JP2010225724A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造が容易であり、ESR又はESLが低減された固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、陽極端子3は、絶縁基板5の上面51に形成された第1陽極部31と絶縁基板5の下面52に形成された第2陽極部32とを互いに電気的に接続して構成され、第1陽極部31には、該第1陽極部31とコンデンサ素子1の陽極部1aとを電気的に接続するための接続部34が一体に形成されている。又、陰極端子4は、絶縁基板5の上面51に形成された第1陰極部41と絶縁基板5の下面52に形成された第2陰極部42とを互いに電気的に接続して構成されている。そして、第1陽極部31と第1陰極部41との間の距離L1は、第2陽極部32と第2陰極部42との間の距離L2よりも小さく、接続部34と第1陰極部41にはそれぞれ、コンデンサ素子1の陽極部1aと陰極部1bが電気的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁基板にコンデンサ素子を搭載して構成された固体電解コンデンサに関する。
従来の固体電解コンデンサにおいては、図12に示す如く、コンデンサ素子101が外装樹脂102によって被覆されており、該外層樹脂102の内部において、コンデンサ素子101の陽極部101aに陽極端子103の一方の端部103aが接続され、コンデンサ素子101の陰極部101bに陰極端子104の一方の端部104aが接続されている。陽極端子103と陰極端子104は何れも、外層樹脂102の外部に引き出されており、各端子の他方の端部103b,104bが外層樹脂2の下面102aに沿って位置するように、外層樹脂102の外周面に沿って折り曲げられている。そして、外層樹脂102の下面102aに沿って位置する両端子103,104の端部103b,104bによって、固体電解コンデンサの下面電極が構成されている。
上記固体電解コンデンサの製造過程においては、陽極端子103と陰極端子104を折り曲げる煩雑な工程が必要である。又、コンデンサ素子101の下面と下面電極との間に適度な厚さの外層樹脂102を介在させる必要があるため、固体電解コンデンサに対するコンデンサ素子101の占有率が低下する問題や、陽極端子103と陰極端子104の長さが大きくなって等価直列抵抗(ESR)又は等価直列インダクタンス(ESL)が増大する問題があった。
そこで、図13に示す様に、陽極端子105と陰極端子106が形成された絶縁基板107(例えばプリント基板)に、コンデンサ素子101を搭載することによって固体電解コンデンサを構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。該固体電解コンデンサにおいては、陽極端子105は、絶縁基板107の上面107aに形成された第1陽極部105aと、絶縁基板107の下面107bに形成された第2陽極部105bと、絶縁基板107に開設されて第1陽極部105aと第2陽極部105bとを電気的に接続する陽極ビア105cとから構成されている。又、陰極端子106は、絶縁基板107の上面107aに形成された第1陰極部106aと、絶縁基板107の下面107bに形成された第2陰極部106bと、絶縁基板107に開設されて第1陰極部106aと第2陰極部106bとを電気的に接続する陰極ビア106cとから構成されている。
上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極部105aには、枕部材108を介してコンデンサ素子101の陽極部101aが電気的に接続され、第1陰極部106aには、導電性接着剤によってコンデンサ素子101の陰極部101bが電気的に接続されている。又、第2陽極部105bと第2陰極部106bによって、固体電解コンデンサの下面電極が構成されている。
このように絶縁基板107を用いて固体電解コンデンサを構成することにより、コンデンサ素子1の下面から下面電極までの距離が小さくなるので、陽極端子105と陰極端子106の長さが小さくなってESR又はESLが低減されることになる。又、陽極端子105と陰極端子106が形成されている絶縁基板107を用いることにより、図12に示す固体電解コンデンサの製造過程で必要であった陽極端子と陰極端子を折り曲げる煩雑な工程が不要となる。
特開2002−134359号公報
しかしながら、図13に示す固体電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子101の陽極部101aと陽極端子105とが枕部材108によって接続されているため、製造過程において、枕部材108を陽極端子105に設置する煩雑な工程が必要となる。又、枕部材108と陽極端子105の間に発生する接続不良などが原因となって、ESR又はESLが著しく増大する虞がある。
そこで本発明の目的は、製造が容易であり、且つESR又はESLが低減された固体電解コンデンサを提供することである。
本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極部と陰極部との間に誘電体層が介在したコンデンサ素子と、陽極端子(3)と陰極端子(4)が形成された絶縁基板(5)とを具え、絶縁基板(5)上にコンデンサ素子が搭載されている固体電解コンデンサであって、
前記陽極端子(3)は、コンデンサ素子が搭載される絶縁基板(5)の第1面(51)に形成された第1陽極部(31)と、第1面(51)とは反対側に位置する絶縁基板(5)の第2面(52)に形成された第2陽極部(32)とを、互いに電気的に接続して構成され、第1陽極部(31)には、該第1陽極部(31)とコンデンサ素子の陽極部とを電気的に接続するための接続部が一体に形成され、前記陰極端子(4)は、前記絶縁基板(5)の第1面(51)に形成された第1陰極部(41)と前記絶縁基板(5)の第2面(52)に形成された第2陰極部(42)とを互いに電気的に接続して構成され、前記第1陽極部(31)と第1陰極部(41)との間の距離(L1)は、前記第2陽極部(32)と第2陰極部(42)との間の距離(L2)よりも小さく、前記接続部と第1陰極部(41)にはそれぞれ、前記コンデンサ素子の陽極部と陰極部が電気的に接続されている。
上記固体電解コンデンサによれば、接続部が陽極端子(3)の第1陽極部(31)に一体に形成されているので、接続部と第1陽極部(31)とが別体にて形成されている従来の固体電解コンデンサの製造過程で必要であった煩雑な工程、即ちコンデンサ素子を絶縁基板(5)上に搭載する前に接続部を第1陽極部(31)に設置する煩雑な工程が不要である。
又、上記固体電解コンデンサは、接続部と第1陽極部(31)とを別体にて形成した従来の固体電解コンデンサよりも、接続部と第1陽極部(31)との間の接続状態が良好であり、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
更に、上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極部(31)と第1陰極部(41)との間の距離(L1)が、第2陽極部(32)と第2陰極部(42)との間の距離(L2)よりも小さいので、第1陰極部(41)の面積を増大させることが可能であり、従って第1陰極部(41)とコンデンサ素子の陰極部との接続面積を増大させることが出来、その結果、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
上記固体電解コンデンサの具体的構成において、前記絶縁基板(5)の第1面(51)の内、前記第1陽極部(31)が形成されている陽極部形成領域(51a)と、前記第1陰極部(41)が形成されている陰極部形成領域(51b)とは、同じ平面内に含まれている。
上記固体電解コンデンサの他の具体的構成において、前記陽極端子(3)の第1陽極部(31)側にそれぞれ位置する前記コンデンサ素子の陰極部の端と前記陰極端子(4)の第1陰極部(41)の端とが、前記第1陽極部(31)から所定の距離(L1)だけ離間した位置にて略一致している。
上記具体的構成において、前記コンデンサ素子は陽極リード(12)が引き出された陽極体(11)を具え、該陽極体(11)には、その外周面に誘電体層(13)が形成され、該誘電体層(13)上には電解質層(14)を介して陰極層(15)が形成され、前記陽極リード(12)と陰極層(15)によってそれぞれコンデンサ素子の陽極部と陰極部が構成されており、前記接続部は前記第1陽極部(31)上に突設され、該接続部の端部に前記コンデンサ素子の陽極部が接続されていてもよい。
或いは、前記コンデンサ素子は箔状の陽極体(81)を具え、該陽極体(81)には、その一部の外周面に誘電体層(82)が形成され、該誘電体層(82)上には電解質層(83)を介して陰極層(84)が形成され、前記陽極体(81)の残りの部分及び陰極層(84)によってそれぞれコンデンサ素子の陽極部と陰極部が構成されており、前記接続部は、前記第1陽極部(31)の外周面の一部の領域(31a)によって構成されていてもよい。
本発明に係る固体電解コンデンサによればESR又はESLが低減されることになり、且つ本発明に係る固体電解コンデンサは製造が容易である。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを示す断面図である。 上記固体電解コンデンサが具えるコンデンサ素子の断面図である。 上記固体電解コンデンサの製造工程である電極形成工程の第1工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 該電極形成工程の第2工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 該電極形成工程の第3工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 該電極形成工程の第4工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 上記固体電解コンデンサの製造工程である素子搭載工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 上記固体電解コンデンサの製造工程である樹脂被覆工程及び切断工程を説明するための(a)上面図及び(b)断面図である。 上記固体電解コンデンサの改良形態の一例を示す断面図である。 上記固体電解コンデンサの改良形態の他の例を示す断面図である。 上記改良形態の他の例に係る固体電解コンデンサが具えるコンデンサ素子の断面図である。 従来の固体電解コンデンサの一例を示した断面図である。 従来の固体電解コンデンサの他の例を示した断面図である。
以下、本発明の実施形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサは、図1に示す如く、絶縁基板5上にコンデンサ素子1を搭載すると共に該コンデンサ素子1を外層樹脂2によって被覆して構成されている。
コンデンサ素子1は、図2に示す如く、陽極リード12が引き出された陽極体11と、陽極体11の外周面に形成された誘電体層13と、誘電体層13上に形成された電解質層14と、電解質層14上に形成された陰極層15とから構成されている。
陽極体11は、弁作用金属からなる多孔質焼結体によって構成されている。弁作用金属には、例えばタンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどが用いられる。
陽極リード12は、その一方の端部12aを含んだ一部分121が陽極体11の外周面から突出し、残りの部分122が陽極体11内に埋設されている。陽極リード12は、陽極体11を構成している弁作用金属と同種又は異種の弁作用金属によって構成されており、陽極体11と陽極リード12は互いに電気的に接続されている。
誘電体層13は、陽極体11の外周面に形成された酸化被膜から構成されており、該酸化被膜は、陽極体11をリン酸水溶液やアジピン酸水溶液などの電解溶液に浸漬させ、陽極体11の外周面を電気化学的に酸化させること(陽極酸化)により形成される。
電解質層14は、誘電体層13上に、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩、導電性ポリマー等の導電性有機材料などによって形成されている。
陰極層15は、電解質層14上に形成されたカーボン層と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層とから構成され、電解質層14と陰極層15は互いに電気的に接続されている。
上記コンデンサ素子1においては、陽極リード12のうち陽極体11から引き出されている部分121によってコンデンサ素子1の陽極部1aが構成され、陰極層15によってコンデンサ素子1の陰極部1bが構成されている。
図1に示す様に絶縁基板5には、陽極端子3と陰極端子4が形成されている。
陽極端子3は、コンデンサ素子1が搭載されるべき絶縁基板5の上面51に形成された第1陽極部31と、絶縁基板5の上面51とは反対側の下面52に形成された第2陽極部32と、絶縁基板5の側端面の一部に形成されて第1陽極部31と第2陽極部32とを互いに電気的に接続する陽極導電層33とによって構成されており、第1陽極部31は外層樹脂2によって被覆される一方、第2陽極部32と陽極導電層33は外層樹脂2から露出している。
又、第1陽極部31には、該第1陽極部31とコンデンサ素子1の陽極部1aとを電気的に接続するための接続部34が一体に形成されており、本実施形態においては、接続部34は第1陽極部31の上面に突設されている。そして、接続部34の端部には、コンデンサ素子1の陽極部1a、即ち陽極リード12が、溶接によって電気的に接続されている。
具体的に、本実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、絶縁基板5の上面51に第1陽極構成部35が形成され、絶縁基板5の下面52に第2陽極構成部36が形成されており、第1陽極構成部35には、その上面に接続構成部37が一体に突設されている。又、一体に形成されている第1陽極構成部35と接続構成部37の外周面、第2陽極構成部36の外周面、並びに絶縁基板5の側端面の一部には、メッキ層38が形成されている。尚、第1及び第2陽極構成部35,36の材質には銅が用いられている。
そして、第1陽極構成部35と、メッキ層38の内、第1陽極構成部35の外周面に形成されている一部とによって、陽極端子3の第1陽極部31が構成され、第2陽極構成部36と、メッキ層38の内、第2陽極構成部36の外周面に形成されている一部とによって、陽極端子3の第2陽極部32が構成され、メッキ層38の内、絶縁基板5の側端面に形成されている一部によって、陽極端子3の陽極導電層33が構成されている。
又、接続構成部37と、メッキ層38の内、接続構成部37の外周面に形成されている一部とによって、接続部34が構成されている。
陰極端子4は、絶縁基板5の上面51に形成された第1陰極部41と、絶縁基板5の下面52に形成された第2陰極部42と、絶縁基板5の側端面の一部に形成されて第1陰極部41と第2陰極部42とを互いに電気的に接続する陰極導電層43とによって構成されており、第1陰極部41は外層樹脂2によって被覆される一方、第2陰極部42と陰極導電層43は外層樹脂2から露出している。そして、第1陰極部41には、コンデンサ素子1の陰極部1b、即ち陰極層15が、導電性接着剤によって電気的に接続されている。
具体的に、本実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、絶縁基板5の上面51に第1陰極構成部44が形成され、絶縁基板5の下面52に第2陰極構成部45が形成されている。又、第1及び第2陰極構成部44,45の外周面、並びに絶縁基板5の側端面の一部には、メッキ層46が形成されている。尚、第1及び第2陰極構成部44,45の材質には銅が用いられている。
そして、第1陰極構成部44と、メッキ層46の内、第1陰極構成部44の外周面に形成されている一部とによって、陰極端子4の第1陰極部41が構成され、第2陰極構成部45と、メッキ層46の内、第2陰極構成部45の外周面に形成されている一部とによって、陰極端子4の第2陰極部42が構成され、メッキ層46の内、絶縁基板5の側端面に形成されている一部によって、陰極端子4の陰極導電層43が構成されている。
上記陽極端子3と陰極端子4は、第1陽極部31と第1陰極部41との間の距離L1が、第2陽極部32と第2陰極部42との間の距離L2よりも小さくなるように、絶縁基板5の上面51及び下面52に配置されている。
又、コンデンサ素子1は、陽極端子3の第1陽極部31側にそれぞれ位置するコンデンサ素子1の陰極部1bの端と陰極端子4の第1陰極部41の端とが、第1陽極部31から所定の距離L1だけ離間した位置にて略一致するように配置されている。
コンデンサ素子1を被覆している外層樹脂2は、第2陽極部32と第2陰極部42が外層樹脂2から露出すると共に陽極導電層33と陰極導電層43が外層樹脂2から露出するように、絶縁基板5の上面51上に形成されている。従って、本実施形態に係る固体電解コンデンサにおいては、第2陽極部32と第2陰極部42によって下面電極が構成され、外層樹脂2の側面には、陽極導電層33と陰極導電層43が露出することになる。
尚、本実施形態においては、絶縁基板5の上面51は平坦であって段差がなく、該上面51の内、第1陽極部31が形成されている陽極部形成領域51aと、第1陰極部41が形成されている陰極部形成領域51bとは、同じ平面内に含まれている。
次に、上述した固体電解コンデンサの製造方法について説明する。該製造方法では、絶縁基板5に陽極端子3及び陰極端子4を形成する電極形成工程と、絶縁基板5上にコンデンサ素子1を搭載する素子搭載工程と、コンデンサ素子1を外層樹脂2によって被覆する樹脂被覆工程と、絶縁基板5に切断加工を施すことにより固体電解コンデンサを完成させる切断工程とが、この順に実行される。
電極形成工程は第1乃至第4工程から構成されており、電極形成工程では、第1乃至第4工程がこの順に実行される。
第1工程では、図3(a)及び図3(b)に示す如く、上記固体電解コンデンサの絶縁基板5となる絶縁基材53の上面531に1枚の銅板61を接着し、絶縁基材53の下面532に1枚の銅板62を接着する。尚、絶縁基材53の上面531に接着する銅板61には、下面532に接着する銅板62よりも厚さの大きいものが用いられる。
第2工程では、絶縁基材53の下面532に接着された銅板62に対してエッチング処理を施すことにより、図4(b)に示す様に、距離L2と後述するメッキ層38,46の厚さに相当する距離αとを加算した距離(L2+α)だけ離間した位置に、厚さが同程度の第2陽極構成部36と第2陰極構成部45を形成する。
又、絶縁基材53の上面531に接着された銅板61に対してエッチング処理を施すことにより、図4(b)に示す様に、距離L2よりも小さい距離L1と後述するメッキ層38,46の厚さに相当する距離αとを加算した距離(L1+α)だけ離間した位置に、厚さが銅板61よりも小さくて上面に接続構成部37が突設された第1陽極構成部35と、厚さが第1陽極構成部35と同程度の第1陰極構成部44とを形成する。このように1枚の銅板61から第1陽極構成部35と接続構成部37を形成することにより、第1陽極構成部35と接続構成部37とは一体に形成されることになる。
第3工程では、絶縁基材53を、図4(a)に示すA1線によって囲まれた領域、即ち第1陽極構成部35に対して第1陰極構成部44とは反対側に位置する領域を打ち抜くことにより、図5(a)に示す様に貫通孔71を形成する。このとき、第1及び第2陽極構成部35,36の端部が絶縁基材53と一緒に打ち抜かれる。従って、図5(b)に示す様に、貫通孔71の内面には第1及び第2陽極構成部35,36の側端面が露出することになる。
更に、絶縁基材53を、図4(a)に示すA2線によって囲まれた領域、即ち第1陰極構成部44に対して第1陽極構成部35とは反対側に位置する領域を打ち抜くことにより、図5(a)に示す様に貫通孔72を形成する。このとき、第1及び第2陰極構成部44,45の端部が絶縁基材53と一緒に打ち抜かれる。従って、図5(b)に示す様に、貫通孔72の内面には第1及び第2陰極構成部44,45の側端面が露出することになる。
上述の如く、貫通孔71と貫通孔72を形成することにより、絶縁基材53には、貫通孔71と貫通孔72によって挟まれた領域に、コンデンサ素子1が搭載されるべき絶縁基板5が形成されることになる。
第4工程では、図6(a)及び図6(b)に示す様に、一体に形成されている第1陽極構成部35と接続構成部37の外周面、第2陽極構成部36の外周面、並びに貫通孔71の内面に、メッキを施してメッキ層38を形成する。これにより、第1陽極構成部35と第2陽極構成部36が、メッキ層38によって互いに電気的に接続されることになり、その接続状態は非常に良好なものとなる。尚、メッキには、銅や錫など、高い導電性を有する金属が用いられる。
同様に、第1及び第2陰極構成部44,45の外周面、並びに貫通孔72の内面に、メッキを施してメッキ層46を形成する。これにより、第1陰極構成部44と第2陰極構成部45が、メッキ層46によって互いに電気的に接続されることになり、その接続状態は非常に良好なものとなる。尚、メッキには、銅や錫など、高い導電性を有する金属が用いられる。
上述の如く第1工程〜第4工程を実行することにより、第1陽極構成部35と、メッキ層38の内、第1陽極構成部35の外周面に形成されている一部とによって、陽極端子3の第1陽極部31が構成され、第2陽極構成部36と、メッキ層38の内、第2陽極構成部36の外周面に形成されている一部とによって、陽極端子3の第2陽極部32が構成され、メッキ層38の内、貫通孔71の内面(即ち、絶縁基板5の側端面)に形成されている一部によって、陽極端子3の陽極導電層33が構成されることとなる。
又、接続構成部37と、メッキ層38の内、接続構成部37の外周面に形成されている一部とによって、接続部34が構成されることとなる。
更に、第1陰極構成部44と、メッキ層46の内、第1陰極構成部44の外周面に形成されている一部とによって、陰極端子4の第1陰極部41が構成され、第2陰極構成部45と、メッキ層46の内、第2陰極構成部45の外周面に形成されている一部とによって、陰極端子4の第2陰極部42が構成され、メッキ層46の内、貫通孔72の内面(即ち、絶縁基板5の側端面)に形成されている一部によって、陰極端子4の陰極導電層43が構成されることとなる。
斯くして、絶縁基板5には、第1陽極部31と第2陽極部32とを陽極導電層33によって互いに電気的に接続して構成された陽極端子3と、第1陰極部41と第2陰極部42とを陰極導電層43によって互いに電気的に接続して構成された陰極端子4が形成されることとなる。又、第1陽極部31には、接続部34が一体に形成されることとなる。
素子搭載工程では、図7(a)及び図7(b)に示す如く絶縁基板5の上面51にコンデンサ素子1を搭載し、第1陽極部31と一体に形成されている接続部34の端部に、コンデンサ素子1の陽極部1aを溶接によって電気的に接続し、第1陰極部41に、コンデンサ素子1の陰極部1bを導電性接着剤によって電気的に接続する。
樹脂被覆工程では、図8(a)及び図8(b)に示す如く、絶縁基板5の上面51に外層樹脂2を塗布することにより、該外層樹脂2によってコンデンサ素子1を被覆する。このとき、絶縁基板5の下面52、並びに絶縁基板5の側端面に形成されている陽極導電層33及び陰極導電層43は、外層樹脂2によって被覆されず、露出した状態のまま維持される。
従って、絶縁基板5の下面52に形成されている第2陽極部32及び第2陰極部42は、外層樹脂2から露出して配置されることになり、第2陽極部32と第2陰極部42によって下面電極が構成されることになる。又、外層樹脂2の側面には、陽極導電層33と陰極導電層43が露出することになる。
切断工程では、図8(a)に示すA3−A3線とA4−A4線にて絶縁基材53を切断する。これにより、図1に示す固体電解コンデンサが完成し、該固体電解コンデンサは、接続部34が陽極端子3の第1陽極部31に一体に形成された構成を有すると共に、下面電極となる第2陽極部32と第2陰極部42にそれぞれ接続されている陽極導電層33と陰極導電層43が外層樹脂2の側面から露出した構成を有することになる。
上述した固体電解コンデンサにおいては、電極形成工程において絶縁基板5にビアが形成されないので、従来の固体電解コンデンサの製造過程で必要であった煩雑な工程、即ち従来の固体電解コンデンサの製造過程で絶縁基板5に開設されたビアを樹脂材によって充填する工程が、製造過程において不要となる。よって、本実施形態に係る固体電解コンデンサは、その製造が容易である。
又、接続部34が陽極端子3の第1陽極部31に一体に形成されているので、接続部34と第1陽極部31とが別体にて形成されている従来の固体電解コンデンサ(図13参照)の製造過程で必要であった煩雑な工程、即ちコンデンサ素子1を絶縁基板5上に搭載する前に接続部34(枕部材108、図13)を第1陽極部31に設置する煩雑な工程が不要となる。
上述した固体電解コンデンサを配線基板上に搭載する場合、該配線基板上のランドに、第2陽極部32と第2陰極部42からなる下面電極が半田付けされることになる。
上述の如く上記固体電解コンデンサは、下面電極となる第2陽極部32と第2陰極部42にそれぞれ接続されている陽極導電層33と陰極導電層43が外層樹脂2の側面から露出した構成を有するので、下面電極の半田濡れ性が向上することになる。即ち、配線基板上のランドに下面電極を半田付けした場合、該半田が下面電極の側端面に回り込み易くなる。従って、下面電極の側端面にはフィレットが生じ易く、その結果、下面電極と配線基板上のランドとの間の接続状態が良好となる。
又、上述の如く上記固体電解コンデンサは、接続部34が陽極端子3の第1陽極部31に一体に形成された構成を有するので、接続部34と第1陽極部31とを別体にて形成した従来の固体電解コンデンサよりも、接続部34と第1陽極部31との間の接続状態が良好であり、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
更に、上記固体電解コンデンサにおいては、第1陽極部31と第1陰極部41との間の距離L1が、第2陽極部32と第2陰極部42との間の距離L2よりも小さいので、第1陰極部41の面積を増大させることが可能であり、従って第1陰極部41とコンデンサ素子1の陰極部1bとの接続面積を増大させることが出来、その結果、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
本願発明者は、ESRとESLについて、図1に示す固体電解コンデンサと図12に示す従来の固体電解コンデンサとをシミュレーションによって比較した。尚、何れの固体電解コンデンサについても、その外形のサイズを長さ7.3mm、幅4.3mm、高さ1.8mmにし、コンデンサ素子には同じものを用いた。又、ESLの測定周波数を100MHzとした。
その結果、図1に示す固体電解コンデンサのESRが、図12に示す従来の固体電解コンデンサのESRに対して、17%程度低減することがわかった。又、図1に示す固体電解コンデンサのESLが、図12に示す従来の固体電解コンデンサのESLに対して、25%程度低減することがわかった。
図9は、上述した固体電解コンデンサの改良形態の一例を示した断面図である。図9に示す様に、接続構成部37の外周面にはメッキ層38を形成せず、第1陽極構成部35の外周面、第2陽極構成部36の外周面、並びに絶縁基板5の側端面の一部にだけメッキ層38を形成してもよい。本改良形態に係る固体電解コンデンサにおいては、外周面にメッキ層38のない接続構成部37によって、接続部34が構成されることになる。
従って、上記改良形態の一例に係る固体電解コンデンサにおいては、溶接による接続部34と陽極部1aとの接続状態が、メッキ層38の形成状態による影響を受けることがない。
図10は、上述した固体電解コンデンサの改良形態の他の例を示した断面図である。図10に示す様に絶縁基板5上には、上記コンデンサ素子1に替えて、箔状の陽極体81を具えたコンデンサ素子8を搭載してもよい。
具体的にコンデンサ素子8は、図11に示す如く、陽極体81と、陽極体81の外周面のうち一部の領域に形成された誘電体層82と、誘電体層82上に形成された電解質層83と、電解質層83上に形成された陰極層84とから構成されている。
陽極体81には、弁作用金属からなる箔体の表面にエッチング処理により多孔質層を形成したものが用いられている。弁作用金属には、例えばアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどが用いられる。
誘電体層82は、陽極体81の外周面の一部の領域に形成された酸化被膜から構成されており、該酸化被膜は、陽極体81の一部をリン酸水溶液やアジピン酸水溶液などの電解溶液に浸漬させ、該陽極体81の一部の外周面を電気化学的に酸化させること(陽極酸化)により形成される。
電解質層83は、誘電体層83上に、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩、導電性ポリマー等の導電性有機材料などから構成されている。
陰極層84は、電解質層83上に形成されたカーボン層と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層とから構成され、電解質層83と陰極層84は互いに電気的に接続されている。
上記コンデンサ素子8においては、陽極体81のうち外周面が誘電体層82によって被覆されずに露出した部分によりコンデンサ素子8の陽極部8aが構成され、陰極層84によってコンデンサ素子8の陰極部8bが構成されている。
そして、改良形態に係る固体電解コンデンサにおいては、第1陽極部31の上面の一部の領域31aに、コンデンサ素子8の陽極部8aが溶接によって電気的に接続される。従って、第1陽極部31の上面の一部の領域31aによって、第1陽極部31とコンデンサ素子8の陽極部8aとを電気的に接続するための接続部が、第1陽極部31に一体に形成された状態で構成されることになる。
コンデンサ素子8の陰極部8bは、図1に示す固体電解コンデンサと同様、導電性接着剤によって第1陰極部41に電気的に接続される。
上記改良形態に係る固体電解コンデンサにおいても、図1に示す固体電解コンデンサと同様、従来の固体電解コンデンサの製造過程で必要であった煩雑な工程が不要となる。
又、従来の固体電解コンデンサよりも、下面電極の半田濡れ性が向上して下面電極の側端面にフィレットが生じ易くなり、その結果、下面電極と配線基板上のランドとの間の接続状態が良好となる。更に、従来の固体電解コンデンサよりも、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
更に又、上記改良形態に係る固体電解コンデンサにおいても、図10に示す様に第1陽極部31と第1陰極部41との間の距離L1が、第2陽極部32と第2陰極部42との間の距離L2よりも小さいので、第1陰極部41の面積を増大させることが可能であり、従って第1陰極部41とコンデンサ素子8の陰極部8bとの接続面積を増大させることが出来、その結果、固体電解コンデンサのESR又はESLが低減されることになる。
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。上記実施形態においては、陽極端子3を構成する第1及び第2陽極構成部35,36の材質、並びに陰極端子4を構成する第1及び第2陰極構成部44,45の材質としてそれぞれ銅を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、前記材質として種々の導電材を用いることが可能である。
又、接続部34は、図1に示す位置と形状を有するものに限られるものではなく、接続部34として様々な位置と形状を有するものを採用することが出来る。
更に、上記実施形態においては、第2工程において、1枚の銅板62に対してエッチング処理を施すことにより、第2陽極部32を構成する第2陽極構成部36と第2陰極部42を構成する第2陰極構成部45を形成したが(図4(b)参照)、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2陽極構成部36となる銅板と、第2陰極構成部45となる銅板とを別々に用意し、これらを距離(L2+α)だけ離間した位置に接着してもよい。
1 コンデンサ素子
1a 陽極部
1b 陰極部
11 陽極体
12 陽極リード
13 誘電体層
14 電解質層
15 陰極層
3 陽極端子
31 第1陽極部
32 第2陽極部
34 接続部
4 陰極端子
41 第1陰極部
42 第2陰極部
5 絶縁基板
51 上面(第1面)
51a 陽極部形成領域
51b 陰極部形成領域
52 下面(第2面)
8 コンデンサ素子
8a 陽極部
8b 陰極部
81 陽極体
82 誘電体層
83 電解質層
84 陰極層
31a 第1陽極部の上面の一部の領域(接続部)

Claims (5)

  1. 陽極部と陰極部との間に誘電体層が介在したコンデンサ素子と、陽極端子と陰極端子が形成された絶縁基板とを具え、絶縁基板上にコンデンサ素子が搭載されている固体電解コンデンサにおいて、
    前記陽極端子は、コンデンサ素子が搭載される絶縁基板の第1面に形成された第1陽極部と、第1面とは反対側に位置する絶縁基板の第2面に形成された第2陽極部とを、互いに電気的に接続して構成され、第1陽極部には、該第1陽極部とコンデンサ素子の陽極部とを電気的に接続するための接続部が一体に形成され、前記陰極端子は、前記絶縁基板の第1面に形成された第1陰極部と前記絶縁基板の第2面に形成された第2陰極部とを互いに電気的に接続して構成され、前記第1陽極部と第1陰極部との間の距離は、前記第2陽極部と第2陰極部との間の距離よりも小さく、前記接続部と第1陰極部にはそれぞれ、前記コンデンサ素子の陽極部と陰極部が電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記絶縁基板の第1面の内、前記第1陽極部が形成されている陽極部形成領域と、前記第1陰極部が形成されている陰極部形成領域とは、同じ平面内に含まれている請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陽極端子の第1陽極部側にそれぞれ位置する前記コンデンサ素子の陰極部の端と前記陰極端子の第1陰極部の端とが、前記第1陽極部から所定の距離だけ離間した位置にて略一致している請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記コンデンサ素子は陽極リードが引き出された陽極体を具え、該陽極体には、その外周面に誘電体層が形成され、該誘電体層上には電解質層を介して陰極層が形成され、前記陽極リードと陰極層によってそれぞれコンデンサ素子の陽極部と陰極部が構成されており、前記接続部は前記第1陽極部上に突設され、該接続部の端部に前記コンデンサ素子の陽極部が接続されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記コンデンサ素子は箔状の陽極体を具え、該陽極体には、その一部の外周面に誘電体層が形成され、該誘電体層上には電解質層を介して陰極層が形成され、前記陽極体の残りの部分及び陰極層によってそれぞれコンデンサ素子の陽極部と陰極部が構成されており、前記接続部は、前記第1陽極部の外周面の一部の領域によって構成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
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