JP2010210011A - 接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置 - Google Patents

接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置 Download PDF

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Daisuke Tomomatsu
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Masanori Iritani
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Hiroyuki Nishizawa
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Abstract

【課題】装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができる接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置を提供する。
【解決手段】液体を用いる装置の当該液体との接触面2であって液体との接触角θが装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角θが90度となる所定温度が運転温度の範囲内に設定される接触面2を有することを特徴とする。したがって、装置の運転温度に応じて接触面2の撥水性(撥油性)と親水性(親油性)とが切り替わることから、接触面2に接触して流れる液体の流れを装置の運転状態に応じて適正に調整することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置に関し、特に、液体を用いる装置に適用される接触面加工物、当該接触面加工物を含んで構成される液体循環装置及び当該接触面加工物を含んで構成される液体熱交換装置に関するものである。
従来の液体を用いる装置に適用される接触面加工物として、例えば、特許文献1に記載されたエンジンは、エンジンブロックの下部にオイルパンを装着したエンジンであって、このエンジンの内部におけるオイル(液体)との接触面のうちのエンジンオイル流下面に撥油膜処理を施した接触面加工物を備えている。これにより、特許文献1に記載されたエンジンは、オイルパンからエンジンブロック等に供給されたエンジンオイルを素早くオイルパンに戻し、使用されるエンジンオイルの量を減らすことで、ポンプによるエアの吸い込みを回避しつつエンジンオイルの早期昇温を図っている。
特開2006−249951号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたエンジンが備える接触面加工物は、例えば、エンジンの運転状態に応じてはエンジンオイルをゆっくりオイルパンに戻すなど種々の要望により、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節可能であることが望まれていた。
そこで本発明は、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができる接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による接触面加工物は、液体を用いる装置の当該液体との接触面であって前記液体との接触角が前記装置の運転温度に応じて変化すると共に、前記接触角が90度となる所定温度が前記運転温度の範囲内に設定される接触面を有することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明による液体循環装置は、上記の接触面加工物と、前記液体が貯留された貯留部と、前記貯留部から供給対象部に供給された前記液体を当該貯留部に戻す液体戻し部とを備え、前記接触面加工物は、少なくとも前記液体戻し部の一部に適用されることを特徴とする。
また、上記液体循環装置において、車両の車輪に動力を伝達する回転体と、前記回転体を内部に収容すると共に前記貯留部が内部の底部に設けられるケースとを備え、前記ケースの内壁面は、前記液体戻し部をなすようにしてもよい。
また、上記液体循環装置において、前記ケースの内部の気体を前記液体と分離して前記ケースの外部に排出するブリーザ機構を備えるようにしてもよい。
また、上記液体循環装置において、前記貯留部に貯留された前記液体を吸引し前記供給対象部に圧送する圧送手段を備えるようにしてもよい。
また、上記液体循環装置において、前記所定温度は、40℃から60℃の範囲内に設定されることが好ましい。
上記目的を達成するために、本発明による液体熱交換装置は、上記の接触面加工物と、前記液体が接触することで当該液体と熱交換する熱交換部とを備え、前記接触面加工物は、少なくとも前記熱交換部の一部に適用されることを特徴とする。
また、上記液体熱交換装置において、ロータと当該ロータの外周に設けられたステータとを有するモータと、前記モータ及び前記液体を収容するケースとを備え、前記モータは、前記熱交換部をなし前記液体と接触して熱交換することで冷却され、前記ケースの内壁面は、前記熱交換部をなし前記液体と接触して熱交換することで当該液体を冷却し、前記接触面加工物は、少なくとも前記ケースの内壁面及び前記ロータに適用されるようにしてもよい。
また、上記液体熱交換装置において、前記接触面加工物は、前記ケース内に設けられ車両の車輪に動力を伝達する回転体の回転によりかきあげられる前記液体のかきあげ方向の下流側の前記ケースの内壁面に適用されるようにしてもよい。
また、上記液体熱交換装置において、前記所定温度は、0℃から40℃の範囲内に設定されることが好ましい。
本発明に係る接触面加工物によれば、液体を用いる装置の当該液体との接触面であって液体との接触角が装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角が90度となる所定温度が運転温度の範囲内に設定される接触面を有するので、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができる。
本発明に係る液体循環装置によれば、液体を用いる装置の当該液体との接触面であって液体との接触角が装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角が90度となる所定温度が運転温度の範囲内に設定される接触面を有するので、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができる。
本発明に係る液体熱交換装置によれば、液体を用いる装置の当該液体との接触面であって液体との接触角が装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角が90度となる所定温度が運転温度の範囲内に設定される接触面を有するので、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物の概略構成図である。 図2は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物における温度と液体表面張力との関係を説明する線図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物の表面膜に用いられる表面処理剤の一例を示す図である。 図4は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機を搭載した車両の概略構成図である。 図5は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機の概略構成図である。 図6は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機のオイル温度と接触角との関係を表す線図である。 図7は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機のオイル温度とオイルレベルとの関係を表す線図である。 図8は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置を搭載した車両の概略構成図である。 図9は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置の概略構成図である。 図10は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置の温度とモータ効率との関係を表す線図である。 図11は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置のオイル温度と動粘度との関係を表す線図である。 図12は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置のオイル温度と接触角との関係を表す線図である。 図13は、接触面加工物が適用されない場合の駆動装置のオイル温度とモータ効率、機械効率との関係を表す線図である。
以下に、本発明に係る接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物の概略構成図、図2は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物における温度と液体表面張力との関係を説明する線図、図3は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物の表面膜に用いられる表面処理剤の一例を示す図、図4は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機を搭載した車両の概略構成図、図5は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機の概略構成図、図6は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機のオイル温度と接触角との関係を表す線図、図7は、本発明の実施形態1に係る接触面加工物が適用される変速機のオイル温度とオイルレベルとの関係を表す線図である。
図1に示す本実施形態の接触面加工物1は、液体を用いる装置に適用されるものであり、装置の液体との接触面2であって液体との接触角θが装置の運転温度に応じて変化する接触面2を有する。つまり、接触面加工物1は、この接触面加工物1が適用される装置の運転温度に応じて接触面2における液体との接触角θが変化する。
ここで、接触面加工物1の接触面2と液体との接触角θは、液体側からみた固体表面、ここでは接触面2と液体とがなす角度である。接触面加工物1の接触面2は、この接触角θが180°に近くなると接触面2上の液体とほぼ点で接触するような状態となり液体がはじきやすくなることから、接触面2の液体に対する濡れ性が相対的に低下し液体が水である場合は高い撥水性、ここでは、超撥水性(液体がオイルであれば超撥油性)を有することとなる。一方、接触面加工物1の接触面2は、この接触角θが0°に近くなると接触面2上の液体と面で接触するような状態となり液体が付着しやすくなることから、接触面2の液体に対する濡れ性が相対的に増加し液体が水である場合は高い親水性、ここでは、超親水性(液体がオイルであれば超親油性)を有することとなる。
この接触面2の撥水性(撥油性)と親水性(親油性)とは、接触角θがほぼ90°である状態を境界として切り替わる。つまり、接触面加工物1は、接触角θが90°より大きい場合には超撥水表面(超撥油表面)として作用可能である一方、接触角θが90°より小さい場合には超親水表面(超親油表面)として作用可能である。そして、この接触面2と液体との接触角θは、接触面2の表面張力と液体の表面張力などに基づいて変化し、また、液体の表面張力は、液体の温度などに応じて変化する。つまり、接触面2の液体との接触角θは、液体の温度が変化することで変化しうる。すなわち、接触面2の液体との接触角θは、液体を用いる装置の運転温度が変化しこの液体の温度が変化することで変化しうる。
そして、本実施形態の接触面加工物1の接触面2は、この接触角θが90°となる所定温度が装置の運転温度の範囲内に設定される。これにより、接触面加工物1は、接触面加工物1が適用される装置の運転状態に応じて、接触面2に接触して流れる液体の流れを適正に調整することが可能となる。
具体的には、接触面加工物1は、本体部3と、凹凸部4と、表面膜5とを含んで構成される。本体部3は、接触面加工物1の基盤をなすものである。凹凸部4は、本体部3の表面に設けられる。凹凸部4は、本体部3の表面に形成される微細な凹凸によりいわゆるフラクタル構造をなす。表面膜5は、本体部3の凹凸部4側の面に施される表面処理膜であり、低表面張力剤による表面処理膜、例えば、フッ素系樹脂膜が用いられる。接触面加工物1は、この表面膜5の表面が液体と接触する上述の接触面2をなす。
ここで、接触面2と接触面2上の液体との接触角をθ、接触面2上の液体の表面張力である液体表面張力をr、接触面2の表面膜5の表面張力である固体表面張力をr、凹凸部4のフラクタル構造のフラクタル次元をAとすると、接触角θは、下記の数1に示す数式(1)のように表すことができる。
Figure 2010210011
また、液体の温度をT、臨界温度をT、密度をd、分子量をMとすると、液体表面張力rの温度依存式は、下記の数2に示す数式(2)のように表すことができる。
Figure 2010210011
上記の数式(1)に示すように、接触面2と液体との接触角θは、接触面2の固体表面張力rと液体表面張力rとに基づいて変化する。上記の関係から、接触角θは、固体表面張力rと液体表面張力rとの関係において、例えば、r≒1/4・rとなると接触面2の撥水性(撥油性)と親水性(親油性)とが切り替わる接触角θ=90°となり、r<1/4・rとなると接触面2が超撥水表面(超撥油表面)として作用可能な接触角θ>90°となり、r>1/4・rとなると接触面2が超親水表面(超親油表面)として作用可能な接触角θ<90°となる。
また、上記の数式(2)に示すように、液体表面張力rは、液体の温度Tに応じて変化する。図2は、液体の温度Tと液体表面張力rとの関係を示す図であり、液体表面張力rは、液体の温度Tが相対的に高くなるほど相対的に小さくなり、液体の温度Tが相対的に低くなるほど相対的に大きくなる。ここで、表面膜5は、本体部3の凹凸部4側の面に固着されているので、表面膜5の固体表面張力rは、装置の運転温度にかかわらずほぼ変らない。つまり、接触面2の液体との接触角θは、液体の温度Tの温度が変化し液体表面張力rが変化することで変化することとなる。
言い換えれば、接触角θ≒90°となる液体の所定温度tは、所定温度tにおける液体表面張力rに対してr≒1/4・rを満たすように、固体表面張力rを適正な値に設定することで、言い換えれば、表面膜5に用いる表面処理剤を適正に選定することで所望の温度に設定することができる。
例えば、液体としてオイル(例えば、液体表面張力rは、20〜30mN/m)と接触する接触面2において、接触面2の撥油性と親油性とが切り替わる所定温度t、すなわち、接触角θ≒90°となる所定温度tを40〜60℃、例えば50℃程度に設定する場合、表面膜5は、固体表面張力rが6〜7mN/m程度の表面処理剤、例えば、パーフルオロラウリン酸を用いればよい。
図3は、オイルと接触する接触面2において、接触角θ≒90°となる所定温度tを設定するに際し、所望の設定所定温度tに対する好適な表面処理剤化合物の一例及びおおよその固体表面張力rを例示したものである。接触角θ≒90°となる所定温度tを−20〜0℃に設定する場合、表面膜5は、例えば、固体表面張力rが10mN/m程度のパーフルオロアルコキシアルカンを用いればよい。接触角θ≒90°となる所定温度tを0〜20℃に設定する場合、表面膜5は、例えば、固体表面張力rが9mN/m程度のパーフルオロオクチルエチルアクリレートを用いればよい。接触角θ≒90°となる所定温度tを20〜40℃に設定する場合、表面膜5は、例えば、固体表面張力rが8mN/m程度のメタクリル酸パーフルオロオクチルエチルを用いればよい。接触角θ≒90°となる所定温度tを40〜60℃に設定する場合、表面膜5は、上述したように例えば、固体表面張力rが7mN/m程度のパーフルオロラウリン酸を用いればよい。接触角θ≒90°となる所定温度tを60〜80℃に設定する場合、表面膜5は、例えば、固体表面張力rが6mN/m程度のトリフルオロエチルを用いればよい。
接触面加工物1は、上記のようにして接触面2の液体との接触角θが90°となる所定温度tを適宜設定することができる。そして、本実施形態の接触面加工物1は、この接触面加工物1を適用する装置の運転温度の範囲内にこの所定温度tが設定される。つまり、接触面加工物1は、接触面加工物1を適用する装置の運転温度の変化に伴って液体の温度が変化することで、接触面2の撥水性(撥油性)と親水性(親油性)とが切り替わる。接触面加工物1は、接触角θが90°となる所定温度tより液体の温度が低温になると接触面2が超撥水表面(超撥油表面)として作用し、これにより、接触面2にて液体をはじきやすくなり、接触面2と接触して流れる液体の流れが比較的に速くなり、すなわち、液体が流れやすくなる。一方、接触面加工物1は、接触角θが90°となる所定温度tより液体の温度が高温になると接触面2が超親水表面(超親油表面)として作用し、これにより、接触面2にて液体が付着し易くなり、接触面2と接触して流れる液体の流れが比較的に遅くなり、すなわち、液体が流れにくくなる。したがって、接触面加工物1は、接触面加工物1が適用される装置の運転状態に応じて、すなわち、装置の運転温度に応じて接触面2に接触して流れる液体の流れを適正に調整することが可能となる。
以下の説明では、本実施形態の接触面加工物1は、液体を用いる装置として、図4、図5に示す液体循環装置としての変速機50に適用した場合で説明する。
本実施形態の変速機50は、図4に示すように、車両50Aに搭載される動力源101からの動力、すなわち出力トルクを車両50Aの走行状態に応じた好適の条件で車輪FL、FRに伝達するものであり、動力源101、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどの内燃機関の出力側に設けられるものである。変速機50は、手動変速機(MT:Manual Transmission)、自動変速機(AT:Automatic Transmission)、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)を用いることができる。ここでは、変速機50は、自動変速機であるものとして説明する。
車両50Aは、動力源101の出力回転が変速機50にて適宜変速された後、車両50Aの左側前輪及び右側前輪である車輪FL、FRに伝達され、この車輪FL、FRが駆動輪として駆動することで走行する。なお、動力源101は、モータなどの電動機を用いてもよい。また、本実施形態の車両50Aは、動力源101が車両50Aの前進行方向における前側部分に搭載され、左右の前輪である車輪FL、FRが駆動輪として設けられた、いわゆるFF駆動であり、左右の後輪である車輪RL、RRは駆動力を発生しない従動輪であるが、車両50Aの駆動形式は、FR駆動や四輪駆動の形式であってもよい。
変速機50は、動力源101の出力側に設けられ、動力源101の回転出力を変速するものである。そして、本実施形態の変速機50は、液体としてのオイルを用いる装置であり、液体としてのオイルを装置の各部に循環させる本発明の液体循環装置に相当し、ここでは、本発明の液体循環装置はオイルを循環させることで潤滑装置として機能する。すなわち、変速機50は、液体としてのオイルを循環させ、このオイルにより変速機50の各部を潤滑、冷却する。
変速機50は、図5に示すように、貯留部51と、液体戻し部としてのオイル戻し部52とを備える。貯留部51は、オイルが貯留されるものである。オイル戻し部52は、貯留部51から供給対象部53に供給されたオイルをこの貯留部51に戻すものである。供給対象部53は、少なくとも被潤滑部53aを含んで構成される。被潤滑部53aは、例えば、後述するギヤ群55の他、変速機50において潤滑のためにオイルの供給が必要とされる箇所である。なお、被潤滑部53aは、例えば変速機50がベルト式無段変速機の場合にはベルトとプーリとの間の部分等が含まれる。
さらに具体的に言えば、変速機50は、供給部54と、ギヤ群55と、ケース56とを含んで構成される。
供給部54は、貯留部51に貯留されているオイルを供給対象部53に供給するものである。供給部54は、油路54a、圧送手段としてのポンプ54bを含んで構成される。油路54aは、貯留部51のオイルが通過可能なものであり、供給対象部53に接続されている。ポンプ54bは、油路54aに設けられおり、貯留部51に貯留されたオイルをオイルの吸い込み口であるストレーナ54dなどを介して油路54aに吸引し供給対象部53に圧送するものである。
なお、供給対象部53は、被潤滑部53aに加えて制御対象部53bを含んで構成されてもよい。制御対象部53bは、例えば、後述するギヤ群55における動力の伝達経路を適宜切り換えるための摩擦係合部(クラッチやブレーキ)や変速機50が例えばベルト式無段変速機の場合にはプーリ等である。つまり、供給部54は、貯留部51に貯留されているオイルを被潤滑部53aに供給するだけでなく、制御対象部53bにも供給する構成であってもよい。この場合、供給部54は、例えば、油路54aにおいてポンプ54bと制御対象部53bとの間に油圧制御回路部54cが設けられる。油圧制御回路部54cは、例えば、ポンプ54bにより被潤滑部53a、制御対象部53bに供給されるオイルの圧力を制御するものである。
また、本実施形態の供給部54は、圧送手段としてのポンプ54bを備えないかわりに、例えば、後述のギヤ群55において貯留部51内のオイルに浸かっている各種ギヤ55a、55b、55c、55dにより貯留部51に貯留されているオイルをかきあげて供給対象部53の被潤滑部53aにオイルはねかけることで、この被潤滑部53aにオイルを供給する構成であってもよい。
ギヤ群55は、動力源101からの動力を車両50Aの車輪FL、FRに伝達するものであり、動力の伝達に伴って回転する回転体としての複数のギヤ55a、55b、55c、55dを備える。すなわち、ギヤ群55は、動力源101の出力回転を適宜変速するためのするための回転体として、複数のギヤ55a、55b、55c、55dを含んで構成される。例えば、ギヤ群55は、ギヤ55a、55bが軸受55e、55fなどにより回転自在に軸支されている回転軸(メインシャフト)55gに挿通され、回転可能とされている。また、ギヤ群55は、ギヤ55c、55dがそれぞれギヤ55a、ギヤ55bに噛み合わされた状態で、軸受55h、55iなどにより回転自在に軸支されている回転軸(カウンタシャフト)55jに挿通され、回転可能とされている。ギヤ群55は、ギヤ55a、55b、55c、55dのうち何れか1つのギヤが回転すると、他のギヤが連動(回転)する構成とされるとともに、動力の伝達経路が適宜変更されることで動力源101の出力回転を変速して出力することができる。そして、このギヤ群55は、上述の供給対象部53をなし、さらに言えばこのギヤ群55は、上述の供給対象部53の被潤滑部53aをなす。
なお、動力を車両の車輪に伝達する本発明の回転体は、例えば変速機50がベルト式無段変速機の場合にはベルトが巻き掛けられるプーリなどがこれに相当し、変速機50がトロイダル式無段変速機である場合にはパワーローラを挟み込む入力ディスク、出力ディスクなどがこれに相当する。
ケース56は、ギヤ群55を内部に収容すると共に貯留部51が内部の底部に設けられるものである。本実施形態のケース56は、トランスミッションケース57とオイルパン58とを含んで構成され、オイルパン58がトランスミッションケース57の開口部を塞ぐようしてこのトランスミッションケース57に取り付けられることで、内部に収容空間が形成される。ケース56は、この収容空間に供給部54やギヤ群55などを収容する。また、このケース56は、変速機50が車両50Aに搭載される際には、オイルパン58がトランスミッションケース57の鉛直方向下側に位置するようにして配置される。したがって、ケース56内に収容されるオイルは、このケース56の内部において鉛直方向下方側の底部、すなわちオイルパン58側の底部に貯留されることとなり、すなわち、オイルを貯留する貯留部51は、ケース56の内部において鉛直方向下方側の底部、すなわちオイルパン58側の底部に位置することとなる。ケース56は、例えば鋼板から形成されるがこれに限らず樹脂などから形成されてもよい。
そして、このケース56は、内壁面56aが上述のオイル戻し部52をなす。そして、オイル戻し部52をなすケース56の内壁面56aは、トランスミッションケース57の内壁面57a、オイルパン58の内壁面58aを含んで構成される。例えば、供給対象部53であるギヤ群55に供給されたオイルは、一部がギヤ群55の回転により飛散することでオイル戻し部52であるケース56の内壁面56a、すなわち、トランスミッションケース57の内壁面57a、オイルパン58の内壁面58aに付着し自重によりこの内壁面57a、内壁面58aを伝って流れることで貯留部51に戻される。なお、オイル戻し部52は、ケース56の内壁面56a以外にもオイルを貯留部51に戻す戻し油路(不図示)や戻しパイプ(不図示)等を含んで構成されてもよい。
なお、この変速機50は、ブリーザ機構59を備えるようにしてもよい。ブリーザ機構59は、ケース56の内部の気体をオイルと分離してケース56の外部に排出するものである。ブリーザ機構59は、トランスミッションケース57においてこのトランスミッションケース57を貫通しケース56の内部と外部とを連通するようにして設けられている。変速機50は、作動時にケース56内の貯留部51のオイルがギヤ群55などにより攪拌されると、ケース56内部の圧力が外部の圧力より高くなることがある。このとき、ブリーザ機構59は、ケース56内の気体を外部に排出することで、ケース56の内部と外部との圧力差を取り除くように機能する。そして、ブリーザ機構59は、気体をケース56の外部に排出する際に、この気体からオイル(例えば、攪拌に伴って霧化したオイル)を分離することで、気体の排出に伴ってケース56内のオイルが外部に吹き出ることを防止している。
上記のように構成される変速機50は、貯留部51に貯留されているオイルが供給部54の油路54a、ポンプ54b、油圧制御回路部54cなどを介して供給対象部53をなす被潤滑部53a、制御対象部53bなどに供給される。そして、供給対象部53をなす被潤滑部53a、制御対象部53bなどに供給されたオイルは、オイル戻し部52であるケース56の内壁面56a、すなわち、トランスミッションケース57の内壁面57a、オイルパン58の内壁面58aなどを介して貯留部51に戻される。つまり、貯留部51に貯留されているオイルは、供給部54、供給対象部53及びオイル戻し部52を介して循環し、この間、変速機50の被潤滑部53aを潤滑、冷却し、また、制御対象部53bで作動媒体として機能する。
ところで、このような変速機50の潤滑に用いられているオイルは、温度が上昇すると相対的に粘度が低下し流動し易くなる傾向にある一方、温度が低下すると相対的に粘度が増加し流動しにくくなる傾向にある。このため、この種の従来の変速機では、オイル戻し部を流れて貯留部に戻るオイルの戻り量は、供給対象部に供給されるオイルの供給量が一定であれば、オイルの温度が上昇するに伴って増加する一方、オイルの温度が低下するに伴って減少する傾向にある。そして、貯留部のオイルの油面の高さは、オイルの温度が上昇するに伴ってオイル戻し部を流れて貯留部に戻るオイルの戻り量が増加することで相対的に高くなる傾向にあり、オイルの温度が低下するに伴ってオイル戻し部を流れて貯留部に戻るオイルの戻り量が減少することで相対的に低くなる傾向にある。
この結果、従来の変速機は、オイルの温度が上昇するに伴って貯留部のオイルの油面の高さが所定より高くなることで、例えば、ギヤのオイルに浸る部分が拡大しこのギヤによるオイルの攪拌抵抗が増加し、変速機の動力損失が増大し燃費に影響を及ぼしたり、ケース内の圧力が高くなりすぎてブリーザ機構から微量なオイルが吹き出てしまうブリーザ吹きが発生したりするおそれがあった。一方、従来の変速機は、オイルの温度が低下するに伴って貯留部のオイルの油面の高さが所定より低くなり、例えば、ポンプによるオイルの吸い込み口より低くなることで、ポンプが空気を吸い込んでしまい、被潤滑部の潤滑性や制御対象部の制御性が悪化するおそれがあった。そして例えば、変速機の高温時におけるギヤの攪拌抵抗の増大抑制やブリーザ吹きの抑制を図るためにこの変速機に用いられる全体のオイル量を少なくした場合、変速機の低温時におけるポンプのエア吸いが発生しやすくなる一方、変速機の低温時におけるポンプのエア吸いの抑制を図るためにこの変速機に用いられる全体のオイル量を多くした場合、変速機の高温時におけるギヤの攪拌抵抗の増大やブリーザ吹きが発生しやすくなり、また、オイルの総熱容量が大きくなることで結果的に暖機性能も低下するおそれがあった。また例えば、オイル戻し部に撥油膜処理を施すことで供給対象部に供給されたオイルを素早く貯留部に戻すことで、変速機に用いられる全体のオイル量を少なくし暖機性能を向上した上でポンプのエア吸いの防止を図った場合でも、結果的には変速機の高温時におけるギヤの攪拌抵抗の増大やブリーザ吹きが発生しやすくなるおそれがあった。このため、従来の変速機では、変速機の運転状態に応じて貯留部に貯留されたオイルの油面高さが適正に調節されることが望まれていた。
そこで、本実施形態の変速機50は、図5に示すように、上述した接触面加工物1をオイル戻し部52に適用することで、変速機50の運転状態に応じて、すなわち、変速機50の運転温度に応じてオイル戻し部52における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整し、貯留部51のオイルの油面の高さを変速機50の運転状態に応じて適正な高さに調節している。
すなわち、本実施形態の変速機50は、オイル戻し部52をなすケース56の内壁面56a、さらに言えば、トランスミッションケース57の内壁面57a、オイルパン58の内壁面58aが接触面加工物1により形成される。トランスミッションケース57の内壁面57a、オイルパン58の内壁面58aは、接触面加工物1の接触面2がケース56の内部空間側に位置するように、すなわち、接触面2がオイルと接触する側に位置するように形成される。なお、変速機50は、オイル戻し部52がケース56の内壁面56a以外にも戻し油路(不図示)や戻しパイプ(不図示)等を含んで構成される場合には、この戻し油路(不図示)、戻しパイプ(不図示)の内壁面にも接触面加工物1を適用するとよい。
そして、本実施形態の変速機50は、接触面2のオイルとの接触角θが90°となる所定温度tが変速機50の運転温度の範囲内に設定される。この変速機50の運転温度の範囲は、例えば、−30〜200℃程度であり、本実施形態の接触面加工物1は、所定温度tが40〜60℃例えば50℃程度に設定される。よって、本実施形態の接触面加工物1は、表面膜5の表面処理剤として例えばパーフルオロラウリン酸を用いる(図3参照)。
上記にように構成される変速機50は、図6に示すように、変速機50の運転温度の変化に伴ってオイルの温度が変化することで、オイル戻し部52に適用された接触面加工物1の接触面2のオイルとの接触角θが変化する。そして、変速機50は、始動時などオイルの温度が50℃より低温である場合に接触角θ>90°となり接触面2が超撥油表面として作用可能である一方、オイルの温度が50℃より高温である場合に接触角θ<90°となり接触面2が超親油表面として作用可能であり、オイルの温度が50℃程度になった場合に接触角θ≒90°となり、接触面2の撥油性と親油性とが切り替わる。
この結果、変速機50は、始動時などオイルの温度が50℃より低温である場合に接触面2が超撥油表面として作用することで、オイル戻し部52の接触面2にてオイルをはじきやすくなり、接触面2と接触して貯留部51に向かって流れるオイルの流れが比較的に速くなり、すなわち、オイルが流れやすくなる。これにより、変速機50は、図7に実線で示すように、オイル戻し部52に接触面加工物1を適用しない場合(図7中一点鎖線で図示)と比較して、例えば、オイルの温度が30℃程度の低温でありオイル粘度が相対的に高く流動しにくい状態であっても、接触面2が超撥油表面として作用しオイルが流れやすくなることで、オイル戻し部52を介して貯留部51に戻るオイル量を相対的に増加させることができ、貯留部51のオイルの油面の高さ、すなわち、オイルレベルの低下を抑制することができる。したがって、変速機50は、オイルの温度が低温である場合にオイルレベルの低下を抑制することができることから、貯留部51のオイルレベルがポンプ54bによるオイルの吸い込み口より低くなることを防止することができ、ポンプ54bが空気を吸い込むことを防止することができ、被潤滑部53aの潤滑性や制御対象部53bの制御性が悪化することを防止することができる。またこの場合、変速機50は、変速機50に用いられる全体のオイル量を相対的に多くすることなく貯留部51のオイルレベルがポンプ54bによるオイルの吸い込み口より低くなることを防止することができることから、オイルの総熱容量が大きくなることを防止することができ、暖機性能が低下することを抑制することできる。すなわち、変速機50は、オイルの温度が低温である場合において、ポンプ54bによる空気の吸い込み防止と暖機性能の低下抑制とを両立することができる。
一方、変速機50は、暖機完了後などオイルの温度が50℃より高温である場合に接触面2が超親油表面として作用することで、オイル戻し部52の接触面2にてオイルが付着し易くなり、接触面2と接触して貯留部51に向かって流れるオイルの流れが比較的に遅くなり、すなわち、オイルが流れにくくなる。これにより、変速機50は、図7に実線で示すように、オイル戻し部52に接触面加工物1を適用しない場合(図7中一点鎖線で図示)と比較して、例えば、オイルの温度が80℃程度の高温でありオイル粘度が相対的に低く流動しやすい状態であっても、接触面2が超親油表面として作用しオイルが流れにくくなることで、オイル戻し部52を介して貯留部51に戻るオイル量を相対的に減少させることができ、貯留部51のオイルの油面の高さ、すなわち、オイルレベルの上昇を抑制することができる。したがって、変速機50は、オイルの温度が高温である場合にオイルレベルの上昇を抑制することができることから、ギヤ群55のオイルに浸る部分が拡大することを抑制することができ、このギヤ群55によるオイルの攪拌抵抗が増加することを抑制することができる。よって、変速機50は、この変速機50においての動力損失が増大することを抑制することができ、燃費が悪化することを抑制することができると共に、ケース56内の圧力が高くなりすぎることを抑制することができ、ブリーザ機構59から微量なオイルが吹き出てしまうブリーザ吹きが発生することを抑制することができる。
したがって、変速機50は、接触面加工物1をオイル戻し部52に適用することで、変速機50の運転状態に応じて、すなわち、変速機50の運転温度に応じてオイル戻し部52における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができ、貯留部51のオイルの油面の高さを変速機50の運転状態に応じて適正な高さに調節することができるので、変速機50の低温時、言い換えれば、オイルの低温時におけるポンプ54bによる空気の吸い込み防止及び暖機性能の低下抑制と、オイルの高温時におけるギヤ群55によるオイルの攪拌抵抗の増加抑制及びブリーザ機構59のブリーザ吹き抑制とを両立することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係る接触面加工物1によれば、液体(ここではオイル)を用いる装置(ここでは変速機50)の液体との接触面2であって液体との接触角θが装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角θが90度となる所定温度tが運転温度の範囲内に設定される接触面2を有する。したがって、接触面加工物1は、接触面加工物1が適用される装置の運転状態に応じて、すなわち、接触面加工物1が適用される装置の運転温度に応じて接触面2の撥水性(ここでは撥油性)と親水性(ここでは親油性)とが切り替わることから、接触面2に接触して流れる液体の流れを装置の運転状態に応じて適正に調整することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係る変速機50によれば、接触面加工物1と、オイルが貯留された貯留部51と、貯留部51から供給対象部53に供給されたオイルをこの貯留部51に戻すオイル戻し部52とを備え、接触面加工物1は、少なくともオイル戻し部52の一部に適用される。したがって、変速機50は、接触面加工物1をオイル戻し部52に適用することで、変速機50の運転状態に応じて、すなわち、変速機50の運転温度に応じてオイル戻し部52における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができるので、貯留部51のオイルの油面の高さを変速機50の運転状態に応じて適正な高さに調節することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る変速機50によれば、車両50Aの車輪FL、FRに動力を伝達するギヤ55a、55b、55c、55dと、ギヤ55a、55b、55c、55dを内部に収容すると共に貯留部51が内部の底部に設けられるケース56とを備え、ケース56の内壁面56aは、オイル戻し部52をなすようにしてもよい。この場合、変速機50は、オイル戻し部52をなすケース56の内壁面56aに接触面加工物1が適用されることで、この内壁面56aを流れるオイルの流れを変速機50の運転温度に応じて適正に調整することができ、貯留部51のオイルの油面の高さを変速機50の運転状態に応じて適正な高さに調節することができる。そして、この変速機50は、オイルの温度が相対的に高温でオイル粘度が相対的に低い状態において、オイル戻し部52の接触面2が超親油表面として作用することで、貯留部51へのオイルの戻り量を減少させ貯留部51のオイルの油面の高さの上昇を抑制することができることから、オイルの高温時におけるギヤ55a、55b、55c、55dによるオイルの攪拌抵抗の増加を抑制することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る変速機50によれば、ケース56の内部の気体をオイルと分離してケース56の外部に排出するブリーザ機構59を備えるようにしてもよい。この場合、変速機50は、オイルの温度が相対的に高温でオイル粘度が相対的に低い状態において、オイル戻し部52の接触面2が超親油表面として作用することで、貯留部51へのオイルの戻り量を減少させ貯留部51のオイルの油面の高さの上昇を抑制することができることから、オイルの高温時におけるブリーザ機構59のブリーザ吹きを抑制することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る変速機50によれば、貯留部51に貯留されたオイルを吸引し供給対象部53に圧送するポンプ54bを備えるようにしてもよい。この場合、変速機50は、オイルの温度が相対的に低温でオイル粘度が相対的に高い状態において、オイル戻し部52の接触面2が超撥油表面として作用することで、貯留部51へのオイルの戻り量を増加させ貯留部51のオイルの油面の高さの低下を抑制することができることから、ポンプ54bによる空気の吸い込みを防止することができると共に、暖機性能の低下を抑制することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る変速機50によれば、接触面2の接触角θが90°となる所定温度tは、40℃から60℃の範囲内に設定されることが好ましい。したがって、変速機50は、オイルの温度が40℃から60℃の範囲になった場合にオイル戻し部52における接触面2の接触角が90°となり、接触面2の撥油性と親油性とを切り替えることができる。この結果、変速機50は、例えば、オイルの低温時におけるポンプ54bによる空気の吸い込み防止及び暖機性能の低下抑制と、オイルの高温時におけるギヤ群55によるオイルの攪拌抵抗の増加抑制及びブリーザ機構59のブリーザ吹き抑制とを適正に両立することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る接触面加工物及び液体循環装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、液体はオイルであるものとして説明したがこれに限らない。つまり、本発明の接触面加工物は、液体としての水を用いる装置に適用してもよく、この場合、接触面加工物は、水の流れを装置の運転状態に応じて適正に調節することができる。また、接触面加工物は、液体循環装置に適用した場合について説明したがこれに限らない。
以上の説明では、液体循環装置は、変速機に適用した場合について説明したがこれに限らず、貯留部から供給対象部に供給された液体を液体戻し部により貯留部に戻し循環させる装置であればよく、運転状態に応じて貯留部の液面高さが変動しうる装置に適用すればよい。液体循環装置は、変速機としての自動変速機のほか、手動変速機や無段変速機に適用することもできる。また、液体循環装置は、変速機のほか、エンジンやパワーショベル、工作ロボット等、いわゆるウェットサンプ(wet sump)式の機械に適用することができる。
以上の説明では、接触面加工物は、液体戻し部(オイル戻し部52)に適用するものとして説明したがこれに限らず、液体戻し部(オイル戻し部52)以外の部分、例えば、供給部54の油路54aの内壁面などに適用してもよく、これにより供給対象部53に供給されるオイルの流れを変速機50の運転状態に応じて調節することができる。また、接触面加工物は、貯留部51の底面、すなわち、オイルパン58の底面などに適用してもよい。なお、以上で説明したように液体戻し部(オイル戻し部52)のみに接触面加工物を適用する場合、例えば、変速機50の製造コストを抑制することができる。また、接触面加工物は、必ずしも液体戻し部(オイル戻し部52)の全部に適用される必要はなく、少なくとも液体戻し部(オイル戻し部52)の一部に適用されればよい。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置を搭載した車両の概略構成図、図9は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置の概略構成図、図10は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置の温度とモータ効率との関係を表す線図、図11は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置のオイル温度と動粘度との関係を表す線図、図12は、本発明の実施形態2に係る接触面加工物が適用される駆動装置のオイル温度と接触角との関係を表す線図、図13は、接触面加工物が適用されない場合の駆動装置のオイル温度とモータ効率、機械効率との関係を表す線図である。
実施形態2に係る接触面加工物は、実施形態1に係る接触面加工物と略同様の構成であるが、上述した実施形態1の接触面加工物は液体循環装置に適用されたのに対して、実施形態2の接触面加工物は液体熱交換装置に適用される点で実施形態1の接触面加工物とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
以下の説明では、本実施形態の接触面加工物1は、液体を用いる装置として、図8、図9に示す液体熱交換装置としての駆動装置200に適用した場合で説明する。
本実施形態の駆動装置200は、図8に示すように、エンジントルクを発生する内燃機関ENG(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)とモータトルクを発生するモータMG1、MG2とを組み合わせて動力源とする、いわゆるハイブリッド車両200Aに適用、搭載される。
本実施形態の駆動装置200は、液体としてのオイルを用いる装置であり、液体としてのオイルと所定の各部とが熱交換する本発明の液体熱交換装置に相当する。すなわち、駆動装置200は、液体としてのオイルを装置の各部に接触させることでこのオイルにより駆動装置200の冷却が必要な箇所を冷却する。
ハイブリッド車両200Aは、原動機として、モータしての第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を含んで構成される駆動装置200と、内燃機関ENGとを搭載し、内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2が発生する動力が車輪201に伝達され、この車輪201が駆動輪として駆動することで走行する。
すなわち、このハイブリッド車両200Aは、内燃機関ENGに加えて第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2を動力源として備えた車両であって、内燃機関ENGを可及的に効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2で補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、内燃機関ENGによる排気ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両である。
内燃機関ENGと第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2とは、後述の動力分配統合機構210によって接続されている。この動力分配統合機構210は、内燃機関ENGの出力を第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2の一方と車輪201とに振り分けると共に、第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2の他方からの出力を車輪201に伝達し、また、ギヤ列220や車軸203介して車輪201に伝達される駆動力に関する変速機としても機能する。
内燃機関ENGは、要は、燃料を燃焼して生じる熱エネルギをトルクなどの機械的エネルギの形で出力する熱機関であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどがその一例である。
駆動装置200は、上述した第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2と、動力分配統合機構210と、ギヤ列220と、ケース230とを含んで構成される。
第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、電力が供給されて回転することによりトルクなどの機械的エネルギを出力する以外に、外力によって強制的に回転させられて起電力を生じるように構成されたものであり、永久磁石式の同期電動機がその一例である。第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、それぞれロータR1、R2と、ロータR1、R2の外周に設けられたステータS1、S2とを含んで構成される。ステータS1、S2は、例えば、三相の交流電力が供給されることで回転磁界を形成するものであり、例えば、後述するケース230の内壁面230aに固定されている。ロータR1、R2は、ステータS1、S2が形成する回転磁界に引き付けられて回転する回転子であり、それぞれ同心円上で一体になって回転する回転軸Ax1、Ax2が連結されている。
動力分配統合機構210は、内燃機関ENGが出力した動力を第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2のいずれか一方と出力側とに分割する作用をなすものであり、例えば、相互に差動回転する少なくとも3つの回転要素を備えた差動機構によって構成することができる。
ここでは、動力分配統合機構210は、内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の動力を分配、統合する遊星歯車機構を含んで構成され、この遊星歯車機構の3つの回転要素にそれぞれ内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2が接続されている。すなわち、動力分配統合機構210は、内燃機関ENGがダンパー202などを介して遊星歯車機構のプラネタリギヤ(あるいはキャリヤ)211に、第1モータジェネレータMG1のロータR1が回転軸Ax1を介して遊星歯車機構のサンギヤ212に、第2モータジェネレータMG2のロータR2が回転軸Ax2を介して遊星歯車機構のリングギヤ213にそれぞれ接続されている。つまり、内燃機関ENGは、この動力分配統合機構210に連結され、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、動力分配統合機構210に対して反力トルクを与え、あるいは出力するトルクをアシストするように、動力分配統合機構210との間でトルクを伝達するようになっている。
また、動力分配統合機構210は、リングギヤ213がギヤ列220にも接続され、ギヤ列220は、車軸203を介して車輪201に接続されている。
ギヤ列220は、複数のギヤにより動力を伝達するものであり、動力の伝達に伴って回転する回転体を含んで構成される。すなわち、ギヤ列220は、回転体である複数のギヤとして、例えば、カウンタドライブギヤ221、カウンタドリブンギヤ222、ファイナルドライブギヤ223、ファイナルドリブンギヤ224と、差動機構225と含んで構成される。カウンタドライブギヤ221は、上述したように動力分配統合機構210のリングギヤ213に連結されるものである。カウンタドリブンギヤ222は、カウンタドライブギヤ221に噛み合うものである。ファイナルドライブギヤ223は、カウンタドリブンギヤ222と連結されるものである。ファイナルドリブンギヤ224は、ファイナルドライブギヤ223に噛み合うものである。差動機構225は、ファイナルドリブンギヤ224に連結されるものであり、車軸203を介して車輪201が接続されている。差動機構225は、左右の車輪201の回転差を吸収するものである。
したがって、このように構成されるギヤ列220では、動力分配統合機構210により統合された内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の動力が、カウンタドライブギヤ221、カウンタドリブンギヤ222、ファイナルドライブギヤ223、ファイナルドリブンギヤ224を介し、その回転速度が変更されて差動機構225に伝達され、さらに差動機構225により左右に分配された動力が車軸203を介して車輪201に伝達される。
ケース230は、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分配統合機構210、ギヤ列220及び液体としてのオイルを内部に収容するものである。
上記のようにハイブリッド車両200Aの動力伝達系を構成することで、このハイブリッド車両200Aは、各内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の動力が車軸203などを介して車輪201に伝達され、車輪201が駆動輪として駆動することで走行することができる。
そして、ハイブリッド車両200Aは、走行状態に応じて内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の出力を制御することにより、各種モードによる走行を行うことができる。このモードは、例えば、内燃機関ENGまたは第2モータジェネレータMG2のどちらか一方で走行するモード、内燃機関ENGと第2モータジェネレータMG2を協調して走行するモード、また内燃機関ENGの出力の一部により第1モータジェネレータMG1で発電を行うモードなどである。さらに、減速時において、車輪201から入力されるハイブリッド車両200Aの運動エネルギにより第2モータジェネレータMG2で回生発電を行うことを許容するモードも含まれる。
ここで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、上述したように動力分配統合機構210、ギヤ列220と共にケース230に収容されている。そして、この駆動装置200は、ケース230内において、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分配統合機構210及びギヤ列220が回転動作すると、これらの機構から発生する熱がケース230の内部の温度を上昇させる。この温度上昇を防ぐため、以下に、ケース230を冷却する冷却装置204について図8を用いて説明する。
冷却装置204は、冷却ジャケット205と、ラジエータ206と、ポンプ207と、循環路208とを含んで構成される。
循環路208は、内部を冷却媒体(例えば、冷却水)が循環する経路である。循環路208は、冷却媒体の循環方向に沿って冷却ジャケット205、ラジエータ206、ポンプ207がこの順で設けられている。
冷却ジャケット205は、例えば、ケース230外側の側面に接するように設けられ、循環路208を介して供給される冷却媒体により、このケース230を冷却するものである。
ラジエータ206は、外気との熱交換により循環路208を循環する冷却媒体を冷却するものであり、例えばラジエータ206の本体部へ外気を強制的に送り出すラジエータファン(不図示)などを含んで構成される。
ポンプ207は、循環路208において冷却媒体を所定の循環方向に送り出すものである。
ここで、この駆動装置200は、上述したようにケース230の内部にオイルが収容されている。駆動装置200は、ケース230に収容され発熱量が比較的多い第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2にオイルを供給し、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2とオイルとが接触し熱交換を行うことで、この第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2を冷却する。なお、この駆動装置200は、このオイルを第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2以外にも動力分配統合機構210やギヤ列220などに供給し潤滑すると共に動力分配統合機構210、ギヤ列220とオイルとが接触し熱交換を行うことで、この動力分配統合機構210、ギヤ列220を冷却している。このように、駆動装置200は、オイルによりケース230内部の各部の冷却を行う。
そして、冷却装置204は、ポンプ207の動作により、冷却媒体が循環路208を流動することで、例えば、ラジエータ206から冷却ジャケット205に冷却媒体が送られ、この冷却媒体が駆動装置200のケース230と熱交換することで、このケース230が冷却される。そして、駆動装置200は、冷却されたケース230の内壁面230a側にて、ケース230内の気体やオイルとこの内壁面230aとが接触し熱交換を行うことで、ケース230内の気体やオイルが冷却される。このようにして、冷却装置204は、循環路208を循環する冷却媒体が駆動装置200のケース230自体の熱を除去し冷却することができ、これにより、駆動装置200は、このケース230の内壁面230aと接触する気体やオイルを冷却することができ、結果的に、このオイルと接触する第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分配統合機構210、ギヤ列220などを冷却することができる。
ここで、図9は、図8においてA−Aから見たときの駆動装置200の概略構成を示す断面図である。駆動装置200は、図9に示すように、ケース230外側の側面に冷却ジャケット205が接するように設けられている。駆動装置200は、ケース230の内壁面230aにおいて、冷却ジャケット205が接触したケース230の外面の部分の裏側の部分に相当する冷却壁面230bが冷却ジャケット205により最も冷却される部分となる。
本実施形態の駆動装置200は、図9において、ケース230の内部の略中央に第1モータジェネレータMG1が配置され、第1モータジェネレータMG1の右斜め上方にカウンタドリブンギヤ222が配置され、カウンタドリブンギヤ222の下方にファイナルドリブンギヤ224が配置されている。このケース230は、鉛直方向下側の底部がオイルを貯留する貯留部251として機能し、貯留部251は、第1モータジェネレータMG1及びファイナルドリブンギヤ224の一部が浸るようオイルを貯留している。この貯留部251に貯留されたオイルは、回転体としてのファイナルドリブンギヤ224が回転することでかきあげられる。
また、このケース230は、内部にファイナルドリブンギヤ224が回転することによりかきあげられたオイルを受け止めて上述の冷却壁面230bに誘導する誘導路252が設けられている。誘導路252は、その端部に、かきあげられたオイルを受け止める受止部252aを有している。そして、誘導路252は、ケース230の内部において、この受止部252aから冷却壁面230b近傍を介してケース230の底部に向けたオイル流路として形成される。これにより、駆動装置200は、例えば、図9に示すような矢印の向き(図9においてはファイナルドリブンギヤ224の回転中心に対して反時計回りの方向)に沿ってかきあげられたオイルは、誘導路252により誘導される。すなわち、かきあげられたオイルは、受止部252aに受け止められ、受け止められたオイルは、誘導路252により冷却壁面230bに誘導されケース230の底部の貯留部51に戻される。
上記のように構成される駆動装置200は、各内燃機関ENG、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の動力が動力分配統合機構210を介してギヤ列220に伝達されギヤ列220をなす各種ギヤが回転する。ここでは、駆動装置200は、ギヤ列220に含まれるファイナルドリブンギヤ224が回転することにより、ケース230の底部の貯留部51に貯留されたオイルがかきあげられる。かきあげられたオイルは、ケース230の内部にて第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分配統合機構210、ギヤ列220に向けて飛散し、各動作を潤滑にするとともに、それらから発生する熱を除去し、すなわち、各部を冷却する。また、かきあげられたオイルの一部は、ケース230の内壁面230aに接触、付着し熱交換することで冷却され、自重により貯留部51に戻される。また、かきあげられた際に受止部252aに受け止められたオイルは、誘導路252により冷却壁面230bに誘導される。誘導されたオイルは、を含むケース230の内壁面230aの一部をなす冷却壁面230bに接触して熱交換することで冷却され、誘導路252を通ってケース230の底部の貯留部51に戻される。駆動装置200は、ケース230の内壁面230aとオイルとが接触して熱交換することでこのオイルが冷却されるが、このとき、内壁面230aにおいて、冷却ジャケット205により最も冷却される部分となる冷却壁面230bにおける冷却効率が最もよくなることから、誘導路252によりこの冷却壁面230bにオイルを誘導することで、効果的にオイルを冷却することができる。
ところで、このような駆動装置200に用いられている第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、例えば図10に示すように、温度が上昇すると相対的にモータ効率が低下する傾向にある一方、温度が低下すると相対的にモータ効率が上昇する傾向にある。このため、この種の駆動装置200では、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2を冷却し相対的に低い温度にすることで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上することができる。一方、このような駆動装置200に用いられているオイルは、例えば図11に示すように、温度が上昇すると相対的に動粘度が低下し流動し易くなる傾向にある一方、温度が低下すると相対的に動粘度が増加し流動しにくくなる傾向にあり、例えば0℃以下で急激に動粘度が上昇する傾向にある。このため、この種の駆動装置200では、オイル温度が比較的に低温である状態ではオイルの動粘度が高くなくことで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各ロータR1、R2の回転に伴ったオイルのひきずり抵抗(回転抵抗)が相対的に増加し、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の回転効率が低下し、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率が低下するおそれがある。つまり、このような駆動装置200では、例えば、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上するために第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2を単純に冷却するだけでは、オイルの低温時に第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の回転効率すなわち機械効率の低下を招き、結果的に第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2全体での効率が低下するおそれがある。このため、この種の従来の駆動装置では、駆動装置の運転状態に応じてオイルと所定の各部との熱交換状態が適正に調節されることが望まれていた。
そこで、本実施形態の駆動装置200は、図8、図9に示すように、オイルが接触することでオイルと熱交換する熱交換部253の少なくとも一部に上述した接触面加工物1を適用することで、駆動装置200の運転状態に応じて、すなわち、駆動装置200の運転温度に応じて熱交換部253における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整し、オイルと熱交換部253との熱交換状態、言い換えれば冷却状態を駆動装置200の運転状態に応じて調節している。
熱交換部253は、駆動装置200においてオイルと接触して熱交換する部分であり、本実施形態では、少なくとも冷却壁面230bを含むケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を含んで構成される。すなわち、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、熱交換部253をなし、上述したようにオイルと接触して熱交換することで冷却される。ケース230の内壁面230aは、熱交換部253をなし上述したようにオイルと接触して熱交換することでこのオイルを冷却する。ここではさらに、熱交換部253は、動力分配統合機構210、ギヤ列220を含んで構成される。
そして、本実施形態の駆動装置200は、少なくとも熱交換部253の一部、ここでは冷却壁面230bを含むケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に接触面加工物1が適用される。具体的には、ケース230の内壁面230aは、その全面において接触面加工物1の接触面2がケース230の内部空間側に位置するように、すなわち、接触面2がオイルと接触する側に位置するように形成される。また、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、ロータR1、R2の表面において接触面加工物1の接触面2がステータS1、S2側に位置するように、すなわち、接触面2がオイルと接触する側に位置するように形成される。さらに言えば、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、回転軸Ax1、Ax2に直交する方向に対してステータS1、S2と対向するロータR1、R2の表面に接触面加工物1の接触面2が設けられる。
そして、本実施形態の駆動装置200は、接触面2のオイルとの接触角θが90°となる所定温度tが駆動装置200の運転温度の範囲内に設定される。ここで駆動装置200の運転温度の範囲は、例えば、−30〜120℃程度である。例えば、図13は、接触面加工物が適用されない場合の駆動装置のオイル温度とモータ効率、機械効率との関係を表す線図である。例えば図13に示すように、オイル温度が上昇するにつれて第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率(図13中線Aに図示)が低下する一方、オイルの動粘度が低下することで第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各ロータR1、R2の回転に伴ったオイルのひきずり抵抗(回転抵抗)が低下し第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率(図13中線Bに図示)が向上する。第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率は、例えば、オイル温度が−30℃程度のときにほぼ100%となり、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率は、例えば、オイル温度が120℃程度のときにほぼ100%となる。そして、図13に示す例では、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率とが交差するオイル温度は、およそ0〜40℃の範囲、例えば20℃程度に位置している。つまり、接触面加工物1を適用しない場合、駆動装置は、例えば、オイル温度が20℃より低い状態では、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率がモータ効率より効率が悪くなる傾向にあり、オイル温度が20℃より高い状態では、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率が機械効率より効率が悪くなる傾向にある。
そこで、本実施形態の接触面加工物1は、接触面2のオイルとの接触角θが90°となる所定温度tが0〜40℃例えば20℃程度に設定される。本実施形態の接触面加工物1は、表面膜5の表面処理剤として例えばパーフルオロオクチルエチルアクレレートを用いる(図3参照)。
上記にように構成される駆動装置200は、図12に示すように、駆動装置200の運転温度の変化に伴ってオイルの温度が変化することで、少なくとも熱交換部253の一部、ここでは、ケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面に適用された接触面加工物1の接触面2のオイルとの接触角θが変化する。そして、駆動装置200は、始動時などオイルの温度が20℃より低温である場合に接触角θ>90°となり接触面2が超撥油表面として作用可能である一方、オイルの温度が20℃より高温である場合に接触角θ<90°となり接触面2が超親油表面として作用可能であり、オイルの温度が20℃程度になった場合に接触角θ≒90°となり、接触面2の撥油性と親油性とが切り替わる。
この結果、駆動装置200は、始動時などオイルの温度が20℃より低温である場合に接触面2が超撥油表面として作用することで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2にてオイルがはじきやすくなり、接触面2と接触して流れるオイルの流れが比較的に速くなり、すなわち、オイルが流れやすくなる。これにより、駆動装置200は、例えば、オイルの温度が0℃程度の低温でありオイルの動粘度が相対的に高い状態であっても、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2が超撥油表面として作用しオイルが流れやすくなり、すなわち、オイルをはじきやすくなることで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各ロータR1、R2の回転に伴ったオイルのひきずり抵抗(回転抵抗)を抑制することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の回転効率の低下を抑制することができ、よって、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率の低下を抑制することができる。この場合、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、オイルによる冷却効率が若干低下することでモータ効率が若干低下するものの、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率の低下の抑制量の方が相対的に大きくなるので、結果的に駆動装置200は、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率との合計での効率を向上することができる。つまり、駆動装置200は、オイルの温度が低温である場合での第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率とを両立することができる。またこのとき、駆動装置200は、ケース230の内壁面230aの接触面2が超撥油表面として作用しオイルが流れやすくなり、すなわち、オイルをはじきやすくなることで、ケース230の内壁面230aにおけるオイルの冷却効率が低下するため、ケース230内のオイルの温度は、早期に動粘度が比較的小さくなる所定の温度まで上昇する。
そして、駆動装置200は、ケース230内のオイルの温度が所定の温度まで上昇し例えば20℃より高温となった場合に接触面2が超親油表面として作用することで、ケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2にてオイルが付着し易くなり、接触面2と接触して流れるオイルの流れが比較的に遅くなり、すなわち、オイルが流れにくくなる。これにより、駆動装置200は、ケース230の内壁面230aの接触面2にオイルが付着しやすくなることでケース230の内壁面230aにおけるオイルの冷却効率が向上することができると共に、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2にオイルが付着しやすくなることでこのオイルによる第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の冷却効率も向上することができる。この結果、駆動装置200は、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の冷却効率が向上することで第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上することができる。またこのとき、オイルの動粘度は、既に十分に低下していることから、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各ロータR1、R2の回転に伴ったオイルのひきずり抵抗(回転抵抗)による機械効率の低下はほとんどないので、結果的に駆動装置200は、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率との合計での効率を向上することができる。
したがって、駆動装置200は、接触面加工物1を少なくとも熱交換部253の一部に適用することで、駆動装置200の運転状態に応じて、すなわち、駆動装置200の運転温度に応じて熱交換部253における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができ、オイルと熱交換部253との熱交換状態、言い換えれば冷却状態を駆動装置200の運転状態に応じて調節することができる。そして、駆動装置200は、熱交換部253の一部として、ケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面に接触面加工物1が適用されることで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率とを両立することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係る接触面加工物1によれば、液体(ここでオイル)を用いる装置(ここで駆動装置200)の液体との接触面2であって液体との接触角θが装置の運転温度に応じて変化すると共に、接触角θが90度となる所定温度tが運転温度の範囲内に設定される接触面2を有する。したがって、接触面加工物1は、接触面加工物1が適用される装置の運転状態に応じて、すなわち、接触面加工物1が適用される装置の運転温度に応じて接触面2の撥水性(撥油性)と親水性(親油性)とが切り替わることから、接触面2に接触して流れる液体の流れを装置の運転状態に応じて適正に調整することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係る駆動装置200によれば、接触面加工物1と、オイルが接触することでこのオイルと熱交換する熱交換部253とを備え、接触面加工物1は、少なくとも熱交換部253の一部に適用される。したがって、駆動装置200は、接触面加工物1を少なくとも熱交換部253の一部に適用することで、駆動装置200の運転状態に応じて、すなわち、駆動装置200の運転温度に応じて熱交換部253における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができるので、オイルと熱交換部253との熱交換状態、言い換えれば冷却状態を駆動装置200の運転状態に応じて適正に調節することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る駆動装置200によれば、ロータR1、R2とこのロータR1、R2の外周に設けられたステータS1、S2とを有する第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2と、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2及びオイルを収容するケース230とを備え、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2は、熱交換部253をなしオイルと接触して熱交換することで冷却され、ケース230の内壁面230aは、熱交換部253をなしオイルと接触して熱交換することでこのオイルを冷却し、接触面加工物1は、少なくともケース230の内壁面230a及びロータR1、R2に適用されるようにしてもよい。この場合、駆動装置200は、熱交換部253の一部をなすケース230の内壁面230a及びロータR1、R2に接触面加工物1が適用されることで、このケース230の内壁面230a及びロータR1、R2を流れるオイルの流れを駆動装置200の運転温度に応じて適正に調整することができ、オイルとケース230の内壁面230a、ロータR1、R2との熱交換状態、言い換えれば冷却状態を駆動装置200の運転状態に応じて適正に調節することができる。そして、駆動装置200は、オイルの温度が相対的に低温である状態において、ケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2が超撥油表面として作用することで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各ロータR1、R2の回転に伴ったオイルのひきずり抵抗(回転抵抗)を抑制することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の機械効率の低下を抑制することができる。また、駆動装置200は、オイルの温度が相対的に高温である状態において、ケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2の表面の接触面2が超親油表面として作用することで、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の冷却効率を向上することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上することができる。この結果、駆動装置200は、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率とを両立することができる。
また、以上で説明した本発明の実施形態に係る駆動装置200によれば、接触面2の接触角θが90°となる所定温度tは、0℃から40℃の範囲内に設定されることが好ましい。したがって、駆動装置200は、オイルの温度が0℃から40℃の範囲になった場合に、少なくとも熱交換部253の一部における接触面2の接触角が90°となり、接触面2の撥油性と親油性とを切り替えることができる。この結果、駆動装置200は、例えば、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率と機械効率とを適正に両立することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る接触面加工物及び液体熱交換装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、接触面加工物1は、ケース230の内壁面230aの全面に適用されるものとして説明したが、少なくともケース230内に設けられハイブリッド車両200Aの車輪201に動力を伝達する回転体、上述の説明では、ファイナルドリブンギヤ224の回転によりかきあげられるオイルのかきあげ方向の下流側のケース230の内壁面230aに適用するようにしてもよい。すなわち、駆動装置200は、図9に示すように、ケース230の内壁面230aにおいて、少なくともオイルのかきあげ方向の下流側の壁面である下流側壁面230cに接触面加工物1を適用するようにしてもよい。下流側壁面230cは、例えば、ケース230の内壁面230aにおいて、冷却壁面230bを含む壁面であって、上述した誘導路252に面する部分の壁面である。駆動装置200は、ケース230の内壁面230aにおいて、下流側壁面230cのみに接触面加工物1を適用する場合であっても、オイルの温度が相対的に高温である状態において、かきあげられたオイルが付着し易い下流側壁面230cの接触面2が超親油表面として作用することで、下流側壁面230cに付着したオイルの冷却効率を向上することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の冷却効率を向上することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上することができる。またこの場合、ケース230の内壁面230aにおいて、接触面加工物1を適用する領域を比較的小さくすることができるので、例えば、駆動装置200の製造コストを抑制することができる。
さらに、駆動装置200は、ケース230の内壁面230aにおいて、冷却壁面230bのみに接触面加工物1を適用するようにしてもよい。駆動装置200は、この場合であっても、冷却ジャケット205により最も冷却される部分となる冷却壁面230bの接触面2が超親油表面として作用することで、冷却壁面230bにおけるオイルの冷却効率を向上することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の冷却効率を向上することができ、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2のモータ効率を向上することができる。またこの場合、ケース230の内壁面230aにおいて、接触面加工物1を適用する領域をさらに小さくすることができるので、例えば、駆動装置200の製造コストをさらに抑制することができる。
以上の説明では、液体熱交換装置としての駆動装置200は、ケース230が冷却装置204により冷却されるものとして説明したがこれに限らず、いわゆる空冷式の冷却構造としてもよい。
以上の説明では、液体熱交換装置としての駆動装置200は、回転体としてのファイナルドリブンギヤ224が回転することでオイルをかきあげてケース230の各部にオイルを供給するものとして説明したが、他の回転体が回転することでオイルをかきあげてオイルを供給する構成であってもよいし、また、ポンプと油路によりオイルを供給する構成であってもよい。
以上の説明では、接触面加工物は、少なくとも熱交換部253の一部として、冷却壁面230bを含むケース230の内壁面230a、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2のロータR1、R2に接触面加工物1が適用されるものとして説明したがこれに限らず熱交換部253の全部、すなわち、動力分配統合機構210、ギヤ列220にも適用してもよい。この場合でも、駆動装置200の運転状態に応じて、すなわち、駆動装置200の運転温度に応じて熱交換部253における接触面2に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができるので、オイルと熱交換部253との熱交換状態、言い換えれば冷却状態を駆動装置200の運転状態に応じて適正に調節することができる。
以上の説明では、液体はオイルであるものとして説明したがこれに限らない。つまり、本発明の接触面加工物は、液体としての水を用いる装置に適用してもよく、この場合、接触面加工物は、水の流れを装置の運転状態に応じて適正に調節することができる。また、接触面加工物は、液体熱交換装置に適用した場合について説明したがこれに限らない。
以上の説明では、液体熱交換装置は、駆動装置に適用した場合について説明したがこれに限らず、熱交換部に液体が接触することで液体と熱交換する装置であればよい。液体熱交換装置は、例えば、上述した冷却装置204に適用してもよい。すなわち、冷却装置204の冷却水と接触する部分に接触面加工物を適用してもよい。なお、実施形態1で説明した液体循環装置も同様に冷却装置204に適用してもよい。
以上の説明では、駆動装置200は、本発明の液体熱交換装置であるものとして説明したが、接触面2の接触角θが90度となる所定温度tを適切に設定することで、本発明の液体循環装置としても用いることができる。この場合、駆動装置200は、貯留部251が本発明の貯留部に相当し、誘導路252やケース230の内壁面230aが本発明の液体戻し部に相当する。そして、駆動装置200は、例えば、これらに接触面加工物1を適用することで、駆動装置200の運転状態に応じて、すなわち、駆動装置200の運転温度に応じて液体戻し部をなす誘導路252やケース230の内壁面230aにおける接触面に接触して流れるオイルの流れを適正に調整することができるので、貯留部251のオイルの油面の高さを駆動装置200の運転状態に応じて適正な高さに調節することもできる。同様に、以上の説明では、変速機50は、本発明の液体循環換装置であるものとして説明したが、接触面2の接触角θが90度となる所定温度tを適切に設定することで、本発明の液体熱交換装置としても用いることができる。
以上のように、本発明に係る接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置は、装置の運転状態に応じて液体の流れを調節することができるものであり、種々の接触面加工物、液体循環装置及び液体熱交換装置に適用して好適である。
1 接触面加工物
2 接触面
3 本体部
4 凹凸部
5 表面膜
50 変速機(液体循環装置)
50A 車両
51 貯留部
52 オイル戻し部(液体戻し部)
53 供給対象部
53a 被潤滑部
53b 制御対象部
54 供給部
54a 油路
54b ポンプ(圧送手段)
54c 油圧制御回路部
54d ストレーナ
55 ギヤ群
55a、55b、55c、55d ギヤ(回転体)
56 ケース
56a、57a、58a 内壁面
57 トランスミッションケース
58 オイルパン
59 ブリーザ機構
200 駆動装置(液体熱交換装置)
200A ハイブリッド車両
204 冷却装置
210 動力分配統合機構
220 ギヤ列
221 カウンタドライブギヤ(回転体)
222 カウンタドリブンギヤ(回転体)
223 ファイナルドライブギヤ(回転体)
224 ファイナルドリブンギヤ(回転体)
225 差動機構
230 ケース
230a 内壁面
230b 冷却壁面
230c 下流側壁面
251 貯留部
252 誘導路
253 熱交換部
Ax1、Ax2 回転軸
ENG 内燃機関
MG1 第1モータジェネレータ(モータ)
MG2 第2モータジェネレータ(モータ)
R1、R2 ロータ
S1、S2 ステータ
θ 接触角

Claims (10)

  1. 液体を用いる装置の当該液体との接触面であって前記液体との接触角が前記装置の運転温度に応じて変化すると共に、前記接触角が90度となる所定温度が前記運転温度の範囲内に設定される接触面を有することを特徴とする、
    接触面加工物。
  2. 請求項1に記載の接触面加工物と、
    前記液体が貯留された貯留部と、
    前記貯留部から供給対象部に供給された前記液体を当該貯留部に戻す液体戻し部とを備え、
    前記接触面加工物は、少なくとも前記液体戻し部の一部に適用されることを特徴とする、
    液体循環装置。
  3. 車両の車輪に動力を伝達する回転体と、
    前記回転体を内部に収容すると共に前記貯留部が内部の底部に設けられるケースとを備え、
    前記ケースの内壁面は、前記液体戻し部をなす、
    請求項2に記載の液体循環装置。
  4. 前記ケースの内部の気体を前記液体と分離して前記ケースの外部に排出するブリーザ機構を備える、
    請求項3に記載の液体循環装置。
  5. 前記貯留部に貯留された前記液体を吸引し前記供給対象部に圧送する圧送手段を備える、
    請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体循環装置。
  6. 前記所定温度は、40℃から60℃の範囲内に設定される、
    請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体循環装置。
  7. 請求項1に記載の接触面加工物と、
    前記液体が接触することで当該液体と熱交換する熱交換部とを備え、
    前記接触面加工物は、少なくとも前記熱交換部の一部に適用されることを特徴とする、
    液体熱交換装置。
  8. ロータと当該ロータの外周に設けられたステータとを有するモータと、
    前記モータ及び前記液体を収容するケースとを備え、
    前記モータは、前記熱交換部をなし前記液体と接触して熱交換することで冷却され、
    前記ケースの内壁面は、前記熱交換部をなし前記液体と接触して熱交換することで当該液体を冷却し、
    前記接触面加工物は、少なくとも前記ケースの内壁面及び前記ロータに適用される、
    請求項7に記載の液体熱交換装置。
  9. 前記接触面加工物は、前記ケース内に設けられ車両の車輪に動力を伝達する回転体の回転によりかきあげられる前記液体のかきあげ方向の下流側の前記ケースの内壁面に適用される、
    請求項8に記載の液体熱交換装置。
  10. 前記所定温度は、0℃から40℃の範囲内に設定される、
    請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の液体熱交換装置。
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