JP2010208196A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像濃度が高くフェザリングが少ないシャープエッジな記録物が得られ、インクの吐出安定性にも優れたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】 記録ヘッドを用いて水性インクを記録媒体に付与するインクジェット記録方法において、該記録ヘッドに充填されている水性インクが冷却手段を用いて冷却されており、該水性インクが着色剤として自己分散型顔料を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、安価な装置であることから近年では汎用されており、オフィスなどで一般に使用されているコピー用紙、レポート用紙、ノート、便箋、ボンド紙及び連続伝票用紙などの普通紙に対しても良好な記録を行うことを目的として、インクの組成及び物性などの多様な面から詳細な研究開発がなされている。例えば画像濃度が高く、堅牢性などに優れた記録物を与えることができる着色剤である顔料を含むインクが提案されている。また普通紙の画像濃度/フェザリング/ブリーディングなどに優れた高画質の記録を達成する目的で、高粘度のインクを使用したインクジェット記録装置などの提案もなされている。しかし、高粘度のインクを記録ヘッドから吐出させる際には、より大きなエネルギーを付与しなければならないという課題もあり、ときには吐出そのものが困難となるケースもある。この課題に対しては、インクが記録媒体に付着する前又は/及び後においてインクの粘度を増加させる記録装置などの提案がなされている(特許文献1及び特許文献2参照)。さらに画像濃度の向上目的としては種々の技術が提案されており、例えば、発色の優れた色材を用いる技術、インクの組成によって色材の会合や凝集性を上げることにより、記録媒体上により多くの色材を残す技術が挙げられる。
特開2002−226739号公報 特開2004−167969号公報
しかし、例えば特許文献1では2種以上のインクの境界部で、水酸化バリウムと塩化アンモニウムの吸熱反応による温度低下を利用してインクの粘度を上昇させるのだが、この反応は固形物の析出を伴うため、例えば記録媒体に着弾しなかった小液滴(ミスト)から析出した固形物が記録媒体上以外に付着し、好ましくない弊害を引き起こす可能性がある。また、特許文献2の方法でも効果は得られるものの、より効率的な冷却手段を、より小規模な装置改良によって施すことで、さらなる画像改善効果とコストダウン効果が達成される余地があると考えられる。
そこで、本発明者らは、より効率よく記録媒体に付着後のインクの高粘度を保持し、インクの浸透、拡散を抑制することで色材を記録媒体上又は表層に効果的に残し、高い画像濃度と優れたエッジシャープネスを達成することを目的として検討を進めた。
上記目的は以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドを用いて水性インクを記録媒体に付与するインクジェット記録装置において、該記録ヘッドに充填されている水性インクが冷却手段を用いて冷却されており、該水性インクが着色剤として自己分散型顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明によれば、画像濃度が高くフェザリングが少ないシャープエッジな記録物が得られ、インクの吐出安定性にも優れたインクジェット記録装置が提供される。
以下に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、水性インクを「インク」と省略して呼ぶことがある。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、着色剤として自己分散型顔料を含有するインク、記録ヘッド、記録ヘッドに充填されているインクを冷却する冷却手段、記録媒体からなることを特徴とする。
上記構成とすることで、装置に大掛かりな改造を施すことなく、画像濃度が高くフェザリングが少ないシャープエッジな記録物の記録と、安定したインクの吐出性確保を同時に達成可能である。
上記効果が得られるプロセスを具体的に説明すると、まず記録ヘッドに充填されたインクが冷却手段によって冷却され、それに伴ってインクの粘度も上昇していく。このとき、インクの粘度が高くなり過ぎてしまうと、安定したインクの吐出が阻害されてしまう。自己分散型顔料を着色剤として含有するインクは、分散剤などを用いて分散された顔料を着色剤として含有するインクに比べて、低温度時における粘度上昇が比較的緩やかである特徴を有する。そのため、上記冷却手段によって冷却された際でも安定したインクの吐出性を維持可能である。
この冷却手段によって冷却されたインクは、記録ヘッドからエネルギーを付与されることにより液滴として吐出され、記録媒体に付着される。付着直後のインクは冷却効果によって粘度が上昇しているため、記録媒体への浸透、拡散が抑制されており、含有されている着色剤(自己分散型顔料)も記録媒体の表層近傍に、横方向への過度な滲みもなく局在している。また水分蒸発などの影響でインク中の水と水溶性有機溶剤と着色剤との比率が次第に変化していく過程で、着色剤である顔料粒子は分散状態から凝集状態へと移行していき、凝集した顔料の固形分相と水や水溶性有機溶剤などからなる液体相に固液分離していく。
そして時間の経過と共に、記録媒体に付着したインクは外気や記録媒体との接触によって次第に温度が上昇し、同時に粘度も低下していく。その結果抑制されていた記録媒体への浸透、拡散が活性化するのだが、上記固液分離が既に進行しているため、主に液体成分が浸透、拡散していき、顔料は記録媒体の表層近傍に、横方向への過度な滲みもないまま速やかに定着される。その結果、画像濃度が高くフェザリングが少ないシャープエッジな記録物を、速やかな定着性と共に得ることができる。
(インク)
次に、本発明のインクジェット記録装置に使用するインクを構成する各成分について説明する。
本発明で使用するインクは、着色剤として自己分散型顔料を含有することを特徴とする。自己分散型顔料とは、分散剤を用いないでも顔料の分散が可能な顔料を示し、例えばジアゾカップリング法を用いて親水性基を有する化合物を表面に結合させた顔料、次亜塩素酸ソーダや水中オゾン処理などによる表面酸化処理で親水性基を表面に導入した顔料などが使用可能である。これらの色材は単独では勿論のこと、2種類以上を混合して用いることも可能である。自己分散型顔料は分散剤などを用いて分散させた顔料に比べて、低温度時における粘度上昇が比較的緩やかであり、本発明の効果である高い画像濃度と吐出安定性を同時に達成させるのに好適な材料である。
本発明で使用するインクにおいて使用することのできる顔料粒子は特に限定されず、各種の有機顔料粒子、無機顔料粒子が使用可能である。例えば本発明で使用するインクをブラックインクとして用いる場合は、カーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどを黒色顔料として用いてもよい。
本発明で使用するインクに用いられる水性媒体は、水単独又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である。前記水溶性有機溶剤は、インクの乾燥防止効果を有するものが好ましい。また後述する自己分散型顔料に対して貧溶媒となる水溶性有機溶剤を使用することで、本発明の効果をより得ることが可能となる。また、本発明で使用する水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用することが好ましい。
さらに、本発明で使用するインクには、所望の物性値を持たせるために上記成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(凝集促進剤)
本発明で使用するインクは、凝集促進剤を含有させることで、よりその効果が発揮される。本発明における凝集促進剤とは、塩及び/又は自己分散型顔料に対する貧溶媒を示す。本発明における貧溶媒及び/又は塩は、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きない状態ではインク中に安定に存在するが、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きた際に自己分散型顔料の凝集を促進する作用を有するものである。
貧溶媒及び塩は、具体的には、インクを吐出した後の蒸発や、インクを記録媒体に付与した後に記録媒体の濡れ性が変化することにより、インクを構成する成分の比率の変化が起きた際に、自己分散型顔料の凝集を促進する作用を有する。
本発明で用いる凝集促進剤の具体例は、上記したように、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きない状態では自己分散型顔料がインク中に安定して存在することができるが、インクの蒸発や濡れ性の変化が起きた際に自己分散型顔料の凝集を促進する作用を有するものである。以下に貧溶媒及び塩について説明する。
〔自己分散型顔料に対する貧溶媒〕
本発明でいう貧溶媒とは、顔料の分散方法に関わらず、当該水溶性有機溶剤に対する自己分散型顔料の分散状態を安定に保つことができないもののことをいう。本発明においては、上記した貧溶媒としての挙動を示す水溶性有機溶剤を自己分散型顔料の凝集促進剤として用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の貧溶媒の含有量を、自己分散型顔料が安定に分散することができるように設定する。そして、かかるインクを記録媒体に付与すると、インクが蒸発する過程において貧溶媒の濃度が相対的に増加する。本発明で使用するインクにおける貧溶媒の含有量は、この際に自己分散型顔料が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。本発明においては、自己分散型顔料に対して貧溶媒として作用する水溶性有機溶剤は、下記のようにして、対象となる自己分散型顔料に対する分散安定性を判定して用いる。なお、貧溶媒ではない水溶性有機溶剤を、本発明においては良溶媒と呼ぶ。
より具体的には、下記の方法で、ある自己分散型顔料に対して使用する水溶性有機溶剤が、貧溶媒となっているか否かの判定を行った。まず、下記に挙げた、判定対象の水溶性有機溶剤を含有する、ある自己分散型顔料の分散液A、及び該自己分散型顔料の水分散液B、の2種類の分散液を調製する。
A:判定対象としての水溶性有機溶剤の濃度が50質量%、自己分散型顔料の濃度、又は、自己分散型顔料及びその分散に寄与する物質の総量の濃度が5質量%、水の濃度が45質量%である組成の自己分散型顔料分散液;
B:自己分散型顔料の濃度、又は、自己分散型顔料及びその分散に寄与する物質の総量の濃度が5質量%、水の濃度が95質量%である組成の自己分散型顔料の水分散液。
次に、前記分散液Aを60℃で48時間保存した後に常温に冷ました分散液Aの自己分散型顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR(登録商標)−1000;大塚電子製)などを用いて測定した。また、前記水分散液Bは、加温保存を行わない状態の自己分散型顔料の平均粒径を、上記と同様にして濃厚系粒径アナライザーなどを用いて測定した。そして、前記分散液A及び水分散液Bにおけるそれぞれの自己分散型顔料の平均粒径値を、粒径(A)及び粒径(B)とする。このときに、粒径(A)が粒径(B)よりも大きい場合、前記水溶性有機溶剤を貧溶媒、粒径(A)が粒径(B)と同等又はそれ以下の場合には貧溶媒でないと判定する。

このようにして判定した貧溶媒を用いてインクを調製したところ、前記したような優れた効果が得られることが確認された。
また、以下に述べる検証方法によれば、組成が未知のインクであったとしても、当該インクが本発明の対象物であるか否かを容易に確認することができる。インク中に含まれている有機溶剤の種類、及び量は、例えば、GC/MS(商品名:TRACE DSQ;サーモクエスト(ThermoQuest)社製)を用いて同定が可能である。次に、同定された溶媒が良溶媒であるか、貧溶媒であるかの判定を行う必要がある。前記した良溶媒、貧溶媒の判定方法では、当該溶媒と水とに対し、自己分散顔料を分散させた分散液を調製したが、インクからそのような分散液を調製するためには、インクから顔料や分散剤を抽出する必要がある。しかし、この場合に、抽出処理の過程で、顔料や分散剤が、変質してしまう可能性を否定できない。
これに対して、本発明者らは、組成が未知のインクそのものを用いた良溶媒、貧溶媒の判定方法であって、且つ、先に説明した良溶媒、貧溶媒の判定方法と結果が整合する方法について種々の検討を行った。その結果、下記の方法が、検証方法として好適であることを見いだした。すなわち、前記した検証方法により同定されたインク中の有機溶剤を、該インクに対して同量加えたインク希釈液を調製し、この希釈液を60℃の条件下で、48時間加温保存したものについて、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて顔料の粒径を測定する。一方、加温保存をしない状態の未保存インクついても顔料の粒径を測定する。そして、加温保存後の粒径の測定値が、未保存インクの粒径測定値と比較して、粒径が増加している場合には貧溶媒と、粒径が同じか又は減少している場合には良溶媒と判定する。
本発明で使用するインク中の貧溶媒の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%未満、さらには10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。含有量が3.0質量%を下回る場合、貧溶媒による自己分散型顔料を凝集する効果が得られず、記録媒体の表面により多くの色材を存在させることができないことがある。また、含有量が50.0質量%以上である場合、インクの保存安定性が得られないことがある。なお、前記インクの保存安定性とは、一般に水の蒸発の伴わない状態での保存安定性のことである。
本発明で用いることができる貧溶媒である水溶性有機溶剤の具体例は、ポリエチレングリコール1000(平均分子量1000)、ポリエチレングリコール600(平均分子量600)、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。勿論、本発明で用いることができる貧溶媒はこれらに限られるものではない。
さらに、本発明においては、先に述べた方法で、自己分散型顔料に対する貧溶媒及び良溶媒を判別した後に、インク中の、良溶媒の含有量の合計(質量%)をX、貧溶媒の含有量の合計(質量%)をYとしたときに、X及びYの比率を以下のようにすることが好ましい。すなわち、XとYとの質量比率[良溶媒の含有量の合計(質量%):貧溶媒の含有量の合計(質量%)]が、X:Y=10:5以上10:30以下の範囲内となるように、インクを構成する水溶性有機溶剤の種類と含有量とを調整することが好ましい。なお、「X:Yの比率が、X:Y=10:5以上10:30以下」とは、Xを10としたときにYが5以上30以下ということを意味する。
〔塩〕
本発明において用いる凝集促進剤としての塩は、インク中で電解質として作用するものであれば、いずれのものも用いることができる。本発明においては、塩を自己分散型顔料の凝集促進剤として用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の塩の含有量を、自己分散型顔料が安定に分散することができるように設定する。そして、かかるインクを記録媒体に付与すると、インクが蒸発する過程において塩、すなわち電解質の濃度が相対的に増加する。本発明で使用するインクにおける塩の含有量は、この際に自己分散型顔料が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。
本発明においては、インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態のいずれの形態であってもよい。本発明で使用するインクに用いることができる塩は、下記の陽イオンと、これらの陽イオンに結合する陰イオンで構成される塩のことであり、水に可溶なものであることを要する。塩を形成するための陽イオンは、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。Li、Na、Kなどの1価の金属イオン、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+などの2価の金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+、Y3+などの3価の金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンなど。また、前記した陽イオンに結合する陰イオンは、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。Cl、Br、I、ClO、ClO2−、ClO3−、ClO4−、NO2−、NO3−、SO 2−、CO 2−、HCOO、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COOなど。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で使用するインクにおいては、陽イオンがアンモニウムである場合、優れた耐水性が得られるために、好ましい。特に、NHNO、C(COONH、C(COONH、(NHSOなどは比較的短い時間で耐水性が発現するため、特に好ましい。
また、自己分散型顔料の分散状態を不安定化することができる、水溶性染料やイオン性基を有するポリマーなども本発明においては塩として用いることができる。
インク中の塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下、さらには、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.01質量%を下回る場合、本発明の効果が得られない場合があり、10.0質量%を上回る場合、インクの保存安定性などが得られない場合がある。なお、前記インクの保存安定性とは、一般に水の蒸発の伴わない状態での保存安定性のことである。
(記録ヘッド)
本発明で使用する記録ヘッドは、まず第1にインクにエネルギーを付与してインクを液滴として吐出させる、吐出エネルギー発生手段を有することを特徴とする。該エネルギーとは、電気信号に応じて物理的に変形するピエゾなどの材料から付与される力学的エネルギー、又は電気信号に応じて熱を発生する発熱素子から付与される熱エネルギーを示す。力学的エネルギーを付与する記録ヘッドは、充填されているインクの温度をより制御し易い観点から、本発明においてはより好適に用いられる。
さらに本発明で使用する記録ヘッドは、該記録ヘッドに充填されているインクを冷却する冷却手段を有することを特徴とする。該冷却手段は、記録ヘッドに充填されているインクの一部もしくは全体を所定の温度以下に調節可能なものならば特に制限はない。また該冷却手段によって記録ヘッドに充填されたインクの温度が5℃以下、粘度が5mPa・s以下に調整された場合、良好は記録物及び安定な吐出が得られる点で好ましい。
本発明のインクジェット記録方法を実施するのに必要なその他装置類については特に制限はなく、一般的なインクジェット記録装置の構成ユニットが適用可能である。また記録媒体についても特に制限はないが、記録媒体として一般的な普通紙が使用された際に、本発明の効果がより顕著に現れる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。なお、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[顔料分散液]
(顔料分散液Aの調製)
先ず、5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5gに冷却した状態で4−アミノフタル酸1.5gを加える。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに、5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加える。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌されている状態の溶液中に、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック6gを加えて混合する。その後、さらに15分間撹拌する。次に、得られたスラリーを濾紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水冷し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型顔料Aを作製した。
さらに、上記で得られた自己分散型顔料Aに水を足して顔料濃度が10%となるようにして分散液の濃度を調整した。上記の方法により、カーボンブラックの粒子表面に−C−(COONa)基が導入されている自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液Aを得た。上記で作製した自己分散型顔料Aのイオン性基密度を測定したところ、3.1μmol/mであった。この際に用いたイオン性基密度の測定方法は、下記の通りである。先ず、上記で調製した顔料分散液A中のナトリウムイオン濃度を、イオンメーター(DKK製)を用いて測定した。そして、得られた値から、自己分散型顔料Aのイオン性基密度を換算した。
(顔料分散液Bの調製)
比表面積210m/gで、DBP吸油量74mL/100gのカーボンブラック10部と、酸価100、重量平均分子量5,000、多分散度Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)2.2のスチレン−アクリル酸共重合体の10%水酸化ナトリウム中和水溶液50部と、イオン交換水40部とを混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散させた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmの富士フィルムミクロフィルター((登録商標)富士フイルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散顔料Bを作成した。さらに、上記で得られた樹脂分散顔料Bに水を足して顔料濃度が10%となるように分散させて顔料分散液Bを調製した。
<各水溶性有機溶剤の貧溶媒であるか否か及び良溶媒の判定>
上記顔料分散液A中の顔料に対して貧溶媒又は良溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するために、以下の実験を行った。まず、上記顔料分散液(顔料濃度10質量%)を用いて、以下の配合比にて貧溶媒の判定用分散液A、判定用水分散液Bを調製した。
(貧溶媒の判定用分散液の配合比)
〔判定用分散液A〕
・顔料分散液(顔料濃度10質量%) 50部
・表1に記載の各水溶性有機溶剤 50部
〔判定用水分散液B〕
・顔料分散液(顔料濃度10質量%) 50部
・純水 50部
(判定方法及び判定結果)
次に、上記のようにして調製した判定用分散液A及び判定用水分散液B各10gを、それぞれ透明なガラス製フタつきサンプルビンに入れ、蓋をした後、十分撹拌し、これを60℃で48時間静置した。その後、静置した分散液を測定用サンプルとして、当該分散液中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。60℃、48時間保存後の判定用分散液A及び判定用水分散液B中の顔料の平均粒径が、判定用分散液Aの方が判定用水分散液Bより大きくなる水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定した。また、60℃、48時間保存後の判定用分散液Aの平均粒径が、判定用水分散液Bと同等又はそれ以下になる水溶性有機溶剤を貧溶媒でない、すなわち良溶媒と判定した。
その結果、例えばグリセリンやトリメチロールプロパンなどの水溶性有機溶剤では、顔料の平均粒径の増大が認められず、良溶媒と判定された。また例えばポリエチレングリコール600(重量平均分子量600)では、顔料の平均粒径の増大が認められ、貧溶媒と判定された。
[ブラックインク1の調製]
下記成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターにて加圧ろ過を行い、アニオン性着色剤を含有したブラックインク1を調製した。
グリセリン 8.0部
トリメチロールプロパン 10.0部
アセチレノール(登録商標)E100(川研ファインケミカル製) 0.2部
顔料分散液A 40.0部
純水 41.8部
[ブラックインク2の調製]
下記成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターにて加圧ろ過を行い、アニオン性着色剤を含有したブラックインク2を調製した。
グリセリン 8.0部
トリメチロールプロパン 10.0部
安息香酸ナトリウム 2.0部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製) 0.2部
顔料分散液A 40.0部
純水 39.8部
[ブラックインク3の調製]
下記成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターにて加圧ろ過を行い、アニオン性着色剤を含有したブラックインク3を調製した。
グリセリン 8.0部
ポリエチレングリコール600 10.0部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製) 0.2部
顔料分散液A 40.0部
純水 41.8部
[ブラックインク4の調製]
下記成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターにて加圧ろ過を行い、アニオン性着色剤を含有したブラックインク4を調製した。
グリセリン 8.0部
トリメチロールプロパン 10.0部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製) 0.2部
顔料分散液B 40.0部
純水 41.8部
なお5℃における上記各ブラックインクの粘度は、ブラックインク1が3.9mPa・s、ブラックインク2が4.1mPa・s、ブラックインク3が4.4mPa・s、ブラックインク4が5.9mPa・sであった。
[評価]
記録信号に応じて力学的エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させる、オンデマンド型マルチ記録ヘッドに対して、充填されているインクを任意の温度に冷却可能な温度制御装置を取り付ける改造を行った。
該記録ヘッドに上記ブラックインクを充填し、充填されたインク温度が20℃及び5℃に調整された状態で、PPC用紙GF500(キヤノン製)及びXerox(登録商標)4200(Xerox製)に2cm×2cmのベタ部を含む文字記録を行い、文字品位、及び記録1日後における2cm×2cmのベタ部の画像濃度を評価した。なお文字品位は文字の滲み具合を目視評価、画像濃度は反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を使用して測定した。
その結果、5℃に冷却されたブラックインク1、2、及び3で記録された文字品位及び画像濃度は、20℃の状態で記録されたものに比べて明らかに向上していることが確認された。特に塩や自己分散型顔料に対する貧溶媒を含有するブラックインク2及び3ではその効果がより顕著に現れた。またブラックインク4に関しては、充填されたインクを5℃に冷却すると安定した吐出が得られず、記録物に乱れが生じた。

Claims (7)

  1. 記録ヘッドを用いて水性インクを記録媒体に付与するインクジェット記録装置において、該記録ヘッドに充填されている水性インクが冷却手段を用いて冷却されており、該水性インクが着色剤として自己分散型顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記水性インクがさらに凝集促進剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記凝集促進剤が塩であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記凝集促進剤が前記自己分散型顔料に対する貧溶媒であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記記録ヘッドに充填されている水性インクの粘度が5mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録ヘッドに充填されている水性インクの温度が5℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録媒体が普通紙であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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