JP2006152468A - 無機繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱履歴を有した使用後の状態でも、優れた溶解性を維持するAES繊維およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 CaOおよびSiO2の各成分を含み、400℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維と、CaO、MgOおよびSiO2の各成分を含み、600℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維と、そのような無機繊維の製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】 CaOおよびSiO2の各成分を含み、400℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維と、CaO、MgOおよびSiO2の各成分を含み、600℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維と、そのような無機繊維の製造方法。
【選択図】 図2
Description
本発明は、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維とその製造方法に関する。たとえば、本発明は、耐熱性および断熱性を有する無機繊維とその製造方法、特に、無機繊維が熱履歴を有した後も、生体内において溶解性を発現することによって、人体に吸入されても有害性が小さい無機繊維とその製造方法に関するものである。
無機繊維の用途は多岐にわたっている。無機繊維は、一般に、耐熱性や断熱性に優れることから、特に、耐熱、防火、断熱、保温などの特性が要求される材料の原料や素材として使用されることが多い。
無機繊維は、天然のものと人工のものとに大別される。天然の無機繊維の代表的なものとしては、クロシドライト、アモサイト、クリソタイル等、一括して「アスベスト」と呼ばれるものが挙げられる。アスベストは、体内に吸入されると、呼吸器疾患、さらには、がんを発生させることが知られており、国際がん研究機関(IARC)でも、発がん性物質であるグループ1に分類されている。
一方、人工の無機繊維に関しては、その空気力学的特性がアスベストに類似するものは、アスベストと同様に、その吸入による有害性が指摘されている。
無機繊維の有害性は、吸入される繊維の、1)量(Dose)、2)径、長などの寸法(Dimension)、3)体内での耐久性(Durability)という、3Dと呼ばれる3つの要因に大きく依存することが報告されている。近年、特に、上記3)の吸入繊維の体内での耐久性という要因に注目がなされ、吸入繊維が体内で溶解し、その溶解した成分が有害でなければ、その繊維の有害性は小さいという認識がなされた。この認識は、無機繊維の産業界に溶解性無機繊維の開発を促す結果となった。
上記の溶解性無機繊維のひとつとして、例えば、特許文献1に開示される非晶質アルカリ土類ケイ酸塩繊維(AES繊維)が挙げられる。
特開2004−36050号公報
無機繊維は、それ自身が有する優れた特性ゆえに、前述のように、特に、耐熱、防火、断熱、保温などの特性が要求される材料の原料や素材として使用される。結果として、無機繊維は高温に曝されることが多い。
一方、無機繊維の溶解性は、その無機繊維が受けた熱履歴に大きく依存することが指摘されている。しかしながら、非晶質アルカリ土類ケイ酸塩(AES)繊維の熱履歴が、それ自身の溶解性に及ぼす影響はほとんど明らかになっていない。
一般に、使用後のAES繊維は、様々な熱履歴を有しうる。例えば、AES繊維を炉壁に使用した場合、炉内に近い部位ほど高温の熱履歴を持つようになり、一方、炉内から遠い部位ほど低温の熱履歴しか持たなくなる。
使用前には、溶解性を有していて、有害性が低いと見なされているAES繊維であっても、熱履歴を有した使用後においては、AES繊維の溶解性が変化している可能性が高く、その有害性が変化していることも十分にあり得る。
したがって、熱履歴を有した使用後のAES繊維が粉塵となって飛散した場合、その粉塵の吸入による有害性が増大してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、熱履歴を有した使用後の状態でも、優れた溶解性を維持するAES繊維およびその製造方法を提供することを目的としている。
本願発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、AES繊維の熱履歴と溶解性との関係を明らかにして、下記(1)(2)および(3)を見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
(1)CaOおよびSiO2成分を含む非晶質アルカリ土類ケイ酸塩(AES)繊維の生理食塩水への溶解率は、400℃付近の加熱処理によって著しく低下する。しかしながら、400℃を越える温度の加熱処理によって、該AES繊維の生理食塩水への溶解率は上昇に転じ、900℃未満の加熱処理温度まで、該AES繊維の生理食塩水への溶解率は高い値を維持する。
予め、CaOおよびSiO2成分を含むAES無機繊維を400℃を超え900℃未満の温度範囲で加熱処理をしておけば、その後に、該AES繊維が、製品として使用中に400℃付近の温度に長い時間にわたって曝された場合でも、生体溶解性が低下することがない。そのため、該AES繊維が粉塵となって飛散した場合でも、その粉塵の吸入による有害性を低減することが可能である。
(2)CaO、MgOおよびSiO2成分を含む非晶質アルカリ土類ケイ酸塩(AES)繊維の生理食塩水への溶解率は、200〜600℃の加熱処理によって著しく低下する。しかしながら、600℃を越える温度の加熱処理によって、該AES繊維の生理食塩水への溶解率は上昇に転じ、900℃未満の加熱処理温度まで、該AES繊維の生理食塩水への溶解率は高い値を維持する。
予め、CaO、MgOおよびSiO2成分を含むAES無機繊維を600℃を超え900℃未満の温度範囲で加熱処理をしておけば、その後に、該AES繊維が製品として使用中に200〜600℃の温度に長い時間にわたって曝された場合でも、生体溶解性が低下することがない。そのため、該AES繊維が粉塵となって飛散した場合でも、その粉塵の吸入による有害性を低減することが可能である。
(3)生理食塩水への溶解率は、加熱処理後の状態で、100μg/ml以上とするのが好ましいが、さらに好ましくは、加熱処理後の状態で、CaOおよびSiO2系繊維(#1)では300μg/ml以上、CaO−MgO−SiO2系繊維(#2)では200μg/ml以上とし、最適には、加熱処理後の状態で、CaOおよびSiO2系繊維(#1)では400μg/ml以上、CaO−MgO−SiO2系繊維(#2)では250μg/ml以上とする。
本発明によれば、無機繊維は、使用後も優れた溶解性を維持する。したがって、使用後の無機繊維が粉塵となって飛散したとしても、その粉塵の吸入による有害性を低く抑えることが可能となる。
以下に、本発明の最良の形態を、詳細に説明する。
本発明にかかる無機繊維の一例は、CaOおよびSiO2成分を主な成分として含むアルカリ土類ケイ酸塩(AES)からなる繊維(以下、単にAES繊維と略称することもある)であり、400℃を超えた(好適には500℃以上の)温度範囲で加熱処理されていることを特徴とし、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である。
本発明にかかる別の無機繊維の例は、CaO、MgOおよびSiO2成分を主な成分として含むアルカリ土類ケイ酸塩(AES)からなる繊維(以下、単にAES繊維と略称することもある)であり、600℃を越えた(好適には700℃以上の)温度範囲で加熱処理されていることを特徴とし、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上である。
本願発明者は、AES繊維のうち、CaO−SiO2系繊維#1およびCaO−MgO−SiO2系繊維#2について、加熱処理が繊維の生体溶解性に及ぼす影響を検討するために、表1に示す化学組成および繊維径分布を有するAES繊維#1および#2に110〜1100℃の範囲の温度で24時間の加熱処理を行い、それぞれの温度で加熱処理されたAES繊維の生体溶解性の評価を行った。
加熱処理を行ったAES繊維については、粉末X線回折(XRD)分析を行い、相の同定を行った。測定条件は40kV−30mAである。
AES繊維の生体溶解性の評価方法について説明する。
AES繊維の生体溶解性の評価は、体液の本質である生理食塩水へのAES繊維の溶解率を測定することにより行った。
さらに、前記の溶解性の評価のための、AES繊維の溶解率の測定に使用する生理食塩水には、pH4を示すフタル酸塩:C6H4(COOK)(COOH)の0.05mol/l溶液を添加した。このフタル酸溶液の添加は次の理由による。
一般に、肺胞内に沈着した粉じんのクリアランスは、マクロファージと呼ばれる食細胞によって行われると考えられている。粉じんを貧食したマクロファージは活性化され、活性酸素やタンパク分解酵素などを放出するため、マクロファージに取り込まれた粉じんはpH4付近の酸性環境に曝されると言われている。そこで、本発明の溶解性の評価では、溶解実験の初期条件として、液体を上記の酸性環境に設定するために、pH4を示すフタル酸溶液の添加を行ったのである。フタル酸イオン自身は、一般に、ガラスの溶解にほとんど影響を及ぼさないことが知られている。
また、一般に、アルカリ土類成分の液体への溶出は、液体のpHの上昇をもたらすが、pHが12〜13になると、溶出したMgイオンは水酸化物となって沈殿してしまう。このような溶出成分の沈殿は、溶解率の測定に支障を来すことがあり得る。したがって、フタル酸溶液の添加によって、実験の初期条件を酸性側に設定しておくことは、上記の溶出成分の沈殿を防ぐ効果をも有する。
AES繊維の溶解率の測定方法の詳細は以下の通りである。
まず、200メッシュ(目開き0.075mm)のふるいを通過するまで解砕した繊維試料を1g精秤する。それを300mlのコニカルビーカーに取り、生理食塩水を150ml加え、さらに前述の0.05mol/lフタル酸塩水溶液を5ml添加した後、コニカルビーカーに栓をする。前記の繊維試料および液体が入ったコニカルビーカーを40℃に制御された恒温水槽に設置して、120rpmの速度で50時間の水平振とうを行う。その後、ガラスろ過器によるろ過および乾燥を行い、不溶解繊維を精秤して、溶解による繊維の減量を求める。溶解による繊維の減量から、液体の単位体積当たりの繊維の溶解重量を算出し、これを繊維の溶解率とした。
XRD分析によって得られた、AES繊維試料#1および#2の加熱処理による相の変化を図1に示す。
図1に示されているデータは、試料を各温度で24時間加熱処理した後、XRD分析によって相の同定を行った結果であるため、相変化が生じる厳密な温度を示すものではなく、溶解実験に供したAES繊維試料がどのような相によって構成されているかを示すためのものである。
図1に示すように、AES繊維試料#1および#2は、どちらも、加熱処理温度が700℃までの場合は非晶質(ガラス質)である。そして、加熱処理温度が800℃以上になると、AES繊維の結晶化が生じ、AES繊維の化学組成の系に応じた結晶質アルカリ土類ケイ酸塩の相が生成している。すなわち、CaO−SiO2系組成の#1では、800℃でウォラストナイト(CaSiO3)が生成し、CaO−MgO−SiO2系組成の#2では、800℃でウォラストナイトおよびディオプサイド(理想式:CaMgSi2O6)が生成する。
AES繊維と反応終了後の液体は、すべてpH11以下であった。したがって、pHの上昇による、AES繊維から溶出した成分の沈殿は生じていない。
本発明のAES繊維は、生理食塩水中での溶解率が100μg/ml以上である。溶解率がこのような条件を満たす値であれば、AES繊維は、優れた溶解性を有すると判断することができる。
表2を参照して、AES繊維試料#1(CaO−SiO2系組成)および#2(CaO−MgO−SiO2系組成)の加熱処理温度と生理食塩水中での溶解率との関係を説明する。
表2から明らかなように、#1では、400℃−24時間の加熱処理で、生理食塩水溶解率は90μg/mlであったが、400℃を超えると、同じ加熱時間でも生理食塩水溶解率は、著しく増加する。好ましい生理食塩水溶解率は、前述のように100μg/ml以上であるが、より好ましくは、#1では、300μg/ml以上、最適には、400μg/ml以上である。
他方、#2では、600℃−24時間の加熱処理で、生理食塩水溶解率は39μg/mlであったが、600℃を超えると、同じ加熱時間でも生理食塩水溶解率は、著しく増加する。好ましい生理食塩水溶解率は、前述のように100μg/ml以上であるが、より好ましくは、#2では、200μg/ml以上、最適には、250μg/ml以上である。
さらに、AES繊維試料#1(CaO−SiO2系組成)および#2(CaO−MgO−SiO2系組成)の加熱処理温度と生理食塩水中での溶解率との関係を図2を参照して説明する。
図2に示されているように、AES繊維試料#1(CaO−SiO2系組成)は、加熱処理温度が300℃までは、高い溶解率を有している。しかしながら、加熱処理温度が400℃近くになると、溶解率は急激に低下してしまう。しかしながら、加熱処理温度が400℃を超えて500℃に向けて上昇すると、溶解率が再び急激に増大する。このことから、CaOおよびSiO2成分を含むAES繊維が、使用中に400℃付近の温度に長時間にわたって曝されてしまうと、そのAES繊維の生体溶解性は著しく低下した状態になってしまい、使用後のAES繊維から粉塵が発生した場合に、その粉塵の吸入による有害性が増大してしまう。ところが、CaOおよびSiO2成分を含むAES繊維を予め400℃を越えた温度(好適には500℃以上)で加熱処理を行っておけば、400℃付近での使用後の繊維であっても、優れた溶解性を維持しておくことが可能となる。
図2に示されているように、AES繊維試料#2(CaO−MgO−SiO2系組成)は、加熱処理温度が110℃では、高い溶解率を有している。しかしながら、加熱処理温度が200℃近くになると、溶解率は急激に低下してしまい、600℃まで溶解率は低下したまま、ほとんど変化が見られない。しかしながら、加熱処理温度が600℃を超えて700℃に向けて上昇すると、溶解率が再び急激に増大する。このため、CaO、MgOおよびSiO2成分を含むAES繊維が、使用中に200℃〜600℃の温度範囲に長い時間にわたって曝されてしまうと、そのAES繊維の生体溶解性は著しく低下した状態になってしまい、使用後のAES繊維から粉塵が発生した場合に、その粉塵の吸入による有害性が増大してしまう。
ところが、CaO、MgOおよびSiO2成分を含むAES繊維を予め600℃を越えた温度(好適には700℃以上)で加熱処理を行っておけば、200℃〜600℃の温度範囲での使用後の繊維であっても、優れた溶解性を維持しておくことが可能となる。
CaOおよびSiO2成分を含むAES繊維、または、CaO、MgOおよびSiO2成分を含むAES繊維は、生理食塩水中での溶解率が、200℃〜600℃の加熱処理の温度範囲で極小になるが、その理由は、以下のように考えることができる。
ガラス網目構造は、高温において、より開いた構造を有する。溶融物の急冷処理は、この開いた構造を“凍結”させるため、急冷処理して得られたガラスは、徐冷して得られたガラスよりも開いた構造を有している。
AES繊維は、原料の溶融物を流下させ、流下してくる溶融物に、高圧の空気または水蒸気を噴射する方法(ブローイング法)、または、溶融物を、高速に回転するホイール(円板)に流下させる方法(スピニング法)により製造される。すなわち、AES繊維は原料の溶融物を急冷して得られるため、その製法に起因して、より開いたガラス網目構造を有している。
ガラスの密度は、一般に、加熱処理によって変化することが知られている。この密度の変化は、ガラスが急冷されて、徐冷が不十分であるために、そのガラスがより開いた網目構造を有していることによるものである。したがって、加熱処理が、そのガラスの徐冷処理に相当する場合、その加熱処理は、開いていたガラスの網目構造をより閉塞させる。その結果として、加熱処理によってガラスの密度が増大する。一方、ガラスの網目構造は、高温ではより開いた構造を有するため、加熱処理がそのガラスにとっての徐冷温度を超えて高い場合には、そのガラスの網目はより開いた構造をとるようになり、結果として、そのガラスの密度は低下する。このような理由から、ガラスの密度は、ある加熱処理温度で極大値を示す。ある種のソーダライムシリカガラスにおいては、加熱処理によって、その密度が、470℃〜600℃の範囲で極大値を示すことが知られている。
急冷されて、より開いた網目構造を有するガラスは、徐冷されて、より閉塞した網目構造を有しているガラスに比べて、溶解性が高いことが知られている。
したがって、図2に示されるように、CaOおよびSiO2成分を含むAES繊維、または、CaO、MgOおよびSiO2成分を含むAES繊維は、生理食塩水中での溶解率が、200℃〜600℃の加熱処理の温度範囲で極小値を示すが、その理由は、その加熱処理が、AES繊維にとって徐冷処理に相当し、ガラスの網目構造の閉塞が生じることによるものであると考えることができる。
本発明によれば、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維は、900℃未満の温度で加熱処理されることが好ましく、さらには、無機繊維は、加熱処理された後も非晶質であることが、より好ましい。図1に示すように、800℃以上の温度で24時間加熱処理されたAES繊維#1および#2は、どちらも結晶質アルカリ土類ケイ酸塩であるウォラストナイトやディオプサイドが生成されている。結晶化の進行は、一般に、その溶解性を低下させ得ると考えられる。しかしながら、800℃で24時間加熱処理されたAES繊維#1および#2は、どちらも、結晶質アルカリ土類ケイ酸塩の結晶化が認められるにもかかわらず、図2に示されるように、高い溶解率を維持している。これは、900℃未満の加熱処理では、この結晶質アルカリ土類ケイ酸塩の結晶化は不完全であり、非晶質のアルカリ土類ケイ酸塩の部分が残存していることを示唆する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
原料として、珪石と、ウォラストナイトと、必要に応じてマグネシアクリンカーを使用した。これらの原料を所定量混合する。それを電気炉で溶融した後、溶融物を常法にしたがって繊維化し、集綿して、表3に示す化学組成のAES繊維を得た。得られたAES繊維を、表3に示す条件で加熱処理を行った。次に、加熱処理されたAES繊維の生体溶解性の評価を行った。生体溶解性の評価は、前述した条件でのAES繊維の生理食塩水中での溶解率を測定することによって行った。生理食塩水中での溶解率が100μg/ml以上の値であれば、AES繊維は優れた溶解性を有すると判断することができる。
実施例1〜4は、CaOおよびSiO2を主成分として含む化学組成であり、400℃を越える(500℃以上の)温度で24時間の加熱処理を行ったAES繊維である。実施例1〜4は、すべて、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であり、優れた溶解性を有している。
実施例5〜6は、CaO、MgOおよびSiO2を主成分として含む化学組成であり、600℃を越える(好ましくは700℃以上の)温度で24時間の加熱処理を行ったAES繊維である。実施例5〜6は、すべて、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であり、優れた溶解性を有している。
比較例1は、CaOおよびSiO2を主成分として含む化学組成であり、400℃で24時間の加熱処理を行ったAES繊維である。生理食塩水への溶解率が100μg/ml未満であり、溶解性に劣っている。
比較例2〜6は、CaO、MgOおよびSiO2を主成分として含む化学組成であり、200〜600℃の範囲で24時間の加熱処理を行ったAES繊維である。生理食塩水への溶解率が、いずれも100μg/ml未満であり、溶解性に劣っている。
Claims (7)
- CaOおよびSiO2の各成分を含み、400℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であることを特徴とするアルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維。
- CaOおよびSiO2の各成分を含み、400℃を超え900℃未満の温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であることを特徴とするアルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維。
- CaO、MgOおよびSiO2の各成分を含み、600℃を超える温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であることを特徴とするアルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維。
- CaO、MgOおよびSiO2の各成分を含み、600℃を超え900℃未満の温度で加熱処理されており、生理食塩水への溶解率が100μg/ml以上であることを特徴とするアルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維。
- 無機繊維が非晶質であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維。
- CaOおよびSiO2の各成分を含むアルカリ土類ケイ酸塩繊維を、400℃を超え900℃未満の温度で加熱処理することを特徴とする、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維の製造方法。
- CaO、MgOおよびSiO2の各成分を含むアルカリ土類ケイ酸塩繊維を、600℃を超え900℃未満の温度で加熱処理することを特徴とする、アルカリ土類ケイ酸塩からなる無機繊維の製造方法。
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