JP2010202983A - 無機繊維およびその製造方法 - Google Patents
無機繊維およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010202983A JP2010202983A JP2009046004A JP2009046004A JP2010202983A JP 2010202983 A JP2010202983 A JP 2010202983A JP 2009046004 A JP2009046004 A JP 2009046004A JP 2009046004 A JP2009046004 A JP 2009046004A JP 2010202983 A JP2010202983 A JP 2010202983A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- mol
- inorganic
- inorganic fiber
- forming composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Inorganic Fibers (AREA)
Abstract
【解決手段】SiO2、CaO、およびMgOを必須成分とする無機繊維であって、ケイ素の含有率が5モル%以上80モル%以下、カルシウムの含有率が5モル%以上80モル%以下、マグネシウムの含有率が2モル%以上80モル%以下(ただし、上記の含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対する各元素のモル%である)であり、実質的にアルミニウムを含まず、平均繊維径が100nm以上2000nm以下であり、瘤状の部分を有しないことを特徴とする無機繊維。
【選択図】図2
Description
しかしながら、従来の方法によって得られる繊維は、その繊維径を小さくすることに限界があった。また、2000℃近くの高温による溶融紡糸工程を経なければならないことから、ショットと呼ばれる未繊維化粒子状物が含まれており、当該繊維をフィルター等として使用するためには、ショットを除去する工程が必須となっていた。
しかしながら、従来の方法によって得られる繊維は、その繊維径を小さくすることに限界があった。また、2000℃近くの高温による溶融紡糸工程を経なければならないことから、ショットと呼ばれる未繊維化粒子状物が含まれており、当該繊維をフィルター等として使用するためには、ショットを除去する工程が必須となっていた。
また、ケイ素、酸素、炭素、および、遷移金属からなる極細無機繊維を、エレクトロスピニング法によって作製する技術は、既に提案されている(特許文献3参照)。
2. 繊維径が2000nmより大きい部分を含まない、上記1.記載の無機繊維。
3. 水の存在下で分解する上記1.または2.に記載の無機繊維
4. ケイ素化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、界面活性剤、水、および繊維形成性物質を含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して繊維構造体を得る焼成工程とを含む、上記1.〜3.のいずれか1項に記載の無機繊維の製造方法。
5. 前記繊維形成性物質が、数平均分子量10,000以上300,000以下の有機高分子である上記4.記載の無機繊維製造方法。
6. 有機高分子が、ポリエチレングリコールである上記5.記載の無機繊維製造方法。
7. 繊維形成用組成物中の界面活性剤の割合が、0.05質量%以上5質量%以下である上記4.〜6.のいずれか1項に記載の無機繊維製造方法。
さらに、本発明の無機繊維は、高温環境下に曝されても元の繊維形状を維持しており、このため、耐熱性を要する環境においても、使用することができる。
<無機繊維>
本発明の無機繊維は、SiO2、CaO、およびMgOを必須成分とする無機繊維であって、ケイ素の含有率が5モル%以上80モル%以下、カルシウムの含有率が5モル%以上80モル%以下、マグネシウムの含有率が2モル%以上80モル%以下(ただし、上記の含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対する各元素のモル%である)であり、実質的にアルミニウムを含まず、平均繊維径が100nm以上2000nm以下で瘤状の部分を有しないことを特徴とする無機繊維である。
本発明の無機繊維は、SiO2、CaO、およびMgOを必須成分とする。別途示すケイ素、カルシウム、マグネシウムの含有率を満たし、かつ強度など他の物性に影響が無い限り、他の成分の存在を排除するものでは無い。ただし、実質的にアルミニウム元素を含まないことが肝要である。ドイツの危険物規制では、繊維の溶解性として、その化学組成から下記の式によって定義されるKI値(発癌性指数)という指標値を、生体溶解性ひいては人体への安全性の判断基準として採用している。
KI値=Na2O+K2O+CaO+MgO+BaO+B2O3−2Al2O3(質量%)
本発明の無機繊維におけるケイ素の含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対して5モル%以上80モル%以下であることが肝要である。ケイ素原子の含有率が5モル%未満である場合には、強度が小さくなるため好ましくない。ケイ素の含有率は、10モル%以上75モル%以下であるとより好ましく、40モル%以上70モル%以下であると特に好ましい。
本発明の無機繊維におけるカルシウムの含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対して5モル%以上80モル%以下であることが肝要である。カルシウムの含有率が5モル%未満である場合には、純水への溶解性が小さくなるため好ましくない。カルシウムの含有率は、7モル%以上70モル%以下であるとより好ましく、10モル%以上50モル%以下であると特に好ましい。
本発明の無機繊維におけるマグネシウムの含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対して2モル%以上80モル%以下であることが肝要である。マグネシウムの含有率が2モル%未満である場合には、純水への溶解性が小さくなるため好ましくない。マグネシウムの含有率は、2モル%以上60モル%以下であるとより好ましく、2モル%以上50モル%以下であると特に好ましい。
次に、本発明の無機繊維の平均繊維径について説明する。本発明の無機繊維の平均繊維径は、100nm以上2000nm以下である。本発明の無機繊維は、平均繊維径が100nm以上2000nm以下の範囲にあることにより、高温での使用に耐えうる耐久性を有する。また、無機繊維の平均繊維径が2000nmを超える場合には、繊維の体積が大きくなることによって水存在下での分解性が小さくなるため好ましくなく、一方で、平均繊維径が100nm未満の場合には、無機繊維の強度が小さくなるため好ましくない。
より好ましい平均繊維径は、130nm以上1300nm以下の範囲であり、さらに好ましくは、200nm以上900nm以下の範囲である。
本発明の無機繊維は、瘤状の部分を有しないものであることが肝要である。瘤状の部分を有する無機繊維は強度が低く、使用において問題を生ずる。ここで言う瘤状部分を有するとは、無機繊維を電子顕微鏡などで観察した際、その繊維径が局所的に太くなって、球状または楕円状などの径状の部分があることを言い、繊維径が局所的に最大になっている部分と、繊維径が太くなっていると認められる部分の繊維長との比が1:10〜2:1程度である。
本発明の無機繊維は、繊維径が2000nm以上となる部分を含まないことが好ましい。ここで、「繊維径が2000nm以上となる部分を含まない」とは、電子顕微鏡によって繊維の任意の場所を観察した場合に、2000nm以上となる部分が観察されないことを意味する。繊維が、繊維径2000nm以上となる部分を含む場合には、水存在下での分解性が悪くなり、環境に排出されたときに環境に与える影響が大きくなるため好ましくない。なお、繊維径が1500nm以上となる部分を含まないことがより好ましい。
本発明の無機繊維は、水の存在下で分解することが好ましい。ここで言う、「水の存在下で分解する」とは、無機繊維0.5gを37℃、24時間、50mLの純水中に浸漬したとき、カルシウムイオンの溶出量が5μg/mL以上となることである。この条件を満たせば、環境中に排出されても、環境に重大な影響を与えることなく分解する。
次に、本発明の無機繊維を製造するための態様について説明する。
本発明の無機繊維を製造するには、前述の要件を同時に満足するような無機繊維が得られる手法であればいずれも採用することができるが、ケイ素化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、界面活性剤および、繊維形成性物質を含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して繊維構造体を得る焼成工程とを含む無機繊維の製造を好ましい一態様として挙げることができる。
本発明の無機繊維を得るための好ましい製造方法の一態様に用いられる繊維形成用組成物について説明する。好ましい態様として用いられる繊維形成用組成物は、ケイ素化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物、界面活性剤、水、および、繊維形成性物質を、必須成分として含むものである。繊維形成用組成物の構成について以下に説明する。
ケイ素化合物としては、水を含有する溶媒への溶解性を示し、後の焼成工程においてケイ素酸化物が形成されるものであれば用いることができる。このような化合物としては、例えば、ケイ酸アルキルを水中で加水分解反応させて得られるケイ素化合物等が挙げられる。ケイ酸アルキルとしては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラデシルオキシシラン等を挙げることができるが、溶液の安定性や入手の容易さ等の観点から、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
カルシウム化合物としては、水を含有する溶媒への溶解性を示し、後の焼成工程においてカルシウム酸化物が形成されるものであれば用いることができる。このような化合物としては、例えば、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウムや、塩化カルシウム等が挙げることができるが、後の紡糸工程における安定性等の観点から、硝酸カルシウムを用いることが好ましい。
マグネシウム化合物としては、水を含有する溶媒への溶解性を示し、後の焼成工程においてマグネシウム酸化物が形成されるものであれば用いることができる。このような化合物としては、例えば、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウムや、塩化マグネシウム等が挙げられ、後の紡糸工程における安定性等の観点から、硝酸マグネシウムを用いることが好ましい。
界面活性剤としては、水を含有する溶媒への溶解性を示し、後の紡糸工程において均一な繊維形状の無機繊維を作製することのできるものであればよく、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の各種界面活性剤を用いることができるが、ケイ素、カルシウム、マグネシウム以外の金属イオンを含まないものが、得られる無機繊維の組成に及ぼす影響が少ないため好ましい。
本発明の製造方法における該界面活性剤の添加量は、繊維形成用組成物を基準にして0.05質量%以上5質量%以下となる量が好ましい。
好ましい製造方法の態様において用いられる水は、特に限定されるものではなく、本発明の無機繊維の特性を損なうほどの不純物が含まれるものでなければ用いることができる。なかでも、入手容易性の観点から、蒸留水やイオン交換水を用いることが好ましい。
また、添加する水の量は、ケイ素化合物、カルシウム化合物、および、マグネシウム化合物を溶解し、得られる繊維形成用組成物から無機繊維を作製することのできる量であれば特に限定されるものではないが、繊維形成用組成物中に含まれる金属化合物の質量に対して0.5倍量以上100倍量以下であることが好ましく、1倍量以上50倍量以下であることがより好ましい。
本発明の無機繊維を得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物に曳糸性を持たせるためことを目的として、繊維形成用組成物に繊維形成性物質を溶解または分散させる必要がある。用いられる繊維形成性物質としては、本発明の無機繊維を作製することのできるものであれば特に限定されないが、取り扱い容易さの観点や焼成工程においてによって除去される必要があることから、有機高分子を用いることが好ましい。
本発明の無機繊維を得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物から繊維を形成でき、本発明の要旨を超えない範囲であれば、上記の必須成分以外の成分を、繊維形成用組成物の成分として含有させてもよい。
本発明の無機繊維を得るための好ましい製造方法の態様においては、水を必須成分として用いるが、この水は溶媒としての役割をも果たすものである。好ましい態様においては、繊維形成用組成物の安定性や紡糸の安定性を向上させる観点から、水以外の溶媒、例えば、アルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、カルボン酸類等を併用することも可能であるし、塩化アンモニウム等の塩を添加することも可能である。
繊維形成用組成物調製工程においては、ケイ素化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、界面活性剤、水、および、繊維形成性物質を含む繊維形成用組成物を調製する。
紡糸工程においては、静電紡糸法にて、上記で得られた繊維形成用組成物を噴出することにより、繊維を作製する。以下に、紡糸工程における紡糸方法および紡糸装置について説明する。
好ましい態様の紡糸工程においては、静電紡糸法によって繊維を作製する。ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。なお、紡糸により得られる繊維状物質は、後記する累積工程において、捕集基板である電極上に積層される。
また、形成される繊維状物質は、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒が完全に留去した状態のみならず、溶媒が繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含む。
なお、通常の静電紡糸は室温で行われるが、溶媒の揮発が不十分な場合等、必要に応じて紡糸雰囲気の温度を制御したり、捕集基板の温度を制御したりすることも可能である。
さらに、温度のみならず湿度を制御して紡糸を行うことも可能である。
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
静電場を形成するための電極は、導電性を示しさえすれば、金属、無機物、または有機物等のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物等の薄膜を設けたものであってもよい。
また、静電場は一対または複数の電極間で形成されるものであり、静電場を形成するいずれの電極に高電圧を印加してもよい。これは、例えば、電圧値が異なる高電圧の電極2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極1つの合計3つの電極を用いる場合をも含み、または3つを越える数の電極を用いる場合も含むものとする。
累積工程においては、上記の紡糸工程で得られた繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される繊維状物質を、捕集基板である電極上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。
したがって、捕集基板となる電極として平面を用いれば平面状の繊維集合体を得ることができるが、捕集基板の形状を変えることによって、所望の形状の繊維集合体を作製することができる。また、繊維集合体が捕集基板上の一箇所に集中して累積(積層)される等、均一性が低い場合には、基板を揺れ動かしたり、回転させたりすることも可能である。
また、繊維集合体は上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒が繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含まれる。
焼成工程においては、上記の累積工程において得られた繊維集合体を焼成することにより、本発明の無機繊維の繊維構造体を得る。
焼成にあたっては、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて、焼成雰囲気の気体を置換することが可能な電気炉を用いてもよい。また、焼成温度は、600℃以上1400℃以下の範囲とすることが好ましい。600℃以上で焼成することにより、耐熱性に優れた無機繊維を作製するができる。しかしながら、1400℃以上で焼成すると、無機繊維中の粒成長が大きくなったり、低融点物が溶融したりすることから、力学強度の低下してしまう。より好ましい焼成温度は、600℃以上1200℃以下の範囲である。
実施例および比較例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られた無機繊維の表面を撮影し、写真図を得た。得られた写真図から無作為に20箇所を選択し、フィラメントの径を測定した。繊維径のすべての測定結果(n=20)の平均値を求めて、無機繊維の平均繊維径とした。
得られた無機繊維0.5g又は0.1gを50mLの超純水にひたし37℃で24時間振盪し、延伸分離により上澄みを得た。その上澄みを吸引濾過し、ICP発光分析(バリアン製、VISTA MPX、又は島津製作所製、ICPS−8100)により金属元素の存在を確認した。なお、この溶解性試験における金属元素の検出限界は0.1μg/mLであった。
[繊維形成用組成物調製工程]
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業製)7質量部に、1mol/Lに調製した塩酸水溶液を5質量部添加した。塩酸水溶液を添加した直後は、液体は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。
得られた相溶化した溶液12質量部に、硝酸カルシウム4水和物(和光純薬工業製)4質量部、硝酸マグネシウム6水和物(和光純薬工業製)1質量部、繊維形成性物質としてポリエチレンオキシド(シグマアルドリッチ製、数平均分子量:200,000)0.17質量部、界面活性剤としてプルロニックP123(登録商標、シグマアルドリッチ製、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール共重合体)0.17質量部を混合し、均一な繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置により繊維形成用組成物を噴出し、繊維を紡糸した。さらに、紡糸した繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。なお、このときの噴出ノズル1の内径は0.2mm、電圧は20kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は30cmであった。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて1000℃まで3時間かけて昇温し、その後、1000℃で5時間保持することにより無機繊維の繊維構造体を得た。
得られた無機繊維について、上記の測定・評価を実施した。無機繊維0.5gを用いた溶解性試験(ICP発光分析はバリアン製、VISTA MPXを使用した。)では、カルシウムの溶出量は43μg/mL、ケイ素の溶出量は50μg/mLであり、マグネシウムは検出されなかった。平均繊維径は800nmであった。得られた無機繊維の電子顕微鏡写真を図2に示す。
[繊維形成用組成物調製工程]
実施例1と同様の操作を行い、繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置により繊維形成用組成物を噴出し、繊維を紡糸した。さらに、紡糸した繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。なお、このときの噴出ノズル1の内径は0.25mm、電圧は8kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は30cmであった。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて1000℃まで2時間かけて昇温し、その後、1000℃で2時間保持することにより無機繊維の繊維構造体を得た。
得られた無機繊維について、上記の測定・評価を実施した。無機繊維0.1gを用いた溶解性試験(ICP発光分析は島津製作所製、ICPS−8100を使用した。)では、カルシウムの溶出量が11μg/mL、マグネシウムの溶出量が2.4μg/mL、ケイ素の溶出量が8μg/mLであった。平均繊維径は800nmであった。得られた無機繊維の電子顕微鏡写真を図3に示す。
[繊維形成用組成物調製工程、紡糸工程・累積工程]
実施例2と同様の操作を行い、繊維集合体を得た。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて800℃まで2時間かけて昇温し、その後、800℃で2時間保持することにより無機繊維の繊維構造体を得た。
得られた無機繊維について、上記の測定・評価を実施した。無機繊維0.1gを用いた溶解性試験(ICP発光分析は島津製作所製、ICPS−8100を使用した。)では、カルシウムの溶出量が45μg/mL、マグネシウムの溶出量が0.3μg/mL、ケイ素の溶出量が44μg/mLであった。無機繊維の平均繊維径は800nmであった。得られた無機繊維の電子顕微鏡写真を図4に示す。
[繊維形成用組成物調製工程]
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業製)7質量部に、1mol/Lに調製した塩酸水溶液を5質量部添加した。塩酸水溶液を添加した直後は、液体は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。
得られた相溶化した溶液12質量部に、硝酸カルシウム4水和物(和光純薬工業製)4質量部、硝酸マグネシウム6水和物(和光純薬工業製)1質量部、ポリエチレンオキシド(シグマアルドリッチ製、数平均分子量:200,000)0.17質量部を混合し、均一な繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、実施例1と同様にして、無機繊維の繊維構造体を得た。
得られた無機繊維につき、上記の測定・評価を実施した。その結果、同一繊維上に繊維径が800nmの部位と、2000nmを超過する繊維径の部位を有し、さらに瘤状の部分を多数有する不均一な無機繊維であった。得られた無機繊維の電子顕微鏡写真を図5に示す。
2 繊維形成用組成物
3 繊維形成用組成物保持槽
4 電極
5 高電圧発生器
Claims (7)
- SiO2、CaO、およびMgOを必須成分とする無機繊維であって、ケイ素の含有率が5モル%以上80モル%以下、カルシウムの含有率が5モル%以上80モル%以下、マグネシウムの含有率が2モル%以上80モル%以下(ただし、上記の含有率は、該無機繊維における酸素以外の元素の存在量の総和に対する各元素のモル%である)であり、実質的にアルミニウムを含まず、平均繊維径が100nm以上2000nm以下であり、瘤状の部分を有しないことを特徴とする無機繊維。
- 繊維径が2000nmより大きい部分を含まない、請求項1記載の無機繊維。
- 水の存在下で分解する請求項1または2に記載の無機繊維。
- ケイ素化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、界面活性剤、水、および繊維形成性物質を含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して繊維構造体を得る焼成工程とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機繊維の製造方法。
- 前記繊維形成性物質が、数平均分子量10,000以上300,000以下の有機高分子である請求項4記載の無機繊維製造方法。
- 有機高分子が、ポリエチレングリコールである請求項5記載の無機繊維製造方法。
- 繊維形成用組成物中の界面活性剤の割合が、0.05質量%以上5質量%以下である請求項4〜6のいずれか1項に記載の無機繊維製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009046004A JP5536353B2 (ja) | 2008-07-31 | 2009-02-27 | 無機繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008197746 | 2008-07-31 | ||
JP2008197746 | 2008-07-31 | ||
JP2009024805 | 2009-02-05 | ||
JP2009024805 | 2009-02-05 | ||
JP2009046004A JP5536353B2 (ja) | 2008-07-31 | 2009-02-27 | 無機繊維およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010202983A true JP2010202983A (ja) | 2010-09-16 |
JP5536353B2 JP5536353B2 (ja) | 2014-07-02 |
Family
ID=42964744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009046004A Expired - Fee Related JP5536353B2 (ja) | 2008-07-31 | 2009-02-27 | 無機繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5536353B2 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5006979B1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-08-22 | ニチアス株式会社 | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
JP2012214956A (ja) * | 2012-03-06 | 2012-11-08 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
WO2012153806A1 (ja) * | 2011-05-11 | 2012-11-15 | ニチアス株式会社 | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 |
JP2013067940A (ja) * | 2012-12-11 | 2013-04-18 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
JP2013112602A (ja) * | 2011-12-01 | 2013-06-10 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維及びその製造方法 |
WO2013094113A1 (ja) * | 2011-12-23 | 2013-06-27 | ニチアス株式会社 | 生体溶解性無機繊維及びその製造方法 |
WO2014076775A1 (ja) * | 2012-11-14 | 2014-05-22 | ニチアス株式会社 | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000220037A (ja) * | 1999-01-28 | 2000-08-08 | Nichias Corp | 生理学的媒体に可溶な非晶質無機繊維 |
JP2005515307A (ja) * | 2002-01-10 | 2005-05-26 | ユニフラックス コーポレイション | 高温耐性ガラス質無機繊維 |
JP2006152468A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Saint-Gobain Tm Kk | 無機繊維およびその製造方法 |
WO2008030457A2 (en) * | 2006-09-06 | 2008-03-13 | Corning Incorporated | Nanofibers, nanofilms and methods of making/using thereof |
JP2008057072A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Teijin Ltd | 希土類金属元素含有結晶性金属酸化物繊維およびその製造方法 |
-
2009
- 2009-02-27 JP JP2009046004A patent/JP5536353B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000220037A (ja) * | 1999-01-28 | 2000-08-08 | Nichias Corp | 生理学的媒体に可溶な非晶質無機繊維 |
JP2005515307A (ja) * | 2002-01-10 | 2005-05-26 | ユニフラックス コーポレイション | 高温耐性ガラス質無機繊維 |
JP2006152468A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Saint-Gobain Tm Kk | 無機繊維およびその製造方法 |
JP2008057072A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Teijin Ltd | 希土類金属元素含有結晶性金属酸化物繊維およびその製造方法 |
WO2008030457A2 (en) * | 2006-09-06 | 2008-03-13 | Corning Incorporated | Nanofibers, nanofilms and methods of making/using thereof |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5006979B1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-08-22 | ニチアス株式会社 | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
WO2012132287A1 (ja) | 2011-03-31 | 2012-10-04 | ニチアス株式会社 | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
WO2012153806A1 (ja) * | 2011-05-11 | 2012-11-15 | ニチアス株式会社 | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 |
JP2013112602A (ja) * | 2011-12-01 | 2013-06-10 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維及びその製造方法 |
WO2013094113A1 (ja) * | 2011-12-23 | 2013-06-27 | ニチアス株式会社 | 生体溶解性無機繊維及びその製造方法 |
JP2013133546A (ja) * | 2011-12-23 | 2013-07-08 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維及びその製造方法 |
JP2012214956A (ja) * | 2012-03-06 | 2012-11-08 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
WO2014076775A1 (ja) * | 2012-11-14 | 2014-05-22 | ニチアス株式会社 | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 |
CN103958138A (zh) * | 2012-11-14 | 2014-07-30 | 霓佳斯株式会社 | 陶瓷纤维的制造方法和陶瓷纤维制造用的陶瓷原料组合液 |
CN103958138B (zh) * | 2012-11-14 | 2016-05-04 | 霓佳斯株式会社 | 陶瓷纤维的制造方法和陶瓷纤维制造用的陶瓷原料组合液 |
JP2013067940A (ja) * | 2012-12-11 | 2013-04-18 | Nichias Corp | 生体溶解性無機繊維の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5536353B2 (ja) | 2014-07-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5536353B2 (ja) | 無機繊維およびその製造方法 | |
JP2010189798A (ja) | ショットを含まない無機繊維及びその製造方法 | |
KR100988751B1 (ko) | 세라믹 섬유 및 그 제조 방법 | |
KR101494160B1 (ko) | 은 나노 섬유 제조용 전기방사 용액 조성물 | |
JP5155188B2 (ja) | セラミック繊維およびセラミック繊維の製造方法 | |
JP2008057072A (ja) | 希土類金属元素含有結晶性金属酸化物繊維およびその製造方法 | |
JP4612476B2 (ja) | ジルコニア繊維の製造方法 | |
WO2014076775A1 (ja) | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 | |
US9156731B2 (en) | Inorganic fibers | |
WO2007123114A1 (ja) | チタニア繊維およびチタニア繊維の製造方法 | |
JP4746366B2 (ja) | チタニア繊維およびチタニア繊維の製造方法 | |
JP4669326B2 (ja) | 無機繊維紙およびその製造方法 | |
WO2012114565A1 (ja) | 無機繊維 | |
JP2018083998A (ja) | セラミックナノファイバの製造方法 | |
JP5655094B2 (ja) | 無機繊維およびその製造方法 | |
KR20200138206A (ko) | 금속 산화물 섬유의 제조 방법 및 금속 산화물 섬유 | |
JP2008038314A (ja) | チタニア繊維およびチタニア繊維の製造方法 | |
JP2009221052A (ja) | 複合粉体 | |
JP6076225B2 (ja) | フィラー分散有機樹脂複合体 | |
JP5830087B2 (ja) | セラミックス繊維の製造方法及びセラミックス繊維製造用のセラミックス原料組成液 | |
TWI426060B (zh) | 多孔質成形體用收縮纖維 | |
JP2005089913A (ja) | 無機繊維およびその製造方法 | |
KR102183306B1 (ko) | 이산화티탄 나노섬유 전기방사용액 조성물 및 이를 이용한 이산화티탄 나노섬유 제조방법 | |
JP2018090926A (ja) | 繊維状物を製造する方法 | |
JP2005200779A (ja) | パラ型芳香族ポリアミド系繊維、繊維構造体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110705 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110705 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130801 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130813 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131007 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140401 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140424 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5536353 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |