JP2010230912A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体上に、少なくとも、電荷発生剤、電荷輸送剤、界面活性剤及び結着樹脂を含む感光層を設けた電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置であって、界面活性剤の疎水性部分が、フルオロプロペン誘導体に由来した構造である。
【選択図】図3
Description
また、上述した静電潜像のトナーによる現像は、現像手段において摩擦帯電されたトナーを、静電潜像に対して静電気力によって付着させることにより行われている。
その結果、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、トナーを選択的に付着させる精度が低下し、静電潜像以外の部分に対してもトナーが付着しやすくなるため、形成画像において、所謂「かぶり」が生じやすくなるという問題が見られる。
すなわち、特許文献1には、感光層に対し、下記一般式(7)で表される添加剤を含有させた電子写真感光体が開示されている。
その結果、現像手段におけるトナーの摩擦帯電が不十分な場合であっても、静電潜像以外の部分に対してトナーが付着することを効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、トナーの帯電状態によらず、安定的にかぶりの発生を抑制できる電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
すなわち、感光層が特定構造の疎水性部分を有する界面活性剤を含むことにより、当該疎水性部分を、感光層表面に対して配向させて、感光層表面における離型性を効果的に向上させることができる。
また、感光層の形成時においては、所定の界面活性剤が、感光層用塗布液のレベリング剤としても機能することから、感光層表面における平滑性を効果的に向上させて、その離型性をさらに向上させることができる。
したがって、本発明の電子写真感光体であれば、現像手段におけるトナーの摩擦帯電が不十分な場合であっても、静電潜像以外の部分に対してトナーが付着することを効果的に抑制することができ、ひいては、トナーの帯電状態によらず、安定的にかぶりの発生を抑制することができる。
このように構成することにより、所定の界面活性剤の疎水性部分におけるフッ素原子の配置を好適化させ、感光層表面における離型性をより効果的に向上させることができる。
このように構成することにより、所定の界面活性剤の配向性を、より向上させることができる。
このように構成することにより、所定の界面活性剤の配向性を、さらに向上させることができる。
このように構成することにより、分子中における疎水性と、親水性と、のバランスを向上させることができるとともに、所定の界面活性剤の含有量をより少なくした場合であっても、感光層表面に対して所定の離型性を、安定的に付与することができる。
このように構成することにより、電子写真感光体の電気特性を阻害することなく、感光層表面における離型性を、効果的に向上させることができる。
このように構成することにより、所定の界面活性剤の配向性を、さらに効果的に発揮させることができる。
このように構成することにより、所定の界面活性剤の配向性を、さらに効果的に発揮させることができ、また、感光層用塗布液のレベリング剤としての機能も、より効果的に発揮させることができる。
このように構成することにより、電子写真感光体の帯電極性を、プラス極性とすることが容易となることから、感光層表面がオゾン等の酸化性ガスによって酸化劣化することを抑制することができ、ひいては、感光層表面における離型性を、効果的に保持することができる。
このように構成することにより、感光層表面における離型性を、より好適な範囲に調節することができる。
なお、感光層の接触角とは、感光層表面の接触角を意味する。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、所定の電子写真感光体を搭載してあることから、トナーの帯電状態によらず、安定的にかぶりの発生を抑制することができる。
第1の実施形態は、基体上に、少なくとも、電荷発生剤、電荷輸送剤、界面活性剤及び結着樹脂を含む感光層を設けた電子写真感光体であって、界面活性剤の疎水性部分が、フルオロプロペン誘導体に由来した構造であることを特徴とする電子写真感光体である。
以下、第1の実施形態としての電子写真感光体について、主に単層型電子写真感光体を例に挙げて、構成要件ごとに具体的に説明する。
本発明の電子写真感光体10は、図1(a)に示すような、基体12上に、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、所定の界面活性剤と、結着樹脂と、からなる単層型感光層14を設けた単層型電子写真感光体10であることが好ましい。
この理由は、単層型電子写真感光体であれば、電子写真感光体の帯電極性をプラス極性とすることが容易となることから、感光層表面がオゾン等の酸化性ガスによって酸化劣化することを抑制することができるためである。そして、後述する所定の界面活性剤により向上させた感光層表面における離型性を、効果的に保持することができるためである。
また、単層型電子写真感光体であれば、構成が簡易であるにもかかわらず、優れた感度特性を得ることができるという利点も有するためである。
なお、本発明の電子写真感光体は、図1(b)に例示するように、感光層14と、基体12と、の間に、中間層16を形成した単層型電子写真感光体10´とすることもできる。
また、基体の構成材料としては、種々の材料を使用することができる。
例えば、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよく、また、使用に際して、充分な機械的強度を有していればよい。
また、図1(b)に示すように、基体12上に、中間層16を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制し、さらに、かぶりや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
したがって、中間層の膜厚を、0.2〜40μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)界面活性剤
本発明の電子写真感光体は、感光層が特定構造の疎水性部分を有する界面活性剤を含むことを特徴とする。
この理由は、感光層が特定構造の疎水性部分を有する界面活性剤を含むことにより、当該疎水性部分を、感光層表面に対して配向させて、感光層表面における離型性を効果的に向上させることができるためである。
また、感光層の形成時においては、所定の界面活性剤が、感光層用塗布液のレベリング剤としても機能することから、感光層表面における平滑性を効果的に向上させて、その離型性をさらに向上させることができるためである。
したがって、本発明の電子写真感光体であれば、現像手段におけるトナーの摩擦帯電が不十分な場合であっても、静電潜像以外の部分に対してトナーが付着することを効果的に抑制することができ、ひいては、トナーの帯電状態によらず、安定的にかぶりの発生を抑制することができるためである。
以下、かかる所定の界面活性剤について、より具体的に説明する。
なお、所定の界面活性剤の感光層における配向性とは、感光層用塗布液の段階、つまり、感光層が固化される前の液体状態下において発揮されるものである。
したがって、感光層が固化された後は、所定の界面活性剤の配向は固定されることとなる。
本発明における界面活性剤は、その疎水性部分が、フルオロプロペン誘導体に由来した構造であることを特徴とする。
この理由は、フルオロプロペン誘導体に由来した構造であれば、フッ素原子を豊富に含んでいるばかりか、その配置が好適であるため、感光層の離型性を効果的に向上させることができるためである。
また、フルオロプロペン誘導体に由来した構造であれば、親水性部分との組み合わせにもよるが、所定の界面活性剤の感光層中における配向性を、効果的に向上させることができ、感光層の離型性を、より効果的に向上させることができるためである。
この理由は、フルオロプロペン誘導体が、分子内に少なくとも一つの二重結合を有することにより、所定の界面活性剤の疎水性部分におけるフッ素原子の配置をより好適化させ、感光層表面における離型性をさらに効果的に向上させることができるためである。
この理由は、所定の界面活性剤の疎水性部分におけるフッ素原子の配置をさらに好適化させ、感光層表面における離型性を、より一段と効果的に向上させることができるためである。
また、本発明における界面活性剤の親水性部分としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリオキシエチレン基、スルホン酸ナトリウム塩、カルボン酸ナトリウム塩、カルボン酸カリウム塩、ジカルボン酸カリウム塩、カルボン酸、4級アンモニウム塩、ベタイン等が挙げられる。
この理由は、所定の界面活性剤の親水性部分をポリオキシエチレン基とすることにより、所定の界面活性剤の配向性を、より向上させることができるためである。
この理由は、ポリオキシエチレン基の重合度をかかる範囲とすることにより、所定の界面活性剤の配向性を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、ポリオキシエチレン基の重合度が5未満の値となると、ポリオキシエチレン基の親水性が過度に低下して、所定の界面活性剤の配向性が不十分となる場合があるためである。一方、ポリオキシエチレン基の重合度が30を超えた値となると、ポリオキシエチレン基の親水性が過剰となって、所定の界面活性剤の配向性が不安定になったり、分子量が過度に大きくなって、感光層の電気特性に悪影響を与えたりする場合があるためである。
したがって、ポリオキシエチレン基の重合度を7〜25の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明における界面活性剤の全体としての分子構造は、上述した特定の構造を有する疎水性部分と、親水性部分と、を結合させた構造であれば、特に限定されるものではない。
また、上述した特定の構造を有する疎水性部分及び親水性部分以外の部分を、さらに含んでいてもよい。
そのような部分としては、例えば、炭素数5〜30の炭化水素基等が挙げられる。
すなわち、図2(a)〜(e)には、それぞれ本発明における界面活性剤の模式図が示されている。
まず、(a)では、直線状ポリオキシエチレン基(親水性部分)52の一方の端部に対し、一つのフルオロプロペン誘導体に由来した構造(疎水性部分)51を導入してなる界面活性剤50aを示している。
また、(b)では、直線状ポリオキシエチレン基52の両端部に、それぞれフルオロプロペン誘導体に由来した構造51を導入してなる界面活性剤50bを示している。
また、(c)では、直線状ポリオキシエチレン基52の一方の端部に対し、一つのフルオロプロペン誘導体に由来した構造51を導入するとともに、もう一方の端部に対し、炭化水素基53を導入してなる界面活性剤50cを示している。
また、(d)では、3つの端部を有する非直線状ポリオキシエチレン基52´の3つの端部に対し、それぞれフルオロプロペン誘導体に由来した構造51を導入してなる界面活性剤50dを示している。
さらに、(e)では、4つの端部を有する非直線ポリオキシエチレン基52´´の4つの端部に対し、それぞれフルオロプロペン誘導体に由来した構造51を導入してなる界面活性剤50eを示している。
なお、例示した(a)〜(e)の分子構造の中でも、特に(b)の分子構造は、分子中における疎水性と、親水性と、のバランスを向上させることができるとともに、所定の界面活性剤の含有量をより少なくした場合であっても、感光層表面に対して所定の離型性を、安定的に付与することができ、好適である。
また、所定の界面活性剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定の界面活性剤の含有量をかかる範囲とすることにより、電子写真感光体の電気特性を阻害することなく、感光層表面における離型性を、効果的に向上させることができるためである。
すなわち、所定の界面活性剤の含有量が0.01重量部未満の値となると、感光層表面における離型性を十分に向上させることが困難となる場合があるためである。一方、所定の界面活性剤の含有量が10重量部を超えた値となると、帯電特性や感度特性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、所定の界面活性剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、0.03〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜1重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、図3には、横軸に、感光層の結着樹脂100重量部に対する所定の界面活性剤の含有量(重量部)を採り、左縦軸に、当該電子写真感光体を用いて画像形成を行った場合におけるかぶり濃度(−)を採った特性曲線Aと、右縦軸に、当該電子写真感光体における帯電電位(V)を採った特性曲線Bと、が示してある。
なお、所定の界面活性剤としては、ネオス(株)製のフタージェント222Fを用いた。
また、かぶり濃度及び帯電電位の測定条件等については、実施例において記載する。
より具体的には、所定の界面活性剤を0重量部から0.1重量部へと増加させるのにともなって、かぶり濃度の値を0.015から0.005にまで急激に減少させることがわかる。そして、所定の界面活性剤の含有量をさらに増加させると、それにともなって、かぶり濃度の値がごく緩やかに減少し続けることが分かる。
より具体的には、所定の界面活性剤の含有量にかかわらず、帯電電位の値は約420Vを維持していることがわかる。
したがって、所定の界面活性剤を含有させた場合であっても、帯電特性の低下は、実用上問題とならないレベルであることが理解される。
なお、図3に示す特性曲線では、所定の界面活性剤の含有量の上限が1重量部までとなっているが、10重量部まで含有させた場合であっても、帯電特性の低下について、実用上問題とならないレベルを維持できることが確認されている。
さらに、帯電特性のみならず、感度特性についても、実用上問題とならないレベルを維持できることが確認されている(実施例参照)。
すなわち、図4には、横軸に、感光層の結着樹脂100重量部に対する界面活性剤の含有量(重量部)を採り、縦軸に、当該電子写真感光体を用いて画像形成を行った場合におけるかぶり濃度(−)を採った特性曲線C及びDが示してある。
ここで、特性曲線Cは、界面活性剤として、所定の界面活性剤(ネオス(株)製、フタージェント222F)を用いた場合の特性曲線である。
また、特性曲線Dは、界面活性剤として、その他の界面活性剤としてのポリテトラフルオロエタン微粒子(ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)を用いた場合の特性曲線である。
なお、かぶり濃度の測定条件等については、実施例において記載する。
一方、特性曲線Dからは、界面活性剤の含有量を増加させた場合であっても、かぶり濃度の値に大きな変化はなく、その値を減少させることができないことが分かる。
したがって、所定の界面活性剤、すなわち、その疎水性部分がフルオロプロペン誘導体に由来した構造である界面活性剤を用いることにより、特異的に、かぶりの発生を抑制できることが分かる。
(2)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の電荷発生剤の一種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)−1 種類
また、電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
なお、正孔輸送剤の含有量は、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、電子輸送剤の含有量は、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましく、20〜70の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光体層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加することが好ましい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、結着樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂をはじめ、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
この理由は、ポリカーボネート樹脂であれば、所定の界面活性剤の配向性を、さらに効果的に発揮させることができるためである。
なお、ポリカーボネート樹脂の数平均分子量としては、5000〜10000の範囲内の値とすることが好ましく、10000〜70000の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、感光層の膜厚を5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光体としての機械的強度が不十分となる場合があるためである。一方かかる感光層の厚さが100μmを超えた値となると、基体または中間層から剥離しやすくなったり、均一に形成することが困難となる場合があるためである。したがって、かかる感光層の厚さを10〜80μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、水を用いて測定される感光層の接触角(測定温度:20℃)を80〜90°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、水を用いて測定される感光層の表面における接触角(測定温度:20℃)をかかる範囲とすることにより、感光層表面における離型性を、より好適な範囲に調節することができるためである。
すなわち、かかる接触角が80°未満の値の場合、所定の界面活性剤の疎水性部分による撥水性が十分に発現しておらず、ひいては、感光層表面における離型性も十分でないと判断されるためである。一方、かかる接触角が90°を超えた値の場合、感光層表面の平滑性を向上させるためのレベリング剤としての機能が十分に発現しておらず、ひいては、感光層表面における離型性も十分でないと判断されるためである。
したがって、水を用いて測定される前記感光層の接触角(測定温度:20℃)を82〜90°の範囲内の値とすることがより好ましく、85〜90°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
単層型の感光層を形成するにあたり、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、所定の界面活性剤と、を溶媒に添加して感光層用塗布液を作成する工程と、作成した感光層用塗布液を基体上に塗布する工程と、かかる感光層用塗布液を塗布した基体を乾燥する工程と、を含むことが好ましい。
以下、それぞれの工程について説明する。
結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、所定の界面活性剤を溶媒に添加して、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、固形分濃度が10〜30重量%の塗布液を作成することが好ましい。
中でも、メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン及びジオキソランより選択される少なくとも一つであることが、より好ましい。
この理由は、これらの溶剤であれば、所定の界面活性剤の配向性を、さらに効果的に発揮させることができ、また、感光層用塗布液のレベリング剤としての機能も、より効果的に発揮させることができるためである。
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体を、積層型電子写真感光体として構成してもよい。
すなわち、図5(a)に示すように、本発明の電子写真感光体を、基体12上に電荷発生層24と、電荷輸送層22と、を順次積層してなる積層型感光層26を設けた積層型電子写真感光体20として構成してもよい。
また、図5(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22と、電荷発生層24と、を順次積層してなる積層型感光層26´を設けた積層型電子写真感光体20´として構成してもよい。
なお、積層型電子写真感光体は、図5(c)に示すように、基体12と電荷発生層24との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されている積層型電子写真感光体20´´であってもよい。
また、所定の界面活性剤の含有量は、積層型感光層の表面層における結着樹脂100重量部に対して、0.03〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜1重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷輸送層における電荷輸送剤の含有量としては、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、電荷発生層における電荷発生剤の含有量としては、電荷発生層の結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、電荷輸送層の膜厚としては、5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、電荷発生層の膜厚としては、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、積層型感光層の形成方法としては、基体上に、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を、単層型感光層を形成する場合と同様にして、順次形成すればよい。
第2の実施形態は、第1の実施形態として記載した電子写真感光体を搭載してなる画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態について具体的に説明する。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である電子写真感光体41が備えられており、さらに、この電子写真感光体41の周囲には、帯電手段42、露光手段43、現像手段44、及び転写ローラ45、並びにクリーニング手段46が、電子写真感光体41の回転方向に沿って配置されている。
この静電潜像に基づき、現像手段44によりトナーを付着させて現像し、電子写真感光体41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、電子写真感光体41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
次いで、上述したように転写が行われた後、電子写真感光体41に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング手段46で除去される。すなわち、電子写真感光体41がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
1.電子写真感光体の製造
容器内に、電荷発生剤として、下記式(3)で表わされるX型無金属フタロシアニン結晶3重量部と、正孔輸送剤として、下記式(4)で表わされるスチルベンアミン化合物50重量部と、電子輸送剤として、下記式(5)で表わされるナフトキノン系化合物30重量部と、結着樹脂として、数平均分子量30000の下記式(6)で表わされるビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、所定の界面活性剤(ネオス(株)製、フタージェント222F)(SAA−1)0.1重量部と、溶剤として、テトラヒドロフラン700重量部と、を収容した。
次いで、容器内に収容した材料を、ボールミルを用いて50時間、混合・分散し、感光層用塗布液を得た。
次いで、得られた感光層用塗布液を、アルミ素管からなる直径30mmの基体に対して、ディップコート法にて塗布した後、130℃の条件下で45分間熱風乾燥し、膜厚30μmの単層型電感光層を形成した。
次いで、基体において、ディップコート法を行った際の下端領域部に形成された感光層を、テトラヒドロフランに浸漬させることにより、所定の膜厚まで薄膜化して、ギャップ規制コロが当接する部分を形成し、最終の単層型電子写真感光体とした。
なお、所定の界面活性剤(SAA−1)は、図2(b)で示される分子構造を有しており、その疎水性部分の構造が式(1)で表わされるフルオロプロペン誘導体に由来した構造であり、かつ、親水性部分の構造が重合度22のポリオキシエチレン基である化合物である。
(1)かぶり濃度の評価
得られた単層型電子写真感光体を用いて画像形成を行い、かぶり濃度の評価を行った。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、プリンタ(京セラミタ(株)製、FS−1300D改造機)に組み付け、温度:20℃、相対湿度:50%RHにて白紙画像を10枚形成した。
次いで、分光光度計(グレタグマクベス(株)製、SpectroEye)を用いて、得られた形成画像の白紙部分におけるかぶり濃度(−)を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:かぶり濃度の値が0.01未満の値である。
○:かぶり濃度の値が0.01以上、かつ、0.012未満の値である。
△:かぶり濃度の値が0.012以上、かつ、0.02未満の値である。
×:かぶり濃度の値が0.02以上の値である。
電子写真感光体の線速 168mm/sec
帯電方式 スコロトロン帯電(帯電電位:+600V)
露光方式 レーザースキャナー(波長:780nm)
現像方式 2成分現像方式、反転現像方式
転写方式 中間転写方式
クリーニング方式 カウンタブレード方式
除電方式 LED光除電(波長:630nm)
また、得られた単層型電子写真感光体における帯電電位の評価を行った。
すなわち、電位プローブを備えた電位測定冶具を電子写真感光体に対する現像位置にセットし、所定の界面活性剤を含有しない電子写真感光体(比較例1に相当)の表面電位が600Vとなるように、帯電条件を設定した。
次いで、かかる設定を変えずに、電子写真感光体を実施例1の電子写真感光体に入れ替えた後、帯電させ、白紙原稿に相当する印字動作を行った後の表面電位を測定し、帯電電位とするとともに、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:帯電電位の値が580〜620Vの範囲内の値である。
×:帯電電位の値が580V未満、または、620Vを超えた値である。
また、得られた単層型電子写真感光体における感度電位の評価を行った。
すなわち、帯電電位の測定条件と同様の条件下にて、ベタ画像に相当する印字動作を行った後の表面電位を測定し、感度電位とするとともに、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:感度電位の値が65V以下の値である。
×:感度電位の値が65Vを超えた値である。
また、得られた単層型電子写真感光体において、水を用いて測定される感光層の接触角の評価を行った。
すなわち、20℃の条件下において、接触角計(協和界面科学社(株)製、FACE−CONTACT−ANGLE METER)を用いて、液滴法にて測定した。得られた結果を表1に示す。
実施例2〜3では、界面活性剤の添加量を、それぞれ0.5重量部及び1重量部に変えたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例4〜6では、電子写真感光体を製造する際に、所定の界面活性剤として、フタージェント212D(ネオス(株)製)(SAA−2)を用いたほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、所定の界面活性剤(SAA−2)は、図2(e)で示される分子構造を有しており、その疎水性部分の構造が式(1)で表わされるフルオロプロペン誘導体に由来した構造であり、かつ、親水性部分の構造が重合度12のポリオキシエチレン基である化合物である。
実施例7〜9では、電子写真感光体を製造する際に、所定の界面活性剤として、フタージェント215M(ネオス(株)製)(SAA−3)を用いたほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、所定の界面活性剤(SAA−3)は、図2(a)で示される分子構造を有しており、その疎水性部分の構造が式(1)で表わされるフルオロプロペン誘導体に由来した構造であり、かつ、親水性部分の構造が重合度15のポリオキシエチレン基である化合物である。
比較例1では、電子写真感光体を製造する際に、界面活性剤を添加しなかったほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例2〜4では、電子写真感光体を製造する際に、界面活性剤として、ポリテトラフルオロエタン微粒子(ダイキン(株)製、ルブロンL−2)(SAA−4)を用いたほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
その結果、現像手段におけるトナーの摩擦帯電が不十分な場合であっても、静電潜像以外の部分に対してトナーが付着することを効果的に抑制できるようになった。
したがって、本発明にかかる電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等の画像形成装置における高品質化及び低コスト化に著しく寄与することが期待される。
Claims (12)
- 基体上に、少なくとも、電荷発生剤、電荷輸送剤、界面活性剤及び結着樹脂を含む感光層を設けた電子写真感光体であって、
前記界面活性剤の疎水性部分が、フルオロプロペン誘導体に由来した構造であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記フルオロプロペン誘導体が、分子内に少なくとも一つの二重結合を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記フルオロプロペン誘導体が、下記式(1)または(2)で表わされることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記界面活性剤の親水性部分がポリオキシエチレン基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリオキシエチレン基の重合度を5〜30の範囲内の値とすることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記界面活性剤の構造が、前記ポリオキシエチレン基の両端部に、それぞれ前記フルオロプロペン誘導体に由来した構造を導入してなることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体。
- 前記界面活性剤の含有量を、前記結着樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記結着樹脂を、ポリカーボネート樹脂とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層を形成するための感光層用塗布液における溶剤が、メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン及びジオキソランより選択される少なくとも一つの溶剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、単層型感光層であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 水を用いて測定される前記感光層の接触角(測定温度:20℃)を80〜90°の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の電子写真感光体を搭載してなる画像形成装置。
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