JP7128484B2 - 液式鉛蓄電池 - Google Patents
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Description
一般的な液式鉛蓄電池の電槽は、隔壁により区画された複数のセル室を有し、複数のセル室が一方向に沿って配列され、複数のセル室にそれぞれ極板群が配置されている。また、正極板および負極板は、集電体と、集電体の格子状基板に保持された正極合剤(正極活物質を含む合剤)および負極合剤(負極活物質を含む合剤)と、で構成されている。
高温地域で使用される車両において、ボンネット内のエンジンルームに搭載されている液式鉛蓄電池は、外気温とエンジンの熱、及び電池自体の反応熱により、電池内が高温になることから、正極活物質の劣化が助長されて寿命が短くなり易い。
このような問題点を解決するために、特許文献1には、エンジンルーム内でエンジンに近いセル(より高温になりやすいセル)に配置される正負極板の活物質量を、他のセルよりも多くすることが記載されている。
(a)隔壁により区画された複数のセル室を有する電槽と、複数のセル室にそれぞれ収納された複数の極板群と、複数のセル室に注入された電解液と、を備える。極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。正極板は、集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなる。複数のセル室は一方向に沿って配列されている。
(b)セル室の配列方向の両端のセル室のうちの少なくとも一方に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は、両端以外のセル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度より大きい。
この実施形態の液式鉛蓄電池は、モノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一個の極板群が配置されている。各セル室に電解液が注入されている。
各極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
また、全てのセル室に配置された積層体において、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるα-PbO2とβ-PbO2の合計量に対するα-PbO2の含有率(以下、「α/(α+β)」とも称する。)が、10質量%以上40質量%以下である。
正極合剤は、従来品と同様に、正極活物質である二酸化鉛と、補強用繊維などを含む。
負極合剤は、従来品と同様の構成である。具体的には、負極活物質である鉛と、補強用繊維などを含む。
また、各極板群は、積層体の正極板および負極板をそれぞれ幅方向の別の位置で連結する正極ストラップおよび負極ストラップと、正極ストラップおよび負極ストラップからそれぞれ立ち上がる正極中間極柱および負極中間極柱を有する。正極ストラップおよび負極ストラップは、正極板および負極板の耳部をそれぞれ連結している。セル配列方向の両端のセル室に配置された正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ小片部を介して外部端子となる正極極柱および負極極柱が形成されている。
実施形態の液式鉛蓄電池は、例えば以下の方法で製造することができる。正極板の製造方法以外は、従来公知の方法が採用できる。
先ず、化成前の正極板を作製する際に用いる混練物として、鉛粉、鉛丹、硫酸、酸化ビスマス、および水を含む混練物を作製する。鉛丹の添加量は、鉛粉100質量部に対して10質量部以上20質量部以下の割合とする。また、端セル用の正極合剤の密度を中央セル用の正極合剤の密度よりも大きくするために、水以外の量は同じとし、端セル用の混練物では水の量を少なくする。
次に、作製された混練物を集電体の格子状基板に充填した後、熟成した後に乾燥する。
以上が、化成前の正極板を得る工程である。
次に、化成前の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、正極板の耳部同士を接続した正極ストラップおよび負極板の耳部同士を接続した負極ストラップを形成するとともに、正極中間極柱、負極中間極柱、正極極柱および負極極柱を形成して、極板群を得る。得られた各極板群を電槽の各セル室に配置する。その際に、端セルには端セル用の積層体(化成前)を配置し、中央セルには中央セル用の積層体(化成前)を配置する。
その後、蓋を貫通する穴として設けた注液孔から各セル室内に、アルミニウムイオンを20mmol/L以上200mmol/L以下の濃度で含有する電解液(硫酸に硫酸アルミニウムが添加された電解液)を注入した後、注液孔を塞ぐことなどの通常の工程を行うことにより、液式鉛蓄電池の組み立てを完成させる。その後、電槽化成を行うことで液式鉛蓄電池が得られる。
この電槽化成により、集電体に保持された状態の鉛粉および鉛丹が正極活物質(PbO2)に変化し、積層体の正極合剤の密度は端セルに配置された方が中央セルに配置された方よりも大きくなり、全てのセル室に配置された積層体で、正極活物質のα/(α+β)が10質量%以上40質量%以下を満たすものとなる。
本実施形態の液式鉛蓄電池は、配列方向両端のセル室に配置された積層体の正極合剤の密度が中央部のセル室に配置された積層体の正極合剤の密度より大きいため、配列方向の両端のいずれかが熱源の近くに配置されて使用された場合に、熱源の近くに配置されたセル室内の正極板だけが早期に寿命となることが抑制できる。また、配列方向一端のセル室のみに配置された積層体の正極合剤の密度を他よりも大きくした場合には、そのセル室が両端のいずれであるかの印をつけておく必要があるが、本実施形態の液式鉛蓄電池では、その必要がない。
二酸化鉛(PbO2)には、斜方晶系であるα相(α-PbO2)と、正方晶系のβ相(β-PbO2)がある。α-PbO2は、多孔性に乏しく比表面積が小さいため放電能力が小さいが、結晶の崩壊が極めて徐々に進行するため軟化速度が小さい。一方、β-PbO2は、多孔性に富み比表面積が大きいため放電能力が大きい反面、結晶の崩壊が速く進み軟化速度が大きい。よって、液式鉛蓄電池の長寿命化と優れた放電容量との両立のためには、正極活物質に含まれるα-PbO2とβ-PbO2の比率を調整する必要がある。
実施形態の液式鉛蓄電池と同じ構造の液式鉛蓄電池として、サンプルNo.1~No.7の液式鉛蓄電池を、実施形態に記載された従来公知の方法で作製した。具体的には、定格容量が63AhのD26サイズの液式鉛蓄電池であって、動作電圧が12Vの液式鉛蓄電池を作製した。
<A:化成後に密度が4.3g/cm3となるもの>
先ず、蓄電池用の鉛粉(鉛と酸化鉛との混合粉末)に、水、比重1.37の硫酸、酸化ビスマス、鉛丹を加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
次に、このペーストを、Pb-Sn系の鉛合金から成る鉛合金から成るDサイズ電池用集電体の格子状基板に充填したものを、温度40℃且つ湿度95%以上の環境下に22時間放置することで熟成し、その後所定の温度で24時間乾燥を行った。これにより、化成前の正極板を得た。
加える水の量をAよりも少なく変更した以外はAと同じ方法で化成前の正極板を得た。
<C:化成後に密度が4.5g/cm3となるもの>
加える水の量をBよりも少なく変更した以外はAと同じ方法で化成前の正極板を得た。
<D:化成後に密度が4.6g/cm3となるもの>
加える水の量をCよりも少なく変更した以外はAと同じ方法で化成前の正極板を得た。
正極合剤形成用ペーストの作製で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉に、水、ポリエステル繊維(補強用繊維)、硫酸バリウム、導電性カーボン、リグニンを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を加えて混練することで、負極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストを、Pb-Ca系の鉛合金から成るDサイズ電池用集電体の格子状基板に充填した後、通常の条件による熟成乾燥工程を行い、化成前の負極板を得た。
<No.1>
先ず、極板群を作製するために、上述方法で作製したAの化成前の正極板を48枚と、上述方法で作製した化成前の負極板を54枚と、54枚の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ9枚と化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Aの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する積層体を、六個得た。
この状態の電槽と蓋を、実施形態に記載された方法で熱溶着することで、No.1の化成前の液式鉛蓄電池を得た。
次に、硫酸アルミニウムが20g/L添加された希硫酸電解液(アルミニウムイオン濃度は117mmol/L)を、No.1の化成前の液式鉛蓄電池の蓋の注液孔から、電槽の各セル室内へ注入した。その後、通常の条件で電槽化成を行って、No.1の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.1の液式鉛蓄電池では、全てのセル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度が同じ4.3g/cm3になっている。
先ず、極板群を作製するために、上述方法で作製したAの化成前の正極板を32枚と、Bの化成前の正極板を16枚、上述方法で作製した化成前の負極板を54枚と、54枚の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ9枚とAの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Aの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第一の積層体を、四個得た。また、化成前の負極板入りセパレータ9枚とBの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Bの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第二の積層体を、二個得た。
次に、得られた六個の積層体を用い、No.1と同じ方法で六個の極板群を得た。得られた六個の極板群のうち、第二の積層体を、No.1と同じ電槽の六個のセル室のうち、第1セル室と第6セル室にそれぞれ配置し、第一の積層体を第2セル室~第5セル室に配置した。
つまり、No.2の液式鉛蓄電池では、第1セル室と第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.4g/cm3になっていて、第2セル室~第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、全てのセル室において、積層体を構成する正極合剤の質量は同じであるが、正極合剤の体積が異なることで上記密度の違いが生じている。これに伴い、第1セル室および第6セル室に配置された積層体は、第2セル室~第5セル室に配置された積層体よりも厚さが薄くなっている。そのため、セル室の配列方向(積層体の厚さ方向)における積層体のセル室内での裕度(群裕度)が全てのセル室で同じになるように、第1セル室と第6セル室にスペーサを配置して、セル室の配列方向における内寸を小さくしている。
第二の積層体をCの化成前の正極板を用いて作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.3の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.3の液式鉛蓄電池では、第1セル室と第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.5g/cm3になっていて、第2セル室~第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、No.2と同様の理由で、第1セル室と第6セル室にスペーサを配置している。
第二の積層体をDの化成前の正極板を用いて作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.3の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.4の液式鉛蓄電池では、第1セル室と第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.6g/cm3になっていて、第2セル室~第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、No.2と同様の理由で、第1セル室と第6セル室にスペーサを配置している。
先ず、極板群を作製するために、上述方法で作製したAの化成前の正極板を16枚と、Bの化成前の正極板を32枚、上述方法で作製した化成前の負極板を54枚と、54枚の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ9枚とAの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Aの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第一の積層体を、二個得た。また、化成前の負極板入りセパレータ9枚とBの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Bの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第二の積層体を、四個得た。
これ以降はNo.1と同じ方法で、No.5の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.5の液式鉛蓄電池では、第1セル室、第2セル室、第5セル室、および第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.5g/cm3になっていて、第3セル室および第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、No.2と同様の理由で、第1セル室、第2セル室、第5セル室、および第6セル室にスペーサを配置している。
先ず、極板群を作製するために、上述方法で作製したAの化成前の正極板を16枚と、Bの化成前の正極板を16枚と、Cの化成前の正極板を16枚と、上述方法で作製した化成前の負極板を54枚と、54枚の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ9枚とAの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Aの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第一の積層体を、二個得た。また、化成前の負極板入りセパレータ9枚とBの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Bの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第二の積層体を、二個得た。また、化成前の負極板入りセパレータ9枚とCの化成前の正極板8枚を交互に積層することで、Cの化成前の正極板を8枚、化成前の負極板を9枚有する第三の積層体を、二個得た。
これ以降はNo.1と同じ方法で、No.6の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.6の液式鉛蓄電池では、第1セル室および第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.5g/cm3になっていて、第2セル室および第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.4g/cm3になっていて、第3セル室および第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、No.2と同様の理由で、第1セル室、第2セル室、第5セル室、および第6セル室にスペーサを配置している。
第二の積層体をDの化成前の正極板を用いて作製し、第三の積層体をCの化成前の正極板を用いて作製した以外は、No.6と同じ方法でNo.7の液式鉛蓄電池を得た。
つまり、No.7の液式鉛蓄電池では、第1セル室および第6セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.6g/cm3になっていて、第2セル室および第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.5g/cm3になっていて、第3セル室および第5セル室に配置された積層体を構成する正極合剤の密度は4.3g/cm3になっている。また、No.2と同様の理由で、第1セル室、第2セル室、第5セル室、および第6セル室にスペーサを配置している。
化成時間と電解液の硫酸濃度を調整することで、α-PbO2の含有率(α/(α+β))を5%として作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.8の液式鉛蓄電池を得た。
<No.9>
化成時間と電解液の硫酸濃度を調整することで、α-PbO2の含有率(α/(α+β))を20%として作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.9の液式鉛蓄電池を得た。
化成時間と電解液の硫酸濃度を調整することで、α-PbO2の含有率(α/(α+β))を30%として作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.10の液式鉛蓄電池を得た。
<No.11>
化成時間と電解液の硫酸濃度を調整することで、α-PbO2の含有率(α/(α+β))を40%として作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.11の液式鉛蓄電池を得た。
<No.12>
化成時間と電解液の硫酸濃度を調整することで、α-PbO2の含有率(α/(α+β))を50%として作製した以外は、No.2と同じ方法でNo.12の液式鉛蓄電池を得た。
No.1~No.12の液式鉛蓄電池の正極板(化成後)について、以下の方法で、正極合剤の密度、正極合剤を構成する正極活物質のα-PbO2含有率(α/(α+β))を測定した。
電槽化成後の各液式鉛蓄電池から正極板を取り出して、水で洗って乾燥させた後、正極板から正極合剤を掻き落として粉末にした。得られた粉末を水銀圧入式ポロシメーターにセットして、正極合剤の密度を水銀圧入法により測定した。
また、得られた粉末をX線回折装置にセットして、X線回折チャートを得、β-PbO2の回折線の強度およびα-PbO2の回折線の強度から、α/(α+β)を算出した。
No.1~No.12の液式鉛蓄電池の高温耐久性能を確認するために、JIS D 5301:2019に記載の軽負荷寿命試験に準拠した寿命試験を実施した。ただし、液式鉛蓄電池を水槽に入れずに、大気中に置いて寿命試験を行った。
この寿命試験は、第1セル室および第6セル室の外側板となる電槽の短側面に熱電対を取り付けて、温風ヒーターから吹き出す熱風を第1セル室および第6セル室のみに当てた状態で行い、試験中、電槽の短側面の表面温度が75℃±2℃になるように、熱風の吹き付け状態を制御した。
寿命試験の結果として得られたNo.1~No.12の液式鉛蓄電池の寿命サイクル数から、No.1の寿命サイクル数を100とした相対値を算出した。
また、No.2~No.4の液式鉛蓄電池は、第1セル室および第6セル室内の正極板の劣化度合いと、それ以外のセル室内の正極板の劣化度合いとの差が、No.5~No.7の液式鉛蓄電池よりは大きく、No.1の液式鉛蓄電池よりは小さかった。よって、端セル寿命判定は合格(○)とした。
No.2、No.8~12の液式鉛蓄電池について、以下の方法で放電容量を調べる試験を行った。
JIS D 5301:2019に記載の有効20時間率容量試験に準拠した試験を行って、放電容量(20時間率容量)を調べた。
得られた各液式鉛蓄電池の20時間率容量から、No.2の20時間率容量を100とした相対値を算出した。
これらの試験結果を、各サンプルの各セル室に配置された積層体を構成する正極板の正極合剤の密度と、各サンプルで正極合剤を構成する正極活物質に含まれるα-PbO2の含有率(α/(α+β))とともに、下記の表1に示す。
11 熱源の近くに配置されたセル室
2 エンジン
3 その他のパーツ
Claims (5)
- 隔壁により区画された複数のセル室を有する電槽と、
前記複数のセル室にそれぞれ収納された複数の極板群と、
前記複数のセル室に注入された電解液と、
を備え、
前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、
前記正極板は、集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなり、
前記複数のセル室は一方向に沿って配列され、
前記セル室の配列方向の両端のセル室のうちの少なくとも一方に配置された前記積層体を構成する前記正極合剤の密度は、前記配列方向の両端以外のセル室に配置された前記積層体を構成する前記正極合剤の密度より大きく、
前記電槽の前記配列方向の一端が熱源の近くに配置され、前記配列方向の他端が熱源から離れた位置に配置される用途で使用され、
前記配列方向の一端に配置される前記セル室内に、前記正極合剤の密度が大きい前記積層体が配置されている液式鉛蓄電池。 - 隔壁により区画された複数のセル室を有する電槽と、
前記複数のセル室にそれぞれ収納された複数の極板群と、
前記複数のセル室に注入された電解液と、
を備え、
前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、
前記正極板は、集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤と、からなり、
前記複数のセル室は一方向に沿って配列され、
前記セル室の配列方向の両端のセル室に配置された前記積層体を構成する前記正極合剤の密度は、前記配列方向の両端以外のセル室に配置された前記積層体を構成する前記正極合剤の密度より大きく、
前記電槽の前記配列方向の一端が熱源の近くに配置され、前記配列方向の他端が熱源から離れた位置に配置される用途で使用され、
前記電槽の前記配列方向の両端のいずれかが熱源の近くに配置されている液式鉛蓄電池。 - 前記複数のセル室内に配置された前記積層体を構成する前記正極合剤の質量は同じである請求項1または2記載の液式鉛蓄電池。
- 前記正極合剤を構成する正極活物質に含まれるα-PbO2とβ-PbO2の合計量に対するα-PbO2の含有率が、10質量%以上40質量%以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の液式鉛蓄電池。
- 前記正極合剤を構成する正極活物質に含まれるα-PbO2とβ-PbO2の合計量に対するα-PbO2の含有率が、20質量%以上40質量%以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の液式鉛蓄電池。
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