えなければならない。ところで、非等方性の平均値
については、非青色ノイズ特性を示す個別サンプルに関
する下限値0.6dBと、青色ノイズ特性の限界を示す誤差
拡散法のサンプルの上限値とが逆転してしまっていた。
従って、確実な判定をするためには、下限値を上限値0.
9dBより上に設定する必要がある。そこで、非等方性の
極大値が3dBで、平均値がほぼ -5.5dBである誤差拡散法
のドットパターンについて個別サンプルの平均値を調べ
たところ、下限が1.2dBとなった。新たにこの値を非青
色ノイズ特性を示すドットパターンに関する非等方性の
平均値の下限とする。なお、非等方性の-5.5dBという平
均値は、極大値が0dBに達していないにも拘わらず弱い
ながらも虚像が見られるという意味で非青色ノイズ特性
を示したFloydとSteinbergの誤差拡散法のg =7/8におけ
る平均値に相当する。このように、マスク法においても
非等方性に関する二つの値にのみ基いてドットパターン
が非青色ノイズ特性を持つという判定を下すことが出来
る。その場合、誤差拡散法での二つの値は、等方的な場
合の基準値を0dBとしたとき、極大値が10dB以上、平均
値が3dB強以上であったが、マスク法では、極大値が4dB
以上、好ましくは5dB以上で、平均値が1.2dB以上という
条件になる。誤差拡散法においてUlichneyが定義した青
色ノイズの3特性のうち、(1) の「非常に低い非等方
性」とは、マスク法においては上記二つの値を基準とし
なければならない。いずれの中間調処理方法にしろ、Ul
ichneyによる青色ノイズ特性の定義に従えば、青色ノイ
ズ特性を持つか否かは、非等方性にしろパワースペクト
ルにしろ、どちらか一方のスペクトルからだけでは判定
できない。個別サンプルが比較的良好な青色ノイズパワ
ースペクトルを示すにも拘わらず、誤差拡散法としての
非等方性の極大値が非青色ノイズであることを示す実例
を以下に示す。Jarvisらの誤差拡散法におけるg = 1/16
の非等方性の極大値は、約1dBを示すので非青色ノイズ
であり、実際、ドットパターンには方向履歴現象による
虚像が存在する。この階調において個別パターンのパワ
ースペクトルを計算したところ、10サンプル中2サンプ
ルで比較的良好な青色ノイズパワースペクトルを示し
た。この事実は、明らかに、マスク法においても青色ノ
イズか否かをパワースペクトルの特性のみでは定義でき
ないことを示す。
【0063】青色ノイズ特性を示す摂動誤差拡散法の場
合では、参照できる 6階調のうち、3階調は等方的、2
階調では、平均値の基準値からの差の値が1dB以下、非
等方性の強い階調でもその値が1.5dB程度であったの
で、マスク法の場合、非等方性の平均値で言えば、それ
が0.8dB未満であれば、摂動誤差拡散法と同等の青色ノ
イズ特性を示すと言うことができよう。
【0064】ところで、青色ノイズマスク法で得られる
ドットパターンは、同方法に関わるすべての発明(特許
公報 第2622429号、USP 5,111,310、USP 5,323, 247、U
SP 5,341,228、USP 5,477,305、USP 5,543,941)に記載
されているように、Ulichneyによる摂動誤差拡散法のそ
れより等方的であるとされる。試作した 3種類の大きさ
の青色ノイズマスクのそれぞれについて、先ずマスク 1
枚分だけのドットパターンを生成してスペクトルを評価
し、次ぎに周波数特性を誤差拡散法と比較する際の基準
サイズである 256×256の画面にドットパターンを生成
してスペクトルを評価した。
【0065】図74 に 128×128の大きさの青色ノイズ
マスク1枚分の32階調目のドットパターンに関する一次
元パワースペクトル、図75 に非等方性(anisotropy)
を示す。
【0066】一次元パワースペクトルは低周波数成分が
少なく、非等方性は全帯域の平均値として 0dB を示す
ので、青色ノイズ特性を持つと言えよう。しかし周波数
毎に見ると、0dB を中心とする振れがあり、非等方性の
高いスペクトルの極大値は4dBを示す。この値自体は、U
lichney により示された摂動誤差拡散法のそれより非等
方的である。他の階調においても同様の特性を示したの
で、128×128の大きさの青色ノイズマスク 1枚分だけの
ドットパターンの非等方性は平均値の意味で摂動誤差拡
散法より等方的である。
【0067】図76 に 128×128の大きさの青色ノイズ
マスクで 256×256の画面に生成した 32階調目のドット
パターンに関する一次元パワースペクトル、図77 に
非等方性を示す。なお、256×256の青色ノイズマスクに
関する値を破線で示した。先ず、破線に注目すると極め
て良好な青色ノイズ特性を示しており、特に非等方性は
0dB±1.5dB の範囲にあり、他の階調においても同様の
特性を示したので、256×256の青色ノイズマスク法は摂
動誤差拡散法より等方的で良好な青色ノイズ特性を持つ
と言える。
【0068】128×128の大きさの青色ノイズマスクに関
しては、一次元パワースペクトルのノイズ成分に鋭いピ
ークを持った孤立的スペクトルが多数乗っており、特に
高周波数領域では孤立的スペクトルのみの様相を呈して
いる。非等方性は、平均値として9dB程度を示し、極大
値として 10dBを越すスペクトルが複数本存在する。分
散ドットディザ法のスペクトルがすべて10dBを越す値を
示すことを考慮すると、この青色ノイズマスクによる25
6×256の画面サイズでのドットパターンは極めて高い非
等方性を示すことになるので、青色ノイズパターンでは
あり得ない。
【0069】以上をまとめると、128×128の大きさの青
色ノイズマスクの場合、マスク1枚分のドットパターン
は非等方性が平均値の意味で 0dBを示すので青色ノイズ
特性を示すと言えようが、256×256の画面に生成したド
ットパターンは、青色ノイズ特性を持たないという結論
を下すことが出来る。
【0070】図78 に 64×64の大きさの青色ノイズマ
スク1枚分の 32階調目のドットパターンに関する一次元
パワースペクトル、図79 に非等方性(anisotropy)を
示す。
【0071】また、図80 に 64×64の大きさの青色ノ
イズマスクで 256×256の画面に生成した 32階調目のド
ットパターンに関する一次元パワースペクトル、図81
に非等方性を示す。256×256の青色ノイズマスクに関
する値を破線で示した。他の階調においても両図と同様
の特性を示した。
【0072】図78 と図79 によれば、64×64の大き
さの青色ノイズマスク1枚のみによるドットパターンは
非等方性が平均値の意味で 0dBを示すので青色ノイズ特
性を示すと言えようが、極大値として4dBを示すスペク
トルが複数本存在するので、青色ノイズマスク法では、
マスクが小さくなる程、ドットパターンの偏りが大きく
なると言える。
【0073】図80 によれば、このマスクにより256×
256の画面に生成したドットパターンは、非等方性の平
均値が14dBにも達し、青色ノイズ特性を持たない。
【0074】青色ノイズ特性とは、本来Ulichney によ
り示された基準サイズ、256×256画素、のドットパター
ンに関して定義されている。この実験での64×64と128
×128の大きさの青色ノイズマスクは、マスク1枚分のド
ットパターンは青色ノイズ特性を示すが、両者共基準サ
イズ内に生成されたドットパターンの周波数特性はこの
定義から外れるので、Ulichney による摂動誤差拡散法
のそれより等方的であるとする明細書(USP5,111,310
等)の記載と異なり青色ノイズ特性を持たない。以上の
スペクトルに関する評価結果と、先の視覚的評価結果と
を突き合わせて見る。
【0075】開示された青色ノイズマスク法により得ら
れた異なる大きさの三枚の青色ノイズマスクの内、マス
クサイズが256×256より小さい場合は、マスク一枚分に
よって生成されるドットパターン自体の等方性が、平均
値の意味で摂動誤差拡散法より良くても、256×256画素
の標準画面サイズ内のドットパターンは極めて強い非青
色ノイズ特性を示したが、視覚的にも、偏りのある小パ
ターンの繰り返しが虚像として感知される結果となっ
た。良好な青色ノイズパターンが得られるのは、等方性
が摂動誤差拡散法を明確に上回る256×256の大きさの青
色ノイズマスクのみであった。
【0076】以上より、マスク一枚分の非等方性が平均
値として等方的であることを示しても、原理上誤差拡散
法と異なり同じパターンが繰り返されるマスク法におい
ては、パターンの規模が小さくなると、ドット分布のわ
ずかな偏り、即ち濃度ムラ、が目に敏感な周波数で繰り
返し現れる結果、視覚的には虚像として感知されること
がわかった。
【0077】青色ノイズ特性に関わる理論体系を示した
図68では、対偶において、「青色ノイズスペクトルを
持たなければ、ドットパターンは視覚的に好ましくはな
い」ことを示している。即ち、青色ノイズマスク法も、
基本的には図68に示された理論体系に従っているの
で、256×256 の基準となる大きさの画面より相当に小
さなマスクの場合は、その対遇に忠実に従っていたこと
がわかる。
【0078】以上の検討結果より誤差拡散法で定義され
た青色ノイズ特性を青色ノイズマスク法で実現する際の
周期性に関する原理的矛盾を解決するためには、少なく
とも摂動誤差拡散法の等方性より良好な等方性を得るた
めに、自由度の大きい大型のマスクを用いなければなら
ないということが明確に証明された。分散ドットディザ
法のマスクサイズは16×16=256であったから、600dpiの
プリンタでの実用的な青色ノイズマスクサイズ 256×25
6は、その 256倍もの大きさとなる。
【0079】256×256のマスクサイズの青色ノイズマス
クで生成した256×256の画面サイズでのドットパターン
の非等方性は、摂動誤差拡散法より良好な値を示した。
しかし理論的には、そのドットパターンに関し、それよ
り大きい、例えば 512×512の画面サイズで非等方性を
評価すると 10dBを越える値を示し、青色ノイズ特性を
持たない。それにも関わらず視覚的には虚像が感知され
ないので、図68に示した青色ノイズ特性の理論体系に
従ってはいないかのように見える。
【0080】このような場合には、図68の理論体系
は、ドットパターンがマスク法のような周期性を持たな
い誤差拡散法に関し定められたものであって、その周波
数特性を評価する際の妥当な大きさとして256×256の画
面サイズを用いたということを想起する必要がある。即
ち、図68の理論体系は、それをマスク法に適用した場
合は、256×256の画面サイズのドットパターンでスペク
トルを評価して、摂動誤差拡散法より優れた等方性、一
様性を持てば、それが目に敏感ではない長周期で繋ぎ目
なしに繰り返されても視覚的に感知されないことを示し
ているとするべきである。
【0081】逆に言えば、摂動誤差拡散法より高い非等
方性、即ちドット分布の偏りを持つドットパターンは、
その偏りが視覚的に敏感な間隔で分布すれば、虚像とし
て感知され得ることを示していることになる。600dpiの
プリンタでの実験はまさにこの事実を証明したことにな
る。
【0082】ところで、開示された別の青色ノイズマス
クの作成法(USP 5,477,305)では、入出力特性の非線形
の写像を可能にするため、累積型分布関数を変更するの
に十分な自由度を持つ大きさ、例えば、256階調では 25
6×256のマスクを必要とすることが述べられている。他
方、すでに示したように、青色ノイズマスク法の発明で
は、Ulichneyの示した摂動誤差拡散法よりも等方的な青
色ノイズパターンが得られると記されている。しかし、
上記実験結果によれば、プリンタの精細度が同方法の発
明当時平均的に想定された内の最高の精細度である 500
dpiより若干高く 600dpiとなった場合においてそのよ
うな青色ノイズパターンを得るには、自由度の大きい25
6×256という大型のマスクを必要としたことになる。
【0083】また、600dpiのプリンタで 256×256の青
色ノイズマスクが実用的であるからと言って1200dpiの
プリンタで実用になるという保証はない。実際に、超高
精細レーザープリンタ(Cymbolic Sciences Internatio
nal Inc.製)を用いて実験を行なった。精細度は1016dp
iと2032dpiの二種類とした。256×256の青色ノイズマス
クの画面上での大きさは、精細度が1016dpiの場合6.4mm
角、2032dpiでは3.2mm角となる。精細度が1016dpiの実
験では、120階調よりも低い階調では粒状感が強く、160
階調よりも高階調でコントラストは低いがマスクの大き
さに対応する周期性が感知された。精細度が2032dpiで
は、1016dpiでの実験に比べ粒状感は少ないが、160階調
よりも高階調でコントラストの高いマスクの大きさに対
応する周期性が感知された。このように1200dpi程度以
上の高精細度を持つプリンタに対しては、好ましい視覚
特性を得るための青色ノイズマスクの大きさは256×256
よりも大きくする必要がある。
【0084】他方、分散ドットディザ法のマスクサイズ
はプリンタの精細度とは基本的に無関係であり、プリン
タの精細度が上がる程好ましい視覚特性が得られる。
【0085】次ぎに青色ノイズマスク法固有の問題であ
るドット分布のムラについて分散ドットディザ法と比較
検討して見た。
【0086】600dpiの精細度を持つプリンタを用いた場
合、256階調の分散ドットディザ法のマスクサイズは0.6
8mmとなる。階段状のグレースケールを出力した限り、
ドットパターンの一様性は、青色ノイズマスク法よりも
規則性の高い分散ドットディザ法の方が当然優れてい
る。58万画素程度のCCDセンサーを用いたデジタルカメ
ラで撮影した自然画像を入力画像とした場合、その画面
中に出力画面上に換算して0.68mm程度以下のある程度の
コントラストを持った周期的パターンが含まれていなけ
れば、モアレも発生せず、青色ノイズマスク法で得た出
力画像との画質の違いはほとんど感知されなかった。た
だし、グレースケールの場合、50階調目程度までの奇数
階調では、マスクサイズとしての0.68mm周期のドットパ
ターンが目につく。
【0087】プリンタの精細度が 1200dpiになると、分
散ドットディザ法の視覚的な一様性はさらに向上し、低
階調においてもマスクサイズである 0.34mm周期のドッ
トパターンは、ドット自体が小さくなることもあいまっ
て目につかなくなる。従ってVGA方式(640画素×480画
素)対応の 1/3インチ35万画素クラス程度のCCDイメージ
センサーを用いたディジタルカメラで撮影した画像を、
1200dpiのプリンタを用いて手札判の大きさ(8cm×12.5c
m) で出力するような場合であれば、分散ドットディザ
法は十分実用的であると言える。
【0088】なぜなら、この画面上でモアレの原因とな
る0.34mm程度前後の局所的な周期を持つパターンは、セ
ンサー面上では 17μm程度前後の周期性パターンとな
り、センサーの最高分解能である 20μm以下なので、入
力画像中にその近傍の周期を持つパターンがあったとし
ても十分なコントラストで分解出来ず、明瞭なモアレと
はならない。実際に、イメージセンサーは、補色または
原色のカラーフィルターを持ち、像の持つ周期的パター
ンとのあいだにモアレが生じるのを防ぐため、通常ロー
パスフィルターを備えているので、分解能はさらに最高
分解能の 7乃至8割りに低下し、長さに換算すると 25〜
29μm 程度となり、コントラストも低下するからであ
る。
【0089】このような場合、分散ドットディザ法のマ
スクの大きさは青色ノイズマスク法のマスクの大きさに
比べ、1/256 以下で済むため、コンピューターを介さ
ず、ディジタルカメラに記録した画像を直接プリンタで
出力するいわゆるダイレクトプリントシステムでは、マ
スクの閾値を記憶しておく ROMの容量が小さいことはコ
スト的に有利となる。
【0090】最近、130万画素前後の1/2インチCCDイメ
ージセンサーを備えたディジタルカメラが、10万円以下
の定価で多くのメーカーより市販されるようになって来
た。このようなディジタルカメラの場合、衣服等の細か
い縞模様も鮮明に記録される。
【0091】従ってそのような入力画像を1200dpi のプ
リンタと分散ドットディザ法により二値化し手札サイズ
に出力すると、虚像としてモアレが発生する場合が有り
得る。このようなディジタル画像システムでは、マスク
サイズが大きく、かつマスク自体が周期性を持たない青
色ノイズマスク法は、原理上モアレが発生しないという
意味で有利である。ただし、CG画像のように、一般的に
言ってあまり細かい周期性パターンを持たない入力画像
の場合は、一様性という点では相変わらず分散ドットデ
ィザ法が優れていると言えよう。
【0092】因みに自然画像のみを対象とする限りにお
いて、処理時間の問題を除けば、600dpiのプリンタで誤
差拡散法を用いた場合の画質は、子細に比較すれば、青
色ノイズマスク法の画質を若干上回る。しかし、1200dp
iになると、画質に関する誤差拡散法と青色ノイズマス
ク法との差はほとんど感知出来なくなり、処理速度の点
で青色ノイズマスク法が優位となる。
【0093】以上説明したように、現時点での最先端の
コンシューマー用ディジタル画像処理システムで用いら
れる出力装置としてのプリンタの精細度は、青色ノイズ
マスク法が発明された8年前に比べ格段に進歩し、低く
て600dpiから700dpi、高くて1200dpi程度と2極分化しつ
つある。また、当時は存在しなかった入力画像機器とし
てのディジタルカメラにも精細度に高低二つのクラスが
普及しつつある。
【0094】このようにシステムが多様化した状況にお
いては、青色ノイズマスク法が中間調処理法としてすべ
てのシステムに対して最適な解とはなり得ないことが明
確となった。即ち、その差は縮まったものの、600dpi程
度の精細度における画質面では依然として誤差拡散法の
方が優れ、1200dpi程度になると分散ドットディザ法の
方が有効であるシステムが存在する。
【0095】従って現状から今後のシステムを見通し、
およそ600dpi以上の精細度を持つ出力装置を前提とした
とき、最適な解は、当然のことながら、システムに応じ
て処理法を使い分けることではなく、分散ドットディザ
法の、高速性およびマスクが小型でありながら一様性が
良い、という特徴を生かす一方、マスクが小型でかつ周
期性を持つことに起因して、虚像が生ずるという欠点を
取り除いたマスク法にあることは明らかである。本実施
の形態はそのような方法の提供を目的とする。
【0096】このような理想的なマスク法を考案するに
あたって考慮すべき重要な要素は、自然画像を入力画像
とするときに、記録された自然画像に含まれ得る周期的
パターンの特性、即ち、空間周波数とコントラストであ
り、さらには、中間調処理をされた出力画像を見る目の
特性、即ち目の周波数応答性である。既に示したが、1m
m前後から数mm の周期的パターンに対する目の感度が高
いことを十分に考慮しなければならない。ただし、ここ
で言う周期的パターンとは、濃淡がサイン関数的に変化
し、コントラストが 1の場合であることを念頭に置く必
要がある。
【0097】これらの要素と直接係るシステム側のパラ
メーターをプリンタを例にとって示すと、これまでの検
討結果から明らかなように、次ぎの 4点である。
【0098】 (1) プリンタの画素率(dpi) (2) 出力画像の画面サイ
ズ (3) マスクサイズ (4) 階調数
【0099】新規なマスク法の開発に当たって現時点で
考慮すべき上記パラメーターの値の主要範囲は以下の通
りである。
【0100】(1)については、600dpi 以上 1200dpi程
度、(2)については、手札版からA4サイズ、(3)は128×1
28以下(256階調、600dpiでの青色ノイズマスクの最適サ
イズの1/4以下)、(4)は、256以上である。
【0101】(3)のマスクサイズを青色ノイズマスクの
最適サイズの1/4以下とした理由は、ダイレクトプリン
トシステムのコストダウンのためである。
【0102】青色ノイズマスク法と分散ドットディザ法
とのドットパターンは、低周波数成分が少ないという共
通の特性を別にすれば、前者はランダム性 (スペクトル
空間で言えば、等方性)、後者は規則性 (スペクトル空
間で表せば、非等方性)と、全く相反する特性を持って
いる。
【0103】青色ノイズマスク法に規則性を導入した例
としては、ドットゲインの問題を軽減する目的で、青色
ノイズマスク法の128階調目に分散ドットディザ法の128
階調目と同様のチェッカーボードパターンを用いる方法
がある (M. Yao and K. J. Parker, Proc. SPIE, vol.
2411, pp. 221-225, 1995)。ただし、ドットゲインの問
題を軽減するためには、128階調目では、相互に隣り合
った 2×2=4 画素を正方形の1画素としなければならな
い。このチェックマスクで生成されるドットパターン
は、中央の 128階調目がコントラストの最も高い二次元
周期性パターンとなるため、入力画像にその周期に近い
コントラストの高い周期性パターンが含まれていると、
当然虚像としてのモアレが現れることが予測できる。実
際に周期性パターンを持つ被写体を58万画素のヂジタル
カメラで撮影し、256×256のチェックマスクで階調処理
し、600dpiのプリンタを用いて出力した手札版サイズの
半分程度の大きさの画像には、はっきりした虚像として
のモアレが観測された。このマスクを用いて出力した画
像の画質は本来の青色ノイズマスク法や分散ドットディ
ザ法の画質よりも明らかに悪い。
【0104】チェックマスクの128階調目に分散ドット
ディザ法の128階調目と全く同じチェッカーボードパタ
ーンを用いて同様の実験を行なった。
【0105】細かい周期性を持つモアレチェック用パタ
ーンを入力画像としてこのチェックマスクで処理し、60
0dpiのプリンタを用いてキャビネ版の大きさに出力した
同様の画像には、コントラストは低いが、やはり虚像と
してのモアレが観測された。全体的な画質は、分散ド
ットディザ法よりは優れているが、本来の青色ノイズマ
スク法の画質と比べると、モアレが出る可能性が十分あ
るという意味で当然劣ることになる。
【0106】これら256×256の大きさの二種類のチェッ
クマスクによるドットパターンの非等方性は128階調を
挟んでかなりの低、及び高階調まで極めて高い極大値を
持つが、そのような場合でも、非等方性の平均値は低
く、ほぼ0dBとなる。そこで、これら二種類のチェック
マスクに関し、それぞれ大きさについても 256×256、1
28×128、64×64 の3種類を用意し、先に示した階調が
階段状に変化するグレースケールを作成した。どのチェ
ックマスクも低階調でのドットの分布の一様性は通常の
青色ノイズマスクのそれと同様悪かった。また、128×1
28や、64×64 の大きさのチェックマスクによるグレー
スケールには、図72 や 図73 同様、マスクの大き
さに対応するドットパターンの繰り返しによる虚像が感
知された。
【0107】図68に示された青色ノイズ特性の理論体
系は、視覚的に好ましい画像を得るには、出来るだけ周
期性を排除しなければならないことを示している。従っ
て、上に示したチェックマスクによる実験は、この体系
に対し単純に周期性(非等方性)を導入することは、原理
上、画質がより劣化することにつながることを実証した
ことになる。
【0108】規則的な組織的ディザ法に不規則性を導入
する試みは、集団ドットディザ法においてなされて来
た。 Allebach と Liu (J. Opt. Soc. Am., vol. 66, N
o. 9,p.909 (1976))はスクリーンによるモアレの発生を
防ぐため個々のドット(集団ドットディザ法でのドット
集団に相当)の中心位置に擬似周期性を導入した。図8
2 にそのスクリーンでのパターンの概略を示す。同図
においてドット 1個分を含む区画をセルと呼び、セル 9
個分をブロックと呼ぶ。ここで、正規の位置からずらし
た上記ドットの中心の位置は、境界を含む各セルの内部
に限られるので、不規則性と言っても、ある規則性を持
った不規則性である。
【0109】階調数を 256階調とした場合、1階調目と2
55階調のドットパターンが青色ノイズ特性を示すように
出来る。ただし、高階調になればなるほどドットの集団
が大きくなるという集団ドットディザ法の特性は変わら
ないので、現状程度の精細度を持ったプリンタには適さ
ない。また、1階調目にせよ青色ノイズ特性を持つマス
クを実現するためには、既に青色ノイズマスクに関して
示したように、セルの数を多くし、ブロック(マスク)自
体を大型にしなければならないので本発明の目的にはそ
ぐわない。
【0110】集団ドットディザ法におけるマスクの規則
性に変化を導入した試み (USP 4,752, 822)を以下に示
す。図83 に同方法における閾値マトリックスの一例
を、図84に、同マトリックスによって生成された1階
調目のドットパターンを示す。
【0111】この方法では、2種類の変化が見られる。
一つは、図83 に示されたように、奇数階調目の部分
閾値マトリックスと偶数階調目の部分閾値マトリックス
を設け、閾値が配置されるべき空間を分割することによ
り解像力を40%高め、第2に、同じく図83 に示された
ように、部分閾値マトリックスの形を十字型にし、プリ
ンタの主走査方向と、マスクが配列される方向とに傾き
を与えたことである。実際、1階調目は、図84に見ら
れるように、通常の集団ドットディザ法における 1階調
目に比べれば僅かに不規則なドットパターンとなってい
る。この方法でも、2階調目以降はドット集団の規則的
な配列が一定の角度傾いて得られる(スクリーンの角度
を傾けたことに相当)ことになるので、解像力を 40%高
めたとは言え、精細度の低いプリンタでは実用的ではな
い。ただし、この方法によれば、主走査方向とドットの
配列方向とが平行ではなくなるので、主走査や副走査に
不一様性があった場合、それぞれの走査方向に筋ムラが
生ずるという課題を軽減できる。
【0112】ところで、既に述べたように、通常の集団
ドットディザ法と分散ドットディザ法では再現すべき階
調数が同じであれば 1階調目のドットパターンは全く同
じであった。従って、上記の方法で得られた集団ドット
ディザ法における1階調目のドットパターンを分散ドッ
トディザ法の1階調目とし、さらに当該方法の2階調目以
降にも規則性をある程度残したまま弱い不規則性(摂動)
を導入し、同方法の持つ各種虚像の発生原因を取り除く
といった方法が考えられる。
【0113】なお、誤差拡散法において極めて高い非等
方性の値を示す周期性を導入した例がある(USP 5,109,2
82)が、そこに示された一様階調でのドットパターン(Fi
g.14B及び Fig.15B)にも強い周期性が現れており、簡単
な実験でモアレが現れることを証明出来る。チェックマ
スクの場合と同様、図68 に示された青色ノイズ特性
に関する理論体系に周期性、従って非等方性を導入する
ことは、原理上、画質劣化につながることがこの方法で
も証明された。
【0114】本実施の形態は、基本的には、分散ドット
ディザ法のドットパターンの持つ各種の周期性を保存し
つつ、そこに弱い不規則性(摂動)を導入したマスク法で
ある。従って、600dpiのプリンタを用いた場合、本方法
による一枚のマスクの大きさは、大きくても青色ノイズ
マスクの最適サイズ256×256の 1/4(128×128)、小さい
場合は、1/16(64×64)、実質的には 1/25程度にまで小
さくできる。
【0115】さらに、本方法による一枚の小型マスクが
作るドットパターンの非等方性は、各種の周期性を反映
し、青色ノイズマスク法とは逆に、Ulichneyの示した摂
動誤差拡散法の非等方性よりも高く、比較可能なすべて
の階調で全周波数帯域における非等方性の平均値が1.2d
B以上で、極大値が4dB以上、好ましくは5dB以上を示
す。これらの値は、先に、マスク法でドットパターンが
例外なく非青色ノイズ特性を持つための条件であること
が示された。他の階調においても、同様の非青色ノイズ
特性を持つことが示されるので、本発明のマスクにより
形成されるドットパターンは、すべての階調において非
青色ノイズ特性を持つと言える。マスクの規模を、外形
は同じとし、内部の周期性を高めて記憶容量の意味で実
質的に小さくすると、全階調において、平均値、極大値
とも非等方性が一層増すことになり、顕著な非青色ノイ
ズ特性を持つことになる。従って、出力画面の大きさを
基準となる256×256画素にして評価すると、一枚のマス
クが作るドットパターンが 4回以上繰り返されることに
なるので、その場合の非等方性は全階調における平均値
そのものが、極めて非等方的とされるべき値としての10
dB程度からそれを十分越える値を示すことになり、Ulic
hneyの示した摂動誤差拡散法とは比較にならぬ程高い非
等方性を示す。
【0116】このように、いずれの画面サイズであって
も、128×128や、64×64の青色ノイズマスクを用いた場
合よりも高い非等方性を示すにも拘らず、ドット分布の
一様性が高いことと、適度に入った不規則性のため、画
面上でマスクの大きさが数mm程度となっても、マスク一
枚分のドットパターンの繰り返しは比較的に目立たず、
モアレが発生することもない。先に示した四つのパラメ
ーターの範囲において、既知のマスク法に比べ、視覚的
に最も好ましい中間調を再現できる。
【0117】従って、本実施の形態のマスク法における
理論体系(scheme)は、これまでの青色ノイズ特性に関す
る理論体系(図68)と全く異なり、図1 に示したよう
に、青色ノイズスペクトルを持たない方が、視覚的に好
ましいドットパターンが生成されることになる。言い換
えるなら、青色ノイズ特性に関する理論体系において
は、視覚的に好ましいドットパターンを得るために出来
るだけ排除すべき周期性(非等方性)を、本実施の形態
の理論体系では、逆に、特に非等方的とされる程度にま
で取り入れることにより、小型のマスクでありながら、
大型の青色ノイズマスクが生成するドットパターンと同
等かそれよりも視覚的に好ましいドットパターンが得ら
れることになる。さらに補足するなら、このような好ま
しい視覚特性は、出力装置の精細度が上がる程、容易に
得られることになる。
【0118】本実施の形態におけるマスクは四つの基本
的規則性を持つ。これらの規則性は、分散ドットディザ
法のマスクや、分散ドットディザ法が持つ規則性を受け
継いだものである。マスクの持つ規則性とそれによって
生成されるドットパターンの規則性は 1対1 に対応して
いる。従って、分かりやすいように、再現すべき階調数
を 256階調とし、実空間におけるドットパターンの持つ
四つの規則性を以下に列挙する。なお、256階調の分散
ドットディザ法のマスクの大きさは 16×16であり、本
方法のマスクはその整数倍の大きさを持つ。本実施の形
態においては、この 16×16 の大きさのマスクを要素マ
スク、その整数倍の大きさのマスクを単位マスクと呼
ぶ。画素空間では、要素マスクに要素画素区画が、単位
マスクに単位画素区画が対応する。なお、要素画素区画
を四等分した大きさの区画を部分要素画素区画と定義す
る。
【0119】以上の用語を用いると、四つの規則性は以
下のように表現される。(1) 16×16の要素画素区画内の
ドットの分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の
組を持つ。(2) 1 階調目のドットパターンは 分散ドッ
トディザ法と同一とする。(3)すべての階調で16×16の
各要素画素区画内のドットの数を同数とする。(4) 4 n
階調毎に 8×8の各部分要素画素区画内のドットの数を
同数とする。
【0120】上記四つの規則性とそれらがもたらす作用
について図2を用いて説明する。
【0121】図2は、分散ドットディザ法の 1階調目の
ドットパターンの一部を示す(図69の一部に同じ)。同
図において、各 16×16の画素区画は、分散ドットディ
ザ法における 16×16 の大きさのマスク一枚分が生成す
るドットパターンの大きさに相当し、黒く塗られた画素
が 1階調目に打たれたドットである。本実施の形態の方
法においても、基本的には規則性(2)に従い、1階調目の
ドットパターンは 図2 に一致させる。
【0122】規則性(2)の作用は、以下の通りである。
自然画像においては、コントラストの高い縞模様は、人
工物としての衣服の模様、織り目、編み目や、建造物の
壁面、格子などにおいてよく見られる。これに対し、コ
ントラストの非常に低い縞模様は、それが規則的であれ
ばあるほど自然界に存在する割合が少なくなる。さら
に、ビデオカメラやディジタルカメラで撮影する画像に
おいては、撮像素子のダイナミックレンジが狭いため、
コントラストの非常に低い縞模様は殆ど記録されない。
また、コントラストの非常に低い縞模様は、もともと目
に不快なパターンとして認識されることはない。
【0123】さらに、600dpiのプリンタを用いた場合で
さえも、1階調目のドットパターンは、ドットからドッ
トまでの周期としては確かに 0.68mm と目で分解出来る
距離にはあるが、白黒同じ幅を持つ線状パターンと異な
り、黒いドット自体は直径約40μm(0.04mm)と、ドット
間隔に比べ非常に小さいので、周期性パターンとしては
感知し難い。従って、入力画像にこのような低い階調で
類似周期を持った線状パターンがあっても、出力画像の
基本は、1階調目のドットパターンであるので、目に不
快な程のコントラストを持ったモアレ(虚像)が生じる恐
れは全くない。
【0124】他方、一様で低階調な出力画像では、ドッ
トパターンの一様性は、すでに図69 に分散ドットデ
ィザ法の 1階調目を示したように、規則的な方が、図7
0 に示した青色ノイズマスク法の 1階調目のランダム
なドットパターンよりも圧倒的に良い。本規則性は、
(1)、(3)、(4)の規則性と相まって、入力画像の低階調
領域におけるなだらかな階調の変化の再現性を高めるこ
とに寄与する。また、20階調目程度までの各低階調にお
けるドットパターンの一次元周波数特性は、1階調目に
打たれたこの規則的パターンによる孤立スペクトルを有
し、高い非等方性を持つ。言い換えるなら、規則性(2)
は、低階調におけるドットパターンの一様性を高めると
同時にマスク自体に周期性、従って非等方性を導入する
作用を有する。
【0125】図2 において、太い線によって区切られ
た16×16画素が、分散ドットディザ法のマスク1枚分に
よって生成されるドットパターンが占める画素区画であ
り、画面上では同じドットパターンが 16画素を 1周期
として縦方向と横方向とに整然と周期的に並ぶことにな
る。上記規則性(1)で言う要素画素区画とは、この16×1
6の大きさの画素区画を指す。すでに述べたように、本
実施の形態のマスクは、この 16×16の大きさの要素マ
スクを整数個並べた大きさを持つ。従って、本実施の形
態の方法は、規則性(3)により、2階調目以降に打たれる
各ドットの位置は異なるにしろ、16×16 の各要素画素
区画内に打たれるドットの数はすべての階調において、
分散ドットディザ法と同一になる。なお、本実施の形態
において要素マスクを整数個並べたマスクを単位マスク
と呼ぶが、その形状は正方形に限らない。
【0126】分散ドットディザ法の 3階調目のドットパ
ターンの一部を図3 に、4階調目のドットパターンの一
部を図4 に示す。
【0127】これら二つの図において、点線で区切られ
た各 8×8の画素を有する区画が規則性の(4)における部
分要素画素区画を指す。図4 に示したように、分散ド
ットディザ法においては、1階調目には、左上の部分要
素画素区画内の画素1 にドットを打ち、2階調目には右
下の部分要素画素区画内の画素2 にドットを打ち、3階
調目には右上の部分要素画素区画内の画素3 にドットを
打ち、4階調目には左下の部分要素画素区画内の画素4
にドットを打ち、5階調目には、再び左上の部分要素画
素区画内の画素に、と矢印でその順番を示したように、
8×8の各部分要素画素区画にドットを打つ順番が4階調
分を1周期として予め決められている。
【0128】従って、分散ドットディザ法においては、
nを整数として、4n階調毎に8×8の各部分要素画素区画
内に打たれたドットの数が同一となる。このように、2
階調目以降に打たれるドットの各位置は分散ドットディ
ザ法とは異なるが、打たれるドットの数に関する本実施
の形態の規則性(4)は、分散ドットディザ法が持つ規則
性と同一である。
【0129】これら規則性(3)、(4)の作用は、分散ドッ
トディザ法がそうであるように、明らかに、ドット分布
の一様性を高めることである。後に説明するが、本実施
の形態における各ドットの位置を決めるためのアルゴリ
ズムは、各ドット間の距離を階調に応じた所定の値に近
付ける作用(ドット分布の一様性を高める作用)を持つ。
これら二つの規則性は、その作用と相まって、強力に一
様性を高める働きをする。
【0130】規則性(1)とその作用を図4 を用いて説明
する。本実施の形態の単位マスクが16×16の大きさの要
素画素区画を例えば 4×4=16 個、正方形に並べた大き
さを持つとする。図4がそのようなマスク一枚分によっ
て得られるドットパターンの一部を示すものとしたと
き、図4 において、チェッカーボード状にグレーで表
した要素画素区画 5、6、7 を全く同じパターンとする
ことが規則性(1)である。分散ドットディザ法のドット
パターンはもともと図4 に示したように一つの要素画
素区画のドットパターンを縦横整然と並べて得られるの
で、各要素画素区画すべて同一であったから、この規則
性(1)も、ある 16×16の画素区画の中のドットパターン
と全く同じドットパターンが他の要素画素区画にも繰り
返し現れるという意味で分散ドットディザ法のドットパ
ターンの持つ規則性に一致する。
【0131】また、この規則性(1)を、マスク自体が持
つ周期性と見れば、2階調目以降、分散ドットディザ法
の各ドットの配置自体、マスク内で周期性を持つので、
分散ドットディザ法のマスクが持つ規則性とも一致す
る。
【0132】従って、この規則性(1)には二つの作用が
ある。マスクの大きさを仮に 64×64としたので閾値マ
トリックスの要素が4096個ある。しかし、閾値の配列を
全く同じにした要素マスク 8個については、読み出し方
を工夫すれば、一個分の閾値マトリックスがあれば済む
ので、マトリックスの要素は (16×16)×9=2304個 とな
り、必要なメモリ容量が半分強で済むという作用をもた
らす。
【0133】小型マスクの大きさよりもさらに小さいス
ケールを持った周期性を局所的な周期性と呼ぶならば、
この規則性(1)はそのような局所的な周期性を導入する
作用もあることはすでに述べた。即ち、この規則性は、
規則性(1)と同様、マスク自体に非等方性を導入する作
用もある。従って、限度はあるが一般的に言えば、閾値
の配列を全く同じにした要素マスクの組を多く持てば持
つ程、即ち、マスクのためのメモリ容量を減らせば減ら
す程、マスク一枚で生成されるドットパターンの非等方
性が強くなるという結果がもたらされる。
【0134】本マスク作成のためのアルゴリズムに関す
るフローチャートの概略を図5 に示す。図5におい
て、ステップ S1 から S3 までは、これまでの説明によ
り、各規則性との関係が明らかにされた。即ち、ステッ
プS1で規則性の(1)、ステップS3で規則性(2)が導入され
た。
【0135】次ぎに2 階調目のドットパターンに弱い不
規則性(摂動)を導入するステップS4について、その一例
を図6 によって説明する。
【0136】図6 は16×16の要素マスクを 4×4=16個
並べた単位マスクにより生成した 2階調目のドットパタ
ーンの一部を示す。16×16画素を持つ個々の要素画素区
画 5〜10の内、グレーで塗った 5、6、7 の各要素
画素区画に対応する要素マスクは、図5、ステップS1に
より、1〜255までの全閾値の配列が全く同じになるよう
予め決められている。残りの要素画素区画 8、9、10 の
2階調目以降は、相互に独立したドットパターンとな
る。
【0137】図6 において、例えば要素画素区画5 の
各画素の横の並びを行、縦の並びを列として、各画素の
位置を (i, j)で表した時、(4, 4)の画素に打たれたド
ット1は図5 の ステップS3 の段階で打たれた1階調目
のドットであり、従ってすべての要素画素区画の(4, 4)
の画素にドットが打たれている。このドットパターン
は、組織的ディザ法の1階調目のドットパターンに一致
する。
【0138】図5のステップ S4 において、1階調目の
周期的ドットパターンに 2階調目で加えられる擬似周期
的パターンについて説明する。
【0139】図6の要素画素区画 5において、(12, 12)
の画素に打たれたドット 2が 2階調目に打たれたドット
である。従って同じ閾値配列を持った16×16の大きさの
要素マスクに対応する他の要素画素区画 6、7 の(12, 1
2)の画素にもドットが打たれている。因みに、これらの
ドットによるパターンは、分散ドットディザ法の 2階調
目に打たれるドットパターンに含まれている。
【0140】それぞれが異なる閾値配列を持った要素マ
スクに対応する要素画素区画 8、9、10 に 2階調目で打
たれるドット位置は以下のようにして決められる。
【0141】それぞれの要素画素区画の中に、(12, 12)
の画素を中心とする7×7=49 の画素からなる小画素区画
11〜13 を設ける。先に各要素画素区画内の1階調目の
ドット位置を(1, 1)画素から(4, 4)画素へと移動させて
おいた訳は、これらの小画素区画を各要素画素区画内の
右下の 8×8画素の大きさを持った部分要素画素区画内
に納めるためであった。次ぎに、それぞれの小画素区画
の中からランダムに 1画素を選びそこにドットを打つ。
【0142】以上のように、2階調目で打たれるドット
は、分散ドットディザ法の2階調目のドットパターンに
弱い不規則性(摂動)を加えたパターンとなる。またこの
ドットパターンは、1階調目のドットパターンと同じ基
本周期を持っているので、擬似周期性パターンである。
この過程S4で、小画素区画 11〜13 の大きさを 5×5=25
画素 とか、3×3=9画素 とかより小さくすることによ
り、導入する不規則性の程度をより小さくできる。従っ
て、3階調目以降の各階調におけるドットパターンの骨
格は、基本的には、2階調目までに導入するこの弱い不
規則性によって決定付けられる。このようにして導入さ
れる弱い不規則性は、3階調目以降のドットパターンを
生成する本実施の形態のアルゴリズムと相まって、分散
ドットディザ法が持っていた周期的な虚像が現れ易いと
いう欠点を殆ど取り除くという作用をもたらす。
【0143】図5において、3階調目以降のドットパタ
ーンを生成するステップ S5 について図7、8、9を用
いて説明する。
【0144】3階調目以降、各階調毎に新たに打つドッ
トの位置を決めるアルゴリズムは、3階調目のドットパ
ターンを決めるアルゴリズム、即ち、2階調目までにド
ットが打たれている画素すべてに一定の形状を持った図
7に示す斥力ポテンシャル P(r) を付与し、16×16の各
要素画素区画の内部でそのポテンシャルが最小になる 1
画素を新たなドットを打つ画素と決めるというアルゴリ
ズムと基本的に同様である。
【0145】ここで、規則性の(1)に従う要素画素区画
は、例えば先ず要素画素区画5 についてドットを打つ画
素が決まれば、要素画素区画6、7 については、一々ポ
テンシャルの計算をすることなく、自動的に要素画素区
画5 で打つことが決まった画素と同じ位置の画素にドッ
トを打つことにする。
【0146】2階調目までは、図6 に示したように、16
×16の各要素画素区画内に打たれたドット数は 2個で、
規則性の(3)を満たしていたから、以上に示したような
各階調で新たに打つドットの位置を決めるアルゴリズム
に従えば、3階調目以降のすべての階調でこの規則性が
満たされることになる。
【0147】斥力ポテンシャルは、固体物理学で使われ
るポテンシャルである(C. Kittel,Introduction to Sol
id State Physics, 6th ed. (John Wiley & Sons, 198
6):邦訳、固体物理学入門(上) 第6版、宇野良清他 (丸
善、1988) p. 68)。その関数形は、λ、ρをパラメータ
ーとし、r をポテンシャルの中心からの距離としたとき P(r)=λe-r/ρ で与えられる。3次元と2次元の違いはあるが、本実施の
形態で用いられる斥力ポテンシャルを次式で定義する。
【0148】 P(r)=e-αr (2) ただし、階調数を g として
【0149】
【外2】 とする。ここで、
【0150】
【外3】 は各階調 gにおいて、ドットが一様に分布しているとし
たとき、ドット間の平均距離が比例すべき長さ(距離)に
相当する。この場合、階調数が大きくなる程ドットの密
度が上がり、αが大きくなるので、斥力ポテンシャルは
r に関し急速に減衰する関数となる。斥力ポテンシャ
ルの階調数依存性をなくす場合には、(3)式において機
械的に、g = 256 とすれば良い。
【0151】図7 において、画面上、ポテンシャルを
付与する画素の位置を原点としたときの直交座標系の横
軸を x 軸、縦軸を y 軸とする。rmax は、そこから先
のポテンシャルを零とする原点からの距離である。距離
の単位は、隣り合った画素間の距離、即ち、画素の一辺
の長さ s である。
【0152】階調数依存性を持つ斥力ポテンシャルの一
例を図8 に示す。このポテンシャルでは β= 0.4、rma
x=128(s) とした。同図からわかるように、階調数が大
きくなり、ドットの密度が上がるに連れ、斥力ポテンシ
ャルは急速に減衰する。
【0153】このような斥力ポテンシャルを用い 3階調
目以降のドットパターンを作成する方法を図9 を用い
て説明する。
【0154】図9 において、簡単のため単位マスクは
小規模で 32×32の大きさを持つとすると、画素空間で
は、16×16画素の大きさの四つの要素画素区画、14、1
5、16、17 からなる 32×32画素の大きさの単位画素区
画18がそれに対応していることになる。ここで、要素画
素区画14と17は、規則性(1)に従い全階調で全く同じド
ットパターンを持つ要素画素区画の組とする。さらに、
単位マスクの配列の仕方は、画素空間では、単位画素区
画18を x 方向と y方向のそれぞれの方向に密に敷きつ
めた配列に対応しているとする。
【0155】単位画素区画18 において、それぞれの要
素画素区画内には、規則性(2)に従う1階調目のドット2
3、24、25、26と 2階調目の4個のドットとが既に打たれ
ている。
【0156】この段階で、個々の要素画素区画の中の四
つの8×8の部分要素画素区画の中でドットが打たれた二
つの部分要素画素区画を記憶しておき、4階調目のドッ
トパターンが完成するまでそれらの部分要素画素区画に
は新たなドットを打たないようにする。この規制は、規
則性(4)を実現するために設ける。
【0157】斥力ポテンシャルが値を持つ最大半径 rma
x は、簡単のため、画素間距離をsとして13s であると
する。この斥力ポテンシャルを要素画素区画15 内に打
たれた1階調目のドット23 に付与する仕方を説明する。
【0158】このポテンシャルが単位画素区画18内に及
ぶ範囲は実線27で示してある。単位画素区画14 の左側
の境界から外部にはみ出し、外縁を一点鎖線28 で表し
たポテンシャルの部分については、そのままの形で右側
の境界の内部に平行移動する。ポテンシャルのこの部分
は、単位画素区画18 の右隣に位置する単位画素区画
中、単位画素区画14 内の1階調目のドット23 に対応す
る同じく1階調目のドット31に付与した斥力ポテンシャ
ルが、単位画素区画18 の内部に及ぼすポテンシャル32
に等しい。
【0159】単位画素区画18 の上側の境界から外部に
はみ出し、破線で表したポテンシャルの部分29について
は、そのままの形で下側の境界の内部に平行移動する。
ポテンシャルのこの部分は、単位画素区画18 の下隣の
単位画素区画中、単位画素区画18 の1階調目のドット23
に対応する同じく 1階調目のドット33に付与した斥力ポ
テンシャルが、単位画素区画18 の内部に及ぼすポテン
シャル34に等しい。
【0160】単位画素区画 18 の左斜め上の単位画素区
画にはみ出し、点線で表したポテンシャルの部分30につ
いては、そのままの形で右下隅に平行移動する。ポテン
シャルのこの部分は、単位画素区画18 の右斜め下の単
位画素区画中、単位画素区画18 の 1階調目のドット23
に対応する同じく1階調目のドット35に付与した斥力ポ
テンシャルが、単位画素区画18 の内部に及ぼすポテン
シャル36に等しい。
【0161】同様の方法で、単位画素区画18 の内部に
打たれたすべてのドットに斥力ポテンシャルを付与し終
えたとすると、単位画素区画18 の内部にそれらすべて
の斥力ポテンシャルを足し合わせたポテンシャルの分布
が出来る。
【0162】次ぎに、単位画素区画18 の内部で、先に
足し合わせた斥力ポテンシャルが最小になる画素37に3
階調目のドットを打つ。同時に要素画素区画17 の内部
で、画素37に対応する位置にある画素38に3階調目のド
ットを打ち、それらの画素37 と38とに斥力ポテンシャ
ルを付与し、すでにあるポテンシャルの分布に重ねあわ
せる。この段階でドットが打たれた要素画素区画とそれ
に属する部分要素画素区画が記憶され、それぞれ 4階調
目のドットが打ち終わるまで新たなドットを打たないよ
うに規制して規則性(3)と(4)を実現する。
【0163】以上で得られた斥力ポテンシャルの分布に
関して、3階調目のドットが打たれずに残された要素画
素区画15 と16の内部で、その値が最小になる画素に3階
調目のドットが打たれ、そこに斥力ポテンシャルが付与
され、新たなポテンシャルの分布が出来る。この段階
で、ドットが打たれた要素画素区画とそれに属する部分
要素画素区画が記憶され、それぞれ 4階調目のドットが
打ち終わるまで新たなドットを打たないように規制して
規則性(3)と(4)を実現する。
【0164】以上の段階で、3階調目のドットが打たれ
ていない要素画素区画は 1区画のみとなり、その内部
で、斥力ポテンシャルの値が最小となる画素に自動的に
3階調目の最後のドットが打たれ、そこに斥力ポテンシ
ャルが付与され、新たなポテンシャルの分布が出来る。
この段階で、ドットが打たれた部分要素画素区画が記憶
され、4階調目のドットが打ち終わるまでその区画に新
たなドットを打たないように規制して規則性(4)を実現
する。
【0165】4階調目のドットパターンは以下のように
して作成する。
【0166】3階調目のドットパターンが完成した段階
で四つの要素画素区画 14、15、16、17 のそれぞれは、
ドットがまだ打たれていない部分要素画素区画を一つだ
け持っている。従って、それら四つの部分要素画素区画
の内部で 3階調目の斥力ポテンシャルの分布が最小とな
る画素に4階調目の最初のドットを打つと同時に、その
画素に斥力ポテンシャルを付与し、新たなポテンシャル
の分布を作る。この段階では、ドットを打った部分要素
画素区画を記憶しておき、4階調目のドットパターンが
完成するまではそこに新たなドットが打たれないよう規
制し、規則性(4)を実現する。
【0167】もし、ドットを打たれた部分要素画素区画
が、規則性(1)を満たす要素画素区画の組の一方に属す
るなら、他方の要素画素区画内でドットを打つ画素も同
時に決まり、それに応じた新たなポテンシャルの分布
と、新たなドットを打つことが規制される部分要素画素
区画が決まる。
【0168】同様の過程を繰り返し、四つの要素画素区
画すべてに一個ずつドットを打ち終えることにより 4階
調目のドットパターンと斥力ポテンシャルの分布とが決
まる。
【0169】4階調目以降のドットパターンの作成法を
説明する。nを正の整数とし、4n階調目の単位画素区画
内での斥力ポテンシャルの分布を既知として、4n+1階調
目のドットパターンの作成から始める。
【0170】単位画素区画内で4n階調目までの斥力ポテ
ンシャルの分布の値が最小となる画素にドットを打つと
同時に斥力ポテンシャルを付与し、新たなポテンシャル
の分布を作る。さらに、その画素を含む要素画素区画と
部分要素画素区画とを記憶し、その要素画素区画には 4
n+1階調目のドットパターンが完成するまで新たなドッ
トを打たないよう規制し、その部分要素画素区画には 4
(n+1)階調目のドットパターンが完成するまで新たなド
ットを打たないよう規制し、規則性(3)と(4)に従う。
【0171】もし、ドットを打たれた要素画素区画が、
規則性(1)を満たす要素画素区画の組の一方に属するな
ら、他方の要素画素区画内でドットを打つ画素も同時に
決まり、それに応じた新たなポテンシャルの分布と、規
則性(3)と(4)に従うため 4n+1階調目のドットパターン
が完成するまで新たなドットを打つことが規制される要
素画素区画と、4(n+1)階調目のドットパターンが完成す
るまで新たなドットを打つことが規制される部分要素画
素区画とが決まる。
【0172】上記の新たなポテンシャルの分布の下で、
ドットを打つことが許される要素画素区画と部分要素画
素区画の内部で、ポテンシャルの値が最小となる画素に
ドットを打つと同時に斥力ポテンシャルを付与し、新た
なポテンシャルの分布を作る。さらに、その画素を含む
要素画素区画と部分要素画素区画とを記憶し、その要素
画素区画には 4n+1階調目のドットパターンが完成する
まで新たなドットを打つことを規制し、その部分要素画
素区画には 4(n+1)階調目のドットパターンが完成する
まで新たなドットを打たないよう規制し、規則性(3)と
(4)とに従う。
【0173】同様の過程を繰り返し、四つの要素画素区
画すべてに一個ずつ新たなドットを打ち終えることによ
り 4n+1階調目のドットパターンと斥力ポテンシャルの
分布とが決まる。
【0174】以上、4n階調目のドットパターンから 4n+
1階調目のドットパターンを完成するまでと同様の過程
により、4n+2階調目、4n+3階調目および 4(n+1)階調目
のドットパターンと斥力ポテンシャルの分布とが決ま
る。
【0175】このようにして 255階調目までの全階調の
ドットパターンが決まるので、図5のステップS7 に移
行してマスクの全閾値を決めることが出来る。
【0176】本方法では、ドットパターンは1階調目か
ら順に作られ、従って、下の階調でドットが打ってある
画素には、より上の階調でもその画素には必ずドットが
存在した。各階調でのドットパターンを作成するこの過
程では、一様階調の入力画像の階調数を n (nmax= 25
6)、閾値マトリックスの各要素の値を m (mは正の整数
で、mmax =255) として、上記各階調でドットを打った
画素に対応する閾値マトリックス上の要素の値を 1 か
ら一つずつ上げてゆき、 m = n (4) を満たした時にドットを打ったことになる。このように
して各要素の値を決めてゆけば全閾値が決まりマスクが
完成する。
【0177】一般の入力画像では、このマスクを用いて
画素の階調数と対応する閾値とが m ≦ n (5) を満たすときにドットを打つことにすれば良い。
【0178】このように、本実施の形態の方法では、斥
力ポテンシャルと規則性の (1)、(2)、(3)および(4)と
を適用して各階調毎にドットパターンの最適化が計られ
るので、1階調目から 255階調目まで、すべての階調に
おいて一様性の極めて良いドットパターンが得られる。
実際、後に示す全実施の形態において確かめた(不図示)
ことであるが、階調数が大きくなるに連れて打たれたド
ットの数が多くなると、一次元のスペクトルにおいてノ
イズ成分の高周波数領域に高いピークを持った孤立スペ
クトルが現れるようになる。最適化により一定のドット
間距離を持つドットの組を形成するドットの数が、そう
でないドットの数に比べ相対的に多くなるからである。
【0179】本方法のこのような特徴は、中央の 128階
調目で最適化するため、階調数が下がれば下がる程、ま
た上がれば上がる程、ドット分布の一様性が悪くなる青
色ノイズマスク法とは際立った違いを示す。
【0180】以上、図5 と図8 について説明したマス
クの作成法を基本とするが、規則性の(1)から(4)を保っ
たまま、マスクの作成法を種々変更することは可能であ
る。
【0181】例えば、上に示した方法では、n階調目の
ドットパターンから n+1階調目のドットパターンを作成
する際、斥力ポテンシャルの分布に基づき新たなドット
を打つ画素を決めると同時にその画素に斥力ポテンシャ
ルを付与し、かつ、ポテンシャルの分布を更新するとい
う手続きを踏んだ。
【0182】この手続きを簡略化し、n階調目のドット
パターンから n+1階調目のドットパターンを作成する
際、n階調目の斥力ポテンシャルの分布に基づき、四つ
の要素画素区画それぞれの内部においてポテンシャルの
分布が最小値を示す画素に新たなドットを打つことによ
り、一度に n+1階調目のドットパターンと斥力ポテンシ
ャルの分布とを作成するようにしても良い。この方法で
は、高階調になる程、本来の方法とのドットパターンの
違いは少なくなり、ドットパターンの一次元空間周波数
特性や非等方性に基本的な変化はない。
【0183】規則性の(2)のみを若干変更することも可
能である。図9 においては、規則性の(2)に従い、1階
調目のドットパターンを、分散ドットディザ法の 1階調
目のドットパターンと同じにした。このドットパターン
に弱い不規則性(摂動)を加えて1階調目を擬似周期的な
ドットパターンとすることが出来る。そのようなドット
パターンの一例を図10に示す。
【0184】図10 において、単位マスクは32×32の
大きさを持ち、画素空間では、16×16画素の大きさの四
つの要素画素区画 14、15、16、17 からなる 32×32画
素の大きさの単位画素区画18に対応しているとする。こ
こで、要素画素区画14と17は、規則性(1)に従い全階調
で全く同じドットパターンを持つ要素画素区画の組とす
る。
【0185】1階調目のドットパターンを作るために、
先ず各要素画素区画の中の右上の部分要素画素区画の中
央に 4×4の小画素区画 39、40、41、42を設定する。次
ぎに、各小画素区画の 16画素の中からランダムに 1画
素を選び出し、そこに 1階調目のドットを打つことにし
て 1階調目のドットパターンを作成する。ただし、小画
素区画 39と 40 の中でドットが打たれる画素の位置は
同じである。この方法においても、小画素区画の大きさ
により、不規則性の程度を制御できる。
【0186】この方法では 1階調目以降のドットパター
ンの作成の仕方に大きく分けて二つある。
【0187】一つは、図11 に示したように、図5 に
示したフローのステップ S4 に従い、第2階調目でも擬
似周期性パターンを加え、3階調目以降は ステップS5以
下のフローに従う方法である。他の一つは、図12 の
ように、第 2階調目以降からS5以下のフローに従う方法
である。いずれの方法でも図5 に示した方法に比べ、
低階調において非等方性が若干減るということはあるに
しろ、ドットパターンの一次元空間周波数特性や非等方
性が基本的に変化するということはない。
【0188】また、プリンタの精細度が1200dpi と一層
高い場合には、分散ドットディザ法におけるドット分布
の一様性の良さを生かす意味で、上記変更とは逆に、摂
動を導入する階調をより上の、例えば、5階調目にする
という変更も可能である。
【0189】以上詳しく説明した通り、既存のディザ法
の持つ課題を、弱い不規則性(摂動)を導入すると言う手
段を別にすれば、分散ドットディザ法の持つ基本的な四
つの規則性をそのまま用いるという手段で解決したた
め、それらの規則性が分散ドットディザ法で機能したよ
うに、高い非等方性をもたらすという作用と同時に、比
較的小型のマスクでありながら出力装置の精細度が上が
る程視覚的に好ましいドットパターンが生成出来る、と
いう作用をももたらした。
【0190】出力装置の精細度の大幅な向上が、青色ノ
イズマスク法にはより大きなマスクを要するようになる
と言う意味で不利な方向に働くことと照らし合わせる
と、そのような新たな技術環境下において、非等方性に
関しては青色ノイズの理論体系(図68)とはまさに正反
対の理論体系(図1)に従うマスク法の優位性は明らかで
ある。以下実施の形態を詳細に説明し、その優位性を実
証する。
【0191】以下、添付図面に従って、本発明の実施の
形態を詳細に説明する。実施の形態は、すべて図5の基
本的なフローに従って作成したマスクに関わる。
【0192】図13 は、本実施の形態において画像を
処理するための基本的システムを示す。
【0193】同図において、100 は入力画像101 を走査
する例えばスキャナ等の画像入力装置である。この装置
では、連続階調を持った入力画像101 に対し、階調数を
例えば256階調にディジタル化したり、非線形処理を施
したり、カラー入力画像の場合は色の各成分に対し色処
理をするなどの前処理102 がなされる。103 は階調処理
装置であり、本実施の形態で特徴的な各種の周期性、即
ち強い非等方性と弱い不規則性(摂動)とを兼ね備えた閾
値マトリックス(マスク)105 を記憶するメモリ104 と、
入力画像の各画素の階調数と、対応する閾値とを前記
(5)式に基づいて比較し、その結果に応じて出力値とし
て 0 (ドットを打たない)か 1 (ドットを打つ) かを決
定する比較器106 とを含む。107は、比較器106 からの
出力値に基づいて形成した出力画像108 を表示や印刷等
の形態で出力する装置である。
【0194】また、ディジタルカメラを入力装置とする
ダイレクトプリントシステムでは、図13 において、
入力画像の持つ輝度情報、色情報などはデジタル情報に
変換されてカメラ側のメモリに蓄えられる。従って、前
処理102 の一部として、プリンタの特性を考慮した非線
形処理や色処理などと、階調処理装置103 とは、出力装
置としてのインクジェットプリンタ107 に組み込まれる
ことになる。
【0195】〈第1の実施の形態〉本実施の形態の特徴
を持つマスクの一つを作成する手順について図5 のフ
ローチャートに従って説明する。
【0196】図14 は本実施の形態における単位マス
クに対応する単位画素区画の形状、大きさ、および同じ
ドット配列を持つ要素画素区画の組を示す。同図によっ
て、マスクは128×128 の大きさの正方マトリックスで
あることがわかる。また、黒く塗りつぶされた 16×16
画素の要素画素区画はすべて全階調で同じドットパター
ンとなる。従ってそれらに対応する16×16の要素マスク
はすべて同じ閾値配列を持っている。
【0197】図15 に、図5のステップS2 に基づき、
出力画面上で単位マスクに対応する128×128画素の単位
画素区画が二次元的に配列される様子を示す。出力装置
がプリンタである場合、右向きの矢印はインクを吐出す
るヘッドやレーザービームなどに関する主走査方向を表
し、下向きの矢印は紙送り等の副走査方向を示し、矢印
に沿えた番号は、画面上でマスクが走査される順番を示
す。
【0198】本実施の形態における図5 のステップS3
と S4 とを図16 により説明する。同図において、16
×16の各要素画素区画の(4, 4)画素に打ってあるドット
が分散ドットディザ法の1階調目と同一のドットパター
ンである。
【0199】グレーに塗りつぶされた要素画素区画はす
べて同じドットパターンを形成するが、これら各要素画
素区画の(12, 12)画素に打ってあるドットは 2階調目の
ドットであり、これらも分散ドットディザ法の 2階調目
のドットの位置に一致する。それ以外の要素画素区画内
には 7×7の小画素区画が設けてあり、この 49画素の中
からランダムに 1画素を選択し 2階調目のドットとし
た。従って、2階調目に打たれたドットは、分散ドット
ディザ法の 1階調目のドットパターンと同一周期を持つ
擬似周期性パターンとなる。
【0200】3階調目以降については、すでに詳しく説
明したように、図5 のステップS5に従い(2)、(3)式及
び図8 で示された斥力ポテンシャルを用いてドットパ
ターンを形成した。ただし、70階調目までは階調毎にポ
テンシャルを変化させたが、71階調目以降は、70階調目
で用いたポテンシャルに固定した。
【0201】このようにして作成したマスクを用いて、
一様な濃度を持った入力画像について600dpiの BJプリ
ンタにより 256×256画素の画面サイズにドットパター
ンを出力した。8階調目のドットパターンを図17に、3
2階調目のドットパターンを 図18に示す。これらの図
は、600dpiの BJプリンタにより得られた上記実画面を
縦横10倍の大きさに拡大して出力した。単位マスクに対
応する単位画素区画はこれら画面のちょうど 1/4 の大
きさであり、図17、18 に示されたドットの分布か
ら、単位マスク自体の持つ周期性を読み取ることが出来
る。
【0202】図19、20 に、本実施の形態による単
位マスク一枚によって生成した 32階調目における128×
128画素の大きさのドットパターンに関する空間周波数
特性を示す。図19 は半径方向の一次元周波数特性を
示すが、ノイズ成分の上に鋭いピークを持った孤立的ス
ペクトルが多数乗っている。
【0203】図20 は非等方性を示す。平均値は3dB強
を示し、極大値は、それを越えると特に非等方的である
とされる4dBを大幅に越え、中には極めて非等方的なレ
ベルである10dB近傍か、それを越えるスペクトルが存在
する。両方の値共、誤差拡散法においても非青色ノイズ
特性と判定できるレベルにある。従って、このマスク1
枚分のドットパターンが非青色ノイズ特性を持つことは
明らかである。高い非等方性を示す周波数と一次元周波
数特性における孤立的スペクトルの周波数とが一致する
場合はそのスペクトルがマスク自体の周期性に起因する
スペクトルであることを示す。
【0204】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態の単位マスクは明らかに非青色ノイズ特性を持
つ。
【0205】図21、22 に、本実施の形態による128
×128の大きさの単位マスクによって、スペクトルを評
価する際の基準となる256×256画素の画面サイズに生成
した32階調目のドットパターンに関する空間周波数特性
を示す。
【0206】図21 は半径方向の一次元周波数特性を
示すが、実線は本実施の形態、破線は 256×256の大き
さの青色ノイズマスクを用いた場合を示す。単位マスク
一枚分のみの場合に比べノイズ成分が減少し、高く鋭い
ピークを持った孤立的スペクトルの本数が増大し、青色
ノイズマスクのスペクトルと際立った違いが見られる。
【0207】図22 は非等方性を示す。実線は本実施
の形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスク
を用いた場合を示す。本実施の形態の場合には、平均値
自体 10dB程度の極めて強い非等方性を示し、平均値が
0dBと等方的な青色ノイズマスク法との違いは明白であ
る。
【0208】図77に示したように、128×128の大きさ
の青色ノイズマスクの場合、256×256画素の画面サイズ
に生成したドットパターンに関する非等方性は、平均値
自体が 8dB 程度となり青色ノイズ特性を示さなかっ
た。その場合、図72のグレースケール上には 128×12
8画素の大きさのムラが周期的に並ぶ様子が虚像として
感知され、実用的ではなかった。ところが本実施の形態
では、それよりなお強い非等方性を示すにも拘らず、そ
のようなムラは感知されなかった。
【0209】また、例えば人体の表面のように、低い階
調で陰影がなだらかに変化する入力画像を本実施の形態
のマスクと256×256の大きさの青色ノイズマスクとを用
いて処理した出力画像を比較すると、なだらかな陰影の
再現性は若干本実施の形態のマスクを用いた場合の方が
上回った。このような本実施の形態の場合のドット分布
に関する一様性の良さは数値的にも裏づけられる。16×
16画素の大きさの画素区画を画面上で走査し、その区画
に含まれるドットの数のバラツキを調べたところ、規則
性の(2)や(3)に従う本実施の形態の方が大部分の階調で
少ない値を示した。
【0210】しかも、このように視覚的に好ましいドッ
トパターンを発生するマスクの大きさは、この精細度の
プリンタで最適な大きさを持つ青色ノイズマスクの大き
さの1/4 で済むことになる。さらに、図14 で黒く塗
られた16個の要素画素区画に対応する要素マスクは皆同
じ閾値配列を持っているので、1個の要素マスクを記憶
するだけで済み、マスク用の実質的な記憶容量は 1/5と
なる。
【0211】以上の評価結果は、本実施の形態のマスク
が、図68に示した青色ノイズ特性に関する理論体系(s
cheme)にではなく、図1 に示した新たな理論体系に基づ
いていることを示している。即ち、始めから小型のマス
クが繰り返し周期的に使用されることを前提に、言い換
えるなら、空間周波数特性が強い非等方性を示す前提の
下で、図68の理論体系とは逆に、マスク自体を小型に
し、かつ(1)から(4)に示した各種の規則性や周期性、即
ち強い非等方性、を付与することによっても周期的な虚
像のない視覚的に好ましいドットパターンが得られるこ
とが示された。
【0212】〈第2の実施の形態〉本実施の形態の特徴
を持つ他のマスクの一つを作成する手順について図5
のフローチャートに従って説明する。
【0213】図23 は本実施の形態における単位マス
クに対応する単位画素区画の形状、大きさ、および同じ
ドット配列を持つ要素画素区画の組を示す。このマスク
の第1 の実施の形態のマスクとの違いは、黒く塗りつぶ
された16個の要素画素区画に加え、薄いグレーで塗りつ
ぶした16個の要素画素区画も全く同じドット配列を持つ
要素画素区画とし実質的なマスクの記憶容量をさらに減
らすとともに、非等方性をさらに強めたことである。
【0214】図24 に、図5のステップS2 において決
められた、出力画面上での単位マスクに対応する128×1
28画素の単位画素区画の二次元的な配列の様子を示す。
画面右側に示された矢印と番号の持つ意味は図15 の
場合と同様である。
【0215】本実施の形態における図5 のステップS3
と S4 とを図25 により説明する。同図は、本実施の
形態におけるマスク1枚分に相当する単位画素区画内の2
階調目のドットパターンの一部を示し、濃いグレーで塗
りつぶされた要素画素区画の組と薄いグレーで塗りつぶ
された要素画素区画の組とはそれぞれが全階調において
全く同じドットパターンを持つ。また、16×16の各要素
画素区画の(4, 4)画素に打ってあるドットが 1階調目の
ドットパターンであり、分散ドットディザ法の1階調目
のドットパターンに一致する。
【0216】同じドットパターンを持つ要素画素区画の
組のそれぞれの要素画素区画の(12,12)画素に打ってあ
るドットは 2階調目のドットであり、これらも分散ドッ
トディザ法の 2階調目のドットの位置に一致する。それ
ら以外の要素画素区画内には7×7の小画素区画が設けて
あり、この 49画素の中からランダムに 1画素を選択し
2階調目のドットとした。
【0217】3階調目以降については、使用した斥力ポ
テンシャルを含め、第2の実施の形態と全く同様の図5
のステップS5 に従いドットパターンを形成し、それら
に基づきマスクを作成した。
【0218】このようにして作成したマスクを用いて、
一様な濃度を持った入力画像について600dpiの BJプリ
ンタにより 256×256画素の画面サイズにドットパター
ンを出力した。8階調目のドットパターンを図26 に、
32階調目のドットパターンを図27に示す。これらの図
は、600dpiの BJプリンタにより得られた実画面を縦横1
0倍の大きさに拡大して出力した。単位マスクに対応す
る単位画素区画はこれら画面のちょうど 1/4 の大きさ
であり、図26、27 に示されたドットの分布から、
単位マスク自体の持つ周期性を明確に読み取ることが出
来る。
【0219】図28、29 に、本実施の形態による単
位マスク一枚のみによって生成した32階調目のド ット
パターン(128×128画素)に関する空間周波数特性を示
す。図28 は半径方向の一次元周波数特性を示すが、
ノイズ成分の上に鋭いピークを持った孤立的スペクトル
が何本も乗っている。第1の実施の形態の場合(図19)
と比較すると、ノイズ成分に対し、孤立スペクトルのピ
ークの高さが相対的に高くなっている。同じドットパタ
ーンを持つ要素画素区画の組を倍に増やし周期性を強め
たからである。
【0220】図29 は非等方性を示す。非等方性の平
均値自体が、特に非等方的とされる4dBを越え、7dB弱あ
り、極大値は極めて非等方的とされるレベルの 10dBを
越え、最大14dBに達する。両方の値共、誤差拡散法で非
青色ノイズ特性と判定されるレベルより高く、このドッ
トパターンは明らかに非青色ノイズ特性を持つ。
【0221】高い非等方性を示す周波数と一次元周波数
特性における孤立的スペクトルの周波数とが一致する場
合は、マスク自体の周期性に起因するスペクトルを示
す。
【0222】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態の単位マスクは明らかに非青色ノイズ特性を持
つ。
【0223】図30、31 に、本実施の形態による単
位マスクによって、スペクトルを評価する際の標準とな
る 256×256画素の画面サイズに生成した 32階調目のド
ットパターンに関する空間周波数特性を示す。図30
は半径方向の一次元周波数特性を示し、実線が本実施の
形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスクを
用いた場合を示す。単位マスク一枚分のみの場合に比べ
ノイズ成分が大幅に減少し、高く鋭いピークを持った多
数の孤立的スペクトルによって構成されている。
【0224】図31 は非等方性を示す。実線は本実施
の形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスク
を用いた場合を示す。本実施の形態の場合には、平均値
自体が13dB程度の極めて強い非等方性を示し、15dBを越
える極大値を示すスペクトルが数多く存在し、中には20
dB近傍を示すスペクトルが存在する。
【0225】以上のように分散ドットディザ法と同程度
の極めて強い非等方性を示すにも拘らず、本実施の形態
では128×128の大きさの青色ノイズマスクに関し図72
のグレースケールに示したような同一パターンの繰り
返しによる周期的な虚像は感知されなかった(本実施の
形態のマスクによるグレースケールを図66 に示し
た)。
【0226】また、低い階調で陰影がなだらかに変化す
る入力画像を本実施の形態のマスクと256×256 の大き
さの青色ノイズマスクとを用いて処理した出力画像を比
較した場合においても、なだらかな陰影の再現性は本実
施の形態のマスクを用いた場合の方が若干上回った。こ
のようなドット分布に関する一様性の良さは本実施の形
態の場合においても数値的に裏づけられた。
【0227】以上のように視覚的に好ましいドットパタ
ーンを生成するマスクの大きさは、対応する青色ノイズ
マスクの大きさの1/4 で済むことになる。しかも、16個
の同じドットパターンを持つ要素画素区画の二組は、全
く同じ閾値配列を持つので、独立した閾値配列を持った
要素マスクの数は、34個となり、実質的には、34/256=
0.13 となり、約 1/8 である。即ち、記憶装置からの読
み出し方を工夫することにより、本実施の形態のマスク
を記憶するための記憶容量は256×256 の大きさの青色
ノイズマスクの場合の約 1/8 で済ますことが出来る。
【0228】以上の評価結果は、本実施の形態のマスク
も、図68に示した青色ノイズ特性に関する理論体系(s
cheme)にではなく、図1 に示した新たな理論体系に基づ
いていることを示すものである。
【0229】〈第3の実施の形態〉本実施の形態の特徴
を持つ他のマスクの一つを作成する手順について図5
のフローチャートに従って説明する。
【0230】図32 は本実施の形態における単位マス
クに対応する単位画素区画の形状、大きさ、および同じ
ドット配列を持つ要素画素区画の組を示す。黒く塗りつ
ぶされた4個の要素画素区画の組と、薄いグレーで塗り
つぶされた4個の要素画素区画の組とは、それぞれ全階
調において全く同じドット配列を持つ。
【0231】図33 に、図5のステップS2 に基づき、
出力画面上で単位マスクに対応する64×64画素の単位画
素区画が二次元的に配列される様子を示す。同図から明
らかなように、単位画素区画の縦方向の配列は、それを
y方向に単純に並べただけであるが、横方向(x方向)に
は、単純に並べるのではなく、隣の単位画素区画を縦方
向に 32画素分ずらして配列する。このように配列する
意図は、同じ小規模パターンが単純に縦横整然と並ぶこ
とによって、周期構造が目に感知し易くなるのを避ける
ことと、同様の理由により紙送りのムラが原因で入る横
方向の筋ムラを軽減するためである。このように、横方
向の筋ムラを軽減するには、隣り合った縦方向の単位画
素区画の配列同士を、例えば、y軸の正方向に 16画素分
ずつずらすようにするとより効果的である。
【0232】一方、縦方向の筋ムラを軽減するには、隣
り合った横方向の単位画素区画の配列同士を、x軸の正
方向に16画素分ずつずらすようにするとよい。
【0233】なお、本実施の形態では、便宜上図33
に太い点線で示した 64×128画素の長方形の画素区画に
対応するマスクを用いた。ドットパターンを生成する際
にそのマスクを繰り返し走査しつつ使用する順序は、同
図の右側に示した。
【0234】本実施の形態における図5 のステップS3
と S4 とを図34 により説明する。簡単のため、単位
マスクサイズを32×32として説明する。従って、単位画
素区画の大きさも図34 に示すように 32×32画素とす
る。さらにここでは、横隣の単位画素区画とは y方向に
16画素分ずれているとする。濃いグレーで塗りつぶさ
れた一組の要素画素区画は全階調において全く同じドッ
トパターンを持つ。
【0235】16×16の各要素画素区画の(4, 4)画素に打
ってあるドットが 1階調目のドットパターンであり、分
散ドットディザ法の1階調目のドットパターンに一致す
る。同じドットパターンを持つ要素画素区画の組のそれ
ぞれの要素画素区画の(12, 12)画素に打ってあるドット
は 2階調目のドットであり、これらも分散ドットディザ
法の 2階調目のドットの位置に一致する。それら以外の
要素画素区画内には 7×7=49 画素の小画素区画が設け
てあり、この 49画素の中からランダムに 1画素を選択
し 2階調目のドットとする。ただし、49画素すべてが同
じ確率で選択されるわけではなく、中心の画素の位置を
原点として、図35 に示すようなガウス型の重み付け
を行ない、中心に近い画素ほど選択され易くしている。
【0236】ここで用いたガウス型関数は次式で与えら
れる。
【0237】
【外4】
【0238】以上の方法で図32 に示した単位画素区
画の 2階調目までのドットパターンを作成した結果を図
36 に示した。このように、2階調目のドット位置に不
規則性を導入する際、7×7=49 画素の小画素区画を設け
ドットの位置を規制した上にさらに重み付けをして規制
する理由は、マスクの規模が小さくなると、不規則性を
導入するドットの数が減り、小画素区画による規制のみ
ではそれらランダムに選択されたドットの位置に偏りが
生じ、小規模ドットパターンの繰り返しによる周期性が
感知され易くなるからである。実際、マスクの規模が大
きい第2の実施の形態では、不規則性を導入する2階調目
のドット数が 32個もあり、小画素区画による規制のみ
で済んだが、本実施の形態では 8個しかなく、小画素区
画による規制のみでは、それらドットの位置の偏りが少
なくなるように制御するのは困難であった。
【0239】本実施の形態における3階調目のドットパ
ターンを形成する方法について図34 に戻って説明す
る。これまでの実施の形態のように単位画素区画が出力
画面上縦横に整然と配列される場合と異なり、隣り同士
の単位画素区画間に境界に沿った位置ズレが生じる場合
があるので、その境界における斥力ポテンシャルの処理
の仕方を変えなければならない。
【0240】図34 において、ドットパターンを形成
する単位画素区画43 の 1階調目のドット44を例に、そ
のドットに付与された斥力ポテンシャルの処理の仕方を
説明する。
【0241】その斥力ポテンシャルが単位画素区画43
の内部に及ぶ範囲を実線45 で示した。単位画素区画43
の上側の境界から外部にはみ出し、破線 46で表したポ
テンシャルの部分については、その境界に沿った単位画
素区画のズレはないのでそのままの形で下側の境界の内
部に平行移動する。ポテンシャルのこの部分は、単位画
素区画43 の下隣の単位画素区画中、単位画素区画43 の
1階調目のドット43に対応する同じく 1階調目のドット4
9に付与した斥力ポテンシャルが、単位画素区画43の内
部に及ぼすポテンシャル50に等しい。
【0242】単位画素区画 43 の左側斜め上に16画素分
ズレた単位画素区画にはみ出し、一点鎖線で表したポテ
ンシャルの部分47については、右側斜め下に16画素分ズ
レた単位画素区画中、単位画素区画43 の 1階調目のド
ット44 に対応する同じく1階調目のドット51 に付与し
た斥力ポテンシャルが、単位画素区画43 の内部に及ぼ
すポテンシャル52として移行させる。
【0243】単位画素区画 43 の左側斜め下に16画素分
ズレた単位画素区画にはみ出し、一点鎖線で表したポテ
ンシャルの部分47については、右側斜め上に16画素分ズ
レた単位画素区画中、単位画素区画43 の 1階調目のド
ット45 に対応する同じく1階調目のドット53 に付与し
た斥力ポテンシャルが、単位画素区画43 の内部に及ぼ
すポテンシャル54として移行しドット44 に付与された
斥力ポテンシャルの処理が完了する。
【0244】単位画素区画43 の内部に打たれた他のド
ットすべてに同様の方法で斥力ポテンシャルを付与し、
単位画素区画43 の内部で斥力ポテンシャルが最小とな
る画素55に3階調目の最初のドットを打つ。新たに打た
れたドットに付与された斥力ポテンシャルを重ねるよう
にして、残された三つの要素画素区画に一個ずつ新たな
ドットを打つことにより3階調目のドットパターンが完
成する。
【0245】以上、本実施の形態における斥力ポテンシ
ャルの単位画素区画の境界における処理の仕方を分かり
やすく説明するために、図34 では小規模な単位画素
区画と斥力ポテンシャルを用いたが、そのような処理の
仕方を、図36 の単位画素区画と図8で示した斥力ポ
テンシャルとに適用し、本実施の形態の3階調目のドッ
トパターンが作成出来る。
【0246】従って、3階調目以降については、境界に
おける斥力ポテンシャルの処理の仕方は変化したもの
の、第2の実施の形態について詳しく説明した図5 のス
テップS5 に従ってドットパターンを形成し、それらに
基づきマスクを作成した。
【0247】このようにして作成したマスクを用いて、
一様な濃度を持った入力画像について600dpiの BJプリ
ンタにより 256×256画素の画面サイズにドットパター
ンを出力した。8階調目のドットパターンを図37 に、
32階調目のドットパターンを図38に示す。これらの図
は、600dpiの BJプリンタにより得られた実画面を縦横1
0倍の大きさに拡大して出力した。64×64の単位マスク
に対応する単位画素区画はこれら画面の 1/16 の大きさ
であり、図26、27 に示されたドットの分布から、
単位マスク自体の持つ周期性を明確に読み取ることが出
来る。
【0248】図39、40 に、本実施の形態による単
位マスク一枚のみによって生成した32階調目のドットパ
ターン(64×64画素)に関する空間周波数特性を示す。図
39は半径方向の一次元周波数特性を示すが、ノイズ成
分の上にピークを持った孤立的スペクトルが何本も乗っ
ていることがわかる。
【0249】図40 は非等方性を示す。平均値は3dB
強の値を示し、マスク法では特に非等方的とされるレベ
ルの4dB を越える極大値を示すスペクトルが数多く存在
する。また、6dB程度の極大値を持つスペクトルも存在
するので、このドットパターンが非青色ノイズ特性を持
つことは明らかである。一次元周波数特性におけるピー
クと非等方性におけるピークの周波数が一致する場合、
例えば 0.24/s や 0.41/s 等はマスク自体の周期性に起
因するスペクトルである。
【0250】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態の単位マスクは明らかに非青色ノイズ特性を持
つ。図41、42 に、スペクトルを評価する際の基準
となる 256×256画素の画面サイズに生成した本実施の
形態の単位マスクによる 32階調目のドットパターンに
関する空間周波数特性を示す。図41 は半径方向の一
次元周波数特性を示し、実線が本実施の形態、破線は 2
56×256の大きさの青色ノイズマスクを用いた場合を示
す。ノイズ成分が極めて少なく、殆ど高く鋭いピークを
持った孤立的スペクトルによって構成されていると言っ
ても過言ではない。
【0251】図42 は非等方性を示す。実線は本実施
の形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスク
を用いた場合を示す。本実施の形態の場合には、平均値
自体が16dB程度と極めて強い非等方性を示し、極大値が
20dBを越えるスペクトルも存在する。他の階調でも同様
の非等方性を示すので、これまでの実施の形態の中では
最も非等方的である。
【0252】以上のように分散ドットディザ法と同様
の、極めて強い非等方性を示すにも拘らず、本実施の形
態では 64×64の大きさの青色ノイズマスクを用いた際
に現れる図73 に示されたような同一パターンの繰り
返しによる周期的な虚像は感知されなかった。
【0253】また、低い階調で陰影がなだらかに変化す
る入力画像を本実施の形態のマスクと256×256 の大き
さの青色ノイズマスクとを用いて処理した出力画像を比
較した場合においても、なだらかな陰影の再現性は本実
施の形態のマスクを用いた場合の方が若干上回った。こ
のようなドット分布に関する一様性の良さは本実施の形
態の場合においても数値的に裏づけられた。
【0254】以上のように視覚的に好ましいドットパタ
ーンを生成するマスクは、本実施の形態では図33 に
示したように 64×128 の大きさであったが、記憶装置
からの読み出し方を工夫することにより、64×64の大き
さの単位マスクを用いることが出来る。
【0255】この大きさは256×256の青色ノイズマスク
の大きさの1/16 である。しかも、4個の同じドットパタ
ーンを持つ要素画素区画の二組は全く同じ閾値配列を持
つので、独立した閾値配列を持った要素マスクの数は 1
0個となり、実質的には 10/256= 0.039、即ち約 1/25
となる。即ち、記憶装置からの読み出し方を工夫するこ
とにより、本実施の形態の単位マスクを記憶するための
記憶容量は 256×256の大きさの青色ノイズマスクの場
合の 1/25 で済ますことが出来る。
【0256】以上の評価結果は、本実施の形態のマスク
も、図68に示した青色ノイズ特性に関する理論体系(s
cheme)にではなく、図1 に示した新たな理論体系に基づ
いていることを示している。
【0257】〈第4の実施の形態〉本実施の形態の特徴
を持つ別のマスクの一つを作成する手順について説明す
る。
【0258】図43 は本実施の形態における単位マス
クに対応する単位画素区画の形状、大きさ、および同じ
ドット配列を持つ要素画素区画を示す。本実施の形態で
は、図から明らかなように、マスクの外形を十字型にし
たため、集団ドットディザ法に関する公知例(USP 4,75
3,822)から引用した図83、84に示されたと同様、プ
リンタの主走査方向とマスクの配列方向とに傾きを与え
ることが出来る。即ち、第3 の実施の形態では、マスク
の配列を出力画像面の x方向か y方向かどちらか一方向
にしかずらせられなかったが、本実施の形態では、二次
元的にずらすことが出来るので、主走査方向と副走査方
向のムラの両方に同時に対処出来る。
【0259】図43 において、濃いグレーで塗りつぶ
された5個の要素画素区画の組と、薄いグレーで塗りつ
ぶされた5個の要素画素区画の組とは、それぞれ全階調
において全く同じドット配列を持つ。従って要素画素区
画は全部で20個あるが、独立した要素マスクは12個とな
るので、単位マスクを記憶するための実質的な記憶容量
は 256×256 の大きさの青色ノイズマスクの場合の約 1
/20 で済ませられる。
【0260】本実施の形態において実際に作成した単位
マスクの外形を図44 に示す。2×2=4個の要素画素区
画を1ブロックとしたとき、この単位画素区画はAからD
までの5ブロックあり、それぞれのブロックは図43 に
示された AからDまでの5ブロックに対応する。従って、
マスクを二次元的に配列して得られるドットパターンは
図43 に示したマスクによるものと全く同じに出来る
が、マスクの外形を形作る辺の数が少ない分マスク作成
の際の境界における斥力ポテンシャルの処理が簡単にな
る。
【0261】図45 に単位マスクの配列の仕方に対応
する単位画素区画の配列の様子を示す。同図から容易に
わかるように、太い点線57 で示した160×160の正方形
のマスクとして用いることも出来る。
【0262】本実施の形態における図5 のステップS3
と S4 とを 図46 により説明する。第1階調目は、す
べての要素画素区画内の(4, 4)画素にドットを打つ。同
じドットパターンを持つ要素画素区画の組は、2階調目
を(12, 12)画素に打つ。これらのドットの位置は、分散
ドットディザ法の2階調目のドットパターンに一致す
る。個々の独立したドットパターンを持つ要素画素区画
における2階調目のドットパターンに不規則性(摂動)を
導入する方法は、第3の実施の形態と全く同様とする。
即ち、それらの要素画素区画の(12, 12)画素を中心とす
る 7×7 の小区画を設け、そこに含まれる各画素に図3
5 に示したガウス型の重み付けをした後ランダムに1画
素を選択する。このようにして単位画素区画に関する第
2階調目のドットパターンを図46 のように決めること
が出来る。
【0263】本実施の形態の場合も、単位画素区画の二
次元的な配列の仕方が単純ではないので、境界外に及ぶ
斥力ポテンシャルの処理の仕方が煩雑になる。しかし、
そのような場合の基本的な処理法は第3 の実施の形態で
詳しく説明したので、それに倣えば良い。
【0264】従って第3階調目以降のドットパターンの
形成の仕方は、第3 の実施の形態と同様にして図5 の
ステップS5 以下に従って作成出来、ディザマトリック
スが完成する。
【0265】このようにして作成したマスクを用いて、
一様な濃度を持った入力画像について600dpiの BJプリ
ンタにより 256×256画素の画面サイズにドットパター
ンを出力した。8階調目のドットパターンを図47 に、
32階調目のドットパターンを図48に示す。これらの図
は、600dpiの BJプリンタにより得られた上記の大きさ
の実画面を縦横10倍に拡大して出力した。図47、48
に示されたドットの分布から、単位マスク自体の持つ
周期性を読み取ることが出来る。
【0266】図49、50 に、本実施の形態に関わる
単位マスク一枚のみによって生成した 32階調目のドッ
トパターンに関する空間周波数特性を示す。図49 は
半径方向の一次元周波数特性を示す。空間周波数特性
は、通常、高速フーリエ変換(FFT)のアルゴリズムを用
いて評価するので画素区画が n を整数として 2n×2n
である必要がある。従 って、本実施の形態の場合は、1
28×128画素の画面サイズとし、単位画素区画の外部は
全画素にドットが打たれているとして評価した。
【0267】比較対象としての青色ノイズマスク法で
は、マスクの作成に高速フーリエ変換を用いるので本実
施の形態のような形状のマスクを設計することは極めて
困難である。
【0268】従って、ここでは、便宜的に128×128の青
色ノイズマスクで生成したドットパターンから、本実施
の形態の単位画素区画の形状に切り取ったドットパター
ンを用いて比較した。
【0269】図49 はそのようにして比較評価した単
位マスク一枚分の大きさの32階調目における一次元パワ
ースペクトル、図50は非等方性である。一次元パワー
スペクトルを見ると、二つの方法共に0.1/s、あるいは
0.15/s よりも低周波数側に極めて高いスペクトルがあ
る。これは正方形と異なる単位画素区画内のドットパタ
ーンをそれより大きい 128×128画素の画面で評価した
ことに起因する。従って、その影響の少ない 0.2/s 以
上の周波数領域で比較することにする。
【0270】一次元パワースペクトルでは、本実施の形
態の方が青色ノイズマスク法に比べ、相対的に高く鋭い
孤立スペクトルを有する。0.2/s以上の周波数領域で非
等方性を見ると、青色ノイズマスク法は平均的には 0dB
を示すので等方的である。非等方性の強いスペクトルで
も3dB弱の値であるので、その値自体は、摂動誤差拡散
法の最も高い非等方性を示すスペクトルとほぼ同等であ
る。一方、本実施の形態の場合は平均値が2dB強の値を
示し、特に非等方的とされるレベルの4dBを越える極大
値を示すスペクトルが数多く存在し、6dBを越えるスペ
クトルもあるので明らかに非等方的であり、従って非青
色ノイズ特性を持つと言える。参考に、単位画素区画自
体の形状の影響を取り除くため、本実施の形態の非等方
性の値から青色ノイズマスク法の非等方性の値を差し引
くと図51 が得られる。青色ノイズマスク法の場合を
等方的であるとすると、本実施の形態ではさらに非等方
性が強く現れる。
【0271】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態の単位マスクは明らかに非青色ノイズ特性を持
つ。本実施の形態のマスクが非青色ノイズ特性を持つこ
とは、別の角度からも裏付けられる。即ち、本実施の形
態の単位マスクは第3の実施の形態の単位マスクより大
きい分、周期性、従って非等方性が強くなる。第3の実
施の形態のマスクは非青色ノイズ特性を示したから、本
実施の形態のマスクが非青色ノイズ特性を持つことは当
然のこととなる。
【0272】図52、53 に、スペクトルを評価する
際の基準となる 256×256 画素の画面サイズに生成した
本実施の形態の単位マスクによる 32階調目のドットパ
ターンに関する空間周波数特性を示す。図52 は半径
方向の一次元周波数特性を示し、実線が本実施の形態、
破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスクを用いた
場合を示す。本実施の形態の場合、ノイズ成分が極めて
少なく、高く鋭いピークを持った孤立的スペクトルによ
って構成されている。
【0273】図53 は非等方性を示す。実線は本実施
の形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスク
を用いた場合を示す。本実施の形態の場合には、平均値
自体が12dB程度の極めて強い非等方性を示し、20dBを越
えるスペクトルも存在する。
【0274】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態のマスクで生成されるドットパターンは明らか
に青色ノイズパターンではない。
【0275】以上のように分散ドットディザ法と同様、
極めて強い非等方性を示すにも拘らず、本実施の形態の
0.8倍とほぼ同等の大きさを持つ 64×64の青色ノイズ
マスクに関し図73 のグレースケールで示したような
同一パターンの繰り返しによる周期的な虚像は殆ど感知
されなかった(本実施の形態のマスクによるグレースケ
ールを図67 に示した)。
【0276】また、低い階調で陰影がなだらかに変化す
る入力画像を本実施の形態のマスクと256×256 の大き
さの青色ノイズマスクとを用いて処理した出力画像を比
較した場合においても、なだらかな陰影の再現性は本実
施の形態のマスクを用いた場合の方が若干上回った。こ
のようなドット分布に関する一様性の良さは本実施の形
態の場合においても数値的に裏づけられた。
【0277】以上の評価結果は、本実施の形態のマスク
も、図68に示した青色ノイズ特性に関する理論体系(s
cheme)にではなく、図1 に示した新たな理論体系に基づ
いていることを示している。
【0278】〈第5の実施の形態〉本実施の形態の特徴
を持つさらに別のマスクの一つを作成する手順について
説明する。
【0279】図54 は本実施の形態における単位マス
クに対応する単位画素区画の形状、大きさ、および同じ
ドット配列を持つ要素画素区画の組を示す。本実施の形
態でも、マスクの外形を第4 の実施の形態と同様十字型
にしたため、主走査方向と副走査方向のムラの両方に同
時に対処出来る。
【0280】図54 において、個々の要素画素区画
が、☆や◆などのパターンで区別されているが、同じパ
ターンを持つ要素画素区画の組は、全階調において全く
同じドットパターンを持つ。この例では、要素画素区画
は全部で20個あるが、同一パターンを有する要素画素区
画の組が8組あるので、独立した要素マスクは10個とな
りこれまでに示した実施の形態の中では、第3 の実施の
形態と並んで独立した要素マスクの数が最も少ない。従
って、単位マスクを記憶するための記憶容量は256×256
の大きさの青色ノイズマスクの場合の 1/25 で済ませら
れる。
【0281】図55 は、本実施の形態において実際に
作成したマスクの外形を示し、この点に関しても第4 の
実施の形態と全く同じである。同図では、全く同じ閾値
配列を持つ要素マスクの組の配置を破線の矢印で示した
が、矢印58で示した一組を除き、それらの配置が一定の
周期性に従っていることが分かる。
【0282】図56 に単位マスクの配列の仕方に対応
する単位画素区画の配列の様子を示し、この場合も第4
の実施の形態と全く同じであり、太い点線59 で示した1
60×160の正方形のマスクにして用いることも出来る。
【0283】本実施の形態が第4 の実施の形態と異なる
点は、第2 階調目におけるドットパターンの決め方にあ
る。
【0284】一般に、マスクの大きさが小さくなりドッ
トパターンにムラがあると、単位画素区画の配列方向に
周期的な虚像が現れる。本実施の形態の配列方向をベク
トルpと qで表すと、pと qに平行な方向に最も縞模様が
現れ易くなる。ここで pとqは、単位画素区画が、隣接
する単位画素区画に向けて平行移動して重なり合うため
の方向と距離とを表し、それらのベクトルは互いに直交
している。
【0285】また、画素が x軸及び y軸と平行な格子点
上にしか位置し得ず、1階調目が、まさに格子点上に並
んでいるので、これら二つの方向にも、pと qの方向に
次いで、縞模様が現れる可能性が高い。
【0286】本実施の形態において、これらの縞模様が
現れにくくするための2階調目のドットパターンの決め
方について図57、58 を用いて説明する。
【0287】図57 は、2階調目までのドットが打たれ
ている単位画素区画である。各要素画素区画の(4, 4)画
素は1階調目のドットであり、(12, 12)画素を中心とす
る 7×7 の小区画内にはすでに 2階調目のドットが打た
れている。これら2階調目のドットは、小区画が持つ 7
×7=49画素 の中からランダムに決められた訳ではなく
予め定められた 4画素の一つから一定の規則に従って選
択されている。その選択のための規則性をベクトルpに
平行な直線上に位置する二つの小区画60、61と、ベクト
ルqに平行な直線上に位置する二つの小区画60、62とを
例にとり、図58を用いて説明する。
【0288】図57 において、小区画60 と61 とをpの
方向から見て、また小区画60 と62とをqの方向から見て
みたとき、どちらの方向から見てもそれぞれの小画素区
画の中心から等距離になる画素の位置は pと qのなす角
度を二等分する方向にある。
【0289】また、それぞれの小画素区画を x軸と y軸
の方向から見た時、同じくどちらの方向から見てもそれ
ぞれの小画素区画の中心から等距離になる画素の位置は
x軸と y軸のなす角度を二等分する方向にある。
【0290】以上の考察結果を図示すると図58 が得
られる。同図において、小画素区画66の中心を原点とし
xy座標系を設定し、二つのベクトルも記入する。第1象
限において二つの座標軸のなす角度を2等分する線と二
つのベクトルがなす角度を2等分する線とを一点鎖線で
記入した。他の象限も同様である。小区画の中から画素
は一個しか選べないので、それぞれの象限で二本の 2等
分線に挟まれた領域の中から選ぶようにすれば良い。そ
うすると、それぞれの象限において選ばれるべき画素が
例えば4個、67、68、69、70として決まる。
【0291】従って、図57 で、小区画60の中から2階
調目のドットを打つ画素を、図58の画素67 に相当す
る画素に決め、その位置をベクトル aで表した時、小区
画61と62の中からはドット分布の偏りを避けるため -a
に位置する画素がそれぞれ選択される。
【0292】ブロックAの中の他の三つの小区画63、6
4、65については、同じく二方向から見た時のドットの
偏りを避けるため、図58 の残りの象限に位置する画
素68、69、70 に相当する画素がそれぞれ選択され、そ
れに応じ他のブロックにおいてそれぞれ二つずつの小区
画で選択される画素が決まる。他の小区画においても同
様の決め方により図58 の4画素の一つに相当する画素
を選択し、そのような決め方が出来ない場合も、二方向
から見た時のドットの偏りを避けるように図58の4画
素の一つに相当する画素を選択し、全要素画素区画に第
2階調目のドットをすべて打ち終えた段階が図57に示
されている。
【0293】本実施の形態の場合、図5 に示したアル
ゴリズム上の順序とは逆であるが、第2階調目に打つド
ットの位置を決めた後に図55 に示された同じドット
パターンを持つ要素画素区画の組を決める。例えば、A
ブロックの 1番目の要素画素区画と Bブロックの 4番目
の要素画素区画を一組とし、Eブロックの 3番目の要素
画素区画と Cブロックの 2番目の要素画素区画を一組と
するというようにしてそれぞれの組を決めて行き図55
に示された組み合わせを決める。
【0294】第3階調目以降のドットパターンの形成の
仕方は、第3 の実施の形態、あるいは第4の実施の形態
と同様にして図5 のステップS5 以下に従って作成出
来、ディザマトリックスが完成する。
【0295】このようにして作成したマスクを用いて、
一様な濃度を持った入力画像について600dpiの BJプリ
ンタにより 256×256画素の画面サイズにドットパター
ンを出力した。8階調目のドットパターンを図59 に、
32階調目のドットパターンを図60に示す。これらの図
は、600dpiの BJプリンタにより得られた実画面を縦横1
0倍の大きさに拡大して出力した。第3 の実施の形態以
下、小規模のマスクを用いた中では、一様性が最も優れ
ていて、また、本実施の形態の狙い通り、x軸、及び y
軸方向に平行なドット分布のムラもない。
【0296】図61、62、63 に、本実施の形態に
よる単位マスク一枚のみによって生成した 32階調目の
ドットパターンに関する空間周波数特性を示す。マスク
の形状が第4 の実施の形態と同じであるので、マスク一
枚分のドットパターンに関する空間周波数特性は、第4
の実施の形態の場合と同様の方法で評価した。
【0297】図61 はそのようにして比較評価した32
階調目の一次元パワースペクトル、図62 は非等方性
である。二つの方法共に 0.1/s、あるいは 0.15/s より
も低周波数側に異形の単位画素区画を正方形の画面で評
価したことに起因する高いスペクトルがあるので、その
影響の少ない 0.2/s 以上の周波数領域で比較する。
【0298】一次元パワースペクトルでは、本実施の形
態の方が青色ノイズマスク法に比べ、相対的に高い孤立
スペクトルを有するが、第4 の実施の形態に比べると違
いは少ない。 0.2/s 以上の周波数領域で非等方性を見
ると、青色ノイズマスク法は平均的には0dBを示すので
等方的であり、非等方性の強いスペクトルでも摂動誤差
拡散法の最も高い非等方性を示す階調でのスペクトルと
同等である。一方、本実施の形態の場合は平均値は 1.2
dBで、特に非等方的とされるレベルの4dBを越え5dBの極
大値を持つスペクトルも1本ある。このように、マスク
法における非青色ノイズ特性の条件を満たしているの
で、このマスク1枚分のドットパターンも非青色ノイズ
特性を持つと言える。参考に、単位画素区画が異形であ
るための影響を取り除くため、本実施の形態の非等方性
の値から青色ノイズマスク法の非等方性の値を差し引く
と図63 が得られた。青色ノイズマスク法の場合を等
方的であるとすると、本実施の形態でもさらに非等方性
が強く現れ、5dBを越えるスペクトルが2本見られる。本
実施の形態でも一次元のパワースペクトルと非等方性の
スペクトルで、孤立的スペクトルの周波数が一致する場
合が複数認められるが、これらはマスク自体に周期性が
あることを示す。
【0299】他の階調では、32階調目と同等の非等方性
を示す階調と、スペクトルの極大値がそれより若干低い
値を示す階調とがほぼ半々であった。本実施の形態の単
位マスクは、マスク自体が周期構造を持つことを反映
し、比較可能な6階調の内 3階調で良好な等方性を示す
Ulichney による摂動誤差拡散法よりも非等方的であ
る。従って平均値が等方的であることを示す青色ノイズ
マスク法とは基本的に異なる特性を持つ。
【0300】図64、65 に、スペクトルを評価する
際の基準となる 256×256 画素の画面サイズに生成した
本実施の形態の単位マスクによる 32階調目のドットパ
ターンに関する空間周波数特性を示す。図64 は半径
方向の一次元周波数特性を示し、実線が本実施の形態、
破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスクを用いた
場合を示す。本実施の形態はノイズ成分が少なく、高く
鋭いピークを持った孤立的スペクトルによって構成され
ている。
【0301】図65 は非等方性を示す。実線は本実施
の形態、破線は 256×256の大きさの青色ノイズマスク
を用いた場合を示す。本実施の形態の場合には、平均値
自体が10dB程度の極めて強い非等方性を示す。
【0302】以上のようなスペクトル特性は 32階調目
に限らず他のすべての階調において見られるので、本実
施の形態のマスクで基準画面内に生成されるドットパタ
ーンは明らかに非青色ノイズ特性を持つ。
【0303】以上のように極めて強い非等方性を示すに
も拘らず、大きさでは本実施の形態のマスクと同等(0.8
倍)の 64×64の青色ノイズマスクに関し図73 のグレ
ースケールで示したような同一パターンの繰り返しによ
る周期的な虚像は殆ど感知されなかった。
【0304】また、低い階調で陰影がなだらかに変化す
る入力画像を本実施の形態のマスクと256×256 の大き
さの青色ノイズマスクとを用いて処理した出力画像を比
較した場合においても、なだらかな陰影の再現性は本実
施の形態のマスクを用いた場合の方が若干上回った。こ
の結果は、600dpiのプリンタを用いた場合の最適サイズ
である256×256の大きさの青色ノイズマスクの約1/13
(実質的には 1/25)の大きさしかない本実施の形態のマ
スクの中間調再現性能が青色ノイズマスクの性能と同等
か若干上回ることを示している。
【0305】以上の評価結果は、本実施の形態のマスク
も、図68に示した青色ノイズ特性に関する理論体系(s
cheme)にではなく、図1 に示した新たな理論体系に基づ
いていることを証明している。
【0306】以上詳しく説明したように、従来の青色ノ
イズマスク法では、マスクサイズを小さくして、基準サ
イズで評価すると虚像が発生していたが、本実施の形態
によれば、基準となる大きさの画素区画より小さいサイ
ズのマスクを用いて前記基準となる大きさの画素区画内
に生成するドットパターンが、視覚的に好ましくない程
のコントラストを有するモアレやマスク自体に起因する
一定の繰り返しパターン等の虚像を発生することがない
ので、小さいサイズのマスクで、一様性に優れた高画質
な画像を得ることができる。
【0307】また、マスク単独により生成されるドット
パターンが全ての階調で、非青色ノイズ特性としたこと
で、つまり、規則性を持たせたことで、一様性に優れた
高画質な画像を得ることが出来る。
【0308】また、これまでの分散ドットディザ法の持
つ規則性を基本にそのドット配列に弱い揺らぎ(摂動)を
与えることにより、分散ドットディザ法に固有の、(1)
モアレが発生し易い、(2) 画面に規則的な模様が現れ
る、(3) 紙送りムラが縞状ノイズとして現れ易い、とい
う三つの欠点をすべて取り除き、(i) 全ての階調におい
てドット分布の一様性が高い、(ii) マスクの大きさが
小さい、という優れた特徴を生かした階調再現が可能と
なった。
【0309】これらは、例えば、第2の実施の形態のマ
スクによる図66に示したグレースケールや、第4の実
施の形態のマスクによる図67に示したグレースケール
により実証された。
【0310】両図とも600dpiのプリンタを用いて出力し
た上段左から右へ30、31、32階調目、中段左から右へ4
0、41、42階調目、下段左から右へ50、51、52階調目の
ドットパターンを示す。これらは、同様に256×256の大
きさの青色ノイズマスクを用いて出力した図71 のグ
レースケールと比較しても勝るとも劣らない画質を有し
ている。それにも関わらず、第2の実施の形態のマスク
の大きさは 128×128で上記青色ノイズマスクの 1/4で
あるが、同じ閾値配列を持つ要素マスクが複数あるの
で、実質的には約1/8 となる。また、第4の実施の形態
のマスクは、上記青色ノイズマスクの約1/13 である
が、同じ閾値配列を持つ要素マスクが複数あるので、実
質的には約1/20 で済ませられる。ディジタルカメラに
よるダイレクトプリントシステムにはうってつけの階調
再現方法と言える。
【0311】更に本実施の形態の方法は、分散ドットデ
ィザ法の持つ規則性の多くを受け継いでいる。従って分
散ドットディザ法がそうであるように、プリンタの精細
度が上がれば上がる程画質が向上するので、最近の 120
0dpiクラスのプリンタにそのまま適用しても良好な画質
が得られることが保証される。青色ノイズマスクのよう
に、プリンタの精細度が上がると、より大きなマスクを
必要とすると言うことがない。
【0312】さらに本実施の形態の方法は、第1階調目
が、周期性パターンかまたは擬似周期性パターンとな
り、さらに高階調においても、マスクの内部に周期性を
持っているので、ドットパターンを見れば、それらの周
期性から本実施の形態のアルゴリズムを用いていること
が直ちに判明する。
【0313】以上のように、図1 に示した理論体系に基
づく本実施の形態の階調再現法は、(1) 画質が良い、
(2) マスクが小型、(3) ソフト盗用の防止が可能、(4)
高精細プリンタにより好適に用いられる、という特徴を
持つので、現在から近い将来にむけての高精細ディジタ
ル画像時代に最もふさわしい方法である。ところで、本
発明の階調再現装置が、容量の大きな記憶媒体を含む場
合には、各実施の形態で用いた小型のマスクに限らず、
例えばより大きな256×256の大きさのマスクを用いるこ
とができる。
【0314】なお、前述の実施の形態では、入力画像デ
ータを二値のデータに変換する場合を説明したが、本発
明はこれに限定されるものではなく、三値以上の多値デ
ータに変換する場合に適用することができる。
【0315】三値データに変換する場合について説明す
る。
【0316】出力装置が例えばインクジェットプリンタ
であるとし、そのプリンタが濃淡二つのインクを持つ場
合、表現できる値は三値となる。
【0317】入力データが1画素8ビットの256階調
のデータであるとすると、128階調目までの入力デー
タはその値を2倍にし、前記実施の形態で作成されたマ
スクにより、2値化する。この結果1となった場合は淡イ
ンクを出力する、入力データが129階調以降256階調目ま
では、そのまま、前記実施の形態で作成されたマスクに
より2値化し、その結果1となった場合は濃インクを出力
する。また、別の方法としては、128階調目までは、前
記実施の形態で作成したマスクの個々の閾値を1/2
(少数の場合は切り捨て)したマスクを別途用意し、淡
インク用のマスクとしてもよい。このようにすると、12
8階調目以下の低い階調は濃インクだけで出力する場合
に比べ、打たれるドットの数が2倍になるので、入力画
像が低階調で緩やかに変化する部分を滑らかに再現でき
る。
【0318】従って、人の肌の部分などの階調変化の再
現性を高めるためにはこの様な多値化技術は重要であ
り、その際に本実施の形態で作成されたマスクを応用す
ることにより、画質の一層優れた出力画像を得ることが
できる。
【0319】また、本発明をカラー画像処理に応用する
場合は、色(例えばY/M/C/K)ごとに、前記実施
の形態で作成された、マスクを用い、2値又は多値化処
理すればよい。
【0320】また、本発明は、例えば、ホストコンピュ
ータ,インタフェイス機器,リーダ,プリンタ等の複数
のデバイスによって構成されるシステムにも適用でき、
更に、例えば、複写機、ファクシミリ装置等の単体の装
置に適用できる。
【0321】また、本発明は、前述した実施形態の機能
を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した
記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシス
テムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が
記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行す
ることにも適用できる。
【0322】この場合、記憶媒体から読み出されたプロ
グラムコード自体が、上述した実施形態の機能を実現す
ることになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒
体は本発明を構成することになる。
【0323】プログラムコードを供給するための記憶媒
体としては、例えば、フロッビディスク,ハードディス
ク,光ディスク,光磁気ディスク,CD一ROM,CD一R,磁
気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM等を用いるこ
とができる。
【0324】また、コンピュータが読み出したプログラ
ムコードを実行することにより、上述した実施形態の機
能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指
示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレ
ーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部
を行ない、その処理によって、上述した実施形態の機能
が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0325】さらに、記憶媒体から読み出されたプログ
ラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボー
ドやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わ
るメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示
に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備
わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行ない、そ
の処理によって、上述した実施形態の機能が実現される
場合も含まれることは言うまでもない。
【0326】
【発明の効果】以上説明した如く本発明によれば、小型
のマスクでドット分布の一様性に優れた高画質な画像を
得ることができるとともに、高精細プリンタにおいても
マスクサイズを大きくする必要が無く、マスクを記憶し
ておくためのメモリ容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のマスク法が準拠する理論体系を
示す図である。
【図2】本実施の形態の方法の規則性(2)と(3)を説明す
る図である。
【図3】本実施の形態の方法の規則性(4)を説明する図
である。
【図4】本実施の形態の方法の規則性(1)と(4)を説明す
る図である。
【図5】本実施の形態のディザマトリックスを得るまで
の各ステップの流れを示すフローチャートである。
【図6】2階調目のドットパターンに摂動を加える方法
を説明する図である。
【図7】斥力ポテンシャルの形状を概略的に示す図であ
る。
【図8】実施の形態において用いられた斥力ポテンシャ
ルを具体的に示す図である。
【図9】3階調目以降のドットパターンの形成方法を説
明するための図である。
【図10】図5のフローチャートでステップS3を変更
し、1階調目で擬似周期性パターンを与える方法を示す
図である。
【図11】図5のステップS3を変更した場合に2階調目
以降のステップの一例を示した図である。
【図12】図5のステップS3を変更した場合に2階調目
以降のステップの他の例を示した図である。
【図13】本実施の形態の画像を処理するための基本シ
ステムの構成例を示す図である。
【図14】第1の実施の形態における単位マスクに対応
する単位画素区画の形状、大きさ、及び同じドット配列
を持つ要素画素区画の組を示す図である。
【図15】第1の実施の形態における単位画素区画が出
力画面上二次元的に配列される様子を示す図である。
【図16】第1の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図17】第1の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した8階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図18】第1の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した32階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図19】第1の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図20】第1の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図21】第1の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図22】第1の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図23】第2の実施の形態における単位マスクに対応
する単位画素区画の形状、大きさ、及び同じドット配列
を持つ要素画素区画の組を示す図である。
【図24】第2の実施の形態における単位画素区画が出
力画面上二次元的に配列される様子を示す図である。
【図25】第2の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図26】第2の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した8階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図27】第2の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した32階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図28】第2の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図29】第2の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図30】第2の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図31】第2の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図32】第3の実施の形態における単位マスクに対応
する単位画素区画の形状、大きさ、及び同じドット配列
を持つ要素画素区画の組を示す図である。
【図33】第3の実施の形態における単位画素区画が出
力画面上二次元的に配列される様子を示す図である。
【図34】第3の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図35】第3の実施の形態において小画素区画内から2
階調目のドットを打つ1画素を確率的に決める際に小画
素区画に付与するガウス型の重み付けを示す図である。
【図36】第3の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図37】第3の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した8階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図38】第3の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した32階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図39】第3の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図40】第3の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図41】第3の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図42】第3の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図43】第4の実施の形態において最初に想定された
単位マスクに対応する単位画素区画の形状、大きさ、及
び同じドット配列を持つ要素画素区画の組を示す図であ
る。
【図44】第4の実施の形態において実際に作成した単
位マスクに対応する単位画素区画の形状、大きさ、及び
同じドット配列を持つ要素画素区画の組を示す図であ
る。
【図45】第4の実施の形態における単位画素区画が出
力画面上二次元的に配列される様子を示す図である。
【図46】第4の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図47】第4の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した8階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図48】第4の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した32階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図49】第4の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図50】第4の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図51】第4の実施の形態における単位マスクの形状
異方性の影響を除くため、本実施の形態における単位マ
スク一枚のみによって生成した32階調目のドットパター
ンに関する非等方性の値から同一マスク形状に切り取っ
た青色マスクによるドットパターンに関する非等方性の
値を差し引いた値を示す図である。
【図52】第4の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図53】第4の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図54】第5の実施の形態において最初に想定された
単位マスクに対応する単位画素区画の形状、大きさ、及
び同じドット配列を持つ要素画素区画の組を示す図であ
る。
【図55】第5の実施の形態において実際に作成した単
位マスクに対応する単位画素区画の形状、大きさ、及び
同じドット配列を持つ要素画素区画の組を示す図であ
る。
【図56】第5の実施の形態における単位画素区画が出
力画面上二次元的に配列される様子を示す図である。
【図57】第5の実施の形態における図5のフローチャ
ートのステップS3とS4とを説明するための図である。
【図58】第5の実施の形態において小画素区画内から2
階調目のドットを打つ1画素を選択するための規則を説
明するための図である。
【図59】第5の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した8階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図60】第5の実施の形態において256×256画素の大
きさの画面内に生成した32階調目のドットパターンを10
倍に拡大して示した図である。
【図61】第5の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図62】第5の実施の形態における単位マスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図63】第4の実施の形態における単位マスクの形状
異方性の影響を除くため、本実施の形態における単位マ
スク一枚のみによって生成した32階調目のドットパター
ンに関する非等方性の値から同一マスク形状に切り取っ
た青色マスクによるドットパターンに関する非等方性の
値を差し引いた値をす図である。
【図64】第5の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図65】第5の実施の形態における単位マスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図66】600dpiのプリンタで第2の実施の形態のマス
クを用いて出力したグレースケールの一部を等倍コピー
した図である。
【図67】600dpiのプリンタで第4の実施の形態のマス
クを用いて出力したグレースケールの一部を等倍コピー
した図である。
【図68】青色ノイズ特性を持つディザ法が準拠する理
論体系を示す図である。
【図69】組織的ディザ法の1階調目のドットパターン
を示す図である。
【図70】青色ノイズマスク法の1階調目のドットパタ
ーンを示す図である。
【図71】600dpiのプリンタで256×256の大きさの青色
ノイズマスクを用いて出力したグレースケールの一部を
等倍コピーした図である。
【図72】600dpiのプリンタで128×128の大きさの青色
ノイズマスクを用いて出力したグレースケールの一部を
等倍コピーした図である。
【図73】600dpiのプリンタで64×64の大きさの青色ノ
イズマスクを用いて出力したグレースケールの一部を等
倍コピーした図である。
【図74】128×128の大きさの青色ノイズマスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
半径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図75】128×128の大きさの青色ノイズマスク一枚の
みによって生成した32階調目のドットパターンに関する
非等方性を示す図である。
【図76】128×128の大きさの青色ノイズマスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特
性を示す図である。
【図77】128×128の大きさの青色ノイズマスクによっ
て256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目の
ドットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図78】64×64の大きさの青色ノイズマスク一枚のみ
によって生成した32階調目のドットパターンに関する半
径方向の一次元空間周波数特性を示す図である。
【図79】64×64の大きさの青色ノイズマスク一枚のみ
によって生成した32階調目のドットパターンに関する非
等方性を示す図である。
【図80】64×64の大きさの青色ノイズマスクによって
256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目のド
ットパターンに関する半径方向の一次元空間周波数特性
を示す図である。
【図81】64×64の大きさの青色ノイズマスクによって
256×256画素の大きさの画面内に生成した32階調目のド
ットパターンに関する非等方性を示す図である。
【図82】中間調再現スクリーンに擬似周期的不規則パ
ターンを用いた公知の技術を示す図である。
【図83】集団ドットディザ法において閾値マトリック
スの形状を十字型にした公知の技術を示す図である。
【図84】集団ドットディザ法において閾値マトリック
スの形状を十字型にした公知の技術において、1階調目
のドットパターンに弱い不規則性(摂動)が導入されたこ
とを示す図である。
【符号の説明】
1 1階調目にドットを打たれた画素 2 2階調目にドットを打たれた画素 3 3階調目にドットを打たれた画素 4 4階調目にドットを打たれた画素 5、6、7 同じドットパターンを持つ要素画素区画 8、9、10 独立したドットパターンを持つ要素画素
区画 11、12、13 小画素区画 14、15、16、17 要素画素区画 18 単位画素区画 19、20、21、22 要素画素区画14の部分画素
区画 23、24、25、26 1階調目のドット 27 ドット23に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画18の内部に及ぶ範囲を示す円弧 28、29、30 ドット23に付与された斥力ポテン
シャルが単位画素区画18の外部に及ぶ範囲を示す円弧 31 ドット23が打たれた画素に対応する、単位画素
区画18の右隣の単位画素区画内の画素に打たれたドッ
ト 32 ドット31に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画18の内部に及ぶ範囲を示す円弧 33 ドット23が打たれた画素に対応する、単位画素
区画18の下隣の単位画素区画内の画素に打たれたドッ
ト 34 ドット33に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画18の内部に及ぶ範囲を示す円弧 35 ドット23が打たれた画素に対応する、単位画素
区画18の右斜め上の単位画素区画内の画素に打たれた
ドット 36 ドット35に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画18の内部に及ぶ範囲を示す円弧 37 単位画素区画18の内部で斥力ポテンシャルが最
小となる画素 38 要素画素区画17の内部で画素37に対応する位
置にある画素 39、40、41、42 小画素区画 43 単位画素区画 44 1階調目のドット 45 ドット44に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画43の内部に及ぶ範囲を示す円弧 46、47、48 ドット44に付与された斥力ポテン
シャルが単位画素区画43の外部に及ぶ範囲を示す円弧 49 ドット44が打たれた画素に対応する、単位画素
区画43の下隣の単位画素区画内の画素に打たれたドッ
ト 50 ドット49に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画43の内部に及ぶ範囲を示す円弧 51 ドット44が打たれた画素に対応する、単位画素
区画43の右側斜め下に16画素分ずれた単位画素区画
内の画素に打たれたドット 52 ドット51に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画43の内部に及ぶ範囲を示す円弧 53 ドット44が打たれた画素に対応する、単位画素
区画43の右側斜め上に16画素分ずれた単位画素区画
内の画素に打たれたドット 54 ドット53に付与された斥力ポテンシャルが単位
画素区画43の内部に及ぶ範囲を示す円弧 55 単位画素区画43の内部で斥力ポテンシャルが最
小となる画素

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原画の各画素と閾値マトリックス(マス
    ク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画素
    における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現方
    法において、 基準となる大きさの画素区画より小さいサイズのマスク
    を用いて前記基準となる大きさの画素区画内に生成する
    ドットパターンがすべての階調で非青色ノイズ特性を持
    ち、かつ、入力画像を階調処理し、およそ600dpi以上の
    精細度を持つ出力装置により出力した場合に、出力画像
    に、視覚的に好ましくない程のコントラストを有するモ
    アレやマスク自体に起因する一定の繰り返しパターン等
    の虚像が発生しないことを特徴とする階調再現方法。
  2. 【請求項2】 前記マスク単独により生成されるドット
    パターンが、すべての階調で非等方性の平均値として1d
    B程度以上の値を有することを特徴とする請求項1に記
    載の階調再現方法。
  3. 【請求項3】 原画の各画素と閾値マトリックス(マス
    ク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画素
    における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現方
    法において、 前記マスク単独により生成されるドットパターンが、す
    べての階調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、出力画像
    に、視覚的に好ましくない程のコントラストを有するモ
    アレやマスク自体に起因する一定の繰り返しパターン等
    の虚像が発生しないことを特徴とする階調再現方法。
  4. 【請求項4】 原画の各画素と閾値マトリックス(マス
    ク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画素
    における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現方
    法において、 前記マスク単独により生成されるドットパターンの二次
    元空間周波数スペクトルが、すべての階調でマスクの持
    つ周期性に起因する複数の孤立スペクトルを持つと共
    に、複数の階調で、該階調のドットの分布に弱い不規則
    性(摂動)を導入し、一次元半径方向のスペクトルに低周
    波数成分の少ないノイズ成分を持たせることにより、階
    調処理をした出力画像に、視覚的に好ましくない虚像が
    発生しないことを特徴とする階調再現方法。
  5. 【請求項5】 原画の各画素と閾値マトリックス(マス
    ク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画素
    における濃度を二値あるいは多値で表現するために、同
    一の閾値配列を持った比較的小規模の閾値マトリックス
    を原画全体に対応して二次元的かつ規則的に配列して用
    いる階調再現方法において、 該マスクが、分散ドットディザ法のマスクと同じ大きさ
    のマスク(要素マスク)を複数並べた大きさを持ち、か
    つ、該マスクにより生成されるドットパターンが、 (1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドット
    の分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を持
    ち、 (2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調におい
    て弱い不規則性、または、擬似周期性が導入され、 (3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のドット
    の数が等しく、 (4)4n(nは整数)階調毎に、各要素画素区画を四等分した
    大きさを持つ四つの部分要素画素区画内のドットの数が
    すべて等しくなる、 ことを特徴とする階調再現方法。
  6. 【請求項6】 前記マスクを二次元的かつ規則的に繰り
    返し用いる際に、隣り合ったマスクをそれらの境界に沿
    ってずらすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1
    つに記載の階調再現方法。
  7. 【請求項7】 前記マスクの形状が4辺形と異なること
    を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の階調
    再現方法。
  8. 【請求項8】 前記弱い不規則性、または、擬似周期性
    が、前記各要素マスクに対応する各要素画素区画内のす
    べてかまたは一部の所定の位置に、該区画内の全画素数
    の1/4以下の画素数を持つ小画素区画を設け、それぞれ
    の小画素区画の中でドットを打つべき一つの画素を選択
    することにより導入されることを特徴とする請求項5乃
    至7のいずれか1つに記載の階調再現方法。
  9. 【請求項9】 前記マスクを作成するために各階調にお
    けるドットパターンを定める方法として、ある階調にお
    けるドットパターンが定まった場合、すべてのドットに
    斥力ポテンシャルを付与し、それらポテンシャルの和と
    して定まるポテンシャルが最低となる画素に次ぎの階調
    におけるドットパターンを定めるためのドットを打つと
    いう過程を用いることを特徴とする請求項1乃至8のいず
    れか1つに記載の階調再現方法。
  10. 【請求項10】 カラー画像を複数の色成分に分解し、
    少なくとも一つの色成分の原画を入力画像とし、請求項
    1乃至9のいずれか1つに記載の階調再現方法を適用した
    カラー画像の階調再現方法。
  11. 【請求項11】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    装置において、 閾値マトリックスを記憶する記憶手段と、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較する比較手段と、 前記比較手段の比較結果に応じて、二値あるいは多値化
    されたドットパターンを出力する出力手段とを有し、 前記閾値マトリックスは、そのサイズは基準となる大き
    さの画素区画より小さいサイズであり、前記基準となる
    大きさの画素区画内に生成されるドットパターンがすべ
    ての階調で非青色ノイズ特性を持ち、かつ、入力画像を
    階調処理し、およそ600dpi以上の精細度を持つ出力装置
    により出力した場合に、出力画像に、視覚的に好ましく
    ない程のコントラストを有するモアレやマスク自体に起
    因する一定の繰り返しパターン等の虚像が発生しないこ
    とを特徴とする階調再現装置。
  12. 【請求項12】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    装置において、 閾値マトリックスを記憶する記憶手段と、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較する比較手段と、 前記比較手段の比較結果に応じて、二値あるいは多値化
    されたドットパターンを出力する出力手段とを有し、 前記閾値マトリックスは、前記閾値マトリックス単独に
    より生成されるドットパターンが、すべての階調で非青
    色ノイズ特性を持ち、かつ、出力画像に、視覚的に好ま
    しくない程のコントラストを有するモアレやマスク自体
    に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像が発生しな
    いことを特徴とする階調再現装置。
  13. 【請求項13】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    装置において、 閾値マトリックスを記憶する記憶手段と、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較する比較手段と、 前記比較手段の比較結果に応じて、二値あるいは多値化
    されたドットパターンを出力する出力手段とを有し、 前記閾値マトリックスは、単独の閾値マトリックスによ
    り生成されるドットパターンの二次元空間周波数スペク
    トルが、すべての階調で閾値マトリックスの持つ周期性
    に起因する複数の孤立スペクトルを持つと共に、複数の
    階調で、該階調のドットの分布に弱い不規則性(摂動)を
    導入し、一次元半径方向のスペクトルに低周波数成分の
    少ないノイズ成分を持たせることにより、階調処理をし
    た出力画像に、視覚的に好ましくない虚像が発生しない
    ことを特徴とする階調再現装置。
  14. 【請求項14】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    装置において、 閾値マトリックスを記憶する記憶手段と、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較する比較手段と、 前記比較手段の比較結果に応じて、二値あるいは多値化
    されたドットパターンを出力する出力手段とを有し、 前記閾値マトリックスは、分散ドットディザ法のマスク
    と同じ大きさのマスク(要素マスク)を複数並べた大きさ
    を持ち、かつ、生成されるドットパターンが、 (1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドット
    の分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を持
    ち、 (2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調におい
    て弱い不規則性、または、擬似周期性が導入され、 (3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のドット
    の数が等しく、 (4)4n(nは整数)階調毎に、各要素画素区画を四等分した
    大きさを持つ四つの部分要素画素区画内のドットの数が
    すべて等しくなる、 ことを特徴とする階調再現装置。
  15. 【請求項15】 原画の各画素における濃度を二値ある
    いは多値のデータに変換する際に用いられる閾値マトリ
    ックスにおいて、 そのサイズは基準となる大きさの画素区画より小さいサ
    イズであり、前記基準となる大きさの画素区画内に生成
    されるドットパターンがすべての階調で非青色ノイズ特
    性を持ち、かつ、入力画像を階調処理し、およそ600dpi
    以上の精細度を持つ出力装置により出力した場合に、出
    力画像に、視覚的に好ましくない程のコントラストを有
    するモアレやマスク自体に起因する一定の繰り返しパタ
    ーン等の虚像が発生しないことを特徴とする閾値マトリ
    ックス。
  16. 【請求項16】 原画の各画素における濃度を二値ある
    いは多値のデータに変換する際に用いられる閾値マトリ
    ックスにおいて、 前記閾値マトリックス単独により生成されるドットパタ
    ーンが、すべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、か
    つ、出力画像に、視覚的に好ましくない程のコントラス
    トを有するモアレやマスク自体に起因する一定の繰り返
    しパターン等の虚像が発生しないことを特徴とする閾値
    マトリックス。
  17. 【請求項17】 原画の各画素における濃度を二値ある
    いは多値のデータに変換する際に用いられる閾値マトリ
    ックスにおいて、 単独の閾値マトリックスにより生成されるドットパター
    ンの二次元空間周波数スペクトルが、すべての階調で閾
    値マトリックスの持つ周期性に起因する複数の孤立スペ
    クトルを持つと共に、複数の階調で、該階調のドットの
    分布に弱い不規則性(摂動)を導入し、一次元半径方向の
    スペクトルに低周波数成分の少ないノイズ成分を持たせ
    ることにより、階調処理をした出力画像に、視覚的に好
    ましくない虚像が発生しないことを特徴とする閾値マト
    リックス。
  18. 【請求項18】 原画の各画素における濃度を二値ある
    いは多値のデータに変換する際に用いられる閾値マトリ
    ックスにおいて、 分散ドットディザ法のマスクと同じ大きさのマスク(要
    素マスク)を複数並べた大きさを持ち、かつ、生成され
    るドットパターンが、 (1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドット
    の分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を持
    ち、 (2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調におい
    て弱い不規則性、または、擬似周期性が導入され、 (3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のドット
    の数が等しく、 (4)4n(nは整数)階調毎に、各要素画素区画を四等分した
    大きさを持つ四つの部分要素画素区画内のドットの数が
    すべて等しくなる、 ことを特徴とする閾値マトリックス。
  19. 【請求項19】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    処理を制御する制御プログラムをコンピュータ読み出し
    可能に記憶する記憶媒体であって、 基準となる大きさの画素区画より小さいサイズであり、
    前記基準となる大きさの画素区画内に生成されるドット
    パターンがすべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、か
    つ、入力画像を階調処理し、およそ600dpi以上の精細度
    を持つ出力装置により出力した場合に、出力画像に、視
    覚的に好ましくない程のコントラストを有するモアレや
    マスク自体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像
    が発生しない閾値マトリックスと、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較して、前記比較結果に応じて、二
    値あるいは多値化されたドットパターンを出力するよう
    制御するモジュールを含むことを特徴とする記憶媒体。
  20. 【請求項20】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    処理を制御する制御プログラムをコンピュータ読み出し
    可能に記憶する記憶媒体であって、 前記閾値マトリックス単独により生成されるドットパタ
    ーンが、すべての階調で非青色ノイズ特性を持ち、か
    つ、出力画像に、視覚的に好ましくない程のコントラス
    トを有するモアレやマスク自体に起因する一定の繰り返
    しパターン等の虚像が発生しないことを特徴とする閾値
    マトリックスと、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較して、前記比較結果に応じて、二
    値あるいは多値化されたドットパターンを出力するよう
    制御するモジュールを含むことを特徴とする記憶媒体。
  21. 【請求項21】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    処理を制御する制御プログラムをコンピュータ読み出し
    可能に記憶する記憶媒体であって、 単独の閾値マトリックスにより生成されるドットパター
    ンの二次元空間周波数スペクトルが、すべての階調で閾
    値マトリックスの持つ周期性に起因する複数の孤立スペ
    クトルを持つと共に、複数の階調で、該階調のドットの
    分布に弱い不規則性(摂動)を導入し、一次元半径方向の
    スペクトルに低周波数成分の少ないノイズ成分を持たせ
    ることにより、階調処理をした出力画像に、視覚的に好
    ましくない虚像が発生しない閾値マトリックスと、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較して、前記比較結果に応じて、二
    値あるいは多値化されたドットパターンを出力するよう
    制御するモジュールを含むことを特徴とする記憶媒体。
  22. 【請求項22】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    処理を制御する制御プログラムをコンピュータ読み出し
    可能に記憶する記憶媒体であって、 分散ドットディザ法のマスクと同じ大きさのマスク(要
    素マスク)を複数並べた大きさを持ち、かつ、生成され
    るドットパターンが、 (1)各要素マスクに対応する各要素画素区画内のドット
    の分布が全階調で全く同じとなる要素画素区画の組を持
    ち、 (2)1階調目以降の低階調のうちのいずれかの階調におい
    て弱い不規則性、または、擬似周期性が導入され、 (3)すべての階調で、すべての要素画素区画内のドット
    の数が等しく、 (4)4n(nは整数)階調毎に、各要素画素区画を四等分した
    大きさを持つ四つの部分要素画素区画内のドットの数が
    すべて等しくなる、 閾値マトリックスと、 前記閾値マトリックスの値を閾値として、原画の各画素
    の濃度と画素毎に比較して、前記比較結果に応じて、二
    値あるいは多値化されたドットパターンを出力するよう
    制御するモジュールを含むことを特徴とする記憶媒体。
  23. 【請求項23】 原画の各画素と閾値マトリックス(マ
    スク)の各要素とを1対1に対応させて出力画の個々の画
    素における濃度を二値あるいは多値で表現する階調再現
    装置において、閾値マトリックス単独により生成される
    ドットパターンの非等方性において、すべての階調で該
    非等方性の平均値が3dB以上を示し、極大値が10dB以
    上を示すスペクトルを持ち、かつ、出力画像に、視覚的
    に好ましくない程のコントラストを有するモアレやマス
    ク自体に起因する一定の繰り返しパターン等の虚像が発
    生しないことを特徴とする階調再現装置。
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