JP2007189427A - 分散評価装置、配置決定装置、画像処理装置、分散評価方法、配置決定方法、画像処理方法、及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 配置決定装置2は、有界な空間E(n)内に分散したm個の点からなる集合をXとしたときに、各点x、y∈Xの間で生じる相互エネルギーfr(|x−y|)と、各点yにおける点密度とに基づいて、集合Xのエネルギーを算出し、このXのエネルギーを低下することによって点分散の分散性を高める。この方法により、2次元の幅w、高さhの有界な画像空間における分散ドット画像について、各領域の画像濃度を加味しつつ、ドットの分散性を向上させることができる。
【選択図】図8
Description
また、特許文献2は、物理学のモデルに従った斥力緩和法による点分散の方法を開示する。
上記目的を達成するために、本発明にかかる分散評価装置は、複数の配置物の分散性を評価する分散評価装置であって、評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段を有する。
また、本発明にかかる配置決定装置は、注目配置物の分散性を評価する場合に、2つの配置物間の距離のみに依存する評価関数と、他の配置物に対応付けられた密度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値算出手段により算出された評価値を用いて、所定の配置空間内における複数の配置物の配置を決定する配置決定手段とを有する。
また、本発明にかかる画像処理装置は、注目ドットの分散性を評価する場合に、2つのドット間の距離のみに依存する評価関数と、他のドットに対応付けられた濃度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、注目ドットの分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値算出手段により算出された評価値を用いて、所定の画像内における複数のドットの配置を決定する配置決定手段とを有する。
また、本発明にかかる分散評価方法は、複数の配置物の分散を評価する分散評価方法であって、評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する。
また、本発明にかかる配置決定方法は、所定の配置空間に配置された複数の配置物について、いずれかの配置物の仮配置を変更し、注目配置物の分散性を評価する場合に、2つの配置物間の距離のみに依存する評価関数と、他の配置物に対応付けられた密度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、少なくとも1つの配置物の仮配置が更新された配置空間について、評価値を算出し、算出された評価値に基づいて、適用すべき配置を決定する。
また、本発明にかかる画像処理方法は、所定の画像を構成する複数のドットについて、いずれかのドットの仮配置を変更し、仮配置が変更されたドットの分散性を評価する場合に、2つのドット間の距離のみに依存する評価関数と、他のドットに対応付けられた濃度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、仮配置が更新されたドットについて評価値を算出し、算出された評価値に基づいて、適用すべき配置を決定する。
また、本発明にかかるプログラムは、複数の配置物の分散を評価するコンピュータにおいて、評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出するステップを前記コンピュータに実行させる。
まず、本発明の理解を助けるために、その背景及び概略を説明する。
デジタル画像処理におけるデジタルスクリーニング技術(2値化技術)では、白と黒の画素からなる2値画像によって擬似的に中間調のグレー値を表現し、複数の2値画像を重ねることで、例えばCMYKなどの擬似カラー画像を作成している。
2値画像には、主に網点と呼ばれる、複数個の点の密集により濃淡を表現するタイプ(網点画像と呼ぶ)と、複数個の分散した点により濃淡を表現するタイプ(分散ドット画像と呼ぶ)に分けられる。網点画像は、解像度は低いが安定した濃度表現が可能であり、分散ドット画像は、網点画像よりも高い解像性を表現できる。分散ドット画像の画質上の問題点として、ドットの分散性の良し悪しに起因するざらつきの発生が挙げられ、高品位な分散ドット画像を得るためには、ドットの分散性を高める必要がある。以下、分散ドット画像に関する問題点を整理する。
なお、誤差拡散法も分散ドットマスク法も、共に画質上の問題点を克服するために、これまで様々な改良が提案されてきているが、理論的に最良と言える方式の獲得までは至っていない。
また、これらを含む2値化技術全般の動向は、「H.R.Kang、"Digital color halftoning"、SPIE/IEEE Series on Imaging science & engineering(1999).」に詳しい。
なお、本願出願人は、幾何学的に保証されたエネルギーを用いて点分散の評価や作成を行う方法を特願2005−079614において開示している。この方法では、点分散を幾何学的に保証しつつ点分散を得ることができるものの、いずれも密度が一定(固定濃度の画像、又は、均一な密度で配置された配置物など)である場合を対象としていた。そのため、領域毎に濃度(分散密度)が異なる分散ドット画像に関し、分散性の評価を行うことができなかった。
なお、関数frは、本発明にかかる評価関数の一例であり、2階微分可能かつ各微分係数が連続で、少なくとも、fr(x)=0(x≧r)、0<r<1/2・diam(E(n))を満たし、更に、fr(x)が凸関数であり、関数frの導関数fr'についてfr'(√x)が凹関数であるものとすることができる。
なお、この条件を満たす関数frは、1次元周期的空間において、複数の点が均等に分散したときに、全てのx、y∈Xに関する関数値fr(|x−y|)の総和平均が最小になることが数学的に保証された関数である。このとき、任意の点分散に対して、各点のエネルギーを測定し、測定した値が小さいほど、エネルギーが小さく、点分散の分散性が良いとすることができる。
また、上述したように、2次元のw×hピクセルの画像を扱うため、1/2・diam(E(n))は1/2・min{w、h}で置き換えてもよい。
例えば、別の例として、例えば、ある都市内に複数の店舗を配置するような場合、どの地域からもいずれかの店舗に近くなるように、効率的な店舗配置が求められる場合がある。この場合に、商圏人口などに応じた店舗の配置密度を実現することが望まれる。
さらに別の例として、例えば、単位立方体内に電子あるいは分子を均等に分散させた状態を用意し、各種の物理実験のシミュレートを行うような場合がある。この場合にも、電場などの影響として、電子あるいは分子の密度を制御する必要がある。
次に、本実施形態における配置決定装置2のハードウェア構成を説明する。
図1は、本発明にかかる分散評価方法、配置決定方法及び画像処理方法が適応される配置決定装置2のハードウェア構成を、制御装置20を中心に例示する図である。
図1に例示するように、配置決定装置2は、CPU202及びメモリ204などを含む制御装置20、通信装置22、HDD・CD装置などの記録装置24、並びに、LCD表示装置あるいはCRT表示装置及びキーボード・タッチパネルなどを含むユーザインターフェース装置(UI装置)26から構成される。
配置決定装置2は、例えば、配置決定プログラム5(後述)がインストールされた汎用コンピュータであり、通信装置22又は記録装置24などを介して、空間上に配置すべき配置物に関する情報(例えば、配置物の数など)、及び、これらの配置物が配置される配置空間に関する情報(例えば、配置空間の形状、大きさなど)を取得し、取得された情報に基づいて、配置物の配置を決定する。
また、配置決定装置2は、配置物の位置情報、及び、配置空間に関する情報を取得し、取得されたこれらの情報に基づいて、配置物の分散性を評価する。
図2は、制御装置20(図1)により実行され、本発明にかかる配置決定方法を実現する分散化プログラム5の機能構成を例示する図である。
図2に例示するように、配置決定プログラム5は、データ入力部500、記憶部510、予備処理部520、濃度特定部530、分散評価部540、配置更新部550、判定部560及びデータ出力部570を有する。
なお、配置決定プログラム5の全部又は一部をASICなどのハードウェアで実現してもよい。
本例のデータ入力部500は、入力された2値画像(分散ドット画像データ)を点分散データとして記憶部510に出力する。
また、記憶部510は、予備処理部520、濃度特定部530、分散評価部540、配置更新部550及び判定部560に対して、ワークエリアを提供する。例えば、記憶部510は、データ入力部500から入力された点分散データに加えて、予備処理部520により前処理された画像の点分散データ、分散性改善後の点分散データ、並びに、点分散評価に用いられる各種の途中演算結果及び処理パラメータなどを保持する。
本例では、2値の分散ドット画像の各種の処理を行うことが可能であるが、それぞれの処理に応じて必要な準備や処理工程が異なるため、予備処理部520は必要な処理を行う。一例を挙げると、分散ドット画像の解像度変換を行う場合には、予備処理部520は、分散評価部540及び配置更新部550等による分散性の改善処理を行う前に、原画像を所定解像度に解像度変換する。この場合に、解像度変換された画像に対して、分散評価部540及び配置更新部550等によって分散性の改善処理が施される。
本例の濃度特定部530は、多値の画像データが入力された場合には、入力された画像データの画素値に基づいて、各画像領域における濃度値を特定し、2値の画像データが入力された場合には、2値画像を構成する複数のドットの分布に基づいて、各画像領域における濃度値を特定する。
より具体的には、分散評価部540は、記憶部510に保持された点分散データの分散性の良さを、エネルギー関数によって評価する。このエネルギー関数I(X,fr)は、例えば、以下の式で表される。
また、関数frは、配置物の集合Xに含まれる各点(x、y∈X)の間で生じる相互エネルギーfr(|x−y|)である。そして、各点エネルギー関数I(X,x,fr)は、この相互エネルギーfrと、密度情報の逆数に比例する重み付け関数P(本例では、1/p(y))とからなる関数である。さらに、p(y)は、配置物が配置される点yに対応付けられた密度情報(本例では、点yにおける濃度値)である。したがって、各点エネルギー関数値Iは、fr/p(y)の各点平均値である。つまり、本例における各点エネルギー関数I(X,x,fr)は、例えば、以下の式で表すことができる。
また、|X|は、Xの点の総数とする。
また、|x−y|は、E(n)空間における点xとyとの距離を意味する。例えば、E(n)がn次元ユークリッド空間の部分集合の場合には、|x−y|は、ユークリッド距離で定義できる。また、diam(E(n))はE(n)の直径、すなわちsup{|x−y|:x、y∈E(n)}とする。ここで、supは上限値を意味する。
本例の配置更新部550は、分散評価値520により算出される各点エネルギー値を降下させるように、入力された2値画像のドットを移動させる。
また、判定部560は、分散性の評価のみを行う場合に、配置更新部550による点分散データの更新(ドットの移動)を禁止する。
また、判定部560は、分散性のよい配置を決定する場合に、配置更新部550に各配置物(ドット)を移動させ、必要に応じて分散評価部540に再び各点エネルギー値の算出を実行させる。あるいは、判定部560は、エネルギー値が既定の条件を満たすまで、分散評価部540による評価、及び、配置更新部550による配置更新処理を交互に繰り返させてもよい。
まず、分散評価処理を説明する。以下では、離散的な空間256×256ピクセル内に分散したm個の点の点分散の分散性を評価する例について説明する。
図3は、配置決定プログラム5(図2)による分散評価処理(S10)のフローチャートである。
図3に示すように、ステップ100(S100)において、データ入力部500は、通信装置22(図1)又は記憶装置24(図1)を介して、入力画像(配置空間)の形状及び大きさ、並びに、この入力画像における各ドットの位置を点分散データとして取得し、取得された点分散データを記憶部510に出力する。
分散評価部540は、データ入力部500から入力された点分散データに応じて、n次元配置空間内の有限集合E(n)に含まれる点分散集合Xを準備する。本例では、E(n)は、図4に例示するように、256×256のピクセル全体とする。また、ドットの集合Xは、このE(n)の内部に定義されたm個の点の集合とする。
なお、本例では、説明の便宜のために、256×256の2値画像を具体例として説明するが、画像でなく一般の256×256の離散空間に置き換えてもよい。
分散評価部540は、入力された点分散データ、及び、濃度特定部530により算出された濃度値に基づいて、各ドット位置の各点エネルギーI(X,x,fr)を算出する。
より具体的には、分散評価部540は、注目点xに関して、他の点y(x、y∈X)との間で生じる相互エネルギーfr(|x−y|)をそれぞれ算出し、算出された相互エネルギーfrを点yの濃度値p(y)で除算する。そして、分散評価部540は、集合Xに含まれる他の点y全てについて算出されたfr/p(y)を合算して、各点エネルギーI(X,x,fr)を算出する。
すなわち、各注目点xの各点エネルギーI(X,x,fr)は、以下の式で表される。
I(X,x,fr)=Σy∈Xfr(|x−y|)/p(y)
半径rよりも外側の点(白抜きの丸)は、fr(x)=0(x≧r)の条件に基づいて無視される。
より具体的には、分散評価部540は、各点エネルギーを合算し、この合算値を、集合Xに含まれる点の数(|X|=m)で除算して、全点エネルギーI(X,fr)を算出する。
すなわち、対象となる配置空間の全点エネルギーI(X,fr)は、以下の式で表される。
I(X,fr)=1/|X|・Σx∈XI(X,x,fr)
なお、データ出力部570は、全点エネルギーI(X,fr)に加えて、各点のエネルギーI(X,x,fr)を、分散性の評価値として出力してもよい。
配置空間に応じた2点間(注目点xと対象点y)の距離|x−y|の取り方を説明する。
本実施形態で算出される各点エネルギーI(X,x,fr)は、注目した点xとその他の点y全てとの間で生じるエネルギー値の濃度に応じた重み付け合算値として定義されている。
このような場合、考察する配置空間に対称性がない場合、つまり境界領域が存在する場合に、取り扱いに面倒が生じる。
図6は、配置空間における境界領域を例示する図である。
図6に例示するように、配置空間E(n)は、主走査方向及び副走査方向に256ピクセルの2次元空間である。図6中のハッチングで示した領域は、配置空間E(n)の周縁部から、限界距離rまでの領域である。ここで、限界距離rとは、相互エネルギーfrが有意な値(0以外の値)をとりうる範囲を示す値である。限界距離rよりも離れた点間では、相互エネルギーfrの値が0となる。換言すると、注目点xとの距離が限界距離rよりも遠い他の点y(対象点y)は、この注目点xのエネルギーに影響を与えない。
図6に示すハッチング領域内にある任意の注目点x(x∈X)を考えた場合に、注目点xを中心として半径rの範囲を考察すると、図6に示すように256×256の外周の外側にはみ出てしまい、正しい計算ができない場合がある。このような場合には、予め256×256を含むより大きな空間Yの一部として256×256を入力して、注目点xとしてはXの点全体を動かし、対象点yとしてはYの点全てを対象とするようにしてもよい。あるいは、図6に示すように、配置空間からはみ出した領域には点がないものとして処理してもよい。もちろん外周部分の不具合によって評価結果に不都合が生じるような場合もあるが、そのような場合には、対象とする空間をより大きく(例えば1024×1024など)選択することによって、その不都合が減少し、より分散性の良い点分散を、よりエネルギーが低いと判定することができる。
分散評価部540により適用されるエネルギー関数frは、frと同様の性質を持ち、[0,1]閉区間で定義された関数h(x)を用いて、
と表すことができる。なお、このようにして[0,1]閉区間で定義された関数h(x)を与えてfr(x)を定義すると、rを含まない一般の関数h(x)を使ってfr(x)を構成できるという利点がある。図7に実線で示したグラフは、エネルギー関数frを構成する関数h(x)の一例であり、h(x)=(2/3―x+1/3・x3)2のグラフである。
分散評価部540により適用される関数fr(相互エネルギーを求める関数)の条件として、fr(x)=0(x≧r)、0<r<1/2・diam(E(n))、fr(x)が凸関数であり、frの導関数fr'についてfr'(√x)が凹関数であり、更にfr(x)は2階微分可能かつ各微分係数が連続としていた。ここで、fr(x)を上記のようにh(x)による合成関数として定義すると、fr(x)が上記各条件を満たすためには、上記の各条件におけるfrをhに置き換えて条件が満たされれば良いということがわかる。
本実施形態における分散評価部540は、上記条件を満たしさえすればどのような関数を使ってもよいことが大きな特徴であるが、本例では、図7に例示するエネルギー関数h(x)を、関数frを実現する具体例として用いる。なお上記条件を満たす関数はその他にも数多くあるが、一例としては、
h(x)=(1−x)p(但しp≧2)
があげられる。
一方、上述した従来の関数の一例であるexp(−x2/(2σ2))は、同じく図7に点線で示したグラフであり、凸性や凹性を持っていない。なお、この従来の関数(点線)は、その形態がh(x)に近くなるように、パラメータσの値を調整したもの(σ=0.22)であり、σの調整を行っていない場合には、更にh(x)と異なる形態を有することになる。なお、従来例では、この関数に限らず関数に数学的な保証がないために、このようなパラメータ調整が必要となる場合が多い。
次に、画像改善処理を説明する。本例では、256×256ピクセルの2値画像を処理対象とし、この画像内に分散したm個の黒ドットについて、各画像領域の濃度を維持しつつ、より分散性の良い2値画像を作成する形態を具体例として説明する。
処理対象となる2値画像は、網点画像でも、分散ドット画像でもよい。また、本例では、入力された2値画像に対して、連続階調画像の原画像が存在する場合と、存在しない場合を共に前提として説明を行う。
なお、本例では、黒ドットを配置物として分散性を評価し、配置の更新を行うが、白ドットを配置物として処理してもよい。
また、濃度変換が要求された場合には、予備処理部520は、入力された2値画像(及び、連続階調画像)について、濃度変換を行う。すなわち、連続階調画像の濃度変換は、各ピクセルに固定濃度比率を乗算し、2値画像の濃度変換は、該固定比率に基づいて所定数の画素値(黒ドットと白ドット)を反転させればよい。この場合にも、黒ドット及び白ドットの数が変化するため、点分散データが更新されることになる。
配置更新部550は、2値画像を構成する黒ドットの集合Xの中から、処理対象となる注目ドットxを設定し、この注目ドットxを既定の位置に仮変位させる。注目ドットxを仮変位させる既定位置は、例えば、注目ドットxを中心とした3×3ピクセルのいずれかである。
分散評価部540は、記憶部510に展開されている2値画像の点分散データに応じて、n次元配置空間内の有限集合E(n)に含まれる点分散集合Xを準備する。本例では、図4に例示するように、n=2として、E(n)を256×256のピクセル全体とする。また、2値画像を構成する黒ドットの集合Xは、このE(n)の内部に定義されたm個の点の集合であり、初期配置データして設定される。
なお、本ステップにおける各点エネルギーIの算出は、図3に示したS120と実質的に同一である。
また、各点エネルギーIは、注目した黒ドットと周囲の黒ドットとの間で生じるエネルギーを算出している。したがって、画像の縁部分では例外処理が必要となる。図6に示すように、外枠を256×256の外周として、同じく図6にハッチングで示した領域内にある任意の黒ドットx∈Xを考えた場合に、黒ドットxを中心として半径rの範囲を考察すると、図6に示すように256×256の外周の外側にはみ出てしまう。このような場合には、予め256×256(画像領域)の外側に仮想的に幅rの枠を設けて、256×256の外周の画素をコピーして加えた(256+2r)×(256+2r)の空間をXに置き直すようにしてもよいし、注目ドットxが256×256の外周に来たときにのみ、仮想的に外周の外側にもコピーされた黒ドットが存在するものとしてエネルギー計算してもよい。
配置更新部550は、判定部560からの通知に応じて、最も各点エネルギーの小さい仮変位位置に、この注目ドットxを配置し、Xを更新する。
すなわち、配置決定プログラム5は、S206〜S214の処理が既定の回数以上繰り返された場合に、各点が収束して最適な地点に移動し終えたと判断する。
すなわち、配置決定プログラム5は、S206〜S214の処理が既定の回数以上繰り返されていない場合に、各点が収束し終えていないと判断し、この処理後の黒ドットの集合X'を初期状態として、S206〜S214の処理を繰り返す。
データ出力部570は、初期配置データを、分散性が改善された2値画像のデータとして出力する。なお、データ出力部570は、分散性が改善された2値画像のデータと共に、算出された各点エネルギーI(X,x,fr)及び全点エネルギーI(X,fr)を、この画像データの評価値として出力してもよい。
また、このように改善された2値画像は、濃度情報の精度次第で誤差拡散法と同等の高解像度を実現し、しかも誤差拡散法に特有のテクスチュアを発生させない、高画質な画像となる。
なお、以上の説明においては、連続階調画像の原画像が存在する場合と存在しない場合を共に扱ってきたが、例えば画像の2値化処理は前者に相当し、2値画像の解像度変換や色変換などの処理は一般に後者に相当する。連続画像の2値化処理も、このように一旦仮2値化した画像の分散性を上げるという見方をすることで本例の方法を適用することができる。
図8のS202において、予備処理部520が、図9(A)に例示するw×hピクセルの原画像を、最近傍法でW×Hピクセルに解像度変換すると、図9(B)に例示するような画像(解像度変換済み)が生成される。
解像度変換された2値画像に関し、黒ドットに注目して考えると、図9に例示するように、各1×1ピクセルの黒ドットが各2×2の黒ドットに変換される。
これが、図8のS206〜S220の処理によって、各2×2ピクセル内にある4つの黒ドットが、エネルギー降下によってそれぞれ互いに分散してゆき、図9(C)に例示する分散性のよい2値画像になる。
つまり、一旦解像度変換することによって外見上ドットがクラスター化しても、エネルギー降下によって再び原画像と同じ大きさの画素サイズで分散してゆく。原画像のドット分散性は、エネルギー降下によってより分散性の良い画像に変換されるので、解像度変換とドット分散性の改善を同時に行っていることになる。
及び、
の2条件を加えることで、三角格子配置時に局所的なエネルギー安定性を保証できる。ここで、三角格子を考慮しているのは、2次元平面で最も点が均等に配置した状態が三角格子配置だからである。なお、実施例で述べた、h(x)による具体的な関数frは、実際これらの2条件をも満たしていることが確認できる。なお、より安全を期すならば、これらの条件を満たす関数h(x)に対して、h(x)をp乗(p≧1)した関数を新たにh(x)と置き直すことによってより強い凸性を与えた関数を使用することができる。この、強い凸性を与えることでより安全になるであろうという推定は、1次元解及び2次元での部分解における考察から導出されるものである。
と置いた場合に、例えば以下の関数を挙げることができる。
このようにして定義されたfrは上述した全ての条件を満たすことが確認できる。なお、この関数h(x)の形態は図7に実線で示すとおりであり、hが凸形をしている(更にh'(√x)が凹形となる)。
I(X,x,fr)=Σy∈Xfr(|x−y|)/p(y)
で定義していることに起因する。ここで、点yの濃度p(y)で各点間のエネルギーを除算して、濃度によって各点の重みを変える効果を与えている。ところが、低濃度領域においては、点灯しているドットの数が少ないため、相対的に、一点のドットの点灯がエネルギーI(X,x,fr)に与える影響が大きくなり、点yの濃度p(y)による重み効果で吸収できる以上の誤差を与えやすくなるため、エネルギー降下によってドットの分散性にざらつきが残りやすくなる。
このような点を鑑みて、エネルギー降下を変形させてもよい。例えば、変形例として、黒ドットと白ドットの両方のエネルギーを考慮する、あるいは濃度によって黒ドットと白ドットのエネルギーを切り換える、あるいはブレンドする、などの方法を使用してもよい。黒ドットと白ドットの両方のエネルギーを考慮する場合には、注目ドットを他の点に移動するということを、黒ドットと白ドットを入れ替えるとみなし、それぞれ入れ替えた黒ドットと白ドットで共にエネルギー降下した場合にのみ、入れ替えを成立させる、などの方法を採ることができる。これにより、例えば黒ドットの低濃度側の処理では同時に白ドットの高濃度側が考慮されるので、全体にザラツキを緩和することができる。なお、このように黒ドットと白ドットの両方を処理の対象とする場合、X1(黒ドット)、X2(白ドット)という、互いに反転の関係にある二つの分散ドット画像のエネルギーを降下させると考えればよい。
5・・・配置決定プログラム
500・・・データ入力部
510・・・記憶部
520・・・予備処理部
530・・・濃度特定部
540・・・分散評価部
550・・・配置更新部
560・・・判定部
570・・・データ出力部
Claims (15)
- 複数の配置物の分散性を評価する分散評価装置であって、
評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段
を有する分散評価装置。 - 前記評価値算出手段は、2つの配置物間の距離のみに依存する評価関数と、他の配置物に対応付けられた密度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、評価値を算出する
請求項1に記載の分散評価装置。 - 前記評価値算出手段は、注目配置物を基準とした既定の範囲内に他の配置物が複数存在する場合に、前記評価関数及び前記重み付け関数を用いて、他の配置物それぞれについて2点間評価値を算出し、他の配置物それぞれについて算出された2点間評価値の合算値を前記評価値とする
請求項2に記載の分散評価装置。 - 前記配置物は、画像を構成する点であり、
それぞれの点に対応付けられた密度情報は、それぞれの画像領域における濃度値であり、
前記評価値算出手段は、前記評価関数及び前記重み付け関数を用いて、画像における点の分散性を示す評価値を算出する
請求項2又は3に記載の分散評価装置。 - 前記評価関数は、1次元周期空間に配置された複数の点を評価する場合にこれら複数の点が略均等に配置されたときに全点間の関数値の総和平均が最小となる関数であり、かつ、2次元周期空間に複数の点が略均等に配置されたときの全点間の関数値の総和平均が局所的に最小となる関数である
請求項1〜4のいずれかに記載の分散評価装置。 - 前記評価関数は、2つの配置物の間の距離が限界値を超える場合に、関数値が0となり、かつ、この限界値以内の距離については単調減少な凸関数であり、
この部分評価関数の導関数は、2つの配置物の間の距離の平方根に対して、凹関数となる
請求項5に記載の分散評価装置。 - 前記評価関数は、2つの配置物の間の距離に対して、2階微分可能であり、かつ、この評価関数の微分係数は、連続である
請求項5又は6に記載の分散評価装置。 - 注目配置物の分散性を評価する場合に、2つの配置物間の距離のみに依存する評価関数と、他の配置物に対応付けられた密度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段により算出された評価値を用いて、所定の配置空間内における複数の配置物の配置を決定する配置決定手段と
を有する配置決定装置。 - 評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、前記他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
前記複数の配置物のいずれかの仮配置を更新する配置更新手段と、
前記配置更新手段により仮配置が更新された複数の配置物について、前記評価値算出手段に評価値を算出させて、算出された評価値に基づいて、適用すべき配置を決定する配置決定手段と
を有する配置決定装置。 - 注目ドットの分散性を評価する場合に、2つのドット間の距離のみに依存する評価関数と、他のドットに対応付けられた濃度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、注目ドットの分散性を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段により算出された評価値を用いて、所定の画像内における複数のドットの配置を決定する配置決定手段と
を有する画像処理装置。 - 複数の配置物の分散を評価する分散評価方法であって、
評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出する
分散評価方法。 - 所定の配置空間に配置された複数の配置物について、いずれかの配置物の仮配置を変更し、
注目配置物の分散性を評価する場合に、2つの配置物間の距離のみに依存する評価関数と、他の配置物に対応付けられた密度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、少なくとも1つの配置物の仮配置が更新された配置空間について、評価値を算出し、
算出された評価値に基づいて、適用すべき配置を決定する
配置決定方法。 - 所定の画像を構成する複数のドットについて、いずれかのドットの仮配置を変更し、
仮配置が変更されたドットの分散性を評価する場合に、2つのドット間の距離のみに依存する評価関数と、他のドットに対応付けられた濃度情報の逆数に比例する重み付け関数とを用いて、仮配置が更新されたドットについて評価値を算出し、
算出された評価値に基づいて、適用すべき配置を決定する
画像処理方法。 - 複数の配置物の分散を評価するコンピュータにおいて、
評価対象となる注目配置物と、この注目配置物を基準として既定の範囲内にある他の配置物との間の距離、及び、他の配置物に対応付けられた密度情報に基づいて、注目配置物の分散性を示す評価値を算出するステップ
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
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