ところで、従来のディーゼル機関の制御装置にあっては、ディーゼル機関の減速運転中に、吸気絞り弁が、触媒温度の低下を抑制するための開度に制御されている状態で、EGR装置の異常診断が行われる。ここで、EGR弁が略全閉にて固着していたり、EGR通路が詰まっていたりしており、EGR通路での排気の流通面積がかなり小さくなっている場合などのように、EGR装置の異常の度合が大きい場合であれば、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMが正常時に対して十分に小さくなることから、異常診断をある程度は精度よく行うことができる。
しかしながら、例えばEGR弁の作動不良が生じてその作動範囲が、全閉から、全閉と全開との中間の開度までに制限されている場合や、EGR弁は正常であるもののEGR通路の詰まりにより、同EGR通路での排気の流通面積が半分程度となっている場合などのように、EGR装置の異常の度合が比較的小さい場合には、以下の理由から異常診断を精度よく行うことができない。すなわちこの場合、異常が生じている場合と正常である場合とでのEGR弁の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMの乖離度合が小さいものとなる。しかも、吸気管圧力PIMは常に変動することから、その変化量ΔPIMも常に変動することとなる。そのため、EGR装置に上記異常が生じている場合と正常である場合とで上記吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMに有意な差が生じにくくなる。その結果、EGR装置に異常が生じているにもかかわらず正常であると診断されたり、EGR装置が正常であるにもかかわらず異常であると診断されたりして、EGR装置の異常診断を精度よく行うことができない。
尚、こうした問題は、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化量に基づいてEGR装置の異常の有無を診断するものに限られるものではなく、EGR弁の開閉にともなう吸入空気量の変化量を機関回転速度で除した除算値を求め、その除算値の変化量に基づいてEGR装置の異常の有無を診断するものにおいても、概ね共通して生じ得るものである。また、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化量や上記除算値の変化量に基づいてEGR装置の異常の有無を診断するものだけではなく、要するにEGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合或いは上記除算値の変化度合に基づいてEGR装置の異常の有無を診断するものであれば、概ね共通して生じ得るものである。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、EGR装置の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことのできるディーゼル機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、吸気通路に設けられて吸気の流通面積を可変とする吸気絞り弁と、排気通路に設けられて排気を浄化する排気浄化触媒と、排気通路から吸気通路に排気を導入するためのEGR通路及び同通路に設けられて排気の流通面積を可変とするEGR弁からなるEGR装置とを備えるディーゼル機関に適用されて、ディーゼル機関の減速運転中に前記排気浄化触媒の温度を制御すべく前記吸気絞り弁の開度を制御する吸気絞り弁制御手段と、ディーゼル機関の減速運転中に前記EGR弁を強制的に開閉するとともに当該開閉にともなう吸気管圧力の変化度合に基づいて前記EGR装置の異常の有無を診断する診断手段と、を備えるディーゼル機関の制御装置において、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更する強制変更手段を備えることをその要旨としている。
同構成によれば、EGR装置の異常の有無を診断するに際して、吸気絞り弁が、排気浄化触媒の温度を制御すべく吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度とされる。ここで、吸気絞り弁の開度を閉じ側にするほど、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合は大きなものとなる。このため、吸気絞り弁を吸気絞り弁制御手段により制御される開度のままでEGR装置の診断を行う場合に比べて、EGR装置に異常が生じている場合と正常である場合とでの吸気管圧力の変化度合の乖離度合を大きなものとすることができる。従って、EGR装置の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、吸気通路に設けられて吸気の流通面積を可変とする吸気絞り弁と、排気通路に設けられて排気を浄化する排気浄化触媒と、排気通路から吸気通路に排気を導入するためのEGR通路及び同通路に設けられて排気の流通面積を可変とするEGR弁からなるEGR装置とを備えるディーゼル機関に適用されて、ディーゼル機関の減速運転中に前記排気浄化触媒の温度を制御すべく前記吸気絞り弁の開度を制御する吸気絞り弁制御手段と、ディーゼル機関の減速運転中に前記EGR弁を強制的に開閉するとともに当該開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合に基づいて前記EGR装置の異常の有無を診断する診断手段と、を備えるディーゼル機関の制御装置において、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更する強制変更手段を備えることをその要旨としている。
同構成によれば、EGR装置の異常の有無を診断するに際して、吸気絞り弁が、排気浄化触媒の温度を制御すべく吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度とされる。ここで、吸気絞り弁の開度を開き側にするほど、EGR弁の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合は大きなものとなる。このため、吸気絞り弁を吸気絞り弁制御手段により制御される開度としたままでEGR装置の診断を行う場合に比べて、EGR装置に異常が生じている場合と正常である場合とでの単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合の乖離度合を大きなものとすることができる。従って、EGR装置の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は前記排気浄化触媒の状態に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度の強制的な変更を行うと、これにともない例えば排気浄化触媒の温度、劣化度合、排気に含まれる粒子状物質の堆積量等といった排気浄化触媒の状態に影響を及ぼすこととなる。この点、上記構成によれば、こうした排気浄化触媒の状態を加味することにより、吸気絞り弁の開度の変更態様を的確に設定することができるようになる。
(4)請求項3に記載の発明は、請求項4に記載の発明によるように、前記強制変更手段は前記排気浄化触媒の温度に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定するといった態様をもって具体化することができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更するものであり、前記排気浄化触媒の温度が低いときには高いときに比べて前記吸気絞り弁の開度を閉じ側に設定することをその要旨としている。
通常、吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも閉じ側にすると、排気浄化触媒に流入する空気の量が減少することで排気浄化触媒の温度が低下しにくくなる。上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が比較的低いときには吸気絞り弁の開度が比較的閉じ側に設定されることから、ディーゼル機関の減速運転時における排気浄化触媒の温度の低下を好適に抑制しつつ、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合を一層大きなものとすることができる。従って、EGR装置の異常診断の精度を一層向上させることができるようになる。
一方、排気浄化触媒の温度が比較的高いときに吸気絞り弁の開度を過度に閉じ側にすると、排気浄化触媒の温度が過度に上昇して排気浄化触媒の劣化が進行するおそれがある。
この点、上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が比較的高いときには吸気絞り弁の開度が比較的開き側に設定されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して排気浄化触媒の温度が過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒の劣化が進行することを抑制することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更するものであり、前記排気浄化触媒の温度が所定温度を上回っているときには、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更を禁止することをその要旨としている。
排気浄化触媒の温度がある程度高い状態において吸気絞り弁の開度を過度に閉じ側にすると、排気浄化触媒の温度が過度に上昇して排気浄化触媒の劣化が進行するおそれがある。
この点、上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が所定温度を上回っているときには、吸気絞り弁の開度の強制的な変更が禁止されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して排気浄化触媒の温度が過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒の劣化が進行することを回避することができるようになる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項4に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更するものであり、前記排気浄化触媒の温度が高いときには低いときに比べて前記吸気絞り弁の開度を開き側に設定することをその要旨としている。
通常、吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも開き側にすると、排気浄化触媒に流入する空気の量が増加することで排気浄化触媒の温度が低下しやすくなる。上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が比較的高いときには吸気絞り弁の開度が比較的開き側に設定されることから、EGR弁の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合を一層大きなものとすることができる。しかも、排気浄化触媒の温度が比較的高いことから、吸気絞り弁の開度を強制的に開き側に変更しても、排気浄化触媒の温度が過度に低下することはない。従って、EGR装置の異常診断の精度を一層向上させることができるようになる。
一方、排気浄化触媒の温度が比較的低いときに吸気絞り弁の開度を過度に開き側にすると、排気浄化触媒の温度が過度に低下して排気浄化触媒を通じての排気浄化効率が低下するおそれがある。
この点、上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が比較的低いときには吸気絞り弁の開度が比較的閉じ側に設定されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒の温度が過度に低下すること、ひいては排気浄化触媒を通じての排気浄化効率が低下することを抑制することができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項4又は請求項7に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更するものであり、前記排気浄化触媒の温度が所定温度を下回っているときには、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更を禁止することをその要旨としている。
通常、吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも開き側にすると、排気浄化触媒に流入する空気の量が増加することで排気浄化触媒の温度が低下しやすくなる。このため、排気浄化触媒の温度がある程度低いときに吸気絞り弁の開度を過度に開き側にすると、排気浄化触媒の温度が過度に低下して排気浄化触媒を通じての排気浄化効率が過度に低下するおそれがある。
この点、上記構成によれば、排気浄化触媒の温度が所定温度を下回っているときには、吸気絞り弁の開度の強制的な変更が禁止されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒の温度が過度に低下すること、ひいては排気浄化触媒を通じての排気浄化効率が過度に低下することを回避することができるようになる。
(9)請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載の発明は、請求項9に記載の発明によるように、前記排気浄化触媒に対して昇温剤を供給する昇温剤供給手段を備えてなり、前記強制変更手段は前記昇温剤供給手段の制御状態に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定するといった態様をもって具体化することができる。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は前記昇温剤供給手段により前記排気浄化触媒を昇温させているときには、そうでないときに比べて前記吸気絞り弁の開度を閉じ側に設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも閉じ側にする構成にあっては、吸気絞り弁の開度の強制的な変更にともない排気浄化触媒に流入する空気の量が減少することから、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときに吸気絞り弁の開度の強制変更を行うと、排気浄化触媒の昇温が促進されるようになる。上記構成によれば、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときには、排気浄化触媒の昇温を好適に促進させつつ、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合を一層大きなものとすることができる。従って、EGR装置の異常診断の精度を一層向上させることができるようになる。
一方、吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも開き側にする構成にあっては、吸気絞り弁の開度の強制的な変更にともない排気浄化触媒に流入する空気の量が増加することから、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときに吸気絞り弁の開度の強制変更を行うと、排気浄化触媒の昇温が好適に進行しなくなるおそれがある。
この点、上記構成によれば、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときには、そうでないときに比べて吸気絞り弁の開度が閉じ側に設定されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒の昇温が好適に進行しなくなることを抑制することができるようになる。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項9に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更するものであり、前記昇温剤供給手段により前記排気浄化触媒を昇温させているときには、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更を禁止することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を制御手段により制御される開度よりも開き側にする構成にあっては、吸気絞り弁の開度の強制的な変更にともない排気浄化触媒に流入する空気の量が増加することから、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときに吸気絞り弁の開度の強制変更を行うと、排気浄化触媒の昇温が好適に進行しなくなるおそれがある。
この点、上記構成によれば、昇温剤供給手段の制御を通じて排気浄化触媒を昇温させているときには、吸気絞り弁の開度の強制的な変更が禁止されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒の昇温が好適に進行しなくなることを回避することができるようになる。
(12)請求項3〜請求項11のいずれか一項に記載の発明は、請求項12に記載の発明によるように、前記排気浄化触媒に堆積している粒子状物質の量を推定する堆積量推定手段を備え、前記強制変更手段は前記堆積量推定手段により推定される前記粒子状物質の堆積量に基づいて前記吸気絞り弁の開度を設定するといった態様をもって具体化することができる。
(13)請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記診断手段による診断に際して、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更するものであり、前記堆積量推定手段により推定される前記粒子状物質の堆積量が所定量を上回り、且つ前記排気浄化触媒の温度が所定温度を上回るときには、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更を禁止することをその要旨としている。
通常、排気浄化触媒に堆積している粒子状物質の量がある程度多い状態であって、且つ排気浄化触媒の温度がある程度高い状態においては、排気浄化触媒の温度が過度に上昇することを抑制すべく同排気浄化触媒に流入する空気を調節して排気浄化触媒を冷却するように吸気絞り弁の開度が制御される。このとき、吸気絞り弁の開度を強制的に閉じ側に変更することにより排気浄化触媒に流入する空気の量が過度に少なくなると、排気浄化触媒の温度が過度に上昇することとなり、排気浄化触媒の劣化が進行するおそれがある。
この点、上記構成によれば、推定される粒子状物質の堆積量が所定量を上回り、且つ排気浄化触媒の温度が所定温度を上回るときには、吸気絞り弁の開度の強制的な変更が禁止される。これにより、吸気絞り弁の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して排気浄化触媒の温度が過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒の劣化が進行することを回避することができるようになる。
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段はディーゼル機関の外部環境の状態に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を閉じ側にするほど、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合は大きなものとなる。また、吸気絞り弁の開度を開き側にするほど、EGR弁の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合は大きなものとなる。ただし、吸気絞り弁の開度と上記吸気管圧力の変化度合との関係や、吸気絞り弁の開度と上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合との関係は、例えば外気温や大気圧といったディーゼル機関の外部環境の状態によって異なるものとなる。従って、上記構成によれば、吸気絞り弁の開度を強制的に変更するに際して、吸気絞り弁の目標開度を的確に設定することができるようになる。
(15)請求項14に記載の発明は、請求項15に記載の発明によるように、ディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は外気温に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定するといった態様をもって具体化することができる。
(16)請求項16に記載の発明は、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は機関回転速度に基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を閉じ側にするほど、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合は大きなものとなる。また、吸気絞り弁の開度を開き側にするほど、EGR弁の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合は大きなものとなる。ただし、吸気絞り弁の開度と上記吸気管圧力の変化度合との関係や、吸気絞り弁の開度と上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合との関係は、機関回転速度によって異なるものとなる。従って、上記構成によれば、吸気絞り弁の開度を強制的に変更するに際して、吸気絞り弁の目標開度を的確に設定することができるようになる。
(17)請求項17に記載の発明は、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更にともない発生する異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさを予め推定するとともに、該推定された異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさが許容範囲の上限値を上回る場合には、前記吸気絞り弁の開度の強制的な変更を禁止することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を強制的に変更すると、これにともない発生する異音や衝撃が問題となるおそれがある。
この点、上記構成によれば、吸気絞り弁の開度の強制的な変更にともない発生する異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさを予め推定するとともに、該推定された異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさが許容範囲の上限値を上回る場合には、吸気絞り弁の開度の強制的な変更が禁止される。これにより、吸気絞り弁の開度の強制的な変更に起因して問題となる異音や衝撃が生じることを回避することができるようになる。
(18)請求項18に記載の発明は、請求項17に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は、機関運転状態に基づいて前記許容範囲の上限値を設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさが同一であっても、それ以外の要因により生じる異音や衝撃が大きいときほど、該吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響は小さくなる。上記構成によれば、機関運転状態に基づいて上記許容範囲の上限値が設定されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響の大きさに応じて上限値を的確に設定することができるようになる。
(19)請求項19に記載の発明は、請求項17又は請求項18に記載のディーゼル機関の制御装置において、ディーゼル機関は車両に搭載されてなり、前記強制変更手段は、車両の走行状態に基づいて前記許容範囲の上限値を設定することをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさが同一であっても、それ以外の要因により生じる異音や衝撃が大きいときほど、該吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響は小さくなる。上記構成によれば、車両の走行状態に基づいて上記許容範囲の上限値が設定されることから、吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響の大きさに応じて上限値を的確に設定することができるようになる。
(20)請求項20に記載の発明は、吸気通路に設けられて吸気の流通面積を可変とする吸気絞り弁と、排気通路に設けられて排気を浄化する排気浄化触媒と、排気通路から吸気通路に排気を導入するためのEGR通路及び同通路に設けられて排気の流通面積を可変とするEGR弁からなるEGR装置とを備えるディーゼル機関に適用されて、ディーゼル機関の減速運転中に前記排気浄化触媒の温度を制御すべく前記吸気絞り弁の開度を制御する吸気絞り弁制御手段と、ディーゼル機関の減速運転中に前記EGR弁を強制的に開閉するとともに当該開閉にともなう吸気管圧力の変化度合及び単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合のいずれか一方に基づいて前記EGR装置の異常の有無を診断する診断手段と、を備えるディーゼル機関の制御装置において、前記診断手段により吸気管圧力の変化度合に基づく診断を行うに際しては、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更する一方、前記診断手段により単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合に基づく診断を行うに際しては、前記吸気絞り弁を、前記吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更する強制変更手段を備え、前記強制変更手段は、前記排気浄化触媒の状態、ディーゼル機関の外部環境の状態、及び機関運転状態の少なくとも一つに基づいて前記吸気絞り弁の開度の変更態様を設定することをその要旨としている。
同構成によれば、EGR装置の異常の有無を診断するに際して、該診断が吸気管圧力の変化度合に基づくものである場合には、吸気絞り弁が、排気浄化触媒の温度を制御すべく吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度とされる。ここで、吸気絞り弁の開度を閉じ側にするほど、EGR弁の開閉にともなう吸気管圧力の変化度合は大きなものとなる。一方、該診断が単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合に基づくものである場合には、吸気絞り弁が、排気浄化触媒の温度を制御すべく吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度とされる。ここで、吸気絞り弁の開度を開き側にするほど、EGR弁の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合は大きなものとなる。これらのことから、吸気管圧力の変化度合に基づく診断及び単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合に基づく診断のいずれの診断態様を行う場合であれ、吸気絞り弁を吸気絞り弁制御手段により制御される開度としたままでEGR装置の診断を行う場合に比べて、EGR装置に異常が生じている場合と正常である場合とでの吸気管圧力の変化度合或いは単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合の乖離度合を大きなものとすることができる。しかも、上記構成によれば、排気浄化触媒の状態、ディーゼル機関の外部環境の状態、機関運転状態の少なくとも一つを加味することにより、吸気絞り弁の開度の変更方向や変更量といった吸気絞り弁の開度の変更態様を的確に設定することができるようになる。従って、EGR装置の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるようになる。
(21)請求項21に記載の発明は、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載のディーゼル機関の制御装置において、前記強制変更手段は前記吸気絞り弁の開度を強制的に変更する際に、同吸気絞り弁の開度を徐変させることをその要旨としている。
吸気絞り弁の開度を強制的に変更する際に、これを急激に行うと、これにともない発生する異音や衝撃が問題となるおそれがある。
この点、上記構成によれば、吸気絞り弁の開度を強制的に変更する際に、吸気絞り弁の開度が徐変されるため、吸気絞り弁の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさを小さく抑えることができるようになる。
<第1実施形態>
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係るディーゼル機関の制御装置を、車載ディーゼル機関10の制御装置として具体化した第1実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るディーゼル機関10及びこれを制御する電子制御装置50の概略構成を示す。
同図に示すように、ディーゼル機関10は、機関本体11、吸気通路21、及び排気通路31を備えて構成されている。吸気通路21には、同通路21の吸気の流通面積を可変として吸気を調量するための吸気絞り弁22が設けられている。吸気絞り弁22はモータ(図示略)により駆動されるものである。吸気絞り弁22の作動制御では、機関運転状態に応じてモータの作動が制御されて吸気絞り弁22の開度TAが制御されることで、吸気通路21を通じて機関本体11の燃焼室12に導入される吸気の流量(以下、「吸入空気量」)GAが調節される。また、機関本体11には、燃焼室12に燃料を直接噴射するための燃料噴射弁13が設けられている。そして、吸気絞り弁22により調量されて燃焼室12に供給される空気と、燃料噴射弁13から噴射された燃料とが混合され、こうして混合された混合気が燃焼室12にて燃焼に供される。そして、この燃焼による膨張エネルギにより機関出力軸(図示略)が回転駆動され、これにより車両の駆動輪が回転駆動される。また、燃焼室12における燃焼により発生した排気は排気通路31へと排出され、同通路31に設けられた排気浄化触媒32を通過する際に浄化されるようになっている。ここで、排気浄化触媒32は、排気中の粒子状物質(Particulate Matter、以下、「PM」)を捕集するフィルタ32aを含んで構成されている。フィルタ32aは、セラミクス等からなる多孔質の隔壁に排気を通過させて排気中のPMを捕集するものとなっている。フィルタ32aには、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されており、このNOx触媒が活性化状態とされると、このNOx触媒によって触発される反応を通じて、上記捕集されたPMが燃焼(酸化)除去されるようになっている。
ディーゼル機関10には、排気の一部を吸気通路21に導入するためのEGR装置40が設けられている。EGR装置40は、吸気通路21において吸気絞り弁22よりも下流側の部分と排気通路31において排気浄化触媒32よりも上流側の部分とを連通するEGR通路41及び同EGR通路41の途中に設けられて排気の流通面積を可変とするEGR弁42を備えている。EGR弁42はステップモータ(図示略)により駆動されるものである。EGR弁42の作動制御(以下、「EGR制御」)では、機関運転状態に応じてステップモータの作動が制御されてEGR弁42の開度(以下、「EGR開度」)が制御されることで、EGR通路41を通じて吸気通路21に導入される排気の流量(以下、「EGR量」)が調節される。
ディーゼル機関10を制御する電子制御装置50はマイクロコンピュータを有して構成されている。電子制御装置50には、機関運転状態及び車両の走行状態を検出するための各種センサの検出信号が取り込まれる。
各種センサとしては、例えば機関出力軸の回転速度である機関回転速度NEを検出するための機関回転速度センサ61、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量であるアクセル開度ACCPを検出するためのアクセル開度センサ62、及び吸入空気量GAを検出するための吸入空気量センサ63が設けられている。また、吸気絞り弁22の開度TAを検出するための吸気絞り弁開度センサ64及び吸気通路21において吸気絞り弁22の下流側における圧力(以下、「吸気管圧力」)PIMを検出するための吸気管圧力センサ65が設けられている。また、排気浄化触媒32の温度である触媒温度TCを検出するための触媒温度センサ66が設けられている。また、車速Vを検出するための車速センサ67及び自動変速機(図示略)のシフト位置SHIFTを検出するためのシフト位置センサ68が設けられている。
電子制御装置50は、各種センサの検出信号に基づいて各種の演算を行い、その演算結果に基づいて吸気絞り弁22の作動制御、燃料噴射弁13の作動制御、及びEGR制御等の機関制御を実行する。
また、電子制御装置50は、機関回転速度NEや燃料噴射量Qといった機関運転状態に基づいて排気浄化触媒32のフィルタ32aに堆積している粒子状物質の堆積量Dを推定するようにしている。
次に、図2を参照して、吸気絞り弁22の基本開度制御について説明する。尚、図2は、吸気絞り弁22の基本開度制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ディーゼル機関10の運転中に電子制御装置50により繰り返し実行される。
この処理では、まず、ディーゼル機関10が減速運転中であるか否かを判断する(ステップS101)。ここで、ディーゼル機関10が減速運転中ではない場合には(ステップS101:「NO」)、次に、機関回転速度NEや燃料噴射量Qといった機関運転状態に基づいてEGR量の目標値である目標EGR量EGtrgを導出する(ステップS102)。そして次に、この目標EGR量EGtrgと、EGR制御を通じて設定されるEGR開度とに基づいて吸気絞り弁22の開度の目標値である目標開度TAEを設定する(ステップS103)。ここで本実施形態のEGR制御では、吸気絞り弁22の開度を閉じ側とするほど、排気管圧力に対して吸気管圧力PIMが小さくなり、EGR量が多くなることから、EGR弁42の開度と吸気絞り弁22の開度との双方を制御することによりEGR量を制御している。
一方、ステップS101において、ディーゼル機関10が減速運転中である場合(ステップS101:「YES」)には、次に、触媒温度TCの目標値である目標触媒温度TCtrgを導出する(ステップS104)。そして次に、触媒温度TCを読み込み(ステップS105)、これら目標触媒温度TCtrgと触媒温度TCとに基づいて吸気絞り弁22の目標開度TACを設定する(ステップS106)。すなわち、ディーゼル機関10の減速運転中には、燃料噴射弁13を通じての燃料噴射を停止する燃料カットが行われ、これにともない触媒温度TCが低下しやすくなる。そのため、例えば触媒温度TCが目標触媒温度TCtrgよりも低いときには、触媒温度TCと目標触媒温度TCtrgとの乖離度合が大きいときほど吸気絞り弁22の目標開度TACを閉じ側に設定することにより、排気浄化触媒32に流入する空気の量を少なくして触媒温度TCの低下を抑制するようにしている。
このように上記ステップS103及びステップS106において吸気絞り弁22の目標開度TAE,TACを設定すると、次に、目標開度TAE,TACとなるように吸気絞り弁22を駆動してこの一連の処理を一旦終了する。尚、上記ステップS104〜ステップS107の処理を、「減速時基本開度制御」と称することとする。
ところで、こうしたディーゼル機関10にあっては、EGR通路41に詰まりが生じたり、EGR弁42の作動不良が生じたりすることで、吸気通路21に導入される排気の流量を好適に制御することができなくなるといった問題が生じることがある。
そこで、本実施形態では、ディーゼル機関10の燃焼制御のためのEGR制御を実行する必要のないディーゼル機関10の減速運転中に、EGR弁42を強制的に開閉するとともに、その開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMを求め、この変化量ΔPIMに基づいてEGR装置40の異常の有無を診断するようにしている。具体的には、EGR弁42を全閉とする作動指令が出力されている状態での吸気管圧力PIMclsと、EGR弁42を全開とする作動指令が出力されている状態での吸気管圧力PIMopnとの偏差の絶対値ΔPIM(=|PIMcls−PIMopn|)を算出し、この偏差の絶対値ΔPIMが所定値A1を下回ることをもってEGR装置40に異常が生じている旨判定するようにしている。これは、EGR通路41の詰まり度合が大きいときほど、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMが小さくなることに着目したものである。
ところで、前述したように、従来のディーゼル機関の制御装置にあっては、ディーゼル機関10の減速運転中に、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御を通じて設定された開度TACのままでEGR装置40の異常診断が行われる。もっとも、EGR弁42が略全閉にて固着していたり、EGR通路41が詰まっていたりして排気の流通面積がほとんどなくなっている場合のようにEGR装置40の異常の度合が大きい場合であれば、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMが正常時に対して十分に小さくなることから、異常診断をある程度は精度よく行うことができる。
しかしながら、例えばEGR弁42の作動不良が生じてその作動範囲が、全閉から、全閉と全開との中間の開度までに制限されている場合や、EGR弁42は正常であるもののEGR通路41の詰まりにより排気の流通面積が半分となっている場合のようにEGR装置40の異常の度合が比較的小さい場合には、以下の理由から異常診断を精度よく行うことができない。すなわちこの場合、異常が生じている場合と正常である場合とでのEGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMの乖離度合が小さいものとなる。しかも、吸気管圧力PIMは常に変動することから、その変化量ΔPIMも常に変動することとなる。そのため、EGR装置40に上記異常が生じている場合と正常である場合とで上記吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMに有意な差が生じにくくなる。その結果、EGR装置40に異常が生じているにもかかわらず正常であると診断されたり、EGR装置40が正常であるにもかかわらず異常であると診断されたりして、EGR装置40の異常診断を精度よく行うことができない。
そこで、本実施形態では、EGR装置40の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるように、電子制御装置50を通じて、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも閉じ側の開度TADに強制的に変更するようにしている。
ここで、図3を参照して、本発明の原理について説明する。尚、図3(a)は、吸気絞り弁22の開度TAと吸気管圧力PIMとの関係を示したグラフであり、図3(b)は、吸気絞り弁22の開度TAと、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMとの関係を示したグラフである。これらはいずれもEGR装置40が正常である場合を想定している。
まず、図3(a)に示すように、EGR弁42が全開とされているときの吸気管圧力PIMopnは、EGR弁42が全閉とされているときの吸気管圧力PIMclsよりも高くなる。これは、EGR弁42が全開とされているときには、開弁されているEGR弁42を通じて排気通路31内の空気が吸気通路21に導入されることによるものである。ここで、吸気管圧力PIMopn,PIMclsはいずれも吸気絞り弁22の開度を閉じ側にするほど低くなるが、このときの吸気絞り弁22の開度変更量に対する吸気管圧力PIMopn,PIMclsの低下量は、EGR弁42が全開とされているときよりも全閉とされているときの方が大きくなる。これは、EGR弁42が全閉とされているときには、排気通路31内の空気が吸気通路21に導入されず、吸気絞り弁22の開度を閉じ側にした分だけ、吸気管圧力PIMが低下するためである。従って、図3(b)に示すように、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMは、吸気絞り弁22の開度を閉じ側にするほど大きくなる。このことから、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも閉じ側の開度TADに強制的に変更することにより、吸気絞り弁22を上記開度TACのままでEGR装置40の診断を行う場合に比べて、EGR装置40に異常が生じている場合と正常である場合とでの吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMの乖離度合を大きなものとすることができる。
次に、図4〜図6を参照して、EGR装置40の異常診断制御について説明する。尚、図4は、EGR装置40の異常診断制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ディーゼル機関10の運転中に電子制御装置50により繰り返し実行される。また、図5は、吸気絞り弁22の強制開度変更の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、図4に示すフローチャートにおいてステップS202の処理に移行した際に実行される。また、図6は、触媒温度TCと吸気絞り弁22の開度の変更量ΔTADとの関係を規定したマップである。
図4に示すように、この処理では、まず、EGR装置40の異常診断の実行条件が成立しているか否かを判断する(ステップS201)。ここで、診断実行条件としては、ディーゼル機関10の減速運転が開始されてからの経過期間が所定期間以上となっていることや、前回の制御周期までにEGR装置40の異常判定がなされていないこと等を挙げることができる。そして、診断実行条件が成立していない場合には(ステップS201:「NO」)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、上記ステップS201において診断実行条件が成立している場合には(ステップS201:「YES」)、次に、吸気絞り弁22の強制開度変更処理に移行する(ステップS202)。
図5に示すように、吸気絞り弁22の強制開度変更処理では、まず、そのときの触媒温度TCを読み込むとともに、排気浄化触媒32のフィルタ32aにおけるPMの推定堆積量Dを導出する(ステップS221)。そして次に、触媒温度TCが所定温度TCth1未満であるか否かを判断するとともに(ステップS222)、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1未満であるか否かを判断する(ステップS223)。ここでの所定温度TCth1及び所定量Dth1は実験等を通じて予め設定された値である。そしてステップS223において、触媒温度TCが所定温度TCth1未満ではなく、ステップS224においてPMの推定堆積量Dが所定量Dth1未満でない場合には(ステップS222:「NO」、ステップS223「NO」)、次に、吸気絞り弁22の強制駆動を禁止して(ステップS229)、この一連の処理を終了する。すなわち、PMの堆積量がある程度多い状態であり、且つ触媒温度TCがある程度高い状態においては、通常、吸気絞り弁22の基本開度制御を通じて、排気浄化触媒32に流入する空気が調節され、これにより排気浄化触媒32が冷却されるようになっている。ところがこのときに、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更すると、これにともない排気浄化触媒32に流入する空気の量が過度に少なくなることで、触媒温度TCが過度に上昇し、排気浄化触媒32の劣化が進行する可能性が高くなる。そこで本実施形態では、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更した場合に、このことに起因して触媒温度TCが過度に上昇し、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行する可能性が高いと判断した場合には、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしている。
一方、触媒温度TCが所定温度TCth1未満であり、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1未満である場合には(ステップS222:「YES」、ステップS223「YES」)、次に、図6に示すマップを参照して、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを導出する(ステップS224)。このマップでは、図6に示すように、触媒温度TCが低いときほど吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADが大きな値となるように設定されている。すなわち、吸気絞り弁22の開度を減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも閉じ側にすると、排気浄化触媒32に流入する空気の量が減少することで触媒温度TCが低下しにくくなる。ここで、触媒温度TCが比較的低いときには、吸気絞り弁22の開度が比較的閉じ側に設定されることにより、ディーゼル機関10の減速運転時における触媒温度TCの低下を好適に抑制しつつ、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMを一層大きなものとすることができるようになる。一方、触媒温度TCが比較的高いときに吸気絞り弁22の開度を過度に閉じ側にすると、触媒温度TCが過度に上昇して排気浄化触媒32の劣化が進行するおそれがある。ここで、触媒温度TCが比較的高いときには、吸気絞り弁22の開度が比較的開き側に設定されることにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを抑制することができるようになる。尚、本実施形態では、機関回転速度NEに関わらず同一のマップ(図6参照)に基づいて吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを設定するようにしている。ここで、吸気絞り弁22の開度を閉じ側にするほど、EGR弁42の開閉にともない吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMが大きくなるといった関係は、機関回転速度NEに関わらず成立するが、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADに対する上記吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMの大きさは、機関回転速度NEによって異なるものとなる。そこで、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADと上記吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMとの関係を規定するマップを、複数の機関回転速度領域毎に設けるとともに、機関回転速度NEに応じたマップを適宜選択するようにすることもできる。
こうして吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを設定すると、次に、そのときの機関回転速度NEや燃料噴射量Qといった機関運転状態や、車速Vや自動変速機のシフト位置SHIFTといった車両の走行状態に基づいて、吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音の大きさが許容される範囲の上限値SNDth及び吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する衝撃の大きさが許容される範囲の上限値SHKthをそれぞれ導出する(ステップS225)。ここでは、機関運転状態や車両の走行状態に基づいて吸気絞り弁22の強制駆動以外の要因により生じる異音の大きさや衝撃の大きさを推定するとともに、こうして推定される異音の大きさや衝撃の大きさが大きいときほど上記各上限値SNDth,SHKthが大きくなるように設定している。そして次に、そのときの機関回転速度NEや燃料噴射量Qといった機関運転状態と吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADとに基づいて、吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音の大きさSND及び衝撃の大きさSHKをそれぞれ推定する(ステップS226)。ここでは、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADが大きいほど、異音の大きさSND及び衝撃の大きさSHKを大きな値として推定するようにしている。そして次に、推定される異音の大きさSNDが上記上限値SNDth未満であるかを判断するとともに、推定される衝撃の大きさSHKが上記上限値SHKth未満であるかを判断する(ステップS227)。そしてこの結果、推定される異音の大きさSNDが上記上限値SNDth未満であり、且つ推定される衝撃の大きさSHKが上記上限値SHKth未満である場合には(ステップS227:「YES」)、吸気絞り弁22の強制駆動を実行して(ステップS228)、この一連の処理を終了する。
一方、推定される異音の大きさSNDが上記上限値SNDth未満でない、或いは推定される衝撃の大きさSHKが上記上限値SHKth未満でない場合には(ステップS227:「NO」)、吸気絞り弁22の強制駆動を禁止して(ステップS229)、この一連の処理を終了する。すなわち、吸気絞り弁22の強制駆動を実行すると、これにともない発生する異音や衝撃が問題となるおそれがあるが、こうした異音や衝撃の大きさが同一であっても、それ以外の要因により生じる異音や衝撃が大きいときほど、該吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響は小さくなる。そこで本実施形態では、吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音及び衝撃の双方の大きさSND,SHKを予め推定するとともに、該推定された異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさが許容範囲の上限値SNDth,SHKthを上回る場合には、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしている。これにより、吸気絞り弁22の強制駆動に起因して問題となる異音や衝撃が生じることを回避することができるようになる。
ちなみに、吸気絞り弁22の強制駆動を実行する際に、これを急激に行うと、これにともない発生する異音や衝撃が問題となるおそれがある。そこで本実施形態では、吸気絞り弁22の強制駆動を実行する際には、吸気絞り弁22の開度を徐変させるようにしている。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさを小さく抑えることができるようになる。
以上のようにして、吸気絞り弁22の強制開度変更処理が完了すると、次に、先の図4に示すように、そのときの吸気管圧力、すなわちEGR弁42に対して全閉とする作動指令が出力されている状態での吸気管圧力PIMclsを読み込む(ステップS203)。そして次に、EGR弁42に対して全開とする作動指令を出力する(ステップS204)。そして次に、吸気管圧力PIMopnを読み込む(ステップS205)。こうして吸気管圧力PIMcls,PIMopnを読み込むと、次に、これら吸気管圧力PIMcls,PIMopnの偏差の絶対値ΔPIM(=|PIMcls−PIMopn|)が、所定値A1以上であるか否かを判断する(ステップS206)。ここでの所定値A1は、EGR弁42が全閉と全開との中間の開度にて固着している状態、或いはEGR通路41の詰まりにより排気の流通面積が半分となっている状態といった異常がEGR装置40に生じている場合における吸気管圧力の変化量の絶対値ΔPIMと、正常である場合における吸気管圧力の変化量の絶対値ΔPIMとの間の値として設定されている。そしてこの結果、吸気管圧力の変化量の絶対値ΔPIMが、所定値A1以上である場合には(ステップS206:「YES」)、EGR装置40が正常である旨判定して(ステップS207)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、吸気管圧力の変化量の絶対値ΔPIMが、所定値A1以上ではない場合には(ステップS206:「NO」)、EGR装置40に異常が生じている旨判定して(ステップS208)、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態に係るディーゼル機関の制御装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)電子制御装置50を通じて、ディーゼル機関10の減速運転中に触媒温度TCを制御すべく吸気絞り弁22の開度を制御する減速時基本開度制御を実行するとともに、ディーゼル機関10の減速運転中にEGR弁42を強制的に開閉するとともに当該開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量の絶対値ΔPIMに基づいてEGR装置40の異常の有無を診断することとした。また、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも閉じ側の開度TADに強制的に変更することとした。これにより、吸気絞り弁22を減速時基本開度制御により制御される開度TACのままでEGR装置40の診断を行う場合に比べて、EGR装置40に異常が生じている場合と正常である場合とでの吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMの乖離度合を大きなものとすることができる。従って、EGR装置40の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるようになる。
(2)電子制御装置50を通じて、触媒温度TCに基づいて吸気絞り弁22の開度を設定することとした。具体的には、触媒温度TCが低いときには高いときに比べて吸気絞り弁22の開度を閉じ側に設定することとした。これにより、ディーゼル機関10の減速運転時における触媒温度TCの低下を好適に抑制しつつ、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMを一層大きなものとすることができる。従って、EGR装置40の異常診断の精度を一層向上させることができるようになる。また、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを抑制することができるようになる。
(3)電子制御装置50を通じて、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1を上回り、且つ触媒温度TCが所定温度TCth1を上回るときには、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止することとした。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを回避することができるようになる。
(4)電子制御装置50を通じて、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更にともない発生する異音及び衝撃の双方の大きさSND,SHKを予め推定するとともに、該推定された異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさが許容範囲の上限値SNDth,SHKthを上回る場合には、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止することとした。これにより、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更に起因して問題となる異音や衝撃が生じることを回避することができるようになる。
(5)電子制御装置50を通じて、機関運転状態及び車両の走行状態の双方に基づいて許容範囲の上限値SNDth,SHKthを設定することとした。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃が全体の異音や衝撃に及ぼす影響の大きさに応じて上限値を的確に設定することができるようになる。
(6)電子制御装置50を通じて、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更する際に、吸気絞り弁22の開度を徐変させることとした。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさを小さく抑えることができるようになる。
<第2実施形態>
以下、図7〜図10を参照して、本発明に係るディーゼル機関の制御装置の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、EGR弁42の強制的な開閉にともなう「単位機関回転速度当たりの吸入空気量GN(=GA/NE)の変化量ΔGN」に基づいてEGR装置40の異常の有無を診断する点、及びEGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも「開き側」の開度TADに強制的に変更する点が、先の第1実施形態と相違している。
以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、ディーゼル機関10の燃焼制御のためのEGR制御を実行する必要のないディーゼル機関10の減速運転中に、EGR弁42を強制的に開閉するとともに、その開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNを求め、この変化量ΔGNに基づいてEGR装置40の異常の有無を診断するようにしている。具体的には、EGR弁42を全閉とする作動指令が出力されている状態での単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNclsと、EGR弁42を全開とする作動指令が出力されている状態での単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNopnとの偏差ΔGN(=GNcls−GNopn)を算出し、この偏差ΔGNが所定値B1を下回ることをもってEGR装置40に異常が生じている旨判定するようにしている。これは、EGR通路41の詰まり度合が大きいときほど、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNが小さくなることに着目したものである。
ところが、前述したように、例えばEGR弁42の作動不良が生じてその作動範囲が、全閉から、全閉と全開との中間の開度までに制限されている場合や、EGR弁42は正常であるもののEGR通路41の詰まりにより排気の流通面積が半分となっている場合のようにEGR装置40の異常の度合が比較的小さい場合には、以下の理由から異常診断を精度よく行うことができない。すなわちこの場合、異常が生じている場合と正常である場合とでのEGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNの乖離度合が小さいものとなる。しかも、吸入空気量GA及び機関回転速度NEは常に変動することから、単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNも常に変動することとなる。そのため、EGR装置40に上記異常が生じている場合と正常である場合とで上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNに有意な差が生じにくくなる。その結果、EGR装置40に異常が生じているにもかかわらず正常であると診断されたり、EGR装置40が正常であるにもかかわらず異常であると診断されたりして、EGR装置40の異常診断を精度よく行うことができない。
そこで、本実施形態では、EGR装置40の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるように、電子制御装置50を通じて、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側の開度TADに強制的に変更するようにしている。
ここで、図7を参照して、本発明の原理について説明する。尚、図7(a)は、吸気絞り弁22の開度TAと、単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNとの関係を示したグラフであり、図7(b)は、吸気絞り弁22の開度TAと、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNとの関係を示したグラフである。これらはいずれもEGR装置40が正常である場合を想定している。
まず、図7(a)に示すように、EGR弁42が全開とされているときの単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNopnは、EGR弁42が全閉とされているときの単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNclsよりも小さくなる。これは、EGR弁42が全開とされているときには、開弁されているEGR弁42を通じて排気通路31内の空気が吸気通路21に導入されることから、その分だけ、吸気絞り弁22を通過する空気の量、すなわち吸入空気量センサ63により検出される吸入空気量GAが少なくなることによるものである。ここで、単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNopn,GNclsはいずれも吸気絞り弁22の開度を開き側にするほど増加するが、このときの吸気絞り弁22の開度変更量に対する単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNopn,GNclsの増加量は、EGR弁42が全開とされているときよりも全閉とされているときの方が大きくなる。これは、EGR弁42が全閉とされているときには、排気通路31内の空気が吸気通路21に導入されず、吸気絞り弁22の開度を開き側にした分だけ、吸気絞り弁22を通過する空気の量が増加するためである。従って、図7(b)に示すように、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNは、吸気絞り弁22の開度を開き側にするほど大きくなる。このことから、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側の開度TADに強制的に変更することにより、吸気絞り弁22を上記開度TACのままでEGR装置40の診断を行う場合に比べて、EGR装置40に異常が生じている場合と正常である場合とでの単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNの乖離度合を大きなものとすることができる。
次に、図8〜図10を参照して、EGR装置40の異常診断制御について説明する。尚、図8は、EGR装置40の異常診断制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ディーゼル機関10の運転中に電子制御装置50により繰り返し実行される。また、図9は、吸気絞り弁22の強制開度変更の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、図8に示すフローチャートにおいてステップS302の処理に移行した際に実行される。また、図10は、触媒温度TCと吸気絞り弁22の開度の変更量ΔTADとの関係を規定したマップである。
図8に示すように、この処理では、まず、EGR装置40の異常診断の実行条件が成立しているか否かを判断する(ステップS301)。ここでの診断実行条件は、先の図4のフローチャートにおけるステップS201にて例示した条件と同様のものである。そして、診断実行条件が成立していない場合には(ステップS301:「NO」)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、上記ステップS301において診断実行条件が成立している場合には(ステップS301:「YES」)、次に、吸気絞り弁22の強制開度変更処理に移行する(ステップS302)。
図9に示すように、吸気絞り弁22の強制開度変更処理では、まず、そのときの触媒温度TCを読み込む(ステップS321)。そして次に、触媒温度TCが所定温度TCth2以上であるか否かを判断する(ステップS322)。ここでの所定温度TCth2は先の第1実施形態にて例示した所定温度TCth1よりも十分に低い温度であり(TCth2<<TCth1)、実験等を通じて予め設定された値である。そしてステップS322において、触媒温度TCが所定温度TCth2以上ではない場合には(ステップS322:「NO」)、次に、吸気絞り弁22の強制駆動を禁止して(ステップS325)、この一連の処理を終了する。すなわち、通常、吸気絞り弁22の開度を減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側にすると、排気浄化触媒32に流入する空気の量が増加することで触媒温度TCが低下しやすくなる。このため、触媒温度TCがある程度低いときに吸気絞り弁22の開度を過度に開き側にすると、触媒温度TCが過度に低下して排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が過度に低下する可能性が高くなる。そこで本実施形態では、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に低下し、ひいては排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が過度に低下する可能性が高いと判断した場合には、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしている。
一方、触媒温度TCが所定温度TCth2以上である場合には(ステップS322:「YES」)、次に、図10に示すマップを参照して、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを導出する(ステップS323)。このマップでは、図10に示すように、触媒温度TCが高いときほど吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADが大きな値となるように設定されている。すなわち、吸気絞り弁22の開度を減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側にすると、排気浄化触媒32に流入する空気の量が増加することで触媒温度TCが低下しやすくなる。ここで、触媒温度TCが比較的高いときには、吸気絞り弁22の開度が比較的開き側に設定されることにより、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNを一層大きなものとすることができる。しかも、触媒温度TCが比較的高いことから、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更しても、触媒温度TCが過度に低下することはない。一方、触媒温度TCが比較的低いときに吸気絞り弁22の開度を過度に開き側にすると、触媒温度TCが過度に低下して排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が低下するおそれがある。ここで、触媒温度TCが比較的低いときには、吸気絞り弁22の開度が比較的閉じ側に設定されることにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に低下すること、ひいては排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が低下することを抑制することができるようになる。尚、本実施形態では、機関回転速度NEに関わらず同一のマップ(図10参照)に基づいて吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを設定するようにしている。ここで、吸気絞り弁22の開度を開き側にするほど、EGR弁42の開閉にともない単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNが大きくなるといった関係は、機関回転速度NEに関わらず成立するが、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADに対する上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNの大きさは、機関回転速度NEによって異なるものとなる。そこで、吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADと上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNとの関係を規定するマップを、複数の機関回転速度領域毎に設けるとともに、機関回転速度NEに応じたマップを適宜選択するようにすることもできる。
こうして吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを設定すると、次に、吸気絞り弁22の強制駆動を実行して(ステップS324)、この一連の処理を終了する。
ちなみに、吸気絞り弁22の強制駆動を実行する際に、これを急激に行うと、これにともない発生する異音や衝撃が問題となるおそれがある。そこで本実施形態では、吸気絞り弁22の強制駆動を実行する際には、吸気絞り弁22の開度を徐変させるようにしている。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさを小さく抑えることができるようになる。
以上のようにして、吸気絞り弁22の強制開度変更処理が完了すると、次に、先の図8に示すように、そのときの機関回転速度NE及び吸入空気量GA、すなわちEGR弁42に対して全閉とする作動指令が出力されている状態での機関回転速度NEcls及び吸入空気量GAclsを読み込む(ステップS303)。そして次に、EGR弁42に対して全開とする作動指令を出力する(ステップS304)。そして次に、機関回転速度NEopn及び吸入空気量GAopnを読み込む(ステップS305)。こうして機関回転速度及NEcls,NEopn及び吸入空気量GAcls,GAopnを読み込むと、次に、吸入空気量GAcls,GAopnを機関回転速度NEcls,NEopnで除したそれぞれの値の偏差ΔGN(=GAcls/NEcls−GAopn/NEopn)が、所定値B1以上であるか否かを判断する(ステップS306)。ここでの所定値B1は、EGR弁42が全閉と全開との中間の開度にて固着している状態、或いはEGR通路41の詰まりにより排気の流通面積が半分となっている状態といった異常がEGR装置40に生じている場合における単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNと、正常である場合における単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNとの間の値として設定されている。そしてこの結果、単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNが、所定値B1以上である場合には(ステップS406:「YES」)、次に、EGR装置40が正常である旨判定して(ステップS407)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化量ΔGNが、所定値B1以上ではない場合には(ステップS406:「NO」)、次に、EGR装置40に異常が生じている旨判定して(ステップS208)、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態に係るディーゼル機関の制御装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)電子制御装置50を通じて、ディーゼル機関10の減速運転中に触媒温度TCを制御すべく吸気絞り弁22の開度を制御する減速時基本開度制御を実行するとともに、ディーゼル機関10の減速運転中にEGR弁42を強制的に開閉するとともに当該開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GN(=GA/NE)の変化量ΔGNに基づいてEGR装置40の異常の有無を診断することとした。また、EGR装置40の異常診断に際して、吸気絞り弁22を、減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側の開度TADに強制的に変更することとした。これにより、吸気絞り弁22を減速時基本開度制御により制御される開度TACのままでEGR装置40の診断を行う場合に比べて、単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNの乖離度合を大きなものとすることができる。従って、EGR装置40の異常の度合が小さい場合であっても異常診断を精度よく行うことができるようになる。
(2)電子制御装置50を通じて、触媒温度TCに基づいて吸気絞り弁22の開度を設定することとした。具体的には、触媒温度TCが高いときには低いときに比べて吸気絞り弁22の開度を開き側に設定することとした。これにより、触媒温度TCが比較的高いときには吸気絞り弁22の開度が比較的開き側に設定されることから、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNを一層大きなものとすることができる。しかも、触媒温度TCが比較的高いことから、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更しても、触媒温度TCが過度に低下することはない。従って、EGR装置40の異常診断の精度を一層向上させることができるようになる。また、触媒温度TCが比較的低いときには吸気絞り弁22の開度が比較的閉じ側に設定されることから、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に低下すること、ひいては排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が低下することを抑制することができるようになる。
(3)電子制御装置50を通じて、触媒温度TCが所定温度TCth2を下回っているときには、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止することとした。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に低下すること、ひいては排気浄化触媒32を通じての排気浄化効率が過度に低下することを回避することができるようになる。
尚、本発明にかかるディーゼル機関の制御装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記各実施形態では、EGR弁42の強制的な開閉にともなう吸気管圧力PIMの偏差ΔPIMや、EGR弁42の強制的な開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの偏差ΔGNに基づいてEGR装置40の異常診断を行うものについて例示した。しかしながら、本発明に係る診断手段の診断態様はこれに限られるものではない。他に例えば、EGR弁42の強制的な開閉にともなう吸気管圧力PIMの比や、EGR弁42の強制的な開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの比に基づいてEGR装置40の異常診断を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、EGR装置40の異常診断において、EGR弁42に対して、全閉とする作動指令がなされている状態から、全開とする作動指令がなされている状態へと強制的に切り替えるようにしているが、これに代えて全閉よりも開き側である所定の開度とする作動指令がなされている状態から、全開よりも閉じ側である所定の開度とする作動指令がなされている状態へと強制的に切り替えるようにしてもよい。
・上記第各実施形態によるように、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更する際に、吸気絞り弁22の開度を徐変させることが、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更することにともない発生する異音や衝撃の大きさを小さく抑える上では望ましい。しかしながら、例えば吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADが小さいときのように、発生する異音や衝撃の大きさが無視できる場合には吸気絞り弁22の開度を急変させるようにしてもよい。また、発生する異音や衝撃の大きさを問題としないのであれば、常に、吸気絞り弁の開度を急変させるようにすることもできる。
・上記第1実施形態では、吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音及び衝撃の大きさが許容される範囲の上限値SNDth,SHKthを、機関運転状態及び車両の走行状態の双方に基づいて可変設定するようにしている。しかしながら、本発明に係る強制変更手段はこれに限られるものではなく、例えばディーゼル機関が車両に搭載されないものであれば、これら上限値SNDth,SHKthを機関運転状態のみに基づいて可変設定するようにすればよい。
・上記第1実施形態では、機関運転状態及び車両の走行状態に基づいて許容範囲の上限値SNDth,SHKthをそれぞれ可変設定するようにしているが、本発明に係る強制変更手段はこれに限られるものではなく、これら上限値SNDth,SHKthを固定値とすることもできる。
・上記第1実施形態では、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更にともない発生する異音及び衝撃の双方の大きさSND,SHKを予め推定するとともに、該推定された異音及び衝撃の少なくとも一方の大きさが許容範囲の上限値SNDth,SHKthを上回る場合には、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにした。しかしながら、本発明に係る強制変更手段はこれに限られるものではなく、異音及び衝撃の大きさが許容範囲の上限値SNDth,SHKthを共に上回る場合にのみ、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしてもよい。また例えば、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更にともない発生する異音の大きさSNDのみを予め推定するとともに、該推定された異音の大きさが許容範囲の上限値SNDthを上回る場合に、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしてもよい。また、これらの構成を第2実施形態において適用することもできるし、第1実施形態においてこれらの構成を、第2実施形態と同様に割愛することもできる。
・吸気絞り弁22の開度を閉じ側にするほど、EGR弁42の開閉にともなう吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMは大きなものとなる。また、吸気絞り弁22の開度を開き側にするほど、EGR弁42の開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNは大きなものとなる。ただし、吸気絞り弁22の開度と上記吸気管圧力PIMの変化量ΔPIMとの関係や、吸気絞り弁22の開度と上記単位機関回転速度当たりの吸入空気量GNの変化量ΔGNとの関係は、例えば外気温や大気圧といったディーゼル機関10の外部環境の状態によって異なるものとなる。また例えば、排気浄化触媒32の温度変化の態様や、吸気絞り弁22の強制駆動にともない発生する異音や衝撃の大きさも、外気温や大気圧といったディーゼル機関10の外部環境の状態によって異なるものとなる。これらのことから、外気温や大気圧といったディーゼル機関10の外部環境の状態に基づいて吸気絞り弁22の開度を設定するようにすれば、吸気絞り弁22の開度を強制的に変更するに際して、吸気絞り弁の目標開度を的確に設定することができるようになる。
・上記第1実施形態では、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1を上回り、且つ触媒温度TCが所定温度TCth1を上回るときに、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止することで、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを回避するようにしている。しかしながら、本発明に係る強制変更手段はこれに限られるものではなく、例えば、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1を上回っている場合には、PMの推定堆積量Dが多いときほど吸気絞り弁22の開度変更量ΔTADを小さく設定するようにすることもできる。この場合であっても、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを回避することができるようになる。
・上記各実施形態では、排気浄化触媒32のフィルタ32aの再生制御及び同再生制御と吸気絞り弁22の強制駆動との関係については示さなかったが、フィルタ32aの再生制御の制御状態に基づいて吸気絞り弁22の開度を設定するようにしてもよい。
以下、フィルタ32aの再生制御の制御状態に基づく吸気絞り弁22の強制駆動の態様の一例について説明する。
排気浄化触媒32のフィルタ32aに捕集されたPMの量が過剰となると、フィルタの目詰まりにより、ディーゼル機関10の背圧が上昇してしまう。そこで、PMの推定堆積量Dが所定量を上回ると、フィルタ32aに堆積した粒子状物質を除去してその目詰まりを防止するための再生制御を実行する。この再生制御では、ディーゼル機関10の膨張行程や排気行程に、燃焼に寄与しない燃料を燃焼室12に噴射する、いわゆるポスト噴射を実行する。或いは、排気通路31において排気浄化触媒32の排気上流側に燃料添加弁を設け、同燃料添加弁から排気通路31に燃料を噴射する。そして、フィルタ32aに対して還元剤となる未燃燃料成分を供給することにより、NOx触媒上での発熱反応を生じさせ、これにより触媒温度TCを上昇させる。このように触媒温度TCを上昇させることにより、NOx触媒を活性化させて、NOx触媒上でのPMの酸化反応を促進することで、フィルタ32aに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去することができる。
ここで、吸気絞り弁22の開度を減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも閉じ側にする構成にあっては、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更にともない排気浄化触媒32に流入する空気の量が減少することとなる。従って、再生制御により排気浄化触媒32を昇温させているときに吸気絞り弁22の開度の強制変更を行えば、排気浄化触媒32の昇温が好適に促進されるようになる。
一方、吸気絞り弁22の開度を減速時基本開度制御により制御される開度TACよりも開き側にする構成にあっては、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更にともない排気浄化触媒32に流入する空気の量が増加することから、再生制御を通じて排気浄化触媒32を昇温させているときに吸気絞り弁22の開度の強制変更を行うと、排気浄化触媒32の昇温が好適に進行しなくなるおそれがある。そこで、再生制御を通じて排気浄化触媒32を昇温させているときには、そうでないときに比べて吸気絞り弁22の開度を閉じ側に設定する。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒32の昇温が好適に進行しなくなることを抑制することができるようになる。或いは、再生制御を通じて排気浄化触媒32を昇温させているときには、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止する。これにより、吸気絞り弁22の開度を強制的に開き側に変更することに起因して排気浄化触媒32の昇温が好適に進行しなくなることを回避することができるようになる。尚、ポスト噴射を行う燃料噴射弁13や燃料添加弁は、本発明に係る昇温剤供給手段に相当し、燃料噴射弁13や燃料添加弁から供給される未燃燃料成分が本発明に係る昇温剤に相当する。
・上記第1実施形態では、PMの推定堆積量Dが所定量Dth1を上回り、且つ触媒温度TCが所定温度TCth1を上回るときに、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしているが、これに代えて、PMの推定堆積量Dにかかわらず触媒温度TCが所定温度TCth1を上回っていることをもって、吸気絞り弁22の開度の強制的な変更を禁止するようにしてもよい。すなわち、PMの堆積量Dを推定する構成を割愛してもよい。この場合であっても、吸気絞り弁22の開度を強制的に閉じ側に変更することに起因して触媒温度TCが過度に上昇すること、ひいては排気浄化触媒32の劣化が進行することを回避することができるようになる。
・上記各実施形態では、ディーゼル機関10の減速運転中に、減速時基本開度制御、すなわち先の図2に示すフローチャートの制御処理(特に、ステップS104〜ステップS107)を行うようにしているが、本発明に係る吸気絞り弁制御手段の構成はこれに限られるものではない。要するに、ディーゼル機関の減速運転中に排気浄化触媒の温度を制御すべく吸気絞り弁の開度を制御するものであればよい。
・上記第1実施形態では、EGR弁42の強制的な開閉にともなう吸気管圧力の変化度合のみに基づいてEGR装置40の異常診断を行うものについて例示し、上記第2実施形態では、EGR弁42の強制的な開閉にともなう単位機関回転速度当たりの吸入空気量の変化度合のみに基づいてEGR装置40の異常診断を行うものについて例示した。しかしながら、本発明に係る診断手段はこれに限られるものではなく、これら実施形態にて例示した診断手段を共に備えるものとしてもよい。そしてこの場合には、排気浄化触媒32の状態、ディーゼル機関10の外部環境の状態、及び機関運転状態の少なくとも一つに基づいて、吸気絞り弁22の開度の変更態様を設定するようにすればよい。このように、排気浄化触媒32の状態、ディーゼル機関10の外部環境の状態、機関運転状態の少なくとも一つを加味することにより、吸気絞り弁22の開度の変更方向や変更量といった吸気絞り弁22の開度の変更態様を的確に設定することができるようになる。
・上記第1実施形態では、触媒温度TCに基づいて吸気絞り弁22の開度を設定するようにしているが、本発明に係る強制変更手段の構成はこれに限られるものではない。要するに、診断手段による診断に際して、吸気絞り弁を、吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも閉じ側の開度に強制的に変更するものであればよい。
・上記第2実施形態では、触媒温度TCに基づいて吸気絞り弁22の開度を設定するようにしているが、本発明に係る強制変更手段の構成はこれに限られるものではない。要するに、診断手段による診断に際して、吸気絞り弁を、吸気絞り弁制御手段により制御される開度よりも開き側の開度に強制的に変更するものであればよい。