JP2003046777A - マスク作成方法、画像処理装置、ソフトウェアプログラム、並びにマスクデータ - Google Patents

マスク作成方法、画像処理装置、ソフトウェアプログラム、並びにマスクデータ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理時間の短縮が可能であり、且つ高品質の
画像を出力可能なハーフトーン変換マスクを作成するた
めの方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 所定の階調レベル毎に独立してドットパ
ターンを決定し、そのようにして得られたドットパター
ンによって、多値の画像データを画素毎に閾値と比較す
ることによってハーフトーン画像に変換するための閾値
データよりなるマスクを作成する構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスク作成方法、
画像処理装置、ソフトウェアプログラム、並びにマスク
データに係り、詳細には、デジタル画像処理における中
間調画像の生成に用いられる閾値マトリクス、特に、処
理速度と画像品質の両面から注目されている所謂FMマ
スクに対して、さらに画像品質を向上させる閾値マトリ
クスのマスクを作成するマスク作成方法、画像処理装
置、ソフトウェアプログラム及びマスクデータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】デジタル画像処理におけるハーフトーン
画像、即ちONドット(例えば黒ドット)とOFFドッ
ト(例えば白ドット)との組み合わせによって画像の濃
淡、即ちグレイスケールを表現する方法としては、大別
して、「ディザ法」と「誤差拡散法」とがあり、それぞ
れ以下のような特性を有する。
【0003】まず、ディザ法について説明する。ディザ
法は特定の規則に基づいて作成された閾値マトリクス
(「ディザマトリクス」と称し、以下単に「マスク」と
も称する)を用い、多値の原画像データと画素毎に比較
することによって原画像データを対応するドットパター
ンに変換する方法である。図1はディザ法の種類につい
て示す。同図に示す如く、ディザ法は大別して周波数変
調式(FMマスク)ディザ法と面積変調式(AMマス
ク)ディザ法に分けられ、このうち周波数変調方式では
一様に分散されたONドットの密度を変化させることに
よって階調を表現する。
【0004】ここでは、1画素あたり8ビット程度の多
値情報をそれよりも表現力の劣る出力装置で再現するた
め、原画像データが有する深さ方向の情報(8ビット)
を平面座標にONドット密度によって表現する。この場
合ONドット密度(たとえば黒ドット)と出力画像の濃
度、明度等の特性とを1対1で対応させるため、例えば
図2(a)に示す如く、おのずから各階調レベル毎に所
定面積内に存在するONドット数、即ち密度が決まる。
この階調レベル毎の所定面積内のONドットの配置につ
いて、図2(b)に示す如く、その前後の階調レベルと
の間のONドット発生順に関する整合性を取りながら決
定して表にまとめたものが上記ディザマトリクスであ
る。ここで前後の階調レベルとの間のONドット発生順
の整合性を取るのは、階調が徐々に変化する画像等にお
いて適用するディザマトリクスを切り替える際にその間
のドットパターンの相違が出力画像上段差として認識さ
れてしまうことを防止するためである。
【0005】ディザマトリクスとしては、理論上入力原
画像と同サイズのマトリクスを適用することが可能であ
るが、その同マトリクスを展開するために必要とされる
メモリ容量が膨大となるため、通常は図3に示す如く原
画像より小さいサイズのディザマトリクスを原画像上に
タイル状に順次位置をずらしながら繰り返し適用するこ
とによって徐々にハーフトーンドットパターンへの変換
を行うのが一般的である。
【0006】このディザ法は、演算処理が比較的簡単な
ため高速処理が可能であり、低画質から中画質向きであ
る。欠点としてはモアレ対策が必須である点が挙げられ
る。
【0007】他方誤差拡散法は、演算処理が複雑なため
処理速度が遅いが、高画質向きであり、高速化、低コス
ト化が課題である。
【0008】このように、ディザ法と誤差拡散法は、い
ずれの方法も一長一短があるため、画像出力装置の構成
や画像の種類に応じて使い分けられるのが一般的であ
る。
【0009】そして、1900年代後半になって、これ
ら2つの方式の長所を併せ持ったハーフトーン処理方法
が提案された。この方法は一般的には、「FMマスク
法」、「FMスクリーン法」、「ブルーノイズマスク
法」等と呼ばれる方法であり、分類的には、「ディザ
法」の一種であるBayer型法と同様の周波数変調型
(FM)マスク比較法の一手法である。
【0010】このFMマスク法では、閾値決定の際に、
低周波成分を除いた高周波成分のみで構成される周波数
特性(ブルーノイズ特性、BN特性)を加味した閾値マ
トリクスを用いることにより、マスク比較法でありなが
ら、Bayer型法やドット集中型ディザ法に見られる
ような低周波の周期性を目立たなくすることができ、そ
の結果モアレの発生を防止できるとともに、誤差拡散法
の場合に近い解像度特性を得ることが出来る。そのた
め、印刷分野を始めとして各方面から注目され、様々な
アプローチが試みられている。
【0011】例えば、初期の頃の試みとして、特許第2
622429号公報記載の「青色雑音マスクを使用した
グレイスケール画像のハーフトーン化のための方法およ
び装置」に記載のごとく、完全にランダム(ホワイトノ
イズ)なドットパターンをフーリエ変換し、BN特性を
有したフィルタでフィルタリングした後、逆フーリエ変
換によって理想的なFMマスクの構築を試みる方法が提
案されている。
【0012】また、SPIE,vol.1913“Th
e void−and−cluster method
for dither array generat
ion”(Robert Ulchney、Digit
al EquipmentCorporation,M
aynard,MA 01754−2571)に記載の
如く、ドットの疎ら部分(void)とドットの密な部
分(cluster)とを比較し、相互にドットの交換
を行うことによってマスクの最適化を行う方法(以下、
「ボイドアンドクラスタ法」と称する)が提案されてい
る。
【0013】ところが、これらのいずれの方法にあって
も、ランダムパターンを開始点とすることから、最終的
に得られる計算結果は毎回異なった値となる。更にま
た、不規則な分布状態から均質な分布状態へと再構成を
行う必要があるため、マスクのサイズが大きくなると膨
大な計算時間を要してしまう。
【0014】そこで、特開平8−80641号公報記載
の「中間調画像においてウォームを減少させるためのデ
ィザアレイを生成する改良方法及び装置」では、誤差拡
散処理によって作成された開始マスク(初期ドット配置
パターン)を出発点とする方法が提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−806
41号公報記載の技術によれば出発点となる開始マスク
を任意に制御できることからランダムな要素を排除して
計算結果の再帰性を確保することができる。さらに、初
期状態で均質な分布を得ることができることから最終的
に作成されるマスクの品質を向上させることができると
ともに、計算時間を短縮させることができる。しかしな
がらこの方法は出発点となる開始マスクから1階調ずつ
最適化を行っていく逐次方式であるため、直前に決定さ
れたドット配置パターンによって次に選択できるドット
配置が制限を受ける。
【0016】すなわち、例えば、開始マスクが粒状性や
テクスチャー性を排するという意味合いで完璧なドット
配置を有していたとしても、あくまでそれは出発点にお
ける階調レベルにおいてのみに当てはまる特性である。
しがたってそのドット配置に数ドットを加えた(もしく
は除いた)次の階調レベルでは、それなりに品質は高い
と言えるが、もはや理想的なドット配置とは言えなくな
る可能性がある。このようにして順次段階的に階調レベ
ル変化させていきながらマスクの構築を進めていく場
合、出発点における理想的特性からのズレが順次蓄積さ
れ、最終的な階調レベルでは、もはや最適なドット配置
からは程遠いドット配置となる恐れがある。
【0017】このようなドット配置の品質劣化を抑える
ために、種々な最適化関数やドット配置の探索方法が提
案されてきているが、1階調レベル毎に逐次的にマスク
を構築していく方法では、いずれにしても、直前の階調
レベルによる制約が積み重なっていくことに変わりがな
く、いずれの方法も決定的な改善策とはなっていない。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決することを目的としてなされ、比較的簡易な構成で且
つ全ての階調レベルにおいてドット配置の品質を維持し
得る方法を提案するものである。
【0019】この目的の達成のため本発明では、段階的
に1階調ずつマスクを構築してゆく逐次方式を採らず、
連続的ではない、互いに所定の間隔を空けた複数の階調
レベルをピックアップし、夫々にたいして独立して最適
化を行ってドットパターンを決定し、その後、補間によ
って残りの階調レベルのドットパターンを決定する。そ
の結果、所定の間隔毎にその間蓄積されるズレをその都
度精算するため、徐々にドット配置の品質が劣化してい
くことを防止可能であり且つ、補間処理によって上記間
隔を埋めるため、階調レベル間の連続性を確保すること
が可能である。その結果、より品質の良好なマスクを作
成することが可能となる。
【0020】又、このようにして独立した補正を施し階
調毎に最適化したドットパターンを作成した後、当該ド
ットパターン間の相違を順次解消することによって残り
の階調レベルに対するドットパターンを作成することが
望ましい。その結果、高精度の演算が要求される最適化
処理は特定の階調レベルに対してのみ施せばよいため、
演算時間を短縮することが可能である。さらに、最適化
したマスク間の相違を徐々に解消してゆくため、階調毎
の中間調処理パターンの連続性を確保し、より品質の良
好なマスクを短時間で作成することが可能となる。
【0021】更に、前記最適化ドットパターンの間の相
違の解消処理は、所定の順番に基づき、相互に近接した
ドット間で行うことが望ましい。その結果、ある程度O
Nドット分布の均一性を維持しつつ、補間処理自体を高
速化し、より品質の良好なマスクを短時間で作成するこ
とが可能である。
【0022】更に、前記最適化ドットパターンの間の相
違の解消時、それによって得られる中間階調レベルのド
ットパターンが所定の評価関数による評価値が最良とな
るドットパターンとなるように行うことが望ましい。そ
の結果、ランダム交換、特定の順序による入れ換え等に
よって前記最適化ドットパターンを作成したとしても、
その間の階調レベルのドットパターンを評価関数で評価
しているので、マスク品質がバラついたり、順序に依存
したテクスチャーが発生することが防止できる。
【0023】更に、最適化ドットパターン間の相違解消
の際使用する評価関数として、粒状性、または、等方
性、または、粒状性と等方性の両方を加味した評価関数
を使用することが望ましい。その結果、誤差拡散処理の
場合と同等以上の画像品質を得ることのできるマスクを
作成することが可能である。
【0024】又、前記最適化ドットパターン間の相違解
消時に、双方のドットパターンのいずれにおいてもON
でないドットを新たにONドットとしたドットパターン
を中間部分に使用することも可能である。その結果、双
方のドットパターンに依存しないドットパターンを利用
可能であり、補間処理によって作成される中間の階調レ
ベルについても、マスク品質を上げることが可能であ
る。
【0025】最初に選択する階調レベル間の最小間隔
は、総階調数に対して1/32以上の間隔とすることが
望ましい。その結果、処理全体の演算時間を短縮するこ
とが可能であり、且つ、個別に最適化されたドットパタ
ーンを狭い間隔で使用することによって生じる連続性の
断列を目立たなくすることが可能である。
【0026】又、前記最適化する階調レベル同士の間隔
を、ハイライト、ミドル、シャドー等の画像領域に応じ
て変化させることが望ましい。その結果、例えば、階調
の変化が目立たない領域や最適化によって特定のテクス
チャーが発生しやすい領域等では、最初に選択する階調
レベル間の間隔を広く取り、それによって演算時間を短
縮するとともに、その間の補間処理によってテクスチャ
ーの発生を抑制することが可能である。
【0027】更に、特定範囲の階調レベルに対し、階調
レベル毎に逐次的にドット配置を決定してゆくことも可
能である。その結果、例えば、階調変化の連続性がシビ
アに問われるような領域に関しては、従来の逐次的ドッ
ト配置決定方式を取り入れ、それによって補間処理によ
って発生する僅かな不連続性を目立たなくすることが可
能である。
【0028】又、最初に選択した階調レベルに対して、
ベイヤー型ディザ等の通常の中間調処理によるドットパ
ターンを採用してマスクを作成するようにしてもよい。
その結果、マスク作成にかかる演算時間を短縮すること
が可能である。又、既存の通常の中間調処理によるパタ
ーンの方がより好適なドット配置となる場合には、これ
ら既存の通常の中間調処理を行うことによりマスクを短
時間で作成することが可能となる。
【0029】更に、最初に選択した階調レベルに対して
上記通常の中間調処理によるドットパターンを決定する
際、当該階調レベルの間に挟まれる各階調レベルに対し
ても、同じ通常の中間調処理によるドットパターンを採
用してマスクを作成することが可能である。その結果、
演算時間の短縮及び階調間の連続性の確保が可能とな
る。更に複数の階調レベルに対して1種類のドットパタ
ーンを適用することによってビットパターン種類の数量
を減らし、マスク作成時間を短縮することが可能であ
る。
【0030】更に、上記通常の中間調処理によるドット
パターンを採用してマスクを作成する際、当該中間調処
理として、当該マスクを使用して処理した画像を出力す
る画像出力装置の階調特性、解像度、画素再現性等の機
能に応じた中間調処理を採用することが可能である。そ
の結果、ハイライト部における画素再現性にばらつきを
有する電子写真方式の画像出力装置等の場合、その特性
に適した処理によるマスクを採用することにより、全階
調レベルを通して、高い画像品質が得られる。
【0031】更に、上記通常の中間調処理によるマスク
パターンを採用してマスクを作成する際、当該中間調処
理として、当該マスクを使用して処理した画像を出力す
る際の画像出力装置の画像モードに応じた中間調処理を
採用することが望ましい。即ち、出力しようとする画像
の種類によっては、誤差拡散処理によるものと同じよう
なドット配置を示すFMマスクよりも、規則的なドット
配置を示す組織ディザ等によるものの方が好ましい場合
もあり、このような場合にも適切に対応したマスクを作
成することが可能となる。
【0032】更に、上記ドットパターンを決定する段階
は、ドットパターン中のONドット間の距離を評価する
処理よりなり、前記ONドット間の距離を評価する処理
では、特定方向の距離について重点的に評価する構成と
することが望ましい。
【0033】その結果、比較的簡易に短時間にFMマス
クが作成可能であり且つ、人間の目に目立ちやすい特定
の方向、即ち水平垂直方向に周期を有するテクスチャ状
態の発生を効果的に防止し得る。
【0034】又、前記特定方向の距離について重点的に
評価する処理では、所定の方向を中心にその両側の所定
範囲の角度に対して徐々に評価の重みを軽くする構成が
望ましい。その結果、ある特定の範囲に空白部分が発生
する可能性を除去可能である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は技術的に好ましい種々の限定を含む
が、本発明の範囲はこれらの態様に限られるものではな
い。
【0036】図4は、本発明の第1実施例によるマスク
作成方法で作成されるハーフトーン変換マスク(即ち閾
値マトリクス)1の構成例を示す図であり、これら各階
調レベルa,b,c用の夫々のドットパターン1a、1
b、1cは相互に独立して構築される。その結果、上記
逐次的に順次マスクを構築する方式に比して誤差や制約
条件の蓄積を除去することが可能である。
【0037】すなわち、従来においては、画像処理を行
う画像出力装置のCPU、メモリ、OS等の価格の制約
に伴うの能力の制限に鑑み、図5に示す如くのハーフト
ーン変換マスク100が採用されていた。このマスク1
00は、各階調レベルにおけるドット配置パターンを一
枚のマスクに全て網羅しており、各升目は1ドットに対
応する。このマスクを入力画像の部分毎に適用し、その
都度ドット毎に画素値比較し、入力画像の画素値が高け
ればONドットとし、低ければOFFドットとする。こ
の動作を入力画像の全面に対して繰り返し適用すること
によって、入力画像全体をハーフトーン画像に変換する
ことが可能である。
【0038】しかしながら近年の急速な技術開発によっ
て、CPUやOSの処理能力が飛躍的に向上し、また、
メモリの大容量化及び低価格化が進んだため、各階調レ
ベル毎に対応するドットパターンを個別に設け(図2
(a)参照)、結果的に階調レベル数分のドットパター
ンを設ける方法が実現可能となった。即ち、この方法
は、各階調レベル毎に対応するドットパターンを予め決
定しておき、入力画像の夫々の部分の濃度即ちグレイス
ケールに応じて対応するドットパターンを順次当てはめ
てゆくという考え方に基づく方法である。尚ここで、上
記各階調レベル毎のドットパターンをが得られるように
図5に示す如くのマスクを生成することが可能である
(図2(b)参照)。即ち上記方法は図5の如くのマス
クを生成するための一手法とも言える。
【0039】本発明の第1実施例による他の形態のFM
マスクは、以下に説明する基本的な作成手順で作成され
る。すなわち、まず、図6に示すように、相互に連続し
てない階調レベルを複数選択し(図6のmとn)、選択
した階調レベルm、nに対して、図7に示すように、個
別に最適なドットパターンを生成する。なお、以下に示
す各図において、●は、階調m、nの間で共通なONド
ットを示し、○は、階調m、nの間でON/OFFが相
違するONドットを示し、丸印の無い升目はOFFのド
ットを示す。
【0040】次に、この夫々の階調レベルにおいて最適
なドットパターン同士の共通ドットと相違ドットとを選
別し、これら最適パターンmと最適パターンnとの間に
挟まれた階調レベル数に応じ、図8に示す如くに、相違
ドットを徐々に解消してゆくことによって階調区間m−
nに存在するドットパターンを作成してゆく。このと
き、階調レベルがmからnへと増加してゆくに従って対
応濃度又はグレイスケールを順次増加させる必要がある
ため、階調レベルの増加した分、ONドットを増加する
必要がある。この場合、結果的に生成されたm,n間の
各階調レベルのドットパターンは、互いに隣接する階調
レベル間での相違が極力小さい方が望ましく(上記ON
ドット発生順による階調レベル間の整合性の確保のた
め)、その点を考慮して各階調レベルのドットパターン
を順次決めてゆく。例えば、この限られた階調間におい
ては上記逐次的に順次最適なドットパターンを生成して
ゆく方法を適用し得る。
【0041】このような処理を全階調に渡って行う。即
ち、全階調範囲を複数の区間に区切り、各区切り点にお
ける階調レベルのドットパターンを独自にその階調レベ
ルに対して最適なドットパターンとして決定する。そし
て、そのようにして生成された区切り点間に存在する階
調レベルのドットパターンについては、その区間の両
端、即ち上記生成済みの区切り点における階調レベルの
ドットパターンを基にして逐次生成してゆく(補間処
理)。その結果、好適なハーフトーン変換マスク、即ち
階調レベル毎のドットパターンの集合を得ることができ
る。
【0042】なお、上述のごとく、上記ピックアップし
た区切り点の階調レベルの最適なドットパターンの生成
方法については、ここでは詳細な説明は省略するが、上
記特許第2622429号公報に記載されているブルー
ノイズフィルタを用いる方法、上記ボイドアンドクラス
タ法を利用する方法、その他数多く提案されている評価
関数の何れかを使用した方法等を用いて行うことが出来
る。
【0043】ピックアップした区切り点の階調間の階調
レベル差であるピッチ(m−n)は必ずしも一定である
必要はない。さらに、シャドー部のように、ドット配置
の影響が目立たない領域についてはこのピッチを大きく
することにより、処理時間の短縮を図ってもよい。又こ
のピッチを逆に小さくし過ぎた場合、階調区切り点間の
ドット配置の変化が目立ち、階調の連続性の点で問題と
なる場合がある。この点に関し本発明者が評価実験を行
った結果、上記ピッチの数値として、総階調レベル数の
1/32の階調レベル数分の間隔以上、または、総階調
レベル数の1/16の階調レベル数分程度の間隔を空け
ることによって階調の連続性に対する品質を確保するこ
とができることが判明した。
【0044】以下に上記区切り点間の階調レベルに対す
る補間処理の具体的手法について図9乃至11と共に説
明する。この補間処理については、処理時間(演算時
間)とマスク品質との間のバランスを如何に選択するか
に応じて幾つかの方法が考えられる。
【0045】まず、処理時間の短縮を主目的とする最も
簡易な方法について図9に基づいて説明する。この方法
では、図9に示すように、位置的に一番近い相違ドット
間でON/OFFを入れ替える方法がある。図9の例の
場合、図9(b)で円で囲んだ部分は、同図(a)にお
ける階調mのパターンにおけるnパターンとの相違ON
ドットaと同図(c)における階調nパターンにおける
mパターンとの相違ONドットbとが隣接している部分
である。即ち位置的に一番近い相違ドットと言える。し
たがってm+1パターンではこれら隣接ドットのON/
OFFを入れ替える。なお、図9(b)における破線の
○は、nパターンにおける相違ONドット位置を示して
いる。
【0046】次にこの方法において、位置の近い相違ド
ットペアを選択する順番について以下に説明する。第1
の方法としては、単純に相違ドット間の距離が最小とな
るペアを選択する方法である。これ以外の方法として、
例えば図10に示す如く、8×8マトリクスのパターン
(同図(a))を同図(b)に示す如く16個の4×4
マトリクスに分割し、それらのマトリクスの中から同図
(c)に示す如くの順位、即ち周知のBayer型配列
や従来型FMマスク配列等による順序に従って、順次相
違ドットペアを選択してゆく方法が考えられる。
【0047】次に、マスク品質を重要視した方法として
は以下の方法が考えられる。即ち、特定の評価関数によ
る計算を行い、算出された評価値が最良となる相違ドッ
トの組み合わせを選択する。すなわち、このようにして
生成された次の階調レベルのドットパターンが最適に近
いものとなるように選択すると言うことである。上記し
た処理速度、すなわち、処理時間の短縮を優先する方法
では、望ましくないドットの疎密部、相違ドットペアの
選択に用いた順序マトリクスに起因するテクスチャー等
が発生する可能性があるため、その可能性を無くすため
には上記特定の評価関数を利用する方法が有効である。
【0048】上記マスク品質を重要視した方法で用いる
評価関数としては、前述したピックアップ区切り点階調
レベルにおける最適ドットパターン生成方法において述
べた、良好なFMマスクを作成するために提案されてい
るいずれかの関数を用いればよい。例えば、この評価関
数の一例として次式の如くのVTF(人間の視覚特性の
近似式)及び等方性(ドット配置の2次元的な均一性)
を示す関数を用いることができる。
【0049】
【数1】 このような人間の視覚特性を近似した関数(VTF)を
用いることにより、単純に低周波域をカットする特許第
2622429号記載の方法よりも、より一層視覚に好
適な周波数特性を付加することができる。また、等方性
を反映させてドット配置の均一性を増すことにより、ド
ット配置の偏りに起因する粒状性の低下やテクスチャー
の発生を抑制することができる。
【0050】上記方法の他に、マスク品質を上げる方法
としては、区切り点としてピックアップした両端の階調
レベルのパターンのいずれにも存在しないONドット
(以下、「虚点」という)を用いて中間階調レベル(補
間区間)のドットパターンを生成する方法がある。すな
わち、以上に述べた方法では、補間区間のドットパター
ンにおいて選択できるドット位置が、最初にピックアッ
プした区切り点における階調レベルのドットパターンに
よって制限を受ける。そのため、補間処理区間において
は、必ずしも厳密な意味で当該階調レベルにおける最適
なドットパターンが生成されているとは言えない。
【0051】そこで、図11(e)、(f)に示すよう
に、ピックアップした区切り点のどちらのマスクにも存
在しない点を虚点(同図(e),(f)中、スターマー
クで示されるドット)として一時的にONドットとす
る。尚ここで、上記虚点は、例えば同図(e)の階調レ
ベルにおける最適なドットパターンを構成するドットと
なるようにその位置を選択するものとする。このような
方法を採用することによって、補間処理区間の1階調レ
ベルに対する最適化度を向上させることができる。しか
しながらこの虚点は補間処理区間内でのみ存在し得るO
Nドットであり、当該虚点は補間処理区間内における中
間階調レベルのパターンの生成過程において他端の区切
り点に至るまでに消去する必要がある。そのため、多量
に使用したり、同じ虚点を長区間使用し続けるのは避け
ることが望ましい。
【0052】又、このようにして作成された階調レベル
m−n間のハーフトーン変換マスク(即ちドットパター
ンの集合)は、図12に示すように、従来の方式の中間
調処理によって作成された他の階調レベル範囲のマスク
と組み合わせることが可能である。即ち、本実施例によ
る区切り点の最適パターンの生成とその間の中間部分の
補間処理によるパターンの生成という手法を利用するこ
とにより、異なる中間調処理によるマスク生成方法を組
み合わせることが可能である。
【0053】例えば、FMマスクは、区切り点のマスク
に誤差拡散法によるドット配置を採用することによって
高画質なハーフトーン画像を期待することができる。し
かしながら、当該画像のハイライト部に関しては、この
ような誤差拡散的ドット配置よりもBayer型手法に
よる周期的なドット配置の方が好ましい印象を与える場
合がある。特に、ビジネス文書に多用されるグラフ画像
等では、このような傾向が見うけられる。
【0054】このよう場合、以下の手法を用いることが
考えられる。即ち、Bayer型手法によるドット配置
の方が良好に見える階調区間に関してはBayer型手
法を適用してマスクを作成する。そしてそれ以外の階調
区間に関しては、このBayer型手法適用区間の両端
の階調レベルを上記ピックアップした区切り点のドット
パターンと見なし、それ以外の区切り点のドットパター
ンとの間の中間部分のドットパターンを補間処理を適用
して生成してゆく。
【0055】また、画像出力装置の特性によっては、安
定した画像品質を得るために、特定の中間調処理方法を
使用する必要がある場合もある。すなわち、電子写真方
式や熱転写方式のエンジンによる画像出力装置等では、
高解像度におけるドット再現性が不安定になり易いた
め、ドット集中型のディザ法が多く用いられている。こ
の場合も、上記Bayer型法の場合と同様に、ディザ
法適用階調区間と本発明による区切り点毎に最適化して
その間を補間する方法を適用する階調区間との間を本発
明による補間処理で埋めることが可能である。
【0056】更に、この方法はタイプの異なる複数のF
Mマスク間の組み合わせにも適用することができる。例
えば、階調の連続性の点では、本発明の上記補間方式の
FMマスクより従来の逐次決定方式の方が優れるため、
階調の連続性を重視したい場合には、従来の通常の逐次
決定型のFMマスクとの組み合わせを行えばよい。この
ようにして所望のFMマスクを構築することができる。
【0057】このように、本発明によるハーフトーン変
換マスク作成方法により、出力時の画像モードや画像出
力装置の階調・解像度特性に応じたFMマスクを容易に
構築することができる。特に、従来の中間調処理方法と
組合わせる場合には、従来のドット配置をピックアップ
階調レベル、即ち区切り点階調レベルのドットパターン
として使用することができる。更にこの手法によれば、
特定階調区間について従来の方法を適用することによっ
て、処理時間の短縮とハーフトーン変換マスクを構成す
るドットパターン枚数の削減が可能である。
【0058】また、本実施例によるFMマスクは、ドッ
トによって画像を表現する電子写真方式、熱転写方式、
インクジェット方式等の画像出力装置に適用させること
ができる。この場合の使用形態としては、専用のROM
/不揮発性RAM等の記録媒体に当該FMマスクのデー
タを書き込み、画像処理モジュールとして当該画像出力
装置に搭載することが可能である。或いは本実施例によ
るFMマスクをプリンタ制御用のプログラムとしてFD
(フロッピー(登録商標)ディスク:登録商標)、CD
(コンパクトディスク)、DVD(ディジタルビデオデ
ィスク)、メモリカード等の記録媒体に記録してコンピ
ュータにインストールする方法も可能である。或いは
又、当該FMマスクのデータをネットワーク等を介して
コンピューターにインストールして使用することもでき
る。何れの方法であっても、本実施例のFMマスクの適
用により、従来のディザ法と同等の処理速度と、誤差拡
散法と同等以上の高画質再現性を実現することができ
る。
【0059】又、図13に示すように、例えば、上述の
本発明の第1実施例を適用する画像出力装置10とし
て、コンピュータ20にプリンタ30が接続されたもの
に適用することを考える。この場合、コンピュータ20
のOS(オペレーティングシステム)の描画関連の中間
モジュール(GDI)40から出力された画像データに
対し、コンピュータ20に搭載されているプリンタドラ
イバ21によって画像処理のカラーマッチングまでの処
理を行う。そして、プリンタ30に搭載した処理モジュ
ールで本実施例による中間調処理を含む残りの処理を行
う。なお、図13では、コンピュータ20側とプリンタ
30側とで画像処理を分けて行っているが、近年のコン
ピュータ20は高速化しており、全てソフトウェア化し
た方が処理が速い場合もあるため、本実施例の処理を含
んだ全ての画像処理をコンピュータ20側で行うように
してもよい。
【0060】一般にFMマスクの作成方法において、最
適化処理に必要な演算量が少なくて済むという理由か
ら、前記ボイドアンドクラスタ法が用いられることが多
い。即ち、フーリエ変換を使用する方法によれば、マス
クの周波数特性そのものを調節するため、視覚特性等を
加味することによって粒状性のよいFMマスクを作成で
きる。しかしながらその半面、必要とされる演算処理量
が多く、マスクサイズによっては、非現実的な演算時間
が必要になってしまう場合がある。
【0061】他方ボイドアンドクラスタ法は必要な演算
処理量が少なくて済む半面、得られるハーフトーン変換
マスクの品質の点でフーリエ変換法によるFMマスクよ
りも品質が劣るという欠点を有する。これは、ボイドア
ンドクラスタ法ではあくまでもドットの粗密交換処理の
みによって最適化が行われるため、ドット配置に起因す
るテクスチャーを効果的に取り除くことができないこと
による。その結果、最終的に形成されるFMマスクの品
質は初期状態のドットパターンに大きく左右される。そ
の結果、マスク品質を完全には保証できない 場合があ
る。
【0062】一般的に,初期ドットパターンとしてホワ
イトノイズパターンが使用される。しなしながら、上記
ボイドアンドクラスタ法では、上記理由により、このよ
うな初期ドットパターンを使用した場合必ずしも良質な
FMマスクが作成されるとは限らない。ホワイトノイズ
パターンの品質が悪い場合、最適なドット配置にたどり
着く前に,単にドット間隔が均一なだけでテクスチャー
が顕著に現われた劣悪なドットパターンしか得られない
という事態を招く可能性もある。
【0063】また逆に、上記Bayer型ディザパター
ンの如くのある程度の規則性を有するドットパターンが
初期パターンとして用いられた場合、初期状態で既に粗
密の一様性が確保されてしまっているため、実質的に最
適化処理が行われないまま,初期状態とほとんど変わら
ない単なる「分散型ディザパターン」に類するドットパ
ターンしか得られないという事態を招く可能性もある。
【0064】これに対して前記特開平8−80641号
公報では,初期状態として誤差拡散処理されたドットパ
ターンを使用する方法が提案されている。誤差拡散処理
されたパターンは、階調レベルに応じたドット間距離と
ドット配置のランダム性をある程度併せ持っている為、
ある意味で理想的なFMマスクに近いと言える。即ち、
誤差拡散処理されたドットパターンを初期パターンとし
て用いることで、ある程度完成されたドット配置が始め
から得られることとなる。その結果、最終的に出来上が
るFMマスクも,前記ホワイトノイズパターンを初期パ
ターンとして使用した場合に比して良好なものとなる。
【0065】しかし、上記誤差拡散処理パターンを初期
パターンとして用いる方法によって得られたFMマスク
をフーリエ変換を適用して得られたFMマスクと比較す
ると、まだテクスチャーが目立ち、品質が低い場合が多
い。これは、誤差拡散処理が常に外へ外へと歪を拡散さ
せ,画像単位でドット間距離やドット配置の辻褄を合わ
せているのに対し、上記フーリエ変換を用いる方法等の
マスク法では、歪みを周囲に拡散させることができず、
常に限られた画素数分のマスク内に歪を循環させなけれ
ばならないことに起因する。
【0066】特に,FMマスクの初期パターンとして用
いる為に画像全体に比べると極めて狭い領域のいマスク
サイズに対して誤差拡散処理を施さなければならない
為、周囲に拡散しきれなかった歪みが初期状態のドット
配置に現れ、その結果最終的に完成されたFMマスクの
品質に影響を与えることになる。
【0067】誤差拡散処理における歪みとしては,「ワ
ーム」と「掃き寄せ」が挙げられる。ここで問題となる
のは「掃き寄せ」に伴うマスクエッジ付近のドットの整
列である。即ち、マスクエッジ付近においてある程度均
一な間隔を保ってドットが整列している場合、上記ボイ
ドアンドクラスタ法ではこの規則性を崩すことができ
ず,結果としてマスクエッジを強調したようなテクスチ
ャーが形成されてしまう。
【0068】本発明は,この点についても考慮し、以下
に述べる第2実施例ではボイドアンドクラスタ法の利点
である演算処理量の削減効果を維持しながら完成された
FMマスク品質の向上を図ることを目的としている。
【0069】具体的には、ボイドアンドクラスタ法に則
って各ドット間の相対距離を算出する際、垂直水平方向
を中心とした特定角度方向のドットの配置について評価
の加重をかけ、その角度方向へのドット配置が抑制され
るような処理を施す。これにより、人間の目に付きやす
い垂直水平方向のドットの整列が抑えられる為、マスク
エッジが強調されることを防止し、ボイドアンドクラス
タ法によるFMマスクであっても、品質の良いFMマス
クを得ることが可能となる。
【0070】図14(A)は、ある階調レベルのベタ状
態、即ち一面に一定の濃度(一定のグレイスケール)を
有する画像領域について誤差拡散処理を施した場合に得
られるハーフトーンドットパターンを示している。この
場合、図示の如く、誤差拡散処理特有の問題として、あ
る程度誤差が蓄積されるまでONドットの発生が抑制さ
れる「掃き寄せ」という問題が発生している。このよう
に中間調処理として誤差拡散処理を適用した場合、「掃
き寄せ」による空隙の発生は大きな問題となる。一般に
ボイドアンドクラスタ法によれば最適化の過程で画像空
間の粗密は均一化される為,空隙そのものは大きな問題
とはならない場合が多い。
【0071】しかしながら、ボイドアンドクラスタ法の
最適化処理によっても、この「掃き寄せによる空隙」の
ような極端な粗密部分は完全には解消され得ない。それ
は、この手法では初めからある程度均一化されている部
分についてはほとんど修正が施されないためである。即
ち、図14(B)に示されるマスク外縁(上辺と左辺)
に沿った部分等では、ドット間距離が元々均一なため、
その規則性を保ったままFMマスク化されてしまう。そ
の結果、図15に示す如く、各マスク適用部分を縁取る
ようにONドット粗状態部aとONドット密状態部bと
が現われた状態のハーフトーンドット画像が得られるこ
とになる。このような部分a,bは、マスクの繰り返し
適用に起因する顕著なテクスチャーとして視覚的に認識
されてしまう。
【0072】本発明では、この点に着目し改善を図って
いる。以下の数式はボイドアンドクラスタ法においてO
Nドット間相対距離の評価に使用される計算式と同等の
式である。
【0073】
【数2】 x、yは注目ドットからのx、y方向の距離 σは、ONトッド間距離の分散 この計算式では、注目ドットを中心とした周囲のONド
ットとの間の相対距離を評価するための式である。この
式によって得られる評価値により、注目ドットを中心と
した周囲のONドットの粗密の状態が評価できる。この
式から分かるように、評価値にはドット間距離のベクト
ルは反映されていない。すなわちあくまでスカラー化さ
れた相対距離のみが判定基準となっている為、上記した
ようなドット間距離の粗密状態の方向性の有無は、評価
対象にならない。
【0074】これに対して本発明の第2実施例では、以
下の数式に示す如く、角度に応じて値を変える補正項R
(θ)を設けることにより、上記ONドット間相対距離
のベクトルをも評価値に反映させるようにする。
【0075】
【数3】 ここでまず、この補正項R(θ)を、図16(A)の様
に、垂直水平を表すθが0、90度の夫々の角度からそ
の中間である45度に向かって広い範囲に亘って加重が
変化するような関数とした場合を考える。この場合、か
えって45度方向にONドットが整列しやすくなり、結
果的にランダム性が失われてしまう。このような事態の
発生を防止するため、本実施例では図16(B)に示す
如く、補正項R(θ)を、0,90度付近の夫々の範囲
においてのみ加重変化を起こすような関数に設定する。
そしてこの範囲を外れた領域では角度による補正は行わ
れず、あくまで相対距離による判定が行われるようにす
る。
【0076】このような補正項R(θ)を設けたことに
より、注目ドットに対して0,90度付近に存在するO
Nドットとの間の距離による評価値への影響が、他の方
向に存在するONドットとの間の距離による影響に比し
て大きくなる。その結果、垂直、水平方向に存在するO
Nドットに対し、その間の距離が実際より短く認識され
ることになる。ボイドアンドクラスタ法では統計的にO
Nドット間距離を最大化するドットをONとするように
処理がなされるため、上記補正によって垂直、水平方向
のドットはONされずらくなる。その結果、これらの方
向についてONドットが均一に並ぶドット配置の発生す
る可能性が低くなる。
【0077】図17を参照して上記本発明の第2実施例
による最適化処理について例を挙げて説明する。同図で
中心のハッチング位置のONドットを基準とした場合、
半径rの範囲内では、乃至のONドットが上記最適
化処理関数(評価値)に適用される。図18にて後述す
る如く、垂直水平方向のプラスマイナス16度に含まれ
ないONドット,に関しては上記補正項R(θ)に
よる補正(加重)は行われず、上記式(1)が適用され
る。他方上記垂直水平方向のONドット、、同方向
ののプラスマイナス16度に含まれるについては、補
正項R(θ)による加重がなされ、式(2)が適用され
る。その際適用される加重は、図16(B)に従って、
ドット、に対して重く、ドットに対しては軽くな
る。
【0078】尚ここで、敢えてマージン、即ち角度によ
る補正を行う範囲を0,90度から若干ずれた角度まで
広げた理由は以下の通りである。即ち、0,90度から
多少ずれたとしても,その方向に粗密状態の目立つ領域
が延在する限り人間の目には垂直水平のテクスチャーと
して認識されてしまう。また逆に、0,90度付近の狭
い角度範囲に限定した理由は、0,90度から大きく外
れるに従って人間の目の感度が鈍くなるため、0,90
度付近の広い角度範囲の斜め方向に必要以上に加重をか
けた場合、その部分の不規則性が増長され、その結果逆
にそれ以外の斜め方向の規則性が強調されすぎる結果と
なる可能性があるためである。
【0079】尚,図16では、R(θ)を線形的に変化
する関数として表したが、このR(θ)は1次関数に限
定されず、n次式であってもかまわない(n≧1)。但
し、仮に0,90度付近で一定の加重がかかるような関
数とした場合、寧ろその部分に不要な空白地帯が発生す
る可能性がある。このような事態の発生を防止するた
め、図16に示す如く、必ず0,90度から徐々に加重
が減少するような関数に設定する必要がある。
【0080】上記マージンの幅については,一定以上の
画像品質を得るために必要な8×8のマスクを考えるた
場合、図18に示すように2ドットの探索幅を確保する
角度、すなわちプラスマイナス8度を最適マージンとす
る。仮にこれよりもマージンを狭めた場合、8×8のマ
スクにおいて0,90度付近のONドットの整列を検出
できなくなる。
【0081】また、マージンの上限に関しては、大きく
はプラスマイナス45度以下の斜め方向を強調し過ぎな
い範囲とする。即ち、同じく8×8マスクを適用する場
合、注目ドットD(図18参照)から3ドットd1乃至
d3の探索幅程度(±16度)を上限とするのが妥当で
ある。尚この場合、±16度を合計すると32度の角度
幅となり、もはや垂直水平と言うには無理がある。しか
しながら8×8マスクにおいて上記プラスマイナス8度
を下限とした場合、その下限に対して+1ドット分の探
索幅を広げた±16度を設定可能な上限とすることが妥
当である。
【0082】尚、ここで8×8のマスクを基準としたの
は、一定以上の画像品質を得るためには,少なくとも6
4階調以上の階調再現性が必要であり、最低でも64階
調を再現するには8×8のマスクサイズが必要になる為
である。
【0083】図19は,以上の説明に基づいた本発明の
第2実施例によるFMマスク作成フローを示したもので
ある。部分的に省略している箇所があるが、このステッ
プS10以降の部分は、本来、全てのドットの組み合わ
せについて処理を行ったかどうかのチェック処理を含
む。
【0084】この図19において、まずステップS1で
は所定の階調レベルについて誤差拡散処理を実施し、当
該階調レベルのドットパターンを作成する。次いでステ
ップS2では任意のONドットAを注目ドットとして選
択する。続いて、ステップS3においてONドットA以
外の任意のONドットBを選択する。次に、ステップS
4においてこのONドットBをOFFとし、他の任意の
空白地点、即ちOFFドットを新規にONにする。
【0085】そして、ステップS5において、ONドッ
トAから、周囲のあるONドットに対する角度θを算出
し、ステップS6においてその角度θが0、90度近傍
か、例えば8度〜16度の範囲内か否かを判断する。こ
の判断がNoの場合にはステップS7において上記式
(1)によりONドットAと当該周囲ONドットとの相
対距離を算出する。ステップS6における判断がYes
の場合には上記式(2)にてONドットAと当該周囲O
Nドットとの相対距離を算出する(ステップS8)。
【0086】ステップS7、S8の演算の後、ステップ
S9において、全ての周囲ONドットについてステップ
S5乃至S7,S8の処理を終了したか否かを判断す
る。この判断の結果がNoの場合、ステップS5に戻
り、他の周囲ONドットについて同様の処理を行い、ス
テップS9の結果がYesとなるまでステップS6乃至
ステップS7,S8の処理を繰り返す。
【0087】ステップS9の判断がYesとなると、次
いで、ステップS10でステップS7,S8で算出した
相対距離の和を算出し、その値が最大となったか否かを
判断する。その判断の結果がNoの場合にはステップS
2に戻る。ステップS10の判断がYesの場合には所
定の処理の後、最適化が完了したものとして終了する。
【0088】尚、ステップS10における相対距離の合
計が最大か否かの判断には様々な手法が考えられるが、
例えば上記任意のONドットAと新たなONドットCと
の全ての組み合わせについて図19のステップS2乃至
S9の処理を繰り返し実施し、その中で最大の結果が得
られる組み合わせを選択する方法が考えられる。又、上
記式(1)、(2)とも、式で導出される値は当該ON
ドット間距離が大きくなるほど計算値は小さくなる。従
って図19のステップS7、S8で算出する値が式
(1)、(2)の夫々の計算結果そのものである場合、
ステップS10ではそれらの値を合計した値が最小か否
かを判断し、最小であれば最適化完了と判断することに
なる。
【0089】このような最適化処理によって得られた所
定の階調レベルにおける最適なドットパターンは、本発
明の第1実施例の説明の際参照した図4の各ドットパタ
ーン1a,1b,1c、或いは図6における階調レベル
m,nにおけるドットパターンに該当する。したがっ
て、このようにして得られた所定の階調レベルにおける
最適ドットパターンの間の中間階調レベルのドットパタ
ーンについては第1実施例において図7乃至図11と共
に説明した手法の補間処理によって生成してゆけばよ
い。その結果例えば図5に示される如くのハーフトーン
変換マスクパターン(FMマスク)が導出される。
【0090】図20は、このようにして本発明の第2実
施例のFMマスク作成方法によって作成されたFMマス
クを適用したプリンタコントローラの一例である。この
図20において、101はグラフィックデータ、102
はイメージデータを示している。グラフィックデータ1
01、イメージデータ102にはドライバー103によ
ってCMM処理106、110が施される。次いで、グ
ラフィックデータ101にはγ補正処理107が施さ
れ、コントローラ104でレンダリング処理108が施
された後、FMマスク処理(ハーフトーン画像生成処
理)109が施され、プリントアウト装置105によっ
てそのハーフトーン画像がプリントアウトされる。
【0091】更にイメージデータ102はCMM処理
後、ズーミング処理111が施され、BG/UCR及び
γ補正処理112が施された後、誤差拡散処理113が
施され、プリントアウト装置105によってプリントア
ウトされる。
【0092】尚図20では、FMマスク処理109をプ
リンタ本体のコントローラ側で実施する構成が示されて
いるが,ドライバ側でソフトウエアによって実施するよ
うにしてもよい。
【0093】本発明によるFMマスクは,ドットによっ
て画像を表現する電子写真,熱転写,インクジェット方
式等の出力装置に対応させることが可能である。使用形
態としては専用のROM/不揮発性、ASICに書き込
み、画像処理モジュールとして出力装置に搭載する事
や、プリンタ制御用のプログラムとしてFDやCD、D
VD、メモリーカードに格納し、或いはネットワーク等
を介してコンピューターにインストールして使用する事
も可能である。いずれの方法であっても従来のディザ法
による場合と同等の処理速度と、誤差拡散法による場合
と同等に近い高画質再現性を実現可能である。
【0094】以上、本発明の好適な実施例について具体
的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能で
あることはいうまでもない。
【0095】
【発明の効果】このように、本発明によれば、従来の各
種のFMマスクの作成方法の長所を効果的に活かす方法
を提供し、演算処理時間を短縮可能であり且つ、品質の
高いハーフトーン画像を出力可能なFMマスクの作成方
法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディザ法の分類を示す図である。
【図2】FMマスクの作成過程を説明するための図であ
る。
【図3】FMマスクを画像データに適用する態様を説明
するための図である。
【図4】本発明のマスク作成方法で作成されるFMマス
クの一例を示す図である。
【図5】FMマスクの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例によるFMマスクの作成手
順として相互に連続してない階調レベルを複数選択する
状態を示す図である。
【図7】図6で選択した階調レベルm、nにおけるドッ
トパターンの例を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例による、図7の例におい
て、選択階調レベル間の階調レベルのドットパターンを
決定する方法を示す図(その1)である。
【図9】本発明の第1実施例による、図7の例におい
て、選択階調レベル間の階調レベルのドットパターンを
決定する方法を示す図(その2)である。
【図10】本発明の第1実施例による、図7の例におい
て、選択階調レベル間の階調レベルのドットパターンを
決定する方法を示す図(その3)である。
【図11】本発明の第1実施例による、図7の例におい
て、選択階調レベル間の階調レベルのドットパターンを
決定する方法を示す図(その4)である。
【図12】本発明の第1実施例に沿った実施の形態とし
て、従来の方式の中間調処理によるFMマスクと本発明
の第1実施例によって作成されたFMマスクとを組み合
わせる例を示す図である。
【図13】本発明の第1実施例によるハーフトーン変換
マスク作成方法で作成されたハーフトーン変換マスク及
びこのハーフトーン変換マスクを用いた誤差拡散処理法
を適用した画像出力装置の概略構成図である
【図14】(A)は所定の階調レベルのベタ画像を誤差
拡散処理して得られたドット配置と、その際に発生する
「掃き寄せ」の問題を説明するための図であり、(B)
はこのような誤差拡散パターンのエッジ部分においてO
Nドットが均等に整列している状態を説明するための図
である。
【図15】図14にて示したマスクエッジに整列したO
Nドットに対して最適化処理が充分なされなかった場合
に発生する問題(マスク適用部分が強調されるテクスチ
ャーの発生)について示した説明するための図である。
【図16】本発明の第2実施例による最適化方法に使用
される評価式に付加される加重関数の例を示す図であ
る。
【図17】本発明の第2実施例による最適化方法を例を
挙げて説明するための図である。
【図18】図16に示す加重の角度範囲の上限と下限の
算出方法を説明するための図である。
【図19】本発明の第2実施例による最適化方法による
動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2実施例による最適化方法を使用
して作成されたFMマスクを搭載したプリンタコントロ
ーラの概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 画像出力装置 20 コンピュータ 21 プリンタドライバ 30 プリンタ 40 中間モジュール 1a,1b,1c FMマスクを構成するドットパタ
ーン 100 FMマスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B057 AA11 CA02 CA08 CA12 CA16 CB02 CB07 CB12 CB16 CC01 CE13 5C077 LL03 LL19 NN09 PP47 PP48 PP68 PQ12 PQ18 PQ20 PQ23

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多値の画像データを画素毎に閾値と比較す
    ることによってハーフトーン画像に変換するための閾値
    データよりなるマスクを作成する方法であって、 所定の階調レベル毎にドットパターンを決定する段階
    と、 上記段階で得られたドットパターンによって前記マスク
    を構成する段階とよりなり、 該ドットパターンを決定する段階では、上記所定の階調
    レベル毎に独立してドットパターンを決定する構成の方
    法。
  2. 【請求項2】前記所定の階調レベル以外の階調レベルの
    ドットパターンは前記所定の階調レベルのドットパター
    ンに基づいて補間処理によって決定する構成の請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記補間処理は、補間区間の両端の階調レ
    ベルのドットパターンの間の相違を順次解消するように
    して行う構成の請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記補間区間の両端の階調レベルのドット
    パターンの間の相違を順次解消するようにして行う補間
    処理は、所定の順序に従って互いに近接したドット同士
    の間で行う構成の請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記補間区間の両端の階調レベルのドット
    パターンの間の相違を順次解消するようにして行う補間
    処理では、ドット配置に関する所定の評価を行い、その
    評価結果が最良となるドット配置となる順に行う構成の
    請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記評価は、粒状性及び等方性のうちの少
    なくともいずれか一方を評価する構成の請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】前記補間区間の両端の階調レベルのドット
    パターンの間の相違を順次解消するようにして行う補間
    処理は、補間区間の両端の階調レベルのドットパターン
    のいずれにおいてもONでないドットがONであるドッ
    トパターンを挿入する処理を含む構成の請求項3乃至6
    のうちのいずれか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記所定の階調レベルの間の最小間隔を、
    総階調レベル数の1/32以上とする構成の請求項2乃
    至7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記所定の階調レベルの間の間隔を、処理
    すべき画像データの画像領域に従って変化させる構成の
    請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 【請求項10】所定範囲の階調レベルについて階調レベ
    ル毎に逐次的にドットパターンを決定する構成の請求項
    1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記所定の階調レベル毎にドットパター
    ンを決定する段階では、ベイヤー型ディザ処理によって
    ドットパターンを決定する構成の請求項1乃至10のう
    ちのいずれか一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記ベイヤー型ディザ処理によってドッ
    トパターンが決定された前記所定の階調レベル以外の他
    の階調レベルについてもベイヤー型ディザ処理によって
    ドットパターンを決定する構成の請求項11に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】前記ベイヤー型ディザ処理によってドッ
    トパターンが決定された前記所定の階調レベル以外の他
    の階調レベルについては、当該方法によってハーフトー
    ン画像に変換された画像を出力する装置の階調特性、解
    像度及び画素再現性の夫々に関する機能のうちの少なく
    とも一つに応じた中間調処理にてドットパターンを決定
    する構成の請求項11又は12に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記ベイヤー型ディザ処理によってドッ
    トパターンが決定された前記所定の階調レベル以外の他
    の階調レベルについては、当該方法によってハーフトー
    ン画像に変換された画像を出力する装置の適用画像モー
    ドに応じた中間調処理にてドットパターンを決定する構
    成の請求項11又は12に記載の方法。
  15. 【請求項15】多値の画像データを画素毎に閾値と比較
    することによってハーフトーン画像に変換するための閾
    値データよりなるFMマスクを作成する方法であって、 所定の階調レベル毎にドットパターンを決定する段階
    と、 上記段階で得られたドットパターンによって前記マスク
    を構成する段階とよりなり、 該ドットパターンを決定する段階は、ドットパターン中
    のONドット間の距離を評価する処理よりなり、 前記ONドット間の距離を評価する処理では、特定方向
    の距離について重点的に評価する構成の方法。
  16. 【請求項16】多値の画像データを画素毎に閾値と比較
    することによってハーフトーン画像に変換するための閾
    値データよりなるFMマスクを作成する方法であって、 所定の階調レベル毎にドットパターンを決定する段階
    と、 上記段階で得られたドットパターンによって前記マスク
    を構成する段階とよりなり、 該ドットパターンを決定する段階では、上記所定の階調
    レベル毎に独立してドットパターンを決定し、 該ドットパターンを決定する段階は、ドットパターン中
    のONドット間の距離を評価する処理よりなり、 前記ONドット間の距離を評価する処理では、特定方向
    の距離について重点的に評価する構成の方法。
  17. 【請求項17】前記特定の方向は略垂直方向と略水平方
    向とよりなる構成の請求項15又は16に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記特定の方向は、所定の角度の両側に
    各々略8乃至16度の幅を有する構成の請求項15乃至
    17のうちのいずれか一項に記載の方法。
  19. 【請求項19】前記特定方向の距離について重点的に評
    価する処理では、所定の方向を中心としてその両側の所
    定角度範囲に対して徐々に評価の重みを軽くする構成の
    請求項15乃至18のうちのいずれか一項に記載の方
    法。
  20. 【請求項20】前記請求項1乃至19のうちのいずれか
    一項に記載の方法によって作成されたマスクを使用して
    多値の画像データをハーフトーン画像に変換し、電子写
    真方式、インクジェット方式又は熱転写方式によって出
    力する画像処理装置。
  21. 【請求項21】前記請求項1乃至19のうちのいずれか
    一項に記載の方法をコンピュータに実行させて多値の画
    像データをハーフトーン画像に変換する際に使用される
    マスクを作成するためのソフトウェアプログラム。
  22. 【請求項22】前記請求項1乃至19のうちのいずれか
    一項に記載の方法によって作成された多値の画像データ
    をハーフトーン画像に変換するためのマスクデータ。
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