JP2005016633A - 3次元免震装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層ゴム3aからなる水平免震手段3と空気ばね2aからなる垂直免震手段2とを直列に連結してある。空気ばねは空気室11を画成するダイヤフラム7を備え、このダイヤフラムは、外周を外筒4の内周面に密着状態で覆われる。積層ゴムとして、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムが用いられ、ダイヤフラム内に画成された空気室11と作動体5の内部に形成された補助タンク14とがオリフィス15を介して連通される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は構造物の免震用として使用される3次元免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現状の免震構造物は、水平2方向の地震時の揺れを大幅に低減する水平免震方式が主流である。そのための代表的な免震装置が積層ゴムである。また、床免震等では、上載荷重が比較的軽量であることや免震支持する床面積が小さいことなどの事由で、水平2方向に加えて上下方向の地震時の揺れも低減する3次元免震装置が開発されている。その代表的なものが空気ばねである。
しかしながら、従来の3次元免震装置は、せいぜい床部分の支持など小規模支持用に用いられているにすぎず、建物全体を支持する等大規模支持用には用いられていない。ところが、近年、大規模支持用の3次元免震装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−371725号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の3次元免震装置では、水平方向の免震を行う積層ゴムからなる水平免震手段と、また垂直方向の免震を空気ばねからなる垂直免震手段をそれぞれ別々に備えており、設置スペースが増大することや、柱の真下に該柱の芯に合致させて配置できないという課題があった。
また、積層ゴム並びに空気ばねで一応の免震は行えるものの、揺れを積極的に減衰させる機能を有しておらず、水平並びに垂直両方向の振動減衰機能も果たせる3次元免震装置の出現が待たれていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、装置を一体化して小型化が図れ、しかも、水平並びに垂直両方向の固有周期の長期化に止まらず振動減衰機能も果たせる3次元免震装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため請求項1に係る3次元免震装置は、積層ゴムからなる水平免震手段と空気ばねからなる垂直免震手段とを直列に連結した3次元免震装置本体を備え、
該3次元免震装置本体は、起立状態の外筒内に作動体の一端が昇降可能に嵌挿され、前記作動体の他端に前記積層ゴムが設けられるとともに、前記外筒の底部プレートと前記作動体の一端との間に前記空気ばねの空気室を画成するゴム製のダイヤフラムが設けられ、該ダイヤフラムが、その外周を前記外筒の内周面に密着状態で覆われた構成とされ、
前記積層ゴムは、水平方向の振動を減衰させる、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成され、
前記ダイヤフラム内に画成された空気室と前記作動体の内部に形成された補助タンクとは、両者間を流れる空気に流通抵抗を与えて垂直方向の振動を減衰させるオリフィスを介して連通されている。
【0007】
この場合、地震が起きれば、積層ゴムが主に水平方向の揺れを低減し、空気ばねが主に垂直方向の揺れを低減する。また、積層ゴムが鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成されるので、そのような積層ゴムによって水平方向の揺れが積極的に減衰される。また、垂直方向の揺れが生じた場合、ダイヤフラム内の空気室と作動体内の補助タンクとの間を空気が行き来するが、このときオリフィスによってこの空気の流れに流通抵抗が与えられ、これによって、垂直方向の揺れが積極的に減衰される。
【0008】
請求項2に係る3次元免震装置は、請求項1記載のものにおいて、前記3次元免震装置本体とは別個に垂直方向の振動を減衰させる垂直方向振動減衰機構を備えている。
【0009】
この場合、ダイヤフラム内の空気室と作動体内の補助タンクとの間に設けたオリフィスによって、また、3次元免震装置本体とは別個に設けた垂直方向振動減衰機構によって、垂直方向の揺れを積極的に減衰させることができる。つまり、垂直方向振動減衰機構を2重に備えているので、より一層、垂直方向の揺れを減衰させることができる。
【0010】
請求項3に係る3次元免震装置は、積層ゴムからなる水平免震手段と空気ばねからなる垂直免震手段とを直列に連結した3次元免震装置本体を備え、
該3次元免震装置本体は、起立状態の外筒内に作動体の一端が昇降可能に嵌挿され、前記作動体の他端に前記積層ゴムが設けられるとともに、前記外筒の底部プレートと前記作動体の一端との間に前記空気ばねの空気室を画成するゴム製のダイヤフラムが設けられ、該ダイヤフラムが、その外周を前記外筒の内周面に密着状態で覆われた構成とされ、
前記積層ゴムは、水平方向の振動を減衰させる鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成され、
前記3次元免震装置本体とは別個に垂直方向の振動を減衰させる垂直方向振動減衰機構を備えている。
【0011】
この場合、地震が起きれば、積層ゴムが主に水平方向の揺れを低減し、空気ばねが主に垂直方向の揺れを低減し、また、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって水平方向の揺れが積極的に減衰されるのは前述の請求項1に係る3次元免震装置と同様である。ここでは、前記3次元免震装置本体とは別個に垂直方向振動減衰機構を備えており、この垂直方向振動減衰機構によって垂直方向の揺れが積極的に減衰される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明のかかる3次元免震装置の断面を示している。
この図からわかるように、本発明のかかる3次元免震装置1は、空気ばね2aからなる垂直免震手段2と、積層ゴム3aからなる水平免震手段3とを直列に連結した3次元免震装置本体1Aを備える。つまり、3次元免震装置本体1Aは、下側に垂直免震手段2を配置し、上側に水平免震手段3を配置しており、それら垂直免震手段2、水平免震手段3をそれぞれ独立に調整することにより、例えば比較的短い固有周期をもつ原子炉建屋等の建物へも適用可能となっている。
【0013】
前記空気ばね2aの具体的構造について説明すると、起立状態に配置される鋼製の外筒4には、有底筒状の作動体5の開口側である一端側(下端側)が昇降可能に嵌挿され、この作動体5の閉塞側である他端(上端)には蓋5aが取り付けられている。また、鋼製の外筒4の下端には下面プレート(底部プレート)6が固定されている。下面プレート6の上面外周部には略リング状に形成されたゴム製のダイヤフラム7の下端が連結部材8を介して気密状態で取り付けられ、ダイヤフラム7の上端は前記作動体5の下部に、作動体5の下部に取り付けられた連結部材9とその下方に配置される押さえ部材10との間に挟持された状態で気密に取り付けられている。
そして、前記ダイヤフラム7、下面プレート6および押さえ部材10によって、空気室11が画成されている。
【0014】
また、ダイヤフラム7はその外周を前記鋼製の外筒4の内周面4aに密着状態で覆われている。
すなわち、ダイヤフラム7はゴム製であるため、内部の空気室11の圧力が高まるときには径方向外方へ膨らむように変形しようとするが、外周が前記鋼製の外筒4に密着されているためその変形を規制される。したがって、ダイヤフラム7の変形は、鋼製の外筒4と連結部材9との間の隙間の膨出部分Bに限られる。
【0015】
鋼製の外筒4と作動体5との摺動部、つまり、鋼製の外筒4の開放端に設けた内フランジ12の内周面12aと作動体5の外周面5bとのいずれか一方(例えば、内フランジの内周面12a)は硬質クロムメッキ処理が施され、他方(作動体の外周面5b)は鉛青銅鋳物溶着処理が施されている。
このような表面処理法は、中高速・高荷重用のピストンや軸受等で用いられるものである。
【0016】
前記積層ゴム3aは、水平方向の免震特性のみならず水平方向の振動減衰特性も得られるようにその構造が決定されている。すなわち、ここでは、例えば鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムが用いられている。
鉛プラグ入り積層ゴムは、薄い金属板とゴムとが交互に何重にも重ね貼り合わされ、かつ、その中央に円柱状の鉛プラグを挿入されてなるものであり、積層ゴムの変形に伴い鉛プラグが塑性変形を繰り返し、これによって、地震時の振動エネルギーを吸収するものである。
高減衰積層ゴムは、通常の積層ゴムと同様、薄い金属板とゴムとが交互に幾重にも重ね貼り合わされた構成とされ、しかも、ゴムとして、天然ゴムにカーボンブラック等の充填材を混入して減衰性を増大させた特殊なものが用いられており、これにより、積層ゴム自体に地震時の振動エネルギーを吸収する機能を有するものである。
このような積層ゴム3aは、前記作動体5の他端側に設けられた蓋5aと上面プレート13の下面との間に介装されている。
【0017】
また、3次元免震装置本体1Aは、さらに、垂直方向の振動を減衰させ得るよう特殊な工夫がなされている。
すなわち、前記作動体5の内部の中空部分は補助タンク14とされている。この補助タンク14は空気室11に、作動体5の底面部5c等に形成されたオリフィス15を介して連通されている。オリフィス15は、前記作動体5の底面部5c、連結部材9及び押さえ部材10に、それぞれ同径に形成された貫通孔によって形成されている。そして、垂直方向の揺れが生じた場合、空気室11と補助タンク14との間を空気が行き来するが、このときオリフィス15によって空気の流れに流通抵抗を与え、これにより、地震時の垂直方向の振動エネルギーを吸収する機能を果たすようになっている。
【0018】
次に、上記構成の3次元免震装置1の作用について説明する。
地震等が発生した場合には、地震波の垂直成分は、空気ばね2aからなる垂直免震手段2によって、また、地震波の水平成分は、積層ゴム3aからなる水平免震手段3によって、それぞれある程度吸収された形で建物の免震部分に伝達される。つまり、地震によって下面プレート6が振動した場合、その垂直方向成分は、空気ばね2aの空気室11の圧力変動に伴い、作動体5が下面プレート6に対して相対的に上下動することによって吸収され、これにより該垂直方向成分の衝撃は緩和される。また、下面プレート6が振動した場合の水平方向成分は、上面プレート13と作動体5との間に介装された積層ゴム3aが適宜変形することによって吸収され、これにより該水平方向成分の衝撃は緩和される。
【0019】
ここで、前記ダイヤフラム7は、外周を鋼製の外筒4の内周面4aに密着状態で覆われることによって径方向外方への変形が規制され、その変形が鋼製の外筒4と連結部材10との間の隙間の膨出部分Bのみに限られている。つまり、ダイヤフラム7は外側の鋼製の外筒4により補強されており、このため、空気室11の圧力が高くても充分耐えられる構造になっている。したがって、結果的に、高軸力の空気ばね2aを実現されており、建物の免震部分全体の支持にも充分適用可能である。
【0020】
また、鋼製の外筒4の開放端に内フランジ12を設けているため、この内フランジ12の厚み分だけダイヤフラム7の曲率が小さくなる。この結果、ダイヤフラム7に過大な屈曲荷重がかかるのを防止できる。また、同内フランジ12を設けている分、外筒4と作動体5との接触面積が小さくなり、このため、摩擦低減のためそれら摺動部を前述の如く硬質クロムメッキ処理等の表面処理を施す際に処理面積が小さくなる分、低コスト化が図れる。
【0021】
また、垂直免震手段2と水平免震手段3とをそれぞれ別々に設けているため、言い換えれば、作動体5と積層ゴム3aとが分解可能なユニットとなっているため、メンテナンスが必要になったときでもそれらの作業を個々に行えるため、メンテナンス作業が容易になる。また、初期の当該3次元免震装置1の組立作業も容易になる。
【0022】
また、鋼製の外筒4と作動体5との摺動部は、いずれか一方が硬質クロムメッキ処理を施され、他方が鉛青銅鋳物溶着処理を施されているため、地震時等にたとえ水平力が摺動部に作用しても、それら摺動部には摩擦がほとんど生じない。
このため、水平力作用下であっても、作動体5は鋼製の外筒4に対し上下方向に滑らかに動き、もって垂直方向の揺れを低減する。
【0023】
また、積層ゴム3aを、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成しているので、そのような積層ゴムを用いることにより、建物の免震部分の水平方向の揺れを積極的に減衰させることができる。
【0024】
また、垂直方向の揺れが生じた場合、外筒4に対する作動体5の相対的な上下動に伴い空気室11の容量が変化し、同時に、空気室11と補助タンク14との間を空気が行き来するが、このときオリフィス15によってこの空気の流れに流通抵抗を与え、これにより、地震時の垂直方向の振動エネルギーを吸収することができる。つまり、建物の免震部分の垂直方向の揺れを積極的に減衰させることができる。
さらに、前記補助タンク14を作動体5の内部に形成しているので、補助タンク14を3次元免震装置本体1Aとは別個に設ける場合に比べ、装置の小型化が図れる。
【0025】
<第2の実施の形態>
図2は本発明に係る第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態が前述の第1の実施の形態と異なるところは、前記第1の実施の形態では、垂直方向の振動を減衰させるために、作動体5の内部に補助タンク14を形成し、この補助タンク14と空気室11とをオリフィス15を介して連通させていたが、ここでは、それに加え、3次元免震装置本体1Aとは別個に垂直方向振動減衰機構20を備えた点である。
なお、この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態で説明した構成要素と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0026】
垂直方向振動減衰機構20としては、例えば、公知のオイルダンパ21が用いられる。ここで用いられるオイルダンパ21は、上下両端部21a、21bが、球面支持部を介して上部基礎版23と下部基礎版24にそれぞれ連結されている。
【0027】
この3次元免震装置では、地震等が発生した場合に、地震波の垂直成分が、空気ばね2aからなる垂直免震手段2によって、また、地震波の水平成分が、積層ゴム3aからなる水平免震手段3によって、それぞれある程度吸収された形で建物の免震部分に伝達される。また、積層ゴム3aとして、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムを用いているので、建物の免震部分の水平方向の揺れを積極的に減衰させることができる。さらに、垂直方向の揺れが生じた場合、空気室11と補助タンク14との間に設けたオリフィス15によって、それら空気室11と補助タンク14との間を流れる空気に流通抵抗を与え、これにより、地震時の建物の免震部分の垂直方向の揺れを積極的に減衰させることができる。
【0028】
加えて、3次元免震装置本体1Aとは別個にオイルダンパ21からなる垂直方向振動減衰機構20を備えており、この垂直方向振動減衰機構20によっても、建物の免震部分の垂直方向の揺れを積極的に減衰させることができる。
【0029】
さらに、この第2の実施の形態では、垂直方向振動減衰機構20として用いたオイルダンパ21の上下両端部21a、21bの上部基礎版23及び下部基礎版24との連結部分を球面支持構造としているため、上部基礎版23と下部基礎版24との間に水平方向のずれが生じた場合、オイルダンパ21の上下両端部の連結部分に荷重が加わることがない。それに加えて、オイルダンパ21は、垂直方向の振動のみならず水平方向の振動を減衰させる機能も発揮する。
【0030】
なお、前述した発明の実施の形態はあくまで本願発明の例示であり、必要に応じ発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、前述した第1,第2の発明の実施の形態では、3次元免震装置1の上側に水平免震手段3、下側に垂直免震手段2をそれぞれ配置する構成としたが、これに限られることなく、これとは逆に、下側に水平免震手段3を配置し、上側に垂直免震手段2を配置する構成にしてもよい。
また、第1,第2の実施の形態では、鋼製の外筒4と作動体5との摺動部のうち、いずれか一方を硬質クロムメッキ処理し、他方を鉛青銅鋳物溶着処理しているが、これらの摺動部の材料はなんらこれらに限定されるものではないのは言うまでもない。
【0031】
また、第2の実施の形態では、作動体5内部の補助タンク14や、補助タンク14と空気室11を連通するためのオリフィス15を有する3次元免震装置本体1Aと、垂直方向振動減衰機構20とによって3次元免震装置1を構成しているが、3次元免震装置1Aに代わり、作動体5内の補助タンク14や補助タンク14と空気室11を連通するためのオリフィス15を有しない3次元免震装置本体と垂直方向振動減衰機構20とによって3次元免震装置を構成してもよい。
また、前述の第2の実施の形態では、垂直方向振動減衰機構20としてオイルダンパ21を用いた例を示したが、これに限られることなく、粘弾性系ダンパを用いてもよい。
また、前述の第1,第2の実施の形態では、補助タンク14と空気室11を連通するためのオリフィス15を1つしか設けていないが、これに限られることなく複数設けても良い。また、オリフィス15を複数設ける場合、オリフィス径は必ずしも同じにする必要はなく、互いに異ならしてもよい。
【0032】
次に、前記第1の実施の形態で説明した3次元免震装置について、オリフィスによる減衰効果の試算例について説明する。
オリフィスによる減衰効果は、オリフィスの絞り径、上下方向の加振振幅、加振振動数及び補助タンク14の容量などに依存するため、オリフィスの絞り径、上下方向の加振振幅、加振振動数をパラメータとして、上下方向の減衰定数,ばね定数を数値計算してみた。
【0033】
試算の条件を表1に示す。
【表1】
【0034】
図3〜図6にオリフィス絞り径を種々変えた場合の上下加振振動数と減衰定数およびばね定数の関係を、上下加振振幅が±2cmと±4cmにした2ケースについて示す。
減衰定数は、それぞれ装置の固有振動数が1.2Hz付近でピークとなる曲線を描き、そのピーク値は10%〜20%程度となる。ばね定数は、加振振動数の増加に伴い緩やかに増加する傾向を示す。この増加傾向は、オリフィス絞り径が小さいほど顕著である。これはオリフィス絞り径が小さく、加振振動数が大きくなるほど(加振速度が増す程)、空気室から補助タンクへ空気が流れにくくなるためである。
この試算例では、加振振動数の増加に対してばね定数が大きく変化せず、装置の固有振動数付近で減衰性能をある程度発揮するオリフィス絞り径は、0.9cmであることがわかった。オリフィス絞り径が0.9cmの固有振動付近の減衰定数は、15%程度であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、垂直免震手段と水平免震手段とを直列に連結し一体化したから、垂直免震手段と水平免震手段の双方の要素を合わせ持つこととなり、上部構造物に振動が作用する際に垂直・水平両方向の衝撃を緩和でき、しかも小型化が図れる。
また、積層ゴムとして、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムを用いているので、水平方向の振動を減衰させることができ、また、空気室と補助タンクの間に介装したオリフィスを介在させたり、3次元免震装置本体とは別個に垂直方向振動減衰機構を備えているので、垂直方向の振動を減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る3次元免震装置の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る3次元免震装置の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図3】オリフィスによる減衰効果の試算例を示す図である。
【図4】オリフィスによる減衰効果の試算例を示す図である。
【図5】オリフィスによる減衰効果の試算例を示す図である。
【図6】オリフィスによる減衰効果の試算例を示す図である。
【符号の説明】
1 3次元免震装置
1A 3次元免震装置本体
2 垂直免震手段
2a 空気ばね
3 水平免震手段
3a 積層ゴム
4 鋼製の外筒
5 作動体
5b 作動体の外周面(摺動部)
6 下面プレート(底部プレート)
7 ゴム製のダイヤフラム
11 空気室
12 内フランジ
12a 内フランジの内周面(摺動部)
14 補助タンク
15 オリフィス
20 垂直方向振動減衰機構
21 オイルダンパ
Claims (3)
- 積層ゴムからなる水平免震手段と空気ばねからなる垂直免震手段とを直列に連結した3次元免震装置本体を備え、
該3次元免震装置本体は、起立状態の外筒内に作動体の一端が昇降可能に嵌挿され、前記作動体の他端に前記積層ゴムが設けられるとともに、前記外筒の底部プレートと前記作動体の一端との間に前記空気ばねの空気室を画成するゴム製のダイヤフラムが設けられ、該ダイヤフラムが、その外周を前記外筒の内周面に密着状態で覆われた構成とされ、
前記積層ゴムは、水平方向の振動を減衰させる、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成され、
前記ダイヤフラム内に画成された空気室と前記作動体の内部に形成された補助タンクとは、両者間を流れる空気に流通抵抗を与えて垂直方向の振動を減衰させるオリフィスを介して連通されていることを特徴とする3次元免震装置。 - 前記3次元免震装置本体とは別個に垂直方向の振動を減衰させる垂直方向振動減衰機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の3次元免震装置。
- 積層ゴムからなる水平免震手段と空気ばねからなる垂直免震手段とを直列に連結した3次元免震装置本体を備え、
該3次元免震装置本体は、起立状態の外筒内に作動体の一端が昇降可能に嵌挿され、前記作動体の他端に前記積層ゴムが設けられるとともに、前記外筒の底部プレートと前記作動体の一端との間に前記空気ばねの空気室を画成するゴム製のダイヤフラムが設けられ、該ダイヤフラムが、その外周を前記外筒の内周面に密着状態で覆われた構成とされ、
前記積層ゴムは、水平方向の振動を減衰させる、鉛プラグ入り積層ゴムまたは高減衰積層ゴムによって構成され、
前記3次元免震装置本体とは別個に垂直方向の振動を減衰させる垂直方向振動減衰機構を備えたことを特徴とする3次元免震装置。
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