JP2007205543A - 除振装置 - Google Patents

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大助 片山
Jun Hirai
潤 平井
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Abstract

【課題】 簡単な装置構成で、真空雰囲気中で作動される除振対象物に対して良好な除振を行える除振装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 真空雰囲気内で除振対象13を支持する除振機構9を備える除振装置1であって、除振機構9は、複数の金属ベローズ23,27がそれぞれの間に支持部25を互いに連通するように介在させて上下方向に連結され、内部に空気が封入されるベローズ結合体15と、一端が支持部25の側面に取り付けられ、支持部25をベローズ結合体15の軸線方向と交差する交差方向に弾性支持する水平バネ部材17と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空雰囲気中で用いられる除振装置に関するものである。
除振装置は、床からの振動を除振対象に伝達しないようにするものである。このためには、除振機構の復元力、すなわちバネ定数を小さくする必要がある。
真空雰囲気中で用いられる除振装置では、ゴムからの脱ガスが発生し、あるいは内部の空気等が透過し、真空雰囲気の真空度を低下させ、除振対象物の作業に支障をきたす恐れがあるので、バネ定数が十分に小さいゴム製ベローズあるいは防振ゴム等の除振機構をそのまま採用することは困難である。
そのため、例えば、除振機構を真空隔壁で覆うこと、あるいは、特許文献1に示されるものが提案されている。
特許文献1に示されるものは、厚みのある硬質ゴム製のベローズを用い、その内部に除振対象の位置を制御するアクチュエータを設置した構成であり、アクチュエータから発生するガスをベローズが遮断し真空環境を悪化させるのを防止できるとともにアクチュエータが良好な除振性能を発揮するものである。
特開2005−106166号公報
しかしながら、除振機構を真空隔壁で覆うものは、装置構成が複雑となり、かつ広いスペースを要するという問題がある。
特許文献1に示されるものは、アクティブ除振を行なうためのアクチュエータおよびそれを制御するための制御機構が必要であるため、装置構成が複雑で高価となるという問題がある。また、硬質ゴム製ベローズからの脱ガスによる真空雰囲気の真空度の低下等について考慮されていないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な装置構成で、真空雰囲気中で作動される除振対象物に対して良好な除振を行える除振装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる除振装置は、真空雰囲気内で除振対象物を支持する除振機構を備える除振装置であって、前記除振機構は、複数の金属ベローズがそれぞれの間に結合部材を互いに連通するように介在させて上下方向に連結され、内部に圧縮気体が封入されるベローズ結合体と、一端が前記結合部材の側面に取り付けられ、前記結合部材を前記ベローズ結合体の軸線方向と交差する交差方向に弾性支持するバネ部材と、を備えていることを特徴とする。
本発明の除振装置によれば、ベローズ結合体の軸線方向の中間位置においてバネ部材がベローズ結合体の軸線方向に交差する交差方向、すなわち、略水平方向への移動を弾性的に支持しているので、ベローズ結合体の略水平方向への移動はバネ部材によって拘束されることとなる。
ベローズ結合体の略水平方向への移動がバネ部材によって拘束されると、ベローズ結合体は座屈あるいは転倒し難くなるので、ベローズ結合体の伸縮部分を長くしてベローズ結合体のバネ定数を小さくすることができる。
ベローズ結合体のバネ定数を小さくすることができると、固有振動数(共振点)が小さくなり特に除振を必要とする共振点よりも高い周波数域における伝達特性を低くできるので、良好な除振を行うことができる。
また、ベローズ結合体にバネ部材を設け、パッシブな除振を行なうだけであるので、アクティブ除振を行なうようなアクチュエータおよび制御機構が不要で装置構成が簡素化でき、安価とすることができる。
さらに、ベローズ結合体は構成部材が金属等の材料であるので、バネ部材を金属材料で構成すれば、真空雰囲気で使用した場合、ゴム等の材料で見られる脱ガス現象がなく、真空雰囲気に悪影響を及ぼさなくすることができる。
上記発明の除振装置では、内部に圧縮気体が封入された前記ベローズ結合体および前記バネ部材の前記交差方向に作用するバネ力は、前記除振対象物の転倒モーメントよりも大きくされていることが好適である。
このようにすれば、除振対象物を支持するベローズ結合体が転倒することを確実に防止することができる。
なお、ベローズ結合体およびバネ部材の交差方向に作用するバネ力は、交差方向における除振性能を向上させるためには、除振対象物の転倒モーメントよりもあまり大きくしないのが好ましい。
また、本発明にかかる除振装置は、前記ベローズ結合体の内部と連通する気体タンクが備えられていることを特徴とする。
このように、ベローズ結合体の内部と連通する気体タンクが備えられているので、気体の封入容積が増加する。このため、同じ圧力の気体であれば、除振機構のバネ定数を小さくすることができる。
この気体タンクに封入される気体の圧力を調節可能としておくと、気体バネのバネ定数を容易に調節することができる。また、バネ定数を調節するために気体タンクの容積を調節できるようにしてもよい。
本発明によれば、ベローズ結合体の軸線方向の中間位置においてバネ部材がベローズ結合体の軸線方向に交差する交差方向、すなわち、略水平方向への移動を弾性的に支持しているので、良好な除振を行うことができる。
また、ベローズ結合体にバネ部材を設け、パッシブな除振を行なうだけであるので、装置構成が簡素化でき、安価とすることができる。
さらに、ベローズ結合体は構成部材が金属等の材料であるので、バネ部材を金属材料で構成すれば、真空雰囲気で使用した場合、ゴム等の材料で見られる脱ガス現象がなく、真空雰囲気に悪影響を及ぼさなくすることができる。
以下に、本発明にかかる一実施形態の除振装置1について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、除振装置1の正面図である。図2は、図1のX−X断面図である。図3は図1の縦断面図である。
除振装置1は、真空室3を構成する床5上に設置されている。
除振装置1には、天板7と、除振機構9と、台板11と、が備えられている。
天板7は、矩形状の厚板であり、除振対象13を支持するものである。除振対象13は天板7に固定されていても、あるいは載置されていてもよい。
除振装置1の基盤となる台板13は、矩形状の厚板であり、真空室3の床5に取り付けられている。
除振機構9には、ベローズ結合体15と、水平バネ部材(バネ部材)17と、補助タンク(気体タンク)19と、が備えられている。
ベローズ結合体15には、上フランジ21と、上金属ベローズ(金属ベローズ)23と、支持部(結合部材)25と、下金属ベローズ(金属ベローズ)27と、下フランジ29と、が備えられている。
上フランジ21、支持部25および下フランジ29は、それぞれ鋼製の中空円筒である。
上金属ベローズ23および下金属ベローズ27は、ステンレス製で、周縁が曲折されたドーナツ状の板同士が相互に溶接されて一段が形成され、それらが相互に溶接され複数段積み重ねられて構成されている。
上フランジ21、上金属ベローズ23、支持部25、下金属ベローズ27および下フランジ29は、上からこの順序でそれらの軸線中心が略同一となるように配置され、相互に固定されている。
上フランジ21の上面は、天板7の下面に固定され、下フランジ29の下面は、台板11の上面に固定されており、ベローズ結合体15には、内部に密封されたベローズ空間31が形成されている。
水平バネ部材17には、支柱33と、水平バネ35とが備えられている。
支柱33は、鋼製の直方体形状をし、ベローズ結合体15から水平方向に間隔を空け、周上に略等間隔で4箇所に配置されている。
各支柱33は、下端が床5に固定され、高さは支持部25と略同等の位置になるように構成されている。
水平バネ35は、各支柱33と支持部25とを連結するように取り付けられている。水平バネ35は、ベローズ結合体15の軸線に交差する方向、すなわち、略水平方向に延在するように設置されている。
なお、水平バネ35はベローズ結合体15を面的に支持するもので、3本以上であれば任意の本数でよいし、必ずしも等間隔に設けることは必要としない。
補助タンク19は、真空室3の外部に配置され、台板11の略中央部に設けられた連通孔37によってベローズ空間31と連通されている。
補助タンク19には、圧縮機39の吐出部が供給配管41によって接続されている。
供給配管41の途中には、開閉弁43が備えられている。
供給配管41には、補助タンク19と開閉弁43との間の位置で排出配管45が分岐して設けられている。排出配管45には開閉弁47が備えられている。
開閉弁43,47が閉鎖されると、ベローズ空間31、補助タンク19内の空間、両者の連通部、供給配管41の一部および排出配管45の一部は、密閉された空間を形成し、この空間に封入された空気は、空気バネ(気体バネ)32の機能を奏する。
開閉弁43,47の開閉を調整することによって空間内の空気圧を調節することができ、それによって空気バネのバネ定数を調節することができる。
以上説明した構成を有する本実施形態にかかる除振装置1の動作について、その作用・効果を含めて説明する。
図4には、重量Wの物体をバネ定数Kのバネで支持した場合、バネの下端に加速度α1が作用した時、その周波数によって物体に伝達される加速度α2の大きさが変化する状況が示されている。
縦軸は、伝達倍率(α2/α1)であり、固有振動数foのところで極大となり、固有振動数foを越えると急激に減少する傾向となっている。
この場合、固有振動数をfoからfosに低下させると固有振動数を超える部分での伝達倍率が低下することが示されている。
固有振動数fは、次式で与えられるので、バネ定数を小さくすれば小さくできる。
Figure 2007205543
地震等の何らかの外乱によって、床5が振動すると、台板11が振動し、ベローズ結合体15の台板11への固定部が振動する。
この時の振動は、建物等によるフィルタ機能を通過してくるので、その振動数は、10Hz前後をピークとしたものである。
この振動の上下方向成分は、上金属ベローズ23および下金属ベローズ27の上下方向への変形によって吸収され、天板7および除振対象13へ伝播しない。
すなわち、下金属ベローズ27の下端が上下方向に振動しても、下金属ベローズ27および上金属ベローズ23が上下方向に容易に変形して、上金属ベローズ23の上端に伝播されないことになる。
この場合、上下方向に作用するバネは、ベローズ結合体15の上下方向のバネおよび空気バネ32であるので、全体のバネ定数はベローズ結合体15の上下方向のバネ定数Kvおよび空気バネ32のバネ定数Kaを加算したものとなる。バネ定数Kvとバネ定数Kaとを加算したバネ定数が小さいほど上下方向の除振効果はよくなる。
空気バネ32のバネ定数Kaは、ポリトロープ指数をγ、空気バネ32が天板7へ作用する面積をA、空気バネ32の圧力をP、空気バネ32の容積をVとすると、次式で表される。
Figure 2007205543
空気バネ32のバネ定数Kaを小さくするためには、面積Aを小さくするのが有効である。ところが、面積Aを小さくすると、空気バネ32が除振対象13の重量を支持する力が小さくなるので、ベローズ結合体15で支持する重量が増加する。このため、ベローズ結合体15の剛性、すなわち、バネ定数Kv、を増加させることになる。
空気バネ32が除振対象13の重量を支持する力を変化させないようにするには、圧力Pを増加させることも考えられるが、そうするとベローズ結合体15の耐圧性能を向上させる必要があり、やはりバネ定数Kvを増加させることになる。また、圧力Pを増加させると、バネ定数Kaの低減量もそれほど大きくならないことになる。
したがって、ベローズ結合体15の上下方向のバネ定数Kvを小さくすることを考慮するのが有効となる。
本実施形態では、ベローズ結合体15は支持部25のところで、水平バネ35によって略水平方向への移動を弾性的に支持されているので、ベローズ結合体15の略水平方向への移動は水平バネ35によって拘束されることとなる。
ベローズ結合体15の略水平方向への移動が水平バネ35によって拘束されると、ベローズ結合体15は座屈あるいは転倒し難くなるので、ベローズ結合体15の上金属ベローズ23および下金属ベローズ27の高さ方向長さを長くしてベローズ結合体15のバネ定数Kvを小さくすることができる。
このように、ベローズ結合体15の上下方向のバネ定数Kvを小さくすることができると、上下方向振動の固有振動数(共振点)が小さくなり特に除振を必要とする共振点よりも高い周波数域(10Hz前後)における伝達特性を低くできるので、良好な除振を行うことができる。
次に、略水平方向における状況について説明する。
略水平方向に作用するバネは、ベローズ結合体15の略水平方向のバネおよび水平バネ35であるので、全体のバネ定数はベローズ結合体15の略水平方向のバネ定数Klおよび水平バネ35の作用点を考慮したバネ定数Kbを加算したものとなる。バネ定数Klとバネ定数Kbとを加算したバネ定数が小さいほど略水平方向の除振効果はよくなる。
上述のとおり上下方向のバネ定数Kvを小さくするために上金属ベローズ23および下金属ベローズ27の高さ方向長さを長くすると、上下方向のバネ定数Kvばかりでなく、略水平方向に作用するベローズ結合体15のバネ定数Klも小さくなるので、良好な除振を行なうことができる。
この場合、バネ定数Klとバネ定数Kbとを加算した値が、転倒モーメントに打ち勝つように水平バネ35のバネ定数を決めることが重要である。
ベローズ結合体15の伸縮部の高さ、すなわち、台板11の上面から上金属ベローズ23の上端までの距離をh2、水平バネ35の作用点までの高さ、すなわち、台板11の上面から水平バネ35の取付位置までの距離をh1、除振対象13の重量をMとする。
各水平バネの合成したバネ定数をKcとすると、バネ定数Kbは次式で表される。
Figure 2007205543
転倒をもたらす重力による負の復元力はM/h2となるので、これよりもこれを支持するバネのバネ定数が大きくなる必要がある。すなわち、次式の関係となる。
Figure 2007205543
この式を満足するようなKcを求め、各水平バネ35のバネ定数を決定すればよい。
このようにすれば、除振対象13を支持するベローズ結合体15が転倒することを確実に防止することができる。
この場合、略水平方向の除振性能を一層良好にするためには、上式の左辺が右辺よりもあまり大きくならないようにバネ定数Kcを決定するのが好ましい。
また、本実施形態では、ベローズ結合体15に水平バネ部材17を追加し、パッシブな除振を行なうだけであるので、アクティブ除振を行なうようなアクチュエータおよび制御機構が不要で装置構成が簡素化でき、安価とすることができる。
さらに、ベローズ結合体15および水平バネ部材17は構成部材が金属材料であるので、真空雰囲気で使用した場合、ゴム等の材料で見られる脱ガス現象がなく、真空雰囲気に悪影響を及ぼさなくすることができる。
本実施形態では、ベローズ結合体15の内部と連通する補助タンク19が備えられているので、空気の封入容積が増加する。このため、同じ圧力の気体であれば補助タンク19を有さないものに比べて除振機構9の上下方向のバネ定数を小さくすることができる。
空気バネ32のバネ定数Kaは、封入される空気の容積あるいは圧力を調節することによって調節できるので、例えば、コンプレッサ39から送られる空気量を調節する、あるいは、補助タンク19の容積を調節することによって調節できる。
これにより、除振機構9のバネ定数を調節することができる。
なお、本実施形態では、1台の除振装置1の上に除振対象3を載置しているが、除振対象物が大型の場合には、複数台の除振装置1によって支持されるようにしてもよい。
また、ベローズ結合体15は2個の金属ベローズを直列に連結しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、3個以上の金属ベローズを連結するようにしてもよい。このようにすると、バネ定数はさらに小さくすることができる。
本発明の一実施形態にかかる除振装置の全体概略構成を示す正面図である。 図1のX−X断面図である。 図1の縦断面図である。 周波数ごとの振動の伝達状況を一般的に示すグラフである。
符号の説明
1 除振装置
9 除振機構
13 除振対象
15 ベローズ結合体
17 水平バネ部材
19 補助タンク
23 上金属ベローズ
25 支持部
27 下金属ベローズ

Claims (3)

  1. 真空雰囲気内で除振対象物を支持する除振機構を備える除振装置であって、
    前記除振機構は、複数の金属ベローズがそれぞれの間に結合部材を互いに連通するように介在させて上下方向に連結され、内部に圧縮気体が封入されるベローズ結合体と、
    一端が前記結合部材の側面に取り付けられ、前記結合部材を前記ベローズ結合体の軸線方向と交差する交差方向に弾性支持するバネ部材と、を備えていることを特徴とする除振装置。
  2. 内部に圧縮気体が封入された前記ベローズ結合体および前記バネ部材の前記交差方向に作用するバネ力は、前記除振対象物の転倒モーメントよりも大きくされていることを特徴とする請求項1に記載の除振装置。
  3. 前記ベローズ結合体の内部と連通する気体タンクが備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除振装置。
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