JP2010222992A - スターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、近似直線機構とを備えた構成で、ピストンの振動を速やかに減衰させることが可能なスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造を提供する。
【解決手段】 第1の気体潤滑構造1Aは、高温側シリンダ22と、高温側シリンダ22との間で気体潤滑が行われる膨張ピストン21Aと、グラスホッパの機構50を含み、膨張ピストン21Aに連結されて膨張ピストン21Aを支持する近似直線機構と、膨張ピストン21Aの上端部側部をなす第1の制振用部材3Aと、膨張ピストン21Aの下端部側部をなす第2の制振用部材4Aとを備える。第1および第2の制振用部材3A、4Aは、径方向の厚さが制振用部材としての実効性を得ることが可能な厚さに設定されている。
【選択図】 図3

Description

本発明はスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造に関し、特にシリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと近似直線機構とを備えたスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造に関する。
近年、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱を回収するために、理論熱効率に優れたスターリングエンジンが注目されてきている。スターリングエンジンは高い熱効率が期待できる上に、作動流体を外から加熱する外燃機関であるために、熱源を問わず、ソーラー、地熱、排熱といった各種の低温度差代替エネルギーを活用でき、省エネルギーに役立つという利点がある。スターリングエンジンを用いて内燃機関等の排熱を回収しようとする場合、摺動部の摩擦をできる限り低減して、排熱の回収効率を向上させる必要がある。これに対して、例えば特許文献1では、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を形成して両者の摩擦を低減するとともに、グラスホッパの機構を用いた近似直線機構でピストンを支持するスターリングエンジンが開示されている。
また、ピストンに緩衝部材を配置するとともに、ピストンおよびシリンダ間にガスベアリングを形成している点で、本発明と関連性があると考えられるスターリング機関が例えば特許文献2で開示されている。このスターリング機関では、ピストン摺動方向における衝突で発生する衝撃を緩和する目的で、ピストンの端面に緩衝部材が配置されている。このほか緩衝部材や樹脂を設けたピストンを開示している点で、本発明と関連性があると考えられる技術が例えば特許文献3から5までで開示されている。これらの技術では、緩衝部材や樹脂がピストンのスカート部に設けられている。
特開2006−183566号公報 特開2005−172287号公報 特開平6−288298号公報 特開平3−105047号公報 特開平5−1620号公報
ところで、シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、近似直線機構とを備えたスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造では以下に示す問題がある。ここで、かかる気体潤滑構造では、ピストンとシリンダとの間に気体潤滑を行う気体を介在させている。そしてこの気体は負荷能力が小さいことから、例えばピストンがピストンピンを介して近似直線機構と連結支持されている場合には、ピストンの姿勢がシリンダ内で変化し得る。またかかる気体潤滑構造では、ベアリング等によってピストンを気体で空中に浮上可能にしている構造上、ピストンの移動の自由度が大きく、シリンダ内で径方向に沿って平行移動し得る。
この点、かかる気体潤滑構造で例えば姿勢変化や径方向に沿った平行移動を繰り返す特有の振動をピストンが始めた場合、気体ではピストンの振動を減衰させることが困難となる。このためかかる気体潤滑構造ではピストンの振動が持続し、結果、ピストンとシリンダとの衝突が繰り返される虞があるという問題があった。
なお、かかる気体潤滑構造に対して、例えば特許文献2で開示されているように緩衝部材を適用することも考えられる。しかしながら、当該緩衝部材はピストン摺動方向における衝撃を緩和するものであり、上記のような問題も特段想定されていないことから、ピストンの振動を減衰させることはできないと考えられる。
そこで本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、近似直線機構とを備えた構成で、ピストンの振動を速やかに減衰させることが可能なスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明のスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造は、シリンダと、前記シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、前記ピストンに連結されて前記ピストンを支持する近似直線機構と、少なくとも前記ピストンの上端部側部をなす第1の制振用部材と、を備える。
また本発明は前記ピストンの下端部側部をなす第2の制振用部材をさらに備え、前記第1または第2の制振用部材のうち、前記ピストンの重心に近い方の制振用部材を他方の制振用部材に比して厚肉とした構成であることが好ましい。
本発明によれば、シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、近似直線機構とを備えた構成で、ピストンの振動を速やかに減衰させることができる。
スターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造(以下、単に気体潤滑構造と称す)として、第1の気体潤滑構造1Aおよび第2の気体潤滑構造2Aを備えたスターリングエンジン10Aを模式的に示す図である。 スターリングエンジン10Aのピストン・クランク部の概略構成を模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Aの要部を側面視で模式的に示す図である。 膨張ピストン21Aに発生する振動を説明するための模式図である。なお、(a)では第1の気体潤滑構造1Aの要部を上面視で、(b)では第1の気体潤滑構造1Aの要部を側面視でそれぞれ示している。 膨張ピストン21Aと高温側シリンダ22とが接触する様子を模式的に示す図である。なお、(a)では第1の気体潤滑構造1Aの要部を上面視で、(b)では第1の気体潤滑構造1Aの要部を側面視でそれぞれ示している。 膨張ピストン21Aの重心位置Pを模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Bの要部を模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Cの要部を模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Dの要部を模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Eの要部を模式的に示す図である。 膨張ピストン21Eと高温側シリンダ22とが接触する様子を側面視で模式的に示す図である。なお、図11では膨張ピストン21Eの重心位置Pも同時に示している。 第1の気体潤滑構造1Fの要部を模式的に示す図である。 膨張ピストン21Fと高温側シリンダ22とが接触する様子を側面視で模式的に示す図である。なお、図13では膨張ピストン21Fの重心位置Pも同時に示している。 第1の気体潤滑構造1Gを模式的に示す図である。 膨張ピストン21Gと高温側シリンダ22とが接触する様子を模式的に示す図である。 第1の気体潤滑構造1Hの要部を模式的に示す図である。なお、(a)では第1の気体潤滑構造1Hの要部を上面視で、(b)では第1の気体潤滑構造1Hの要部を側面視でそれぞれ示している。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は本実施例にかかる第1の気体潤滑構造1Aおよび第2の気体潤滑構造2Aを備えたスターリングエンジン10Aを模式的に示す図である。スターリングエンジン10Aは、α型(2ピストン形)のスターリングエンジンであり、直列並行に配置された高温側気筒20Aおよび低温側気筒30Aを有している。高温側気筒20Aは膨張ピストン21Aと高温側シリンダ22とを、低温側気筒30Aは圧縮ピストン31Aと低温側シリンダ32とをそれぞれ備えている。圧縮ピストン31Aは、膨張ピストン21Aに対して、クランク角で90°程度遅れて動くように位相差が設けられている。
高温側シリンダ22の上部空間は膨張空間となっている。膨張空間には加熱器47で加熱された作動流体が流入する。加熱器47は本実施例では具体的には車両に搭載されたガソリンエンジンの排気管100の内部に配置されており、作動流体は排気ガスから回収した熱エネルギーにより加熱される。
低温側シリンダ32の上部空間は圧縮空間となっている。圧縮空間には冷却器45で冷却された作動流体が流入する。
再生器46は、膨張空間、圧縮空間の間を往復する作動流体との間で熱の授受を行う。再生器46は具体的には、作動流体が膨張空間から圧縮空間へと流れる時には作動流体から熱を受け取り、作動流体が圧縮空間から膨張空間へと流れる時には蓄えられた熱を作動流体に放出する。
作動流体には空気が適用されている。但しこれに限られず、作動流体には例えばHe、H、N等の気体を適用することができる。
次にスターリングエンジン10Aの動作について説明する。加熱器47で作動流体が加熱されると、膨張して膨張ピストン21Aが圧下され、これにより駆動軸113の回動が行われる。次に膨張ピストン21Aが上昇行程に移ると、作動流体は加熱器47を通過して再生器46に移送され、そこで熱を放出して冷却器45へと流れる。冷却器45で冷却された作動流体は圧縮空間に流入し、さらに圧縮ピストン31Aの上昇行程に伴って圧縮される。このようにして圧縮された作動流体は、今度は再生器46から熱を奪いながら温度を上昇して加熱器47へ流れ込み、そこで再び加熱膨張せしめられる。すなわち、かかる作動流体の往復流動を通じてスターリングエンジン10Aが動作する。
ところで、本実施例ではスターリングエンジン10Aの熱源が車両の内燃機関の排気ガスとなっていることから、得られる熱量に制約があり、その得られる熱量の範囲でスターリングエンジン10Aを作動させる必要がある。そこで本実施例では、スターリングエンジン10Aの内部フリクションを可能な限り低減させることとしている。具体的にはスターリングエンジン10Aの内部フリクションのうち、最も摩擦損失が大きいピストンリングによる摩擦損失を無くすため、シリンダ22、32とピストン21A、31Aとの間で気体潤滑を行っている。
気体潤滑ではシリンダ22、32とピストン21A、31Aの間の微小なクリアランスで発生する空気の圧力(分布)を利用して,ピストン21A、31Aを空中に浮いた形にする。気体潤滑は摺動抵抗が極めて小さいため、スターリングエンジン10Aの内部フリクションを大幅に低減させることができる。空中に物体を浮上させる気体潤滑を実現するに際して、本実施例では具体的には静圧気体潤滑が行われている。静圧気体潤滑とは加圧流体を噴出させ、発生した静圧によって物体(本実施例ではピストン21A、31A)を浮上させるものである。加圧流体は本実施例では作動流体となっており、作動流体は膨張ピストン21Aの内部に導入されるとともに、膨張ピストン21Aの内部から外周面に貫通させて設けられた複数の給気孔(図示省略)から噴出されるようになっている。なお、気体潤滑は静圧気体潤滑に限られず、例えば動圧気体潤滑であってもよい。
本実施例では、気体潤滑が行われるシリンダ22、32とピストン21A、31Aとの間のクリアランスは数十μmとなっている。そしてこのクリアランスにはスターリングエンジン10Aの作動流体が介在している。ピストン21A、31Aそれぞれは、気体潤滑によりシリンダ22、32と非接触の状態、または許容できる接触状態で支持されている。したがってピストン21A、31Aの周囲には、ピストンリングは設けられておらず、また一般にピストンリングと共に使用される潤滑油も使用されていない。気体潤滑では、微小クリアランスにより膨張空間、圧縮空間それぞれの気密が保たれ、リングレスかつオイルレスでクリアランスシールが行われる。
さらにピストン21A、31Aの母材211A、311Aとシリンダ22、32とはともに金属製であり、本実施例では具体的には対応する母材211A、311Aおよびシリンダ22、32同士で線膨張率が同じ金属(ここではSUS)が適用されている。これにより、熱膨張があっても適正なクリアランスを維持して気体潤滑を行うことができる。
ところで気体潤滑の場合、負荷能力が小さいことから、ピストン21A、31Aのサイドフォースを実質的にゼロにしなくてはならない。すなわち、気体潤滑を行う場合にはシリンダ22、32の直径方向(横方向,スラスト方向)の力に耐える能力(耐圧能力)が低くなるため、シリンダ22、32の軸線に対するピストン21A、31Aの直線運動精度が高い必要がある。
このため、本実施例ではピストン・クランク部にグラスホッパの機構50を採用している。直線運動を実現する機構にはグラスホッパの機構50のほか例えばワットの機構があるが、グラスホッパの機構50は他の機構に比べて、同じ直線運動精度を得るために必要な機構のサイズが小さくて済むため、装置全体がコンパクトになるという効果が得られる。特に本実施例のスターリングエンジン10Aは、自動車の床下といった限られたスペースに設置されることになるため、装置全体がコンパクトである方が設置の自由度が増す。またグラスホッパの機構50は、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の重量が他の機構よりも軽量で済むため、燃費の点で有利である。さらにグラスホッパの機構50は機構の構成が比較的簡単であるため、構成(製造・組み立て)し易いという利点も有する。
図2はスターリングエンジン10Aのピストン・クランク部の概略構成を模式的に示す図である。なお、ピストン・クランク部には高温側気筒20A側と低温側気筒30A側とで共通の構成を採用しているため、以下では、高温側気筒20A側についてのみ説明し、低温側気筒30A側についての説明は省略する。膨張ピストン21Aの往復運動は、コネクティングロッド110によって駆動軸113に伝達され、ここで回転運動に変換される。コネクティングロッド110はグラスホッパの機構50によって支持されており、膨張ピストン21Aを直線状に往復運動させる。このように、コネクティングロッド110をグラスホッパの機構50によって支持することにより、膨張ピストン21AのサイドフォースFがほとんどゼロになるので、負荷能力の小さい気体潤滑を行う場合でも十分に膨張ピストン21Aを支持することができる。
次に第1および第2の気体潤滑構造1A、2Aについて説明する。スターリングエンジン10Aでは、高温側気筒20Aにおいて第1の気体潤滑構造1Aが、低温側気筒30Aにおいて第2の気体潤滑構造2Aがそれぞれ実現されている。この点、第2の気体潤滑構造2Aは第1の気体潤滑構造1Aと同様の構造となっているため、以下では主に第1の気体潤滑構造1Aについて説明し、第2の気体潤滑構造2Aについては基本的にその説明を省略する。
第1の気体潤滑構造1Aは膨張ピストン21Aと、高温側シリンダ22と、グラスホッパの機構50と、コネクティングロッド110と、エクステンションロッド111Aと、ピストンピン112とを備えている。グラスホッパの機構50と、コネクティングロッド110と、エクステンションロッド111Aと、ピストンピン112とは近似直線機構を構成している。膨張ピストン21Aはピストンピン112を介してエクステンションロッド111Aの一端側に接続されており、エクステンションロッド111Aの他端側にはコネクティングロッド110の小端部110aが接続されている。コネクティングロッド110の大端部110bは駆動軸113に接続されている。
図3に示すように、膨張ピストン21Aは母材211Aと、第1の制振用部材3Aと、第2の制振用部材4Aとを備えている。第1および第2の制振用部材3A、4Aは粘弾性特性を有し、且つ母材211Aよりも弾性係数が小さい材料によって構成されている。この点、第1および第2の制振用部材3A、4Aは具体的には例えば樹脂で構成することができる。第1の制振用部材3Aは膨張ピストン21Aの上端部側部を、第2の制振用部材4Aは膨張ピストン21Aの下端部側部をそれぞれなしている。第1および第2の制振用部材3A、4Aは、具体的には膨張ピストン21Aの上端部側部および下端部側部を一周に亘ってそれぞれ構成しており、断面形状が四角形となるリング状の形状を有している。
第1および第2の制振用部材3A、4Aの大きさは互いに略同一となっている。
第1および第2の制振用部材3A、4Aは、具体的には軸方向の厚さそれぞれが互いに略同一となっている。第1の制振用部材3Aの上面は例えば常温(例えば25℃)で母材211Aの上面と面一になるように、第2の制振用部材4Aの下面は例えば常温で母材211Aの下面と面一になるようにそれぞれ設けることができる。
また、第1および第2の制振用部材3A、4Aは、具体的には径方向の厚さそれぞれが略同一となっている。第1および第2の制振用部材3A、4Aは、径方向の厚さが制振用部材としての実効性を得ることが可能な厚さに設定されている。したがって、第1および第2の制振用部材3A、4Aの径方向の厚さは、数十μm程度の一般的なコーティング層の厚さと比較して厚肉となっている。なお、制振用部材としての実効性を得ることが可能な径方向の厚さは、軸方向に沿って略同一となっていなくてもよい。この点、第1の制振用部材3Aにあっては、少なくともその上端部の径方向の厚さが、第2の制振用部材4Aにあっては、少なくともその下端部の径方向の厚さが、制振用部材としての実効性を得ることが可能な厚さとなっていることが好ましい。
第1および第2の制振用部材3A、4Aは、例えば側面それぞれが常温で中間部側面と面一になるように設けることができる。このように設けることは、熱膨張の影響が少ない第2の気体潤滑構造2Aの場合に適している。また第1および第2の制振用部材3A、4Aは、例えば常温で上端部側部および下端部側部の外径が中間部側部の外径よりも小さくなるように設けることもできる。このように設けることは、熱膨張の影響が大きい第1の気体潤滑構造1Aの場合に適している。そしてこのように設けることで、第1および第2の制振用部材3A、4Aを備えた場合でも、気体潤滑によりピストン21A、31Aをシリンダ22、32と非接触の状態、または許容できる接触状態で支持することが可能になる。なお、第1および第2の制振用部材3A、4Aは第1の気体潤滑構造1Aと第2の気体潤滑構造2Aとの間で異なるものであってよい。
上述したように第1および第2の制振用部材3A、4Aを設けるにあたり、母材211Aは側面に段差が形成されるように、上端部側部および下端部側部それぞれが断面四角形状に切除されている。したがって、膨張ピストン21Aの中間部側部は母材211Aによって構成されている。上端部側部および下端部側部は具体的には一周に亘ってリング状に切除されており、母材211Aの径方向および軸方向の切除幅それぞれは上端部側部と下端部側部とで略同一となっている。このように母材211Aを切除すれば、上述したように設ける第1および第2の制振用部材3A、4Aに適した合理的な母材形状を容易な加工で実現できる。
次に第1の気体潤滑構造1Aの作用効果について図4、図5および図6を用いて説明する。第1の気体潤滑構造1Aでは、膨張ピストン21Aがピストンピン112を介して支持されている。このため、膨張ピストン21Aは図4に矢印V1で示すように、高温側シリンダ22内でピストンピン112を中心とした回動が可能になっている。また膨張ピストン21Aを作動流体で空中に浮上可能にしている構造上、膨張ピストン21Aは図4に矢印V2で示すように、高温側シリンダ22内で径方向全方位への平行移動も可能になっている。そして、例えば膨張ピストン21Aがピストンピン112を回動中心とする振動を始めた場合には、図5に示すように膨張ピストン21Aの上端部側部と下端部側部とが高温側シリンダ22に接触することになる。
この際、仮に上端部側部と下端部側部とが例えば母材211Aと同じ金属で構成されていた場合には、膨張ピストン21Aと高温側シリンダ22とが金属接触し、反発し合うことになる。ところが、作動流体では反発した膨張ピストン21Aの動きを抑制し、振動を減衰させることが困難となっている。このため、この場合には膨張ピストン21Aの振動が持続され、この結果、膨張ピストン21Aと高温側シリンダ22との接触が繰り返されてしまう虞がある。
これに対して第1の気体潤滑構造1Aでは、膨張ピストン21Aの上端部側部と下端部側部とが第1および第2の制振用部材3A、4Aで構成されている。このため第1の気体潤滑構造1Aでは、膨張ピストン21Aがピストンピン112周りに回動し高温側シリンダ22に接触しても、第1および第2の制振用部材3A、4Aによって衝撃を緩和することができる。そしてこれにより、膨張ピストン21Aと高温側シリンダ22とが反発し合うことを抑制できることから、膨張ピストン21Aの振動を速やかに減衰させることができる。
また第1の気体潤滑構造1Aでは、図6に示すようにピストンピン112の中心位置と膨張ピストン21Aの重心位置Pとが概ね一致している。このため、膨張ピストン21Aがピストンピン112周りに回動した場合に、高温側シリンダ22に接触する際の当たりの強さは、上端部側部と下端部側部とで同等となる。これに対して第1の気体潤滑構造1Aでは、第1および第2の制振用部材3A、4Aを略同一の大きさとしたため、振動をバランス良く減衰させることができ、これによっても振動を速やかに減衰させることができる。
このように第1の気体潤滑構造1Aは、膨張ピストン21Aの振動を速やかに減衰させることができる。
図7は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Bの要部を模式的に示す図である。なお、第1および第2の気体潤滑構造1B、2Bが同様の構造となっている点は実施例1と同じである。このため本実施例では、基本的に第1の気体潤滑構造1Bについて説明することとし、以下の実施例においても同様とする。また、第1および第2の気体潤滑構造1B、2Bは例えば第1および第2の気体潤滑構造1A、2Aの代わりにスターリングエンジン10Aに適用することができるが、このことも以下の実施例において同様である。
第1の気体潤滑構造1Bは、膨張ピストン21Aの代わりに膨張ピストン21Bを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Bは、第1、第2および第3の制振用部材3B、4Bおよび5Aと、母材211Bとを備えている。第1および第2の制振用部材3B、4Bは、径方向の厚さが異なる点以外、第1および第2の制振用部材3A、4Aと実質的に同一のものとなっている。母材211Bは形状が異なる点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。
第1および第2の制振用部材3B、4Bは、径方向の厚さが第1および第2の制振用部材3A、4Aよりも肉厚とされている。但しこれに限られず、第1および第2の制振用部材3B、4Bの径方向の厚さは、第1および第2の制振用部材3A、4Aの径方向の厚さと同じであってもよい。
第3の制振用部材5Aは膨張ピストン21Bの中間部側部をなしている。第3の制振用部材5Aは、具体的には膨張ピストン21Bの全周に亘って中間部側部を構成しており、円筒形状を有している。第3の制振用部材5Aの外径は第1および第2の制振用部材3B、4Bの外径と略同一に設定されており、径方向の厚さは第1および第2の制振用部材3B、4Bのほうが、第3の制振用部材5Aよりも厚く設定されている。このように第1、第2および第3の制振用部材3B、4B、5Aを設けた膨張ピストン21Bの外径は、熱膨張を考慮しつつ気体潤滑を実現可能な大きさに設定することができる。なお、説明の便宜上、ここでは配置に応じて制振用部材を第1、第2および第3の制振用部材3B、4B、5Aと区別しているが、これらは一体の部材であってよい。
母材211Bは、上端部側部および下端部側部それぞれの径方向の切除幅が大きくなっている点と、中間部側部がさらに切除されている点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。上述したように第3の制振用部材5Aを設けるにあたって、母材211Bは具体的には、中間部側部が上端部側部の下端部から下端部側部の上端部にかけて、径方向に略同一の幅で一周に亘って円筒状に切除されており、径方向の切除幅は上端部側部および下端部側部よりも小さくなっている。このように母材211Bを切除すれば、上述したように設ける第3の制振用部材5Aに適した合理的な母材形状を容易な加工で実現できる。
次に第1の気体潤滑構造1Bの作用効果について説明する。ここで、膨張ピストン21Bは矢印V1の方向と矢印V2の方向を振動方向とする振動が組み合わされた複雑な振動をする結果、径方向に沿って平行移動し、高温側シリンダ22に接触する場合もある。これに対して第1の気体潤滑構造1Bでは、中間部側部が第3の制振用部材5Aで構成されている。このため第1の気体潤滑構造1Bでは、かかる場合であっても第1、第2および第3の制振用部材3B、4B、5Aで衝撃を緩和し、振動を速やかに減衰させることができる。
また、かかる場合には第1、第2および第3の制振用部材3B、4B、5Aで衝撃を緩和できることから、第3の制振用部材5Aは第1および第2の制振用部材3B、4Bよりも径方向の厚さを薄くしても、制振用部材としての実効性を確保することができる。したがって、第1の気体潤滑構造1Bによれば、必要の度合いに応じて設けられた第1、第2および第3の制振用部材3B、4Bおよび5Aを備えた合理的な構造を実現できる。
このように第1の気体潤滑構造1Bは、第1の気体潤滑構造1Aと比較してさらに膨張ピストン21Bが径方向に沿って平行移動し、高温側シリンダ22に衝突した場合であっても、振動を速やかに減衰させることができる。また、第1の気体潤滑構造1Bによれば、必要の度合いに応じて設けられた第1、第2および第3の制振用部材3B、4Bおよび5Aを備えた合理的な構造を実現できる。
図8は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Cの要部を模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Cは、膨張ピストン21Aの代わりに膨張ピストン21Cを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Cは、第1および第2の制振用部材3C、4Cと、母材211Cとを備えている。第1および第2の制振用部材3C、4Cは形状が異なる点以外、第1および第2の制振用部材3A、4Aと実質的に同一のものとなっており、母材211Cは形状が異なる点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。
第1の制振用部材3Cは膨張ピストン21Cの上端部側部を、第2の制振用部材4Cは膨張ピストン21Cの下端部側部をそれぞれなしている。第1および第2の制振用部材3C、4Cは、具体的には膨張ピストン21Cの上端部側部および下端部側部を一周に亘ってそれぞれ構成しており、リング状の形状を有している。第1および第2の制振用部材3C、4Cは、第1の制振用部材3Cにあっては上端側の部分ほうが下端側の部分よりも大きくなるように構成されており、第2の制振用部材4Cにあっては、下端側の部分ほうが上端側の部分よりも大きくなるように構成されている。具体的には、第1の制振用部材3Cにあっては上端に向かうに従って次第に径方向の厚さが増し、第2の制振用部材4Cにあっては下端に向かうに従って次第に径方向の厚さが増すように構成されている。
さらに具体的な形状としては、第1および第2の制振用部材3C、4Cは略同一の大きさの外径を形成する外面を有している。そして、第1の制振用部材3Cにあっては上端に形成される上面と、上面に向かうに従って外面との間隔が次第に広がるテーパ状の内面とをさらに有し、第2の制振用部材4Cにあっては下端に形成される下面と、下面に向かうに従って外面との間隔が次第に広がるテーパ状の内面とをさらに有している。第1および第2の制振用部材3C、4Cは、それぞれの大きさが略同一となっており、断面形状それぞれは対応する各辺の長さが互いに略等しい三角形となっている。
第1の制振用部材3Cは、例えばその上面が常温で母材211Cの上面と面一になるように設けることができる。また第2の制振用部材4Cは、例えばその下面が常温で母材211Cの下面と面一になるように設けることができる。また、第1および第2の制振用部材3C、4Cは例えば側面それぞれが常温で中間部側部と面一になるように設けることや、上端部側部および下端部側部の外径それぞれが常温で中間部側部の外径よりも小さくなるように設けることができる。
母材211Cは、上端部側部および下端部側部それぞれがテーパ状に切除されている。したがって、膨張ピストン21Cの中間部側部は母材211Cによって構成されている。上端部側部および下端部側部は具体的には垂直断面で切除面と中間部側面とのなす角度が互いに略同一の大きさとなるように、且つ切除量それぞれが互いに略同一の量となるように、一周に亘ってリング状に切除されている。このように母材211Cを切除すれば、上述したように設ける第1および第2の制振用部材3C、4Cに適した合理的な母材形状を容易な加工で実現できる。
次に第1の気体潤滑構造1Cの作用効果について説明する。実施例1で前述した第1の気体潤滑構造1Aと同様、膨張ピストン21Cはピストンピン112周りに回動し、高温側シリンダ22と接触する場合がある。これに対して第1の気体潤滑構造1Cは、高温側シリンダ22との当たりが強い部分ほど厚みが増した第1および第2の制振用部材3C、4Cを備えている。すなわち、第1の気体潤滑構造1Cによれば、必要の度合いに応じた形状を備えた第1および第2の制振用部材3C、4Cによって、膨張ピストン21Cの振動を合理的に減衰させることができ、かかる点で好適に振動を減衰させることができる。
このように第1の気体潤滑構造1Cは、第1の気体潤滑構造1Aと比較してより好適に振動を減衰させることができる。
図9は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Dの要部を模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Dは、膨張ピストン21Cの代わりに膨張ピストン21Dを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Cと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Dは、第3の制振用部材5Bをさらに備えている点と、母材211Cの代わりに母材211Dを備えている点以外、膨張ピストン21Cと実質的に同一のものとなっている。この点、第1の気体潤滑構造1Dと第1の気体潤滑構造1Cとの関係は、第1の気体潤滑構造1Bと第1の気体潤滑構造1Aとの関係と同様の関係となっている。
すなわち、膨張ピストン21Cの代わりに膨張ピストン21Dを備える要領は、実施例2で前述したのと同様である。このため本実施例では、母材211Dおよび第3の制振用部材5Bの説明については省略する。なお、本実施例において、第1および第2の制振用部材3C、4Cは内面がテーパ状になっている部分であることとする。換言すれば、第3の制振用部材5Bを設けた結果、第1の制振用部材3Cの下端部と第2の制振用部材4Cの上端部とは、中間部側部をなす第3の制振用部材5Bに含まれるようになったこととする。しかしながら、第1、第2および第3の制振用部材3C、4C、5Bは一体の部材であってよい。
このように構成された第1の気体潤滑構造1Dは、膨張ピストン21Dが径方向に沿って平行移動し、高温側シリンダ22に衝突した場合について、実施例2で前述した気体潤滑構造1Bと同様の作用効果を有する。このため第1の気体潤滑構造1Dは、第1の気体潤滑構造1Cと比較してさらにかかる場合であっても、振動を速やかに減衰させることができる。また、第1の気体潤滑構造1Dによれば、必要の度合いに応じて設けられた第1、第2および第3の制振用部材3C、4Cおよび5Bを備えた合理的な構造を実現できる。
図10は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Eの要部を模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Eは、膨張ピストン21Aの代わりに、膨張ピストン21Eを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Eは、第1および第2の制振用部材3D、4Dと母材211Eとを備えている。第1の制振用部材3Dは、径方向の厚さを厚肉とした点以外、第1の制振用部材3Aと実質的に同一のものとなっており、第2の制振用部材4Dは本実施例では第2の制振用部材4Aと実質的に同一のものとなっている。また、母材211Eは上端部側部の径方向の切除幅が大きくなっている点と、膨張ピストン21Eの重心位置Pがピストンピン112の中心位置よりも上になるように構成されている点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。第1の気体潤滑構造1Eでは、膨張ピストン21Eの重心に近い第1の制振用部材3Dのほうが第2の制振用部材4Dに比して径方向の厚さが厚肉とされている。
次に第1の気体潤滑構造1Eの作用効果について図11を用いて説明する。第1の気体潤滑構造1Eでは、膨張ピストン21Eの重心位置がピストンピン112の中心位置よりも上にある。このため、第1の気体潤滑構造1Eでは、膨張ピストン21Eがピストンピン112周りに回動し、高温側シリンダ22に接触する場合に、第1の制振用部材3Dのほうが、第2の制振用部材4Dよりも高温側シリンダ22との当たりが強くなる。これに対して第1の気体潤滑構造1Eでは、当たりの強い第1の制振用部材3Dの径方向の厚みを増したことから、かかる場合の衝撃をより好適に緩和でき、この結果、より好適に振動を減衰させることができる。
このように第1の気体潤滑構造1Eは、重心位置Pがピストンピン112の中心位置よりも上にある場合に、第1の気体潤滑構造1Aと比較してより好適に振動を減衰させることができる。
図12は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Fの要部を模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Fは、膨張ピストン21Aの代わりに、ピストンピン112の中心位置よりも重心位置が下にある膨張ピストン21Fを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Fは、第1および第2の制振用部材3E、4Eと母材211Fとを備えている。第2の制振用部材4Eは、径方向の厚さを厚肉とした点以外、第2の制振用部材4Aと実質的に同一のものとなっており、第1の制振用部材3Eは本実施例では第1の制振用部材3Aと実質的に同一のものとなっている。また、母材211Fは下端部側部の径方向の切除幅が大きくなっている点と、膨張ピストン21Fの重心位置Pがピストンピン112の中心位置よりも下になるように構成されている点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。第1の気体潤滑構造1Fでは、膨張ピストン1Fの重心に近い第2の制振用部材4Eのほうが第1の制振用部材3Eに比して径方向の厚さが厚肉とされている。
次に第1の気体潤滑構造1Fの作用効果について図13を用いて説明する。第1の気体潤滑構造1Fは、ピストン重心位置Pがピストンピン112の中心位置よりも下にある場合について、実施例5で前述した第1の気体潤滑構造1Eと同様の作用効果を有する。このため第1の気体潤滑構造1Fは、重心位置Pがピストンピン112の中心位置よりも下にある場合に、第1の気体潤滑構造1Aと比較してより好適に振動を減衰させることができる。
図14は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Gの要部を模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Gは、膨張ピストン21Aの代わりに膨張ピストン21Gを備えている点と、膨張ピストン21Gがピストンピン112を介さずに支持されている点と、エクステンションロッド111Aの代わりに、ピストンピン112を介さずに膨張ピストン21Gを支持するエクステンションロッド111Bを備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Gは、第1および第2の制振用部材3A、4Aのうち、第1の制振用部材3Aを備えている点と、母材211Aの代わりに母材211Gを備えている点以外、膨張ピストン21Aと実質的に同一のものとなっている。
母材211Gはピストンピン112を介することなく支持されるように構成されている点と、下端部側部が特段切除されていない点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。すなわち、第1の気体潤滑構造1Gでは、第1の気体潤滑構造1Aと比較してピストンピン112と第2の制振用部材4Aとが不要化されている。ピストンピン112を不要化したことで、第1の気体潤滑構造1Gは、膨張ピストン1Gがピストンピン周りに回動しない構造となっている。
次に第1の気体潤滑構造1Gの作用効果について説明する。第1の気体潤滑構造1Gでは、ピストンピン112を不要化したことで、膨張ピストン21Gがピストンピンを回動中心として振動することを構造上防止できる。またこれにより、膨張ピストン21Gの下端部側部と高温側シリンダ22との接触を考慮する必要がなくなるため、第2の制振用部材4Aを不要化できる。
一方、ピストンピン周りに回動しない構造であっても、膨張ピストン21Gは、例えば図15に矢印V3で示すように、コネクティングロッド110の小端部110aを回動中心として振動する場合もある。これに対して第1の気体潤滑構造1Gでは、第1の制振用部材3Aを設けていることから、かかる場合であっても第1の制振用部材3Aによって振動を速やかに減衰させることができる。
このように第1の気体潤滑構造1Gは、第1の気体潤滑構造1Aと比較して、さらにピストンピンを回動中心とした振動を構造上防止するとともに、下端部側部をなす第2の制振用部材4Aを不要化でき、その上でさらにコネクティングロッド110の小端部110aを回動中心として振動する場合であっても、膨張ピストン21Gの振動を速やかに減衰させることができる。
図16は本実施例に係る第1の気体潤滑構造1Hを模式的に示す図である。第1の気体潤滑構造1Hは、膨張ピストン21Aの代わりに膨張ピストン21Hを備えている点と、膨張ピストン21Hの姿勢変化を防止する姿勢変化防止機構(図示省略)をさらに備えている点以外、第1の気体潤滑構造1Aと実質的に同一のものとなっている。膨張ピストン21Hは、第4の制振用部材6と母材211Hとを備えている。第4の制振用部材6は形状および配置が異なる点以外、第1および第2の制振用部材3A、4Aと実質的に同一のものとなっている。母材211Hは形状が異なる点以外、母材211Aと実質的に同一のものとなっている。
第4の制振用部材6は、膨張ピストン21Hの側部をなしている。第4の制振用部材6は、具体的には膨張ピストン21Hの側部を一周に亘って構成しており、第4の制振用部材6の径方向の幅は略同一となっている。このため、第4の制振用部材6は、膨張ピストン21Hの側部を均等に構成する円筒形状を有している。第4の制振用部材6の径方向の幅は、第1および第2の制振用部材3A、4Aの径方向の幅と同じ幅に設定されている。
母材211Hは、このように第4の制振用部材6を設けるにあたって、側部が径方向に略同一の幅で一周に亘って円筒状に切除されている。
姿勢変化防止機構はコネクティングロッド110やピストンピン112に起因して生じる膨張ピストン21Hの姿勢変化を防止する機構となっている。なお、姿勢変化防止機構はグラスホッパの機構50やピストンピン112を含むピストン・クランク間の全体的な直線近似機構を改良した機構として把握されてもよい。
次に第1の気体潤滑構造1Hの作用効果について説明する。第1の気体潤滑構造1Hでは、姿勢変化防止機構によって膨張ピストン21Hの姿勢変化が防止される。このため第1の気体潤滑機構1Hでは、膨張ピストン21Hに生じる振動が、矢印V2で示されるように実質的に振動方向が径方向に略平行な振動のみとなる。これに対して第1の気体潤滑構造1Hでは、かかる振動を速やかに減衰させるために必要となる膨張ピストン21Hの側部に厚さが均等な第4の制振用部材6を配置したので、かかる振動を好適に減衰させることができる。
このように第1の気体潤滑構造1Hは、ピストン振動方向が実質的に径方向に略平行な振動のみとなる場合に、第1の気体潤滑構造1Aと比較して好適に振動を減衰させることができる。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
例えば上述した実施例では、第1および第2の気体潤滑構造1、2が適用されたスターリングエンジン10の場合について説明した。しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、スターリングエンジンに対して第1および第2の気体潤滑構造のうち、いずれか一方のみを適用することもできる。
また例えば上述した実施例では、同様の構造となっている第1および第2の気体潤滑構造1、2が適用されたスターリングエンジン10の場合について説明した。しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、第1の気体潤滑構造と第2の気体潤滑構造の組み合わせは、例えば上述した実施例のうちから選択した適宜の組み合わせであってもよい。
また例えば上述した実施例では、適用が容易であることなどから第1から第4までの制振用部材3、4、5,6が同じ材料で構成されている場合について説明した。しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、例えば第1および第2の制振用部材が互いに異なる材料で構成されてもよい。
また例えば上述した実施例では、膨張ピストン21が径方向に沿って全方位に平行移動可能になっていることに対し、好適に振動を減衰させることができることから、第1から第4までの制振用部材3、4、5、6それぞれが、膨張ピストン21の側部を全体的に或いは部分的に一周に亘って構成している場合について説明した。しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、例えばピストンの移動方向が所定の方向に限られる場合には、これに応じて、膨張ピストン21の側部全体或いは一部のうち、周方向において必要な部分のみに第1から第4までの制振用部材3、4、5,6がそれぞれ設けられてもよい。
1 第1の気体潤滑構造 2 第2の気体潤滑構造
3 第1の制振用部材 4 第2の制振用部材
5 第3の制振用部材 6 第4の制振用部材
10 スターリングエンジン 20 高温側気筒
21 膨張ピストン 22 高温側シリンダ
30 低温側気筒 31 圧縮ピストン
32 低温側シリンダ 50 グラスホッパの機構
110 コネクティングロッド 112 ピストンピン

Claims (2)

  1. シリンダと、
    前記シリンダとの間で気体潤滑が行われるピストンと、
    前記ピストンに連結されて前記ピストンを支持する近似直線機構と、
    少なくとも前記ピストンの上端部側部をなす第1の制振用部材と、を備えたスターリングエンジンのピストンの気体潤滑構造。
  2. 請求項1記載のピストンの気体潤滑構造であって、
    前記ピストンの下端部側部をなす第2の制振用部材をさらに備え、
    前記第1または第2の制振用部材のうち、前記ピストンの重心に近い方の制振用部材を他方の制振用部材に比して厚肉としたピストンの気体潤滑構造。
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