JP2010210835A - ポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できるポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】側鎖の末端に「−SO−を含む環式基」を含有する構成単位(a0)と、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)とを有する高分子化合物(A1)と、酸発生剤成分(B)と、フッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基を含み、かつ少なくとも1つのフッ素原子が含まれる構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分とを含有するポジ型レジスト組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物、及びポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光はあらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
近年、含フッ素化合物について、その撥水性、透明性等の特性が着目され、様々な分野での研究開発が活発に行われている。
たとえばレジスト材料分野では、現在、ポジ型の化学増幅型レジストのベース樹脂として用いるために、含フッ素高分子化合物に、メトキシメチル基、tert−ブチル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等の酸不安定性基を導入することが行われている。
しかし、かかるフッ素系高分子化合物をポジ型レジスト組成物のベース樹脂として用いた場合、露光後にアウトガスが多く生成したり、ドライエッチングガスへの耐性(エッチング耐性)が充分でなかったり等の欠点がある。
最近、エッチング耐性に優れた含フッ素高分子化合物として、環状炭化水素基を含有する酸不安定性基を有する含フッ素高分子化合物が報告されている(たとえば、非特許文献2参照)。
また、液浸露光用レジスト組成物において、レジスト膜に撥水性を付与するため含フッ素高分子化合物が報告されている(たとえば、非特許文献3参照)。
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第5754巻,第119−128頁(2005年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第4690巻,第76−83頁(2002年). ジャーナルオブフォトポリマーサイエンスアンドテクノロジー(Journal of Photopolymer.Sci.Technol.)、第19巻、No.4,第565−568頁(2006年).
液浸露光においては、通常のリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)に加えて、液浸露光技術に対応した特性を有するレジスト材料が求められる。
例えば、液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出は、レジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(例えば親水性・疎水性等)の影響を受けるため、例えばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減され得る。
また、液浸媒体が水である場合において、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められる。水追随性が低いと、露光スピードが低下するため、生産性に影響を与えることが懸念される。この水追随性は、レジスト膜表面の疎水性を高める(疎水化する)ことによって向上すると考えられる。そして、水追随性を向上させることにより、高速スキャンスピードの実現が望まれる。
しかしながら、含フッ素化合物を含有する従来のレジスト組成物においては、レジスト膜表面の疎水性を高める効果が未だ充分でない問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できるポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、含フッ素化合物成分(F)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記基材成分(A)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)とを有する高分子化合物(A1)を含み、かつ、前記含フッ素化合物成分(F)は、下記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
Figure 2010210835
[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基である。]
Figure 2010210835
[式(f1−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Qは単結合又はフッ素原子を有する2価の連結基であり、RX0はフッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。ただし、式(f1−0)中に少なくとも1つのフッ素原子が含まれるものとする。]
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本明細書および本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
また、「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できるポジ型レジスト組成物、及び当該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供できる。
前進角(θ)、後退角(θ)及び転落角(θ)を説明する図である。
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明の第一の態様であるポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)と、含フッ素化合物成分(F)(以下「(F)成分」という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成できる。
本発明のポジ型レジスト組成物においては、さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有することが好ましい。
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物をいう。
かかる基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
本発明において、(A)成分は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)とを有する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含む。
[(A1)成分]
(A1)成分は、構成単位(a0)と、構成単位(a1)とを有する高分子化合物である。
また、(A1)成分は、構成単位(a0)及び構成単位(a1)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
(構成単位(a0))
前記式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
前記式(a0−1)中、Rは2価の連結基である。
としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基について
において、該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基について
において、「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−NH−C(=O)−、=N−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
−NR04−において、R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、Rの構造内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。Rが酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
本発明において、Rの2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基が特に好ましい。
がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、qは0〜3の整数である。
−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]−B−において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記でRにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基において、qは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
前記式(a0−1)中、Rは、その環骨格中に−SO−を含む環式基である。
における環式基とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、該環をひとつの目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。Rにおける環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
なかでも、Rは、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわちスルトン(sultone)環、であることが特に好ましい。
における環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。
ただし、該炭素数は、環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
における環式基は、脂肪族環式基であってもよく、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であることが好ましい。
における脂肪族環式基としては、前記において挙げた環状の脂肪族炭化水素基の環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO−または−O−SO−で置換されたものが挙げられる。
より具体的には、たとえば、前記単環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。また、前記多環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたポリシクロアルカン(ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等)から水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたポリシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。
における環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。R”は水素原子又はアルキル基を示す。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;pは0〜2の整数であり;Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)若しくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
pは0〜2の整数のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
pが2である場合、複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記Rにおける環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
上記の中でも、Rとしては、前記一般式(3−1)、(3−3)又は(3−4)で表される環式基が好ましく、前記一般式(3−1)で表される環式基であることが特に好ましい。
として具体的には、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)で表される環式基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される環式基が最も好ましい。
本発明において、構成単位(a0)としては、下記一般式(a0−1−11)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 2010210835
[式中、Rは前記と同じであり、R02は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は−A−C(=O)−O−B−(A、Bは前記と同じである。)であり、A’は前記と同じである。]
02における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1〜2が最も好ましい。
−A−C(=O)−O−B−において、A、Bは、それぞれ直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。具体的には、−(CH−C(=O)−O−(CH−、−(CH−O−C(=O)−(CH−が挙げられる。
A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
構成単位(a0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する際の、露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)等のリソグラフィー特性に優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基、等が挙げられる。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 2010210835
[式中、R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
上記R14のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
前記式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’における炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2010210835
[式中、R’、n、Yは上記と同じである。]
Yにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基の具体例としては、たとえば、下記式(p3−1)〜(p3−12)で表される基等が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、gは前記と同じである。]
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは酸解離性溶解抑制基であり;Yは2価の連結基であり;Xは酸解離性溶解抑制基である。]
一般式(a1−0−1)中、Rは、前記式(a0−1)中のRと同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のRと同様のものが挙げられる。
としては、前記Rについての説明において例示したアルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、特に、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエステル結合を含む基が特に好ましい。
中でも、前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基が好ましく、特に、−(CH−C(=O)−O−(CH−で表される基が好ましい。
xは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
yは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、構成単位(a1)としては、特に、ELマージン、LWR、解像性等のリソグラフィー特性、レジストパターン形状が優れることから、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)を包含する下記一般式(a1−1−01)で表される構成単位が好ましい。
下記一般式(a1−1−01)で表される構成単位としては、特に、前記式(a1−1−1)〜式(a1−1−2)を包括する下記一般式(a1−1−101)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2010210835
[式中、Rは前記と同じであり、R55およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R54は、当該R54が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基である。]
前記式(a1−1−01)中、R54が、当該R54が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)として、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位及び下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有することも好ましい。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R51はアルキル基であり、R52は、当該R52が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり、R53は分岐鎖状のアルキル基であり、R54は前記式(a1−1−01)におけるR54と同じであり、Yは2価の連結基であり、Xは酸解離性溶解抑制基である。]
各式中、R、Y、Xについての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R51のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
52が、当該R52が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR52としては、たとえば、炭素原子間にエーテル性酸素原子(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
Figure 2010210835
(式中、R、R51はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜3の整数である。)
式(a1−0−12)中、R53の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
54は、前記式(a1−1−01)におけるR54と同じである。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)〜(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、前記式(a1−3)で表される構成単位が特に好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のYが前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
Figure 2010210835
(式中、R、R14は前記と同じであり、R12は水素原子またはメチル基であり、vは1〜10の整数である。)
Figure 2010210835
(式中、R、R14は前記と同じであり、R12は水素原子またはメチル基であり、vは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。)
Figure 2010210835
[式中、Rは前記と同じであり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性溶解抑制基であり、nは0〜3の整数である。]
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R12は、水素原子が好ましい。
vは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−03)中、Y’、Y” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるYと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性溶解抑制基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
nは0〜3の整数であり、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましい。これらの中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましく、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−30)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 2010210835
[式中、RおよびR14はそれぞれ前記と同じであり、vは1〜10の整数であり、wは1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
vは1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
wは1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜65モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、下記式(a3−2)で表される構成単位、下記式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010210835
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中の構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(その他の構成単位)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)、(a1)及び(a3)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
かかる他の構成単位は、上述の構成単位(a0)、(a1)及び(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
かかる他の構成単位としては、たとえば、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)が挙げられる。
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’としては、前記一般式(3−1)中のRと同様のものが挙げられる。R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a0−1)中のRで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Rで挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
(A1)成分において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(A1)成分は、特に、構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)で表される構成単位および前記一般式(a2−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板等の支持体への密着性、現像液との親和性等に優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜50モル%以上であることが好ましく、5〜50モル%がより好ましく、10〜45モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。また、上記範囲とすることにより、リソグラフィー特性がさらに良好なものとなる。
・構成単位(a4)
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 2010210835
(式中、Rは前記と同じである。)
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる場合、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a0)と構成単位(a1)とを有する高分子化合物である。
かかる(A1)成分としては、たとえば、構成単位(a0)および(a1)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体等が例示できる。
本発明において、(A1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含む共重合体(高分子化合物(A1−1)〜(A1−5))が好ましい。
Figure 2010210835
[式中、R、R02、A’はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基であり、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。]
Figure 2010210835
[式中、R、R02、A’、R14、v、wはそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基であり、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。]
Figure 2010210835
[式中、R、R02、A’はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基であり、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。]
Figure 2010210835
[式中、R、R02、A’、R51、hはそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基であり、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。]
Figure 2010210835
[式中、R、R02、A’、R51、h、R29、A”、R’はそれぞれ前記と同じである。複数のRおよびR’はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基であり、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。]
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中、(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の効果が向上する。また、基材成分(A)の有機溶剤への溶解性がより向上する。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
たとえば、構成単位(a0)を誘導するモノマーとしては、下記一般式(a0−1−0)で表される化合物(以下「化合物(a0−1−0)」という。)が挙げられる。
Figure 2010210835
[式(a0−1−0)中、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じである。]
かかる化合物(a0−1−0)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を利用して製造できる。
たとえば、塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物(X−1)が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物(X−2)を添加し、反応させることにより、上記化合物(a0−1−0)が得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2010210835
また、構成単位(a1)として前記一般式(a1−3−01)で表される構成単位および前記一般式(a1−3−02)で表される構成単位を誘導するモノマー(以下、まとめて「モノマーW」という。)は、たとえば以下に示す製造方法により製造することができる。
モノマーWの製造方法:
塩基の存在下、下記一般式(X−5)で表される化合物が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−6)で表される化合物を添加し、反応させることにより、下記一般式(X−3)で表される化合物(以下、化合物(X−3)という。)を得た後、化合物(X−3)が溶解した溶液に、下記一般式(X−4)で表される化合物を塩基の存在下で添加し、反応させることにより、モノマーWが得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。
反応溶媒としては、原料である化合物(X−5)および化合物(X−6)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Xは酸解離性溶解抑制基であり、X13およびX12はそれぞれ独立して水酸基またはハロゲン原子であって、X13およびX12のいずれか一方が水酸基であり、他方がハロゲン原子であり、X11はハロゲン原子である。]
前記式中、R、X、A、Bは、いずれも上記と同じである。
13、X11およびX12におけるハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
13またはX12のハロゲン原子としては、反応性に優れることから、塩素原子、臭素原子が好ましい。
11としては、反応性に優れることから、臭素原子または塩素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。
[(A2)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。たとえばArFエキシマレーザー用のベース樹脂としては、前記構成単位(a1)を必須の構成単位として有し、任意に前記構成単位(a2)〜(a4)をさらに有する樹脂が挙げられる。また、分子量が500以上4000未満の非重合体(低分子化合物)を含有してもよい。
(低分子化合物)
本発明のポジ型レジスト組成物において、低分子化合物としては、分子量が500以上2000未満であって、上述の構成単位(a1)の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
低分子化合物は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
本発明において、(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2010210835
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部として、好ましいものとしては、下記式(I−1−1)〜(I−1−10)で表されるカチオン部が挙げられる。これらの中でも、式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオン部等の、トリフェニルメタン骨格を有するものが好ましい。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 2010210835
”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
X−Q−で表される基において、Qは、酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 2010210835
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
上記のなかでも、かかるXとしては、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
また、本発明において、Xは、リソグラフィー特性、レジストパターン形状がより向上することから、前述した(A1)成分における構成単位(a0)中のRと類似骨格を有する構造のものが好ましく、そのなかでも極性部位を有するものが特に好ましい。
極性部位を有するものとしては、たとえば、上述したXの脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基、すなわち、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等、で置換されたものが挙げられる。
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
のフッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
前記式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)におけるR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオンに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 2010210835
[式中、z0は1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、iは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、m1〜m5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 2010210835
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 2010210835
[式中、R81〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
81〜R86において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
81〜R86に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 2010210835
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010210835
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 2010210835
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 2010210835
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(B)成分として、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<(F)成分>
本発明において、(F)成分は、下記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分を含む。
かかる構成単位(f1)においては、本発明のポジ型レジスト組成物において配合される酸発生剤成分(B)から露光により酸が発生すると、当該酸の作用により、酸解離性溶解抑制基又は酸解離性部位が解離する。これにより、含フッ素樹脂成分全体のアルカリ溶解性が増大する。
Figure 2010210835
[式(f1−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Qは単結合又はフッ素原子を有する2価の連結基であり、RX0はフッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。ただし、式(f1−0)中に少なくとも1つのフッ素原子が含まれるものとする。]
(構成単位(f1))
前記一般式(f1−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記(A)成分についての説明におけるRと同じである。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記低級アルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記一般式(f1−0)中、Qは、単結合又はフッ素原子を有する2価の連結基である。
「フッ素原子を有する2価の連結基」とは、2価の連結基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基をいう。
における2価の連結基は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、Qの構造内における、露光により(B)成分から発生する酸が作用して解離する部位をいう。具体的には、たとえば、カルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基のうち、当該アセタールを形成している酸素原子に結合している基から一つ以上の水素原子を除いた部位などが挙げられる。
における、フッ素原子を有する2価の連結基は、たとえば、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であってフッ素原子を有するもの(以下「連結基(Q−1)」という。)、フッ素原子以外のヘテロ原子を含む2価の連結基であってフッ素原子を有するもの(以下「連結基(Q−2)」という。)等が好適なものとして挙げられる。
・連結基(Q−1)について
連結基(Q−1)のQにおいて、該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子及びフッ素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であってもよく、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
以下、フッ素原子を有さない場合の、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とについて説明する。連結基(Q−1)のQは、当該脂肪族炭化水素基又は当該芳香族炭化水素基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されているものである。
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては酸素原子(=O)等が挙げられる。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
・連結基(Q−2)について
において、「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、フッ素原子以外のハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−NH−C(=O)−、=N−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。
また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と、2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した連結基(Q−1)と同様のもの、連結基(Q−1)におけるフッ素原子が水素原子に置き換わったものが挙げられ、フッ素原子を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
−NR04−において、R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
本発明において、Qにおける、フッ素原子を有する2価の連結基としては、フッ素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、フッ素原子を有する2価の脂肪族環式基または連結基(Q−2)が好ましい。これらの中でも、連結基(Q−2)が特に好ましい。
がフッ素化アルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
がフッ素原子を有する2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
が連結基(Q−2)である場合、連結基(Q−2)として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−O−R08−で表される基、式−R09−O−R08−で表される基、式−C(=O)−O−R08−で表される基等が挙げられる。
式−O−R08−で表される基、式−R09−O−R08−で表される基、式−C(=O)−O−R08−で表される基において、
08は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であってフッ素原子を有するものであり、R09は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
08における、フッ素原子を有さない場合の、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記でQにおける「連結基(Q−1)」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
08としては、フッ素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、該脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜5であることが好ましい。
「−R08−」として好適な具体例は、−CHCF−、−CH(CH)CF−、−CHCF(CF)−、−CH(CH)CF(CF)−、−CH(CHCH)CF−であり、なかでも−CHCF−、−CH(CH)CF−、−CH(CHCH)CF−であることが特に好ましい。
09としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記一般式(f1−0)中、RX0は、フッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。
「酸解離性溶解抑制基含有基」とは、酸解離性溶解抑制基と、酸解離性溶解抑制基を含む有機基とを総称したものをいう。
酸解離性溶解抑制基とは、上述した構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基と同様であり、露光により(B)成分から酸が発生した際、該酸により解離し、露光後に含フッ素樹脂成分から脱離する基を意味する。
酸解離性溶解抑制基を含む有機基とは、酸解離性溶解抑制基と、酸で解離しない基又は原子(すなわち、酸により解離せず、酸解離性溶解抑制基が解離した後も含フッ素樹脂成分に結合したままの基又は原子)とから構成される基を意味する。
酸解離性溶解抑制基含有基がフッ素原子を有していてもよいとは、酸解離性溶解抑制基含有基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていてもよいことを意味する。
かかる酸解離性溶解抑制基含有基としては、酸の作用により解離し得る有機基であれば特に限定されるものではなく、たとえば、環状または鎖状の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基含有基、アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基含有基、酸解離性部位を有する2価の有機基などが挙げられる。
また、酸解離性溶解抑制基含有基には、「ヘテロ原子を含む2価の連結基」が含まれていてもよい。「ヘテロ原子を含む2価の連結基」としては、上述したRの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様のものが挙げられ、たとえば、−A−C(=O)−O−で表される基が好適なものとして挙げられる。ここで、Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
ただし、前記一般式(f1−0)中に少なくとも1つのフッ素原子が含まれるものとする。
上記のなかでも、構成単位(f1)は、下記一般式(f1−01)で表される構成単位又は後述の一般式(f1−02)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2010210835
[式(f1−01)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、RX1はフッ素原子を有する酸解離性溶解抑制基含有基である。]
・一般式(f1−01)で表される構成単位
前記式(f1−01)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
前記式(f1−01)中、RX1は、フッ素原子を有する酸解離性溶解抑制基含有基である。
X1は、上述したRX0についての説明における酸解離性溶解抑制基含有基のなかでフッ素原子を有するものが挙げられる。
前記一般式(f1−01)で表される構成単位のなかで好適なものとしては、下記一般式(f1−01−1)で表される構成単位及び後述の一般式(f1−01−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位が挙げられる。
・・一般式(f1−01−1)で表される構成単位
Figure 2010210835
[式(f1−01−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R〜Rはそれぞれ独立してアルキル基又はフッ素化アルキル基である。ただし、前記フッ素化アルキル基は、R〜Rが結合している第三級炭素原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子が結合していない基であり、R〜Rの少なくとも一つは前記フッ素化アルキル基である。RおよびRは一つの環構造を形成していてもよい。mは0又は1である。]
前記式(f1−01−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
前記式(f1−01−1)中、R〜Rは、それぞれ独立してアルキル基又はフッ素化アルキル基である。
〜Rにおけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
〜Rにおけるフッ素化アルキル基は、メチル基を除くアルキル基中の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されている基である。
ただし、当該フッ素化アルキル基は、R〜Rが結合している第三級炭素原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子が結合していない基である。
当該フッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は2〜7であることが好ましく、炭素数が2〜5であることがより好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、上記「R〜Rにおけるアルキル基」で説明したものと同様のものが挙げられる。
当該フッ素化アルキル基中のフッ素原子が結合している炭素原子は、R〜Rが結合している第三級炭素原子から離れている方が好ましく、末端にあることがより好ましい。
このようなフッ素化アルキル基で好ましいものとしては、例えば4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等であり、末端のメチル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されているものが挙げられる。
前記式(f1−01−1)中、R〜Rの少なくとも一つは前記フッ素化アルキル基である。
なかでも、本発明においては、R〜Rのいずれか一つが、前記フッ素化アルキル基であり、残りの2つはアルキル基であることが好ましい。
前記式(f1−01−1)中、RおよびRは、一つの環構造を形成していてもよい。RおよびRが、これらの末端同士が結合して一つの環構造を形成する場合、RおよびRはフッ素化されていないことが好ましく、この場合、Rは前記フッ素化アルキル基となる。この場合、RおよびRが形成する環状アルキル基は、上記「R〜Rにおけるアルキル基」で説明したものと同様のものが挙げられる。
前記式(f1−01−1)中、mは、0又は1である。
前記一般式(f1−01−1)で表される構成単位のなかで好適な具体例を以下に示す。式中、Rはいずれも、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
Figure 2010210835
前記一般式(f1−01−1)で表される構成単位を誘導するモノマーの製造方法は、特に限定されず、好ましい方法として、たとえば、下記一般式(I−0−1)で表される化合物(I−0−1)と、下記一般式(I−0−2)で表される化合物(I−0−2)とを反応させる方法が挙げられる。
Figure 2010210835
[式(I−0−1)中、Rは上記式(f1−0)におけるRと同じであり、X14はハロゲン原子を表す。式(I−0−2)中、R〜Rは前記一般式(f1−01−1)におけるR〜Rと同じである。mは0又は1である。]
一般式(I−0−1)中、X14のハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。なかでも反応性に優れることから、塩素原子が好ましい。
また、一般式(I−0−1)、(I−0−2)中、R、R〜Rは、それぞれ、前記一般式(f1−01−1)中のR、R〜Rと同じである。
化合物(I−0−1)と化合物(I−0−2)との反応において、反応溶媒は特に限定されず、原料である上記化合物を溶解できるものが好ましく、具体的には、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。
反応は、塩基の存在下で行うことが好ましく、このときの塩基としては特に限定されないが求核性の低いものが好ましく、例えば、トリエチルアミンなどが挙げられる。
また、反応がより円滑に進行することから、触媒存在下で反応を行うことが好ましい。
触媒としては従来公知のものでよく、好ましいものとして例えば、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。
反応を行う際は、化合物(I−0−2)と好ましくは塩基や触媒を溶媒に混合しておき、ここへ化合物(I−0−1)を滴下することが好ましい。化合物(I−0−1)はあらかじめ溶媒に溶解させて希釈しておいてもよい。
滴下時の温度および時間は、用いる原料に応じて適宜選択すればよいが、温度は−10〜100℃であることが好ましく、−5〜90℃であることがより好ましく、0〜80℃であることが特に好ましい。滴下時間は5〜90分であることが好ましく、10〜60分であることがより好ましく、20〜40分であることが特に好ましい。
化合物(I−0−1)添加後の反応温度および時間も適宜選択すればよいが、反応温度は上記の化合物(I−0−1)添加時の温度が好ましい。反応時間も用いる原料に応じて適宜選択すればよいが、0.5〜15時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましく、1.5〜8時間であることが特に好ましい。
反応終了後は、従来公知の方法で本発明の化合物を取り出せばよく、例えば、必要に応じて水、塩基性水溶液、食塩水等で反応液を洗浄して、有機層を濃縮した後、目的物を結晶化させてもよい。濃縮した有機層または結晶化させた目的物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ等で精製してもよい。
化合物(I−0−2)としては、市販品があればこれを用いればよく、合成品を用いてもよい。化合物(I−0−2)の合成方法は、従来公知の第三級アルコールの合成方法を適用すればよく、例えば、グリニヤール反応や、フッ素化アルキル基を有するシラン化合物とケトンとを反応させてもよい。
・・一般式(f1−01−2)で表される構成単位
Figure 2010210835
[式(f1−01−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rはフッ素原子を有する有機基であり、X10は下記の一般式(x−1)又は一般式(x−2)で表される2価の有機基である。]
Figure 2010210835
[式中、R101およびR102はそれぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく、R103およびR104はそれぞれ独立して水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、X101およびX102はそれぞれ独立してアルキレン基又は2価の脂肪族環式基である。ただし、R101〜R104、X101およびX102はいずれもフッ素原子を含まないものとする。]
前記式(f1−01−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
前記式(f1−01−2)中、Rはフッ素原子を有する有機基である。
「フッ素原子を有する有機基」とは、有機基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基をいう。
としては、たとえば、置換基を有していてもよく有していなくてもよい、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基が好適なものとして挙げられる。この脂肪族炭化水素基は、上述した連結基(Q−1)における脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基のなかでも、フッ素化炭化水素基が好ましく、そのなかでもフッ素化飽和炭化水素基またはフッ素化不飽和炭化水素基が好ましく、フッ素化飽和炭化水素基であることが特に好ましい。
ここでフッ素化炭化水素基が「置換基を有する」とは、該フッ素化炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
フッ素化炭化水素基が有していてもよく有していなくてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換された炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、フッ素原子以外のハロゲン原子等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基は低級アルキル基が好ましく、上記(A)成分におけるRの低級アルキル基と同じものが挙げられる。
前記置換基としてのアルコキシ基は、炭素数が1〜5であることが好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基は、上記(A)成分におけるRのハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられる。
前記置換基としてのフッ素原子以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が挙げられる。
は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが特に好ましい。
また、Rの炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましく、1〜5であることが最も好ましい。
また、Rのフッ素原子で置換されている水素原子の数は、特に浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
そして、Rは、Rに存在する炭素原子のうち、前記一般式(f1−01−2)中の「−X10−C(=O)−O−」の末端の酸素原子に結合している炭素原子とは反対側の末端の炭素原子に結合しているフッ素原子の数が多いものほど好ましく、末端の炭素原子がすべてフッ素原子で置換されているものがさらに好ましく、−CFまたは−CFCFを末端に有するものが特に好ましい。
前記式(f1−01−2)において、基「−O−R」は、塩基の作用で解離する基であってもよく、例えば、塩基(アルカリ現像液)の作用により、一般式(f1−01−2)中のエステル結合「−C(=O)−O−」が分解(加水分解)し、親水基「−C(=O)−OH」が生成するようにしてもよい。このようにすることで、(F)成分は、アルカリ現像液に対して分解性を示すものとなる。
ここで、「アルカリ現像液に対して分解性を示す」とは、アルカリ現像液の作用により分解し(好ましくは、23℃において、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の作用で分解し)、アルカリ現像液に対する溶解性が増大することを意味する。当該(F)成分は、分解する前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、アルカリ現像液の作用により分解すると、親水基であるカルボキシ基が生成し、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
当該(F)成分を含有する本発明のポジ型レジスト組成物によれば、レジストパターンの形成において、浸漬露光時などアルカリ現像液と接触する前には疎水性であって、アルカリ現像時には親水性となる特性を有するレジスト膜を形成できる。
このように、アルカリ現像時に親水性が高まるポジ型レジスト組成物を用いることにより、液浸露光におけるディフェクトを効果的に低減できる。すなわち、液浸露光においては、レジスト膜に対して浸漬露光を行うと、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高まる。そして、アルカリ現像を行うことにより、ポジ型の場合は露光部が除去されてレジストパターンが形成される。このとき通常は、レジスト膜の、浸漬露光により放射線が照射されなかった部分(ポジ型の場合は未露光部)の表面には、アルカリ現像後に、水等の浸漬媒体の影響によるディフェクト(ウォーターマークディフェクト等)が生じやすいが、アルカリ現像時に親水性が高まれば、ディフェクトの発生を低減できる。
前記式(f1−01−2)中、X10は、下記の一般式(x−1)又は一般式(x−2)で表される2価の有機基である。これら2価の有機基は、酸解離性部位を有する。
前記式(x−1)中、R101およびR102は、それぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。
101およびR102におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
101およびR102は、互いに結合して環を形成していてもよく、R101、R102およびこれらが結合している炭素原子が構成する環としては、前記環状のアルキル基におけるモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いたものが例示でき、4〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。
前記式(x−1)中、X101は、アルキレン基又は2価の脂肪族環式基である。
101におけるアルキレン基としては、例えば、前記R101又はR102におけるアルキル基から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。なかでも、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
101における2価の脂肪族環式基としては、前記構成単位(a1)における「脂肪族環式基」からさらに1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
なかでも、X101は、アルキレン基であることが好ましい。
前記式(x−2)中、R103およびR104は、それぞれ独立して水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である。
103およびR104における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。なかでも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(x−2)においては、R103およびR104のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
前記式(x−2)中、X102は、アルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、前記一般式(x−1)におけるX101と同じである。
ただし、R101〜R104、X101およびX102は、いずれもフッ素原子を含まないものとする。
前記一般式(f1−01−2)で表される構成単位としては、X10にカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位を有する構成単位が好ましく、カルボキシ基と鎖状の第3級アルキルエステルを形成する部位を有する構成単位がより好ましく、下記一般式(f1−01−200)で表される構成単位がさらに好ましい。
Figure 2010210835
[式(f1−01−200)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり;R101およびR102はそれぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく;X101はアルキレン基または2価の脂肪族環式基である。ただし、R101、R102およびX101はいずれもフッ素原子を含まないものとする。]
前記一般式(f1−01−200)中、R、Rは、前記一般式(f1−01−2)におけるR、Rと同じである。
101、R102、X101は、それぞれ、前記一般式(x−1)におけるR101、R102、X101と同じである。
さらに一般式(f1−01−2)で表される構成単位としては、下記一般式(f1−01−20)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 2010210835
[式(f1−01−20)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり;R101およびR102はそれぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく;aは1〜10の整数である。ただし、R101およびR102はいずれもフッ素原子を含まないものとする。]
前記一般式(f1−01−20)中、R、Rは、前記一般式(f1−01−2)におけるR、Rと同じである。
101、R102は、それぞれ、前記一般式(x−1)におけるR101、R102と同じである。
前記一般式(f1−01−20)中、aは1〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましい。
前記一般式(f1−01−2)で表される構成単位のなかで好適な具体例を以下に示す。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
Figure 2010210835
上記式(f1−01−21)〜(f1−01−86)の中でも、式(f1−01−21)、式(f1−01−22)、式(f1−01−27)、式(f1−01−28)、式(f1−01−33)、式(f1−01−34)、式(f1−01−39)、式(f1−01−40)、式(f1−01−45)、式(f1−01−46)、式(f1−01−51)、式(f1−01−52)、式(f1−01−57)〜式(f1−01−60)、式(f1−01−63)〜式(f1−01−66)で表される構成単位が好ましく、式(f1−01−21)、式(f1−01−22)、式(f1−01−27)、式(f1−01−28)、式(f1−01−57)〜式(f1−01−60)、式(f1−01−63)〜式(f1−01−66)で表される構成単位が特に好ましい。
前記一般式(f1−01−2)で表される構成単位を誘導するモノマーの製造方法は、特に限定されず、好ましい方法として、たとえば前記式(f1−01−20)で表される構成単位を誘導するモノマーであれば、例えば、以下のようにして製造できる。
まず、下記一般式(c−1−01)で表される化合物(以下、化合物(c−1−01)という。)と下記一般式(c−1−02)で表される化合物(以下、化合物(c−1−02)という。)とを反応させて、下記一般式(c−1−03)で表される化合物(以下、化合物(c−1−03)という。)を得る第一工程を行う。
次いで、化合物(c−1−03)と下記一般式(c−1−04)で表される化合物(以下、化合物(c−1−04)という。)とを反応させて、下記一般式(c−1−05)で表される化合物(以下、化合物(c−1−05)という。)を得る第二工程を行う。
次いで、化合物(c−1−05)と下記一般式(c−1−06)で表される化合物(以下、化合物(c−1−06)という。)とを反応させて、式(f1−01−20)で表される構成単位を誘導するモノマー(c−1−1a)を得る第三工程を行う。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Rはフッ素原子を有する有機基であり;R101およびR102はそれぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく;X101はアルキレン基または2価の脂肪族環式基であり;WおよびWはそれぞれ独立にハロゲン原子である。]
式中、R、Rは、前記一般式(f1−01−2)中のR、Rと同じであり、R101、R102、X101は、前記一般式(x−1)中のR101、R102、X101と同じである。
式中、WおよびWはそれぞれ独立にハロゲン原子であり、塩素原子または臭素原子が好ましく、Wは臭素原子がより好ましく、Wは塩素原子がより好ましい。
[第一工程]
第一工程は、例えば、アセトン等の反応溶媒に化合物(c−1−01)を加え、好ましくは塩基、より好ましくはトリエチルアミン等の有機塩基も共存させて、ここへ化合物(c−1−02)を添加して反応を行うのが好ましい。この時、化合物(c−1−02)は、滴下により添加することが好ましく、滴下時間は1〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。滴下中の温度は、−5〜15℃が好ましく、−5〜10℃がより好ましい。また、化合物(c−1−02)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は−5〜10℃が好ましく、−5〜5℃が好ましい。
化合物(c−1−01)の使用量は、化合物(c−1−02)1モルに対し1〜4モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。塩基の使用量は、化合物(c−1−02)1モルに対し1〜5モルが好ましく、2〜3.5モルがより好ましい。
反応終了後は、適宜必要に応じて、抽出、洗浄等の後処理を行い、化合物(c−1−03)を単離、精製してもよいし、単離することなくそのまま第二工程に使用してもよい。単離、精製には、公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上により、化合物(c−1−03)が得られる。
[第二工程]
第二工程は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の反応溶媒中に、化合物(c−1−04)、亜鉛粉末、触媒量のヨウ素等を加え、ここへ化合物(c−1−03)を添加して反応を行うのが好ましい。この時、化合物(c−1−03)は、滴下により添加することが好ましい。滴下時間は0.2〜4時間が好ましく、0.3〜2時間がより好ましい。滴下中の温度は、30〜70℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。また、化合物(c−1−03)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は化合物(c−1−03)を滴下中の温度と同様でよい。
化合物(c−1−04)の使用量は、化合物(c−1−03)1モルに対し0.5〜3モルが好ましく、0.7〜1.5モルがより好ましい。亜鉛粉末の使用量は、化合物(c−1−03)1モルに対し0.7〜3.5モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
反応終了後は、第一工程と同様に処理すればよい。
以上により、化合物(c−1−05)が得られる。
[第三工程]
第三工程は、第二工程と同様の反応溶媒を用いて、化合物(c−1−05)と化合物(c−1−06)とを反応させればよい。そして、第二工程に引き続き、化合物(c−1−05)を単離することなく、第三工程の反応を行う方法が好ましい。この場合には、第二工程終了後の反応液に、塩基、好ましくはトリエチルアミン等の有機塩基を加えてから、化合物(c−1−06を)添加すればよい。第三工程の反応時には、化合物(c−1−06)は、滴下により添加することが好ましい。滴下時間は0.2〜4時間が好ましく、0.3〜2時間がより好ましい。滴下中の温度は、10〜40℃が好ましく、15〜25℃がより好ましい。また、化合物(c−1−06)添加後の反応時間は0.5〜7時間が好ましく、1〜4時間がより好ましい。反応温度は化合物(c−1−06)を滴下中の温度と同様でよい。
化合物(c−1−05)を単離せずに反応を行う場合、化合物(c−1−06)の使用量は、化合物(c−1−03)1モルに対し0.7〜3モルが好ましく、0.9〜2モルがより好ましい。塩基の使用量は、化合物(c−1−06)と同様でよい。
反応終了後は、第一工程と同様に後処理、単離、精製等を行えばよい。
以上により、式(f1−01−20)で表される構成単位を誘導するモノマー(c−1−1a)が得られる。
含フッ素樹脂成分中、一般式(f1−01)で表される構成単位の割合は、含フッ素樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対し、50〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、80〜100モル%がさらに好ましく、90〜100モル%が特に好ましく、最も好ましくは100モル%である。
一般式(f1−01)で表される構成単位の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、疎水性が高く、かつ、リソグラフィー特性も良好なレジスト膜が得られる。
Figure 2010210835
[式(f1−02)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Qは−O−、−CH−O−又は−C(=O)−O−を含有する基であり;Rq1はフッ素原子又はフッ素化アルキル基であり、RX0はフッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。]
・一般式(f1−02)で表される構成単位
前記式(f1−02)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
前記式(f1−02)中、Qは−O−、−CH−O−又は−C(=O)−O−を含有する基である。
として具体的には、たとえば−O−、−CH−O−又は−C(=O)−O−と、フッ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基;−O−、−CH−O−若しくは−C(=O)−O−等が挙げられる。
この2価の炭化水素基は、上述した連結基(Q−1)における、フッ素原子を有さない場合の、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
なかでも、Qは、合成上およびポジ型レジスト組成物中における安定性の点から、−C(=O)−O−とフッ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基とからなる基がより好ましく、−C(=O)−O−とフッ素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基とからなる基がさらに好ましく、−C(=O)−O−とフッ素原子を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基とからなる基が特に好ましい。
前記式(f1−02)中、Rq1は、フッ素原子又はフッ素化アルキル基である。
q1におけるフッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましく、炭素数が1〜2であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基においては、当該フッ素化アルキル基に含まれるフッ素原子および水素原子の合計数に対するフッ素原子の数の割合(フッ素化率(%))が、30〜100%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。該フッ素化率が高いほど、レジスト膜の疎水性が高まる。
前記式(f1−02)中、RX0は、フッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基であり、上記式(f1−0)におけるRX0と同じである。
前記一般式(f1−02)で表される構成単位のなかで好適なものとしては、下記一般式(f1−02−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010210835
[式(f1−02−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rq1はフッ素原子又はフッ素化アルキル基であり;Rq2〜Rq3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく;RX2は酸解離性溶解抑制基含有基である。]
前記式(f1−02−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。
q1は、フッ素原子又はフッ素化アルキル基であり、前記式(f1−02)におけるRq1と同じである。
前記式(f1−02−1)中、Rq2〜Rq3は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。
q2〜Rq3におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
環状のアルキル基の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には、モノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでも、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
q2〜Rq3におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されている基である。
当該フッ素化アルキル基において、フッ素原子で置換されていない状態のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、上記「Rq2〜Rq3におけるアルキル基」と同様のものが挙げられる。
q2〜Rq3は、互いに結合して環を形成していてもよく、Rq2、Rq3およびこれらが結合している炭素原子が構成する環としては、前記環状のアルキル基におけるモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いたものが例示でき、4〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。
上記のなかでも、Rq2〜Rq3は、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
前記式(f1−02−1)中、RX2は酸解離性溶解抑制基含有基である。
X2は、上述したRX0についての説明における酸解離性溶解抑制基含有基と同様のものが挙げられる。
X2における酸解離性溶解抑制基含有基には、フッ素原子を有していてもよく有していなくてもよく、フッ素原子を有していないことが好ましい。
前記一般式(f1−02−1)で表される構成単位のなかで好適な具体例を以下に示す。ただし、下記一般式中のRは、いずれも前記Rと同じであり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Figure 2010210835
含フッ素樹脂成分中、一般式(f1−02)で表される構成単位の割合は、含フッ素樹脂成分を構成する全構成単位の合計に対し、50〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、80〜100モル%がさらに好ましく、90〜100モル%が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。
一般式(f1−02)で表される構成単位の割合が上記範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、レジスト膜表面の疎水性がより高くなる。また、リソグラフィー特性も良好なレジスト膜が得られる。
含フッ素樹脂成分において、構成単位(f1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、構成単位(f1)の1種を単独で用いることが好ましい。
(その他の構成単位)
(F)成分において、含フッ素樹脂成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(f1)以外の他の構成単位を有していてもよい。
他の構成単位としては、特に限定されないが、構成単位(f1)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位が好ましい。かかる他の構成単位としては、たとえば、上述した(A1)成分についての説明において例示した構成単位(a1)〜(a4)等が挙げられる。
含フッ素樹脂成分において、かかる他の構成単位は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、上記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分である。
レジストパターンの形成において良好なリソグラフィー特性を得るために、(F)成分としては、疎水性付与の機能(i)と、現像液溶解性を付与する機能(ii)との両方を有することが特に好ましい。
たとえば、2つの機能(i)、(ii)を別個の構成単位によりそれぞれ発揮する場合は、どちらか一方の機能を上げれば(たとえば構成単位の割合を増やせば)、もう一方の機能が下がる、というトレードオフの関係になりやすい。
上記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)は、フッ素原子を有し、また、現像液に対する溶解性も良好である(構成単位(f1)中の酸解離性溶解抑制基が露光によって発生した酸により解離することで現像液溶解性が増大する)ため、2つの機能(i)、(ii)の両方を、1つの構成単位で兼ね備えていることになり、両方の機能を同時に向上させることができる。
よって、本発明における含フッ素樹脂成分は、構成単位(f1)を100%の割合で有する樹脂成分であることが好ましい。さらに、含フッ素樹脂成分として構成単位(f1)が単一の構成単位からなるホモポリマーを用いることが、以下の点で好ましいといえる。
まず、含フッ素樹脂成分はレジスト膜の表面に偏析する性質があるが、含フッ素樹脂成分がホモポリマーであれば、レジスト表面に、含フッ素樹脂成分がより均一な状態で存在できる。
また、上記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)は、酸解離性溶解抑制基を有するため、(F)成分自体も露光による反応の影響を受けることになるが、ホモポリマーを用いれば、レジスト膜内で均一に分布しやすいため、結果的に良好なリソグラフィー特性が得られる。この点については、種々のパターン(ラインアンドスペース、ホール等)を形成する際にも有利である。たとえば、ホールパターンを形成する場合、ラインアンドスペースパターンを形成する場合に比べ、光学上、レジスト膜への光の入射エネルギーは小さくなる。そのため、レジスト膜表面に偏析する(F)成分の露光によるばらつきの影響が少ないホモポリマーを用いることは、レジスト膜中の他の成分((A)成分や(B)成分など)への反応の影響も偏ることがないことから、良好なリソグラフィー特性が得られると推測される。
本発明において、含フッ素樹脂成分としては、特に下記の様な構成単位の繰返しからなる重合体(ホモポリマー)が好ましい。
Figure 2010210835
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式(F1−1)中、R’およびR’はそれぞれ独立してアルキル基であり、R’はフッ素化アルキル基である。
式(F1−2)中、R101、R102およびaは前記式(f1−01−20)におけるR101、R102およびaとそれぞれ同じである。R01はフッ素化アルキル基である。
式(F1−3)中、R01はフッ素化アルキル基であり、Z1は1〜5の整数であり、 Z3は1〜3の整数である。]
前記式(F1−1)〜(F1−3)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、上記式(f1−0)におけるRと同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記式(F1−1)中、R’およびR’は、それぞれ独立してアルキル基であり、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。
’はフッ素化アルキル基であり、直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数は2〜7であることが好ましく、炭素数が2〜5であることがより好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
前記式(F1−2)中、R101、R102およびaは前記式(f1−01−20)におけるR101、R102およびaとそれぞれ同じである。
01はフッ素化アルキル基であり、炭素数は1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜5であることがより好ましく、具体的には、−CH−CF、−CH−CF−CF、−C(CF)(CF)が挙げられる。
前記式(F1−3)中、R01はフッ素化アルキル基であり、式(F1−2)におけるR01と同じである。
Z1は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
Z3は1〜3の整数であり、2が最も好ましい。
含フッ素樹脂成分は、所望とする構成単位を誘導するモノマーを、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル等のラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
含フッ素樹脂成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜25000がさらに好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分において、含フッ素樹脂成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.3〜30質量部が特に好ましく、0.5〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用としても好適な疎水性を有するものとなり、上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
かかる含フッ素樹脂成分は、液浸露光用のレジスト組成物の添加剤としても好適に用いることができる。
<(D)成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、任意の成分として、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
(D)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(D)成分として、炭素数5〜10のトリアルキルアミンを用いることが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
<任意成分>
[(E)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、PGMEA、PGME、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
レジスト材料の(S)成分への溶解は、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じてディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明の第二の態様であるレジストパターン形成方法は、支持体上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUVに対して有効であり、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、二重露光法、ダブルパターニング法にも用いることが可能である。
以上説明した、本発明のポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法によれば、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できる。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜には、上記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と構成単位(a1)とを有する高分子化合物(A1)と、上記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分とが含まれる。
上述したように、含フッ素樹脂成分はフッ素原子を含むため、含フッ素樹脂成分を含有しないポジ型レジスト組成物を用いた場合に比べて、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、その疎水性が高い。
また、高分子化合物(A1)は側鎖の末端に「−SO−を含む環式基」を持つ構成単位(a0)を有するため、(A1)成分を含有しないポジ型レジスト組成物を用いた場合に比べて、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、その疎水性が高くなり、特に、後述する後退角の値が大きくなる。これは、従来の高分子化合物に含まれる「ラクトン含有環式基」などに比べて、「−SO−を含む環式基」の疎水性が高いため、特に後退角の値の増加に寄与するものと考えられる。
このように、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、液浸露光において、従来よりも浸漬露光時における疎水性が高いことから、上記非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合等に求められる水追随性に非常に優れており、高速スキャンスピード化を図ることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、含フッ素樹脂成分及び(A1)成分を用いることにより、従来のポジ型レジスト組成物を用いた場合と比較して、レジスト膜の疎水性が高まり、水に対する接触角、たとえば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときの接触角。水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)と、転落方向後方の端点における接触角(後退角)とがある。)、転落角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときのレジスト膜の傾斜角度)が変化する。たとえばレジスト膜の疎水性が高いほど、静的接触角および動的接触角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
図1は、前進角(θ)、後退角(θ)及び転落角(θ)を説明する図である。
ここで、前進角は、図1に示すように、その上に液滴1が置かれた平面2を次第に傾けていった際に、当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるときの当該液滴1の下端1aにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θである。
また、このとき(当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるとき)、当該液滴1の上端1bにおける液滴表面と、平面2とがなす角度θが後退角であり、当該平面2の傾斜角度θが転落角である。
本明細書において、静的接触角、動的接触角および転落角は、例えば、以下の様にして測定することができる。
まず、シリコン基板上に、レジスト組成物溶液をスピンコートした後、所定の条件、例えば、110〜115℃の温度条件で60秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(製品名、協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(製品名、協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における後退角の測定値が70度(°)以上であることが好ましく、73°以上であることがより好ましく、75°以上であることがさらに好ましい。後退角が大きくなるほどレジスト膜表面の疎水性に優れ、液浸露光において、高速スキャンスピード化をより図ることができる。また、物質溶出抑制効果が向上する。これら効果が得られる主な要因の1つとしては、レジスト膜の疎水性との関連が考えられる。つまり、液浸媒体は水等の水性のものが用いられているため、疎水性が高いことにより、浸漬露光を行った後、液浸媒体を除去した際に速やかにレジスト膜表面から液浸媒体を除去できることが影響していると推測される。後退角の上限値の好ましい値は、特に限定されず、たとえば90°以下である。
同様の理由により、本発明のポジ型レジスト組成物は、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の静的接触角の測定値が80〜100°であることが特に好ましい。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の転落角の測定値が25°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。転落角が上限値以下であると、浸漬露光時の物質溶出抑制効果が向上する。転落角の下限値の好ましい値は、特に限定されず、たとえば5°以上である。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における露光および現像を行う前の前進角の測定値が80〜100°であることが好ましく、80〜90°であることがより好ましい。前進角が上記範囲であると、ディフェクトの発生リスクが低減する等、リソグラフィー特性が良好となる。
上述の各種角度(静的接触角、動的接触角および転落角)の大きさは、ポジ型レジスト組成物の組成、たとえば(A1)成分の種類、(A)成分中の構成単位(a0)の割合、含フッ素樹脂成分の種類、含フッ素樹脂成分の配合量等を調整することにより制御できる。たとえば、(A)成分中の構成単位(a0)の割合が高いほど、又は含フッ素樹脂成分の配合量が多いほど、形成されるレジスト膜の疎水性が高まり、特に後退角が大きくなる。また、含フッ素樹脂成分の配合量や、構成単位中のフッ素原子の含有量を調整することにより、特に、前進角を制御することができる(フッ素原子の含有量が少なければ、前進角も低くなる)。
また、本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、浸漬露光時のレジスト膜中からの物質溶出を抑制することができる。
すなわち、液浸露光は、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光(浸漬露光)を行う工程を有する方法である。液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質((B)成分、(D)成分等)の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出はレジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。
この物質溶出の量はレジスト膜表面の特性(たとえば親水性・疎水性等)の影響を受ける。そのため、たとえばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減されると推測される。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、含フッ素樹脂成分及び(A1)成分を含むことから、これらの成分を含まない場合に比べて、露光および現像を行う前の疎水性が高い。したがって、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、浸漬露光時の物質溶出を抑制できる。
物質溶出を抑制できることから、本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、液浸露光において、レジスト膜の変質や、液浸溶媒の屈折率の変化を抑制することができる。液浸溶媒の屈折率の変動が抑制されること等により、形状等が良好なレジストパターンを形成することができる。また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献することができる。
さらに、本発明における含フッ素樹脂成分は酸解離性溶解抑制基を有するため、未露光部においてその構造は変わらないが、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により、含フッ素樹脂成分において酸解離性溶解抑制基(酸解離性部位)と当該酸解離性溶解抑制基(酸解離性部位)と結合している原子との間の結合が切断される。これにより、レジスト膜の露光部のアルカリ溶解性が増大する。そして、露光部/未露光部の高コントラスト化が可能になると考えられる。
また、含フッ素樹脂成分は、一般式(f1−0)で表されるように、比較的極性が高いカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を有するので、レジスト組成物中において他の成分との相溶性が向上している。したがって、本発明のポジ型レジスト組成物は、経時安定性の向上が期待される。
また、本発明のポジ型レジスト組成物により形成されたレジスト膜は、水により膨潤しにくいため、微細なレジストパターンを精度よく形成することができる。
さらに、本発明のポジ型レジスト組成物は、感度、解像性、エッチング耐性等のリソグラフィー特性も良好であり、液浸露光においてレジストとして使用した際に、実用上問題なくレジストパターンを形成できる。例えば、本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、寸法65nm以下の微細なレジストパターンを形成できる。このように、本発明のポジ型レジスト組成物は、リソグラフィー特性も良好で、液浸露光においてレジストとして使用した際に、実用上問題なくレジストパターンを形成できる。すなわち、本発明のポジ型レジスト組成物は、通常求められるリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)が良好であることに加え、液浸露光においてレジスト材料に求められる特性(疎水性、物質溶出抑制能、水追随性等)にも優れている。したがって、本発明のポジ型レジスト組成物は、液浸露光用としても好適である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式(1)で表される単位を「化合物(1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
<基材成分(A)の合成>
本実施例において、基材成分(A)として用いた高分子化合物は、下記化学式で表される化合物(1)〜(7)を用いて、以下に示すポリマー合成例によりそれぞれ合成した。
当該ポリマー合成例で使用した化合物(1)、化合物(2)は、以下に示すモノマー合成例によりそれぞれ合成した。
Figure 2010210835
[モノマー合成例1:化合物(1)の合成]
500mlの3つ口フラスコに、窒素雰囲気下、アルコール(1)20g(105.14mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩30.23g(157.71mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液300mlを入れ、そこに、氷冷下(0℃)で前駆体(1)16.67g(115.66mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、50mlの水を加えて反応を停止した。反応溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチルで3回抽出して得られた有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、1N―HClaqの順で洗浄した。減圧下、溶媒留去して得られた生成物を乾燥させ、化合物(1)を得た。
Figure 2010210835
得られた化合物(1)の機器分析結果は、以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=6.22(s,1H,H),5.70(s,1H,H),4.71−4.85(m,2H,Hc,d),4.67(s,2H,H),3.40−3.60(m,2H,He,f),2.58−2.70(m,1H,H),2.11−2.21(m,2H,H),2.00(s,3H,H),1.76−2.09(m,2H,H).
上記の結果から、化合物(1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 2010210835
[モノマー合成例2:化合物(2)の合成]
i)2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノールの合成
温度計、冷却管及び撹拌装置を備えた2Lの三口フラスコに、グリコール酸37.6g(494mmol)、ジメチルホルムアミド(DMF)700mL、炭酸カリウム86.5g(626mmol)、およびヨウ化カリウム28.3g(170mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した。その後、クロロ酢酸 2−メチル−2−アダマンチル100g(412mmol)のジメチルホルムアミド300mL溶液をゆっくりと加えた。そして、40℃に昇温し、4時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテル2000mLを加えてろ過し、得られた溶液を蒸留水500mLで3回洗浄した。トルエン(300mL)・ヘプタン(200mL)の混合溶液を用いて晶析を行い、無色固体として目的物78g(収率67%、GC純度99%)を得た。
得られた目的物の機器分析結果は、以下の通りであった。
H−NMR:1.59(d,2H,J=12.5Hz),1.64(s,3H),1.71〜1.99(m,10H),2.29(m,2H),2.63(t,1H,J=5.2Hz),4.29(d,2H,J=5.2Hz),4.67(s,2H)。
13C−NMR:22.35,26.56,27.26,32.97,34.54,36.29,38.05,60.54,61.50,89.87,165.97,172.81。
GC−MS:282(M,0.02%),165(0.09%),149(40%),148(100%),133(22%),117(2.57%),89(0.40%)。
上記の結果より、得られた目的物が2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノールであることが確認された。
ii)2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル メタクリレート(化合物(2))の合成
温度計、冷却管及び撹拌装置を備えた2Lの三口フラスコに、2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール165g(584mmol)、テトラヒドロフラン(THF)2000mL、トリエチルアミン105mL(754mmol)、およびp−メトキシフェノール0.165g(1000ppm)を入れて溶解させた。溶解後、氷浴下で、塩化メタクリロイル62.7mL(648mmol)をゆっくりと加え、室温に昇温し、3時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテル1000mLを加え、蒸留水200mLで5回洗浄した。抽出液を濃縮し、無色液体として目的物198g(収率97%、GC純度99%)を得た。
得られた目的物の機器分析結果は、以下の通りであった。
H−NMR:1.58(d,J=12.5Hz,2H),1.63(s,3H),1.71〜1.89(m,8H),1.98(s,3H),2.00(m,2H),2.30(m,2H),4.62(s,2H),4.80(s,2H),5.66(m,1H),6.23(m,1H)。
13C−NMR:18.04,22.15,26.42,27.14,32.82,34.38,36.11,37.92,60.44,61.28,89.42,126.79,135.18,165.61,166.30,167.20。
GC−MS:350(M+,1.4%),206(0.13%),149(47%),148(100%),133(20%),69(37%)。
上記の結果より、得られた目的物が下記に示す構造を有する、2−(2−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル メタクリレート(化合物(2))であることが確認された。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例1:高分子化合物(1)の合成]
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、10.00g(31.65mmol)の化合物(1)、9.10g(38.88mmol)の化合物(3)、4.05g(17.18mmol)の化合物(7)を、34.73gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を5.8mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、78℃に加熱したMEK19.29gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のメタノール/水混合溶媒に滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノール/水混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(1)を15g得た。
この高分子化合物(1)についてGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.52であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、a0/a11/a3=39.5/41.4/19.1であった。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例2〜3:高分子化合物(2)、高分子化合物(3)の合成]
他の3元系である高分子化合物(2)と高分子化合物(3)の合成は、上記ポリマー合成例1において、各高分子化合物の構成単位を誘導するモノマーを所定のモル比で用いた以外は、上記ポリマー合成例1と同様の方法により合成した。
以下に、高分子化合物(2)と高分子化合物(3)の構造、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と分子量分散度(Mw/Mn)、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))をそれぞれ示す。
Figure 2010210835
[Mw7100、Mw/Mn1.48;a21/a11/a3=47.6/36.8/15.6]
Figure 2010210835
[Mw7370、Mw/Mn1.81;a22/a11/a3=39.7/39.4/20.9]
[ポリマー合成例4:高分子化合物(4)の合成]
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、32.32g(102.29mmol)の化合物(1)と、11.93g(34.10mmol)の化合物(2)と、8.05g(34.10mmol)の化合物(7)とを、106.77gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)17.3mmolを添加し溶解させた。これを、窒素雰囲気下で3時間かけて、80℃に加熱したMEK67.00g(67.00g(255.73mmol)の化合物(4)をあらかじめ溶解したもの)に滴下した。滴下終了後、反応液を2時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、n−ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、およびメタノールにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(4)を65g得た。
この高分子化合物(4)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は8,300であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.54であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、a0/a12/a13/a3=34.8/10.9/42.7/11.6であった。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例5:高分子化合物(5)の合成]
他の4元系である高分子化合物(5)の合成は、上記ポリマー合成例4において、各高分子化合物の構成単位を誘導するモノマーを所定のモル比で用いた以外は、上記ポリマー合成例4と同様の方法により合成した。
以下に、高分子化合物(5)の構造、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と分子量分散度(Mw/Mn)、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))をそれぞれ示す。
[ポリマー合成例29]
Figure 2010210835
[Mw10000、Mw/Mn1.38;a21/a12/a13/a3=25.8/24.0/36.8/13.4]
<含フッ素樹脂成分の合成>
本実施例において、含フッ素化合物成分(F)として用いた含フッ素樹脂成分は、以下に示すポリマー合成例によりそれぞれ合成した。
[ポリマー合成例6:含フッ素樹脂(1)の合成]
i)7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノールの合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、マグネシウム1.3g、1−ブロム−4,4,4−トリフルオロブタン10.0g、テトラヒドロフラン20gを入れ、常法によりグリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬に3−ペンタノン5.0gとテトラヒドロフラン4gの混合液を、25〜35℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で1時間撹拌した。反応混合物を常法により処理し、得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノールを淡黄色油状物として7.9g得た。
ii)7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレートの合成
撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、上記で得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノール7.9g、4−ジメチルアミノピリジン0.2g、トリエチルアミン7.1g、アセトリトニル10gを入れ、撹拌溶解した。その溶解液にメタクリル酸クロリド6.7gを約75℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却したのち、炭酸カリウム8.8gと水100mlの混合液で1回、10%食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレート5.7gを得た。
得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレートのH−NMRデータは以下の通りである。
H−NMR(CDCl)δ: 0.82〜0.87(tr,6H,−CH)、1.46〜1.58(m,2H,−CH−)、1.78〜1.97(m,9H,=C−CH,−C−CH−)、1.98〜2.16(m,2H,CFCH−)、5.49(s,1H,C=CH)、6.01(s,1H,C=CH
上記の結果より、下記式(I−1)で示される構造であることが認められた。
Figure 2010210835
iii)含フッ素樹脂(1)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン27g、上記ii)で得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレート11.98gを入れ、窒素置換した後、67℃に昇温した。その温度を維持しつつ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.30gをテトラヒドロフラン3gに溶解させた溶解液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ6時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下し、沈殿した樹脂を濾別、洗浄、乾燥して、目的物である白色固体の下記化学式に示す含フッ素樹脂(1)4.0gを得た。
得られた含フッ素樹脂(1)の質量平均分子量(Mw)は8200、分散度(Mw/Mn)は1.50であった。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例7:含フッ素樹脂(2)の合成]
i)第一工程;2,2,2−トリフルオロエチルブロモアセテート(化合物(III))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにアセトン400g、2,2,2−トリフルオロエタノール(化合物(I))100g、トリエチルアミン121.3gを入れ、窒素置換後、0℃に冷却した。ブロモアセチルブロミド(化合物(II))86.1gを0〜5℃で3時間かけて滴下し、さらに0℃で2時間撹拌を続けた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を減圧蒸留によって精製し、2,2,2−トリフルオロエチルブロモアセテート(化合物(III))72.4gを得た。
ii)第二工程〜第三工程;1,1−ジエチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(8))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン125.6g、3−ペンタノン(化合物(IV))24.7g、亜鉛粉末23.6gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、第一工程で得られた化合物(III)6.2gを45℃で加えた。その後、第一工程で得られた化合物(III)55.3gを55℃で30分間かけて滴下し、さらに90分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン31.7gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))32.8gを20℃で40分間かけて滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。10%炭酸水素ナトリウム水溶液250gを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物を減圧蒸留によって精製し、含フッ素化合物(C1)として、1,1−ジエチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(8))57.5gを得た。
Figure 2010210835
得られた化合物(8)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl3)δ:0.92(tr,6H,−CH)、1.90(s,3H,=C−CH)、1.86〜2.08(m,4H,−C−CH−)、3.09(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.49(q,2H,CF−CH−)、5.51(m,1H,C=CH)、6.03(s,1H,C=CH
上記の結果から、化合物(8)が上記構造を有することが確認できた。
iii)含フッ素樹脂(2)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール3.84gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール10.0gに化合物(8)15.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.582gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素樹脂(2)7.1gを得た。
得られた含フッ素樹脂(2)の質量平均分子量(Mw)は8000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.38であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例8:含フッ素樹脂(3)の合成]
i)第一工程;2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルブロモアセテート(化合物(III−b))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにアセトン400g、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(化合物(I−b))100g、トリエチルアミン121.3gを入れ、上記、化合物(III)の合成法と同様に合成し、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルブロモアセテート(化合物(III−b))49.6gを得た。
ii)第二工程〜第三工程;1,1−ジエチル−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(9))の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン224.7g、3−ペンタノン(化合物(IV))24.7g、亜鉛粉末23.6gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、第一工程で得られた化合物(III−b)7.6gを45℃で加えた。その後、第一工程で得られた化合物(III−b)68.3gを55℃で30分間かけて滴下し、さらに90分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン42.5gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))41.0gを20℃で40分間かけて滴下し、上記、化合物(1)の合成法と同様に合成し、含フッ素化合物(C1)として、1,1−ジエチル−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(9))51.1gを得た。
Figure 2010210835
得られた化合物(9)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl3)δ:0.90(tr,6H,−CH)、1.90(s,3H,=C−CH)、1.86〜2.08(m,4H,−C−CH−)、3.08(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.53(q,2H,CF−CH−)、5.52(m,1H,C=CH)、6.03(s,1H,C=CH
上記の結果から、化合物(9)が上記構造を有することが確認できた。
iii)含フッ素樹脂(3)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール4.16gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール12.0gに化合物(9)18.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.682gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素樹脂(3)7.1gを得た。
得られた含フッ素樹脂(3)の質量平均分子量(Mw)は7100であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.36であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例9:含フッ素樹脂(4)の合成]
(i)化合物(10)の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン296.0g、シクロヘキサノン(化合物(IV−b))48.9g、亜鉛粉末35.0gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、合成例1で得られた化合物(III)10.0gを55℃で加えた。その後、化合物(III)90.0gを60℃で30分間かけて滴下し、さらに120分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン59.5gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))56.8gを20℃で40分間かけて滴下し、上記化合物(8)の合成法と同様に合成し、1−シクロヘキシル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(10))56.6gを得た。
得られた化合物(10)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl3)δ:1.20〜1.38(m,1H,c−C10)、1.48〜1.71(m,7H,c−C10)、1.93(s,3H,=C−CH)、2.30〜2.38(m,2H,c−C10)、3.12(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.44(q,2H,CF−CH−)、5.56(m,1H,C=CH)、6.09(s,1H,C=CH
Figure 2010210835
(ii)含フッ素樹脂(4)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール3.84gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール10.0gに化合物(10)15.0g、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.960gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素樹脂(4)8.9gを得た。
得られた含フッ素樹脂(4)の質量平均分子量(Mw)は8300であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.48であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 2010210835
[ポリマー合成例10:含フッ素樹脂(5)の合成]
(i)化合物(11)の合成
撹拌機、窒素吹き込み管、滴下ロート、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、テトラヒドロフラン444.0g、シクロヘキサノン(化合物(IV−b))70.6g、亜鉛粉末51.0gを入れ撹拌した。窒素置換後、触媒量のヨウ素を加え、合成例3で得られた化合物(III−b)15.0gを55℃で加えた。その後、化合物(III−b)135.0gを60℃で30分間かけて滴下し、さらに90分間撹拌を続けた。
次いで、反応液を室温まで冷却したのち、トリエチルアミン72.8gを加え、メタクリル酸クロライド(化合物(VI))69.4gを20℃で40分間かけて滴下し、上記化合物(8)の合成法と同様に合成し、1−シクロヘキサン−2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシカルボニル)エチルメタクリレート(化合物(11))38.1gを得た。
得られた化合物(11)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl3)δ:1.21〜1.38(m,1H,c−C10)、1.48〜1.72(m,7H,c−C10)、1.94(s,3H,=C−CH)、2.28〜2.39(m,2H,c−C10)、3.13(s,2H,−CH−C(=O)−)、4.51(t,2H,−CF−CH−)、5.55(m,1H,C=CH)、6.07(s,1H,C=CH
Figure 2010210835
(ii)含フッ素樹脂(5)の合成
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにイソプロピルアルコール3.84gを入れ、窒素置換後、80℃まで加熱し、イソプロピルアルコール10.0gに化合物(11)15.0g、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.916gを溶解させた溶解液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、その温度を維持しつつ4時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のイソプロピルアルコール/水の混合溶液中に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフランに溶解し、大量のイソプロピルアルコール/水に滴下し、析出した樹脂をろ別、洗浄、乾燥して、白色固体の含フッ素樹脂(5)9.6gを得た。
得られた含フッ素樹脂(5)の質量平均分子量(Mw)は8900であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.44であった(GPC分析、ポリスチレン換算)。
Figure 2010210835
<ポジ型レジスト組成物の調製>
(実施例1〜10、比較例1〜15)
表1、表2に示す各成分を混合して溶解することによりポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
表1、表2中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:前記高分子化合物(2)。
(A)−2:前記高分子化合物(3)。
(A)−3:前記高分子化合物(1)。
(A)−4:前記高分子化合物(5)。
(A)−5:前記高分子化合物(4)。
(B)−1:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(F)−1:前記含フッ素樹脂(1)。
(F)−2:前記含フッ素樹脂(2)。
(F)−3:前記含フッ素樹脂(3)。
(F)−4:前記含フッ素樹脂(4)。
(F)−5:前記含フッ素樹脂(5)。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
<レジスト膜の疎水性の評価>
得られたポジ型レジスト組成物を用いて、以下の手順で、露光前のレジスト膜表面の動的接触角(転落角、前進角、後退角)、静的接触角を測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。
[疎水性評価]
8インチシリコンウェーハ上に、得られたポジ型レジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
当該レジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に、水50μLを滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて各接触角の測定を行った。その結果を表3、表4に示す。
Figure 2010210835
Figure 2010210835
表3、表4の結果から、同じ(F)成分を用いた例のなかで、本発明における構成単位(a1)と構成単位(a0)の両方を有する高分子化合物(A1)を含有する実施例のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、比較例のレジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜に比べて、露光前の後退角が大きくなり、転落角が小さくなることが確認できた。
したがって、本発明によれば、膜表面の疎水性が高いレジスト膜を形成できることが確認できた。
また、実施例2と実施例3との対比、実施例4と実施例5との対比、実施例7と実施例8との対比、および実施例9と実施例10との対比において、いずれも、(F)成分として用いた含フッ素樹脂を構成する構成単位中のフッ素原子数の多い方が、前進角の値が大きくなっていることが分かる。このことから、前進角の値を決める要因としては、(F)成分による寄与が高いことが確認できる。
後退角については、フッ素原子数の多い(F)成分を用いた方が、多少、高い角度となっているものの、含フッ素樹脂と、(A)成分として用いた高分子化合物との組合せの違いによる角度の変化は、(F)成分中のフッ素原子数の違いによる角度の変化よりも大きいことが分かる。このことから、後退角が大きくなる要因としては、含フッ素樹脂と高分子化合物(A1)との組合せによる寄与が高いことが確認できる。
これらのことから、本発明によれば、(F)成分と高分子化合物(A1)とを組み合わせることで、後退角の値を増加させてスキャン式露光機における良好な水追従性を保持することができる。また、(F)成分として本発明に係る含フッ素樹脂成分を選択することで、前進角の値を調整することができる。前進角の値は、液浸リソグラフィーにおけるディフェクトの発生リスクと関係があると考えられていることから、前進角の値を好ましい範囲内に調整できることは、液浸露光プロセスにおいて有用である。
1…液滴 1a…下端 1b…上端 2…平面 θ…前進角 θ…後退角 θ…転落角

Claims (9)

  1. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、含フッ素化合物成分(F)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
    前記基材成分(A)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)とを有する高分子化合物(A1)を含み、かつ、
    前記含フッ素化合物成分(F)は、下記一般式(f1−0)で表される構成単位(f1)を有する含フッ素樹脂成分を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010210835
    [式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基である。]
    Figure 2010210835
    [式(f1−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Qは単結合又はフッ素原子を有する2価の連結基であり、RX0はフッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。ただし、式(f1−0)中に少なくとも1つのフッ素原子が含まれるものとする。]
  2. 前記構成単位(f1)が、下記一般式(f1−01)で表される構成単位又は下記一般式(f1−02)で表される構成単位である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010210835
    [式(f1−01)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、RX1はフッ素原子を有する酸解離性溶解抑制基含有基である。]
    Figure 2010210835
    [式(f1−02)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Qは−O−、−CH−O−又は−C(=O)−O−を含有する基であり;Rq1はフッ素原子又はフッ素化アルキル基であり、RX0はフッ素原子を有していてもよい酸解離性溶解抑制基含有基である。]
  3. 前記一般式(f1−01)で表される構成単位が、下記一般式(f1−01−1)で表される構成単位及び下記一般式(f1−01−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である請求項2記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010210835
    [式(f1−01−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R〜Rはそれぞれ独立してアルキル基又はフッ素化アルキル基である。ただし、前記フッ素化アルキル基は、R〜Rが結合している第三級炭素原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子が結合していない基であり、R〜Rの少なくとも一つは前記フッ素化アルキル基である。RおよびRは一つの環構造を形成していてもよい。mは0又は1である。]
    Figure 2010210835
    [式(f1−01−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rはフッ素原子を有する有機基であり、X10は下記の一般式(x−1)又は一般式(x−2)で表される2価の有機基である。]
    Figure 2010210835
    [式中、R101およびR102はそれぞれ独立してアルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく、R103およびR104はそれぞれ独立して水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、X101およびX102はそれぞれ独立してアルキレン基又は2価の脂肪族環式基である。ただし、R101〜R104、X101およびX102はいずれもフッ素原子を含まないものとする。]
  4. 前記一般式(f1−02)で表される構成単位が、下記一般式(f1−02−1)で表される構成単位である請求項2又は請求項3記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010210835
    [式(f1−02−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rq1はフッ素原子又はフッ素化アルキル基であり;Rq2〜Rq3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はフッ素化アルキル基であり、互いに結合して環を形成していてもよく;RX2は酸解離性溶解抑制基含有基である。]
  5. 前記一般式(a0−1)におけるRが、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  6. 前記一般式(a0−1)におけるRが、下記一般式(3−1)で表される環式基である請求項5記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010210835
    [式(3−1)中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;pは0〜2の整数であり;Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
  7. 前記高分子化合物(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  8. さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  9. 支持体上に、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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