JP2010209367A - 低汚染性に優れたアルミニウム合金部材 - Google Patents

低汚染性に優れたアルミニウム合金部材 Download PDF

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Abstract

【課題】製造に手間を要する特殊な成分組成のアルミニウム合金を採用することはなくても、基材に用いるアルミニウム合金の成分組成に関係なく、近年高まっている低汚染ニーズに対応することができる低汚染性に優れたアルミニウム合金部材を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金で成る基材の表面に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金部材であって、陽極酸化皮膜は、その表面側から1μm以上が、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とする。また、その表面側のポーラス層を除く基材側の部位が、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のバリアー層とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ドライエッチング装置、CVD装置、イオン注入装置、スパッタリング装置などの半導体や液晶の製造設備などの真空チャンバ、或いはその真空チャンバの内部に設けられる部材の材料として好適に用いられる低汚染性に優れたアルミニウム合金部材に関するものである。
アルミニウム合金を基材とし、その表面に陽極酸化皮膜を形成して、アルミニウム合金基材に耐腐食性(耐高温ガス腐食性)や耐摩耗性などを付与させる陽極酸化処理は、従来から広く採用されてきた。
例えば、半導体製造設備のプラズマ処理装置に用いられる真空チャンバ、並びにその真空チャンバの内部に設けられる電極等の各種部材は、アルミニウム合金を用いて形成されることが通常である。しかしながら、そのアルミニウム合金を無垢のままで使用すれば、耐腐食性や耐摩耗性などを維持することができなくなるので、アルミニウム合金によって形成された基材の表面に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成することで、耐腐食性や耐摩耗性などを付与していた。
このアルミニウム合金基材の表面に陽極酸化皮膜を形成する理由は、真空チャンバの内部では、シリコン・ウエハなどの被処理物に半導体製造の前処理工程や製造工程において、室温から200℃以上の高温環境下で様々な種類の腐食性ガスやプラズマによって所定の加工が行われるため、真空チャンバの内面や、真空チャンバの内部に設けられる電極等の各種部品も前記した雰囲気に曝されることになり、無垢のアルミニウム合金のままでは、耐腐食性や耐摩耗性などを維持することができないためである。
近年、このような、表面に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金部材に関する種々の提案がなされている。被処理物の低汚染化、すなわち、Fe、Cr、Cuの低減という観点から、陽極酸化処理を施す基材の材料として、高純度のアルミニウム中に、Mg、Siを添加し、不純物の含有量を極力制限したアルミニウム合金基材が、特許文献1〜7として提案されている。これら特許文献1〜7記載のアルミニウム合金を基材とした場合、被処理物の低汚染化に対しては効果が期待できるもの、必ずしも十分な耐久性を得ることができない。
この十分な耐久性を得るための対策として、本発明者らが提案した陽極酸化用アルミニウム合金が、特許文献8記載の高耐久性と低汚染性と高生産性を兼備した陽極酸化用アルミニウム合金である。この陽極酸化用アルミニウム合金は、近年のデバイスの高集積化に伴う金属汚染低減ニーズに対応した合金である。半導体製造設備を構成する部材の中でも、特に下部電極部材は、その上に直接ウエハを載置するため、ウエハに対する汚染源となる可能性が高い部材である。そのため、この特許文献8記載の高耐久性と低汚染性を兼ね備えた陽極酸化用アルミニウム合金を下部電極部材に採用することが、金属汚染の低減を図ることで有効であった。
しかしながら、この特許文献8記載の陽極酸化用アルミニウム合金をはじめとして、特許文献1〜8記載のアルミニウム合金は、その何れもが、不純物元素の低減を極力図った特殊な成分組成のアルミニウム合金であるため、市販のアルミニウム合金と比較して調達が困難であり、また、製造する場合は、その製造ために余計なコストがかかってしまうという問題があった。
また、実際に半導体製造設備のプラズマ処理装置等に採用されている陽極酸化用アルミニウム合金は、未だに市販のアルミニウム合金がその大半を占めており、製造に手間を要する特殊な組成のアルミニウム合金を採用することなく、市販のアルミニウム合金を用いても、近年高まっている低汚染ニーズに対応することができる技術が開発されることが待ち望まれていた。
特開平10−88271号公報 特開2004−99972号公報 特開2002−241992号公報 特開2002−256488号公報 特開2003−119539号公報 特開2003−171727号公報 特開2008−70670号公報 特開2008−45161号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、半導体製造設備のプラズマ処理装置に用いられる真空チャンバ、並びにその真空チャンバの内部に設けられる電極等の各種部材等に用いられる陽極酸化用アルミニウム合金の基材として、製造に手間を要する特殊な成分組成のアルミニウム合金を採用することはなくても、また、基材に用いるアルミニウム合金の成分組成に関係なく、近年高まっている低汚染ニーズに対応することができる低汚染性に優れたアルミニウム合金部材を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、アルミニウム合金で成る基材の表面に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金部材であって、前記陽極酸化皮膜は、その表面側から1μm以上が、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層であることを特徴とする低汚染性に優れたアルミニウム合金部材である。
請求項2記載の発明は、前記陽極酸化皮膜のうち、その表面側のポーラス層を除く基材側の部位が、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のポーラス層であることを特徴とする請求項1記載の低汚染性に優れたアルミニウム合金部材である。
本発明の請求項1記載の低汚染性に優れたアルミニウム合金部材によると、半導体製造設備のプラズマ処理装置に用いられる真空チャンバ、並びにその真空チャンバの内部に設けられる電極等の各種部材等に用いられる陽極酸化用アルミニウム合金の基材として、製造に手間を要する特殊な組成のアルミニウム合金を採用することはなくても、また、基材に用いるアルミニウム合金の成分組成に関係なく、近年高まっている低汚染ニーズに対応することができる。
本発明の請求項2記載の低汚染性に優れたアルミニウム合金部材によると、優れた低汚染性に加えて、耐傷付き性にも優れたアルミニウム合金部材とすることができる。
ドライエッチング装置、CVD装置、イオン注入装置、スパッタリング装置などの半導体や液晶の製造設備などの真空チャンバ、或いはその真空チャンバの内部に設けられる部材の材料として、耐腐食性や耐摩耗性などを維持するために、表面に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金部材が採用されているが、近年高まっているニーズの低汚染化に対応するという観点で、不純物の含有量を極力制限したアルミニウム合金が、その基材に使用されはじめている。
しかしながら、不純物の含有量を極力制限した特殊な成分組成のアルミニウム合金を製造することは困難であり、また、新たな製造設備を導入する必要やコストが上昇すること等もあって、市販のアルミニウム合金を用いても、低汚染性に優れたアルミニウム合金部材を実現することができる新たな技術を見出すことを目的として、本発明者らは、鋭意、実験、検討を行った。
その結果、アルミニウム合金でなる基材の表面に形成する陽極酸化皮膜の少なくとも表面側から1μm以上を、ポア(空隙)間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とすることで、基材に市販のアルミニウム合金を用いても優れた低汚染性を確保できることが分かり、本発明の完成に至った。
また、その陽極酸化皮膜のポーラス層を除く基材側の部位を、ポア間の障壁厚さが30nm超で、且つその層厚が5μm以上のポーラス層とすることで、前記した低汚染性に加え、耐傷付き性にも優れたアルミニウム合金部材を実現できることも確認した。
尚、本発明で定義するポア間の障壁厚さとは、陽極酸化皮膜の表面等をSEM(走査電子顕微鏡)で観察したときの、近接する10個以上のポアについて、夫々最近接したポア間の最短距離(固体部分の最小厚さ)を測定し、ポアとポアがつながっている場合はそのポア間の障壁厚さは0とし、その測定した平均値を求めることで、ポア間の障壁厚さとした。尚、陽極酸化皮膜の表面以外に、陽極酸化皮膜の表面側から1μmの位置と、基材界面付近、また、基材界面から表面側5μmの位置についても、FIB(Focused Ion Beam)加工にて切り出してSEMで観察した。本発明では、このポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層を表面に形成することを要件とした。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明のアルミニウム合金部材は、アルミニウム合金でなる基材と、その基材の表面に形成される陽極酸化皮膜より構成される。
アルミニウム合金でなる基材としては、特殊な成分組成のアルミニウム合金を用いる必要はなく、市販のアルミニウム合金、例えば、JISに規定される6061アルミニウム合金を用いて基材とすることができる。
また、その基材の表面に形成される陽極酸化皮膜は、その表面側(最表面)から1μm以上が、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層である。陽極酸化皮膜の全てがこのポーラス層であっても構わないが、表面側のポーラス層を除く基材側の部位を、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のポーラス層とすることが好ましい。
尚、本発明では、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層を形成することを要件としたが、ポア間の障壁厚さの下限は特に規定しない。しかしながら、後述の方法で、ポア間の障壁厚さを5nm未満に制御することは工業的に難しく、その下限は5nmとすることが好ましい。
また、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層の層厚の下限は1μmと規定したが、その上限は特に規定しない。しかしながら、後述する耐傷付き性の観点で、1μm以上のできるだけ薄い層厚とすることが好ましい。
更には、本発明では、ポア間の障壁厚さが30nm超のポーラス層を形成することも推奨したが、ポア間の障壁厚さの上限は特に規定しない。しかしながら、ポア間の障壁厚さが100nmを超えるポーラス層を形成することは、現実的ではないため、その上限は100nmとすることが好ましい。
また、ポア間の障壁厚さが30nm超のポーラス層の層厚の下限は5μmと規定したが、その上限は特に規定しない。しかしながら、耐傷付き性の観点で、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層の層厚が1μm以上となる範囲で、ポア間の障壁厚さが30nm超のポーラス層の層厚は、できるだけ厚くすることが好ましい。
陽極酸化皮膜は、一般に、硫酸溶液、シュウ酸溶液、クロム酸溶液、リン酸溶液等の処理溶液、およびそれらの混合溶液に、アルミニウム合金でなる基材を浸漬して陽極とし、電解処理を行うことで、陽極であるアルミニウム合金でなる基材の表面に形成される。しかし、クロム酸溶液は、陽極酸化皮膜中にクロムが取り込まれて汚染原因となるため、避けるべきである。
陽極酸化皮膜のポア間の障壁厚さは、ポアの大きさとポアの数密度によって決まる。これらポアの大きさとポア数密度は、処理液の温度と処理電圧によって変化し、高温の処理液を用いるとポアの大きさは大きくなり、低電圧にて処理するとポア数密度が増加する。従って、ポア間の障壁厚さを薄くするためには、高温の処理液で、低電圧の処理を行えば良いと考えられる。
しかしながら、通常、高温の処理液を用いた低電圧の処理は、実施されていないのが実態である。それは、処理液を高温にするためにはヒータ等を準備することが必要になり、また、処理液の蒸発防止策も必要となり、更には、低電圧処理では流れる電流が小さくなって陽極酸化皮膜の形成速度が遅くなってしまい、生産性に劣るという、様々な不利な点があるからである。
そこで、通常の陽極酸化処理条件にて作製した陽極酸化皮膜を、酸などに浸漬して化学溶解させ、ポア径を拡大する方法を採用することが考えられる。例えば、フッ酸水溶液や緩衝フッ酸溶液(HFとNHFの混合水溶液)などのフッ素を含む水溶液中に陽極酸化皮膜を浸漬し、その陽極酸化皮膜の表面付近を溶解させることにより、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とすることが可能である。
尚、フッ素を含む水溶液としては、そのフッ素濃度が高く、また、温度がより高温である方が、処理溶液による陽極酸化皮膜表面の化学溶解を起こしやすく、短時間でポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層を形成するには有効である。しかしながら、一方で化学溶解が大きすぎると膜厚が薄くなるために、適宜条件を設定する必要があり、陽極酸化皮膜の種類にもよるが、例えば、室温(約25℃)で、0.5〜1.0mol/Lのフッ酸水溶液に、1〜2分浸漬すると良い。
また、陽極酸化皮膜は、湿式耐食性を付与するために、熱水中に浸漬したり、蒸気加圧に曝したりする、いわゆる封孔処理が施される場合もあるが、この封孔処理は、ポア径を小さくする方向でポア間の障壁厚さが厚くなるため、施さない方が好ましい。
この陽極酸化皮膜の表面上にはウエハ等が直接載置されることになるが、直接ウエハ等と接触する陽極酸化皮膜の表面側を、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とし、且つそのポーラス層の厚みを1μm以上とすることで、アルミニウム合金に含有されるFe、Cr、Cu等の金属汚染原因となる元素が、陽極酸化皮膜を介してウエハ等へ拡散して汚染原因となることを抑制することができると考えられる。
以上説明したように、陽極酸化皮膜の表面側から1μm以上を、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とすることで、低汚染性に優れたアルミニウム合金部材とすることができるが、それだけでは、耐傷付き性に劣るアルミニウム合金部材となってしまう。そこで、本発明では、陽極酸化皮膜のポーラス層を除く基材側の部位を、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のポーラス層とした。
すなわち、陽極酸化皮膜のうち、その基材側を層厚が5μm以上のポーラス層とすることで、耐傷付き性に優れたアルミニウム合金部材とすることができる。
ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層が表面側に形成された陽極酸化皮膜に、このバリアー層を形成させるためには、陽極酸化処理の後期の段階での処理電圧を、前期の段階の処理電圧より上昇させることで形成させることができ、この方法が特に有効であるが、陽極酸化処理の処理時間を長くする(成膜速度を遅くする)ことでも形成することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
まず、JISに規定される6061アルミニウム合金を溶製してアルミニウム合金鋳塊(サイズ:220mmW×250mmL×t100mm、冷却速度:15〜10℃)とし、その鋳塊を切断して面削(サイズ:220mmW×150mmL×t60mm)した後、均熱処理(540℃×4h)を施した。均熱処理後、60mm厚の素材を熱間圧延により6mm厚の板材に圧延し、切断(サイズ:220mmW×400mmL×t6mm)した後、溶体化処理(510〜520℃×30min)を施した。溶体化処理後、水焼入れし、時効処理(160〜180℃×8h)を施して供試合金板を得た。
その供試合金板より、25mm×35mm(圧延方向)×t3mmの試験片を切り出し、その表面を面削加工した。次いで、60℃−10%NaOH水溶液中に2分浸漬した後に水洗し、更に、30℃−20%HNO水溶液中に2分浸漬した後に水洗して表面を清浄化した後に、表1に示す各処理条件で陽極酸化処理を施して試験片の表面に陽極酸化皮膜を形成した。ここでは、40μmの膜厚の陽極酸化皮膜を形成することとしたが、実際に形成された陽極酸化皮膜の膜厚は、39〜41μmであった。次いで、No.1以外では、表1に示す条件で、陽極酸化皮膜をフッ酸に浸漬する後処理を行った。
表1のNo.1〜7に示す条件で、夫々3枚ずつの試験片を作製し、陽極酸化皮膜のポア間の障壁厚さ、低汚染性、および、耐傷付き性を調査した。
試験片の表面に形成された陽極酸化皮膜のポア間の障壁厚さとは、前述したように、陽極酸化皮膜の表面等をSEM(走査電子顕微鏡)で観察し、近接する10個以上のポアについて、夫々最近接したポア間の最短距離(固体部分の最小厚さ)を測定し、ポアとポアがつながっている場合はそのポア間の障壁厚さは0とし、その測定値を平均した値のことである。尚、陽極酸化皮膜の表面以外に、陽極酸化皮膜の表面側から1μmの位置と、基材界面付近、また、基材界面から表面側5μmの位置についても、FIB(Focused Ion Beam)加工にて切り出してSEMで観察した。その測定結果を表2に示す。
低汚染性の評価試験は、表1に示す各条件で陽極酸化処理を施した各試験片の上に、夫々Si基板を載せて、下部電極の使用環境を模擬した400℃、1.5×10−3Torr(2Pa)の減圧下で、真空熱処理を2時間実施した。その後、Si基板の試験片と接触した下面を、全反射蛍光X線分析法(TXRF)を用いて分析した。
実機の半導体製造装置等において要求される低汚染性は、各プロセス、使用環境等によって、夫々異なるため、定量的に低汚染性の基準値を設定することは困難である。そこで、この評価試験では、全反射蛍光X線分析法(TXRF)を用いて測定したSi基板表面の単位面積当たりのFe原子数が、60×1010atoms/cm以下であった場合の、試験片の陽極酸化皮膜を低汚染性に優れると判断した。その試験結果を表3に示す。
また、耐傷付き性の評価試験は、シート状コットン(旭化成製ベンコットン)に蒸留水を染み込ませて、試験片の陽極酸化皮膜表面上を100回拭き取る方法で実施した。拭き取り後の陽極酸化皮膜表面の膜厚を測定し、試験片の基材が露出しなかったものを、試験片の陽極酸化皮膜が耐傷付き性に優れるものであると判断した。その試験結果を表3に示す。
Figure 2010209367
Figure 2010209367
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No.1の陽極酸化皮膜は、フッ酸に浸漬する後処理を行っていない従来から一般的な陽極酸化皮膜であり、陽極酸化皮膜の表面側のポア間の障壁厚さは30μmを超えている。その結果、全反射蛍光X線分析法(TXRF)を用いて測定したSi基板表面の単位面積当たりのFe原子数が、60×1010atoms/cm以を超え、Si基板は汚染されていることが確認できた。
また、No.2の陽極酸化皮膜は、フッ酸に浸漬する後処理を行って形成した陽極酸化皮膜であるが、陽極酸化皮膜の表面側のポア間の障壁厚さは30μmを超えている。その結果、Si基板表面の単位面積当たりのFe原子数が、60×1010atoms/cm以を超え、Si基板は汚染されていることが確認できた。No.3の陽極酸化皮膜も、フッ酸に浸漬する後処理を行って形成した陽極酸化皮膜であり、陽極酸化皮膜の表面のポア間の障壁厚さは30μm以下であったが、表面から1μmの位置でポア間の障壁厚さ30μmを超えていた。その結果、Si基板表面の単位面積当たりのFe原子数が、60×1010atoms/cm以を超え、Si基板は汚染されていることが確認できた。No.2とNo.3では、フッ酸に浸漬する時間が短かすぎたため、このような結果が得られたと想定できる。
これに対し、No.4〜7では、陽極酸化皮膜を形成するための処理条件が適切であったため、形成された陽極酸化皮膜の表面側から1μm以上が、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層となった。その結果、全反射蛍光X線分析法(TXRF)を用いて測定したSi基板表面の単位面積当たりのFe原子数が、60×1010atoms/cm以下であり、試験片の陽極酸化皮膜は、低汚染性に優れると判断することができる。
この試験結果により、陽極酸化皮膜の表面側から1μm以上を、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層とすることで、低汚染性に優れたアルミニウム合金部材とすることができることが確認できた。
また、低汚染性に優れると判断することができたNo.4〜7のうち、No.4〜6は、基材界面から表面側5μmの位置と、基材界面付近では、ポア間の障壁厚さが30nmを超えている。その結果、耐傷付き性の評価試験で、試験片の基材が露出せず、耐傷付き性に優れていた。
これに対し、No.7では、基材界面から表面側5μmの位置でポア間の障壁厚さが30nm以下であった。その結果、No.7では、耐傷付き性の評価試験で、試験片の基材が露出してしまい、耐傷付き性に優れていなかった。
この試験結果により、陽極酸化皮膜のうち、その表面側のポーラス層を除く基材側の部位を、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のポーラス層とすることで、耐傷付き性に優れたアルミニウム合金部材とすることができることが確認できた。

Claims (2)

  1. アルミニウム合金で成る基材の表面に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金部材であって、
    前記陽極酸化皮膜は、その表面側から1μm以上が、ポア間の障壁厚さが30nm以下のポーラス層であることを特徴とする低汚染性に優れたアルミニウム合金部材。
  2. 前記陽極酸化皮膜のうち、その表面側のポーラス層を除く基材側の部位が、ポア間の障壁厚さが30nm超で、層厚が5μm以上のポーラス層であることを特徴とする請求項1記載の低汚染性に優れたアルミニウム合金部材。
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