JP2009293406A - ピストン機関及びスターリングエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンの頂部が熱膨張した場合に、ピストンとシリンダとが接触するおそれを低減すること。
【解決手段】高温側シリンダ30Hは、ヒータ105を通過した作動流体が流入するシリンダ内筒30HRと、シリンダ内筒30HRの外周部に嵌め込まれるスリーブ30HSと、スリーブ30HSの外周部の外側に配置されるシリンダブロック30HBとで構成される。スリーブ30HSとシリンダブロック30HBとの間には、気体層GRが形成され、この気体層GRが断熱層として機能する。また、スリーブ30HSは、シリンダ内筒30HRよりも熱伝導率が高い材料で構成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、シリンダとピストンとの間に気体軸受を介在させるピストン機関及びスターリングエンジンに関する。
近年、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱を回収するために、理論熱効率に優れたスターリングエンジンが注目されてきている。特許文献1には、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させるとともに、ピストンを近似直線機構で支持して往復運動させたスターリングエンジンが開示されている。
特開2005−106012号公報
特許文献1に開示されているスターリングエンジンのように、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させる場合、ピストンとシリンダとのクリアランスを微小にする必要がある。また、スターリングエンジンのように、ヒータで加熱された作動流体がピストンの頂面に接触する熱機関は、ピストンの頂部から裾部へ向かって作動流体の熱が流れ、ピストンの頂部から裾部へ向かう温度勾配が形成される。これによって、スターリングエンジンのような熱機関は、ピストン、特に頂部の熱膨張が大きくなる。このため、スターリングエンジンのような熱機関の運転中にピストンが熱膨張すると、ピストンとシリンダとが接触するおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させる構造において、ピストンが熱膨張した場合に、ピストンとシリンダとが接触するおそれを低減することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るピストン機関は、筒状の構造体であって、作動流体が流出入するシリンダ内筒と、筒状の構造体であって、前記シリンダ内筒よりも熱伝導率が高い材料で構成されるとともに、前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれるスリーブと、前記スリーブの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻と、前記作動流体の圧力が変化することによって、前記シリンダ内筒の内部を往復運動するピストンと、対向して配置される前記シリンダ内筒の内周面と前記ピストンの外周面との間に形成される気体軸受と、を備えることを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記スリーブは、前記シリンダ内筒と比較して、前記スリーブの周方向に対して伸びやすいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記シリンダ内筒を、前記シリンダ内筒の周方向に単位長さ分変形させる際に要する力よりも、前記スリーブを、前記スリーブの周方向に前記単位長さ分変形させる際に要する力の方が小さいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記スリーブには、前記スリーブの中心軸と直交する方向に交差する方向に向かって形成される切り込みが、前記スリーブの周方向に向かって複数設けられることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記スリーブの中心軸と直交する方向における前記スリーブの側周部の寸法は、前記スリーブの中心軸の方向における両端部分よりも中央部分が大きいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記切り込みの幅は、前記スリーブの側周部の厚さよりも小さいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記シリンダ内筒の側壁の外側には、前記スリーブの一方の端部と係合して、前記スリーブの中心軸と平行な方向における前記スリーブの移動を規制するストッパが設けられることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記シリンダ内筒は、前記ヒータと熱的に接続されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記ピストン機関において、前記スリーブは、少なくとも前記作動流体を加熱するヒータを通過した前記作動流体が流出入する前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれることが好ましい。
上述の目的を達成するために、本発明に係るスターリングエンジンは、作動流体を加熱するヒータ、及び前記ヒータと接続されるとともに前記ヒータとの間で前記作動流体が流出入する再生器、及び前記再生器に接続されるとともに前記再生器との間で前記作動流体が流出入するクーラーを含んで構成される熱交換器と、前記ヒータに接続されて前記ヒータとの間で前記作動流体が流出入するシリンダ内筒、及び前記シリンダ内筒よりも熱伝導率が高い材料で構成されるとともに前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれるスリーブ、及び前記スリーブの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻を有するシリンダと、前記作動流体の圧力が変化することによって、前記シリンダ内筒の内部を往復運動するピストンと、対向して配置される前記シリンダ内筒の内周面と前記ピストンの外周面との間に形成される気体軸受と、を含むことを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記スリーブは、前記シリンダ内筒と比較して、前記スリーブの周方向に対して伸びやすいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記シリンダ内筒を、前記シリンダ内筒の周方向に単位長さ分変形させる際に要する力よりも、前記スリーブを、前記スリーブの周方向に前記単位長さ分変形させる際に要する力の方が小さいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記スリーブには、前記スリーブの中心軸と直交する方向に交差する方向に向かって複数の溝が設けられることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記スリーブの中心軸と直交する方向における前記スリーブの側周部の寸法は、前記スリーブの中心軸の方向における両端部分よりも中央部分が大きいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記切り込みの幅は、前記スリーブの側周部の厚さよりも小さいことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記シリンダ内筒の側壁の外側には、前記スリーブの一方の端部と係合して、前記スリーブの中心軸と平行な方向における前記スリーブの移動を規制するストッパが設けられることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記ピストンは、近似直線機構によって支持されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記スターリングエンジンが複数のシリンダ及びピストンを備える場合、少なくとも一つの前記シリンダは、前記ヒータと前記スリーブとが熱的に接続されることが好ましい。
本発明は、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させる構造において、ピストンが熱膨張した場合に、ピストンとシリンダとが接触するおそれを低減できる。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。なお、下記の説明により本発明が限定されるものではない。また、下記の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
以下においては、ピストン機関の一例として外燃機関であるスターリングエンジンを取り上げる。このように、本実施例において、ピストン機関は外燃機関であることが好ましいが、ピストン機関はこれに限定されるものではない。また、以下においては、ピストン機関であるスターリングエンジンを用いて、車両等に搭載される内燃機関が排出する排ガスの熱エネルギーを回収する例、すなわち、内燃機関の排熱回収を例として説明するが、排熱の回収対象は内燃機関に限られない。本実施例においては、例えば、工場やプラント、あるいは発電施設の排熱を回収対象としてもよい。
本実施例は、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させるピストン機関であり、前記ピストン機関の作動流体を加熱するヒータとの間で前記作動流体が流出入するシリンダ内筒を備え、このシリンダ内筒よりも熱伝導率の大きいスリーブを前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込むとともに、前記スリーブの外側にシリンダ外殻を配置して、前記スリーブと前記シリンダ外殻との二重構造でシリンダを構成する点に特徴がある。
図1は、本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンの構成を示す断面図である。図2は、本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持構造を示す説明図である。本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジン100は、いわゆるα型の直列2気筒スターリングエンジンである。直列2気筒とは、スターリングエンジン100の出力軸であるクランクシャフト110の回転軸と平行な方向に、二つのシリンダが並んだ構成である。本実施例において、スターリングエンジン100は、内燃機関の排ガスExを通過させる通路として機能するヒータケース3に熱交換器108を配置して、内燃機関の排ガスExから熱エネルギーを回収する、排熱回収機関として用いられる。
スターリングエンジン100は、高温側シリンダ30H内に収められた高温側ピストン20Hと、低温側シリンダ30L内に収められた低温側ピストン20Lとが直列に、すなわち一列に並んで配置されている。高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとの間には、熱交換器108が配置される。なお、以下において、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとを区別しない場合にはシリンダ30といい、高温側ピストン20Hと低温側ピストン20Lとを区別しない場合にはピストン20という。
高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとは、基準体である基板111に、直接又は間接的に支持、固定されている。本実施例に係るスターリングエンジン100においては、この基板111が、スターリングエンジン100の各構成要素の位置基準となる。このように構成することで、前記各構成要素の相対的な位置精度を確保できる。また、後述するように、本実施例に係るスターリングエンジン100は、高温側シリンダ30Hと高温側ピストン20Hとの間、及び低温側シリンダ30Lと低温側ピストン20Lとの間に気体軸受GBが設けられる。
高温側シリンダ30Hは、筒状(本実施例では円筒状)の構造体であるシリンダ内筒30HRと、筒状(本実施例では円筒状)の構造体であり、シリンダ内筒30HRよりも熱伝導率の高い材料で構成されてシリンダ内筒30HRの外周部に嵌め込まれるスリーブ30HSと、スリーブ30HSの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻であるシリンダブロック30HBと、を有する二重構造で構成される。スリーブ30HSについては後述する。
シリンダ内筒30HRは、内部に高温側ピストン20Hが配置され、これによって、シリンダ内筒30HRの内周面と高温側ピストン20Hの外周面とが対向して配置される。気体軸受GBは、シリンダ内筒30HRと高温側ピストン20Hとの間に形成されており、高温側ピストン20Hは、気体軸受GBでシリンダ内筒30HR内に支持されながら、シリンダ内筒30HRの内部を往復運動する。
シリンダ内筒30HRの内部には、スターリングエンジン100の作動流体が存在する作動空間(高温側作動空間)MSHが形成される。高温側作動空間MSHは、シリンダ内筒30HRの内面と、高温側ピストン20Hの頂面と、ヒータ105の高温側シリンダ30Hと接続される側の端部に設けられるヒータ・シリンダ連結部材120とで囲まれる空間である。ここで、本実施例において、スターリングエンジン100の作動流体は空気である。シリンダ内筒30HRの内部、すなわち高温側作動空間MSHには、作動流体を加熱するヒータ105を通過した作動流体が流入する。また、高温側作動空間MSHからは、ヒータ105へ作動流体が流入する。高温側ピストン20Hは、高温側作動空間MSH内の作動流体の圧力変化によって、シリンダ内筒30HRの内部を往復運動する。
低温側シリンダ30Lは、筒状(本実施例では円筒状)の構造体であるシリンダ内筒30LRと、シリンダ内筒30LRの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻であるシリンダブロック30LBとで構成される。なお、シリンダ内筒30LRを設けず、シリンダ内筒30LRとシリンダブロック30LBとを同一の構造体で構成してもよい。シリンダ内筒30LRは、内部に低温側ピストン20Lが配置されており、これによって、シリンダ内筒30LRの内周面と低温側ピストン20Lの外周面とが対向して配置される。気体軸受GBは、シリンダ内筒30LRと低温側ピストン20Lとの間に形成されており、低温側ピストン20Lは気体軸受GBによってシリンダ内筒30LR内に支持されて、シリンダ内筒30LRの内部を往復運動する。
シリンダ内筒30LRの内部には、スターリングエンジン100の作動流体が存在する作動空間(低温側作動空間)MSLが形成される。低温側作動空間MSLは、シリンダ内筒30LRの内面と、低温側ピストン20Lの頂面と、クーラー107の低温側シリンダ30Lと接続される側の端部に設けられるクーラー・シリンダ連結部材121とで囲まれる空間である。シリンダ内筒30LRの内部、すなわち低温側作動空間MSLには、作動流体を冷却するクーラー107を通過した作動流体が流入する。また、低温側作動空間MSLからは、クーラー107へ作動流体が流入する。低温側ピストン20Lは、低温側作動空間MSL内の作動流体の圧力変化によって、シリンダ内筒30LRの内部を往復運動する。
スターリングエンジン100は、高温側シリンダ30H及び低温側シリンダ30Lを基準体である基板111に間接的に取り付ける。このような構成により、基板111を用いてピストン20とシリンダ30との位置精度を確保して、ピストン20とシリンダ30とのクリアランスを精度よく保持することができる。これによって、気体軸受GBの機能を十分に発揮させることができる。さらに、スターリングエンジン100の組み立ても容易になる。なお、高温側シリンダ30H及び低温側シリンダ30Lを基板111へ直接取り付けてもよい。
高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとの間には、ほぼU字形状のヒータ(加熱器)105と再生器106とクーラー107とで構成される熱交換器108が設けられる。このように、ヒータ105をほぼU字形状にすることによって、内燃機関の排気通路内のような比較的狭い空間にも、ヒータ105を容易に配置できる。また、このスターリングエンジン100のように、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lとを直列に配置することにより、内燃機関の排ガス通路のような筒状の空間にもヒータ105を比較的容易に配置できる。
熱交換器108内、及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR、及び低温側シリンダ30Lのシリンダ内筒30LRには作動流体が封入されている。熱交換器108を構成するヒータ105が高温側シリンダ30H側に配置され、クーラー107が低温側シリンダ30L側に配置される。高温側シリンダ30H側に配置されるヒータ105の端部には、ヒータ・シリンダ連結部材120が取り付けられる。ヒータ・シリンダ連結部材120は、金属のような熱の良導体で構成されており、ヒータ105の一部を構成する。ヒータ・シリンダ連結部材120のヒータ105と接続される側とは反対側の端部は、高温側シリンダ30H、より具体的には高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRに取り付けられる。これによって、ヒータ105は、ヒータ・シリンダ連結部材120を介して高温側シリンダ30Hと接続される。
熱交換器108を構成するヒータ105の両方の端部のうち、高温側シリンダ30Hに接続される側と反対側の端部は、熱交換器108を構成する再生器106に接続される。再生器106の両方の端部のうち、ヒータ105に接続される側とは反対側の端部は、熱交換器108を構成するクーラー107に接続される。低温側シリンダ30L側に配置されるクーラー107の端部には、クーラー・シリンダ連結部材121が取り付けられる。クーラー・シリンダ連結部材121のクーラー107と接続される側とは反対側の端部は、低温側シリンダ30Lに取り付けられる。これによって、クーラー107は、クーラー・シリンダ連結部材121を介して低温側シリンダ30Lと接続される。
このような構成により、スターリングエンジン100の運転中においては、ヒータ105と高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの間、及びヒータ105と再生器106との間、及び再生器106とクーラー107との間、及びクーラー107と低温側シリンダ30Lのシリンダ内筒30LRとの間で作動流体が流出入する。ヒータ105は、スターリングエンジン100の作動流体を加熱する。クーラー107は、作動流体を冷却する。高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR内及び低温側シリンダ30Lのシリンダ内筒30LR内には、熱交換器108を通過した作動流体が流入し、流出する。熱交換器108内の作動流体は、ヒータ105から供給される熱によって加熱され、また、クーラー107で冷却される。これによって、スターリングサイクルが構成され、スターリングエンジン100が駆動される。
上述したヒータ・シリンダ連結部材120は、その外周部に張り出すフランジ120Fを介して基板111へ取り付けられる。これによって、高温側シリンダ30Hは、ヒータ・シリンダ連結部材120を介して基板111へ取り付けられる。また、クーラー・シリンダ連結部材121は、その外周部に張り出すフランジ121Fを介して基板111へ取り付けられる。これによって、低温側シリンダ30Lは、クーラー・シリンダ連結部材121を介して基板111へ取り付けられる。
ここで、例えば、ヒータ105、クーラー107は、熱伝導率が高く耐熱性に優れた材料のチューブを複数束ねて構成することができる。クーラー107は空冷としてもよいし、水冷としてもよい。また、再生器106は、例えば、多孔質の蓄熱体で構成する。なお、ヒータ105、クーラー107及び再生器106の構成は、この例に限られるものではなく、排熱回収対象の熱条件やスターリングエンジン100の仕様等によって、好適な構成を選択できる。
上述したように、高温側ピストン20Hと低温側ピストン20Lとは、高温側シリンダ30Hと低温側シリンダ30Lの内部に気体軸受GBを介して支持されている。すなわち、ピストンリングを介さず、潤滑油を用いないで、ピストンをシリンダ内に支持する構造である。これによって、ピストン20とシリンダ30との間の摩擦を低減して、スターリングエンジン100の効率を向上させることができる。また、ピストン20とシリンダ30との摩擦を低減することにより、例えば、内燃機関が排出する排ガスの熱エネルギーを回収する場合のような、低温の熱源かつ低温度差の運転条件下でスターリングエンジン100を使用する場合でも、スターリングエンジン100により排ガスから熱エネルギーを回収できる。
気体軸受GBを構成するため、図2に示すように、高温側ピストン20H、低温側ピストン20Lとシリンダ内筒30HR、30LRとの間には、所定のクリアランスtcを設ける。クリアランスtcは、ピストン20の全周にわたって数μm〜数10μmとする。高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの往復運動は、コネクティングロッド61によって出力軸であるクランクシャフト110に伝達され、ここで回転運動に変換される。
ここで、気体軸受GBは、ピストン20の直径方向(横方向、スラスト方向)の力に耐える能力(負荷能力)が低いため、ピストン20のサイドフォースFsを実質的に0にすることが好ましい。このため、シリンダ30の軸線(中心軸)に対するピストン20の直線運動精度を高くする必要がある。これを実現するため、本実施例において、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lは、図2に示す近似直線機構(例えばグラスホッパ機構)60によって支持される。これによって、近似直線機構60によってサイドフォースFsの大部分を支持し、ピストン20の往復運動が近似直線運動から外れる際に発生する分のサイドフォースFsを気体軸受GBによって支持する。本実施例では、近似直線機構60にグラスホッパ機構を用いる。以下、近似直線機構60をグラスホッパ機構60という。
このような構成により、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lは、近似直線機構60によってほぼ直線状に往復運動するとともに、この往復運動がコネクティングロッド61を介してクランクシャフト110に伝達される。これにより、近似直線機構60によって支持された高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの往復運動は、クランクシャフト110によって回転運動に変換され、スターリングエンジン100の動力として取り出される。すなわち、スターリングエンジン100は、近似直線機構60によって支持される高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの往復運動を、クランクシャフト110で回転運動に変換することによって動力を発生するものである。
グラスホッパ機構60は、一端部がスターリングエンジン100の筐体100Cへ回動可能に取り付けられる第1腕62と、同じく一端部がスターリングエンジン100の筐体100Cへ回動可能に取り付けられる第2腕63と、一端部がコネクティングロッド61の端部と回動可能に連結され、他端部が第2腕63の他端部と回動可能に連結される第3腕64とで構成される。コネクティングロッド61は、クランクシャフト110と回動可能に取り付けられる端部とは異なる端部が、第3腕64の端部と回動可能に連結される。また、第1腕62の他端部は、第3腕63の両端部の間に、回動可能に連結される。
このようなグラスホッパ機構60を用いれば、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lをほぼ直線状に往復運動させることができる。その結果、ピストン20のサイドフォースFsがほとんど0になるので、負荷能力の小さい気体軸受GBによっても十分にピストン20を支持できる。なお、ピストン20を支持する近似直線機構はグラスホッパ機構に限られるものではなく、ワットリンク等を用いてもよい。
ここで、グラスホッパ機構60は、他の直線近似機構に比べて、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の寸法が小さくて済むため、スターリングエンジン100の全体がコンパクトになるという利点がある。特に、スターリングエンジン100を車両に搭載されて動力発生源となる内燃機関の排熱回収に用い、内燃機関の排ガスの通路に熱交換器108を配置するというような、限られたスペースにスターリングエンジンを設置する場合、スターリングエンジン100の全体がコンパクトである方が設置の自由度は向上する。また、グラスホッパ機構60は、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の質量が他の機構よりも軽量で済むため、熱効率を向上させる点で有利である。さらに、グラスホッパ機構60は、機構の構成が比較的簡単であるため、製造・組み立てが容易であり、また製造コストも低減できるという利点もある。
図1に示すように、スターリングエンジン100を構成する高温側ピストン20H、コネクティングロッド61、クランクシャフト110等の構成要素は、筐体100Cに格納される。ここで、筐体100Cは、クランクケース114Aと、シリンダブロック30HB、30LBと、筐体補強部材114Bとを含んで構成される。
本実施例において、スターリングエンジン100の筐体100Cを構成するクランクケース114A内には気体が充填される。本実施例において、前記気体は、スターリングエンジン100の作動流体と同一(本実施例では空気)である。クランクケース114A内に充填される気体は、圧力調整手段であるポンプ115により加圧される。ポンプ115は、例えば、スターリングエンジン100の排熱回収対象である内燃機関によって駆動してもよいし、例えば電動機のような駆動手段を用いて駆動してもよい。
スターリングエンジン100は、ヒータ105とクーラー107との温度差が同じ場合、作動流体の平均圧力が高い程、高温側と低温側との圧力差が大きくなるので、より高い出力が得られる。スターリングエンジン100は、クランクケース114A内に充填される気体を加圧することにより、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL内の作動流体を高圧に保持して、スターリングエンジン100からより多くの出力を取り出すように構成してある。これによって、排熱回収のように低質な熱源しか用いることができない場合でも、より多くの出力をスターリングエンジン100から取り出すことができる。ここで、スターリングエンジン100の出力は、クランクケース114A内に充填される気体の圧力にほぼ比例して大きくなる。
スターリングエンジン100は、クランクケース114Aにシール軸受116が取り付けられており、クランクシャフト110はシール軸受116により支持される。スターリングエンジン100は、クランクケース114A内に充填される気体を加圧するが、シール軸受116により、筐体100C内に充填される気体の漏れを最小限に抑えることができる。クランクシャフト110の出力は、例えば、オルダムカップリングのようなフレキシブルカップリング119を介してクランクケース114Aの外部へ取り出される。なお、クランクケース114Aの内部と外部との間に、クランクシャフト110と連結される磁気カップリングを設け、これを介してクランクシャフト110の出力をクランクケース114Aの外部へ取り出してもよい。
図1、図2に示すように、本実施例においては、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの側周部に設けた給気口HEから気体(本実施例では作動流体と同じ空気)Aを吹き出して、気体軸受GBを形成する。図1、図2に示すように、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの内部には、それぞれ高温側ピストン内空間20HI及び低温側ピストン内空間20LIが形成される。
高温側ピストン20Hには、高温側ピストン内空間20HIへ気体Aを供給するための気体導入口HIが設けられており、低温側ピストン20Lには、低温側ピストン内空間20LIへ気体Aを供給するための気体導入口HIが設けられている。それぞれの気体導入口HIには、気体供給管118が接続されている。気体供給管118の一端は、気体軸受用ポンプ117に接続されており、気体軸受用ポンプ117から吐出される気体Aを高温側ピストン内空間20HI及び低温側ピストン内空間20LIへ導く。
高温側ピストン内空間20HI及び低温側ピストン内空間20LIへ導入された気体Aは、高温側ピストン20H及び低温側ピストン20Lの側周部に設けた給気口HEから流出して、気体軸受GBを形成する。なお、この気体軸受GBは、静圧気体軸受であるが、本実施例において、気体軸受GBの構造はこれに限定されるものではなく、動圧気体軸受であってもよい。
図3は、本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備える高温側シリンダの構成を示す説明図である。図3は、高温側ピストン20HがTDC(Top Dead Center:上死点)にある状態を示してある。また、図3は、図1に示すスターリングエンジン100の高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hを示している。
図4−1、図4−2は、高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との位置関係を示す模式図である。図4−3は、高温側ピストンの温度と高温側シリンダ内筒の温度とを示す模式図である。図4−4は、本実施例に係るスターリングエンジンが備える高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との位置関係を示す模式図である。図4−5は、本実施例に係るスターリングエンジンが備える高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との温度を示す模式図である。
図4−1〜図4−5の縦軸Hは、図1に示す高温側シリンダ30Hの中心軸方向における位置を示す。H3は、高温側ピストン20HがTDCにきたときにおける高温側ピストン20Hの頂面20Tの位置であり、H1は、高温側ピストン20HがTDCにきたときにおける高温側ピストン20Hの頂面20Tとは反対側の端部の位置である。H0は、高温側ピストン20HがBDC(Bottom Dead Center:下死点)にきたときにおける高温側ピストン20Hの頂面20Tとは反対側の端部の位置である。また、図4−1、図4−2、図4−4の横軸は、図1に示す高温側シリンダ30Hの中心軸から、前記中心軸と直交する方向に向かう距離を示す。また、図4−3、図4−5の横軸は、高温側ピストン20Hあるいは高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの温度を示す。
図5は、ヒータ・シリンダ連結部材を高温側作動空間側から見た平面図である。図6は、高温側シリンダを構成するシリンダ内筒にスリーブを取り付けた状態を示す断面図である。本実例に係るピストン及びシリンダの構成は、特に高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hに適用することが好ましいが、図1に示す低温側ピストン20L及び低温側シリンダ30Lに適用してもよい。
高温側ピストン20Hは、高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRの内部に配置される。高温側シリンダ30Hの中心軸、及びシリンダ内筒30HRの中心軸、及びシリンダ内筒の外周部に取り付けられるスリーブ30HS、及び高温側ピストン20Hの中心軸はいずれもZcである。高温側ピストン20Hの頂面20Tは、ヒータ105で加熱された高温の作動流体と接触するので熱膨張する。図1に示すスターリングエンジン100は、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRとの間に気体軸受GBを設けるため、両者のクリアランスtcは数μm〜数10μmと小さく設定されている。このため、高温側ピストン20Hが径方向に熱膨張すると、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれがある。
そこで、本実施例では、高温側ピストン20Hの頂面20Tから所定位置Kpまでの距離L1の部分における直径D1を、所定位置Kpから頂面反対側端部20Bまでの距離L2の部分における直径D2よりも小さくしてある。また、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRは、シリンダ内筒支持部32のヒータ105側における端部(ヒータ側端部)32Tから所定位置Kcまでの部分における内径Dihが、所定位置Kcからシリンダ内筒30HRの反ヒータ側端部31までの部分における内径Diよりも大きく構成される。ここで、高温側ピストン20HがTDCにあるときに、高温側ピストン20Hの所定位置Kpと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの所定位置Kcとがほぼ一致するように構成される。ここで、上述した所定位置Kpをピストン側段差部といい、所定位置Kcをシリンダ側段差部という。
これによって、高温側ピストン20HがTDCにあるときには、高温側ピストン20Hの頂面20Tからピストン側段差部Kpまでにおける高温側ピストン20Hと、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとのクリアランスtchが、ピストン側段差部Kpから頂面反対側端部20Bまでにおける高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの内周面33とのクリアランスtcよりも大きくなる。このような構成により、高温側ピストン20Hの頂面20Tの近傍が径方向へ熱膨張しても、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれを低減できる。また、クリアランスtchは(Dih−D1)/2であり、クリアランスtcは、(Di−D2)/2である。なお、ピストン側段差部Kp、シリンダ側段差部Kcをスターリングエンジン100に設ける場合、ピストン側段差部Kpとシリンダ側段差部Kcとの少なくとも一方を設ければよい。
図1に示すスターリングエンジン100の運転中、上述したように、高温側ピストン20Hの頂面20Tには、例えば、内燃機関の排ガスExによってヒータ105で加熱された作動流体が接触する。作動流体の熱は、高温側ピストン20Hの頂面20Tから頂面と接続する側周面20Sへ流れ、その結果、スターリングエンジン100の運転時には、停止時と比較して高温側ピストン20Hの温度が上昇する。これによって、スターリングエンジン100の運転時において、高温側ピストン20Hは頂面20Tから頂面反対側端部20Bにわたって径方向へ膨張する。
一方、高温側ピストン20Hが格納される高温側シリンダ30Hは、外側が大気と接触する。このため、高温側シリンダ30Hの温度は、高温の作動流体が流入する内部(すなわち図1に示す高温側作動空間MSH)よりも外側の方が低くなる。これによって、高温側ピストン20Hの側周面20Sと対向する高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRの温度が高温側ピストン20Hよりも低くなり、高温側ピストン20Hの径方向への熱膨張よりも、シリンダ内筒30HRの径方向への熱膨張の方が小さくなる。このように、高温側ピストン20Hの熱膨張と高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの熱膨張との差(以下、ピストン−シリンダ間熱膨張差という)が発生することにより、当初設定していた高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとのクリアランスが減少し、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれがある。
本実施例では、高温側ピストン20Hの温度と高温側シリンダ30H(より具体的には、高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HR)の温度との差(以下、ピストン−シリンダ間温度差という)を低減する構成とする。これによって、ピストン−シリンダ間熱膨張差が低減するので、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hとが接触するおそれをより確実に低減できる。次に、ピストン−シリンダ間温度差を低減する構成について説明する。
高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの接触を回避するためには、高温側ピストン20H及びシリンダ内筒30HRを熱膨張率が小さく、かつ高温側ピストン20Hの熱膨張率とシリンダ内筒30HRの熱膨張率とが近い値の材料を用いることが好ましい。これによって、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの間で、熱膨張の大きさは同程度となるとともに熱膨張が抑制されるので、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれを低減できる。本実施例では、高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRを、例えば、ステンレス鋼で構成する。
ところで、一般に、熱膨張率の小さい材料は、熱伝導率も小さい。このため、高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRは、高温側シリンダ30Hの中心軸、すなわちシリンダ内筒30HRの中心軸(シリンダ中心軸)Zcと平行な方向に温度差が発生しやすい。このため、図4−1に示すように、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとを組み付けた時点では、両者の間で所定のクリアランス(数μm〜数10μm)が確保されていても、スターリングエンジン100に対する熱負荷が大きい場合、すなわち、スターリングエンジン100の排熱回収対象である内燃機関の排ガスの温度が高い場合には、図4−3に示すように、高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに、シリンダ中心軸Zcと平行な方向の温度差(以下シリンダ軸方向温度差という)が発生する。ここで、図4−3中のTpで示す実線が高温側ピストン20Hの温度であり、Tcで示す破線が高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの温度である。
シリンダ軸方向温度差によって、高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRは、ヒータ105から遠ざかるにしたがって径方向の熱膨張が小さくなる。その結果、図4−2に示すように、高温側ピストン20HがBDCへ向かうときに、高温側ピストン20H(特に高温側ピストン20Hの直径が最も大きくなる部分であり、ピストン側段差部Kp)と高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとがCPで接触するおそれがある。
この場合、図4−3において、高温側ピストン20Hのピストン側段差部Kpにおける温度はTp1であり、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRのH=Hcpにおける温度はTc1である。このとき、Tp1>Tc1であり、両者の温度差はΔT=(Tp1−Tc1)となる。この温度差ΔTにより、高温側ピストン20Hの熱膨張に比較して、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの熱膨張が小さくなるため、シリンダ中心軸方向位置Hcpで、高温側ピストン20Hのピストン側段差部Kpと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれがある。
本実施例では、ピストン−シリンダ間温度差のうち、まず、シリンダ軸方向温度差を低減し、シリンダ軸方向温度差に起因して両者が接触するおそれを回避する。このため、本実施例では、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの外周部に、シリンダ内筒30HRよりも熱伝導率の高い材料で構成されるスリーブ30HSを嵌め込む。高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに熱膨張率が低いために熱伝導率の低い材料を用いた場合、シリンダ軸方向温度差が発生するが、シリンダ内筒30HRの温度が高い部分の熱がスリーブ30HSを通ってシリンダ内筒30HRの温度が低い部分へ移動する。これによって、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるシリンダ内筒30HRの温度の均一化が図られるので、シリンダ内筒30HRのシリンダ軸方向温度差が低減される。また、シリンダ内筒30HRのシリンダ軸方向温度差が低減されると、高温側ピストン20Hのシリンダ軸方向温度差も低減される。
その結果、図4−5に示すように、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの温度差、及び高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRのシリンダ軸方向温度差が低減される。これによって、図4−4に示すように、スターリングエンジン100に対する熱負荷が大きい場合であっても、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとのクリアランスが、シリンダ中心軸Zcと平行な方向にわたって、設計上設定した大きさにほぼ維持されるので、両者が接触するおそれを低減できる。
スリーブ30HSは、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRを構成する材料(本実施例ではステンレス鋼)よりも熱伝導率の高い材料であればよい。このような材料としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金、マグネシウムやマグネシウム合金等を用いることができる。スリーブ30HSは、例えば、加熱したスリーブ30HSを高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに嵌め込む焼き嵌めや、冷却したシリンダ内筒30HRにスリーブ30HSを嵌め込む冷やし嵌めによってシリンダ内筒30HRに取り付けられる。
本実施例では、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRを熱膨張率の低い材料(例えばステンレス鋼)を用いてシリンダ内筒30HRの熱膨張を抑制しつつ、スリーブ30HSでシリンダ内筒30HRのシリンダ中心軸Zcと平行な方向における伝熱を確保する。このように、高温側シリンダ30Hは、シリンダ内筒30HRに熱膨張の抑制機能を発揮させ、スリーブ30HSにシリンダ中心軸Zcと平行な方向の伝熱促進機能を発揮させて、それぞれの機能を分担させる。これによって、高温側シリンダ30Hは、シリンダ内筒30HRの熱膨張を抑制し、かつシリンダ中心軸Zcと平行な方向の温度差を低減できるので、高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとのクリアランスを設計上設定した大きさに維持して、両者が接触するおそれをより低減できる。
上記説明では、図3に示すように、スターリングエンジン100がピストン側段差部Kp及びシリンダ側段差部Kcを備える場合を例とした。しかし、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに、これよりも熱伝導率の高いスリーブ30HSを取り付けることによって、ピストン側段差部Kp及びシリンダ側段差部Kcをスターリングエンジン100が備えない場合であっても、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれを低減できる。
さらに、本実施例では、シリンダ中心軸Zcと直交する方向のピストン−シリンダ間温度差を低減する。このため、本実施例では、高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRの外周部に嵌め込まれるスリーブ30HSの外周部の外側に、所定の間隔を設けてシリンダブロック30HBを配置する。これによって、高温側シリンダ30Hは、スリーブ30HSの外周部の外側に、所定の間隔をもってシリンダブロック30HBが配置される二重構造で構成される。スリーブ30HSとシリンダブロック30HBとの間に所定の間隔を設けることにより、シリンダ内筒30HRの外周部に嵌め込まれたスリーブ30HSの外周部とシリンダブロック30HBの内周面35との間(すなわち、スリーブ30HSの外側)には気体層(本実施例では空気層)GRが形成されるとともに、シリンダ内筒30HRとシリンダブロック30HBとは非接触となる。
この気体層GRが断熱層として機能するので、シリンダ内筒30HRからシリンダブロック30HBへの放熱量を大幅に抑制できる。これによって、シリンダ内筒30HRの温度低下が抑制される。その結果、ピストン−シリンダ間温度差を低減できるので、ピストン−シリンダ間熱膨張差が低減する。そして、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hとのクリアランスは設定した値に維持されるので、両者が接触するおそれを低減できる。これによって、気体軸受GBの機能を安定して発揮させることができる。なお、気体層GRの代わりに、シリンダ内筒30HRの外周面34とシリンダブロック30HBの内周面35との間に、例えば、多孔質のセラミックで構成される断熱材を配置してもよい。
ここで、本実施例では、シリンダブロック30HBと筐体補強部材114Bとの間にガスケット40が設けられる。これによって、シリンダブロック30HBと筐体補強部材114Bとを密封して、クランクケース114Aの気密を確保する。また、ガスケット40に断熱材としての機能を持たせてもよい。これによって、シリンダブロック30HBから筐体補強部材114Bやクランクケース114Aへの伝熱が抑制されて、筐体補強部材114B側におけるシリンダブロック30HBの温度低下が抑制される。その結果、シリンダ内筒30HRのクランクケース114A側におけるシリンダ内筒30HRからシリンダブロック30HBへの放熱を抑制できるという利点がある。
上述した構成により、シリンダ内筒30HRの反ヒータ側端部31は、シリンダブロック30HBと非接触となっている。シリンダブロック30HBは、ヒータ105から離れるにしたがって温度が低くなるが、シリンダブロック30HBの内側に気体層を介して配置されるシリンダ内筒30HRの温度低下は、シリンダブロック30HBよりも小さい。このため、シリンダ内筒30HRとシリンダブロック30HBとの温度差は、シリンダ内筒30HRの反ヒータ側端部31で最も大きくなる。したがって、本実施例では、反ヒータ側端部31をシリンダブロック30HBと非接触とすることで両者間の伝熱を遮断する。これによって、シリンダ内筒30HRの温度低下を抑制して、シリンダ中心軸Zcと直交する方向におけるピストン−シリンダ間温度差を低減する。その結果、シリンダ中心軸Zcと直交する方向に向かう高温側ピストン20H及び高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの熱膨張を同程度にできるので、両者が接触するおそれを低減できる。
さらに、本実施例では、高温側シリンダ30Hを構成するシリンダ内筒30HRを、作動流体を加熱するヒータ105と熱的に接続する。すなわち、シリンダ内筒30HRは、ヒータ105を延長したような構造となる。ここで、熱的に接続するとは、シリンダ内筒30HRとヒータ105とを、伝熱構造を介して接続し、ヒータ105の熱がシリンダ内筒30HRへ良好に伝わるように構成することである。
伝熱構造としては、シリンダ内筒30HRとヒータ105とを接続する部分を金属材料のような熱の良導体で構成して両者を接続したり、さらに両者の間に熱の良導体(例えば銀ペーストや銅ペーストのような金属ペースト)を介在させたりする構造がある。また、他の伝熱構造としては、例えば、シリンダ内筒30HRとヒータ105との間に伝熱性に優れた材料を介在させて両者を接続したり、熱の良導体である金属材料で構成した伝熱部材を介して両者を接続したりする構造がある。さらに、シリンダ内筒30HRとヒータ105とを同一の構造体とする構造も本実施例の伝熱構造に該当する。
これによって、例えば、排ガスExで加熱されるヒータ105の熱が熱伝導によってシリンダ内筒30HRに伝わる。シリンダ内筒30HRは、例えば金属のような熱伝導率の高い材料で構成されるので、ヒータ105の熱が効率よくシリンダ内筒30HRへ伝わる。これによって、ヒータ105によってシリンダ内筒30HRに熱が与えられるので、シリンダ内筒30HRの温度低下が抑制される。その結果、ピストン−シリンダ間温度差を低減できるので、ピストン−シリンダ間熱膨張差が低減する。そして、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれがさらに低減されて、気体軸受GBの機能が安定して発揮される。
本実施例では、スリーブ30HSを高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに取り付ける構造により、シリンダ軸方向温度差を低減して、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとのクリアランスをシリンダ中心軸Zcと平行な方向にわたってほぼ一定に維持し、両者が接触するおそれを低減する。また、本実施例では、高温側シリンダ30Hを上述したような二重構造とすることにより、シリンダ中心軸Zcと直交する方向におけるピストン−シリンダ間温度差を低減し、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの熱膨張を同程度にして、両者が接触するおそれを低減する。また、シリンダ内筒30HRとヒータ105とを熱的に接続する構造で、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの温度低下を抑制することにより、ピストン−シリンダ間温度差を低減し、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとの熱膨張を同程度にして、両者が接触するおそれを低減する。
本実施例では、上述した3構造をそれぞれ単独で用いても、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれを低減できる。しかし、3構造のうち、スリーブ30HSを高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRに取り付ける構造と残りの2構造のうち少なくとも一つとを組み合わせることにより、より効果的に高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとが接触するおそれを低減できる。その結果、両者の接触が回避できるので、スターリングエンジン100の運転中においては、気体軸受GBの機能を安定して発揮させることができる。
本実施例において、シリンダブロック30HBは、高温側シリンダ30Hの中心軸Zcと平行な方向の力(シリンダ軸力)や、高温側シリンダ30Hに作用する曲げモーメント等を支持する構造部材である。このため、シリンダブロック30HBは、シリンダ軸力や前記曲げモーメントに耐え得るように肉厚を厚くして、強度を確保している。一方、シリンダ内筒30HRは、内部に存在する作動流体の圧力を受け、シリンダ軸力や前記曲げモーメントは受けない。したがってシリンダ内筒30HRの肉厚は、その内部に存在する作動流体の圧力にのみ耐え得る程度の厚さとすればよい。
一般に、円筒形状は内圧に対して強く、肉厚を薄くしても相当の内圧に耐える。したがって、シリンダ内筒30HRは薄肉構造とすることができる。これによって、シリンダ内筒30HRの熱容量が小さくなるので、ヒータ105からシリンダ内筒30HRへ伝熱する熱の変化に対する応答性が向上する。これによって、ヒータ105の温度が変化して高温側ピストン20Hと接触する作動流体の温度が変化しても、ヒータ105の温度変化に追従してシリンダ内筒30HRの温度も迅速に変化するので、ピストン−シリンダ間温度差が迅速に低減される。その結果、ヒータ105の温度が変化しても、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hとのクリアランスが設定された値に維持されるので、気体軸受GBの機能が確実に発揮される。
高温側シリンダ30Hにおいて、少なくとも気体軸受GBが形成され得る部分(気体軸受部)GBAは、シリンダ内筒30HR外周部に嵌め込まれるスリーブ30HSの外側に、所定の間隔をもってシリンダブロック30HBを配置した二重構造とすることが好ましい。これによって、気体軸受部GBAでは、ピストン−シリンダ間温度差の低減によりピストン−シリンダ間熱膨張差が低減するので、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hとのクリアランスは、より確実に設定した値に維持されて、気体軸受GBの機能が発揮される。
気体軸受部GBAは、高温側ピストン20Hの一行程において、気体軸受GBを形成するために必要な、高温側ピストン20Hと高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRとのクリアランスtc(数μm〜数十μm)が形成され得る部分である。図3に示す構成では、高温側ピストン20Hの中心軸、すなわち、シリンダ30中心軸Zcと平行な軸と平行な方向において、高温側ピストン20HがTDCにあるときのピストン側段差部Kpと、シリンダ内筒30HRの反ヒータ側端部31との間の部分が気体軸受部GBAである。
なお、図1に示すスターリングエンジン100のように、複数のシリンダ及びピストンを備える場合、少なくとも一つのシリンダは、スリーブとヒータとを熱的に接続するとともに、スリーブ30HSの外側にシリンダブロック30HBを所定の間隔をもって配置した二重構造で構成する。本実施例では、上述したように、この構造を図1に示すスターリングエンジン100の高温側シリンダ30Hに採用するが、低温側シリンダ30Lに採用してもよい。
本実施例において、図3、図6に示すように、シリンダ内筒30HRは、ヒータ105側の端部にシリンダ内筒支持部32が設けられる。本実施例では、シリンダ内筒30HRとシリンダ内筒支持部32とは同一の構造体として一体で構成されるが、両者を別個の構造体として構成し、スターリングエンジン100に組み付けるときに一体としてもよい。本実施例において、シリンダ内筒30HRとシリンダ内筒支持部32とは、同一の材料で構成される。本実施例においては、シリンダ内筒30HRは、熱の導体であるステンレス鋼で構成されるので、シリンダ内筒支持部32もステンレス鋼で構成される。
シリンダ内筒30HRの中心軸方向(図3のシリンダ中心軸Zcの方向)における寸法はLr2であり、シリンダ内筒支持部32の中心軸方向における寸法はLr1である。そして、シリンダ内筒30HRの中心軸方向におけるシリンダ内筒30HRとシリンダ内筒支持部32との寸法はLr=Lr1+Lr2となる。
シリンダ内筒支持部32は、シリンダ内筒30HRが設けられる側とは反対側の端部(すなわち、ヒータ側端部)32Tが、ヒータ105を構成するヒータ・シリンダ連結部材120のヒータ反対側端部120Bと接触し、熱的に接続される。これによって、シリンダ内筒30HRは、シリンダ内筒支持部32を介してヒータ105と熱的に接続される。上述したように、シリンダ内筒支持部32は熱の導体で構成されるので、シリンダ内筒30HRは、ヒータ105と熱的に接続されることになる。
本実施例において、ヒータ105は、作動流体が通過するチューブを複数束ねて構成される。図5に示すように、ヒータ・シリンダ連結部材120には、前記チューブの開口部105TUが複数設けられる。この開口部105TUから作動流体がシリンダ内筒30HRの内部へ出入りする。
図3に示すように、シリンダ内筒支持部32は、シリンダ内筒30HRとシリンダブロック30HBとの間に所定の間隔を設けて、シリンダ内筒30HRをシリンダブロック30HBの内部に保持する。本実施例では、シリンダブロック30HBのヒータ105側における端部にシリンダ内筒支持部32が取り付けられる。シリンダブロック30HBのヒータ105側における端部は開口部を有するとともに、前記端部には段部が形成されている。すなわち、開口部に近い方が内径は大きく形成される。
ここで、シリンダ内筒支持部32とシリンダブロック30HBとの間に断熱部材を設けてもよい。これによって、シリンダ内筒支持部32を通ってシリンダブロック30HBへ伝わるヒータ105の熱を抑制できるので、ヒータ105の熱がシリンダ内筒30HRへ伝わる割合が増加する。その結果、シリンダ内筒30HRの温度低下をより効果的に抑制して、ピストン−シリンダ間温度差をより効果的に低減できる。
シリンダ内筒30HRの径方向における肉厚trは、シリンダ内筒支持部32の径方向における肉厚やシリンダブロック30HBの肉厚に対して小さくしてある。例えば、ヒータ105の温度が変化すると、作動流体の温度が変化し、これにしたがって高温側ピストン20Hの温度も変化する。ヒータ105の温度が変化すると、ヒータ105からシリンダ内筒30HRへの伝熱量も変化するが、シリンダ内筒30HRの肉厚trを小さくすることにより、シリンダ内筒30HRが昇温しやすくなるので、シリンダ内筒30HRの温度は前記伝熱量の変化に迅速に対応して変化する。その結果、高温側ピストン20Hの温度及びシリンダ内筒30HRの温度は同じように変化するので、ピストン−シリンダ間温度差の変化が抑制される。これによって、高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとのクリアランスの変化が抑制されるので、スターリングエンジン100を安定して運転できる。
スリーブ30HSは、シリンダ内筒30HRの外周部に嵌め込まれてシリンダ内筒30HRの外周面34とスリーブ30HSの内周面30HSIとが接する。スリーブ30HSのシリンダ内筒支持部32側における端部(シリンダ内筒支持部側端部)32TIは、シリンダ内筒支持部32と当接する。これによって、シリンダ内筒支持部32は、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるスリーブ30HSの移動を規制する。このように、シリンダ内筒支持部32は、スリーブ30HSのストッパとして機能する。
スターリングエンジン100の運転中には、スリーブ30HSの温度が上昇し、スターリングエンジン100の運転を停止した後は、スリーブ30HSの温度が低下する。これによって、スリーブ30HSには、シリンダ中心軸Zcと平行な方向に対して熱伸び、縮みが発生するが、この伸縮によってスリーブ30HSがシリンダ中心軸Zcと平行な方向に移動して、スリーブ30HSとシリンダ内筒30HRとの位置関係にずれが発生するおそれがある。本実施例のように、スリーブ30HSのストッパを設けることにより、スリーブ30HSの前記移動が規制されるので、スリーブ30HSとシリンダ内筒30HRとの位置関係が保持される。その結果、スリーブ30HSの伝熱機能を確実に発揮させて、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるシリンダ内筒30HRの温度差を抑制できる。
また、本実施例では、シリンダ内筒支持部32のみをスリーブ30HSのストッパとして用い、シリンダ内筒30HRのシリンダ内筒支持部32とは反対側には前記ストッパを設けない。これによって、スリーブ30HSをシリンダ内筒支持部32に取り付ける場合には、シリンダ内筒30HRのシリンダ内筒支持部32とは反対側からスリーブ30HSをシリンダ内筒30HRに嵌め込めばよいので、高温側シリンダ30Hの組み立て作業が容易になる。
図7−1は、本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備えるスリーブの構成を示す側面図である。図7−2は、図7−1のA−A断面図であり、図7−3は、図7−1のB−B断面図である。図7−1、図7−2に示すように、スリーブ30HSには、シリンダ中心軸(すなわち、スリーブ30HSの中心軸)Zcと平行な方向に向かって形成される切り込み36A、36Bが、スリーブ30HSの周方向(図7−2、図7−3の矢印Cで示す方向)に向かって複数設けられる。しかし、切り込み36A、36Bが形成される方向はこれに限定されるものではなく、切り込み36A、36Bが形成される方向は、シリンダ中心軸Zcと平行な方向に対して傾斜していてもよい。すなわち、複数の切り込み36A、36Bが形成される方向は、シリンダ中心軸Zcと直交する方向に交差する方向に向かっていればよい。
切り込み36A、36Bは、スリーブ30HSの側周部37の厚さ方向に貫通する。そして、切り込み36Aは、スリーブ30HSの側周部からスリーブ30HSの両方の端部30HST1、30HST2に開口し、切り込み36Bは、スリーブ30HSの両方の端部30HST1、30HST2には開口を有さない。このように、スリーブ30HSに複数の切り込み36A、36Bを形成することにより、スリーブ30HSを、スリーブ30HSの周方向に単位長さ分変形させる際に要する力を調整して、切り込み36A、36Bを設けない場合よりも小さくできる。これによって、スリーブ30HSを、スリーブ30HSの周方向に単位長さ分変形させる際に要する力Fssを、シリンダ内筒30HRの周方向にシリンダ内筒30HRを前記単位長さ分変形させる際に要する力Fcよりも小さくする。すなわち、スリーブ30HSの周方向におけるばね剛性を、シリンダ内筒30HRの周方向におけるばね剛性よりも小さくする。これは、スリーブ30HSは、シリンダ内筒30HRと比較して、スリーブ30KSの周方向に対して伸びやすいということである。このように構成する理由を説明する。なお、シリンダ内筒30HRを前記単位長さ分変形させる際に要する力Fcは、スリーブ30HSが嵌め込まれている領域での値とする。
図8−1、図8−2は、高温側シリンダの環境温度とシリンダ内筒の内径及びスリーブを取り付けたシリンダ内筒の内径との関係を示す概念図である。図8−1、図8−2中のTは、図1に示すスターリングエンジン100の高温側シリンダ30H、より詳しくは、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR及びスリーブ30HSの環境温度Tを示す。また、図8−1、図8−2の縦軸Dは、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRの内径を示し、実線Dcは、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR単体での内径を示し、破線Dcsは、シリンダ内筒30HRの外周部にスリーブ30HSを嵌め込んだときにおけるシリンダ内筒30HRの内径を示す。ここで、説明の便宜上、スリーブ30HSを嵌め込んだときにおけるシリンダ内筒30HRを、スリーブ装着時シリンダ内筒30HRという。
スターリングエンジン100の高温側シリンダ30Hは、スターリングエンジン100の冷間時から運転時を想定すると、最低温度TLから最高温度THまで温度が変化する。TLはおよそ−数10℃程度であり、THは数100℃程度である。TSは、シリンダ内筒30HRにスリーブ30HSを嵌め込む際の温度であり、室温程度である。本実施例では、図8−1、図8−2に示すように、高温側シリンダ30Hの環境温度が最高温度THにおいて、スリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsが、シリンダ内筒30HR単体の内径Dcよりも小さくなるように、シリンダ内筒30HR及びスリーブ30HSが設計される。これによって、想定される高温側シリンダ30Hの環境温度の全範囲にわたって、スリーブ30HSには引っ張り応力を、シリンダ内筒30HRには圧縮応力を発生させる。その結果、高温側シリンダ30Hの環境温度が最高温度THになったときにおいても、シリンダ内筒30HRからスリーブ30HSの脱落が回避される。
上述したように、スリーブ30HSは、シリンダ内筒30HRよりも熱伝導率が大きい材料であり、一般に熱伝導率の大きい材料は熱膨張率も大きいため、スリーブ30HSは、シリンダ内筒30HRよりも熱膨張率が大きくなる。このように、スリーブ30HSとシリンダ内筒30HRとを熱伝導率の異なる材料で構成すると、両者には熱膨張差が発生する。スリーブ30HSに切り込み36A、36Bを設けない場合には、高温側シリンダ30Hの環境温度がTHからTLに変化すると、スリーブ30HSとシリンダ内筒30HRとの熱膨張差に起因して、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR単体の内径Dc、及びスリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsは、図8−1に示すように変化する。
このように、スリーブ30HSに切り込み36A、36Bを設けない場合には、高温側シリンダ30Hの環境温度が低下するにしたがって、スリーブ30HSに発生する引っ張り応力、及びシリンダ内筒30HRに発生する圧縮応力は増加して、スリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsが小さくなる。なお、シリンダ内筒30HR単体での内径Dcとスリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsとの差が大きくなるほど、スリーブ30HSに発生する引っ張り応力及びシリンダ内筒30HRに発生する圧縮応力が大きくなる。
スリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsが小さくなると、図1、図3に示す高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとのクリアランスが小さくなるので、両者が接触するおそれが高くなる。このため、本実施例では、スリーブ30HSに複数の切り込み36A、36Bを形成する。これによって、スリーブ30HSの周方向にスリーブ30HSを単位長さ分変形させる際に要する力Fssを、シリンダ内筒30HRの周方向にシリンダ内筒30HRを単位長さ分変形させる際に要する力Fcよりも小さくする。
その結果、スリーブ30HSが高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HRを締め付ける力が低下する。これによって、高温側シリンダ30Hの環境温度がTHからTLに変化すると、高温側シリンダ30Hのシリンダ内筒30HR単体の内径Dc、及びスリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsは、図8−2に示すように、両方ともほぼ同じ割合で変化する。すなわち、高温側シリンダ30Hの環境温度がTHからTLに低下した場合において、スリーブ30HSがシリンダ内筒30HRを締め付ける力によるスリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsの縮小が抑制される。その結果、図1、図3に示す高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとのクリアランス減少が抑制されるので、両者が接触するおそれをより確実に低減できる。
スリーブ30HSの周方向にスリーブ30HSを単位長さ分変形させる際に要する力Fssは、シリンダ内筒30HRの周方向にシリンダ内筒30HRを単位長さ分変形させる際に要する力Fcの1/25以下とすることが好ましい。すなわち、スリーブ30HSの周方向におけるばね剛性は、シリンダ内筒30HRの周方向におけるばね剛性の1/25以下とすることが好ましい。このようにすれば、高温側シリンダ30Hの環境温度が低下した場合において、スリーブ30HSがシリンダ内筒30HRを締め付ける力をより確実に低減できるので、スリーブ装着時シリンダ内筒30HRの内径Dcsの縮小をより確実に抑制できる。その結果、高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとが接触するおそれをより確実に低減できる。
図9−1、図9−2は、スリーブに設けられる切り込みの拡大断面図である。高温側シリンダ30Hの環境温度が変化した結果、スリーブ30HSの周方向に引っ張り力、すなわち、切り込み36A、36Bを開く方向の力が作用した場合、切り込み間隔PCが大きいと、図9−1に示すように、スリーブ30HSがシリンダ内筒30HRから浮くおそれがある。このため、本実施例では、高温側シリンダ30Hを構成するスリーブ30HSに設ける切り込み36A、36Bの間隔(切り込み間隔)PC(図7−1参照)を、スリーブ30HSの厚さhs、すなわち、スリーブ30HSの径方向(シリンダ中心軸Zcと直交する方向)におけるスリーブ30HSの側周部37の寸法(図7−2参照)よりも小さくする。
これによって、高温側シリンダ30Hの環境温度に関わらず、スリーブ30HSの周方向に引っ張り力が作用した場合にスリーブ30HSがシリンダ内筒30HRから浮くおそれを低減できる。その結果、スリーブ30HSとシリンダ内筒30HRとを確実に接触させることができるので、シリンダ内筒30HRからスリーブ30HSへの伝熱を確保できる。これによって、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるシリンダ内筒30HRの温度差を抑制できるので、高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとが接触するおそれをより確実に低減できる。
(第1変形例)
図10−1は、高温側シリンダを構成するスリーブの第1変形例を示す側面図である。図10−2、図10−3は、スリーブの周方向に引っ張り応力が作用した場合におけるスリーブの変形を示す模式図である。スリーブ30HSaは、側周部37の厚さ、すなわち、シリンダ中心軸Zc(スリーブ30HSaの中心軸)と直交する方向における側周部37の寸法が、前記スリーブ30Hsaの中心軸、すなわちシリンダ中心軸Zcの方向における両端部分TTよりも中央部分CCの方が大きい。
このようにするため、スリーブ30HSaにおけるそれぞれの寸法を次のように設定する。まず、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるスリーブ30HSの寸法をLとする。スリーブ30HSaの一方の端部30HST1a及び他方の端部30HST2aから所定の距離LAの部分を両端部分TTとし、この部分における側周部37の厚さをhstとする。また、スリーブ30HSaの一方の端部30HST1aから所定の距離LAの位置と、他方の端部30HST2aから所定の距離LAとの間が、スリーブ30HSaの中央部分CCとなり、この部分の厚さをhscとする。なお、中央部分CCのシリンダ中心軸Zc方向の寸法は、LBである。
このように、スリーブ30HSaの中央部分CCにおける側周部37の厚さhscを、スリーブ30HSaの両端部分TTにおける側周部37の厚さhstよりも大きくすることで、スリーブ30HSaが熱膨張したときにおける両端部分TTの浮き上がりが抑制できる。その結果、スリーブ30HSaと図3に示すシリンダ内筒30HRとを確実に接触させることができるので、シリンダ内筒30HRからスリーブ30HSaへの伝熱を確保できる。これによって、シリンダ中心軸Zcと平行な方向におけるシリンダ内筒30HRの温度差を抑制できるので、高温側ピストン20Hとシリンダ内筒30HRとが接触するおそれをより確実に低減できる。
(第2変形例)
図11−1は、高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す側面図である。図11−2は、高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す平面図である。図11−3は、高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す拡大図である。スリーブ30HSbには、側周部37の外周面30HSOと内周面30HSIとの両方から、それぞれ切り込み36C1、36C2が交互に形成される。
図11−1に示すように、切り込み36C1、36C2は、シリンダ中心軸Zc(すなわち、スリーブ30HSbの中心軸)と平行な方向に向かい、スリーブ30HSb全体にわたって形成される。そして、図11−2に示すように、切り込み36C1、36C2は、スリーブ30HSbの周方向(図11−2の矢印C方向)に向かってそれぞれ複数形成される。
図11−3に示すように、スリーブ30HSbの周方向(矢印C方向)に向かって見た場合、外周面30HSOから形成される切り込み36C1と、内周面30HSIから形成される切り込み36C2とは、一部が重なり合うように形成される。すなわち、外周面30HSOからスリーブ30HSbの内部へ向かう切り込み36C1の寸法hs1と、内周面30HSIからスリーブ30HSbの内部へ向かう切り込み36C2の寸法hs2との和は、スリーブ30HSbの側周部37bの厚さhsよりも大きくなる。
このように構成することにより、スリーブ30HSbの周方向にスリーブ30HSbを単位長さ分変形させる際に要する力Fssを低減できる。また、切り込み36C1、36C2を設けることにより、シリンダ内筒30HRからスリーブ30HSbが浮くおそれ(図9−1参照)を低減できる。
以上、本実施例では、ピストンとシリンダとの間に気体軸受を介在させるピストン機関において、前記ピストン機関の作動流体を加熱するヒータとの間で前記作動流体が流出入するシリンダ内筒を備え、このシリンダ内筒よりも熱伝導率の大きいスリーブを前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込む。これによって、シリンダ軸方向温度差を低減して、ピストンとシリンダ内筒とのクリアランスをシリンダ中心軸と平行な方向にわたってほぼ一定に維持できる。その結果、両者が接触するおそれを低減して、気体軸受の機能を確実に発揮させることができる。
また、本実施例では、前記スリーブの外側にシリンダ外殻を配置して、前記スリーブと前記シリンダ外殻との二重構造でシリンダを構成する。これによって、シリンダ中心軸と直交する方向におけるピストン−シリンダ間温度差を低減できるので、ピストンとシリンダ内筒との熱膨張を同程度にできる。その結果、両者が接触するおそれを低減して、気体軸受の機能を確実に発揮させることができる。
特に、ピストンとシリンダ内筒との間に気体軸受を介在させるピストン機関においては、ピストンとシリンダ内筒とのクリアランスが非常に小さいため、ピストンの熱膨張によってピストンとシリンダ内筒とが接触しやすい。しかし、本実施例によれば、ピストンとシリンダ内筒とが接触するおそれを抑制して、確実に気体軸受の機能を発揮させることができるので好ましい。
以上のように、本発明に係るピストン機関及びスターリングエンジンは、ピストンリングを用いないで気体軸受によってピストンをシリンダ内に支持するピストン機関に有用であり、特に、ピストンとシリンダとが接触するおそれを低減することに適している。
本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンの構成を示す断面図である。 本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持構造を示す説明図である。 本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備える高温側シリンダの構成を示す説明図である。 高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との位置関係を示す模式図である。 高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との位置関係を示す模式図である。 高温側ピストンの温度と高温側シリンダ内筒の温度とを示す模式図である。 本実施例に係るスターリングエンジンが備える高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との位置関係を示す模式図である。 本実施例に係るスターリングエンジンが備える高温側ピストンと高温側シリンダ内筒との温度を示す模式図である。 ヒータ・シリンダ連結部材を高温側作動空間側から見た平面図である。 高温側シリンダを構成するシリンダ内筒にスリーブを取り付けた状態を示す断面図である。 本実施例に係るピストン機関であるスターリングエンジンが備えるスリーブの構成を示す側面図である。 図7−1のA−A断面図である。 図7−1のB−B断面図である。 高温側シリンダの環境温度とシリンダ内筒の内径及びスリーブを取り付けたシリンダ内筒の内径との関係を示す概念図である。 高温側シリンダの環境温度とシリンダ内筒の内径及びスリーブを取り付けたシリンダ内筒の内径との関係を示す概念図である。 スリーブに設けられる切り込みの拡大断面図である。 スリーブに設けられる切り込みの拡大断面図である。 高温側シリンダを構成するスリーブの第1変形例を示す側面図である。 スリーブの周方向に引っ張り応力が作用した場合におけるスリーブの変形を示す模式図である。 高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す側面図である。 高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す平面図である。 高温側シリンダを構成するスリーブの第2変形例を示す拡大図である。
符号の説明
20H 高温側ピストン
20L 低温側ピストン
30H 高温側シリンダ
30HB、30LB シリンダブロック
30HR、30LR シリンダ内筒
30HS、30HSa、30HSb スリーブ
30HSI 内周面
30HSO 外周面
30HST1、30HST2 端部
30L 低温側シリンダ
37、37b 側周部
60 近似直線機構(グラスホッパ機構)
100 スターリングエンジン
105 ヒータ
106 再生器
107 クーラー
108 熱交換器
110 クランクシャフト

Claims (18)

  1. 筒状の構造体であって、作動流体が流出入するシリンダ内筒と、
    筒状の構造体であって、前記シリンダ内筒よりも熱伝導率が高い材料で構成されるとともに、前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれるスリーブと、
    前記スリーブの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻と、
    前記作動流体の圧力が変化することによって、前記シリンダ内筒の内部を往復運動するピストンと、
    対向して配置される前記シリンダ内筒の内周面と前記ピストンの外周面との間に形成される気体軸受と、
    を備えることを特徴とするピストン機関。
  2. 前記スリーブは、前記シリンダ内筒と比較して、前記スリーブの周方向に対して伸びやすいことを特徴とする請求項1に記載のピストン機関。
  3. 前記シリンダ内筒を、前記シリンダ内筒の周方向に単位長さ分変形させる際に要する力よりも、前記スリーブを、前記スリーブの周方向に前記単位長さ分変形させる際に要する力の方が小さいことを特徴とする請求項2に記載のピストン機関。
  4. 前記スリーブには、前記スリーブの中心軸と直交する方向に交差する方向に向かって形成される切り込みが、前記スリーブの周方向に向かって複数設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のピストン機関。
  5. 前記スリーブの中心軸と直交する方向における前記スリーブの側周部の寸法は、前記スリーブの中心軸の方向における両端部分よりも中央部分が大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のピストン機関。
  6. 前記切り込みの幅は、前記スリーブの側周部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項4又は5に記載のピストン機関。
  7. 前記シリンダ内筒の側壁の外側には、前記スリーブの一方の端部と係合して、前記スリーブの中心軸と平行な方向における前記スリーブの移動を規制するストッパが設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のピストン機関。
  8. 前記シリンダ内筒は、前記ヒータと熱的に接続されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のピストン機関。
  9. 前記スリーブは、少なくとも前記作動流体を加熱するヒータを通過した前記作動流体が流出入する前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のピストン機関。
  10. 作動流体を加熱するヒータ、及び前記ヒータと接続されるとともに前記ヒータとの間で前記作動流体が流出入する再生器、及び前記再生器に接続されるとともに前記再生器との間で前記作動流体が流出入するクーラーを含んで構成される熱交換器と、
    前記ヒータに接続されて前記ヒータとの間で前記作動流体が流出入するシリンダ内筒、及び前記シリンダ内筒よりも熱伝導率が高い材料で構成されるとともに前記シリンダ内筒の外周部に嵌め込まれるスリーブ、及び前記スリーブの外周部の外側に配置されるシリンダ外殻を有するシリンダと、
    前記作動流体の圧力が変化することによって、前記シリンダ内筒の内部を往復運動するピストンと、
    対向して配置される前記シリンダ内筒の内周面と前記ピストンの外周面との間に形成される気体軸受と、
    を含むことを特徴とするスターリングエンジン。
  11. 前記スリーブは、前記シリンダ内筒と比較して、前記スリーブの周方向に対して伸びやすいことを特徴とする請求項10に記載のスターリングエンジン。
  12. 前記シリンダ内筒を、前記シリンダ内筒の周方向に単位長さ分変形させる際に要する力よりも、前記スリーブを、前記スリーブの周方向に前記単位長さ分変形させる際に要する力の方が小さいことを特徴とする請求項11に記載のスターリングエンジン。
  13. 前記スリーブには、前記スリーブの中心軸と直交する方向に交差する方向に向かって形成される切り込みが、前記スリーブの周方向に向かって複数設けられることを特徴とする請求項11又は12に記載のスターリングエンジン。
  14. 前記スリーブの中心軸と直交する方向における前記スリーブの側周部の寸法は、前記スリーブの中心軸の方向における両端部分よりも中央部分が大きいことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のスターリングエンジン。
  15. 前記切り込みの幅は、前記スリーブの側周部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項13又は14に記載のスターリングエンジン。
  16. 前記シリンダ内筒の側壁の外側には、前記スリーブの一方の端部と係合して、前記スリーブの中心軸と平行な方向における前記スリーブの移動を規制するストッパが設けられることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のスターリングエンジン。
  17. 前記ピストンは、近似直線機構によって支持されることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のスターリングエンジン。
  18. 前記スターリングエンジンが複数のシリンダ及びピストンを備える場合、少なくとも一つの前記シリンダは、前記ヒータと前記スリーブとが熱的に接続されることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載のスターリングエンジン。
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