JP7212649B2 - 鉛蓄電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池には液式のものと制御弁式のものがあり、液式鉛蓄電池は、セル室を備えた電槽と、セル室に電解液とともに収納されている極板群と、を備え、その極板群は、交互に配置された正極板および負極板と、正極板および負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
近年、環境負荷低減のため車両の電動化が急速に進み、アイドリングストップ車やハイブリッド車が登場している。ハイブリッド車には、マイクロハイブリッド車、マイルドハイブリッド車、及びストロングハイブリッド車があり、比較的安価なマイクロハイブリッド車やマイルドハイブリッド車の人気が高まっている。上記マイクロハイブリッド車やマイルドハイブリッド車には、エンジン始動用および再始動用にアイドリングストップ車用の鉛蓄電池が使用されている。
アイドリングストップ車用の鉛蓄電池は、充放電の繰り返しが頻繁に行われるため、高い耐久性が求められている。また、不十分な充電状態である部分充電状態(PSOC)で使用されることが多いため、ガスによる電解液の成層化の解消が期待できず、負極板下部のサルフェーションが進行して、寿命が短くなる。
その対策として、例えば、正極活物質密度を高くすること、格子デザインの最適化、電解液中にアルミニウムイオンを添加することなどにより充電受入性を向上させて、成層化を抑制し寿命を向上することが行われている。
しかし、さらなる車両の環境負荷低減のため、鉛蓄電池には、深い充放電が要求されることに加え、より一層低い充電状態で使用されるようになってきていることから、より高い耐久性が必要とされている。
特許文献1には、制御弁式鉛蓄電池において、格子状基板に充填する正極合剤用ペーストに、平均粒径2.0~30.0μmで少なくとも2種類以上の孔径ピークを有するシリカ粉末を0.1~3.0質量%添加することにより、正極活物質の利用率の向上を図り、長期に亘って寿命性能を確保することが記載されている。
特開2010-80413号公報
本発明の課題は、アイドリングストップ車などに搭載された場合の耐久性に優れた鉛蓄電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は、下記の構成(a)~(d)を備えた鉛蓄電池を提供する。
(a)セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を電槽内に有する鉛蓄電池である。正極板は、集電体と、集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなる。
(b)正極板の正極合剤の密度が4.0g/cm3以上である。
(c)正極合剤は、第一の二酸化鉛粒子と、第一の二酸化鉛粒子よりも粒径の小さな第二の二酸化鉛粒子同士が連結または接触して形成されたネットワーク構造の二酸化鉛と、第一の二酸化鉛粒子の表面に存在する二酸化ケイ素と、を含み、二酸化ケイ素により、第一の二酸化鉛粒子と第二の二酸化鉛粒子とが結合されている。
(d)正極合剤中に含まれるケイ素の含有量は、9ppm以上402ppm以下である。
本発明の第二態様は、上記構成(a)を備えた鉛蓄電池の正極板の製造方法であって、下記の構成(e)を有することを特徴とする。
(e)鉛粉、表面に二酸化ケイ素が付着している鉛丹粒子、硫酸、および水を含む混練物を格子状基板に充填する工程を有する。
本発明の鉛蓄電池は、アイドリングストップ車などに搭載された場合の耐久性に優れたものになることが期待できる。
本発明の方法で製造された鉛蓄電池用正極板を用いることで、アイドリングストップ車などに搭載された場合の耐久性に優れた鉛蓄電池を得ることが期待できる。
実施形態の鉛蓄電池が有する正極板を構成する正極合剤の特徴(二酸化ケイ素により、第一の二酸化鉛粒子と第二の二酸化鉛粒子とが結合されている構造)を示す図である。 二酸化ケイ素による第一の二酸化鉛粒子と第二の二酸化鉛粒子との結合が生じていない正極合剤の構造を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[構成]
本実施形態の鉛蓄電池は、モノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一個の極板群が配置されている。各セル室に電解液が注入されている。
各極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
正極板は、格子状基板と格子状基板から上側に突出する耳部とを有する集電体の格子状基板に、正極合剤(正極活物質を含む合剤)が保持されたものである。負極板は、格子状基板と格子状基板から上側に突出する耳部とを有する集電体の格子状基板に、負極合剤(負極活物質を含む合剤)が保持されたものである。複数枚の正極板および負極板は、セパレータを介して交互に配置されている。積層体を構成する負極板の枚数は正極板の枚数よりも一枚多くても良いし、同じでも良い。
正極合剤の密度が4.0g/cm3以上4.8g/cm3以下である。
図1に示すように、正極合剤10は、第一の二酸化鉛粒子1と、第一の二酸化鉛粒子1よりも粒径の小さな第二の二酸化鉛粒子2同士が連結または接触して形成されたネットワーク構造の二酸化鉛20と、第一の二酸化鉛粒子1の表面に存在する二酸化ケイ素3と、を含む。そして、正極合剤10は、二酸化ケイ素3により、第一の二酸化鉛粒子1と第二の二酸化鉛粒子2とが結合されている構造を有する。
正極合剤中のケイ素の含有率(R)は、以下の方法で測定した値で、9ppm以上402ppm以下である。
先ず、完全に乾燥した正極板から活物質合剤を落とし、活物質合剤をメノウ乳鉢で粉砕する。次に、粉砕して得られた粉を目開きが355μmの篩にかけ、篩を通過した粉(正極合剤粉末)の一定量M(g)と硝酸(濃度60質量%)を、100℃~150℃に加熱したホットプレート上で混合することにより、正極合剤粉末が加熱分解されて乾いて固まった粉末を得る。
次に、得られた粉末を希硝酸(濃度20質量%)に入れて溶解させ、得られた溶液をろ過して、ろ液を得、ろ液の質量A(g)を測定する。ろ液の一定量A1(g)をICP発光分析装置にかけて、予め、ケイ素標準液(富士フイルム和光純薬株式会社)で作成しておいた検量線から、ろ液に含まれているケイ素の濃度m1(質量%)を求める。
ろ液の一定量A1(g)に含まれているケイ素は、A1×m1であるため、ろ液全量A(g)中に含まれているケイ素の質量Mr(g)は、A1×m1×A/A1=m1×Aとなる。
濾紙上の残渣は、先ず、白金るつぼに入れ、電気炉にて約600℃で灰化させた後、この白金るつぼ内に四ホウ酸リチウム(SCP SCIENCE社製、Ultra Pureグレード)を加え、白金るつぼをガスバーナーで強熱することにより、得られた灰をアルカリ融解させる。
次に、この白金るつぼを常温になるまで放冷した後、白金るつぼの内容物と希塩酸(濃度20質量%)を入れたビーカーを、100℃~150℃に加熱したホットプレート上に載せて、ビーカー内を攪拌することにより、希塩酸(濃度20質量%)に完全に溶解された溶液(残渣溶液)を得る。得られた残渣溶液の質量B(g)を測定する。残渣溶液の一定量B1(g)をICP発光分析装置にかけて、上記と同じ検量線から、残渣溶液に含まれているケイ素の濃度m2(質量%)を求める。
残渣溶液の一定量B1(g)に含まれているケイ素は、B1×m2であるため、残渣溶液全量中に含まれているケイ素の質量Ms(g)は、B1×m2×B/B1=m2×Bとなる。
このようにして得られた、m1×A(g)とm2×B(g)の合計値が、正極合剤粉末の一定量M(g)に含まれているケイ素の質量であるため、正極合剤中に含まれるケイ素の含有率(R)は、下記の(1)式で表される。
R=(m1×A+m2×B)/M…(1)
Rが1.0×10-6のとき1ppmとなる。
負極合剤は、従来品と同様の構成である。具体的には、負極活物質である鉛と、補強繊維などを含む。
負極板は袋状セパレータ内に収納されている。そして、負極板が入った袋状セパレータと正極板とを交互に重ねることで、正極板と負極板との間にセパレータが配置された状態となっている。なお、正極板を袋状セパレータ内に収納して、負極板と交互に重ねてもよい。
また、各極板群は、積層体の正極板および負極板をそれぞれ幅方向の別の位置で連結する正極ストラップおよび負極ストラップと、正極ストラップおよび負極ストラップからそれぞれ立ち上がる正極中間極柱および負極中間極柱を有する。正極ストラップおよび負極ストラップは、正極板および負極板の耳部をそれぞれ連結している。セル配列方向の両端のセル室に配置された正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ小片部を介して外部端子となる正極極柱および負極極柱が形成されている。
[製法]
実施形態の鉛蓄電池を以下の方法で製造する。正極板の製造方法以外は、従来公知の方法が採用できる。
先ず、鉛丹粒子の表面に二酸化ケイ素が付着しているもの(以下、「二酸化ケイ素付着鉛丹」と称する。)を用意する。これは、例えば、鉛丹の製造段階で、鉛粉に二酸化ケイ素を混合して焼成することにより得ることができる。また、ボールミル装置などで鉛丹粒子と二酸化ケイ素を機械的に混合することでも得ることができる。鉛丹粒子には予め二酸化ケイ素が含まれている場合もある。
次に、化成前の正極板を作製する際に用いる混練物として、鉛粉、二酸化ケイ素付着鉛丹、硫酸、ポリエステル繊維、酸化ビスマス、および水を含む混練物(湿ペースト)を作製する。その際に、湿ペーストの密度を、化成後に正極合剤の密度が4.0g/cm3以上4.8g/cm3以下となる値に調整する。
また、用意する二酸化ケイ素付着鉛丹の二酸化ケイ素の付着量か、混練物を作製する際の二酸化ケイ素付着鉛丹の添加量のいずれかを調整することで、混錬物に含まれる二酸化ケイ素の鉛丹に対する含有量を、化成後の正極合剤中に含まれるケイ素の含有量が9ppm以上402ppm以下となるように調整する。なお、二酸化ケイ素が予め含まれている鉛丹粒子を用いる場合、足りない分の二酸化ケイ素を追加して機械的に混合することで調整する。
次に、作製された混練物を集電体の格子状基板に充填し、その後熟成および乾燥する。
なお、正極合剤の密度は、湿ペースト中の固形分の質量、湿ペーストの熟成温度、湿ペーストの格子状基板への充填量などを調整することによっても調整できる。
以上が、化成前の正極板を得る工程である。
次に、得られた化成前の正極板と、通常の方法で作製された化成前の負極板と、セパレータと、を用いて、化成前の積層体を作製する。
次に、化成前の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、正極板の耳部同士を接続した正極ストラップおよび負極板の耳部同士を接続した負極ストラップを形成するとともに、正極中間極柱、負極中間極柱、正極極柱および負極極柱を形成する。それらを形成した後、前記積層体を電槽の各セル室に配置する。
次に、隣接するセル室の正極中間極柱同士または負極中間極柱同士を抵抗溶接することで、隣接するセル間を電気的に直列に接続する。次に、電槽の上面と蓋の下面とを熱で溶かして蓋を電槽に載せ、熱溶着により電槽に蓋を固定する。なお、蓋を電槽に載せる際に、正極極柱および負極極柱を蓋にインサート成型されたブッシングの貫通穴に通す。その後、ブッシングの貫通孔からそれぞれ突出した状態の正極極柱および負極極柱をバーナー等で加熱しブッシングと一体化させることで、正極端子および負極端子を形成する。
その後、蓋を貫通する穴として設けた注液孔からセル室内に、アルミニウムイオンを20mmol/L以上200mmol/L以下の濃度で含有する電解液(硫酸に硫酸アルミニウムが添加された電解液)を注入した後、注液孔を塞ぐことなどの通常の工程を行うことにより、鉛蓄電池の組み立てを完成させる。その後、通常の条件で電槽化成を行うことで鉛蓄電池が得られる。
この電槽化成により、集電体に保持された鉛粉および鉛丹が正極活物質に変化し、正極合剤の密度が4.0g/cm3以上4.8g/cm3以下となり、正極合剤は、図1に示す構造を有する状態となる。第一の二酸化鉛粒子1は鉛丹由来、第二の二酸化鉛粒子2は鉛粉由来である。
なお、鉛丹粒子の表面に付着した二酸化ケイ素は、電解液との接触によりゲル状になり、第一の二酸化鉛粒子1と第二の二酸化鉛粒子2とを結合している。
[作用、効果]
図1に示すように、本実施形態の鉛蓄電池の正極板を構成する正極合剤10は、二酸化ケイ素3により、第一の二酸化鉛粒子1と第二の二酸化鉛粒子2とが結合されている構造を有する。また、ケイ素の含有量が9ppm以上402ppm以下である。これにより、鉛蓄電池の使用中に正極合剤が軟化しても二酸化鉛粒子が脱落しにくくなって、正極合剤の耐久性が高くなるため、鉛蓄電池の耐久性向上効果が得られる。
これに対して、化成前の正極板を作製する際に、二酸化ケイ素付着鉛丹ではなく、予めの混合などを行わない別々の状態の鉛丹と二酸化ケイ素とを用いて得られた混練物を用いた場合、得られた鉛蓄電池の正極板を構成する正極合剤100は、図2に示すように、二酸化ケイ素31が偏在し、第一の二酸化鉛粒子1と第二の二酸化鉛粒子2とが結合されていない状態になる。これにより、鉛蓄電池の使用中に正極合剤が軟化すると、二酸化鉛粒子が脱落しやすくなるため、正極合剤の耐久性が低くなる。
また、正極合剤の密度が4.0g/cm3未満であると、二酸化ケイ素粒子による第一の二酸化鉛粒子と第二の二酸化鉛粒子との結合効果が不十分となって、耐久性向上効果が得られない。一方、正極合剤の密度を4.8g/cm3よりも高くした場合、電解液の拡散性が低下するため、放電容量の点で好ましくない。
さらに、ケイ素の含有量が9ppm未満であると、二酸化ケイ素粒子による第一の二酸化鉛粒子と第二の二酸化鉛粒子との結合効果が不十分となって、耐久性向上効果が得られない。一方、402ppmを超えると、電解液の流動性が低下するため、電池性能が低下する。
[試験電池の作製]
サンプルNo.1~No.21の試験電池として、セル室を一つとした動作電圧が2Vの液式鉛蓄電池を作製した。
[正極板(化成前)の作製]
<No.1>
先ず、鉛丹として、二酸化ケイ素の含有率が0.005質量%未満であるものを用意した。また、二酸化ケイ素として、(株)アドマテックス製のSO-C1(粒径0.2μm~0.4μm)を用意した。次に、この鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.005質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.005質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.5kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.5kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を25.0質量%とした。
得られた乾式混合物に水を添加し練合わせた後、比重1.37g/cm3の希硫酸を添加して再度練合わせることにより、正極合剤形成用ペースト(湿ペースト)を作製した。その際に、添加する水の量を調整して、湿ペーストの密度を4.2g/cm3にした。湿ペースト密度の値は、内容積が分かっているステンレス製の容器に湿ペーストを充填して、充填された湿ペーストの質量を測定し、その質量を容器の容積で除算することで得た。
次に、この湿ペーストを、Pb-Sn系の鉛合金から成るJIS-Bサイズ電池用集電体(重力鋳造基板、38g/枚、厚さ約1.3mm)の格子状基板に一枚当たり90g充填し、比重1.05g/cm3の希硫酸を0.1MPaの圧力で、湿ペーストが充填された面に均一に噴霧した後、この集電体を200℃の予熱乾燥炉に3秒間通し、予熱乾燥後の湿ペーストの水分含有率を約10.5質量%に調整した。
次に、この集電体を温度40℃±5℃、湿度95%±5%の環境下に20時間放置することで、充填されたペーストを熟成した後、温度60℃±5℃の環境下で10時間保持することで、ペーストを乾燥させた。これにより、化成前の正極板を得た。
<No.2>
No.1で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.010質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.010質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.44kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.56kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を22.0質量%とした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.2の化成前の正極板を得た。
<No.3>
先ず、鉛丹として、鉛丹化率が約85%鉛丹(PENOX製、KRL-2)を用意した。この鉛丹は二酸化ケイ素を0.017質量%含むものであった。また、二酸化ケイ素として、(株)アドマテックス製のSO-C1(粒径0.2μm~0.4μm)を用意した。
次に、この鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.100質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.100質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.48kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.52kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を24.0質量%とした。
これらの点以外はNo.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.3の化成前の正極板を得た。
<No.4>
No.3で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.200質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.200質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.46kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.54kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を23.0質量%とした。
また、湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が3.9g/cm3となるようにした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.4の化成前の正極板を得た。
<No.5>
No.3で用いた鉛丹をそのままで、No.3で用いた二酸化ケイ素をそのままで、二酸化ケイ素の含有率が0.200質量%となる割合で、且つ両者の合計量が0.46kgとなるようにそれぞれ計量した。
蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.54kgに、上述のように計量した鉛丹および二酸化ケイ素を全て(合計量で0.46kg)、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を入れ、混合して乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素と鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素と鉛丹の合計含有率を23.0質量%とした。
この乾式混合物を用いたことと、湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が3.9g/cm3となるようにしたこと以外は、No.1と同じ方法で正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.5の化成前の正極板を得た。
<No.6>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.0g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.6の化成前の正極板を得た。
<No.7>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.0g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.7の化成前の正極板を得た。
<No.8>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.8の化成前の正極板を得た。
<No.9>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.9の化成前の正極板を得た。
<No.10>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.4g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.10の化成前の正極板を得た。
<No.11>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.4g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.11の化成前の正極板を得た。
<No.12>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.6g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.12の化成前の正極板を得た。
<No.13>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.6g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.13の化成前の正極板を得た。
<No.14>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.8g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.14の化成前の正極板を得た。
<No.15>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.8g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.15の化成前の正極板を得た。
<No.16>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.9g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.4と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.16の化成前の正極板を得た。
<No.17>
正極合剤の密度(化成後の密度)が4.9g/cm3となるように、ペースト調整時の水添加量を変えた以外は、No.5と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。その後、No.1と同じ工程を行ってNo.17の化成前の正極板を得た。
<No.18>
No.3で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.300質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.300質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.47kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.53kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を23.5質量%とした。
湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるようにした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.18の化成前の正極板を得た。
<No.19>
No.3で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.400質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.400質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.47kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.53kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を23.5質量%とした。
湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるようにした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.19の化成前の正極板を得た。
<No.20>
No.3で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.400質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.400質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.48kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.52kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を24.0質量%とした。
湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるようにした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.20の化成前の正極板を得た。
<No.21>
No.3で用意したものと同じ鉛丹と二酸化ケイ素を、二酸化ケイ素の含有率が0.450質量%となる割合で遊星ボールミル装置に入れて、機械的に混合することにより、二酸化ケイ素の含有率が0.450質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を得た。
次に、得られた二酸化ケイ素付着鉛丹0.41kg、ポリエステル繊維(テトロン(登録商標))1.5kg、および酸化ビスマス(太陽鉱業(株)製、平均粒子径5.7μm)1.0kgを含有する混合物を作製した。この混合物に、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm~30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)1.59kgを添加して混合することで、乾式混合物を得た。つまり、乾式混合物において、鉛粉と二酸化ケイ素付着鉛丹との合計量に対する二酸化ケイ素付着鉛丹の含有率を20.5質量%とした。
湿ペーストの作製の際に、添加する水の量を調整して正極合剤の密度(化成後の密度)が4.2g/cm3となるようにした。
これらの点以外は、No.1と同じ方法で、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た後、No.1と同じ工程を行ってNo.21の化成前の正極板を得た。
[負極板(化成前)の作製]
正極合剤形成用ペーストの作製で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、水400g、ポリエステル繊維(補強用繊維)1.8g、硫酸バリウム20g、導電性カーボン4g、リグニン4gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重が1.37である硫酸水溶液を228g加えて混練することで、負極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストを、Pb-Ca系の鉛合金から成るJIS-Bサイズ電池用集電体(重力鋳造基板、32g/枚、厚さ約1.0mm)の格子状基板に一枚当たり35g充填し、比重1.05g/cm3の希硫酸を0.1MPaの圧力で、湿ペーストが充填された面に均一に噴霧した後、この集電体を180℃の予熱乾燥炉に3秒間通した。
次に、この集電体を温度40℃±5℃、湿度95%±5%の環境下に10時間放置することで、充填されたペーストを熟成した後、温度60℃±5℃の環境下で10時間保持することで、ペーストを乾燥させた。これにより、化成前の負極板を得た。
[液式鉛蓄電池の組み立て]
先ず、極板群を作製するために、上述方法で作製したNo.1~No.21の化成前の正極板を各5枚と、上述方法で作製した化成前の負極板を126枚(6枚×21組)枚と、化成前の負極板と同じ数の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ6枚と化成前の正極板5枚を交互に積層することで、化成前の正極板を5枚、化成前の負極板を6枚有する積層体を得た。
次に、得られた積層体の正極板および負極板の各耳部同士をガス溶接で接続することで、21個の極板群を得た。
一方、セル室が六室であるB19型の液式鉛蓄電池用の電槽および蓋から、2セル目と4セル目の電槽および蓋を切り離して、試験電池用の電槽および蓋を二個ずつ得、合計21個分の試験電池用の電槽および蓋を準備した。
得られた試験電池用の各電槽に各極板群を入れ、試験電池用の各蓋を、実施形態に記載された方法で試験電池用の各電槽に熱溶着することで、No.1~No.21の各化成前の試験電池を得た。この状態で、積層体の極板に加わる圧力(群圧)は約10kPaとなっている。
次に、硫酸アルミニウムが20g/L添加された比重1.22g/mm3の希硫酸電解液(アルミニウムイオン濃度は117mmol/L)を、No.1~No.21の化成前の試験電池の蓋の注液孔から、電槽のセル室内へ注入した。その後、これらの化成前の電池を50℃の水槽に入れて、正極の理論容量の230%の電気量で充電(電槽化成)を行って、No.1~No.21の各試験電池を得た。
[寿命試験]
No.1~No.21の試験電池の耐久性能を確認するために、EN50342-6で規定された17.5%DOD寿命試験を実施した。得られた各電池の寿命時間から、No.4の寿命時間を100とした相対値を算出した。
これらの試験結果を、各サンプルの正極ペースト用乾式混合物の製法(使用した「鉛丹+二酸化ケイ素」における二酸化ケイ素の含有率と、鉛丹と二酸化ケイ素と鉛粉の合計量に対する「鉛丹+二酸化ケイ素」の含有率)、正極板を構成する正極合剤の密度、ケイ素含有率(R)、正極合剤の構造が図1の構造(二酸化ケイ素により二酸化鉛が結合された構造)であるか、図2の構造(二酸化ケイ素により二酸化鉛が結合されていない構造)であるかとともに、下記の表1に示す。なお、ケイ素含有率(R)は前述の方法で測定した。
Figure 0007212649000001
表1に示すように、No.2、No.3、No.6、No.8、No.10、No.12、No.14、No.16、No.18、No.19の液式鉛蓄電池は、「正極合剤の構造が図1の構造」、「正極合剤の密度が4.0g/cm3以上」、「ケイ素含有量が9ppm以上402ppm以下」の全てを満たすため、本発明の実施例に相当する。そして、これらの鉛蓄電池の寿命の相対値が115以上であったのに対し、これら以外の鉛蓄電池は、寿命の相対値が113以下であった。
また、「正極合剤の密度が4.0g/cm3以上」および「9ppm以上402ppm以下」を満たし、正極合剤の構造のみが異なるNo.4とNo.5、No.6とNo.7、No.8とNo.9、No.10とNo.11、No.12とNo.13、No.14とNo.15、No.16とNo.17をそれぞれ比較すると、正極合剤の構造を図1の構造にすることで、液式鉛蓄電池の寿命が大幅に改善されることが分かる。
また、正極合剤の構造が図1の構造であって、ケイ素含有量のみが異なるNo.1~No.3、No.8、No.18~No.20の各液式鉛蓄電池を比較すると、ケイ素含有量が9ppm以上402ppm以下の範囲内であるNo.2、No.3、No.8、No.18、No.19では寿命の相対値が120以上124以下であったのに対し、範囲外のNo.1、No.20では寿命の相対値は107、113となった。No.1とNo.3との相対値を比較すると107から120へと顕著に向上していることが分かる。また、No.18とNo.19との相対値を比較すると124から123と、効果が飽和していることが分かる。以上より、正極合剤に含まれるケイ素含有量は103ppm以上302ppm以下の範囲内であることがより好ましい。
さらに、正極合剤の構造が図1の構造であって、正極合剤の密度のみが異なるNo.4、No.6、No.8、No.10、No.12、No.14、およびNo.16の各液式鉛蓄電池を比較すると、密度が4.0g/cm3以上であるNo.6、No.8、No.10、No.12、No.14の寿命は、密度が4.0g/cm3未満であるNo.4の寿命の1.15倍以上であり、密度が高くなるほど寿命が長くなることが分かる。ただし、密度が4.9g/cm3であるNo.16の液式鉛蓄電池は定格容量を満足できなかった。
No.21の液式鉛蓄電池では、二酸化ケイ素の含有率が0.450質量%である二酸化ケイ素付着鉛丹を用いて乾式混合物を作製したことにより、二酸化ケイ素の一部が凝集して鉛粉に均一に分散できなかったため、化成後の正極合剤が図1の構造を有するものとならなかった。これに対して、二酸化ケイ素の含有率が0.400質量%以下である二酸化ケイ素付着鉛丹を用いて乾式混合物を作製したNo.1~No.4、No.6、No.8、No.10、No.12、No.14、No.16、No.18~No.20の液式鉛蓄電池では、二酸化ケイ素が鉛粉に均一に分散できため、化成後の正極合剤が図1の構造を有するものとなった。
なお、No.4~No.17の液式鉛蓄電池では、乾式混合物の作製工程で使用した「鉛丹+二酸化ケイ素」の二酸化ケイ素含有率と、鉛丹と二酸化ケイ素と鉛粉の合計量に対する「鉛丹+二酸化ケイ素」の含有率の両方が同じであるにも関わらず、正極合剤のケイ素含有率は197~200ppmとなっていた。その原因としては、ケイ素含有率の測定誤差や正極合剤の電解液への溶出などが考えられる。
1 第一の二酸化鉛粒子
2 第二の二酸化鉛粒子
20 ネットワーク構造の二酸化鉛
3 二酸化ケイ素
31 二酸化ケイ素
10 正極合剤
100 正極合剤

Claims (2)

  1. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を電槽内に有する鉛蓄電池であって、
    前記正極板は、集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなり、
    前記正極合剤の密度は4.0g/cm3以上であり、
    前記正極合剤は、第一の二酸化鉛粒子と、前記第一の二酸化鉛粒子よりも粒径の小さな第二の二酸化鉛粒子同士が連結または接触して形成されたネットワーク構造の二酸化鉛と、前記第一の二酸化鉛粒子の表面に存在する二酸化ケイ素と、を含み、前記二酸化ケイ素により、前記第一の二酸化鉛粒子と前記第二の二酸化鉛粒子とが結合され、
    前記正極合剤中に含まれるケイ素の含有量は、9ppm以上402ppm以下である鉛蓄電池。
  2. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を電槽内に有し、前記正極板は、集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなる鉛蓄電池の製造方法であって、
    混練物を前記格子状基板に充填する工程と、
    前記格子状基板に充填された前記混錬物を乾燥して化成前の正極板を得る工程と、
    前記化成前の正極板と化成前の負極板と前記セパレータとを用いて、化成前の前記積層体を作製する工程と、
    前記化成前の積層体を前記電槽に挿入して前記電解液を注入する工程と、
    を備え、
    前記混錬物として、鉛粉、表面に二酸化ケイ素が付着している鉛丹粒子、硫酸、および水を含み、当該混錬物の密度が、化成後の前記正極合剤の密度が4.0g/cm 3 以上となるように調整され、当該混錬物に含まれる二酸化ケイ素の鉛丹に対する含有量が、化成後の前記正極合剤中に含まれるケイ素の含有量が9ppm以上402ppm以下となるように調整された混練物を用いる鉛蓄電池の製造方法。
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