JP2010201040A - シートヒータ温度調節装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒータ部72、74を備える車両用シート8の温度を調節するシートヒータ温度調節装置1は、車両のシート8の表面に配設された操作面2に対する乗員9の掌92の接触、摺動をセンサ3によって検出して検出信号Dを発生する検出手段と、検出信号Dの継続時間及び繰返し間隔を計測する計時手段と、該繰返し間隔に対する該継続時間の比率により掌92の特定の動作を判定してシートヒータの温度変更を指示する判定手段と、を備える。各手段は、コントローラ4を中心とする制御部12によって構成される。掌92の特定の動作は、人が温熱を感じたときの自然な動作に擬するものとすることができる。
【選択図】図2
Description
従来、発熱体に自己温度制御性を有するPTC抵抗体を使用し、発熱体への通電を制御することによって発熱温度をほぼ一定に維持するカーシートヒータが知られている(特許文献1を参照)。しかしながら、この従来例においては、着座した乗員の温熱感に対応することは考慮されていない。
また、着座した乗員に一定の温熱感を与えるために、シートに圧力センサと複数のヒータ部を設け、シートと乗員との密着度に応じて各ヒータ部の発熱量を変更する車両用シート装置が開示されている(特許文献2を参照)。これによれば、スイッチの操作によってヒータ部の温度設定ができ、乗員とシートとの密着度によりシート表面へ供給される熱量が変更されるため、乗員の着座姿勢にかかわらず一定の温熱感を乗員に与えることが可能になっている。
しかし、シートや操作パネルには、シートヒータの他、電動シート、空気調節装置、ナビゲーションシステムなど各種車載機器・装置を操作調整するためのスイッチ等(摘み、操作ボタン、操作レバー等)が多数配設されている。車載装置のデザイン面からみれば、スイッチ等はそれぞれ人が操作し易いようにするため小さくすることができず、多数のスイッチ等を配列することは困難になっている。
また、乗員にとっても、車両の走行中にシートヒータの温度を変更しようとすると、その操作スイッチの位置や目盛を確認しなければ困難であるという問題がある。運転者の場合には、視線を走行方向からそらしてスイッチ等を視認しなければならないとすると脇見運転につながることとなる。
しかも、スイッチ等による操作方法は、乗員にその装置の動作をイメージさせるものでない場合が多い。車載装置の操作方法は、例えば、シートの操作レバーを前方にスライドさせるとシートが前方に移動するような、スイッチ操作による装置の動作を乗員が直感的にイメージできるものであることが望ましい。しかし、一般に温度調節用のスイッチとしてプッシュボタンや回転式の摘み等が用いられているため、操作とそれによる装置の動作とが乗員のイメージの上で結び付かず、このため乗員は意図した操作を直感的に行うことができないというという問題がある。
1.車両のシートに備えられるシートヒータの温度を調節するシートヒータ温度調節装置であって、該シートの表面に配設された操作面に対する乗員の掌の接触及び/又は該掌の摺動を検出して検出信号を発生する検出手段と、該検出信号の継続時間及び繰返し間隔を計測する計時手段と、該繰返し間隔に対する該継続時間の比率により該掌の特定の動作を判定し、該判定に基づき該温度の変更を指示する判定手段と、を備えることを特徴とするシートヒータ温度調節装置。
2.前記判定手段は、前記継続時間及び前記繰返し間隔が所定の範囲であるとき前記判定を行う前記1.記載のシートヒータ温度調節装置。
3.前記判定手段は、前記検出信号の繰返し回数を検出し、該繰返し回数に対応して前記温度の変更を指示する前記1.又は2.に記載のシートヒータ温度調節装置。
4.前記判定手段は、前記検出信号が所定回数繰り返された後、又は所定時間継続した後に、前記計時手段によって計測される前記継続時間及び前記繰返し間隔により前記特定の動作を判定する前記1.乃至3.のいずれかに記載のシートヒータ温度調節装置。
5.前記検出手段は、前記操作面又はその直下にタッチセンサ又は近接センサを備える前記1.乃至4.のいずれかに記載のシートヒータ温度調節装置。
6.前記タッチセンサ又は近接センサは、光電センサ又は赤外線センサである前記5.記載のシートヒータ温度調節装置。
7.前記タッチセンサ又は近接センサは静電容量センサである前記5.記載のシートヒータ温度調節装置。
8.前記掌の接触及び/又は該掌の摺動を検出するための検出用電極を備え、該検出用電極は、前記操作面として形成され又は該操作面の直下に配設されている導電性織布である前記7.記載のシートヒータ温度調節装置。
また、前記判定手段は、前記検出信号の繰返し回数を検出し、該繰返し回数に対応して前記温度の変更を指示すれば、乗員の温熱感の程度に応じてシートヒータの温度を上げ下げすることができる。
また、前記判定手段は、前記検出信号が所定回数繰り返された後、又は所定時間継続した後に、前記計時手段によって計測される前記継続時間及び前記繰返し間隔により前記特定の動作を判定すれば、偶発的な信号や乗員による不規則な動作の影響を取り除くことができ、乗員の意図的な掌の特定の動作を確実に検出して温度を調整することができる。
前記タッチセンサ又は近接センサは、光電センサ又は赤外線センサであれば、掌の動作による受光量の変化を簡易な構成により検出することができ、周囲の機器の動作に影響を及ぼす高周波電磁界を放射することがない。
また、前記タッチセンサ又は近接センサは静電容量センサであれば、シート表面の操作面又はその直下に容易に配設することができ、簡易な構成により掌の動作を安定に検出することが可能となる。
さらに、前記掌の接触及び/又は該掌の摺動を検出するための検出用電極を備え、該検出用電極は、前記操作面として形成され又は操作面の直下に配設されている導電性織布であれば、デザインの自由度が増し、可撓性に優れ、シートの外装の一部として一体に形成することも可能となる。
本発明のシートヒータ温度調節装置は、乗員の掌の接触及び/又は掌の摺動が、繰り返し又は継続してされたとき、その動作を検出した信号の時間的変化の特徴から、掌による1又は2以上の特定の動作を判定して、その判定に応じてシートヒータの温度の変更を指示するように構成される。例えば、一つの特定の動作として、掌により操作面を繰り返し摺動する動作が検出された場合には、人が寒く感じるときの前記両掌を合わせて摩る動作に擬して、シートヒータの温度を上げるように制御することができる。また、別の特定の動作として、掌を操作面に繰り返し短い時間接触する動作が検出された場合には、前記の掌又はその指で熱い物体に触れたときに直ぐに離す動作に擬して、シートヒータの温度を下げるように制御することができる。
図1に示すように、車両のシート8は、シートクッション82とシートバック84から構成され、シートの表面材とパッドとの間に発熱体を備えたヒータ部が配設されて、シート表面材を温めるようにされている。図1では、シートクッション82に座面のヒータ部72が装着され、シートバック84に背面のヒータ部74が装着される例を表すが、ヒータ部の数、構成、配置等は問わない。
本発明のシートヒータ温度調節装置1は、図2に示すように、操作面2、センサ3及び制御部12を備える。制御部12は、信号処理部38、コントローラ4、記憶部5、報知部6及び電力供給部7を備える。電力供給部7には、ヒータ部(72、74)が接続されている。各部には、車両のバッテリから給電を受ける電源(図示せず)によって、必要な電力が供給される。
前記操作面2、センサ3、及び信号処理部38の一部は、検出手段を構成する。前記コントローラ4の一部は計時手段を構成する。また、前記信号処理部38の一部、コントローラ4及び記憶部5は判定手段を構成する。
センサ3は、操作面2に対してされた乗員の掌92の動きによって変化する物理量(光量、電界、静電容量等)を検出して電気信号に変換するものであり、掌92の動きに応じて時間的に変化する電気信号を取り出せる限り、種類や方式等を問わない。
信号処理部38は、センサ3で検出された信号に対して増幅、濾波、ノイズ除去、2値化等の処理を行うことにより検出信号Dを生成し、検出信号Dをコントローラ4に出力する。
コントローラ4が備えるカウンタ又はソフトウェアによって、前記検出信号Dのオン、オフの時間的な変化(継続時間、繰り返し間隔等)を計測する計時手段が構成される。
記憶部5には、掌92の特定の動作を判定するためにあらかじめ定められた値(継続時間、繰り返し間隔、繰返し間隔に対する該継続時間の比率等)が格納されている。記憶部5は、コントローラ4に備えられているメモリ(ROM等)であってもよい。コントローラ4は、前記計時手段によって計測された検出信号Dの継続時間、繰り返し間隔等を、記憶部5に記憶されている所定の値と比較することによって、掌92の特定の動作を判定するように構成される。
なお、別途に設けられたシートヒータの入切スイッチ、温度設定スイッチ等からの信号が制御部12に入力されてもよい。コントローラ4は、これら別途のスイッチ等による指示と前記判定の結果とを併せて、ヒータのオン・オフや温度変更を指示するように構成することができる。
センサ3として、掌92の操作面2への接触を検出するタッチセンサや、操作面2の直下に配設され、掌92の近接を検出する近接センサを用いることができる。タッチセンサ又は近接センサとして、例えば、フィルム状の感圧センサ、光電センサ、赤外線センサ、静電容量センサ等を使用することができる。
センサ3として、赤外線センサを備えてもよい。赤外線センサは、前記のような発光素子を使用することなく、掌92から放射される赤外線を光検出素子により受光するものであり、その受光量の変化によって掌92の動きを検出することができる。光検出素子としては、例えば、サーモパイル、ボロメータ、フォトダイオード等を挙げることができる。
さらに、図6に示すように、静電容量センサの検出用電極35を、操作面2として形成され又は操作面2の直下に配設されている導電性織布とすることができる。導電性織布とは、ステンレス線やカーボン繊維、メッキ繊維等の導電性繊維を適宜に織り込んだ布をいう。導電性織布として、例えば、2〜3mm程度の間隔でステンレス線等の導電性繊維を織り込んだ織布を使用すれば、耐久性、経済性に優れた検出用電極35を実現することができる。また、検出用電極35を任意の形状、寸法とすることができ、シート8(82)の他の部分を構成する表面材と一体に形成することが可能となる。
前記のとおり、本シートヒータ温度調節装置1は、乗員が温度調整を意図して行う特定の動作を判定する。その一つの特定の動作は、乗員が掌により操作面を繰り返し摩る動作(以下、「動作1」という。)とすることができる。また、別の特定の動作は、乗員が掌により操作面を繰り返しタッチする動作(以下、「動作2」という。)とすることができる。さらに、乗員が掌を操作面に宛がって静止させる動作(以下、「動作3」という。)を特定の動作の一つとすることもできる。
図7は、シートクッション82の側面部に操作面2が設けられ、その操作面2上において乗員の掌92が動かされる状態を説明する図である。前記動作1は、図7(a)に示すように、操作面2を中心として、掌92aによって反復して摩るような動作である。動作方向(同図イ)は、操作面2とほぼ平行な面内でいずれの方向でもよい。また、前記動作2は、図7(b)に示すように、操作面2を掌(指)92bによって反復して触れるような動作であり、掌92bは操作面2とほぼ垂直方向に動くこととなる(同図ロ)。
次に、判定手段により、検出信号Dの変化が、乗員が温度調節を意図して行った前記特定の動作に対応するか否かが判断される。乗員が操作面2に対して掌を繰返し摺動等させると、一連の検出信号Dは、図9(a)に示すようにon、offを繰り返すように変化する。グラフの横軸は時間である。人間の動作が繰り返される速さは一様ではないため、検出信号D(D1、D2、D3、・・・)の継続時間(Tb1、Tb2、Tb3、・・・)、及び繰返し間隔(Ta1、Ta2、Ta3、・・・)は、反復されるごとに異なることとなる。
一方、一連の検出信号D(D1、D2、D3、・・・)について、前記比率が所定の値よりも小さいときは、前記動作2がされたものと判定することができる。判定手段は、図10(a)に示すように、前記比率(Tb1/Ta1、Tb2/Ta2、Tb3/Ta3、・・・)が、所定値(例えば0.5)よりも小さければ、動作2がされたものと判定し、同図(b)に示すように、シートヒータの温度を下げるように指示する。これに従って、電力供給部7はヒータ部の発熱体の発熱量を減らすように制御される。
例えば、図9に示すように前記動作1が行われた場合、検出信号D3によって温度を1段階高くし、さらに検出信号D4によって温度を1段階高くするように指示することができる。また、図10に示すように前記動作2が行われた場合、検出信号D3によって温度を1段階低くし、さらに検出信号D4によって温度を1段階低くするように指示することができる。これにより、乗員の温熱感の程度に応じてシートヒータの温度を上げ下げすることができる。
例えば、図9及び図10においては、初期の2回の検出信号D1,D2は無効として、その後の検出信号D3、D4によって特定の動作を判定し、温度の変更を指示する例を示している。これにより、ノイズの他、乗員又は他の要因によって偶然に生じた信号を除くことができ、乗員の意図的な動作のみを判定の対象とすることができる。
例えば、図11に示すように、検出信号Dの継続時間Tb1の長さに対応して温度を上げる又は下げるように、時間Tcの経過ごとに温度の変更を指示(C1、C2)することができる。また、乗員又は他の要因によって偶然に生じた信号の影響を除くため、検出信号Dがonとなってから一定の時間(Tm)on状態が継続するまでは判定をしないようにすることができる。
シートヒータ温度調節装置1は、初期状態(S0)から、検出手段によって検出信号Dが出力されるまで待機する(S10)。
検出信号Dがonとなった後、その時間的変化をみるため、計時手段により継続時間Tb及び繰返し間隔Taを計測する(S20)。そして、判定手段は、計測された継続時間Tb及び繰返し間隔Taを記憶部5に格納されているあらかじめ定められた値と比較することにより、所定の範囲内であるかどうかを判断する(S25)。計測された継続時間Tb及び繰返し間隔Taが所定の範囲内でない場合には、ノイズ等意図しない信号であると判断してステップS0へ戻る。
ステップS25において、継続時間Tb及び繰返し間隔Taが所定の範囲内であった場合には、乗員が意図した動作である可能性があるため、検出信号Dが所定回数(例えば2回)繰り返して生起したことを確認する(S30)。
ステップS30において、継続時間Tb及び繰返し間隔Taが所定の範囲内である検出信号Dが所定回数生起したことを確認した場合には、特定の動作のいずれであるかを判定するため、検出手段によってあらためて継続時間Tb及び繰返し間隔Taを計測する(S40)。前記同様に、判定手段は、計測値が所定の範囲内であるかどうかを確認する(S45)。計測値が所定の範囲から外れた場合には、乗員の意図が中断されたものとして初期状態(S0)に戻る。
ステップS45において、継続時間Tb及び繰返し間隔Taが所定の範囲内であった場合には、判定手段は繰返し間隔Taに対する継続時間Tbの比率を求め、その比率を記憶部5に格納されているあらかじめ定められた値と比較する(S50)。これにより、所定値以上であれば前記動作1と判定し、前記比率が所定値より小さい場合には前記動作2と判定することができる。
ステップS50において動作1と判定した場合は、判定手段はシートヒータの温度を1段上昇させるように指示する(S55)。ヒータ部への供給電力を直接に制御可能な構成であれば、ヒータ部の発熱量を増やすように制御することができる。
また、ステップS50において動作2と判定した場合は、シートヒータの温度を1段下げるように指示する(S65)。ヒータ部への供給電力を直接に制御可能な構成であれば、ヒータ部の発熱量を減らすように制御することができる。
前記温度の変更は、報知手段によって、乗員に知らせることができる(S70)。さらに、前記ステップ(S40〜S70)を繰り返すことによって、乗員の掌の動作の繰返し回数に対応して温度を上下させるように指示することができる。
Claims (8)
- 車両のシートに備えられるシートヒータの温度を調節するシートヒータ温度調節装置であって、
該シートの表面に配設された操作面に対する乗員の掌の接触及び/又は該掌の摺動を検出して検出信号を発生する検出手段と、
該検出信号の継続時間及び繰返し間隔を計測する計時手段と、
該繰返し間隔に対する該継続時間の比率により該掌の特定の動作を判定し、該判定に基づき該温度の変更を指示する判定手段と、
を備えることを特徴とするシートヒータ温度調節装置。 - 前記判定手段は、前記継続時間及び前記繰返し間隔が所定の範囲であるとき前記判定を行う請求項1記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記判定手段は、前記検出信号の繰返し回数を検出し、該繰返し回数に対応して前記温度の変更を指示する請求項1又は2に記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記判定手段は、前記検出信号が所定回数繰り返された後、又は所定時間継続した後に、前記計時手段によって計測される前記継続時間及び前記繰返し間隔により前記特定の動作を判定する請求項1乃至3のいずれかに記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記検出手段は、前記操作面又はその直下にタッチセンサ又は近接センサを備える請求項1乃至4のいずれかに記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記タッチセンサ又は近接センサは、光電センサ又は赤外線センサである請求項5記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記タッチセンサ又は近接センサは静電容量センサである請求項5記載のシートヒータ温度調節装置。
- 前記掌の接触及び/又は該掌の摺動を検出するための検出用電極を備え、該検出用電極は、前記操作面として形成され又は該操作面の直下に配設されている導電性織布である請求項7記載のシートヒータ温度調節装置。
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