以下、本発明に係る遊技機の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、パチスロ機等の遊技機に適用できるが、このうち、パチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は本発明に係るパチンコ遊技機の斜視図である。パチンコ遊技機Pは縦長長方形状の金属製の機枠1を有し、該機枠1の前面に一側を軸着され自在に開閉する遊技盤取付枠2が配設される。該遊技盤取付枠2には、その前側から遊技盤4が着脱自在に配置される。また、遊技盤4の下方であって遊技盤取付枠2の前面に打球発射機構(図示せず。)が設けられる。本発明では、前記機枠1と遊技盤取付枠2とにより遊技機本体P1を構成するものとする。
前記遊技盤4の前面に、渦巻き状に敷設された内・外側ガイドレール6a,6bにより囲われるようにして遊技部4aが形成される。該遊技部4aには、中央上部に文字、数字等の図柄を変動表示する電子ディスプレー7を備えた大型の変動表示装置8が装着される。また、その下方に、第一・第二始動入賞口9a,9bがそれぞれ上下に位置して配設される。第一始動入賞口9aは、遊技部4aに打ち込まれた遊技球であるパチンコ球が入賞することにより該パチンコ球を電気的に検出する。また、第二始動入賞口9bは左右に起立または逆ハの字状に傾動する一対の開閉翼10,10を有し、同じく遊技部4aに打ち込まれた遊技球が、変動表示装置8の一側に配置される通過チャッカー11を通過して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、一対の開閉翼10,10が短い時間1回開くようになっており、その間に遊技球としてのパチンコ球が入賞すると、該パチンコ球を電気的に検出する。そして、これら第一・第二始動入賞口9a,9bに入賞したパチンコ球が電気的に検出されると、前記電子ディスプレー7の図柄が変動を開始する。
前記第一・第二始動入賞口9a,9bの下方に、開閉扉12aが前側へ傾動して一度に多くの入賞球を発生させる大型の大入賞口12が配設される。なお、前記第一・第二始動入賞口9a,9bに入賞して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、前記電子ディスプレー7に特定の当り図柄が表示されて大当りが発生し、前記開閉扉12aが所定時間(例えば約30秒または大入賞口12が10個の入賞球を検出するまで)開放し、これが連続して所定回数(例えば15回)繰り返される。遊技部4aの下部であって第一・第二始動入賞口9a,9bの両側に、普通入賞口13,13が設けられている。14は内側ガイドレール6aの中央下部に設けられ、遊技部4aに打ち込まれるも入賞球となり得なかったパチンコ球をパチンコ遊技機Pの外部へ排出するためのアウト球口である。
遊技盤取付枠2の前面に、遊技盤4の遊技部4aが臨む透窓16が開設された前面枠17が配設される。該前面枠17は、遊技盤取付枠2の前面一側に軸着され自在に開閉するようになっている。また、該前面枠17はその横幅が遊技盤取付枠2の横幅と同じ寸法を有し、透窓16にはガラス板または合成樹脂板からなる透明板18が装着される。また、前面枠17の下部に、賞球又は貸し球としてのパチンコ球を貯留し前記打球発射機構の発射部へ供給するための球受皿19が装着されている。その一側で前面枠17の前面に、打球発射機構から発射されるパチンコ球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル20が設けられる。
次に、施錠装置について説明する。図2に示すように遊技盤取付枠2における開放側の外側面に遊技盤取付枠の施錠装置21が組み付けられ、前面枠17の開放側の後面に前面枠の施錠装置22が組み付けられている。これら施錠装置21,22は金属製であって、前後方向で互いにほぼ対向位置することになる。また、機枠1における開放側の側板1a内面に、その上下部に位置して側面コ字型の掛止片15,15が一体にかつ水平に突設されている。これは遊技盤取付枠の施錠装置21における後記する後向係止片43,47を掛け止めさせるためのものである。
図3、図4に示すように遊技盤取付枠の施錠装置21は、遊技盤取付枠2における開放側の外側面に固着される平断面角筒状の上下に長い鉛直固定枠23と、該鉛直固定枠23内に収納され前面枠17に施錠する一対の上・下部前面枠施錠杆24a,24bと、同じく鉛直固定枠23内に収納され機枠1に施錠する一対の上・下部取付枠施錠杆25a,25bと、同じく鉛直固定枠23内に収納されこれら上・下部前面枠施錠杆24a,24bと上・下部取付枠施錠杆25a,25bをそれぞれ動作させる作動杆26と、同じく鉛直固定枠23内に収納され上・下部前面枠施錠杆24a,24bと上・下部取付枠施錠杆25a,25bを手動で作動させる手操作杆27と、からなる。なお、鉛直固定枠23は、更に内側の内枠カバー23aと外側の外枠カバー23bとの二部材により形成される。そして、外枠カバー23b側から上・下部前面枠施錠杆24a,24b、作動杆26、上・下部取付枠施錠杆25a,25b、手操作杆27の順で配置される。
上部前面枠施錠杆24aは、前端縁の上・下部に前方へ水平に突設され先端に下側を向く鉤状の前向係止片28,28が設けられ、上・下部に縦長孔29a,29bが開設されると共に両縦長孔29a,29bにそれぞれ内・外枠カバー23a,23b間に差し渡された水平な一対の上部ガイドピン30a,30bが挿通され、これら上部ガイドピン30a,30bに沿って上下動するようになっている。また、中寄り位置にバネ通孔31が開設され、下端部に掛止孔32が開設されている。下部前面枠施錠杆24bは、前端縁の下部のみに前方へ水平に突設され先端に下側を向く前向係止片33が設けられ、上下端部に縦長孔34a,34bが開設されると共に両縦長孔34a,34bにそれぞれ内・外枠カバー23a,23b間に差し渡された水平な一対の下部ガイドピン35a,35bが挿通され、これら下部ガイドピン35a,35bに沿って上下動する。また、同じく中寄りの上下位置に掛止孔36とバネ通孔37が開設されている。
作動杆26には、前端縁における中央より少し下位置に前方へ水平に突出する係合突起38が設けられる。また、作動杆26の上端と下端から少し中央より位置にそれぞれ内枠カバー23a側へ突出する内曲片39a,39bが設けられ、作動杆26の下端と上端から少し中央より位置にそれぞれ外枠カバー23b側へ突出する外曲片40a,40bが設けられている。両内曲片39a,39bはそれぞれ上・下部取付枠施錠杆25a,25bを作動させるためのものであり、両外曲片40a,40bは上・下部前面枠施錠杆24a,24bを作動させるためのものである。更に、作動杆26には、上端の内曲片39aとその下方の外曲片40a及び下端の外曲片40bとその上方の内曲片39bの間にそれぞれ縦長孔41a,41bが開設され、これら縦長孔41a,41bに両上部ガイドピン30a,30bのうちの下に位置する上部ガイドピン30bと両下部ガイドピン35a,35bのうちの上に位置する下部ガイドピン35aがそれぞれ挿通される。これにより、作動杆26がこれら上部ガイドピン30bと下部ガイドピン35aに沿って上下動する。
上部取付枠施錠杆25aは、後端縁の上部に後方へ水平に突設され先端に上側を向く鉤状の後向係止片43が設けられ、上下端部に縦長孔44a,44bが開設されると共に両縦長孔44a,44bにそれぞれ一対の前記上部ガイドピン30a,30bが挿通される。そして、上部取付枠施錠杆25aがこれら上部ガイドピン30a,30bに沿って上下動する。また、中央よりの上下位置にバネ通孔45と掛止孔46がそれぞれ開設されている。下部取付枠施錠杆25bは、後端縁の下部に後方へ水平に突設され先端に上側を向く後向係止片47が設けられる。下部取付枠施錠杆25bの上下端部に縦長孔48a,48bが開設されると共に、両縦長孔48a,48bにそれぞれ前記両下部ガイドピン35a,35bが挿通される。これにより、下部取付枠施錠杆25bがこれら下部ガイドピン35a,35bに沿って上下動する。また、下部取付枠施錠杆25bの中央にバネ通孔49が開設されている。
手操作杆27は、後端縁の下部に後方へ突設する手動摘み50が設けられている。また、手操作杆27の上端部と中央より少し下方位置に連結孔51a,51bが開設される。上の連結孔51aに前記作動杆26における上端の内曲片39aが嵌入し、下の連結孔51bに作動杆26における下の内曲片39bが嵌入し、作動杆26と共に手操作杆27が連動するようにしている。手操作杆27の上下部にもそれぞれ縦長孔52a,52bが開設され、上部の縦長孔52aに前記両上部ガイドピン30a,30bのうちの下の上部ガイドピン30bが挿通され、下部の縦長孔52bに前記両下部ガイドピン35a,35bのうちの上の下部ガイドピン35aが挿通される。これにより、手操作杆27が上・下部ガイドピン30b,35aに沿って上下動することになる。
そして、上・下部前面枠施錠杆24a,24b、作動杆26、上・下部取付枠施錠杆25a,25b、手操作杆27をこの順で外枠カバー23b側へ重ね合わせ、反対側に内枠カバー23aを重ねて互いに挟むようにして一体に組み付ける。この際、上部前面枠施錠杆24aにおけるバネ通孔31の上端と上部取付枠施錠杆25aにおけるバネ通孔45の下端との間に引っ張りコイルバネ53が介装される。同様に、下部前面枠施錠杆24bにおけるバネ通孔37の上端と下部取付枠施錠杆25bにおけるバネ通孔49の下端との間にも引っ張りコイルバネ53が介装される。これにより、上・下部前面枠施錠杆24a,24bは引っ張りコイルバネ53の弾性力によって常に下方へ付勢され、上・下部取付枠施錠杆25a,25bは常に上方へ付勢されている。また、上・下部前面枠施錠杆24a,24bにおける各前向係止片28,28,33が、鉛直固定枠23の前面に開設された第1開口54から前方へ突出している。作動杆26の係合突起38も、鉛直固定枠23の前面に開設された第2開口55から前方へ突出している。一方、上・下部取付枠施錠杆25a,25bにおける各後向係止片43,47は鉛直固定枠23の後面に開設された第3開口56から後方へ突出しており、手操作杆27における手動摘み50も鉛直固定枠23の後面に開設された第4開口57から後方へ突出している。
更に、作動杆26における上端縁の内曲片39aが上部取付枠施錠杆25aにおける掛止孔46の下端に当接し、下の内曲片39bが下部取付枠施錠杆25bの上端縁に当接するようになっている。これにより、作動杆26の下動と共に上・下部取付枠施錠杆25a,25bが引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動する。因みに、作動杆26が上動しても各内曲片39a,39bは前記同じ個所に当接することはないので、上・下部取付枠施錠杆25a,25bが上動することはない。また、作動杆26における上の外曲片40aが上部前面枠施錠杆24aにおける掛止孔32の上端に当接し、下端縁の外曲片40bが下部前面枠施錠杆24bにおける掛止孔36の上端に当接するようになっている。これにより、作動杆26の上動と共に上・下部前面枠施錠杆24a,24bが引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。因みに、作動杆26が下動しても各外曲片40a,40bは前記同じ個所に当接することはないので、上・下部前面枠施錠杆24a,24bが下動することはない。手操作杆27は作動杆26と連結されているので、手操作杆27は作動杆26と同じ動作を行う。
図2、図5に示すように前面枠の施錠装置22は、前面枠17の後面の開放側に固着される縦長の鉛直固定プレート58を備えている。そして、該鉛直固定プレート58における上部と中央部と下部とに位置させて、それぞれ後方へ突出する平面コ字形の屈曲凸部59が設けられ、該各屈曲凸部59の後面に前記上・下部前面枠施錠杆24a,24bの各前向係止片28,28,33が係止し得る係止孔60が開設されている。また、鉛直固定プレート58の下部には、シリンダー錠61が装着される。該シリンダー錠61は前端面の鍵穴62が前面枠17の前側に露出する錠本体61aと該錠本体61aの後端部に固着される取付片部61bとからなり、該取付片部61bを前面枠17の後面にあてがって螺子63で固着される。更に、シリンダー錠61の錠軸64が錠本体61aの後方へ突出しており、該錠軸64の後端に上下の両端部を上・下カム片65a,65bとした略C形のカム部材65が固着され、両上・下カム片65a,65bは外側すなわち前面枠17の外周縁側を向いている。
鉛直固定プレート58の下部であってシリンダー錠61の一側外周縁側に、該鉛直固定プレート58に沿って上下方向に摺動する可動部材66が配置される。該可動部材66は平断面がクランク状をなし、前面枠17の後面と平行な鉛直固定プレート58の底面に接する上部平板部67aに上下方向に長い上部ガイド孔68が開設され、該上部ガイド孔68に鉛直固定プレート58に植設したガイドピン69が挿通される。また、鉛直固定プレート58の底面に接する下部平板部67bにも、上下方向に長い第1下部ガイド孔70が開設される。該下部平板部67bの後面には第1下部ガイド孔70を覆うようにして補助板71が重ねられ、該補助板71にも第1下部ガイド孔70と連通する第2下部ガイド孔72が開設される。そして、これら第1・第2下部ガイド孔70,72に鉛直固定プレート58に植設したガイドピン73が挿通される。これにより、可動部材66が上下のガイドピン69,73に沿って上下方向に摺動することになる。
補助板71にあっては、その上端一側に上フック74が設けられ、これと対応してその下方の鉛直固定プレート58に下フック75が設けられ、これら上・下フック74,75間に引っ張りコイルバネ76が張設される。また、補助板71の他側に上フック77が設けられ、これと対応してその下方の可動部材66に下フック78が設けられ、これら上・下フック77,78間にも引っ張りコイルバネ79が張設される。また、可動部材66における上・下部平板部67a,67bと直交する起立板部67cに、前記錠軸64の後端に固着されたカム部材65の上・下カム片65a,65bと対向位置して該上・下カム片65a,65bがそれぞれ錠軸64の回動と共に突入し係合し得る上・下係合凹部80a,80bが設けられる。更に、その後方であって可動部材66における上・下部平板部67a,67bと平行をなす後側板部67dに、連結用切欠部81が設けられる。該連結用切欠部81には、前記遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26から前方へ突出した係合突起38の先端部が挿入される。
そこで、例えばパチンコ遊技機Pの前側からシリンダー錠61の鍵穴62に鍵82を差し込み、該鍵穴62を正面から見て時計回り方向に鍵82を回動させると、錠軸64後端のカム部材65が同方向へ回動し該カム部材65の上カム片65aが可動部材66における上係合凹部80aに係合して該可動部材66を下動させる。これにより、連結用切欠部81に挿入された係合突起38と共に遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動する。該作動杆26が下動すると、機枠1の各掛止片15から後向係止片43,47が外れて該機枠1に対し前面枠17と共に遊技盤取付枠2が開錠される。また、前記鍵82をその鍵穴62を正面から見て反時計回り方向に回動させると、錠軸64後端のカム部材65が同方向へ回動し該カム部材65の下カム片65bが可動部材66における下係合凹部80bに係合して該可動部材66を上動させる。これにより、連結用切欠部81に挿入された係合突起38と共に遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。該作動杆26が上動すると、上・下係合凹部80a,80bから前向係止片28,28,33が外れて遊技盤取付枠2に対して前面枠17が開錠される。
図6に示すようにシリンダー錠61の下方であって前記可動部材66の後面に、後方へ水平に突出するロック部材83が設けられる。該ロック部材83の後端には外側すなわち機枠1の側板1a側へ直角に屈曲する鉤片83aが支軸99により軸着され、該鉤片83aが水平面内で自在に回動するようになっている。ただし、直角位置から後側へは回動し得ない構成が採られる。また、鉤片83aの下部前面とロック部材83の下端から下方へ突出された受片100との間に圧縮コイルばね101が介装される。これにより、鉤片83aは常に後方すなわち可動部材66とは反対側へ付勢されることになる。該ロック部材83と対向位置して機枠1における側板1aの内面に、前面枠17が故意に開放されるのを検知する不正検出装置84が配設される。不正検出装置84は、前記側板1aの内面にビス85止めされる取付基板86と、該取付基板86にビス87止めされる保持枠88と、該保持枠88の後方に位置し同じく取付基板86に設けられる検出手段としての近接スイッチ89とから概ね構成される。該保持枠88の上部に前後方向にかつ水平に貫設される保持孔90が形成され、該保持孔90に前後方向に沿って水平に摺動するスライド部材91が挿通される。該スライド部材91は、金属製であってその前端に内側すなわちロック部材83側へ水平に屈曲し該ロック部材83の鉤片83aと噛み合う鉤部91aが設けられ、後端には該鉤部91aと同方向へ屈曲する検知板91bが設けられている。また、スライド部材91の一側面と保持枠88の上部との間に引っ張りコイルバネ92が張設され、該スライド部材91は引っ張りコイルバネ92により常に後方へ付勢され停止している。近接スイッチ89は取付基板86から突設した支持板86aの前面に取り付けられ、該近接スイッチ89の検知部89aと検知板91bとの間は所定の間隔に保たれている。
スライド部材91が常態で停止しているときは、ロック部材83後端の鉤片83aとスライド部材91前端の鉤部91aとが互いに噛み合っている。そこで、例えばこのまま遊技盤取付枠2に対して前面枠17を前側へ開放しようとすると、前記鉤片83aと鉤部91aが当接してロック部材83と共にスライド部材91も引っ張りコイルバネ92の付勢に抗して前側へ引かれる。これにより、近接スイッチ89の検知部89aと検知板91bとの間隔が広がり、これを近接スイッチ89が検知する。検知信号はホールコンピュータ(図示せず。)に送信され、前面枠17が開放されたことを知らせる。スライド部材91が引っ張りコイルバネ92の付勢に抗して移動できる距離は、前面枠17が故意に開放されて不正が行なわれない範囲で適宜選ばれる。また、可動部材66が上動すると、上下方向で前記鉤片83aと鉤部91aが互いに外れ、この状態で前面枠17が開いてもスライド部材91は停止しており、前面枠17の開放動作が検出されることはない。
前面枠17を前側へ撓ませて行なわれる不正行為を防止するため、図5に示すように前面枠17後面の下部中央に撓み防止板93が配置される。該撓み防止板93は、支軸94によりほぼ中央部で前面枠17に軸着され、該前面枠17の後面に沿って自在に回動するようになっている。そして、常には鉛直方向に対して傾斜しており、上端部に切欠凹部95が設けられる。また、撓み防止板93の下端部と前面枠17の後面との間に引っ張りコイルバネ96が張設され、撓み防止板93の下端部側を常に下方へ付勢するようにしている。下端部側が下方へ付勢され停止している状態では、上端部の切欠凹部95が上昇して遊技盤取付枠2の下部前面に一体に設けた金属製の係留杆97に係合する。すなわち、該係留杆97の下面には凹溝97aが設けられ、撓み防止部材93の切欠凹部95が凹溝97aに係合することになる。
前記撓み防止板93における下端部の上端縁にプッシュプルワイヤ98の一端が接続される。該プッシュプルワイヤ98の他端は前記下動部材66に接続されている。そこで、可動部材66の上動と共にプッシュプルワイヤ98が可動部材66側へ引かれると、撓み防止板93の下端部側が前記引っ張りコイルバネ96の付勢に抗して上方へ回動し、係留杆97の凹溝97aから撓み防止板93の切欠凹部95が外れることになる。よって、前面枠17が閉じられた状態では、撓み防止板93における上端部の切欠凹部95が遊技盤取付枠2の下部前面に突設された係留杆97の凹溝97aに係合しており、この状態では、前面枠17の前側への撓みが防止されるので、これによる不正が防止される。一方、パチンコホールの従業員が鍵82をシリンダー錠61に差し込み反時計回り方向へ回動させ前面枠17を正常に開放するときは、図5鎖線に示すように可動部材66の上動動作と共にプッシュプルワイヤ98を介して撓み防止板93の下端部が上方へ回動し、係留杆97の凹溝97aと切欠凹部95との係合が外れる。このようにして、前面枠17の開放動作を支障なく行なえるようにしている。
本発明に係るパチンコ遊技機Pは上記構成からなり、次に作用を説明する。まず、パチンコ遊技機Pがパチンコホールに設置されている常態では、図7、図10実線に示すように機枠1の開放側の側板1aの内側面に設けられた掛止片15に遊技盤取付枠の施錠装置21における後向係止片43,47が係合し、遊技盤取付枠2が機枠1に施錠される。また、遊技盤取付枠の施錠装置21における前向係止片28,28,33が前面枠の施錠装置22における鉛直固定プレート58の係止孔60に係合して、前面枠17が遊技盤取付枠2に施錠されている。この状態では、図8に示すように可動部材66における後側板部67dから後方へ突出するロック部材83後端の鉤片83aとスライド部材91前端の鉤部91aとが互いに噛み合う位置で配置され停止している。また、撓み防止板93は図5実線に示すように引っ張りコイルバネ96の付勢により下端部側が下方に位置し、上端部切欠凹部95が遊技盤取付枠2の下部前面に設けられた係留杆97の凹溝97aに係合している。よって、遊技盤取付枠2及び前面枠17はいずれも正常な状態で開放できなくなっている。
そこで、遊技盤取付枠2に対して前面枠17を正常に開錠する場合は、図10矢印方向に示すようにパチンコ遊技機Pの前側からシリンダー錠61の鍵穴62に鍵82を差し込み、該鍵穴62を前側から見て反時計回り方向に回動させる。これにより、錠軸64後端のカム部材65が同じく反時計方向へ回動し、前面枠の施錠装置22における可動部材66が上動する。同時に、遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。更に、作動杆26の上下部に設けられた外当板40a,40bがそれぞれ上・下部前面枠施錠杆24a,24bを引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動させる。そして、図10鎖線に示すように上・下部前面枠施錠杆24a,24bの前向係止片28,28,33が上昇して鉛直固定プレート58の係止孔60との係合が外れ、前面枠17を開放することができるようになる。この際、可動部材66に設けられたロック部材83後端の鉤片83aと不正検出装置84におけるスライド部材91先端の鉤部91aとは外れており(ロック部材83後端の鉤片83aがスライド部材91先端の鉤部91aより上方に位置する。)、その前面枠17の開放動作に支障を来たす恐れはない。
逆に、開放された前面枠17を閉じる場合は、前面枠17をそのまま遊技盤取付枠2側へ押し付ける。これにより、前記前向係止片28,28,33がそれぞれ各係止孔60に上側から自動的に係合し、前面枠17が遊技盤取付枠2に施錠され閉じることになる。この際、ロック部材83後端の鉤片83aとスライド部材91先端の鉤部91aとが当接するが、ロック部材83の鉤片83aは圧縮コイルバネ101の付勢に抗して逃げるように回動するので、互いに通過した後に鉤片83aが圧縮コイルバネ101の付勢により元の位置に復帰してスライド部材91の鉤部91aと噛み合うことになる。よって、その前面枠17を閉じる動作に支障を来たす恐れはない。
機枠1に対して遊技盤取付枠2を正常に開錠する場合は、図11矢印方向に示すようにパチンコ遊技機Pの前側からシリンダー錠61の鍵穴62に鍵82を差し込み、該鍵82を該鍵穴62を正側から見て時計回り方向に回動させる。これにより、錠軸64後端のカム部材65が同じく時計回り方向へ回動し、前面枠の施錠装置22における可動部材66が下動する。同時に、遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動する。更に、作動杆26の上下部に設けられた内当板39a,39bがそれぞれ上・下部取付枠施錠杆25a,25bを引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動させる。そして、図11鎖線に示すように上・下部取付枠施錠杆25a,25bの後向係止片43,47が下動して掛止片15との係合が外れ、遊技盤取付枠2が開放できるようになる。この際、図11鎖線に示すように、ロック部材83後端の鉤片83aとスライド部材91先端の鉤部91aとは外れており(ロック部材83後端の鉤片83aがスライド部材91先端の鉤部91aより下方に位置する。)、その遊技盤取付枠2の開放動作に支障を来たす恐れはない。
また逆に、開放された遊技盤取付枠2を閉じる場合は、前面枠17と共に遊技盤取付枠2をそのまま機枠1側へ押し付ける。これにより、前記後向係止片43,47がそれぞれ各掛止片15に下側から自動的に係合し、遊技盤取付枠2が機枠1に施錠され閉じることになる。この際、前記と同様にロック部材83後端の鉤片83aとスライド部材91先端の鉤部91aとが当接するが、ロック部材83の鉤片83aは圧縮コイルバネ101の付勢に抗して逃げるように回動するので、互いに通過した後に鉤片83aが圧縮コイルバネ101の付勢により元の位置に復帰してスライド部材91の鉤部91aと噛み合うことになる。よって、その遊技盤取付枠2を閉じる動作に支障を来たす恐れはない。また、遊技盤取付枠2を開放したときは、その状態で遊技盤取付枠の施錠装置21から後方へ突出する手動摘み50を摘んで手操作杆27を上下動させることにより、各前向係止片28,33や後向係止片43,47を作動させることができ、そのまま前面枠17を開放させることもでき至便である。
そこで、遊技盤取付枠2や前面枠17が正常に施錠されている状態で、図9に示すように遊技者がバールのような工具で前面枠17を故意に抉じ開けて不正行為を行おうとした場合、前面枠17が前側特に開放側が開くと、ロック部材83が前方へ移動し同時にスライド部材91が前方へ引かれる。これに伴い、スライド部材91における検知板91bが近接スイッチ89から前側へ離れてその間の間隔が広くなる。これを近接スイッチ89が検出してその信号をホールコンピュータに送信する。これにより、該パチンコ遊技機Pで不正行為が行なわれているのを発見でき、不正行為に対する処置が迅速に行なえる。なお、球詰まりといったトラブル解消のため従業員が正常に前面枠17を開放するときは、鍵穴62に鍵82を差し込み該鍵82を反時計回り方向へ回動するが、この際、前面枠の施錠装置22における可動部材66が上動し、これに伴いロック部材83も上動してその鉤片83aがスライド部材91の鉤部91aよりも上方へ離れる。よって、そのまま前面枠17を開放してもロック部材83とスライド部材91とが噛み合うことはない。しかも、スライド部材91は引っ張りコイルバネ92の付勢によってそのままの位置で停止しており、近接スイッチ89の検知部89aと検出板91bとの間隔は変わらないから、近接スイッチ89が検知することはなく、その前面枠17の開放動作が誤って不成行為と判断されることはない。
このように、本発明は、前面枠17を正常に開錠して開けるときカム部材65の回動動作によりロック部材83とスライド部材91との噛み合いが外れ、前面枠17を不正に開けるときはスライド部材91がロック部材83と噛み合ったまま引かれ該スライド部材91の摺動動作が近接スイッチ89により検出されるようにしたので、不正行為により前面枠17が開放されたときのみその前面枠17の開放動作が検知される。同様に、不正行為を行なうべく遊技盤取付枠2を故意に開放しようとしても、遊技盤取付枠2が閉められた常態では、ロック部材83の鉤片83aとスライド部材91の鉤部91aは噛み合っているので、その故意による遊技盤取付枠2の開放動作は前記と同様に検出され、その信号がホールコンピュータに送信される。このように、不正による遊技盤取付枠2の開放動作も検出される。また、シリンダー錠61に鍵82を差し込んで前面枠17を開放しない限り、前面枠17の後側に設けられたロック部材83と機枠1に設けられたスライド部材91とは噛み合っているので、不正行為を行うべく前面枠17を故意に開放しようとしてもロック部材83とスライド部材91が支えて容易に開放できない。よって、これにより不正行為が直接行なわれることも防止される。
本発明にあっては、検知手段として近接スイッチ89を挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば投光部と受光部を備えた検出器など他の検出手段であっても良い。またこの際、保持枠88や近接スイッチ89を機枠1の内面に設けたが、遊技盤取付枠2側に設けるようにしても良く、要は遊技機本体P1側で有れば良い。また、シリンダー錠61も前面枠17側に設けたが遊技盤取付枠2側に設けても良い。