JP2010225564A - 二次電池用負極組成物、それらを生成するための中間組成物及びそれらを使用した二次電池 - Google Patents

二次電池用負極組成物、それらを生成するための中間組成物及びそれらを使用した二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】負極活物質の利用率を向上し、以って活物質原料を減じ、これにより低コストかつ軽量化された二次電池を提供する。
【解決手段】金属酸化物を主体する活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物を使用することにより、利用率の高い二次電池を実現する。
【選択図】図3

Description

本発明は、二次電池用負極組成物、それらを生成するための中間組成物に関する。
従来、種々の二次電池が知られており、例えば、安価なものとしては鉛蓄電池があり、高エネルギー密度のものとしてはリチウムイオン電池がある。いうまでもなく、安価であることと高エネルギー密度であることを兼ね備えた二次電池が理想的である。特に、蓄電池による発進駆動を行うハイブリッド自動車や電気自動車のような用途では、安価で高エネルギー密度の蓄電池に対する要望が大きい。蓄電池の価格は、その材料コストに最も大きく依存する。例えば、ハイブリッド自動車では、高価なニッケル水素蓄電池が使用されているが、ニッケル水素蓄電池の正極に使われるニッケルや負極に使用される貴金属は非常に高価な材料である。また、リチウムイオン二次電池も高価な材料を用いることを余儀なくされている。
一方、従来の鉛蓄電池は、鉛を酸化した鉛粉と言われる活物質原料に希硫酸を添加してペースト状態の組成物とし、このペーストを格子状の集電体に充填して極板を形成する製造方法が一般的である。その後、これを化成することで、正極は二酸化鉛、負極は海綿状鉛と言われる活物質を含むものとなる。これらの活物質は電池が放電されると硫酸鉛(放電活物質)へと変化する。放電活物質への変化に伴いこの粒子の体積が増加するために極板における多孔質構造の孔が小さくなり、電解液の活物質への拡散が困難となる。
また、電気的絶縁物である硫酸鉛へ変化することで電気抵抗が増大する。一般的には、硫酸鉛が70%を越えると電気抵抗は急激に増加する。従って、活物質を70%以上放電させること、つまり活物質の利用率を70%以上とすることは、理論的に不可能とされてきた。実際には、放電電流の大きさにも影響されるので、低率放電の利用率は一般的には40%程度、高率放電の利用率は20%程度が現状である。すなわち、理論上利用率は70%程度までとれる訳であるが、通常の使用においては、これには程遠いものとなっている。
活物質の利用率を上げるためには、活物質を含む極板の嵩密度、すなわち、多孔度を上げることが必要条件である。
鉛蓄電池は、原料が安価である点では好ましいが、活物質の利用率が低いために鉛の使用量を増やさざるを得ず、その結果、他の材料に比べて重量密度の大きい鉛の重量がさらに増えて重量に対するエネルギー密度の低下を招いている。現状の鉛蓄電池のエネルギー密度では、ハイブリッド車や電気自動車には不十分であり使用できない。
鉛蓄電池の負極板に関する従来技術としては、例えば特許文献1があり、鉛蓄電池にパーライト、珪藻土を使用するものとして特許文献2がある。
特許文献1では、繊維長が30μm〜1.5mmに粉砕したカーボン繊維を、負極活物質に含有する負極板を用いるものであり、カーボン繊維を、前記負極活物質に対して、0.2〜3質量%含有するものである。
これら特許文献の効果として以下の記載がある。「本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、ペースト状活物質の混練や集電体に充填する工程が容易であるとともに、充電性能に優れており、その結果、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供することができるために工業上有用である。」
特許文献2では、「耐酸性無機粉体が、合成シリカ、けいそう土、電融アルミナ、パーライト、ゼオライトからなる群より選ばれた無機粉体からなる上記鉛蓄電池用セパレータが提供される。」という記載、発明の効果として「本発明によれば、電気抵抗が低く、耐酸化性に優れ、しかもリブ形成層のつぶれ、折り割れ性、密着性に優れたシート状、袋状等の鉛蓄電池用セパレータを提供することができる。」という記載がある。
特開2005−50632号公報 特開平11−339752号公報
安価であることと高エネルギー密度であることを兼ね備えた二次電池が要望されているが、従来これらは背反的関係にある概念とされており、未だ実現されていない。多孔度による利用率の向上を課題としたものではない。
特許文献1では、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供することができるが活物質利用率の向上には寄与しない。
また、特許文献2では、電気抵抗が低く、耐酸化性に優れ、しかもリブ形成層のつぶれ、折り割れ性、密着性に優れたシート状、袋状等の鉛蓄電池用セパレータを提供することができるが、やはり活物質利用率の向上には寄与しない。
上記のとおり、鉛蓄電池のエネルギー密度が低い主要な原因は、その電気抵抗が増大するために活物質利用率を上限理論値である70%程度に上げることができない。加えて、大電流で放電する使用形態では活物質利用率はさらに低下する。
一方、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池のコストが高いのはその材料が高価なことに起因するため、コスト低減は困難である。
以上により、本発明は、二次電池用負極組成物として活物質原料である鉛粉に、従来使用されなかった物質を添加し負極活物質利用率を向上させた。
上記の目的を実現するべく本発明は以下の構成を提供する。
(1)請求項1に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする。
(2)請求項2に係る二次電池用負極組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上であることを特徴とする。
(3)請求項3に係る二次電池用負極組成物は、請求項1又は2において、前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び該パーライトとが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(4)請求項4に係る二次電池用負極組成物は、請求項1又は2において、前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(5)請求項5に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする。
(6)請求項6に係る二次電池用負極組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上であることを特徴とする。
(7)請求項7に係る二次電池用負極組成物は、請求項5又は6において、前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び該珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(8)請求項8に係る二次電池用負極組成物は、請求項5又は6において、前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(9)請求項9に係る二次電池用負極組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボンを含有せず珪藻土を含有した混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.4×10−1ml/g以上であることを特徴とする。
(10)請求項10に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料に対し、カーボンを含有せず珪藻土を4.5質量パーセント以上含有する混練物から成ることを特徴とする。
(11)請求項11に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料に対し、カーボンを含有せず珪藻土を5.5モルパーセント以上含有する混練物から成ることを特徴とする。
(12)請求項12に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にカーボンを含有せずシリカ多孔体を含有する混練物から成ることを特徴とする。
(13)請求項13に係る二次電池は、金属酸化物を主体する活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する混練物から成ることを特徴とする。
(14)請求項14に係る二次電池用負極組成物は、請求項13において、前記カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記シリカ多孔体とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(15)請求項15に係る二次電池用負極組成物は、請求項13において、前記カーボンと前記シリカ多孔体とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(16)請求項16に係る二次電池用負極組成物は、請求項12〜15のいずれかにおいて、前記混練物に含有される前記シリカ多孔体はパーライト又は珪藻土であること特徴とする。
(17)請求項17に係る二次電池用負極組成物は、請求項16において、金属酸化物を主体する活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有する混練物から成ることを特徴とする。
(18)請求項18に係る二次電池用負極組成物は、請求項16において、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、前記金属酸化物を主体とした前記活物質原料に前記パーライト及び前記カーボンを含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上であることを特徴とする。
(19)請求項19に係る二次電池用負極組成物は、請求項17又は18において、前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び該パーライトとが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(20)請求項20に係る二次電池用負極組成物は、請求項17又は18において、前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(21)請求項21に係る二次電池用負極組成物は、請求項16において、金属酸化物を主体する活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量がマイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする。
(22)請求項22に係る二次電池用負極組成物は、請求項16において、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、前記金属酸化物を主体とした前記活物質原料に前記カーボン及び前記珪藻土を含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上であることを特徴とする。
(23)請求項23に係る二次電池用負極組成物は、請求項21又は22において、前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び該珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(24)請求項24に係る二次電池用負極組成物は、請求項21又は22において、前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする。
(25)請求項25に係る二次電池用負極組成物は、請求項1〜24のいずれかにおいて、前記混練物は、硫酸を含まず又は5.6モルパーセント以下の硫酸を含むことを特徴とする。
(26)請求項26に係る二次電池は、請求項1〜25のいずれかに記載の二次電池用負極組成物を含む負極板を使用することを特徴とする。
(27)請求項27に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(28)請求項28に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(29)請求項29に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(30)請求項30に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(31)請求項31に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(32)請求項32に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(33)請求項33に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(34)請求項34に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(35)請求項35に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記シリカ多孔体とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は前記カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(36)請求項36に係る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物は、金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は前記カーボンと前記シリカ多孔体とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする。
(A)本発明の第1の構成に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体であるパーライトを含有させた混練物から成ることを特徴とするため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(B)本発明の第2の構成に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体である珪藻土を含有させた混練物から成ることを特徴とするため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(C)本発明の第3の構成に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にシリカ多孔体である珪藻土を含有させた混練物から成ることを特徴とするため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(D)本発明の第4の構成に係る二次電池用負極組成物は、カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、活物質原料及びシリカ多孔体であるパーライト又は珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であるため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(E)本発明の第5の構成に係る二次電池用負極組成物は、カーボンとシリカ多孔体であるパーライト又は珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であるため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(F)本発明の第6の構成に係る二次電池用負極組成物は、カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、活物質原料及びシリカ多孔体であるパーライト又は珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であるため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(G)本発明の第7の構成に係る二次電池用負極組成物は、カーボンとシリカ多孔体であるパーライト又は珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であるため、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(H)本発明の第8の構成に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させることができる混練物であるため、カーボン量とパーライト量を柔軟に組み合わせて所望の嵩密度を実現することができ、多孔性を充分高め、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(I)本発明の第9の構成に係る二次電池用負極組成物は、金属酸化物を主体する活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させることができる混練物であるため、カーボン量と珪藻土量を柔軟に組み合わせて所望の嵩密度を実現することができ、多孔性を充分高め、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(J)本発明の第10の構成に係る二次電池用負極組成物は、硫酸を含まないか又は微量の硫酸しか含まず、嵩密度が増し多孔性が高まり、これを使用した負極活物質の利用率が向上する。
(K)上記、本発明の構成に係る二次電池用負極組成物の内、カーボンを含有する組成物を生成するためには、先ずカーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成される第1の混練物から成る中間組成物とするため、カーボンの分散が良く、該中間組成物と活物質原料である金属酸化物及びシリカ多孔体であるパーライトと混練することで、活物質原料を含む負極組成物の嵩密度を高めることが可能になった。
(L)上記、本発明の構成に係る二次電池用負極組成物の内、カーボンを含有する組成物を生成するためには、先ずカーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成される第1の混練物から成る中間組成物とするため、カーボンの分散が良く、該中間組成物と活物質原料である金属酸化物及びシリカ多孔体である珪藻土と混練することで、活物質原料を含む負極組成物の嵩密度を高めることが可能になった。
(M)上記、本発明の構成に係る二次電池用負極組成物の内、カーボンを含有する組成物を生成するためには、先ずカーボンとシリカ多孔体であるパーライトをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成される第1の混練物から成る中間組成物とするため、カーボン及びパーライトの分散が良く、該中間組成物を活物質原料である金属酸化物と混練することで、活物質原料を含む負極組成物の嵩密度を高めることが可能になった。
(N)上記、本発明の構成に係る二次電池用負極組成物の内、カーボンを含有する組成物を生成するためには、先ずカーボンとシリカ多孔体である珪藻土をポリビニルアルコール水溶液で混練して生成される第1の混練物から成る中間組成物とするため、カーボン及び珪藻土の分散が良く、該中間組成物を活物質原料である金属酸化物と混練することで、活物質原料を含む負極組成物の嵩密度を高めることが可能になった。
は、本発明の実施例1におけるカーボン量3gで、パーライト量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例1におけるカーボン量9gで、パーライト量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例1におけるカーボン量14gで、パーライト量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例1におけるカーボン量及びパーライト量を変化したときの0.06A放電時の嵩密度と負極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例1におけるカーボン量及びパーライト量を変化したときの6A放電時の嵩密度と負極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例2におけるカーボン量及び珪藻土量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例2におけるカーボン量及び珪藻土量を変化したときの0.06A放電時の嵩密度と負極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例2におけるカーボン量及び珪藻土量を変化したときの6A放電時の嵩密度と負極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例2における硫酸量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例3における珪藻土量を変化したときの負極活物質の利用率を示す。 は、本発明の実施例3における珪藻土量を変化したときの鉛蓄電池の容量を示す。 は、本発明の実施例3における珪藻土量を変化したときの0.06A放電時負の嵩密度と極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例3における珪藻土量を変化したときの6A放電時の嵩密度と負極活物質利用率との関係を示す。 は、本発明の実施例1におけるパーライト量をパラメータとしカーボン量を変化したときの嵩密度の関係を示す。 は、本発明の実施例1における所定の嵩密度を満たすパーライト量とカーボン量の関係を示す。 は、本発明の実施例2における珪藻土量をパラメータとしカーボン量を変化したときの嵩密度の関係を示す。 は、本発明の実施例2における所定の嵩密度を満たす珪藻土量とカーボン量の関係を示す。
先ず、本発明の実施形態の概要を説明する。詳細については、以下の各実施例にて説明する。
なお、説明に先立って各実施例等以下の説明における用語について定義をする。
・ 二酸化珪素を主体とする多孔体を「シリカ多孔体」又は略して「シリカ」と言う。
・ ガラス質から成る真珠岩を急熱・膨張させて膨らませたパーライトを単に「パーライト」と言う。
本発明による二次電池用負極組成物は、実質的には鉛蓄電池を対象とする。この負極組成物は、活物質原料である鉛粉を主要成分とし、カーボン、シリカ多孔体、その他の必要な成分を添加してペースト状の混練物としたもの又は混練する前の各原料そのものの構成要素であり、このペースト状の混練物を格子状集電体に充填し、熟成及び乾燥し(未化成状態)た状態のものも本発明の負極組成物である。その後この負極板を蓄電池ケースに組み込み、化成工程を行うことにより活物質原料が活物質となり、鉛蓄電池として完成する。従って、本出願の特許請求の範囲及び明細書における「活物質原料」は、未化成状態のものを指す。そして、「活物質原料」とは、化成されて目的物である活物質となる原料をいう。
本発明による活物質原料を主体とする負極組成物の混練物は、金属酸化物を主体とした活物質原料に、カーボン及びシリカ多孔体を含有、シリカ多孔体を含有しないでカーボンを含有又はカーボンを含有しないでシリカ多孔体を含有する。さらに、シリカ多孔体は珪藻土又はパーライトである。活物質原料は鉛粉とする。そして、本発明の負極組成物は、格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布された、金属酸化物を主体とした活物質原料に少なくともカーボン及び/又はシリカ多孔体を含有させた混練物であり乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が高い。
また、嵩密度を向上させるためシリカ多孔体は活物質原料に対して必要最低量以上含有させる。なお、混練により生成された負極組成物は、通常、化成前に格子状集電体に充填され、又はシート状集電体に塗布された後、熟成及び乾燥される。
カーボンとしては、例えば、アセチレンブラック又はファーネスカーボンを用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
本発明による負極組成物の実施例2における混練物は微量の硫酸を含有する場合と微量の硫酸を含有しない場合を示したが、利用率の観点からはどちらでも良い。この微量の硫酸は、ペーストの粘性を若干高め、該ペーストを格子状集電体に充填し易くするためのもので、電池の基本性能には無関係である。
ただし、後述する実施例2に硫酸添加例を示したが硫酸量を多くすることは禁物である。
さらに、カーボンを添加する場合、上記の混練物に対しポリビニルアルコール(PVA)を含有させる。ポリビニルアルコールは、カーボン等の分散性向上を目的として添加するが、混練物を格子状集電体に充填したときにその付着強度及び負極組成物の形状保持強度を高めることにも寄与する。
実施例1及び2の負極組成物の製造方法は概略以下のとおりである。一つの混練工程では、カーボンを水とともに混練し、生成物を得る。また、別の混練工程では、活物質原料である鉛粉にパーライト(実施例1)又は珪藻土(実施例2)を加えて混練し、混練物を得る。前述した2つの工程での混練物を混ぜ、さらに混練された混練物が、上記の負極組成物である。ポリビニルアルコールを含有させる場合は、前記一つの混練工程で加える。
なお、ポリビニルアルコールを含有させる場合は、カーボンとの混練(カーボンの分散目的)を容易にすべく、あらかじめPVAに水を加えて溶解するが、その水の温度は90℃程度でありPVAの溶解を支援する。以下、カーボンを分散させるためにPVAを使用する各実施例においてもこのような条件は同様である。
前記、一つの工程及び別の工程で生成された混練物を混合して混練したが、前記一つの工程で生成された混練物に、別の工程で生成されるべき混練物の混練前の原料を混合してから混練してもよい。
実施例3の負極組成物の製造方法では、実施例1及び2における2つの混練工程は無く活物質原料である鉛粉を混練し、その後、珪藻土を加え少し混練を継続する。
なお、こうして得られた混練物において、未乾燥で格子状集電体に充填できる状態のものを、以下の実施例では「ペースト」を称している。従来の負極組成物では、実施例1のような2つ工程での混練は行っていなかった。本発明の実施例1では、2つ工程の混練工程を経ることによって好適な嵩密度をもつ負極組成物を得ることができた。なお、前記一つの混練工程は、攪拌混合等の手段で置き換えることも可能である。
実施例1、2による負極組成物からなる活物質の利用率は、格子状集電体を用いた場合、0.06アンペアー放電(約40時間率放電相当)では概略50%〜90%、6アンペアー放電(約10分間率放電相当)では概略25%〜50%であった。低率放電から高率放電において従来技術の比較ペーストNo.1のおおよそ1.5倍〜2.8倍程度の活物質利用率が得られた。
これらの値は、カーボン量、珪藻土量、パーライト量の配合により変化するので概略値である。
また、カーボンを含まない実施例3による負極組成物からなる活物質の利用率は、0.06アンペアー放電(40時間率放電相当)では概略40%〜60%、6アンペアー放電(10分間率放電相当)では概略20%〜30%であった。低率放電から高率放電において従来技術の比較ペーストNo.1のおおよそ1.3倍〜1.5倍程度の活物質利用率が得られた。
これらの値は、珪藻土量の配合により変化するので概略値である。
集電体としては、従来通りの格子を用いることが可能であり、あるいは、鉛シートのようなシート状物に負極組成物を塗布することも可能である。格子状集電体に充填する場合は、ある程度の粘性が必要なので、混練媒体である水の量をその他の成分に対して少なく設定してペースト状の混練物とする。一方、シートに塗布する場合は、水の量を多くして粘性を低くしスラリー状の混練物とする。極板に適用する前の混練物がペーストであってもスラリーであっても、本発明の効果は同様に得られる。
格子状集電体にペーストを充填した極板は、基本的には、従来の鉛蓄電池の全用途に用いることができ、しかも同じ電池容量において、より軽量とすることができる。シート状にした極板を用いた鉛蓄電池は、円筒形状の電池を形成できる。その場合、極板をスパイラルに巻くことにより高率放電に優れ、耐振動性の強い電池となる。これは、特にハイブリッド自動車用、電気自動車用として適している。ハイブリッド自動車では、現在、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池が使用されあるいは検討されているが、いずれもコストが高いという問題があった。本発明による鉛蓄電池は、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池より格段に低コストである上、充放電の管理が簡易であるため実用化に適している。
以上のように、本発明による負極組成物を用いた鉛蓄電池は、大電流による放電が可能なこと、活物質利用率が高いこと、鉛粉の使用量が少なく低コストであることに加えて、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池に比べて充放電の管理が簡易である。その最適な用途は、自動車用途におけるエンジンと蓄電池のハイブリッド的な使い方である。この用途では、自動車の制動時の回生電力を蓄電池へ充電し、発進時には蓄電池から電力を取り出すことで、ガソリンの消費を節減する。自動車企業では、省エネルギーや排ガス減少により環境的に好ましいことから、現在及び将来的にハイブリッド自動車に注力しており、本発明の産業上の利用性は極めて高いといえる。
また、一般的な蓄電池はフロート充電使用されることも多い。これは、停電発生の非常時に非常用発電機が起動するまでの間、蓄電池から負荷へ給電するシステムであり、一般的には10分間率程度で放電されるケースが多い。
このような蓄電池として従来の鉛蓄電池と用いると、短時間放電すなわち大電流放電となるので、元々高くない活物質の利用率がさらに低下する。従って、大きな定格容量の鉛蓄電池を用意しなければならず、大きくかつ重いものとなる。本発明の負極組成物を用いた鉛蓄電池は、活物質の利用率が従来の鉛蓄電池の約2.5倍と高く、かつ大電流による放電が好適で、かつ、利用率が高い分、鉛量が減少し軽量とすることができる。
最近は、インターネットの発展により、データセンタでの鉛蓄電池需要が増し、このような大電流放電での利用率の向上が要望されている。
以下、格子状集電体を用いた鉛蓄電池の負極板に関する本発明の各実施例を説明する。
実施例1では、負極組成物(金属酸化物を主体とした活物質原料である鉛粉に種々の物質を添加・混合したもの)であるペーストを製造するにあたり、添加材であるカーボン添加量をパラメータとして主にパーライト添加量を変化させた場合の活物質利用率等の試験結果を説明する。
<試料の調製>
表1は、実施例1における試験に供した負極組成物(ペースト状のもの、これを乾燥させたもの又は混練する前の各原料そのものの構成要素を含む。以下同様。)を調製する際の主要な成分組成及び量を示す一覧である。本発明の説明で称するペーストとは、これらの成分を混練した後の、乾燥前のペースト状態の混練物を意味する。
表1において、鉛粉は一定量の200gとして、カーボン量をパラメータとして3g、9g、14gと量を変え、同一カーボン量内でパーライト量を0g、3g、9g、14gと変化させ嵩密度を測定する。同一カーボン量においてパーライト量が多くなると嵩密度が大きくなっていき、また、同一パーライト量においてカーボン量が多いほど嵩密度が大きくなることが確認される。なお、カーボン量及びパーライト量が多くなるにしたがって水の量も増加させる。これは、混練するカーボン量、パーライト量が多くなるためでありポリビニルアルコール(PVA)の量もカーボン量に連動して増加させる。
なお、表1におけるペーストNo.1は、従来技術で製造されたものである。ペーストNo.2〜12は本発明の組成物に係るペーストである。
表1−2及び表1−3については後述する。



<主たる原料の説明>
鉛粉は負極組成物の主たる構成物質である活物質原料であり、酸化度は約75から80パーセントである。カーボンには吸油量175ml/100gのアセチレンブラックを、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)は重合度2400を用いた。吸油量にはDBP吸油量を示す。これはカーボン100グラムあたりに吸液されるジブチルフタレートの量を示すものである。
パーライトはガラス質から成る真珠岩を急熱・膨張させて膨らませたもので、シリカ成分からなり、微細に入り組んだ片状構造を有し、これがペースト中で、単独あるいは複数の片で空隙を形成することから、極板の嵩密度の向上に寄与できると考えた。また、シリカである故に耐酸性や耐酸化性に優れている。ここでは、シリカ多孔体であるパーライトとして、ロカヘルプ4159を用いた。負極板(負極組成物)の性状を示す要素として、嵩密度、活物質利用率の関係を調べた。嵩密度については表1に記載した。なお、嵩密度の測定方法は後述する。
<製造方法>
まず、ポリビニルアルコールを温度約90℃の温水で溶解し、溶解が完了した時点でポリビニルアルコールの濃度が6%程度の水溶液を製造する。溶解させている間は水分が蒸発しないように、溶解させる容器にラップなどのようなシートで容器の上部を覆う。
このポリビニルアルコール水溶液にカーボンを加えて30分間程度混練し、この混練生成物が中間組成物となる。その後、該混練物に鉛粉200gを混合し、リグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gを添加して25分間程度混練した後、パーライトを添加し、さらに5分間程度混練を継続した。ただし、この30分間、25分間及び5分間程度の混練時間はおおよその目安であり、特に最後の5分間の混練は組成物の量により変動する。また、パーライトの添加時期も前後してもよい。すなわち、パーライトは、ポリビニルアルコール水溶液にカーボンを加えて混練するときに混合してもよい。この混練生成物が中間組成物となる。または、上記のとおり、その後の工程で鉛粉、リグニンなどを加えて混合するときにパーライトを混合してもよい。
本発明との比較用として作製した従来技術による表1のペーストNo.1は鉛粉200gとリグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gと表1に示す水と硫酸を、単純に混練したものであり、純硫酸として、8.1グラムを含有している。
このようにして作製したペーストを厚さ3.85ミリメートルの格子状集電体に充填して、その後、湿度98パーセント、温度45℃で24時間熟成し、その後、60℃で24時間乾燥して、未化成の負極板を形成した。以後、負極組成物であるペーストが格子集電体に充填され熟成・乾燥されたもの、さらには化成されたものを総称して負極活物質若しくは活物質又は負極板若しくは極板という。
<嵩密度の測定結果>
次に、負極組成物の特性を示すために、未化性の極板について、嵩密度を測定した。嵩密度の測定方法は後述する。
表1に従って作製したペーストNo.2〜12による負極活物質の11種類の嵩密度を表1に示す。従来の処方による比較ペースト(ペーストNo.1)による負極活物質の嵩密度が0.21ml/gであるのに対して、試験したペーストによる負極活物質の嵩密度は0.23から0.49ml/gである。概略的には嵩密度が3倍になれば、使用される鉛粉量は約1/3程度になる。これはパーライトが嵩高いことと、カーボンの吸油量が大きいために表1の嵩密度欄に示したように、ペーストNo.1と比較して嵩高い負極活物質となっていることを意味している。したがって、特許請求の範囲における嵩密度の下限値は、表1におけるカーボン量3g、パーライト3gに基づく嵩密度0.25ml/gとする。
この組成により、従来技術ペーストNo.1の活物質利用率を大きく上回る。ただし、さらに、これらの組成物量を増加し、嵩密度を上げてもよい、するとさらに利用率は向上する。
<化成>
表1の原料を含む組成物により作製された各ペーストを格子に充填し、上記のように乾燥まで行なった負極板1枚の両側に微細ガラス繊維セパレータを当接し、さらにその外側に1枚づつ正極板を当接した。なお、正極板は従来技術を用いたものである。このような構成とすることで、活物質の理論容量は正極が大過剰となり、目的とする本発明の負極活物質の利用率を評価できる。該極板群を電槽に挿入し、電槽と極板群の隙間はABS樹脂製スペーサで埋めた。電槽に比重1.223の希硫酸を注入して正極理論容量の300パーセントの電気量を流して化成をおこなった。化成後の電解液の比重は1.320とした。
<試験>
次に、活物質利用率の算出のために容量試験(放電試験)を行なった。容量試験は0.06アンペアー放電と6アンペアー放電の2種類とした。0.06アンペアー放電は約40時間率、6アンペアー放電は約10分間率放電に相当する。0.06アンペアー放電と6アンペアー放電のそれぞれの放電終止電圧はセル当たり、1.7ボルトと1.2ボルトとした。温度は25℃である。
前述したように、原料である鉛粉は主体が酸化鉛であるが、酸化されていない金属状態の鉛も含む。酸化鉛が電解液の硫酸と反応して、化成により活物質である鉛に変化する。このようにしてできた鉛が活物質とみなされている。すると、元来含まれていた金属鉛を活物質とみなすかどうかは議論の分かれるところである。ここでは、原料に元来含まれていた金属鉛も活物質となったとして、放電における活物質の利用率を計算した。
<利用率計算方法>
つまり、格子集電体に充填された鉛粉の重量をEとすると、
F=E×207/223×(1/3.866)
ここで、Fは鉛粉が化成によりすべて鉛に変化したと仮定した場合の容量、つまり理論容量であり、207は鉛の分子量、223は酸化鉛(PbO)の分子量であり、3.866は鉛がすべて放電して硫酸鉛に変化したと仮定した場合に、1アンペアーアワー(Ah)を放電するに必要な鉛量である。活物質の利用率(%)は、
活物質の利用率(%)=負極の放電容量(実測値)/F×100
として算出することができる。
本発明において化成後は全て鉛になるとして計算したが、実際には、鉛粉中に最初から存在した金属鉛が活物質として使用されるかどうかは不明であるので、前述した活物質の利用率を少なめに計算したこととなる。
<試験結果>
カーボン量をパラメータとして3g、9g、14gと変化させ、同一カーボン量でのパーライト量変化時の、低率0.06アンペアー放電及び高率6アンペアー放電の負極活物質の利用率の測定及び計算結果を表2に示す。
なお、表2は表1により作製された負極活物質に対応する利用率データを表すもので、この表2をグラフ化したものを図1〜3に示す。


(1)カーボン量を3gとして、パーライト量を0g、3g、9g、14gと変化させた時の利用率を表2(ペーストNo.2〜5)及び図1のプロットに示す。
(2)カーボン量を9gとして、同様にパーライト量を0g、3g、9g、14gと変化させた時の利用率を表2(ペーストNo.6〜9)及び図2のプロットに示す。
(3)カーボン量を14gとして、パーライト量を0g、3g、9gと変化させた時の利用率を表2(ペーストNo.10〜12)及び図3のプロットに示す。(3)では、カーボン量を14gと多くしたのでパーライト量の上限は9gとしている。
なお、図1〜3において、利用率が高くグラフの上部に配列されるプロット(◆)は低率放電0.06アンペアー放電、また、利用率が低くグラフの下部に配列されるプロット(□)は高率放電6アンペアー放電である。これらは、本発明の活物質利用率に係るデータである。
図1〜3において黒丸(●)0.06アンペアー放電及び白丸(○)6アンペアー放電のプロットで表示される横軸のパーライト量0gが従来技術の比較ペーストNo.1である。
ここで、特記できる点は、図3のプロットにおいて本発明の負極組成物における極板の高率放電の利用率が従来技術の低率放電の利用率を超えていることである。図3の円で囲まれたプロットは、本発明の負極活物質の高率放電利用率及び従来技術の負極活物質の低率放電利用率である。これを参照すると本発明の負極組成物における極板では、従来技術における利用率が高い低率放電の利用率を超えた。常識では、低率放電利用率は高率放電利用率を上回る。
本発明の活物質利用率において図1〜3で示されるとおり、低率及び高率放電の利用率が共に従来技術のペーストNo.1の利用率を超えている(表2及び図1のカーボン3gにおける低率放電におけるパーライト量0gを除く。)。
低率、高率放電の利用率はカーボン14g、パーライト9gで最大値を示し、それぞれ約90%、50%超を示した。(表2と図3参照)。
低率及び高率放電ではカーボンが3gと14gの場合はパーライト量が増加するにつれて利用率も増加したが、図2のカーボン量が9gの低率放電ではパーライトが14gと多くなると利用率は若干低下した。しかし、従来の比較ペーストNo.1よりは高い値であった(表2及び図2参照)。
高率放電では、負極活物質の利用率はカーボン量14g、パーライト量9gでサンプル平均53.2%で利用率の最大値を示し、利用率が最大値の負極活物質の嵩密度は0.49ml/gであり、従来の比較ペーストNo.1の2.3倍の嵩密度であった(0.49/0.21=2.3)。
このときの本発明のペースト使用時、従来の比較ペーストNo.1使用時との利用率比は、53.2(本発明サンプル平均)/19(従来技術サンプル平均)=2.8であり、嵩密度比よりも利用率比が大きい(表1、表2及び図3参照)。
従来の製造方法処方よりなる比較ペーストNo.1と比較して、本発明のペーストによる活物質利用率は全体として、いずれも高い利用率となり、最も高い比率を示したのは、低率及び高率放電においてカーボン量14g、パーライト量9gである。
上記データにおいて、従来ペーストと比較した本発明のペーストでの活物質利用率(最大値)の比をこれらをサンプル平均の計算で示すと、
(1)低率放電:87.7(本発明)/47.3(従来)=1.9倍、
(2)高率放電:53.2(本発明)/19.0(従来)=2.8倍(前述)である。
本発明のペースト(No.2〜12)を使用したカーボン量3g、9g、14g毎の利用率のサンプル平均では、それぞれ低率放電、高率放電において、従来技術ペースト使用と比較して以下のようになる。
(3)58.7/47.3=1.2・・・(カーボン量3g、低率放電)
(4)70.7/47.3=1.5・・・(カーボン量9g、低率放電)
(5)80.0/47.3=1.7・・・(カーボン量14g、低率放電)
(6)30.3/19.0=1.6・・・(カーボン量3g、高率放電)
(7)43.7/19.0=2.3・・・(カーボン量9g、高率放電)
(8)50.1/19.0=2.6・・・(カーボン量14g、高率放電)
これらのデータにより、本発明の活物質は、低率放電でも優れるが、特に高率放電に好適であることが分かる。
なお、上記のデータは、ペーストNo.2〜9において、パーライト0g〜14gのサンプル平均、ペーストNo.10〜12においては、パーライト0g〜9gのサンプル平均である。
図4は表1と表2のデータを合成したもので、低率放電0.06アンペアーの時の全サンプルの嵩密度と利用率の関係を示す。プロット◆がカーボン3gで表1に従いパーライト量を変化したもの、同様に、■がカーボン9g、▲がカーボン14gであり、パーライト量を変化して嵩密度を変化させ利用率を変化させている。嵩密度が増加するにつれて、利用率が増加する傾向が明らかである。カーボン量14gが嵩密度0.49ml/gまで嵩密度と利用率との直線性が良い。
図5は表1と表2のデータを合成したもので、高率放電6アンペアーの時の全サンプルの嵩密度と利用率の関係を示す。プロット◆がカーボン3gで表1に従いパーライト量を変化したもの、同様に、■がカーボン9g、▲がカーボン14gであり、パーライト量を変化して嵩密度を変化させ利用率を変化させている。高率放電でも低率放電時と同様の傾向があることが分かった。
黒丸(●)のNo.1は、従来技術のペーストNo.1であり、嵩密度が小さく活物質利用率も低い。
図4、5から嵩密度が増加すると、利用率がほぼ直線的に増加することが分かる。
カーボンもパーライトも嵩を上げる効果があり、両者の効果を合わせて、嵩密度として整理できることを示している。
(A)従来技術の負極活物質利用率は、表2及び図1に示されるように、サンプルが低率放電でそれぞれ48.1%、46.5%、高率放電ではそれぞれ19.8%、18.2%である。
(B)本発明のカーボン量3g、パーライト量3gである嵩密度2.5×10−1ml/gにおける活物質利用率において表2及び図1示されるよう、サンプルが低率放電でそれぞれ52.2%、53.5%、高率放電ではそれぞれ25.3%、27.9%である。
(C)これらをサンプル平均で比較する。
(a)低率放電 52.9/47.3=1.12・・・(本発明/従来技術)
(b)高率放電 26.6/19.0=1.40・・・(本発明/従来技術)
<結論>
上記、(a)では、従来技術に比較して、活物質利用率が12%増
(b)では、従来技術に比較して、活物質利用率が40%増
本発明の負極組成物におけるカーボン及びパーライトの含有量が最小のものでも、活物質利用率の増分が、従来技術に比較して充分大きいため、嵩密度0.25ml/g(表1参照)を本発明の負極活物質の利用率を上げる嵩密度の好適値の下限値として特許請求の範囲を規定した。
上記の最低カーボン量3g、パーライト量3gにおいても、活物質利用率が、低率放電、高率放電で、それぞれ、12%、40%増加する。これは、とりもなおさず、鉛粉(鉛)量が、それぞれ、12%、40%減少することとなる。従来技術において、鉛量を1%減少させることも大変困難であるとされてきた。本発明において、圧倒的に鉛量を減少させることができることが判明した。
本発明では、従来技術に比較して、鉛量を低率放電で12倍、高率放電で40倍も削減できた。
この組成により、従来技術ペーストNo.1の活物質利用率を大きく上回る。ただし、さらに、これらカーボン量及び/又はパーライト量を増加し、嵩密度を上げてもよい、するとさらに利用率は向上する。
なお、図4、図5において回帰直線を描けば、嵩密度は、より好適には0.26ml/g以上、さらに、より好適には0.27ml/g以上、さらにさらに、より好適には0.32ml/g以上の範囲である。
表1−2は、パーライト量6gにおいてカーボン量を1g、3g、9g、14gと変化させた本発明のペーストを使用した嵩密度測定に係る試験結果データであり、ペーストNo.は、それぞれ29、30、31、32である。このペーストに対応する測定された嵩密度は、それぞれ0.25ml/g、0.28ml/g、0.37ml/g、0.45ml/gである。
図14は、表1及び表1−2のデータの基づきパーライト量(0g、3g、6g、9g、14gと変化させる。)をパラメータとして、カーボン量を最小1g〜最大14gまで離散的に変化させたときの嵩密度の変化を表したグラフである。ただし、パーライト14gとカーボン14gの組み合わせは存在しない。
図14において、プロット◆はパーライト0g、プロット■の(A)はパーライト3g、プロット●はパーライト6g、プロット▲はパーライト9g、プロット■の(B)はパーライト14gである。
なお、表1−2の嵩密度も同様に、ペーストを格子集電体に充填し熟成・乾燥したものを表10の方法により測定している。
図14において、嵩密度測定値のプロットを一定パーライト量毎の回帰直線により回帰している。この回帰直線により、各パーライト量(0g、3g、6gのみ使用)毎のそれぞれに対する嵩密度0.25ml/g、0.26ml/g、0.27ml/g、0.32ml/g(これらの嵩密度は、上記の「好適」、「より好適」、「さらに、より好適」、「さらにさらに、より好適」な値である。)におけるそれぞれのカーボン量を求めることができる。すなわち、回帰直線と縦軸の上記各嵩密度値の水平線との交点におけるカーボン量を求める。
図14は、上記の目的により作成された。図14において、
(1)パーライト量0g、3g、6gのそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.25ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ4.4g、3.1g、0.4gであり、
(2)同様にそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.26ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ5.0g、3.7g、1.0gであり、
(3)同様にそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.27ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ5.7g、4.4g、1.7gであり、
(4)さらに同様にそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.32ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ9.1g、7.7g、5.1gである。
この(1)〜(4)の値を以って表1−3を作成した。表1−3において、0.25〜0.32の数値は嵩密度(ml/g)であり、0.4〜9.1の数値は、カーボン量(g)である。
図15のグラフは表1−3のデータから作成したものであり、横軸であるX軸は、パーライト質量(g)、縦軸であるY軸はカーボン質量(g)である。
この図15のグラフにおけるプロットを回帰直線により回帰し、この回帰直線を1次式で表した関数がグラフ内に記載されている。
(1)プロット◆が嵩密度0.25ml/g
(2)プロット●が嵩密度0.26ml/g
(3)プロット■が嵩密度0.27ml/g
(4)プロット▲が嵩密度0.32ml/g
回帰直線の式は以下のとおり。
(1)嵩密度0.25ml/g:Y=−0.6667X+4.6333
(2)嵩密度0.26ml/g:Y=−0.6667X+5.2333
(3)嵩密度0.27ml/g:Y=−0.6667X+5.9333
(4)嵩密度0.32ml/g:Y=−0.6667X+9.3
上記のとおり、Yはカーボン質量(g)縦軸、Xはパーライト質量(g)横軸、定数は横軸のパーライト質量0gの縦軸Yのカーボン量である回帰直線のY軸切片値である。
嵩密度0.25ml/g以上を確保するには、グラフ内の回帰直線が表す線上の値を含み、かつ、回帰直線が表す線上の値を超える値の範囲内(すなわち、回帰直線上を含み同直線の上部の範囲)に存在するカーボン質量とパーライト質量の和(加算値)の質量を活物質原料に混合させればよい。
各嵩密度値については、上記(1)〜(4)の式により、各嵩密度値を満たす最少限のパーライト質量とカーボン質量が決定される。
上式(1)〜(4)を一般式で表し、Y=aX+bとすると、求めるカーボン量Y1、パーライト量X1の値は、
Y1≧Y、かつ、X1は、式:Y1=aX1+b式を満たすX1値である。
したがって、特許請求の範囲の嵩密度0.25ml/g以上を満たすには、上式の
(1)嵩密度0.25ml/g:Y=−0.6667X+4.6333を使用し、
嵩密度0.25ml/gを割り込まないようにY値を上げるべく、Xが乗算されるマイナスの定数の小数点第3位以下を切り捨て、プラス定数の小数点第2位を切り上げ、有効数値を2桁とし、式:Y=−0.6667X+4.6333を、
Y=−0.66X+4.7とした。
Y=−0.66X+4.7の式における、Y(カーボン量)、X(パーライト量)が活物質原料に対して、YとXの和(加算値)である(Y+X)質量パーセント以上含むという趣旨の内容を記載した。
すなわち、
金属酸化物を主体する活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して、“S”を“A”で除し、これに“100”を乗じた値で表される質量パーセント以上を含有させた混練物から成る。
なお、この表1−2の試験データは嵩密度の測定に留まり、利用率は測定していない。利用率については、図4及び図5の嵩密度変化に対する利用率の変化のグラフにおいて、嵩密度値が分かると利用率が推定(図4、5において回帰直線を作成)できるため、特に利用率の測定は行なわなかった。
表1に示した嵩密度を対比してわかるように、従来技術の比較ペーストNo.1の嵩密度は0.21ml/gであったのに対して、試験に供したNo.2〜12のペーストは0.23ml/g〜0.48ml/gと高い値を示した。つまり、カーボンとパーライトの活物質への添加により高い嵩密度となったことが、高い利用率に繋がったと判断される。
負極組成物の嵩密度が小さい場合には活物質が放電するのに必要な硫酸電解質を極板外からより多く供給する必要があるが、嵩密度が大きい場合は、組成物が多孔性となるため活物質の近傍に、より多くの硫酸電解液を保持できるため、より放電しやすくなるので、表2及び図1〜3に示すように高い利用率を示す結果となったものである。
利用率は電池のエネルギー密度を向上させるためには、絶対に必要な項目である。また、利用率が高ければ、電池の活物質原料(鉛粉)を少なくすることができるので、コストダウンとしての意味も大きなものがある。さらに、鉛蓄電池の重量を減ずることが可能となる。
実施例2では、負極組成物を製造するにあたり、パーライトに替えて同様のシリカ多孔体である珪藻土を添加した例で、実施例1と同様の添加材であるカーボン添加量をパラメータとして主に珪藻土添加量を変化させた場合の負極活物質利用率及び嵩密度の測定結果を説明する。
<試料の調製>
表3は、実施例2における試験に供した負極組成物(ペースト)を調製する際の成分組成及び量を示す一覧である。本発明の説明で称するペーストとは、これら負極組成物の成分を混練した後の、熟成・乾燥前のペースト状態の混練物を意味する。
表3において、鉛粉は一定量の200gとして、カーボン量をパラメータとして、3g、6g、9gと量を変え、同一カーボン量で珪藻土量を変化させ嵩密度を測定する。同一カーボン量において珪藻土量が多くなると嵩密度が大きくなっていき、また、同一珪藻土量においてカーボン量を多くすると嵩密度が大きくなる。
さらに、カーボン量及び珪藻土量が多くなるほど嵩密度が大きくなることが確認される。なお、カーボン量及び珪藻土量が多くなるにしたがって水の量も増加させる。これは、混練するカーボン量、珪藻土量が多くなるためでありポリビニルアルコールの量もカーボン量に連動して増加させる。
表3におけるペーストNo.1は、従来技術で製造されたものであり、実施例1における表1のペーストNo.1と同一である。ペーストNo.13〜23は本発明に係るペーストである。
表3−2及び表3−3については後述する。



<主たる原料の説明>
鉛粉は負極組成物の主たる構成物質である活物質原料であり、酸化度は約75から80パーセントである。カーボンには吸油量160ml/100gのアセチレンブラックを、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)は重合度2400を用いた。吸油量にはDBP吸油量を示す。これはカーボン100グラムあたりに吸液されるジブチルフタレートの量を示すものである。
珪藻土は微細な孔を有するシリカ多孔性物質で、これがペースト中で単独あるいは複数の片で空隙を形成することから、極板の嵩密度の向上に寄与できると考えた。また、シリカ多孔性物質であるが故に耐酸性や耐酸化性に優れている。ここでは、珪藻土として、ラヂオライト#300を用いた。負極板(負極組成物)の性状を示す要素として、嵩密度及び活物質利用率の関係を調べた。嵩密度については表3に記載した。
<製造方法>
まず、ポリビニルアルコールを温度約90℃の温水で溶解し、溶解が完了した時点でポリビニルアルコールの濃度が6%程度の水溶液を製造する。溶解させている間は水分が蒸発しないように、溶解させる容器にラップなどのようなシートで容器の上部を覆う。
このポリビニルアルコール水溶液にカーボンを加えて30分間程度混練し、この混練生成物が中間組成物となる。その後、該混練物に鉛粉200gとリグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gを添加して25分間程度混練した後、珪藻土を添加し、さらに5分間程度混練を継続した。ただし、この30分間、25分間及び5分間程度の混練時間はおおよその目安であり、特に最後の5分間の混練は珪藻土の量により変動する。また、珪藻土の添加時期も前後してもよい。すなわち、珪藻土は、ポリビニルアルコール水溶液にカーボンを加えて混練するときに混合してもよい。この混練生成物が中間組成物となる。または、上記のとおり、その後の工程で鉛粉、リグニンなどを混合するときに珪藻土を混合してもよい。
本発明との比較用として作製した従来技術によるペーストNo.1は、鉛粉200gとリグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gと表3に示す水と硫酸を、単純に混練したものであり、純硫酸として、8.1グラムを含有している。
このようにして作製したペーストを厚さ3.85ミリメートルの格子状集電体に充填して、その後、湿度98パーセント、温度45℃で24時間熟成し、その後、60℃で24時間乾燥して、未化成負極板を形成した。以後、負極組成物であるペーストが格子集電体に充填され熟成・乾燥されたもの、さらには化成されたものを総称して負極活物質若しくは活物質又は負極板若しくは極板という。
<嵩密度の測定結果>
次に、負極組成物の特性を示すために、未化性の極板について、嵩密度を測定した。嵩密度の測定方法は、実施例1と同様であり後述する。
表3の組成物により作製したペーストNo.13〜23の嵩密度を表3に示す。従来の処方による比較ペーストNo.1の嵩密度が0.21ml/gであるのに対して、試験したペーストの嵩密度は最低0.26ml/gから最高0.40ml/gである。
<化成>
表3により作製された各ペーストを格子に充填した負極板1枚の両側に微細ガラス繊維セパレータを当接し、さらにその外側に1枚づつ正極板を当接した。なお、正極板は従来技術を用いたものである。このような構成とすることで、活物質の理論容量は正極が大過剰となり、目的とする本発明の負極活物質の利用率を評価できる。該極板群を電槽に挿入し、電槽と極板群の隙間はABS樹脂製スペーサで埋めた。電槽に比重1.223の希硫酸を注入して正極理論容量の300パーセントの電気量を流して化成をおこなった。化成後の電解液の比重は1.320とした。
<試験>
次に、利用率を算出するために容量試験(放電試験)を行なった。容量試験は0.06アンペアー放電と6アンペアー放電の2種類とした。0.06アンペアー放電は約40時間率、6アンペアー放電は約10分間率放電に相当する。それぞれの放電終止電圧はセル当たり、1.7ボルトと1.2ボルトとした。温度は25℃である。
<利用率の測定及び計算結果>
0.06アンペアーと6アンペアー放電の負極活物質利用率(%)を表4及び図6に示す。


図6において、横軸の珪藻土量が0gである利用率は比較ペーストNo.1の活物質利用率(%)値(低率放電:プロット●、高率放電:プロット○)を示す。
図6は表4のデータをグラフ化したものであり、表4は表3の組成物成分表に従い各カーボンの質量(g)において珪藻土の質量(g)を変化させたときの活物質利用率(%)を示す。
表3は、
(1)カーボン量3gでは、珪藻土量を4g〜20g(ペーストNo.13〜16)、
(2)カーボン量6gでは、珪藻土量を4g〜14g(ペーストNo.17〜19)、
(3)カーボン量9gでは、珪藻土量を4g〜14g(ペーストNo.20〜22)と変化させ、
(4)カーボン量6gで、珪藻土量を9g(ペーストNo.23)で量を固定し、硫酸1.3g含有させた場合の嵩密度(ml/g)測定結果を示す。
表4は、表3の嵩密度を発生させた原因となる上記(1)〜(4)のカーボン量と珪藻土量に対応する活物質利用率を示す。
このときの負極活物質の利用率グラフを図6に示す。なお同図において、利用率が高くグラフの上部に配列されるプロット(カーボン3g:◇、カーボン6g:□、カーボン9g:△において、それぞれ珪藻土量(横軸)を変化している。)は、低率0.06アンペアー放電である。
また、利用率が低くグラフの下部に配列されるプロット(カーボン3g:◇、カーボン6g:□、カーボン9g:△において、それぞれ珪藻土量(横軸)を変化している。)は、高率6アンペアー放電である。
なお、表4及び図6においては、上記(3)のカーボン量9gにおける0.06アンペアーの低率放電では、珪藻土量9gまで活物質利用率測定結果を示している。
本発明の負極組成物における活物質利用率は、同一カーボン量では珪藻土量を多くすると利用率が向上し、同一珪藻土量ではカーボン量を多くすると利用率が向上し、両者を多くすることで、さらに利用率が向上した。いずれの利用率においても従来技術のペーストNo.1の利用率よりは高い数値を示した。
(1)低率放電の利用率において、カーボン量9g、珪藻土量9gで最大値86.0%を示した。
また、高率放電の利用率も低率放電の利用率と同様の増加傾向を見せ、
(2)高率放電の利用率において、カーボン量9g、珪藻土量14gで最大値43.5%を示した。
さらに、高率放電時の利用率では、カーボン量9gにおいて珪藻土量の変化によらず、ほぼ一律高い値を示した。カーボン量が多い9gでは、珪藻土量が4gと少ない段階から利用率40%程度で珪藻土量14gまで微増する。
高率放電時の利用率で、カーボン量が3g、6gでは、珪藻土量の増加に応じて単調増加し、珪藻土量が前記カーボン量に対して、それぞれ20g、14gで利用率が最大となる。
なお、利用率の計算は実施例1と同一である。
<利用率の従来ペーストとの比較>
低率放電及び高率放電において、従来ペーストNo.1を使用した活物質利用率と、本発明のペーストNo.13からNo.23を使用した活物質利用率を比較する。
上記データで、本発明のカーボン量9g、珪藻土量9g(低率放電時データ)、カーボン量9g、珪藻土量14g(高率放電時データ)において、従来ペーストと比較した本発明の活物質利用率の比を、これらをサンプル平均の計算で示すと、
(3)低率放電:83.7(本発明)/47.3(従来)=1.8倍、
(4)高率放電:43.0(本発明)/19.0(従来)=2.3倍、である。
なお、従来技術の負極活物質(比較ペーストNo.1から成る)の利用率は珪藻土量0gの軸に示される(図6における低率放電:プロット●、高率放電:プロット○)。
<考察>
(A)低率放電利用率は、珪藻土量が増加するにつれて単調増加し、
(a)カーボン量3g、珪藻土量20gのサンプル平均で77.2%、
(b)カーボン量6g、珪藻土量14gのサンプル平均で79.4%、
(c)カーボン量9g、珪藻土量9gのサンプル平均で最大値83.7%を示した。
(B)高率放電利用率、はカーボンが3gと6gの場合は珪藻土量が増加するにつれて単調利用率は増加し、
(d)カーボン量3g、珪藻土量20gのサンプル平均で35.7%、
(e)カーボン量6g、珪藻土量14gで、サンプル平均で39.7%を示した。
(f)さらにカーボン量が多い9gでは珪藻土が少ない段階から約40%という高い利用率を示し、珪藻土量14gにおいて最大値43.0%を示した。
前述のとおり、低率放電において利用率の最大値はカーボン量9g、珪藻土量9gであり、この組成の嵩密度は0.37ml/gであり、従来の比較ペーストNo.1の約1.8倍(=0.37/0.21)の嵩密度であった(表3、表4参照)。これは前述の利用率比1.8倍と同程度である。
また、高率放電において利用率の最大値はカーボン量9g、珪藻土量14gであり、この組成の嵩密度は0.40ml/gであり、従来の比較ペーストNo.1の1.9倍(=0.40/0.21)の嵩密度であった(表3、表4参照)。これは前述の利用率比2.3倍より小さい。
これは、高率放電では、嵩密度の増加(0.37から0.40)に対する活物質利用率の増加率が大きいことを示し、本発明の負極組成物は高率放電に好適であるこ判断される。
表3に示した嵩密度を対比してわかるように、従来技術の比較ペーストNo.1の嵩密度は0.21ml/gであったのに対して、試験に供した本発明のペーストNo.13〜23のペーストは0.26ml/gから0.40ml/gと高い値を示した。つまり、カーボンと珪藻土により高い嵩密度となったことが、高い利用率に繋がったと判断される。
嵩密度が小さい場合には活物質が放電するのに必要な硫酸電解質を極板外からより多く供給する必要があるが、嵩密度が大きい場合は、組成物の多孔度が上がり、活物質の近傍に、より多くの硫酸電解液を保持できるため、より放電しやすくなり、表4及び図6に示すように高い利用率を示す結果となったものである。
カーボンや珪藻土を鉛粉に適量添加することにより、鉛粉単独に比較して負極組成物の嵩密度が高くなり吸油量が増加し、これらの添加物が硫酸電解液を多く保持し、この添加物の近傍に存在する活物質に希硫酸を容易にかつ迅速に供給できる。
したがって、本発明の負極組成物において生成される活物質は低率放電よりも高率放電において特に高性能を発揮する。これらの理論は、実施例1の結果についても同様である。また、実施例1と同様に活物質利用率も向上する。
図7、図8は、それぞれ低率放電0.06A、高率放電6A時の嵩密度(ml/g)に対する負極活物質利用率(%)の変化をグラフ化したものであり、表3及び表4のデータを合成して作成されたものである。いずれのカーボン量においても、珪藻土含有量が増加すると嵩密度が高くなっている。
両図において、○印で表わしたプロットが従来技術のペーストNo.1であり、図7において、プロット◆はカーボン量3gで珪藻土量を4g、9g、14g、20gと変化させたもの、プロット□はカーボン量6gで珪藻土量を4g、9g、14gと変化させたもの、プロット△はカーボン量9gで珪藻土量を4g、9gと変化させたものである。
図8においては、プロット◆はカーボン量3gで珪藻土量を4g、9g、14g、20gと変化させたもの、プロット□はカーボン量6gで珪藻土量を4g、9g、14gと変化させたもの、プロット△はカーボン量9gで珪藻土量を4g、9g、14gと変化させたものである。また、図7及び図8において前記のとおりプロット*印は、カーボン量6gで珪藻土量9gにおいて微量硫酸(1.3g)を含むものである。
<従来技術との比較>
ここで、従来技術ペーストNo.1と本発明の活物質利用率の比較をする。まず、表3における本発明の最も嵩密度が小さい2.6×10−1ml/gのペーストNo.13(カーボン3g、珪藻土4g)との比較である。これもサンプル平均で以下のとおりである。
(A)低率放電利用率比 64.6/47.3=1.37
(B)高率放電利用率比 22.3/19.0=1.17
<結論>
上記、(A)では、従来技術に比較して、活物質利用率が37%増
(B)では、従来技術に比較して、活物質利用率が17%増
上記、本発明の活物質利用率は、低率、高率放電ともに表4のカーボン3g、珪藻土4gの活物質利用率を参照(低率65.3%、63.9%、高率21.9%、22.6%)。
本発明の活物質利用率の増分が、従来技術に比較して充分大きいため、嵩密度0.26ml/g(表3参照)を本発明の負極活物質の利用率を上げる嵩密度の好適値の下限値として特許請求の範囲に規定した。
上記の最低カーボン量3g、最低珪藻土量4gにおいても、活物質利用率が、低率放電、高率放電で、それぞれ、37%、17%増加する。これは、とりもなおさず、鉛粉(鉛)量が、それぞれ、37%、17%減少することとなる。従来技術において、鉛量を1%減少させることも大変困難であるとされてきた。本発明において、圧倒的に鉛量を減少させることができることが判明した。
本発明では、従来技術に比較して、鉛量を低率放電で37倍、高率放電で17倍も削減できた。
この組成により、従来技術ペーストNo.1の活物質利用率を大きく上回る。ただし、さらに、これらカーボン量及び/又は珪藻土量を増加し、嵩密度を上げてもよい、するとさらに利用率は向上する。
なお、図7、8において回帰直線を描けば、嵩密度は、より好適には0.29ml/g以上、さらに、より好適には0.32ml/g以上の範囲である。
表3−2は、珪藻土量6.5gにおいてカーボン量を2g、3g、6g、9gと変化させた本発明のペーストを使用した嵩密度測定に係る試験結果データであり、ペーストNo.は、それぞれ33、34、35、36である。このペーストに対応する測定された嵩密度は、それぞれ0.26ml/g、0.27ml/g、0.31ml/g、0.35ml/gである。
図16は、表3及び表3−2のデータの基づき珪藻土量(4g、6.5g、9g、14g、と変化させる。)をパラメータとして、カーボン量を最小2gから最大9gまで離散的に変化させたときの嵩密度の変化を表したグラフである。
なお、表3−2の嵩密度も表1、表1−2及び表3と同様に、ペーストを格子集電体に充填し熟成・乾燥したものを表10の方法により測定している。
図16において、嵩密度測定値のプロットを一定珪藻土量毎の回帰直線により回帰している。この回帰直線により、各珪藻土量(4g、6.5g、9gのみ使用)毎のそれぞれに対する嵩密度0.26ml/g、0.29ml/g、0.32ml/gにおけるそれぞれのカーボン量を求めることができる。
図17は、上記の目的により作成された。図16において、
(1)珪藻土量9g、6.5g、4gのそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.26ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ0.7g、1.9g、3.0gであり、
(2)同様に上記それぞれの回帰直線が、嵩密度0.29ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ3.1g、4.3g、5.3gであり、
(3)さらに同様にそれぞれの回帰直線が、嵩密度0.32ml/gの値の横ラインと交差するカーボンの量は、それぞれ5.4g、6.6g、7.7gである。
この(1)〜(3)の値を以って作成した表3−3をグラフ化したものが図17のグラフであり、このグラフにおけるプロットを回帰直線により回帰し、この回帰直線を1次式で表した関数がグラフB内に記載されている。この式は以下のとおり。
(1)嵩密度0.26ml/g:Y=−0.46X+4.8567
(2)嵩密度0.29ml/g:Y=−0.44X+7.0933
(3)嵩密度0.32ml/g:Y=−0.46X+9.5567
ここで、Yはカーボン量(g)縦軸、Xは珪藻土量(g)横軸、定数は横軸珪藻土量が0gの縦軸のカーボン量である回帰直線切片値である。
嵩密度0.26ml/g以上を確保するには、グラフB内の回帰直線が表す線上の値を含み、かつ回帰直線が表す線上の値を超える値の範囲内(すなわち、回帰直線上を含み同直線の上部の範囲)に存在するカーボン質量と珪藻土質量の和(加算値)の質量を活物質原料に混合させればよい、
各嵩密度値については、上記(1)〜(3)の式により、各嵩密度値を満たす最少限の珪藻土質量とカーボン質量が決定される。
上式(1)〜(3)を一般式で表し、Y=aX+bとすると、求めるカーボン量Y1、珪藻土量X1の値は、
Y1≧Y、かつ、X1は、式:Y1=aX1+b式を満たすX1値である。
したがって、特許請求の範囲の嵩密度0.26ml/g以上を満たすには、上式の
(1)嵩密度0.26ml/g:Y=−0.46X+4.856を使用し、
嵩密度0.26ml/gを割り込まないようにY値を上げるべく、プラス定数の小数点第2位を切り上げ、有効数値を2桁とし、式:Y=−0.46X+4.856を、
Y=−0.46X+4.9とした。
Y=−0.46X+4.9の式における、Y(カーボン量)、X(珪藻土量)が活物質原料に対して、YとXの和(加算値)である(Y+X)質量パーセント以上含むという趣旨の内容を記載した。
すなわち、
金属酸化物を主体する活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して、“S”を“A”で除し、これに“100”を乗じた値で表される質量パーセント以上を含有させた混練物から成る。
表3のペーストNo.13において、上記の式を検証する。
Y=−0.46×4+4.9 Y=3.06となる。
この値は、ペーストNo.13のカーボン量3gと試験データのバラツキの範囲内において一致する。
なお、この試験データは嵩密度の測定に留まり、利用率は測定していない。利用率については、図7及び図8の嵩密度変化に対する利用率の変化のグラフにおいて、嵩密度値が分かると利用率が推定(図7、8において回帰直線を作成)できるため、特に利用率の測定は行なわなかった。
表3の組成物成分の中に硫酸1.3gを含有したペーストNo.23がある。これは、カーボン量6g、珪藻土量9gであり、硫酸無しのカーボン量6g、珪藻土量9gのペーストNo.18と同等な嵩密度を有し、利用率においても低率、高率放電ともに同等の性能を有している。表3、表4、図6〜図8を参照。
ペーストNo.23は、図6において低率放電ではプロット×印、図6において高率放電ではプロット*印、低率放電である図7及び高率放電である図8においてはプロット*印で示される。
ペーストNo.23のプロットは、図6においては、ペーストNo.18のカーボン量6g、珪藻土量9gであるプロット□(横軸珪藻土量9gの位置)、図7及び図8において、横軸の嵩密度が0.33ml/gであるペーストNo.18のプロット□印と重なっている。
前述のとおり、図6において、プロット×印及び*印が微量硫酸含有、プロット◇、□、△印が硫酸無しのペーストである。図7及び図8においては、プロット*印が微量硫酸含有、プロット◆、□、△印が硫酸無しのペーストである。
ペーストNo.23及びペーストNo.18共にカーボン量及び珪藻土量が同一の組成で構成される。硫酸含有量が微少であると、硫酸が活物質に悪い影響を与えていないと考察される。
負極板製造上の理由から硫酸を含有させたいという何らかの事情がある場合、本発明のデータが示す硫酸量1.3g程度の微量を含有させることができることが確認された。
負極組成物として活物質原料にカーボン及び珪藻土を含み、硫酸を含まない、この実施例2における表3のペーストNo.15(硫酸を含有せず)と同一のカーボン量及び珪藻土量を活物質原料に含有する組成物に硫酸を少し含ませたペーストを作製し、硫酸を含まないペーストNo.15と対比し、硫酸を含有した場合の活物質利用率への影響を試験するため、表5の組成を考えた。
表5の組成物成分の中に表3のペーストNo.15であるカーボン量3g、珪藻土量14gのペーストと同一の組成において、硫酸量2.9g、5.0g含有したそれぞれペーストNo.24、25がある。
表6に表5の組成による活物質利用率を示す。
表6及び表6をグラフ化した図9により利用率を確認すると、硫酸を含まないものより硫酸を多く含ものは利用率が低く、かつ、硫酸含有量の増加により利用率の減少が見られる。硫酸量が5.0g以下では、従来技術ペーストの利用率より向上しているる。
図9において、本発明は、プロット◆が低率放電、■が高率放電である。
従来技術ペーストNo.1は、低率放電プロット●、高率放電プロット○で示される。
活物質原料に含有される硫酸の上限値を算出すると次のとおりとなる。
硫酸の分子量は98であり、この硫酸は5g含有される。したがって、硫酸のモル数は、
5(g)/98=0.051。鉛粉200gは、酸化鉛150g〜160gと金属鉛50g〜40gの混合物であるから、モル割合は以下の式で計算される。
(1)(5/98)/(150/223+50/207)=0.0558
(2)(5/98)/(160/223+40/207)=0.0560
この平均値は、0.0559となる。したがって、平均値として、0.056とする。
つまり硫酸が、活物質原料1モルに対して5.6×10−2モル以下であれば、従来よりも高い利用率となる。すなわち、硫酸の含有量は5.6モル%以下であればよい。


実施例1では、カーボン単独又はカーボンとパーライト、実施例2では、カーボンと珪藻土で負極板の嵩密度を上げたが、珪藻土のみの効果を評価するために、実施例3では表7に示される主たる負極組成物での試験を行なった。
表7は試験に供した各負極ペーストの組成物一覧であり、各ペーストの嵩密度も記載している。
表7において、全てのペーストはカーボンを含有しない。No.1のペーストは従来技術であり、他の実施例で使用されたものと同一である。ペーストNo.26〜No.28は珪藻土量を離散的に3g〜17gまで変化させた本発明のペーストである。このペーストは、活物質利用率に影響を与えることがない程度に実施例2で確認された微量1.3gの硫酸を含有させた。


<主たる原料の説明>
鉛粉は活物質の主たる構成物質で、酸化度は約75から80パーセントである。珪藻土として、ラヂオライト#300を用いた。
<製造方法>
鉛粉200gと、リグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gに水および微量の硫酸を添加して40分間混練した後、珪藻土を添加し、さらに5分間混練を継続した。ただし、この5分間混練はおおよその目安であり、珪藻土の量により調整する。また、珪藻土の添加時期も前後してもよい。すなわち、珪藻土を最初から混合してもよい。
本発明との比較用として作製した従来技術によるペーストNo.1は、鉛粉200gと、リグニン1.2g、硫酸バリウム2gおよびカットファイバー0.3gと表7に示す水と硫酸を、単純に混練したものであり、純硫酸として、8.1グラムを含有している。
このようにして作製したペーストを厚さ3.85ミリメートルの格子状集電体に充填して、その後、湿度98パーセント、温度45℃で24時間熟成し、その後60℃で24時間乾燥して負極未化板を形成した。
<化成>
この負極板1枚の両側に微細ガラス繊維セパレータを当接し、さらにその外側に1枚づつ従来技術の正極板を当接した。このような構成とすることで活物質の理論容量は正極が大過剰となり、目的とする負極の利用率を評価できる。
該極板群を電槽に挿入し、電槽と極板群の隙間はABS樹脂製スペーサで埋めた。電槽に比重1.223の希硫酸を注入して、正極理論容量の300パーセントの電気量を流して、化成を行なった。化成後の電解液の比重は1.320とした。
<試験>
次に、容量試験(放電試験)を行なった。容量試験は0.06アンペアー放電と6アンペアー放電の2種類とした。0.06アンペアー放電は約40時間率相当、6アンペアー放電は約10分間率相当の放電である。それぞれの放電終止電圧はセル当たり、1.7ボルトと1.2ボルトとした。温度は25℃である。
0.06アンペアー放電及び6アンペアー放電の活物質利用率、容量を、それぞれ表8及び図10、表9及び図11に示す。表8内の数値は活物質利用率であり、単位は%、表9内の数値は鉛蓄電池容量であり、単位はAh(アンペアーアワー)である。



図10において、横軸の珪藻土量が0g(低率放電:プロット●、高率放電:プロット○)である活物質利用率は比較ペーストNo.1の値を示す。本発明の利用率は、低率放電:プロット◆、高率放電:プロット■で表している。
図10は表8をグラフ化したものであり、表7に従い珪藻土量を変化させたものである。
本発明においては、
(1)珪藻土量3g
(2)珪藻土量9g
(3)珪藻土量17gと変化させる。
このときの負極活物質の利用率を表8及び図10に示す。
なお、図10において利用率が高くグラフ上部に配列されるプロット◆は低率0.06アンペアー放電、また、利用率が低くグラフ下部に配列されるプロット■は高率6アンペアー放電である。
低率及び高率放電の利用率は、珪藻土量の増加と共に増加傾向にあり、特に高率放電時においては、珪藻土量3g以上で従来技術のペーストNo.1の利用率よりは高い数値を示した。
この珪藻土含有質量を鉛粉質量に対するモル割合で示すと、
珪藻土のモル数=3g(珪藻土含有量)/60(珪藻土分子量)=0.05モル
ここで、3gは珪藻土含有量、60は二酸化ケイ素(珪藻土)の分子量である。
高率放電時において、鉛粉200gに対する珪藻土の添加量、活物質利用率を示す表8及び図10(図10は表8のデータにより作成)、鉛蓄電池容量を示す表9及び図11(図11は表9のデータにより作成)の結果より、珪藻土量3g以上であれば本発明の活物質利用率及び容量を比較ペーストNo.1よりも高くできる。
鉛粉200gは、酸化鉛150g〜160gと金属鉛50g〜40gの混合物であるから、それぞれの珪藻土の鉛粉に対するモル割合は、下記2式を計算して平均する。
(1)(3/60)/(150/223+50/207)=0.0547
(2)(3/60)/(160/223+40/207)=0.0549
ただし、223は酸化鉛の分子量、207は金属鉛の分子量である。したがって、鉛粉に対する珪藻土のモル数を百分率で表すと、
(3)鉛粉の酸化鉛含有率が75%の場合、5.47モル%、
(4)鉛粉の酸化鉛含有率が80%の場合、5.49モル%、となり、
(5)2値を平均すると、5.48モル%。
つまり、珪藻土は鉛粉に対して、5.5モルパーセント以上添加すれば、高率放電において比較ペーストNo.1よりも高い活物質利用率と鉛蓄電池容量を発揮できるということである。
このモル割合5.5モル%は、本発明の試験において約10分間率相当の高率放電時に適用できる。最近の電池容量の評価傾向は、極めて短時間大容量放電特性が求められ、インターネットの急速な発展から、停電時バックアップ電源としてデータセンタに使用される。
表7(嵩密度測定結果)及び表8(利用率測定結果)の合成から生成された図12、13には、それぞれ低率放電、高率放電の嵩密度変化に対する利用率の変化が示される。嵩密度すなわち、珪藻土量が増加するにしたがって活物質利用率が向上している。
図12、13の各プロットにおいて、◇が本発明の組成物に係るペーストであり、●がペーストNo.1に係る利用率を示す。
<従来技術との比較>
ここで、従来技術ペーストNo.1と本発明の活物質利用率の比較をする。これは、表7における本発明の嵩密度が2.4×10−1ml/gのペーストNo.27である珪藻土質量9g含有との比較であり、ペーストNo.27は、活物質原料に対し、珪藻土質量が4.5質量パーセント(9g/200g=0.045)である。
表8の活物質利用率(%)のサンプル平均で以下のとおりである。
(A)低率放電 51.2/47.3=1.10
(B)高率放電 25.7/19.0=1.35
<結論>
上記、(A)では、従来技術に比較して、活物質利用率が10%増
(B)では、従来技術に比較して、活物質利用率が35%増
本発明の活物質利用率は、表8の珪藻土9gの活物質利用率が、低率放電において、2サンプル、52.3%、50.1%。高率放電において、2サンプル、25.5%、25.8%である。
上記のとおり本発明の活物質利用率の増分が、従来技術に比較して充分大きいため、嵩密度0.24ml/g(表7参照)を本発明の負極活物質の利用率を上げる嵩密度の好適値の下限値として特許請求の範囲に規定した。
また、ペーストNo.27の嵩密度0.24ml/gは、表7により珪藻土量9g、鉛粉200gであり、鉛粉量に対する珪藻土量の割合は、9g/200g=0.045(=4.5%)となる。したがって、本発明の負極活物質の利用率を上げる珪藻土含有量の好適値の下限値として、4.5質量パーセントを特許請求の範囲に規定した。
活物質利用率が、10%増加したということは、鉛粉(鉛)量が10%減少することを意味する。従来、鉛蓄電池の製造原価低減のため、鉛量を1%減少させるという、涙ぐましい努力もあったともいわれている。この例では、従来より10倍の鉛量を減少させたことを意味する。したがって、本発明により、如何に鉛量が減少できたかが理解できる。
本発明の活物質利用率は、従来技術のペーストNo.1の活物質利用率を大きく上回り、電池容量においても上回って高性能化されたことを確認できた。
嵩密度あたり、カーボンは鉛粉より廉価であり、質量あたり、珪藻土はカーボンよりさらに廉価であり、低コスト鉛蓄電池を実現できた。
また、本発明の各実施例において鉛量を大幅に減じることができた。従来、鉛蓄電池は取り扱いが簡単で、安全(リチウムイオン二次電池などと比較して火災の危険がない。)かつ大容量の蓄電池を提供してきたが重量が大きいことが最大の欠点であった。鉛蓄電池を大容量設備するデータセンタなどでは、床加重が問題が問題となっていた。
本発明においては、これら全てを解決し、上記のとおり理想的な鉛蓄電池を実現したものである。
実施例1、2では負極活物質に、カーボンとシリカ多孔体を添加して、混練物ペーストとすることで、該活物質の利用率は大幅に増加した。実施例3においては、珪藻土のみで活物質利用率を向上した。これら実施例1〜3の試験により、嵩密度を上げた多孔性物質は普遍的に活物質利用率の向上に大きく寄与することが判明した。本発明では該物質がカーボン、パーライトまたは珪藻土で有効であることを実証した。
鉛粉原料を減らせることはそのまま鉛蓄電池のコストの低減として有効であり、エネルギー密度を大幅に向上できることが判った。これにより、従来使用されていた鉛蓄電池の軽量化が可能であり、同時に、自動車ハイブリッド用鉛蓄電池としての可能性が明確となった。活物質利用率の大幅な向上が100年近くの間できなかったが、本発明によりそれが始めて可能となった。その工業的価値は極めて高いものである。
最後に、負極組成物の特性を示すために、未化性の極板について、嵩密度を測定した。嵩密度の測定方法を表10に示す。
未化成負極組成物の嵩密度は次式で算出される。
未化成負極組成物の嵩密度=未化成負極組成物の体積/未化成負極組成物の重量
=(D−B)/(C−A)

Claims (36)

  1. 金属酸化物を主体とする活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  2. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上であることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  3. 前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池用負極組成物。
  4. 前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池用負荷組成物。
  5. 金属酸化物を主体とする活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  6. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上であることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  7. 前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項5又は6に記載の二次電池用負極組成物。
  8. 前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項5又は6に記載の二次電池用負極組成物。
  9. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボンを含有せず珪藻土を含有した混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.4×10−1ml/g以上であることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  10. 金属酸化物を主体とする活物質原料に対し、カーボンを含有せず珪藻土を4.5質量パーセント以上含有する混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  11. 金属酸化物を主体とする活物質原料に対し、カーボンを含有せず珪藻土を5.5モルパーセント以上含有する混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  12. 金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボンを含有せずシリカ多孔体を含有する混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  13. 金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する混練物から成ることを特徴とする二次電池用負極組成物。
  14. 前記カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記シリカ多孔体とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項13に記載の二次電池用負極組成物。
  15. 前記カーボンと前記シリカ多孔体とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項13に記載の二次電池用負極組成物。
  16. 前記混練物に含有される前記シリカ多孔体はパーライト又は珪藻土であること特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の二次電池用負極組成物。
  17. 前記活物質原料に前記パーライト及び前記カーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該パーライトを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有する混練物から成ることを特徴とする請求項16に記載の二次電池用負極組成物。
  18. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、前記活物質原料に前記パーライト及び前記カーボンを含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上であることを特徴とする請求項16に記載の二次電池用負極組成物。
  19. 前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項17又は18に記載の二次電池用負極組成物。
  20. 前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項17又は18に記載の二次電池用負荷組成物。
  21. 前記活物質原料に前記珪藻土及び前記カーボンを含有し又は該カーボンを含有せず該珪藻土を含有し、該カーボンの含有質量がマイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される“0”を含む該カーボンの含有質量と“0”を含まない該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた混練物から成ることを特徴とする請求項16に記載の二次電池用負極組成物。
  22. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、前記活物質原料に前記カーボン及び前記珪藻土を含有する混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上であることを特徴とする請求項16に記載の二次電池用負極組成物。
  23. 前記カーボンを含む場合、該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項21又は22に記載の二次電池用負極組成物。
  24. 前記カーボンを含む場合、該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物に、前記活物質原料を混合して混練されて生成される混練物であることを特徴とする請求項21又は22に記載の二次電池用負極組成物。
  25. 前記混練物は、硫酸を含まず又は5.6モルパーセント以下の硫酸を含むことを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の二次電池用負極組成物。
  26. 請求項1〜25のいずれかに記載の二次電池用負極組成物を含む負極板を使用することを特徴とする二次電池。
  27. 金属酸化物を主体とする活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  28. 金属酸化物を主体とする活物質原料にパーライト及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス6.6×10−1に該パーライトの含有質量を乗算した値に4.7を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該パーライトの含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  29. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記パーライトとが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  30. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にパーライト及びカーボンを含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.5×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記パーライトとをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  31. 金属酸化物を主体とする活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  32. 金属酸化物を主体とする活物質原料に珪藻土及びカーボンを含有し、該カーボンの含有質量が、マイナス4.6×10−1に該珪藻土の含有質量を乗算した値に4.9を加算する一次式で表される関数が描く直線が表す値を含み、かつ、該直線が表す値を超える値の範囲において決定される該カーボンの含有質量と該珪藻土の含有質量の和の値“S”を該活物質原料の質量“A”に対して“S/A×100”質量パーセント以上を含有させた最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  33. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記珪藻土とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  34. 格子状集電体に充填され又はシート状集電体に塗布され、金属酸化物を主体とした活物質原料にカーボン及び珪藻土を含有する最終の混練物の乾燥後かつ未化成状態の嵩密度が2.6×10−1ml/g以上である二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は該カーボンと前記珪藻土とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  35. 金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料及び前記シリカ多孔体とが混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は前記カーボンをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
  36. 金属酸化物を主体とする活物質原料にカーボン及びシリカ多孔体を含有する最終の混練物から成る二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物であって、該中間組成物に対して前記活物質原料が混合され混練されて該最終の混練物が生成され、該中間組成物は前記カーボンと前記シリカ多孔体とをポリビニルアルコール水溶液で混練して生成された第1の混練物から成ることを特徴とする、二次電池用負極組成物を生成するための中間組成物。
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