JP2010214244A - 廃水処理方法及び廃水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】同一の処理槽に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を用いて、迅速な廃水処理を行うことができる廃水処理方法及び廃水処理装置を提供する。
【解決手段】処理槽20は、硝化細菌が集積された硝化担体22と、嫌気性アンモニア酸化細菌が集積された脱窒担体24とを含む。これにより、処理槽20において、硝化担体22による硝化反応及び脱窒担体24による脱窒反応の両方を行い、廃水中のアンモニア性窒素を窒素ガスに分解する。脱窒担体24の嫌気性アンモニア酸化細菌は、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である菌を用いる。このように半飽和定数が高い嫌気性アンモニア酸化細菌は、溶存酸素量が高い条件下でも脱窒活性を維持可能であることから、処理槽20に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を容易に維持することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃水処理方法及び廃水処理装置に係り、特に、アンモニア性窒素を含む廃水の処理方法及び処理装置に関する。
近年、アンモニア性窒素を含む廃水の処理方法として、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒処理を伴う方法(嫌気性アンモニア酸化法)が注目を集めている。この方法では、硝化槽において、廃水中のアンモニア性窒素を硝化細菌で亜硝酸に硝化した後、脱窒槽において、当該亜硝酸と、廃水中のアンモニア性窒素とを嫌気性アンモニア酸化細菌により同時脱窒する。この方法によれば、脱窒反応時に、外部からの有機物の供給を必要としないため、効率的な廃水処理を行うことができる。
嫌気性アンモニア酸化法における同時脱窒は、下記の反応式に従って行われる。したがって、廃水中のアンモニア性窒素を確実に分解除去するためには、下記反応式の量論比に基づいて、脱窒槽中のアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との比率を管理する必要がある。このため、硝化槽における硝化率を厳密にコントロールする必要があった。
1.00NH4+1.32NO2+0.066HCO3+0.13H
→1.02N2+0.26NO3+0.066CH20.50.15+2.03H
そこで、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌が共存する処理槽において、好気条件下で、硝化反応及び脱窒反応の両方を行う方法(いわゆるキャノン法)が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。この方法では、同一の処理槽内に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌が、互いに均衡を保とうとするため、硝化率を厳密にコントロールしなくても、廃水中のアンモニア性窒素を確実に分解除去することができる。
特開2001−293494号公報
Third, K.A., Sliekers, A.O., Kuenen, J.G., Jetten, M.S.M., 2001 The CANNON system (completely autotrophic nitrogen-removal over nitrite) under ammonium limitation: interaction and competition between three groups of bacteria. Syst. Appl. Microbiol. 24(4), 588-596.
しかしながら、従来のキャノン法では、同一の処理槽に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を維持することが難しく、迅速な廃水処理を行うことは困難であった。
例えば、特許文献1及び非特許文献1に記載された方法では、好気性細菌である硝化細菌を活性化させる目的で、好気条件下で廃水処理を行っているため、嫌気性細菌である嫌気性アンモニア酸化細菌の脱窒活性が低下してしまうという問題があった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、同一の処理槽に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を用いて、迅速な廃水処理を行うことができる廃水処理方法及び廃水処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る廃水処理方法は、アンモニア性窒素を含む廃水の処理方法であって、硝化細菌と、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存する処理槽において、前記廃水中の前記アンモニア性窒素を前記硝化細菌により亜硝酸に酸化する工程と、前記処理槽において、前記嫌気性アンモニア酸化細菌により、前記廃水に含まれる前記アンモニア性窒素を水素供与体として、前記アンモニア性窒素の酸化により生成した前記亜硝酸を脱窒する工程とを含むことを特徴とする。
ここで、本明細書において、嫌気性アンモニア酸化細菌の「亜硝酸に対する半飽和定数(mgN/L)」とは、基質である亜硝酸性窒素の濃度(mgN/L)と、嫌気性アンモニア酸化細菌による亜硝酸性窒素の消費速度(mgN/L/hr)との関係をMichaelis−menten式により近似して得られるミカエリス定数である。具体的には、後述の実施例1に記載した方法により特定される半飽和定数(ミカエリス定数)を指す。
従来から知られている嫌気性アンモニア酸化細菌は、亜硝酸に対する半飽和定数が、分析機器の精度上、特定できないほど小さい値であった。このような状況において、本願発明者らは、鋭意検討した結果、従来に比べて非常に高い半飽和定数(6.1mgN/L以上)を有する嫌気性アンモニア酸化細菌が存在することを発見した。さらに、本願発明者らは、このような嫌気性アンモニア酸化細菌は、溶存酸素量(DO)が高い条件下でも、脱窒活性を維持することができるという知見を得た。上記廃水処理方法は、本願発明者らの上述の知見に基づくものである。
上記廃水処理方法によれば、溶存酸素量が高い条件下でも脱窒活性を維持可能な嫌気性アンモニア酸化細菌を用いているため、同一の処理槽に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を容易に維持することができる。したがって、迅速な廃水処理を行うことができる。
上記廃水処理方法において、前記処理槽内の亜硝酸濃度は、15mg/L以上250mg/L以下に維持されることが好ましい。
また、上記廃水処理方法において、前記処理槽内のアンモニア濃度は、3mg/L以上に維持されることが好ましい。
処理槽内における亜硝酸濃度及びアンモニア濃度を上記範囲内に維持することで、廃水処理速度をより一層高めることができる。
上記廃水処理方法において、前記硝化細菌は、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上であることが好ましい。
ここで、本明細書において、硝化細菌の「アンモニアに対する半飽和定数(mgN/L)」とは、基質であるアンモニア性窒素の濃度(mgN/L)と、消化細菌によるアンモニア性窒素の消費速度(mgN/L/hr)との関係をMichaelis−menten式により近似して得られるミカエリス定数である。具体的には、後述の実施例1に記載した方法により特定される半飽和定数(ミカエリス定数)を指す。
アンモニアに対する半飽和定数が低い硝化細菌を用いると、処理槽内のアンモニアが硝化反応で過剰に消費されてしまい、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応に影響を及ぼすことがある。アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上である硝化細菌を用いることで、硝化反応によるアンモニアの過剰な消費を防止して、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応を安定して行うことができる。
上記廃水処理方法において、前記硝化細菌と前記嫌気性アンモニア酸化細菌とは、互いに異なる担体に固定されていることが好ましい。
これにより、硝化細菌が固定された硝化担体と、嫌気性アンモニア酸化細菌が固定された脱窒担体との体積比を調節することで、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の菌量を容易にコントロールすることができる。
特に、前記担体は包括固定化担体であることが好ましい。
担体として包括固定化担体を用いれば、付着固定担体の場合に起こりうる生物膜の剥離が生じないため、菌量を確実にコントロールすることができる。
本発明に係る廃水処理装置は、硝化細菌と、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存する処理槽を備えることを特徴とする。
上記廃水処理装置において、前記硝化細菌は、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上であることが好ましい。
上記廃水処理装置において、前記硝化細菌と前記嫌気性アンモニア酸化細菌とが、互いに異なる担体に固定されていることが好ましい。
上記廃水処理装置において、前記担体は包括固定化担体であることが好ましい。
本発明によれば、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌を用いることで、同一の処理槽に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を容易に維持することができる。したがって、迅速な廃水処理を行うことができる。
本発明に係る廃水処理装置の一例を示す構成図である。 廃水処理装置の他の例を示す構成図である。 硝化担体の馴養に用いたアンモニア廃水の水質を示す表である。 アンモニア濃度と、馴養された硝化細菌の硝化速度との関係を示すグラフである。 脱窒担体の馴養に用いた合成廃水の水質を示す表である。 亜硝酸濃度と、馴養された嫌気性アンモニア酸化細菌の脱窒速度との関係を示すグラフである。 廃水処理実験の結果を示すグラフである。 馴養された嫌気性アンモニア酸化細菌の亜硝酸に対する半飽和定数を示す表である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る廃水処理装置の一例を示す構成図である。同図に示すように、廃水処理装置10は、主として、処理すべき廃水(原廃水)が貯留される原水タンク12と、原水タンク12から送られる廃水を処理する処理槽20と、廃水処理装置10の各部を制御する制御装置40とにより構成される。
原水タンク12に貯留される廃水は、少なくともアンモニア性窒素を含有する廃水であり、アンモニア性窒素の他に、窒素、リン、炭素等の栄養塩が含まれていてもよい。原水タンク12は、処理槽20と連結されており、ポンプ14により、原水タンク12から処理槽20に廃水を供給できるようになっている。
処理槽20は、硝化細菌(アンモニア酸化細菌)が優占的に集積された硝化担体22と、嫌気性アンモニア酸化細菌が優占的に集積された脱窒担体24とを含む。このように硝化細菌と嫌気性アンモニア酸化細菌とを互いに異なる担体(硝化担体22及び脱窒担体24)に固定化することで、硝化担体22と脱窒担体24との体積比の調節により、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の菌量比を容易にコントロールすることができる。なお、図1には、硝化細菌と嫌気性アンモニア酸化細菌とが互いに異なる担体に固定化された例を示したが、硝化細菌と嫌気性アンモニア酸化細菌とを同一の担体に集積してもよい。例えば、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌のいずれか一方が包括固定化された担体の表面に、他方の菌を付着させて、硝化細菌と嫌気性アンモニア酸化細菌とを同一の担体に集積してもよい。
処理槽20では、硝化担体22に集積された硝化細菌と、脱窒担体24に集積された嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存している。これにより、処理槽20において、硝化担体22による硝化反応及び脱窒担体24による脱窒反応の両方を行い、廃水中のアンモニア性窒素を窒素ガスに分解することができる。ここで、硝化反応とは、廃水中のアンモニア性窒素を硝化細菌により亜硝酸に酸化する反応をいい、脱窒反応とは、嫌気性アンモニア酸化細菌により、廃水中のアンモニア性窒素を水素供与体として、硝化反応により生成した亜硝酸を脱窒する反応をいう。
このように、好気性細菌である硝化細菌と、嫌気性細菌である嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存する処理槽20を用いて廃水処理を行う場合、両者の活性を維持して、迅速な廃水処理を行うことは困難である。例えば、好気性細菌である硝化細菌を活性化させる目的で、好気条件下で廃水処理を行うと、嫌気性細菌である嫌気性アンモニア酸化細菌の脱窒活性が低下してしまう。
本願発明者らは、廃水処理の迅速化について検討する過程で、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌が存在することを発見した。従来、このように高い半飽和定数を有する嫌気性アンモニア酸化細菌は知られておらず、一般的に知られている嫌気性アンモニア酸化細菌の半飽和定数は、分析機器の精度上特定することができないほど小さな値であった。
さらに、本願発明者らは、このような嫌気性アンモニア酸化細菌は、溶存酸素量(DO)が高い条件下でも、脱窒活性を維持することができるという知見を得た。これは、半飽和定数が高い嫌気性アンモニア酸化細菌は、酸素に対して耐性を持つためであると考えられる。
上述の知見に基づいて、本実施形態では、脱窒担体24に集積させる嫌気性アンモニア酸化細菌として、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である菌を用いている。脱窒担体24の嫌気性アンモニア酸化細菌(亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上の菌)は、溶存酸素量が高い条件下でも脱窒活性を維持可能であることから、処理槽20に共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を容易に維持することができる。したがって、迅速な廃水処理を行うことができる。
中でも、廃水処理のさらなる迅速化を図る観点から、脱窒担体24に集積させる嫌気性アンモニア酸化細菌は、亜硝酸に対する半飽和定数が15mgN/L以上であることが好ましい。
亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌が優占的に集積された脱窒担体24は、嫌気性アンモニア酸化細菌を含む担体を培養することで作製することができる。このとき、培養槽内の亜硝酸濃度を20〜250mg/Lで維持しながら、3ヶ月以上の連続培養を行うことが好ましい。これにより、例えば、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1〜40mgN/Lの嫌気性アンモニア酸化細菌を培養することができる。
また、硝化担体22に優占的に集積させる硝化細菌は、アンモニアに対する半飽和定数が高い菌(AH菌)であることが好ましい。とりわけ、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上である硝化細菌は、以下で説明するように、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応を阻害しない点で好ましい。
アンモニアに対する半飽和定数が低い硝化細菌(AL菌)を用いると、処理槽内のアンモニアが硝化反応で過剰に消費されてしまい、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応に影響を及ぼすことがある。アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上である硝化細菌を用いることで、硝化反応によるアンモニアの過剰な消費を防止して、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応を安定して行うことができる。
アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上である硝化細菌が優占的に集積された硝化担体22は、例えば、硝化細菌を含む担体を培養することで作製することができる。このとき、培養槽内のアンモニア濃度を50mg/L以上で維持しながら、連続培養を行うことが好ましい。これにより、例えば、アンモニアに対する半飽和定数が10〜60mgN/Lの硝化細菌(AH菌)を培養することができる。
硝化担体22は、硝化細菌が固定化されていれば特に限定されず、固定化担体であってもよいし、接触ろ材であってもよい。硝化担体22に固定化される硝化細菌は、活性汚泥等の微生物から分離したものを用いてもよいし、硝化細菌を優先繁殖させた微生物群を含む活性汚泥を用いてもよい。
また、固定化担体タイプの硝化担体22としては、硝化細菌を担体内部に包括固定化した包括固定化担体を用いることが好ましい。包括固定化担体を用いれば、付着固定担体の場合に起こりうる生物膜の剥離が生じないため、菌量を確実にコントロールすることができる。また、包括固定化担体であれば、馴養の際、汚泥の返送が不要であるため、比較的容易に馴養を行うことができる。
硝化担体22の固定化材料は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリエチレングリコール等のゲルや、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル等のプラスチックを用いることができる。硝化担体22の形状は、例えば、球形、円筒形、立方形であってもよく、硝化担体22は、多孔状、ハニカム状、スポンジ状に成形されていてもよい。また、硝化担体22として、微生物の自己造粒を利用したグラニュール担体を使用してもよい。なお、硝化担体22として使用可能な接触ろ材として、塩化ビニル製やポリエチレン製のものを挙げることができる。
脱窒担体24は、嫌気性アンモニア酸化細菌が固定化されていれば特に限定されず、固定化担体であってもよいし、接触ろ材であってもよい。
また、脱窒担体24に用いる固定化担体は、嫌気性アンモニア酸化細菌を担体内部に包括固定化した包括固定化担体であってもよいし、嫌気性アンモニア酸化細菌を担体表面に付着固定した付着固定化担体であってもよい。中でも、脱窒担体24として、包括固定化担体を使用することが好ましい。包括固定化担体を用いれば、付着固定担体の場合に起こりうる生物膜の剥離が生じないため、菌量を確実にコントロールすることができる。また、包括固定化担体は、菌を確実に処理槽内に維持することができるため、培養により得られる貴重な菌である嫌気性アンモニア酸化細菌の固定担体として適している。さらに、包括固定化担体であれば、馴養の際、汚泥の返送が不要であるため、比較的容易に馴養を行うことができる。
脱窒担体24の固定化材料は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリエチレングリコール等のゲルや、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル等のプラスチックを用いることができる。脱窒担体24の形状は、例えば、球形、円筒形、立方形であってもよく、脱窒担体24は、多孔状、ハニカム状、スポンジ状に成形されていてもよい。また、脱窒担体24として、微生物の自己造粒を利用したグラニュール担体を使用してもよい。なお、脱窒担体24として使用可能な接触ろ材として、塩化ビニル製やポリエチレン製のものを挙げることができる。
硝化担体22及び脱窒担体24の合計体積は、処理槽20内の廃水の体積の10〜40%であることが好ましく、15〜25%であることがより好ましい。また、処理槽20における硝化担体22と脱窒担体24との合計体積に対する脱窒担体24の体積率(優占率)は、25〜65%であることが好ましい。特に水温が高い(例えば、水温が25〜37℃)場合、脱窒担体24の体積率(優占率)を25〜40%にすることが好ましい。
また、図1に示すように、処理槽20には、処理槽20内の廃水の水質を測定するセンサー26が設けられている。センサー26は、例えば、アンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸濃度、溶存酸素量、pHなどを測定可能な構成になっている。センサー26の測定結果は、制御装置40に送られ、この測定結果に基づいて、廃水処理装置10の各部が制御される。
また、処理槽20には、散気手段28が設けられており、この散気手段28を介して、ブロア30から空気が供給されるようになっている。これにより、処理槽20内の廃水を曝気攪拌するとともに、廃水に溶存酸素を供給することができる。
ブロア30は、制御装置40により、処理槽20内の廃水の溶存酸素量が0.5〜4.0mg/L(より好ましくは、1.0〜3.0mg/L)になるように制御されることが好ましい。
処理槽20における亜硝酸濃度は、15〜250mg/Lに維持されることが好ましく、20〜100mg/Lに維持されることがより好ましい。また、処理槽20におけるアンモニア濃度は、3mg/L以上に維持されることが好ましく、5mg/Lに維持されることがより好ましい。
処理槽20内における亜硝酸濃度及びアンモニア濃度を上記範囲内に維持することで、廃水処理速度をより一層高めることができる。
処理槽20における亜硝酸濃度及びアンモニア濃度は、制御装置40がポンプ14を制御して、廃水の処理槽20における滞留時間(水理学的滞留時間)を変更することで、調節することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る廃水処理方法について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
例えば、上述の実施形態では、硝化担体22及び脱窒担体24に集積された硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を用いて廃水処理を行う例について説明したが、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を含む活性汚泥により廃水処理を行ってもよい。
図2は、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を含む活性汚泥により廃水処理を行う廃水処理装置の一例を示す構成図である。図2では、図1に示す廃水処理装置10と共通する構成要素には同一の符号を付し、ここではその説明を省略する。
図2に示す廃水処理装置50は、硝化担体22及び脱窒担体24ではなく、硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌を含む活性汚泥34により廃水処理を行う点で、廃水処理装置10と異なる。
活性汚泥34は、返送汚泥配管36を介して、処理槽20と、処理槽20の後段に設けられる沈殿槽32との間で循環するようになっている。処理槽20では、活性汚泥34に集積された硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌が共存している。これにより、処理槽20において、硝化細菌による硝化反応及び嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応の両方を行い、廃水中のアンモニア性窒素を窒素ガスに分解することができる。
活性汚泥34中の嫌気性アンモニア酸化細菌は、上述の実施形態と同様に、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上(好ましくは、15mgN/L以上)である菌を用いる。このような嫌気性アンモニア酸化細菌は、溶存酸素量が高い条件下でも脱窒活性を維持可能であることから、処理槽20内で共存する硝化細菌及び嫌気性アンモニア酸化細菌の両方の活性を容易に維持することができる。したがって、迅速な廃水処理を行うことができる。
さらに、活性汚泥34中の硝化細菌は、上述の実施形態と同様に、アンモニアに対する半飽和定数が高い菌(AH菌)であることが好ましい。とりわけ、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上である硝化細菌は、嫌気性アンモニア酸化細菌による脱窒反応を阻害しない点で好ましい。
また、制御装置40がポンプ14及びブロア30を制御することで、処理槽20内の廃水の溶存酸素量を0.5〜4.0mg/L(より好ましくは、1.0〜3.0mg/L)、亜硝酸濃度を15〜250mg/L(より好ましくは、20〜100mg/L)、アンモニア濃度を3mg/L以上(より好ましくは、5mg/L以上)に維持することが好ましい。
以下、実施例により、本発明の特徴をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<硝化担体22の作製>
硝化細菌を含む活性汚泥を、3mm角の立方体に成形したポリエチレングリコール系のゲルで包括固定化した。この包括固定化担体0.2Lを、容積2Lの円筒形のリアクタ(培養槽)に投入した。このリアクタにアンモニア廃水(無機合成廃水)を流入させ、リアクタ内の温度を30℃に維持しながら、硝化細菌の馴養を1ヶ月行って、硝化担体22を作製した。図3は、硝化細菌の馴養に用いたアンモニア廃水の水質を示す表である。
硝化細菌の馴養時は、曝気攪拌により、リアクタ内の溶存酸素量(DO)を2〜4mg/Lに維持するとともに、5%炭酸水素ナトリウムの添加によりpHを7.5に維持した。また、馴養開始初期は、滞留時間(水理学的滞留時間)が24時間になるようにアンモニア廃水の流入量を調節し、その後、硝化細菌の活性の増加に応じて、滞留時間を短縮し、負荷を大きくした。なお、リアクタ内のアンモニア濃度は50mg/L以上になるように負荷を調節した。
図4は、上記手順で作製した硝化担体22の硝化速度と、アンモニア濃度との関係を示すグラフである。図4のグラフをMichaelis−menten式で近似したところ、硝化担体22のアンモニアに対する半飽和定数は20mgN/Lであった。
<脱窒担体24の作製>
嫌気性アンモニア酸化細菌を、3mm角の立方体に成形したポリエチレングリコール系のゲルで包括固定化した。この包括固定化担体0.2Lを、容積2Lの円筒形のリアクタ(培養槽)に投入した。また、リアクタは、内部への空気の混入を防ぐ構造であり、スターラーを備えるものを用いた。このリアクタに合成廃水を流入させ、リアクタ内の温度を30℃に維持しながら、嫌気性アンモニア酸化細菌の馴養を6ヶ月行って、脱窒担体24を作製した。図5は、脱窒担体の馴養に用いた合成廃水の水質を示す表である。
脱窒担体の馴養時は、HCl(0.2N)の添加によりpHを7.5に維持した。また、馴養開始初期は、滞留時間(水理学的滞留時間)が12時間になるようにアンモニア廃水の流入量を調節した。また、リアクタ内の亜硝酸濃度は20〜250mg/Lになるように負荷を調節した。
図6は、上記手順で作製した脱窒担体24の脱窒速度(亜硝酸消費速度)と、亜硝酸濃度との関係を示すグラフである。図6のグラフをMichaelis−menten式で近似したところ、脱窒担体24の亜硝酸に対する半飽和定数は28mgN/Lであった。
<硝化脱窒試験>
上記手順で作製した硝化担体22及び脱窒担体24を用いて、アンモニア廃水の廃水処理試験を行った。硝化担体22の作製に使用したのと同一のリアクタに、硝化担体22を0.2L、脱窒担体24を0.2L投入した。このリアクタに、図3に示す水質の合成廃水を流入させ、廃水処理を1ヶ月間行った。
廃水処理時は、リアクタ内の溶存酸素量を1.0〜3.0mg/Lに維持し、廃水の滞留時間が8時間となるように廃水の流入量を調節した。
図7は、廃水処理開始から1ヶ月後における処理水の水質を示すグラフである。図7から、廃水中のアンモニアはほぼ完全に処理され、処理水中の平均アンモニア濃度は6.2mg/Lであった。また、亜硝酸もほぼ処理され、処理水中の平均亜硝酸濃度は22.4mg/Lであり、嫌気性アンモニア酸化反応で生成する硝酸濃度は平均65mg/Lであった。また、このときの窒素除去速度は2.0kg-N・m−3・day−1であった。
このように、本発明に係る廃水処理方法によれば、迅速な廃水処理を安定して行うことができることが確認された。
(実施例2)
<種々の半飽和定数を有する脱窒担体24の作製>
下水処理場、畜産系の発酵廃水の処理場および食品工場廃水処理場から得られる汚泥を用いて嫌気性アンモニア酸化細菌を集積培養して、3種類の嫌気性アンモニア酸化細菌を含む活性汚泥を得た。なお、集積培養方法は、「第38回 水環境学会年会講演集 P372 連続培養法による嫌気性アンモニア酸化細菌の馴養 (2004)」に記載された方法を用いた。
これらの活性汚泥を、実施例1と同様に包括固定化して、嫌気性アンモニア酸化細菌の馴養を行って、3種類の脱窒担体24(担体A〜C)を作製し、亜硝酸に対する半飽和定数を測定した。
図8は半飽和定数の測定結果を示す表である。図8において、担体Dは、実施例1において作製した脱窒担体24を指す。また、汚泥Eは、培養槽内の亜硝酸濃度を10mg/L以下に維持しながら、嫌気性アンモニア酸化細菌の馴養を行ったものであり、包括固定化せずに、不織布に付着させた状態で半飽和定数を測定した。
図8から、担体A〜Dは、亜硝酸に対する半飽和定数が15〜40mgN/Lであることが分かった。一方、汚泥Eは、亜硝酸に対する半飽和定数が0.01〜1mgN/Lの範囲内である傾向は得られたが、分析機器の精度上、特定することができなかった。
<溶存酸素量の影響>
上記担体A〜Dについて、実施例1の脱窒担体の作製時と同じリアクタを用い、当該リアクタに合成廃水(図5に示す水質の合成廃水)を流入させ、廃水処理運転を行った。リアクタへの脱窒担体の投入量は0.2Lとした。図5の廃水中のアンモニア濃度および亜硝酸濃度をそれぞれ、150mgN/L、220mgN/Lとした上で、DOを0mg/Lとした条件で約1ヶ月間の連続運転を行い、安定データを取得した。この後、DOを1〜3mg/Lに上昇させ、このときの窒素除去速度の変化を確認した。水温は30℃、HRTは4.8時間とした。
汚泥Eについては、「第7回 日本水環境学会シンポジウム講演集 P125−126嫌気性アンモニア酸化法を活用した高速窒素除去速度 (2004)」に記載してある0.2Lのリアクタ内に不織布を充填し、内部に嫌気性アンモニア酸化細菌を付着させたものを用いて試験を行った。原水のNH4-N及びNO2-Nは、それぞれ50mg/Lとした。水温30℃、HRTを4時間とした。約1ヶ月間の安定データを取得した後、DOを1〜3mg/Lに上昇させ、このときの窒素除去速度の変化を確認した。
その結果、担体A〜Dの場合、窒素除去性能に変化はなく、溶存酸素量の影響は見られなかった。一方、汚泥Eの場合、原水中の溶存酸素量を1〜3mg/Lに調整すると、活性が著しく低下し、溶存酸素量を変更してから1週間後には完全に活性がなくなった。
このことから、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌は、溶存酸素の影響を受けにくいことが分かった。
10…廃水処理装置、12…原水タンク、14…ポンプ、20…処理槽、22…硝化担体、24…脱窒担体、26…センサー、28…散気手段、30…ブロア、32…沈殿槽、34…活性汚泥、36…汚泥返送配管、40…制御装置

Claims (10)

  1. アンモニア性窒素を含む廃水の処理方法であって、
    硝化細菌と、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存する処理槽において、前記廃水中の前記アンモニア性窒素を前記硝化細菌により亜硝酸に酸化する工程と、
    前記処理槽において、前記嫌気性アンモニア酸化細菌により、前記廃水に含まれる前記アンモニア性窒素を水素供与体として、前記アンモニア性窒素の酸化により生成した前記亜硝酸を脱窒する工程とを含むことを特徴とする廃水処理方法。
  2. 前記処理槽内の亜硝酸濃度は、15mg/L以上250mg/L以下に維持されることを特徴とする請求項1に記載の廃水処理方法。
  3. 前記処理槽内のアンモニア濃度は、3mg/L以上に維持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃水処理方法。
  4. 前記硝化細菌は、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の廃水処理方法。
  5. 前記硝化細菌と前記嫌気性アンモニア酸化細菌とが、互いに異なる担体に固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の廃水処理方法。
  6. 前記担体は包括固定化担体であることを特徴とする請求項5に記載の廃水処理方法。
  7. 硝化細菌と、亜硝酸に対する半飽和定数が6.1mgN/L以上である嫌気性アンモニア酸化細菌とが共存する処理槽を備えることを特徴とする廃水処理装置。
  8. 前記硝化細菌は、アンモニアに対する半飽和定数が15mgN/L以上であることを特徴とする請求項7に記載の廃水処理装置。
  9. 前記硝化細菌と前記嫌気性アンモニア酸化細菌とが、互いに異なる担体に固定されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の廃水処理装置。
  10. 前記担体は包括固定化担体であることを特徴とする請求項9に記載の廃水処理装置。
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