JP4266647B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは、高い画像均一性と耐摩耗性等の耐久性に優れた感光層を有する電子写真感光体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
像保持部材の代表的なものの1つとして電子写真感光体が挙げられる。電子写真技術は、即時性や高品質の画像が得られること等から、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されてきている。その中核となる電子写真感光体については、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛に代表される無機系材料があるが、近年では無公害性、高生産性、材料設計の容易性及び将来性等の点から有機系材料の開発が盛んに行われている。
【0003】
これらの電子写真感光体には、当然ながら適用される電子写真プロセスに応じた電気的、機械的更には光学的特性等の様々な特性が要求される。特に、繰り返し使用される電子写真感光体にあたっては、帯電、露光、現像、転写、クリーニングといった電気的、機械的な力が直接的又は間接的に繰り返し加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
【0004】
これらの課題に対して、種々の検討がなされてきた。そのうちの1つに絶縁性無機微粒子を電子写真感光体の電荷輸送層に添加する試みがなされ、電子写真感光体の耐久性の向上が図られているが、一般に無機微粒子は樹脂溶液中において凝集傾向が強く、均一な分散が困難であり、従来用いられていた方法では、絶縁性無機微粒子の結着樹脂中での分散性や凝集性、透明度に問題があり、電荷輸送層の不均一性やムラ等による画像劣化が起こり易かった。また、電子写真感光体を作製するために微粒子を分散させた分散液を静置した場合、一時的に分散しても二次凝集や沈降が起こるため、微粒子の均一分散状態を保持することができず、大量生産時に安定に均一な塗膜を形成することが困難であった。
【0005】
このように微粒子を電子写真感光体に添加することによる電子写真感光体の高耐久化を図るためには、無機系微粒子が樹脂中に均一に分散され、かつ分散状態を保持し、二次凝集や沈降を起こすことを防ぐ技術の開発が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題に対し、長期にわたる繰り返し使用時においても、画質を損なうことなく安定した特性を有する電子写真感光体を製造する方法を提供することにある。
【0007】
すなわち、無機系微粒子とフッ素系界面活性剤を電荷輸送層中に含有させることにより、均一に樹脂中に分散した無機系微粒子により高品位な画像を提供し、かつ高い機械的強度を達成し、繰り返し使用時にも安定した特性を得る。また、生産時に微粒子の二次凝集を抑制することで生産安定性を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、支持体並びに該支持体上の電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が電荷輸送材料、バインダー樹脂、絶縁性無機微粒子及び該絶縁性無機微粒子の分散剤としてのフッ素系界面活性剤を含有し、該電荷輸送層に含有される粒子は該絶縁性無機微粒子のみであり、該バインダー樹脂がポリカーボネート又はポリエステルであり、該絶縁性無機微粒子がシリカ粒子であり、該フッ素系界面活性剤がフッ素系グラフトアクリルポリマーである電子写真感光体であって、該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体
を製造する方法であって、
(i)該絶縁性無機微粒子、該フッ素系界面活性剤及び溶剤を用いて分散液を作製する工程と、
(ii)工程(i)で作製した分散液に該電荷輸送材料及び該バインダー樹脂を加えて電荷輸送層用の塗布液を得る工程と、
(iii)工程(ii)で得た電荷輸送層用の塗布液を塗布し、乾燥させることによって該電荷輸送層を形成する工程と
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
本発明者らは、上記課題の改善に鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0011】
本発明は、電荷輸送層中に絶縁性無機微粒子と該絶縁性無機微粒子の分散剤としてのフッ素系界面活性剤を含有させることが必須である。
【0012】
電子写真感光体の電荷輸送層に絶縁性無機微粒子と該絶縁性無機微粒子の分散剤としてのフッ素系界面活性剤を含有させることで、電子写真感光体の耐摩耗性の向上、かつ分散均一性の向上による画像均一性の向上が見られた。本発明における効果のメカニズムは詳細には解明されていないが、絶縁性無機微粒子の表面は一般的には極性を有する組成になっており、比較的極性の低い有機溶媒中に分散させた場合は、微粒子表面の極性基の相互作用により分散性が低下する傾向にあり、また、一時的には分散してもしばらく静置するとその相互作用により二次的に凝集する傾向にある。フッ素系界面活性剤を添加することで、極性を有する微粒子表面とフッ素系界面活性剤の分極率が高い炭素−フッ素部位との相互作用により、微粒子表面を界面活性剤が覆い、かつ界面活性剤の脂溶性が高く溶剤、あるいはバインダー樹脂に相溶性のある有機鎖により、分散性の向上、二次凝集の抑制効果が発現しているものと考えられる。
【0013】
絶縁性無機微粒子としては、ケイ素の酸化物であるシリカが用いられる。本発明に用いられる絶縁性無機微粒子の平均粒径は、電荷輸送層の透明性の点で0.3μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以下であることが好ましい。
【0014】
また、絶縁性無機微粒子表面を疎水化処理した微粒子を用いることが好ましい。処理剤としては、例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤として具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0015】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素系グラフトアクリルポリマーが用いられる。
【0016】
絶縁性無機微粒子の分散方法としては、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル及び超音波といった方法が挙げられるが、一次粒径の粒径まで分散可能であれば特に限定されるものではない。
【0017】
以下、本発明の製造方法で製造される電子写真感光体の構成について説明する。
【0018】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層と電荷発生材料を含有する電荷発生層とを有する積層型の場合に適用される。
【0019】
本発明における電荷発生材料としては、通常知られているものが使用可能であり、例えばセレン−テルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、金属フタロシアニン系顔料、無金属フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料及びシアニン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は、0.3〜4倍の質量のバインダー樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ミル、サンドミルアトライター、ロールミル又は液衝突型高速分散機等を使用して、十分に分散した分散液とする。積層型電子写真感光体の場合、この液を塗布し、乾燥することによって電荷発生層が得られる。膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
【0020】
電荷輸送材料は電子輸送材料と正孔輸送材料に大別され、電子輸送性化合物としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタン及びアルキル置換ジフェノキノン等の電子受容性化合物やこれらの電子受容性化合物を高分子化したものが挙げられる。正孔輸送性化合物としては、ピレン及びアントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール、インドール、オキサゾール、チアゾール、オキサチアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール及びトリアゾール等の複素環化合物、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン及びN,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等のヒドラゾン系化合物、α−フェニル−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン及び5−(4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン){−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン等のスチリル系化合物、ベンジジン系化合物及びトリアリールアミン系化合物あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する高分子化合物(ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等)が挙げられる。これらの化合物は、バインダー樹脂と共に溶剤に溶解し溶液とする。積層型電子写真感光体の場合、この液を塗布し、乾燥することによって電荷輸送層が得られる。膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には15〜30μmであることが好ましい。
【0021】
電荷発生材料や電荷輸送性化合物で感光層を構築する場合、必要に応じてバインダー樹脂が用いられる。バインダー樹脂の例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0022】
特に、本発明に用いる電荷輸送層用のバインダー樹脂は、電荷輸送材料と相溶するものが用いられる。代表的なバインダー樹脂としては、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル及びポリカーボネート等がある。
【0023】
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料は、電荷輸送層の固形分に対して20〜70質量%が好ましい。20質量%未満では十分な電荷移動能が得られ難いために残留電位の増加等が生じ易い。70質量%を超えると電荷輸送層の機械的強度が低下し易いために十分な耐久性が得られ難い。
【0024】
電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂は、電荷輸送層の固形分に対して20〜80質量%が好ましい。80質量%を超えると十分な電荷移動能が得られ難いために残留電位の増加及び電気的耐久性低下、低表面エネルギー化の効果低減等が生じ易い。20質量%未満では電荷輸送層の機械的強度が低下し易いために十分な耐久性が得られ難い。
【0025】
また、本発明においては、支持体と感光層、あるいは導電層と感光層の間に必要に応じて接着機能及び電荷バリアー機能を有する中間層を設けることができる。中間層の材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン及びゼラチン等が挙げられる。これらは、溶剤に溶解して塗布し乾燥される。中間層の膜厚は0.05〜5μmであることが好ましく、特には0.2〜1μmであることが好ましい。材料と溶剤の割合(質量比)は1/0.5〜1/2であることが好ましい。
【0026】
感光層には、前記化合物以外にも機械的特性の改良や耐久性向上のために添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤及び導電性制御剤等が挙げられる。
【0027】
これらの電子写真感光体の塗布方法としての限定はなく、浸漬塗布法、スプレー塗布法及びバーコート法等の通常知られている手段で使用できる。
【0028】
図1に本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0029】
図1において、1はドラム状の本発明の製造方法で製造された電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0030】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の荷電粒子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
【0031】
トナー画像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0032】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナー等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0033】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0034】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0035】
本発明の製造方法で製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0036】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0037】
(実施例1)
30φ×357mmのアルミニウムシリンダー上に、以下の材料より構成される塗料を浸漬塗布法にて塗布し、140℃で30分間熱硬化することにより、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0038】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調整用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=2/8 20部
【0037】
次に、この導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶剤に溶解した溶液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0039】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部を1mmφガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用分散液を調整した。この分散液を中間層上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.1μmの電荷発生層を形成した。
【0040】
次に、電荷輸送層中に分散する絶縁性無機微粒子としてシリカ微粒子(平均粒径0.1μm、商品名:シリカドールー30G−100、日本化学工業製)を20部、フッ素系界面活性剤としてフッ素系グラフトアクリルポリマー(商品名:アロンGF300、東亜合成化学製)を2部、モノクロロベンゼンを80部用いて、分散液を作製した。この分散液に、電荷輸送材料として、下記式のアミン化合物7部
【0041】
【化3】
【0042】
下記式のアミン化合物1部
【0043】
【化4】
【0044】
バインダー樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ200、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン30部に溶解し電荷輸送層用の塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、120℃にて1時間乾燥し、膜厚が27μmの電荷輸送層を形成した。
【0045】
次に、評価について説明する。評価は、キヤノン(株)製複写機GP210(電子写真感光体に接触配置された帯電部材から交流電圧を重畳した直流電圧を印加して電子写真感光体を帯電させるAC/DC帯電方式)を用いた。まず、初期電位を測定した。暗部電位Vd:−700Vとして、明部電位Vl=−200Vとした。A4サイズの普通紙を1枚複写ごとに1度停止する間欠モードにて10000枚の複写を行い、その後、電子写真感光体膜厚の摩耗量を測定した。また、初期の分散不良による画像欠陥の有無を測定した。更に、電荷輸送層用塗布液を室温で暗所に1ヶ月放置後の微粒子の凝集についても観察した。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例2)
絶縁性無機微粒子として表面処理シリカ(平均粒径0.1μm、商品名:KMPX−100、信越化学工業製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層用塗工液及び電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
分散剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層用塗工液及び電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
絶縁性無機微粒子及び分散剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層用塗工液及び電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例3及び4)
電荷輸送層用のバインダー樹脂としてビスフェノールA型ポリアリレート樹脂(商品名:U100、ユニチカ(株)製)を用いた以外は、実施例1及び2と同様にして電荷輸送層用塗工液及び電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0050】
(比較例3及び4)
電荷輸送層用のバインダー樹脂としてビスフェノールA型ポリアリレート樹脂(商品名:U100、ユニチカ(株)製)を用いた以外は、比較例1及び2と同様にして電荷輸送層用塗工液及び電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2より、本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を用いることによって、繰り返し使用時の電子写真感光体の耐久性が向上、及び従来の分散不良による電子写真感光体使用初期に画質劣化することなく、長期にわたり均一な画像を提供できることが分かった。更に、電荷輸送層用塗布液の長期保存時においても、無機系微粒子の二次的な凝集を分散剤を添加することで抑制し、分散液が変化しないことで電子写真感光体の生産安定性も向上している。本発明の電荷輸送層中に絶縁性無機微粒子と該絶縁性無機微粒子の分散剤としてのフッ素系界面活性剤を含有させる優位性が示された。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、電荷輸送層に絶縁性無機微粒子を分散剤を用いて分散させることで、膜中に均一に分散し、分散不良や二次的な凝集等によるムラの発生を防ぎ、かつ電子写真感光体の耐摩耗性が向上することにより、繰り返し使用時における耐久性が向上した電子写真感光体を製造する方法を提供することが可能になった。また、電子写真感光体生産時においても、塗布液の長期保存下でも、微粒子が凝集することなく均一に分散しているため、大量生産時の生産安定性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (2)
- 支持体並びに該支持体上の電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が電荷輸送材料、バインダー樹脂、絶縁性無機微粒子及び該絶縁性無機微粒子の分散剤としてのフッ素系界面活性剤を含有し、該電荷輸送層に含有される粒子は該絶縁性無機微粒子のみであり、該バインダー樹脂がポリカーボネート又はポリエステルであり、該絶縁性無機微粒子がシリカ粒子であり、該フッ素系界面活性剤がフッ素系グラフトアクリルポリマーである電子写真感光体であって、該電荷輸送層の表面が該電子写真感光体の表面である電子写真感光体
を製造する方法であって、
(i)該絶縁性無機微粒子、該フッ素系界面活性剤及び溶剤を用いて分散液を作製する工程と、
(ii)工程(i)で作製した分散液に該電荷輸送材料及び該バインダー樹脂を加えて電荷輸送層用の塗布液を得る工程と、
(iii)工程(ii)で得た電荷輸送層用の塗布液を塗布し、乾燥させることによって該電荷輸送層を形成する工程と
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記シリカ粒子の表面が疎水化処理されている請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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