JP2010230247A - 灯油用表面燃焼バーナ - Google Patents
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Abstract
【課題】気化された灯油と空気の混合気体であっても、逆火の可能性が低減された表面燃焼バーナを提供する。
【解決手段】気化された灯油と空気との混合気体を燃焼面において燃焼させる表面燃焼バーナであって、混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状流路7を有する灯油用表面燃焼バーナ。これにより、燃焼面から受熱することで高温化しているバーナ内部を短時間で通過するため気化灯油が自然発火温度に達することがなくなる。
【選択図】図2
【解決手段】気化された灯油と空気との混合気体を燃焼面において燃焼させる表面燃焼バーナであって、混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状流路7を有する灯油用表面燃焼バーナ。これにより、燃焼面から受熱することで高温化しているバーナ内部を短時間で通過するため気化灯油が自然発火温度に達することがなくなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、灯油と空気の混合気体を面状に燃焼させる表面燃焼バーナに関する。
表面燃焼バーナは、特許文献1に開示されているように、セラミックスなどの平面多孔質部材の裏面から、予め燃料ガスと空気とを混合した混合気体を供給し、その混合気体が平面多孔質部材の表面近傍にて燃焼するバーナである。
従来の表面燃焼バーナは、燃料として気体燃料を使用することを前提としているため、燃料として液体燃料である灯油を使用すると、灯油を気化させて供給した場合においても、次のような現象が発生するおそれがある。即ち、灯油の自然発火温度が260℃程度と低いため、気化灯油が燃焼面に到達する前に、バーナ内部において自然発火してしまい、逆火と呼ばれる状況が発生することがある。気体燃料の自然発火温度、例えば天然ガスの主成分であるメタンの自然発火温度は550℃程度と非常に高いことから、気体燃料の場合には逆火は起こりにくい。
本発明の目的は、逆火の可能性が低減された表面燃焼バーナを提供することである。
本発明により、以下の灯油用表面燃焼バーナが提供される。
1)気化された灯油と空気との混合気体を燃焼面において燃焼させる表面燃焼バーナであって、
該混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状の流路である漏斗状流路を有する灯油用表面燃焼バーナ。
該混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状の流路である漏斗状流路を有する灯油用表面燃焼バーナ。
2)燃焼面が金属繊維又はセラミック繊維の不織布又は織布により形成されるバーナマットを有する1)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
3)前記バーナマットが金属繊維の不織布又は織布により形成され、
前記バーナマットに上流側から接するように2本以上のバーナマット支持棒を有し、バーナマットに下流側から接するようにバーナマット支持板を有し、
バーナマット支持棒とバーナマット支持板によりバーナマットが挟持される構造を有する2)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
前記バーナマットに上流側から接するように2本以上のバーナマット支持棒を有し、バーナマットに下流側から接するようにバーナマット支持板を有し、
バーナマット支持棒とバーナマット支持板によりバーナマットが挟持される構造を有する2)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
4)前記バーナマット支持板が、バーナマットの端部に被さる枠と、該枠の内側に配され該枠に接続された曲線状の棒とから構成される3)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
5)前記漏斗状流路の漏斗状壁の外表面に接する冷却空気流路を有する1)〜4)の何れか一項記載の灯油用表面燃焼バーナ。
6)前記漏斗状流路の漏斗状壁の外側に、漏斗状壁全体を覆う箱体を有し、該箱体は漏斗状壁との間に空隙を形成し、該空隙が前記冷却空気流路である5)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
7)前記燃焼面が矩形であり、該矩形の一辺に沿って前記冷却空気流路の出口を有する5)または6)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
8)前記混合気体の流れについて燃焼面より上流側に分散板を有する1)〜7)の何れか一項記載の灯油用表面燃焼バーナ。
9)前記分散板が、複数のスリットを有する8)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
10)前記複数のスリットのスリット幅が一様でない9)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
11)前記箱体に冷却空気を導入する冷却空気導入管を備え、
該冷却空気導入管の箱体への開口の正面に、冷却空気の導入方向に対して垂直に配された邪魔板を有する6)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
該冷却空気導入管の箱体への開口の正面に、冷却空気の導入方向に対して垂直に配された邪魔板を有する6)記載の灯油用表面燃焼バーナ。
本発明により、逆火の可能性が低減された表面燃焼バーナが提供される。
図1〜5に、本発明の灯油用表面燃焼バーナの一形態を示す。図4はバーナマットおよびバーナマット支持板を取り外して示す斜視図であり、図5はさらに箱体を透明にして表現した場合の斜視図である。
以下これらの図を用いて本発明の灯油用表面燃焼バーナの形態について説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
表面燃焼バーナにおいては、燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体がバーナ内部に滞留する時間を短くするために、図2〜図3に示すように、燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体が燃焼面に達する為の流路(混合気体が通過する流路)が、燃焼面の垂直方向に対し漏斗形状となって、燃焼面に近づくにつれて、漏斗形状の断面積が大きくなる形状を有する。つまり表面燃焼バーナは、混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状の流路である漏斗状流路7を有する。
これにより、燃焼面から受熱することで高温化しているバーナ内部を短時間で混合気体が通過することができるため、混合気体中の燃焼用気化灯油が自然発火温度に達することなく、燃焼面まで混合気体が到達することが可能となる。
表面燃焼バーナは、SUS310Sなどのステンレス鋼、或いは同程度の高温耐性を有する金属材料を適宜利用して構成することができる。
燃焼面の面負荷は、燃焼の安定性の観点から、250kW/m2以上600kW/m2以下が好ましい。面負荷とは、1秒あたりに燃焼される灯油の発熱量をkWにて示したものを、燃焼面の表面積をm2で示したもので除算した値を示す。燃焼される灯油の発熱量については、バーナに供給される灯油流量を流量計で計測するか、或いは、灯油タンクの重量を計測することで、例えば一定流量で灯油を供給した状況における1分間の灯油タンク重量の減少分から1秒あたりの灯油流量を計測し、これに灯油の発熱量を乗算することで求められる。
表面燃焼バーナの燃焼面にバーナマット6が備わることができる。バーナマットには、金属繊維の不織布もしくは織布により形成されるバーナマット(金属繊維マット)、例えば金属繊維の不織布もしくは織布を焼結したもの、を用いることができる。また、バーナマットに、コージェライト、チタニア、ムライト、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ等のセラミックからなる繊維の不織布もしくは織布を用いることができる。均熱性と逆火防止性の観点から、バーナマットとして金属繊維マットが好ましい。
バーナマットの平均空隙率は、圧力損失の観点から、60%以上98%以下が好ましく、70%以上から95%以下がより好ましい。平均空隙率とは、空隙率(%)=(1−バーナマットの嵩密度/バーナマット形成部材の真密度)×100にて示される空隙率を示す。
表面燃焼バーナは、バーナマットに上流側から接する2本以上のバーナマット支持棒5を有し、かつ、バーナマットに下流側から接するバーナマット支持板3を有し、この支持棒と支持板によりバーナマットを挟み込むことにより金属繊維マットを保持する構造を有することができる。「上流」および「下流」は、混合気体の流れ方向を基準とする。例えば、バーナマット支持板の材質としては、NCA1(商品名。日新製鋼社製)等があり、バーナマット支持棒の材質としては、SUS310S等が挙げられる。
また、上記バーナマット支持板が、バーナマットの端部に被さる枠3aと、この枠の内側に配され枠に接続された曲線状の棒3bとから構成されることが好ましい。枠3aは、熱膨張により発生する熱応力によりバーナマット支持板が変形することを防止するために効果的であり、棒3bは、バーナマットのより中央部を保持しつつ、燃焼熱を受けることにより発生する熱応力によるバーナ支持板の破損を防止するために効果的である。
前記漏斗状流路7の最大流路断面積に対する最小流路断面積の比は、バーナマット(燃焼面)上にて均一に燃焼を行いつつ、逆火の発生を防止する観点から、1:35以上1:18以下が好ましく、1:30以上であることがより好ましい。なお、流路断面積は、流路の流体流れ方向に垂直な断面の面積を意味する。
燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体が漏斗形状の流路に投入される際の流速、すなわち、漏斗状流路の流路断面積が最小である部分における混合流体の流速は、混合気体の安定的な燃焼の観点から7.5m/sec以上が好ましく、10.0m/sec以上であることがより好ましい。なお、ここでいう流速は、実温度における体積ベースの流速である。つまり、漏斗形状部に混合気体が突入した際の温度(流路断面積が最小である部分における混合気体の温度)に換算した場合の流速である。
混合気体の安定的な燃焼の観点から、燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体が漏斗形状の流路に投入される際に1秒あたりに供給される混合気体容積、すなわち、漏斗状流路の流路断面積が最小である部分に1秒当たりに供給される混合気体の容積が、漏斗状流路全体の容積に対して1/10以下、1/15以上となることが好ましい。なお、ここでいう混合気体の容積は、実温度における体積である。つまり、混合気体が漏斗形状部に突入した際の温度に換算した場合の体積である。上記比が1/10以下であると、混合気体が漏斗形状を通過する時間を短くし、逆火をより確実に防止することが容易である。一方で、上記比が1/15以上であると、混合気体が偏って燃焼表面に到達することを防止し、燃焼表面上において均一な燃焼を行なうことが容易である。
また、燃焼表面の上流側に混合気体を分散させるための分散板4を配置することで、燃焼表面全体に混合気体を供給し、むらの無い燃焼を行なうことが容易となる。
燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体を、燃焼面に、より均等に分配させるために、燃焼面から、混合気体流路の上流側に好ましくは3mm以上離れた位置、より好ましくは5mm以上離れた位置に分散板を配置することができる。
分散板のスリット形状については、好ましくは、均一な形状とせず、混合気体の流入方向と燃焼量から算出される流入速度により決定される形状とする。分散性能の観点から、分散板に複数のスリット4aを設けることが好ましい。
上述の分散板におけるスリットのスリット幅は、一様でないことが好ましい。例えば、それぞれのスリットの幅は一定であるが、複数のスリットが相異なる幅を有するような分散板を用いることが好ましい。不均一なスリット幅は、燃焼用気化灯油と燃焼用空気の混合気体の流入方向と流入速度に応じて決めることができる。
分散板のスリットによる開口率が3.8%以上、より望ましくは5.5%以上であることが好ましい。ここで、開口率=(分散板の開口部面積の総和/分散板に開口部が存在しない状態を仮定した場合の分散板表面積)である。
また、混合気体を漏斗状流路に供給する配管(混合気体流入配管)2は、燃焼面に対して平行に近い方向から流入させ、漏斗形状の壁面に当たるように配置することが好ましい。これにより、混合気体の動圧を減少させた後、好ましくは前述の分散板を経て、燃焼面に、より均一に混合気体を供給することが出来る。
漏斗状流路への混合気体流入方向を燃焼面に対し、±15°以内とすることが好ましい。混合気体流入方向がこのような角度をなすように、混合気体流入配管を配することができる。
また、漏斗状流路の漏斗状壁7aは、燃焼面からの熱を受けることにより、燃焼開始と共に加熱されることとなる。したがって、漏斗状壁の外表面に接する冷却空気流路8を設け、冷却用空気によって漏斗状壁の温度を低下させ、漏斗状流路を流れる混合気体を冷却することにより、更なる逆火防止効果が期待される。
これを実現する為に、漏斗状壁全体を覆う箱体11を設け、漏斗状壁と箱体の間に空隙を形成し、この空隙を冷却空気の流路とすることができる。この冷却空気流路に冷却用空気を流通させることで、漏斗状流路の内部温度が低下し、逆火がさらに防止される。
また、この冷却空気については、冷却後に燃焼面近傍に供給することで二次燃焼空気として利用することができる。これにより熱効率を高めることが可能となる。
表面燃焼バーナを被加熱物の側面に設置した場合、燃焼面が地面に対して鉛直に形成されるため、バーナ容器の上方が選択的に過熱されることとなる場合がある。そこで、冷却空気を燃焼面の鉛直方向直上より噴出させる(冷却空気噴出口10から)ことにより過熱部位を冷却することが可能となり、逆火の抑制効果を高めることが可能となる。このために、燃焼面を矩形とし、その矩形の一辺に沿って、冷却空気流路の出口(冷却空気が排出される開口)である冷却空気噴出口10を設けることができる。特には、複数の冷却空気噴出口10を矩形の燃焼面の一辺に沿って設けることができる。
なお、この際に、冷却空気兼二次燃焼空気の、冷却空気噴出口10からの噴出速度を2.2m/sec以上、より望ましくは3.0m/sec以上とすることが好ましい。
また、箱体に冷却空気を導入する冷却空気導入管9を設けることができる。漏斗状壁を局所冷却することを防止するため、冷却空気を箱体の内部に供給した後、邪魔板1に衝突させることにより冷却空気の動圧を抑制することができる。このために、冷却空気導入管の箱体への開口の正面に、冷却空気の導入方向に対して垂直に邪魔板を配することができる。特には、邪魔板に対して箱体の開口部(冷却空気導入管に連通する開口)を冷却空気の導入方向に投影した際に、邪魔板上にこの箱体の開口部が全て収まることが好ましい。
なお、バーナマットに垂直な方向への長さが、バーナマットに平行な方向への長さより長い、矩形を有する邪魔板を用いることができる。このとき、その短辺長は空気導入管内径に対し、1.1倍以上1.3倍以下の形状であることが好ましい。
本発明により、表面燃焼バーナにおいて、灯油を好適に燃焼させることが可能となる。
また、表面燃焼の特性上、火炎の接触による局所加熱の危険なく、被加熱物の近傍にバーナを配置して加熱することが可能となるため、被加熱物と表面燃焼バーナを含む装置全体の小型化が可能となる。
さらに、冷却空気を二次空気として利用することで、逆火防止効果を高めると同時に熱効率を高めることが可能となる。
1 邪魔板
2 混合気体流入配管
3 バーナマット支持板
4 分散板
4a スリット
5 バーナマット支持棒
6 バーナマット
7 漏斗状流路
7a 漏斗状壁
8 冷却空気流路
9 冷却空気導入管
10 冷却空気噴出口
11 箱体
2 混合気体流入配管
3 バーナマット支持板
4 分散板
4a スリット
5 バーナマット支持棒
6 バーナマット
7 漏斗状流路
7a 漏斗状壁
8 冷却空気流路
9 冷却空気導入管
10 冷却空気噴出口
11 箱体
Claims (11)
- 気化された灯油と空気との混合気体を燃焼面において燃焼させる表面燃焼バーナであって、
該混合気体を燃焼面に導くための、燃焼面に向かって流路断面積が大きくなる漏斗状の流路である漏斗状流路を有する灯油用表面燃焼バーナ。 - 燃焼面が金属繊維又はセラミック繊維の不織布又は織布により形成されるバーナマットを有する請求項1記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記バーナマットが金属繊維の不織布又は織布により形成され、
前記バーナマットに上流側から接するように2本以上のバーナマット支持棒を有し、バーナマットに下流側から接するようにバーナマット支持板を有し、
バーナマット支持棒とバーナマット支持板によりバーナマットが挟持される構造を有する請求項2記載の灯油用表面燃焼バーナ。 - 前記バーナマット支持板が、バーナマットの端部に被さる枠と、該枠の内側に配され該枠に接続された曲線状の棒とから構成される請求項3記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記漏斗状流路の漏斗状壁の外表面に接する冷却空気流路を有する請求項1〜4の何れか一項記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記漏斗状流路の漏斗状壁の外側に、漏斗状壁全体を覆う箱体を有し、該箱体は漏斗状壁との間に空隙を形成し、該空隙が前記冷却空気流路である請求項5記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記燃焼面が矩形であり、該矩形の一辺に沿って前記冷却空気流路の出口を有する請求項5または6記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記混合気体の流れについて燃焼面より上流側に分散板を有する請求項1〜7の何れか一項記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記分散板が、複数のスリットを有する請求項8記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記複数のスリットのスリット幅が一様でない請求項9記載の灯油用表面燃焼バーナ。
- 前記箱体に冷却空気を導入する冷却空気導入管を備え、
該冷却空気導入管の箱体への開口の正面に、冷却空気の導入方向に対して垂直に配された邪魔板を有する請求項6記載の灯油用表面燃焼バーナ。
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