JP4784873B2 - 嫌気性アンモニア酸化処理方法および装置 - Google Patents
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Description
(1)嫌気条件下でアンモニアを含む処理対象液中のアンモニアから亜硝酸および/または硝酸を生成するフェアモックス菌によるアンモニア酸化処理方法において、重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを処理対象液に供給することを含む、上記方法。
(2)重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを、炭酸ガス、炭酸水素塩および炭酸塩からなる群から選択される供給源により供給する、(1)に記載の方法。
(3)重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを、処理対象液のアンモニアモル濃度1に対して約0.5〜3のモル濃度になるように供給する、(1)または(2)に記載の方法。
(4)フェアモックス菌が嫌気性消化汚泥に含まれるものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)フェアモックス菌を、アンモニアと重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを供給して集積培養することをさらに含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)錯体形成鉄を供給することをさらに含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)フェアモックス菌を担体に固定化することをさらに含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)脱窒菌による脱窒を行うことをさらに含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)アナモックス細菌による脱窒を行うことをさらに含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(10)重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンの供給量を調節し、アンモニアを含む処理対象液中のアンモニアの約半分量を亜硝酸に変換処理して、その処理液をアナモックス細菌による脱窒に適用することをさらに含む、(9)に記載の方法。
(11)嫌気条件下でアンモニアを含む処理対象液中のアンモニアから亜硝酸および/または硝酸を生成するフェアモックス菌によりアンモニア酸化処理を行うためのアンモニア処理槽と、重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを処理対象液に供給するための重炭酸/炭酸供給装置を含む、アンモニア処理装置。
(12)アンモニア処理槽が微生物を固定化するための担体を含む、(11)に記載の装置。
(13)アンモニア処理槽が攪拌装置を含む、(11)または(12)に記載の装置。
(14)アンモニアを含む処理対象液を貯留するための処理対象液貯留タンクをさらに含む、(11)〜(13)のいずれかに記載の装置。
(15)アンモニア処理槽で処理された処理液を貯留するための処理液貯留タンクをさらに含む、(11)〜(14)のいずれかに記載の装置。
(16)脱窒菌による処理またはアナモックス細菌による処理を行うための脱窒槽をさらに含む、(11)〜(15)のいずれかに記載の装置。
[フェアモックス菌の前培養]
1000ml容量のガラス製のアンモニア処理槽に、担体として炭素繊維(日本カーボン株式会社、GF−20−10F)を具備し、茨城県下水処理場から分譲された下水汚泥を対象とした嫌気性消化汚泥を、アンモニア酸化を行うフェアモックス菌の種菌として用い、種菌とアンモニア 5mM、炭酸水素ナトリウム 10mM、鉄EDTA 5mM、微量金属(FeSO4・7H2O 5μM、ZnSO4・7H2O 1.5μM、CoCl2・6H2O 1μM、MnCl2・4H2O 5μM、CuSO4・5H2O 1μM、NaMoO4・2H2O 0.9μM、NiCl2・6H2O 1μM、NaSeO4・10H2O 1.1μM、H3BO4 4.4μM)の混合物からなる培養液をアンモニア処理槽に加え、集積前培養を行った。アンモニア処理槽は密閉した嫌気条件で、外部から空気を供給しないで、撹拌しながら30〜35℃に保ち、1年以上、上記フェアモックス菌を集積前培養した。連続培養の条件としては、1日当たり300mlの培養液を連続的にアンモニア処理槽に添加し、等量の反応液を連続的に引き抜いた。
反応温度30℃、アンモニア 5mM、炭酸水素ナトリウム 10mM、上記微量金属の混合物からなる人工廃水を1日当たり300ml連続的にアンモニア処理槽に添加し、等量の反応液を連続的に引き抜いた。反応液について、イオンクロマトグラフィーでアンモニア濃度、硝酸濃度および亜硝酸濃度を測定した。
処理前の人工廃水のアンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸濃度は、それぞれ5mM、0mM、0mMであったが、アンモニア酸化処理の実験開始後24日後の処理液中のアンモニア濃度は0mM、亜硝酸濃度は5.0mM、硝酸濃度は0.1mMで、人工廃水中のアンモニアが減少して、処理液中には亜硝酸と硝酸の生成が認められた。人工廃水中のアンモニアは、担体上で固定化され増殖したフェアモックス菌の働きにより、炭酸イオンを利用してアンモニアの化学エネルギーを取り出し、嫌気的に亜硝酸と硝酸に変換処理されたことがわかる。
実施例1で使用したアンモニア処理槽に炭酸水素ナトリウムを含まない人工廃水を添加したという条件以外は、実施例1と同様にして連続培養した。処理前の人工廃水のアンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸濃度は、それぞれ5mM、0mM、0mMであり、本比較例の実験開始後7日後の反応液中のアンモニア濃度は4.7mM、亜硝酸濃度は0.1mM、硝酸濃度は0.3mMで、人工廃水中のアンモニアはほとんど減少せず、亜硝酸濃度と硝酸濃度は相対的に低かった。本発明に用いたフェアモックス菌は、炭酸イオンがないと十分にアンモニアを酸化処理できず、人工廃水中のアンモニアはほとんど変換されなかったことがわかる。
[フェアモックス菌の前培養]
500ml容量の密閉式ガラス製アンモニア処理槽に、担体としてポリウレタン(イノアック特材株式会社、PS−20)を具備し、茨城県下水処理場から分譲された下水汚泥を対象とした嫌気性消化汚泥を、アンモニア酸化を行うフェアモックス菌の種菌として用い、種菌とアンモニア、炭酸水素ナトリウム、微量金属(FeSO4・7H2O 5μM、ZnSO4・7H2O 1.5μM、CoCl2・6H2O 1μM、MnCl2・4H2O 5μM、CuSO4・5H2O 1μM、NaMoO4・2H2O 0.9μM、NiCl2・6H2O 1μM、NaSeO4・10H2O 1.1μM、H3BO4 4.4μM)の混合物からなる培養液400mlをアンモニア処理槽に加え、前培養を行った。アンモニア処理槽は密閉した嫌気条件で、外部から空気を供給しないで、撹拌しながら35℃に保ち、4ヶ月間、上記フェアモックス菌を集積前培養した。半連続培養の条件としては、2週間当たり400mlの反応液を引き抜き、その後新しい培養液をアンモニア処理槽に同量添加した。
反応温度35℃で2週間当たり400mlの反応液を引き抜き、その後アンモニア 5mM、炭酸水素ナトリウム 20mM、上記微量金属の混合物からなる人工廃水400mlをアンモニア処理槽に添加した。反応液について、イオンクロマトグラフィーでアンモニア濃度、硝酸濃度および亜硝酸濃度を測定した。
処理前の人工廃水とアンモニア処理槽からの反応液のアンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸濃度の差は、それぞれ4.0mMの減少、2.5mMの増加、0.1mMの増加であった。排水中のアンモニアが酸化減少し、反応液中には亜硝酸と硝酸の生成が認められた。人工廃水中のアンモニアは、担体上で固定化され増殖したフェアモックス菌の働きにより、重炭酸イオンを利用してアンモニアの化学エネルギーを取り出し、亜硝酸と硝酸に変換処理されたことがわかる。
実施例2で使用したアンモニア処理槽に、窒素ガスで槽内の酸素を除去するという条件以外は、実施例2と同様にして半連続培養した。処理前の人工廃水とアンモニア処理槽からの反応液のアンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸濃度の差は、それぞれ2.5mMの減少、1.5mMの増加、0.1mMの増加であった。窒素ガスで処理槽内の酸素を除外した場合であっても、有意にアンモニア濃度が減少した。
2.アンモニア処理槽
3.重炭酸/炭酸供給装置
4.微生物固定化担体
5.攪拌装置
6.処理液貯留タンク
Claims (16)
- 嫌気条件下でアンモニアを含む処理対象液中のアンモニアから亜硝酸および/または硝酸を生成するフェアモックス菌によるアンモニア酸化処理方法において、重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを処理対象液に供給することを含む、上記方法。
- 重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを、炭酸ガス、炭酸水素塩および炭酸塩からなる群から選択される供給源により供給する、請求項1に記載の方法。
- 重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを、処理対象液のアンモニアモル濃度1に対して約0.5〜3のモル濃度になるように供給する、請求項1または2に記載の方法。
- フェアモックス菌が嫌気性消化汚泥に含まれるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- フェアモックス菌を、アンモニアと重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを供給して集積培養することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 錯体形成鉄を供給することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- フェアモックス菌を担体に固定化することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 脱窒菌による脱窒を行うことをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- アナモックス細菌による脱窒を行うことをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンの供給量を調節し、アンモニアを含む処理対象液中のアンモニアの約半分量を亜硝酸に変換処理して、その処理液をアナモックス細菌による脱窒に適用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
- 嫌気条件下でアンモニアを含む処理対象液中のアンモニアから亜硝酸および/または硝酸を生成するフェアモックス菌によりアンモニア酸化処理を行うためのアンモニア処理槽と、重炭酸イオンおよび/または炭酸イオンを処理対象液に供給するための重炭酸/炭酸供給装置を含む、アンモニア処理装置。
- アンモニア処理槽が微生物を固定化するための担体を含む、請求項11に記載の装置。
- アンモニア処理槽が攪拌装置を含む、請求項11または12に記載の装置。
- アンモニアを含む処理対象液を貯留するための処理対象液貯留タンクをさらに含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置。
- アンモニア処理槽で処理された処理液を貯留するための処理液貯留タンクをさらに含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の装置。
- 脱窒菌による処理またはアナモックス細菌による処理を行うための脱窒槽をさらに含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の装置。
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