JP7049739B2 - 鉛蓄電池、鉛蓄電池の正極板の製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池、鉛蓄電池の正極板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛蓄電池および鉛蓄電池の正極板の製造方法に関する。
鉛蓄電池は二次電池の中で最も歴史が長く、現代においても自動車やバックアップ電源等、様々な用途で必要とされている。近年注目されている再生可能エネルギーである太陽電池や風力発電を使ったマイクログリッドのシステムでも鉛蓄電池は使われている。特に車載用途の分野では、内燃機関を有する自動車のエンジン始動用バッテリーとして用いられており、ハイブリッドカーや電気自動車においても車内装置の駆動用電源として使用されている。従来の自動車では、エンジン始動用バッテリーは、エンジン始動からエンジン停止までの間は常時充電される使われ方であった。
近年では、環境問題及び燃費向上の観点から、充電電圧を低くした車両や、ブレーキ時に回生充電する車両、停車時にエンジンを停止させるアイドリングストップシステム(ISS:Idling Stop and Start)を採用した車両(ISS車)、充電制御車(マイクロハイブリッド車など)が普及している。ISS車や充電制御車の鉛蓄電池は、主に、部分充電状態(PSOC:Partial State Of Charge)で使用される。
また、ISS車や充電制御車では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるので、充電が不十分となることが多い。よって、これらの車両用の鉛蓄電池には、短時間の間にできるだけ多くの充電を行うことができる性能、即ち、充電受入れ性を向上させることが要求される。充電受入れ性を向上させる方法としては、電解液に硫酸アルミニウムを添加する方法が有効であるが、システム側が要求するエネルギーを全て充電するには不十分である。
また、充電受入れ性は、一般的に電池の容量が大きい方が良くなる。容量を大きくするためには電池のサイズを大きくするのが簡単であるが、価格が高くなる。価格の上昇を抑えて容量を大きくするための方策としては、活物質利用率の向上がある。
特許文献1には、活物質の利用率が高く、長寿命な鉛蓄電池を提供するために、シリカ粉末、ガラス繊維又はガラス粉末などの多孔質な物質の表面にアセチレンブラックやグラファイトなどの導電性物質を担持したものを、鉛蓄電池のペースト式正極板又はペースト式負極板に含有させることが記載されている。
特許文献2には、鉛蓄電池の正極活物質の利用率を向上させるために、カーボンを含む正極活物質材料に多孔質シリカ粒子を含有させて、化成前の正極活物質の嵩密度を大きくすることが記載されている。
しかし、特許文献1および2には、正極活物質と多孔質シリカ粒子とを含む鉛蓄電池の正極合剤であって、鉛粉と多孔質シリカ粒子と水を含む混練物の乾燥後に化成されたものについて、多孔質シリカ粒子の表面に存在するシラノール基の数と鉛粉との関係は記載されていない。
特開2000-251896号公報 WO2009/093464号パンフレット
本発明の課題は、正極活物質の利用率が高い、新規な鉛蓄電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は下記の構成(1)~(3)を有する鉛蓄電池を提供する。
(1)セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
(2)正極板は、正極活物質と、表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子とを含む正極合剤を備える。
(3)正極合剤に含まれる前記シラノール基の個数は、前記正極合剤1g当たり9.535×1016個未満である。
本発明の第二態様は、下記の構成(4)(5)を有する鉛蓄電池の正極板の製造方法を提供する。
(4)セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、正極板は、正極活物質と多孔質シリカ粒子とを含む正極合剤を有する、鉛蓄電池の正極板の製造方法である。
(5)鉛粉と、表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子と、を含む材料を、シラノール基の個数が鉛粉1g当たり1.228×1017個未満となるように、集電体に保持された状態にする材料保持工程と、この状態の鉛粉を正極活物質に変化させる化成工程と、を含む。
本発明によれば、正極活物質の利用率が高い、新規な鉛蓄電池が提供される。
実施例の試験で得られた、鉛蓄電池の容量増大率(%)と、正極合剤1g当たりのシラノール基の個数と、の関係を示すグラフである。 実施例の試験で得られた、鉛蓄電池の容量増大率(%)と、正極合剤形成用ペーストに含まれていた鉛粉1g当たりのシラノール基の個数と、の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[構成]
この実施形態の鉛蓄電池は、モノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一個の極板群が配置されている。各セル室に電解液が注入されている。
各極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
正極板は、正極合剤(正極活物質を含む合剤)が格子状基板(集電体)に保持されている正極基板と、正極基板から上側に突出する耳部とを有する。負極板は、負極合剤(負極活物質を含む合剤)が格子状基板(集電体)に保持されている負極基板と、負極基板から上側に突出する耳部とを有する。複数枚の正極板および負極板は、セパレータを介して交互に配置されている。積層体を構成する負極板の枚数Mは正極板の枚数Mよりも一枚多くても良いし、同じでも良い。
正極合剤は、正極活物質と多孔質シリカ粒子とを含む。多孔質シリカ粒子は、その表面にシラノール基(-SiOH)を有し、シラノール基の個数は、正極合剤1g当たり9.535×1016個未満である。
負極合剤は、従来品と同様の構成である。具体的には、負極活物質である鉛と、補強繊維などを含む。
負極板は袋状セパレータ内に収納されている。そして、負極板が入った袋状セパレータと正極板とを交互に重ねることで、正極板と負極板との間にセパレータが配置された状態となっている。なお、正極板を袋状セパレータ内に収納して、負極板と交互に重ねてもよい。
また、各極板群は、積層体の正極板および負極板をそれぞれ幅方向の別の位置で連結する正極ストラップおよび負極ストラップと、正極ストラップおよび負極ストラップからそれぞれ立ち上がる正極中間極柱および負極中間極柱を有する。正極ストラップおよび負極ストラップは、正極板および負極板の耳部をそれぞれ連結している。セル配列方向の両端のセル室に配置された正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ小片部を介して外部端子となる正極極柱および負極極柱が形成されている。
[製法]
実施形態の鉛蓄電池は、従来公知の方法によって、例えば以下の方法で製造することができる。
先ず、化成前の正極板を作製する際に用いる混練物として、鉛粉や補強繊維等の通常添加する材料と水に加えて、多孔質シリカ粒子を含む混練物を作製する。この混練物を作製する前に、添加する多孔質シリカ粒子の表面に存在するシラノール基の個数を把握し、混練物に含まれるシラノール基(-SiOH)の個数が鉛粉1g当たり1.228×1017個未満となるように、多孔質シリカ粒子の添加量を決定する。
多孔質シリカ粒子の表面に存在するシラノール基の個数は、カタログ値で把握するか、実際に測定することで把握する。シラノール量の測定方法としては、拡散反射フーリエ変換赤外分光法による方法、自然界の存在比率が少ないケイ素同位体で多孔質シリカ粒子をシラン処理した試料を作製し、この試料のケイ素同位体量をNMR等で定量する方法などが挙げられる。既にシラノール量が分かっている試料がある場合は、その試料を用いて滴定法で簡易的に測定する事もできる。シラノール量の測定に関する記述がある文献としては、例えば米国特許US6800413が挙げられる。
次に、作製された混練物を集電体の格子状基板に充填した後に乾燥することで、化成前の正極板を得、得られた化成前の正極板と、通常の方法で作製された化成前の負極板と、セパレータと、を用いて、化成前の積層体を作製する。
つまり、実施形態の正極板の製造方法では、「鉛粉と、表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子と、を含む材料を、シラノール基の個数が鉛粉1g当たり1.228×1017個未満となるように、集電体に保持された状態にする材料保持工程」として、「シラノール基(-SiOH)の個数が鉛粉1g当たり1.228×1017個未満となるように、多孔質シリカ粒子が添加された正極合剤用混練物」を、集電体の格子状基板に充填した後に乾燥する工程を行う。
次に、化成前の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、正極板の耳部同士を接続した正極ストラップおよび負極板の耳部同士を接続した負極ストラップを形成するとともに、正極中間極柱、負極中間極柱、正極極柱および負極極柱を形成する。それらを形成した後、前記積層体を電槽の各セル室に配置する。
次に、隣接するセル室の正極中間極柱同士または負極中間極柱同士を抵抗溶接することで、隣接するセル間を電気的に直列に接続する。次に、電槽の上面と蓋の下面とを熱で溶かして蓋を電槽に載せ、熱溶着により電槽に蓋を固定する。なお、蓋を電槽に載せる際に、正極極柱および負極極柱を蓋にインサート成型されたブッシングの貫通穴に通す。その後、ブッシングの貫通孔からそれぞれ突出した状態の正極極柱および負極極柱をバーナー等で加熱しブッシングと一体化させることで、正極端子および負極端子を形成する。
その後、蓋を貫通する穴として設けた注液孔からセル室内に、電解液(硫酸に硫酸アルミニウムを添加することでアルミ二ウムイオンを含んでいる)を注入した後、注液孔を塞ぐことなどの通常の工程を行うことにより、鉛蓄電池の組み立てを完成させる。その後、通常の条件で電槽化成を行うことで鉛蓄電池が得られる。
この電槽化成により、集電体に保持された状態の鉛粉が正極活物質に変化し、正極合剤に含まれるシラノール基の個数が、正極合剤1g当たり9.535×1016個未満となる。
[作用、効果]
正極合剤が多孔質シリカ粒子を含むことで、正極合剤中の鉛の密度が低下するとともに、多孔質シリカ粒子が有する多数の孔の存在により正極合剤の比表面積が大きくなる。ただし、多孔質シリカ粒子の表面に存在するシラノール基(-SiOH)は、電解液と反応して電解液の移動を阻害する作用を有する。よって、シラノール基(-SiOH)の個数を少なくする必要があり、本発明者らは、その個数を正極合剤1g当たり9.535×1016個未満とすることで、正極合剤に多孔質シリカ粒子を含まない場合よりも、正極活物質の利用率を高くできることを見出した。
この実施形態の鉛蓄電池によれば、正極合剤に含まれるシラノール基の個数が正極合剤1g当たり9.535×1016個未満であるため、これを満たさないものよりも正極活物質の利用率が高くなり、充電受入性が向上する。
[多孔質シリカ粒子の粒径について]
使用する多孔質シリカ粒子の粒径は、正極活物質の細孔径よりも少し大きい程度であることが好ましい。多孔質シリカ粒子の粒径が正極活物質の細孔径よりも大きすぎると、多孔質シリカ粒子が、正極活物質内でのイオンの移動および電子の伝導を阻害する。多孔質シリカ粒子の粒径が正極活物質の細孔径よりも小さいと、正極活物質の細孔内に入り込んで細孔内の電解液保持量を減少させるとともに、細孔内のイオン移動を阻害する。つまり、多孔質シリカ粒子の粒径が正極活物質の細孔径よりも大きすぎても小さくても、電池性能に悪影響を及ぼす。
鉛蓄電池の正極活物質の細孔径は1μm以下であるため、使用する多孔質シリカ粒子の粒径は、1μm以上20μm以下の範囲であることが望ましい。
[多孔質シリカ粒子が天然由来の場合]
多孔質シリカ粒子としては、合成シリカ粒子や天然由来のものが使用できるが、天然由来の多孔質シリカ粒子は、鉛蓄電池の特性を悪化させる金属が吸着している可能性があるため、事前に酸洗いをした上で使用することが望ましい。酸洗いをすることで、吸着サイトに吸着している金属イオンは水素イオンに置換され、金属イオンは洗浄に使われる酸性溶液中に移動する。
酸洗いの方法としては、例えば、管の中に多孔質シリカ粒子を充填し、その管の中に酸性溶液を通す方法や、酸性溶液の入ったタンクに多孔質シリカ粒子を入れ、撹拌後にろ過する方法がある。酸洗いに使用する酸性溶液としては、例えば、1モル/リットルの硫酸水溶液が使用できる。
鉛蓄電池の特性を悪化させる金属として代表的なものは鉄であり、自然界に豊富に存在することから、天然由来の多孔質シリカ粒子には鉄が含まれていることが多い。よって、天然由来の多孔質シリカ粒子を使用する場合は、酸洗いをすることにより、鉄の含有率が0.2%未満になっているものを使用することが望ましい。
〔試験電池の作製〕
実施形態の鉛蓄電池と同じ構造の鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.5の鉛蓄電池を作製した。具体的には、JIS D5301で規定されるB19サイズの鉛蓄電池であって、動作電圧が12Vの鉛蓄電池を作製した。
[正極板(化成前)の作製]
<No.1>
多孔質シリカ粒子として、WACKER社製の微粉末シリカ「HDK(登録商標) H20」を用意した。「HDK(登録商標) H20」は、シランによる疎水性処理(表面に対するSiO2形成)がなされた合成シリカ粒子であって、未処理のものよりも表面に存在するシラノール基の数が50%減少されたものである。この合成シリカ粒子が表面に有するシラノール基の数は、「HDK(登録商標) H20」1g当たり1.7×1020個である。また、「HDK(登録商標) H20」の粒径は、一次粒子の粒径が約5~30nmであり、一次凝集体の粒径が100~400nmであり、二次凝集体の粒径が約10μmであり、40μm篩の残分は0.05%未満である。
蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)2000gに、「HDK(登録商標) H20」360mg、水267g、ポリエチレンテレフタレート短繊維1.8gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を286g加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストには鉛粉100g当たり0.018gの「HDK H20」が含まれており、このペーストに含まれる多孔質シリカ粒子のシラノール基の個数は、鉛粉1g当たり3.06×1016個である。
このペーストを、Pb-Ca系の鉛合金から成るBサイズ電池用集電体の格子状基板に充填して、鉛粉と多孔質シリカ粒子とを含む材料を集電体に保持された状態にした(材料保持工程)後、通常の条件による熟成乾燥工程を行い、化成前の正極板を得た。
<No.2>
「HDK(登録商標) H20」の添加量を1.80gとした以外はNo.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。このペーストには鉛粉100g当たり0.090gの「HDK H20」が含まれており、このペーストに含まれる多孔質シリカ粒子のシラノール基の個数は、鉛粉1g当たり1.53×1017個である。
このペーストを用い、No.1と同じ方法で格子状基板への充填および熟成乾燥工程を行って、化成前の正極板を得た。
<No.3>
多孔質シリカ粒子として、WACKER社製の「HDK(登録商標) N20」を用意した。「HDK(登録商標) N20」は、疎水性処理がなされていない合成シリカ粒子であって、表面に有するシラノール基の数は、「HDK(登録商標) N20」1g当たり4.0×1020個である。また、「HDK(登録商標) N20」の粒径は、「HDK(登録商標) H20」の粒径とほぼ同じであり、40μm篩の残分は0.03%未満である。
No.1で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、「HDK(登録商標) N20」360mg、水267g、ポリエチレンテレフタレート短繊維1.8gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を286g加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストには鉛粉100g当たり0.018gの「HDK N20」が含まれており、このペーストに含まれる多孔質シリカ粒子のシラノール基の個数は、鉛粉1g当たり7.20×1016個である。
このペーストを用い、No.1と同じ方法で格子状基板への充填および熟成乾燥工程を行って、化成前の正極板を得た。
<No.4>
天然由来の多孔質シリカ粒子として、昭和化学工業株式会社製の「ラヂオライトF」を用意した。「ラヂオライトF」は、珪藻土に融剤を加えて800℃~1200℃の温度で焼成されたものであり、平均粒径が11.4μmの粉体である。焼成により不純物が除去され、融剤を加えて焼成を行うことで粒子表面が薄くガラスで覆われている。これにより、微量に存在する鉄など、鉛蓄電池に有害な物質が溶出しにくくなっているとともに、イオンの移動を阻害する表面官能基が減少している。「ラヂオライトF」はシリカを約90%含有しており、シリカ表面に存在するシラノール基の数は、「ラヂオライトF」1g当たり8.2×1018個である。
No.1で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、「ラヂオライトF」20g、水302g、ポリエチレンテレフタレート短繊維1.8gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を286g加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストには鉛粉100g当たり1.0gの「ラヂオライトF」が含まれており、このペーストに含まれる多孔質シリカ粒子のシラノール基の個数は、鉛粉1g当たり8.20×1016個である。
このペーストを、Pb-Ca系の鉛合金から成るBサイズ電池用集電体の格子状基板に充填して、通常の条件による熟成乾燥工程を行い、化成前の正極板を得た。
<No.5>
No.1で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、水267g、ポリエチレンテレフタレート短繊維1.8gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を286g加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。つまり、このペーストには多孔質シリカ粒子が含まれていない。
このペーストを用い、No.1と同じ方法で格子状基板への充填および熟成乾燥工程を行って、化成前の正極板を得た。
なお、No.1~5の正極合剤形成用ペーストには添加剤として酸化ビスマスが添加されていても良く、その添加量は、例えば鉛粉2000gに対して1.4gとすることができる。
[負極板(化成前)の作製]
正極合剤形成用ペーストの作製で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、水400g、ポリエステル繊維(補強用繊維)1.8g、硫酸バリウム20g、導電性カーボン4g、リグニン4gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を228g加えて混練することで、負極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストを、Pb-Ca系の鉛合金から成るBサイズ電池用集電体の格子状基板に充填した後、通常の条件による熟成乾燥工程を行い、化成前の負極板を得た。
[鉛蓄電池の組み立て]
先ず、No.1~No.5の各鉛蓄電池用の極板群を作製するために、上述方法で作製したNo.1~No.5の化成前の正極板を各30枚と、上述方法で作製した化成前の負極板を180(5×36)枚と、化成前の負極板と同じ数の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ6枚と化成前の正極板5枚を交互に積層することで、化成前の正極板を5枚、化成前の負極板を6枚有する積層体を、サンプルNo.1~5で六個ずつ得た。
次に、サンプルNo.毎に、得られた六個の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、キャビティ内に溶融金属(鉛合金)を供給するとともに、耳部を下側に向けた状態で積層体の耳部を挿入することで、先ず、各耳部同士を接続する正極ストラップおよび負極ストラップを形成した。続いて、配列方向両端のセル室に配置された負極ストラップおよび正極ストラップには小片と極柱を形成し、それ以外の各正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ正極中間極柱および負極中間極柱を形成した。それらを形成した後、SBA(電池工業会)S0101規格の外形区分Kのポリプロピレン製のモノブロックタイプの電槽の六個のセル室にそれぞれ配置した。
次に、電槽のセル室同士を仕切る隔壁を挟んで対向する正極中間極柱および負極中間極柱を、隔壁に設けた貫通孔の部分で抵抗溶接することにより接続した。この状態では、電槽の各セル内に化成前の極板群が配置されている。
この状態の電槽と蓋を、実施形態に記載された方法で熱溶着することで、No.1~No.5の化成前の鉛蓄電池を得た。
次に、硫酸アルミニウム濃度が20g/リットルである希硫酸電解液を、No.1~No.5の化成前の鉛蓄電池の蓋の注液孔から、電槽の各セル室内へ注入した。その後、通常の条件で電槽化成を行って、No.1~No.5の鉛蓄電池を得た。
この電槽化成により、鉛粉が正極活物質に変化し、正極合剤に含まれているシラノール基の個数が、No.1の鉛蓄電池では正極合剤1g当たり2.35×1016個、No.2の鉛蓄電池では正極合剤1g当たり1.18×1017個、No.3の鉛蓄電池では正極合剤1g当たり5.535×1016個、No.4の鉛蓄電池では正極合剤1g当たり6.31×1016個となった。
〔試験〕
[活物質利用率を調べる試験]
No.1~No.5の鉛蓄電池について、以下の方法で電池容量を測定した。
水面が鉛蓄電池の上面から下方向15mm~25mmとなるように25℃±2℃の水槽中に鉛蓄電池を置き、SBA規格K42相当の20時間率電流に係数3.42を乗じた、5.643Aで充電した。15分間隔で比重を測定し、3回連続して比重が同じ値を示したら、満充電と判断し、充電を終了した。
充電が完了し1時間~5時間経過後、中央にあるいずれかのセル(2セル目~5セル目)の電解液温度が25±2℃であることを確認した後、鉛蓄電池の端子電圧が10.5Vに低下するまで、SBA規格K42相当の20時間率電流である、1.65Aで放電し、放電電気量を電池容量とした。
その結果、No.1では34.0Ah、No.2では31.4Ah、No.3では33.9Ah、No.4では33.3Ah、No.5では32.3Ahであった。
No.5の鉛蓄電池の容量を基準にして、No.1~No.4の鉛蓄電池の容量増大率を計算した。この値が大きいほど活物質の利用率が高いことを示す。
[充電受入性試験]
電池工業会の規格SBA S0101:2014に規定される「充電受入性2試験」を行った。この規格はアイドリングストップ車用鉛蓄電池の規格である。この規格に準拠し、鉛蓄電池を最大14.5V、200Aの条件で10秒間充電した際に流れる電気量を測定し、その測定値で充電受入性を評価した。この試験は、部分充電状態で使用される鉛蓄電池の充電受入性評価の方法として認知されている試験の一つである。
No.1~No.5の鉛蓄電池について上述の試験を行い、No.1~No.4の鉛蓄電池で得られた電気量の測定値について、No.5の鉛蓄電池で得られた測定値を100とした時のNo.1~No.4の鉛蓄電池で得られた測定値の相対値を算出した。
これらの結果を下記の表1に示す。
Figure 0007049739000001
また、これらの結果から得られた、各鉛蓄電池の容量増大率(%)と、正極合剤に含まれている正極合剤1g当たりのシラノール基の個数と、の関係を、図1にグラフで示す。さらに、各鉛蓄電池の容量増大率(%)と、正極板製造時の正極合剤形成用ペーストに含まれていた鉛粉1g当たりのシラノール基の個数と、の関係を、図2にグラフで示す。
図1のグラフでは、No.1~No.4のプロットによる回帰直線が(x,y)=(0.0,9.535E+16)を通る。つまり、図1のグラフから、正極合剤1g当たりのシラノール基の個数が9.535×1016個未満であれば、鉛蓄電池の容量増大効果が得られることが分かる。
図2のグラフでは、No.1~No.4のプロットによる回帰直線が(x,y)=(0.0,1.228E+17)を通る。つまり、図2のグラフから、正極板製造時の材料保持工程で使用する正極合剤形成用ペーストに含まれている鉛粉1g当たりのシラノール基の個数が1.228×1017個未満であれば、鉛蓄電池の容量増大効果が得られることが分かる。
そして、表1から分かるように、正極合剤に多孔質シリカ粒子を含み、正極合剤に含まれるシラノール基の個数が正極合剤1g当たり9.535×1016個未満であるNo.1、No.3、No.4の鉛蓄電池(本発明の実施例に相当)は、正極合剤に多孔質シリカ粒子を含まないNo.5の鉛蓄電池(従来例)よりも電池容量が大きく、正極活物質の利用率が高いものであり、充電受入性も高いものであった。
また、正極合剤に多孔質シリカ粒子を含み、正極合剤に含まれるシラノール基の個数が正極合剤1g当たり9.535×1016個以上であるNo.2の鉛蓄電池(本発明の比較例に相当)は、No.5の鉛蓄電池よりも電池容量が小さく、正極活物質の利用率が低いものであり、充電受入性も低いものであった。

Claims (3)

  1. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、
    前記正極板は、正極活物質と、表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子と、を含む正極合剤を備え、
    前記正極合剤に含まれる前記シラノール基の個数は、前記正極合剤1g当たり2.35×10 16 個以上9.535×1016個未満である鉛蓄電池。
  2. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、前記正極板は、正極活物質と多孔質シリカ粒子とを含む正極合剤を有する、鉛蓄電池の前記正極板の製造方法であって、
    鉛粉と、表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子と、を含む材料を、前記シラノール基の個数が前記鉛粉1g当たり3.06×10 16 個以上1.228×1017個未満となるように、集電体に保持された状態にする材料保持工程と、
    前記状態の前記鉛粉を前記正極活物質に変化させる化成工程と、
    を含む鉛蓄電池の正極板の製造方法。
  3. 前記材料保持工程は、鉛粉と表面にシラノール基(-SiOH)が存在する多孔質シリカ粒子と水とを含む混練物を、集電体の格子状基板に充填した後に乾燥する工程であり、
    前記混練物に含まれる前記シラノール基の個数が前記鉛粉1g当たり3.06×10 16 個以上1.228×1017個未満である請求項2記載の鉛蓄電池の正極板の製造方法。
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