JP2023154163A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部抵抗の上昇を抑制できる鉛蓄電池の提供。【解決手段】セル室を有する電槽と、セル室に収納された極板群と、セル室に注入された電解液と、を備え、極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、を備える積層体を有し、負極板は、格子状基板部を備えた負極集電板と、格子状基板部に保持された負極合剤と、を有し、負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、かつ全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
従来、鉛蓄電池は、セル室を有する電槽と、セル室に収納された極板群と、セル室に注入された電解液と、を備えている。極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、を備える積層体を有する。正極板は、格子状基板部を備えた正極集電板と、格子状基板部に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)と、を有する。負極板は、格子状基板部を備えた負極集電板と、格子状基板部に保持された負極合剤(負極活物質を含む合剤)と、を有する。電解液としては、希硫酸が使用されている。このような鉛蓄電池は、自動車用バッテリーなどとして広く使用されている。
従来のエンジン車に使用する鉛蓄電池で要求される性能は、主に、始動性能や容量などに関するものであった。しかし、近年、充電制御車やアイドリングストップ車両が主流になったことで、鉛蓄電池に要求される性能は変化し、充電制御車およびアイドリングストップ車両の制御に適した電池設計が求められるようになった。
充電制御車およびアイドリングストップ車両を長期放置した後に運転すると、アイドリングストップが行われない場合がある。このような現象が生じる理由は、長期放置中に自己放電により正極板および負極板からガスが発生して、鉛蓄電池の内部抵抗が上昇し、内部抵抗が高い状態になっているためである。アイドリングストップ車両では、鉛蓄電池の内部抵抗値に基づいてアイドリングストップの制御が行われているため、アイドリングストップ車両用鉛蓄電池は、内部抵抗を一定値以上に上昇しないように制御することが不可欠となる。
一般に、製造直後の鉛蓄電池における初期の内部抵抗を決定付ける主な要因は、ストラップ、極柱、端子(ブッシング)に代表されるような電池に使用される鉛部品の質量や、極板群に含まれる正極板および負極板の枚数、即ち電池の設計に起因する部分であり、初期の内部抵抗を低く抑えるためには、これら設計項目の検討が不可欠である。
一方、鉛蓄電池においては、静置状態で自己放電が生じることを防ぐことは難しく、電池製造から車両搭載(実際には走行して充放電の制御が始まるまで)までの期間に、絶えず自己放電が起こり続け、発生したガスが電池内部に蓄積することで、電池の内部抵抗が上昇し続ける状態に至る場合もある。このような状態に至ると、電池自体はほぼ満充電で健全な状態にも関わらず、内部抵抗だけが高いために、車両側は「充電状態が不十分」あるいは「電池自体が劣化している」と判断し、アイドリングストップ自体を停止する制御が働く、即ち「アイドリングストップしない不具合」が断続的に生じる可能性がある。
これらの問題を解決するための有効な手段は、ストラップ、極柱に代表されるような鉛部品の重量を増やし、初期の内部抵抗を低く抑えること、さらには電池の諸設計、例えば、極板群に含まれる正極板および負極板の枚数や、正極板および負極板に保持された合剤(活物質を含む合剤)量を増やすことで、電池反応面積を増やして、正極板および負極板から発生したガスが、電池内部に滞留し難く、効率的に電池外部に放出し易い構造にすることなどが挙げられる。
特開2020-53296号公報
しかしながら、鉛部品や極板群に含まれる正極板および負極板の枚数、正極板および負極板に保持された合剤量を増やすことは、当然ながら鉛蓄電池自体の重量増加に繋がり、近年の燃費向上を求める車両の設計思想には相反する。
その他の内部抵抗の上昇を抑制する方法としては、集電板に保持された活物質が有する細孔の直径や細孔容量を制御する方法が挙げられ、例えば特許文献1のように、正極活物質が有する細孔の平均直径を0.07μm以上0.20μm以下とし、正極活物質の多孔度を30%以上50%以下とする鉛蓄電池が開示されており、正極板で発生したガスが電池内部に滞留し難く、効率的に電池外部に放出し易くなり、内部抵抗の上昇を抑制できるものとなっている。
しかしながら、特許文献1には、負極合剤が有する細孔の細孔直径と細孔容積との関係についての記載はされていない。そこで、本発明の課題は、内部抵抗上昇を抑制できる鉛蓄電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は、下記の構成(a)~(d)を備えた鉛蓄電池を提供する。
(a)セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備える。前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備える積層体を有する。
(b)前記負極板は、格子状基板部を備えた負極集電板と、前記格子状基板部に保持された負極合剤と、を有する。
(c)前記負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下である。
(d)前記負極合剤の全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下である。
発明の第二態様は、上記の構成(a)~(c)と下記の構成(e)を備えた鉛蓄電池を提供する。
(e)前記負極合剤の全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、50vol%以上70vol%以下である。
本発明によれば、負極集電板の格子状基板部に、負極合剤が保持された負極板を有する鉛蓄電池において、負極板から発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、内部抵抗上昇の抑制が期待できる。
実施形態の鉛蓄電池の構造を示す部分断面図である。 実施形態の鉛蓄電池の負極板の正面図である。 本発明の実施例に相当する形態における、負極合剤の細孔直径に対する積算細孔容積を示す図である。 本発明の実施例に相当する形態における、負極合剤の細孔直径に対する差分細孔容積を示す図である。 本発明の比較例に相当する形態における、負極合剤の細孔直径に対する積算細孔容積を示す図である。 本発明の比較例に相当する形態における、負極合剤の細孔直径に対する差分細孔容積を示す図である。
以下、本発明の実施形態の鉛蓄電池について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
〔全体構成の説明〕
本実施形態の鉛蓄電池は、図1に示すように、セル室を有する電槽41と、セル室に収納された極板群1と、正極端子14および負極端子24と、セル室に注入された電解液(図示せず)と、電槽41に固定されてセル室の上方を塞ぐ蓋43を備えている。極板群1は、交互に配置された複数枚の正極板10および負極板20と、正極板10と負極板20との間に配置されたセパレータ30と、からなる積層体、積層体の正極板10を連結する正極ストラップ13、および積層体の負極板20を連結する負極ストラップ23を備えている。
極板群1の積層体は、正極板10および負極板20の板面を電槽41の上下方向に沿わせて、電槽41内に配置されている。また、一つのセル室に一つの極板群1が収納されている。なお、極板群1の積層体を構成する正極板10の枚数は、負極板20の枚数と同じでも良く、負極板20の枚数より一枚多くしても良く、負極板20の枚数より一枚少なくしても良い。
正極板10は、格子状基板部およびこれに連続する耳部12を備えた正極集電板と、格子状基板部に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)とを有し、化成前の正極活物質を含む合剤のペースト(以降、「正極合剤ペースト」と記すこともある。)を格子状基板部に充填した後、通常の熟成および乾燥工程を経て得られる。正極合剤は、正極集電板の格子状基板部の開口部内に充填されていると共に、格子状基板部の両板面に存在する。
負極板20は、格子状基板部およびこれに連続する耳部22を備えた負極集電板と、格子状基板部に保持された負極合剤(負極活物質を含む合剤)とを有し、化成前の負極活物質を含む合剤のペースト(以降、「負極合剤ペースト」と記すこともある。)を格子状基板部に充填した後、通常の熟成および乾燥工程を経て得られる。負極合剤は、負極集電板の格子状基板部の開口部内に充填されていると共に、格子状基板部の両板面に存在する。
正極板10を構成する正極集電板は、Pb-Ca-Sn系合金を用いて、重力鋳造法で形成されたものである。負極板20を構成する負極集電板は、Pb-Ca-Sn系合金を用いて、連続鋳造法で形成されたものである。正極集電板および負極集電板のその他の製造方法としては、鉛合金製圧延板に対する打ち抜き法、鉛合金製圧延板を用いたエキスパンド法が挙げられる。
セパレータ30は、例えば、樹脂、ガラス繊維等からなる多孔質の膜状体であり、平板状のベース(膜状体)に、ベース面に対して垂直な方向に突出する襞状のリブが形成されていてもよい。
複数枚の正極板10の耳部12が正極ストラップ13で連結され、複数枚の負極板20の耳部22が負極ストラップ23で連結されている。また、正極ストラップ13の上部に正極端子14の一端が接続され、負極ストラップ23の上部に負極端子24の一端が接続されている。そして、正極端子14の他端および負極端子24の他端が、電槽41の開口部を閉塞する蓋43を貫通して、電槽41と蓋43からなる液式鉛蓄電池のケース体の外部に露出している。
本実施形態の液式鉛蓄電池は、極板群1を電槽41内に収納して蓋43を固定した後に、蓋43が有する注液口から電槽41内に電解液を注入し、電槽化成を行うことで得られる。電解液は、比重が1.28以上1.30以下(20℃換算)の希硫酸である。
なお、本実施形態の鉛蓄電池は、液式鉛蓄電池であっても良く、制御弁式鉛蓄電池であっても良い。
〔負極板の説明〕
本実施形態の鉛蓄電池は、図2に示す負極板20を有する。
図2に示すように、負極板20は、負極集電板と負極合剤25(負極活物質を含む合剤)で構成され、負極集電板は、格子状基板部21と、格子状基板部21から上側に突出する耳部22とを有し、格子状基板部21に負極合剤25が保持されている。格子状基板部21は、外周縁を形成する外枠骨211と、外枠骨211の対向する二本の縦枠骨間に渡された複数の横内骨212と、外枠骨211の対向する二本の横枠骨間に渡された複数の縦内骨213とで構成され、これらで形成された四角形状の開口部214を有する。なお、複数の開口部214を平面視した形状は上記に限定されず、例えば斜めの内骨が入る場合などには、台形、三角形、その他の多角形であっても良い。また、複数の開口部214を平面視した形状が、円形や楕円形になるように複数の横内骨212と複数の縦内骨213を形成しても良い。
〔負極合剤の細孔の説明〕
化成後の負極板における負極集電板の格子状基板部に保持された負極合剤は、化成前の負極合剤ペーストを充填した負極充填板の乾燥、および希硫酸中で化成充電して、鉛粉と希硫酸を混錬することにより生成する硫酸鉛または塩基性硫酸鉛が金属鉛に変化する時に体積変化することで形成される細孔を有する。
本実施形態の鉛蓄電池の負極合剤が有する細孔は、全細孔容積が0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下である。なお、負極合剤の全細孔容積は水銀圧入法で測定することができ、全細孔のうち、3μm以上20μm以下である細孔が占める割合を算出することができる。
また、負極合剤の全細孔容積および全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合は、例えば、鉛蓄電池の化成時の温度によって調整でき、化成温度が高いほど負極合剤の全細孔容積および全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合は大きくなるため、化成の際に化成温度を適宜調整することで、負極合剤の全細孔容積が0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下となるように制御することができる。なお、化成温度は、気槽中で調整しても良く、水槽中で調整しても良い。
また、化成後の鉛蓄電池を40℃~60℃の恒温槽に48時間~168時間静置して、自己放電させた後、その自己放電した電気量を充電する補充電を行うことで、負極合剤の全細孔容積が0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下となるように制御することもできる。なお、自己放電させる時の温度制御は、気槽中で調整しても良く、水槽中で調整しても良い。
〔作用効果の説明〕
本実施形態の鉛蓄電池の負極板において、負極集電板の格子状基板部に保持された負極合剤の全細孔容積を0.10mL/g以上0.15mL/g以下とし、全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上となるように制御することで、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、内部抵抗の上昇を抑制できる。
負極合剤の全細孔容積が0.10mL/g未満である場合、全細孔容積が0.10mL/g以上0.15mL/g以下の場合と比較して、負極合剤中の細孔が少なく、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し易く、電池外部に放出し難くなり、十分な内部抵抗上昇の抑制効果が得られない。また、負極合剤の全細孔容積が0.15mL/gを超える場合、全細孔容積が0.10mL/g以上0.15mL/g以下の場合と比較して、負極合剤中の細孔が多く、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、内部抵抗の上昇を抑制できる反面、充放電を繰り返すことで生じる負極合剤の収縮の影響を受けやすく、電池の容量および充電受入性の低下を引き起こす可能性がある。
負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が30vol%未満である場合、30vol%以上である場合と比較して、全細孔に対する3μm以上20μm以下の細孔が少なく、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し易く、電池外部に放出し難くなり、十分な内部抵抗上昇の抑制効果が得られない。
また、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスを電池外部により放出し易くして、内部抵抗上昇を効果的に抑制する観点から、負極合剤中の細孔において、全細孔容積を0.10mL/g以上0.15mL/g以下とし、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、50vol%以上となるように制御するのが好ましい。
なお、負極合剤の全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合の上限値は特に限定されず、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスを電池外部により放出し易くして、内部抵抗上昇を効果的に抑制する観点から、全細孔容積に対して3μm以上20μm以下である細孔が多く存在するのが好ましい。但し、現実的な負極合剤の細孔の制御の観点から、負極合剤の全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、70vol%以下であることが好ましい。
以上のことから、負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、かつ全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下である鉛蓄電池において、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、内部抵抗上昇を抑制できる。また、負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、かつ全細孔で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、50vol%以上70vol%以下である鉛蓄電池においては、優れた内部抵抗上昇の抑制効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験電池の作製>
実施形態の液式鉛蓄電池と同じ構造の液式鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.8の液式鉛蓄電池を二体ずつ作製した。
これらの液式鉛蓄電池は、20時間率容量40Ah、M-42(B20サイズ)、公称電圧12Vの液式鉛蓄電池である。電槽は六個のセル室を有する。
[サンプルNo.1]
先ず、正極集電板(格子状基板部+耳部)および負極集電板(格子状基板部+耳部)として、Pb-Ca-Sn系合金製の集電板を作製した。正極集電体をブックモールド式の鋳造方式により作製し、負極集電体を連続鋳造方式により作製した。
次に、正極集電体の格子状基板に、通常の方法で作製した正極活物質を含む合剤(正極合剤)のペーストを充填し、熟成乾燥させて、化成前の正極板(正極充填板)を得た。また、負極集電体の格子状基板に、通常の方法で作製した負極活物質を含む合剤(負極合剤)のペーストを充填し、熟成乾燥させて、化成前の負極板(負極充填板)を得た。
次に、化成前の負極板をポリエチレン製の袋状セパレータに入れ、化成前の負極板が入ったセパレータ7枚と化成前の正極板6枚を交互に積層して、積層体を得た。次に、COS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用いて、各積層体の化成前の正極板および負極板にストラップと中間極柱と端子極柱を形成することで、六個の極板群を得た。次に、得られた六個の極板群を、ポリプロピレン製のモノブロックタイプの電槽の六個のセル室にそれぞれ入れた。
その後、通常の方法で、隣接するセル室間の中間極柱の抵抗溶接、電槽と蓋の熱溶着、および端子の溶接を行った。次に、比重が1.230(20℃換算値)である希硫酸に硫酸アルミニウム十八水和物(Al(SO・18HO)を添加することにより、アルミニウムイオンの濃度が0.1mol/Lであり、比重が1.240(20℃換算値)の電解液を得て、この電解液を蓋の各注液口から各セル室内へ注入した。次に注液口を液口栓で塞いで未化成の液式鉛蓄電池を組み立てた。
その後、化成前の液式鉛蓄電池を、水温を20℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が40℃になるように調整しながら、従来公知の方法で電槽化成を行うことで、電槽化成後の電解液の比重を1.285(20℃換算値)とすることにより、サンプルNo.1の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.2]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を30℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が45℃になるように調整しながら、電槽化成を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、No.2の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.3]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を35℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が50℃になるように調整しながら、電槽化成を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、No.3の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.4]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を50℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が50℃になるように調整しながら、電槽化成を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、No.4の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.5]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を65℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が65℃になるように調整しながら、電槽化成を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、No.5の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.6]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を30℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が40℃になるように調整しながら、電槽化成を行い、温度を40℃に調整した気槽に120時間置いた。その後、充電電流5Aで、3時間の補充電を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、サンプルNo.6の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.7]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を30℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が40℃になるように調整しながら、電槽化成を行い、温度を50℃に調整した気槽に120時間置いた。その後、充電電流5Aで、3時間の補充電を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、サンプルNo.7の液式鉛蓄電池を得た。
[サンプルNo.8]
化成前の液式鉛蓄電池を、水温を30℃に調整した水槽に入れ、電池内の電解液温度が40℃になるように調整しながら、電槽化成を行い、温度を60℃に調整した気槽に120時間置いた。その後、充電電流5Aで、3時間の補充電を行ったこと以外は、サンプルNo.1と同じ方法で、サンプルNo.8の液式鉛蓄電池を得た。
<負極合剤の細孔の測定>
得られたサンプルNo.1~No.8の各液式鉛蓄電池(満充電状態)の各一体をすぐに解体して、それぞれ、正極端子極柱を有する極板群が収納されたセル室(一番目のセル室)の二つ隣のセル室(三番目のセル室)から極板群を取り出した。その取り出した極板群の中央に位置する袋状セパレータに収納された負極板を取り出して、負極集電板の格子状基板部に保持された負極合剤を掻き落として、粉砕して、サンプル毎に粉末状の測定試料を得た。得られた各試料を水銀ポロシメータ(島津製作所AutoPore IV 9500)にかけて負極合剤の全細孔容積、および全細孔中で細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合を測定した。
<試験および評価>
得られたサンプルNo.1~8の各二体の液式鉛蓄電池の残り一体は、解体せずに、温度25℃の雰囲気に48時間静置した後、内部抵抗を測定して、その測定値を内部抵抗の初期値とした。次に、各液式鉛蓄電池を温度25℃の雰囲気に30日放置した後に、内部抵抗を測定した。この測定値を放置後の内部抵抗値とした。次に、これらの値を、以下に示す内部抵抗上昇率(%)の式に代入して、内部抵抗上昇率を算出した。
内部抵抗上昇率(%)=((放置後の内部抵抗値-内部抵抗の初期値)/(内部抵抗の初期値))×100
また、試験結果に基づく判定を以下のように行った。
内部抵抗の初期値が6.6mΩ未満であり、かつ内部抵抗上昇率が5%以下であれば、優れた内部抵抗上昇の抑制効果が得られたと判断し、判定を「◎」とした。内部抵抗の初期値が6.6mΩ未満であり、かつ内部抵抗上昇率が5%より大きく、10%以下であれば、内部抵抗上昇の抑制効果が得られたと判断し、判定を「〇」とした。内部抵抗の初期値が6.6mΩ以上である場合は、基準を満たさないため不良と判断し、判定を「×」とした。
表1の結果から以下のことが分かる。
負極合剤の全細孔容積が、0.12mL/gであり、全細孔のうち、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が17%~21%であるサンプルNo.1~3の液式鉛蓄電池は、内部抵抗の初期値が6.6mΩ~6.9mΩであった。また、負極合剤の全細孔容積が、0.12mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔のうち、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が30%以上70%以下であるサンプルNo.4~8の液式鉛蓄電池は、内部抵抗の初期値が5.3mΩ~6.4mΩであり、内部抵抗上昇率が4%以上9%以下であった。さらには、サンプルNo.4~8の液式鉛蓄電池のうち、負極合剤の全細孔容積が、0.13mL/g以上0.15mL/g以下であり、全細孔のうち、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が50%以上70%以下であるサンプルNo.6~8の液式鉛蓄電池は、内部抵抗の初期値が5.3mΩ~5.7mΩであり、内部抵抗上昇率が4%~5%であった。
また、サンプルNo.7の液式鉛蓄電池について得られた負極合剤の細孔直径に対する積算細孔容積を図3に、サンプルNo.7の液式鉛蓄電池について得られた負極合剤の細孔直径に対する差分細孔容積を図4に、サンプルNo.1の液式鉛蓄電池について得られた負極合剤の細孔直径に対する積算細孔容積を図5に、サンプルNo.1の液式鉛蓄電池について得られた負極合剤の細孔直径に対する差分細孔容積を図6に、それぞれ示す。
図3~図6から以下のことが分かる。
サンプルNo.7の液式鉛蓄電池が構成する負極板の負極合剤において、全細孔容積が0.14mL/gであった。また、全細孔中、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が61%と多く、細孔直径が0.01μm~3μmの細孔の割合は少なかった。そのため、サンプルNo.7の液式鉛蓄電池が構成する負極板の負極合剤の全細孔に対する3μm以上20μm以下の大きい細孔が多く、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、十分な内部抵抗上昇の抑制効果が得られたと考えられる。
一方で、サンプルNo.1の液式鉛蓄電池が構成する負極板の負極合剤において、全細孔容積が0.12mL/gであった。しかしながら、全細孔中、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が18%と少なく、細孔直径が0.01μm~3μmの細孔の割合が多かった。そのため、サンプルNo.1の液式鉛蓄電池が構成する負極板の負極合剤の全細孔に対する3μm以上20μm以下の大きい細孔が少なく、負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し易く、電池外部に放出し難くなり、十分な内部抵抗上昇の抑制効果が得られなかったことが分かる。
以上のことから、負極合剤の全細孔容積が、0.12mL/g以上0.15mL/g以下の液式鉛蓄電池において、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合を30vol%以上70vol%以下に制御することで、長期放置中の自己放電により負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、電池外部に放出し易くなり、内部抵抗の上昇を抑制できた。
また、負極合剤の全細孔容積が、0.12mL/g以上0.15mL/g以下の液式鉛蓄電池において、全細孔中の細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合を50vol%以上70vol%以下に制御することで、長期放置中の自己放電により負極板表面や負極合剤内部に発生したガスが電池内部に滞留し難く、効果的に電池外部に放出し易くなり、優れた内部抵抗上昇の抑制効果を得ることができた。
1 極板群
10 正極板
12 正極集電板の耳部
13 正極ストラップ
14 正極端子
20 負極板
21 負極集電板の格子状基板部
211 外枠骨
212 横内骨
213 縦内骨
214 開口部
22 負極集電板の耳部
23 負極ストラップ
24 負極端子
25 負極合剤
30 セパレータ
41 電槽
43 蓋

Claims (2)

  1. セル室を有する電槽と、前記セル室に収納された極板群と、前記セル室に注入された電解液と、を備え、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備える積層体を有し、
    前記負極板は、格子状基板部を備えた負極集電板と、前記格子状基板部に保持された負極合剤と、を有し、
    前記負極合剤の全細孔容積が、0.10mL/g以上0.15mL/g以下であり、
    前記負極合剤の全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、30vol%以上70vol%以下である鉛蓄電池。
  2. 前記負極合剤の全細孔中で、細孔直径が3μm以上20μm以下である細孔の割合が、50vol%以上70vol%以下である請求項1に記載の鉛蓄電池。
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