JP2010200662A - 卵白用起泡性向上剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】大豆または大豆の処理物をpH2.4から4.0の酸性pHで100℃を超える温度で加熱抽出することにより得られる水溶性多糖類を卵白に添加することにより、その起泡後の比容積が増大し、起泡性を高めることができる。また、殺菌凍結卵白,乾燥卵白,卵黄が混入した卵白など、気泡性が低下した状態の卵白に添加した場合、通常の生の卵白液に添加した場合より、高い改善幅で起泡性が向上する。
【選択図】なし
Description
(1)大豆または大豆の処理物から、pH2.4〜4.0のpHで100℃を超える温度で加熱抽出することにより得られる、水溶性大豆多糖類を有効成分とする、卵白用の起泡性向上剤。
(2)卵白が、凍結処理または乾燥処理を施されたか、卵黄が混入したものである、(1)に記載の卵白用の起泡性向上剤。
(3)(1)の起泡性向上剤を用いた、卵白の起泡性の向上方法。
(4)水溶性大豆多糖類を卵白固形分に対して0.5〜100重量%添加する、(3)に記載の卵白の起泡性の向上方法。
(5)(1)の起泡性向上剤を添加することを特徴とした、起泡性の向上した卵白の製造方法。
(6)水溶性大豆多糖類を卵白固形分に対して0.5〜100重量%添加する、(5)に記載の起泡性の向上した卵白の製造方法。
である。
本発明で使用する大豆または大豆の処理物とは、大豆の子葉部が好ましく、豆腐や分離大豆蛋白質の製造過程で副生する、いわゆるオカラが多糖類を豊富に含むのでより好ましい。なお、原料として豆腐オカラを用いた場合は低分子の水溶性画分が予め除去されており、また分離大豆蛋白質製造工程で副生するオカラを用いた場合は更に脂溶性成分も除去されているので、原料としてより有利に使用することができる。
本発明における卵白とは、鶏卵を割卵し、卵黄を分離して得られる液状の生卵白、および、この卵白に、ろ過等の処理,殺菌処理,凍結処理,濃縮処理,もしくは乾燥処理のうち1つ以上を施したものをも含む。特に、凍結処理や乾燥処理等により、起泡性が低下した卵白や、割卵分離時等に卵黄が混入し、起泡性が低下した卵白は、本発明の効果が顕著に表れる。更に、凍結処理,乾燥処理,卵黄の混入等の処理や性質のうち、複数を併せ持つことで、起泡性がより低下した卵白にも、本発明は好ましく使用できる。
本発明における卵白の凍結処理とは、卵白液を常法により凍結する処理である。卵白液としては、殻付生卵を割卵分離して得られるもののほか、乾燥卵白を水に溶解したもの、さらに卵白液を熱変性を生じさせない程度に常法により加熱殺菌処理をしたものなどを適宜用いることが出来る。
本発明における卵白の乾燥処理とは、卵白液を常法により乾燥する処理であり、乾燥の手段としては噴霧乾燥,静置乾燥,真空凍結乾燥,連続式ドラム乾燥等のいずれの方法を採用しても差し支えない。なお、ここで卵白液としては、殻付生卵を割卵分離して得られるもののほか、凍結卵白を解凍したもの、さらに卵白液を熱変性を生じさせない程度に常法により加熱殺菌処理をしたもの、あるいは酵素,酵母,細菌等を利用した脱糖処理を必要に応じて行ったものなどを適宜用いることが出来る。
卵黄が混入した卵白とは、前述した様に割卵分離時等に卵黄が混入することで、その起泡後の比容積が低い、起泡性が低下した卵白である。具体的には、卵白に対して卵黄が0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%混入したものが例示できる。卵黄が混入した卵白は、更に凍結や乾燥処理を行うことで、本発明の効果が顕著に表れる。
本発明における水溶性大豆多糖類の好ましい添加量は、使用する卵白の性状によっても異なるが、卵白固形分に換算して、0.5〜100重量%、好ましくは1〜50重量%、である。特に、卵白が乾燥処理を伴わないものにあっては、2〜10重量%が好ましく、卵白が乾燥処理を伴うものにあっては、5〜30重量%が好ましい。水溶性大豆多糖類が少なすぎると充分な効果が得られにくく、多すぎると色、風味などの点で影響が出る恐れがある。
本発明における水溶性大豆多糖類を有効成分とする起泡性向上剤は、卵白に対して以下の様に用いることができる。すなわち、前述した各種の卵白液に水溶性大豆多糖類を加え、これを溶解させた後に、ケンウッドミキサーなどで高速攪拌して泡立てる。水溶性大豆多糖類を均一に溶解した卵白液に乾燥処理を施し、粉末卵白としたものを水に溶解し、上記と同様に泡立ててもよいし、凍結卵白を解凍後、水溶性大豆多糖類を均一に溶解して泡立ててもよい。また、乾燥卵白に水溶性大豆多糖類の粉末を混合しておき、それを水に溶解して泡立ててもよい。
以下に実施例を記載することで本発明を説明する。分離大豆蛋白製造工程において得られた生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを3.0に調整し、120℃で1.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーpHは2.98であった。回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10,000×g, 30分)、上澄と沈澱部に分離した。こうして分離した沈澱部を更に等重量の水で水洗し、遠心分離し、この上澄を先の上澄と一緒にしてから電気透析による脱塩処理を行い、その後に乾燥して高乳化型水溶性大豆多糖類である、水溶性大豆多糖類Aを得た。
割卵し、分離した液状卵白をよく攪拌して均質化した。この卵白液(卵白固形分濃度12重量%)に対し、水溶性大豆糖類Aを0.5重量%溶解させた後、10℃に温度調整し、ケンウッドミキサー((株)愛工舎製作所製 ケンミックスアイコープロKM600)にて目盛6で1分間攪拌し、その泡立ちを比容積(cc/g)で表した。一方、割卵し分離した液状卵白を良く撹拌して均質化し、この卵白液を200gずつパウチに入れ、56℃,3.5分間湯煎で殺菌した。これを冷却後、-50℃で急速凍結し、-18℃で保存して凍結卵白とした。流水解凍した凍結卵白(卵白固形分濃度12重量%)に対し、水溶性大豆糖類Aを0.5重量%溶解し、上記の生卵白と同様にその泡立ちを測定し比容積で表した。
製造例に従い、特許文献2に記載された加熱条件にて、水溶性大豆多糖類Bを得た。すなわち、生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.5に調整し、120℃で1.5時間加熱抽出した。冷却後に遠心分離し(10,000×g, 30分)、上澄と沈澱部に分離した。こうして分離した沈澱部を更に等重量の水で水洗し、遠心分離し、この上澄を先の上澄と一緒にしてから電気透析による脱塩処理を行い、その後に乾燥して、通常型水溶性大豆多糖類である、水溶性大豆多糖類Bを得た。
pH3.0で抽出した水溶性大豆多糖類AまたはpH4.5で抽出した水溶性大豆多糖類Bを用い、実施例1と同様に流水解凍した凍結卵白200gに対し各々1重量%ずつを溶解し、その泡立ちを測定して比容積(cc/g)で表した。
卵黄が0.2重量%混入した液状卵白(固形分濃度12重量%)をよく攪拌して均質化した。この卵白液に、水溶性大豆多糖類Aを1.0重量%溶解させた。これを200gずつパウチに入れ、実施例1に従って殺菌,冷凍,解凍を行った。殺菌前の卵白液および解凍後の卵白液について、実施例1と同様にその泡立ちを測定し比容積(cc/g)で表した。また、水溶性大豆多糖類Aを添加しないものも、殺菌前および解凍後について同様に泡立ちを測定した。
実施例1と同様に、殺菌,冷凍,解凍を行った卵白を調製した。但し、水溶性大豆多糖類Aは卵白に対して0〜1.2重量%添加した。これらを流水解凍後に、実施例1と同様にその泡立ちを測定し比容積(cc/g)で表した。表4に示す様に、添加量が増すほど比容積が大きくなり、効果が高くなる。特に0.5重量%以上添加すると顕著に効果が見られて良好である。なお、0.7重量%以上添加すると生卵白と同等以上の起泡性が得られた。
乾燥卵白(キユーピー(株)製「乾燥卵白K」)1重量部を水7重量部に加え、撹拌して液状の卵白液とした(固形分濃度12重量%)。この卵白液200gに水溶性大豆多糖類Aを0〜5重量%添加し、溶解させた。これを実施例1と同様にその泡立ちを測定し比容積(cc/g)で表した。表5に示すように、水溶性大豆多糖類Aによって乾燥卵白の起泡性が大幅に改善された。その起泡性改善には、凍結卵白に比べるとやや多いものの、2重量%程度の添加で十分な効果が認められた。
割卵し、分離した液状卵白(固形分濃度12重量%)10kgに水溶性大豆多糖類Aを0.3kg添加し、均一に溶解した。これをスプレードライヤーを用いて送風温度160℃排風温度70℃でスプレードライし、乾燥卵白を得た。この乾燥卵白の1重量部を水7重量部に溶解して液状にし、実施例1と同様にその泡立ちを測定し比容積(cc/g)で表した。水溶性大豆多糖類Aを添加することで、無添加の乾燥卵白に比べて起泡性が大幅に向上し、約1.3倍の泡の体積が得られた。
実施例1と同様に殺菌、冷凍、解凍を行って得た卵白液に水溶性大豆多糖類Aを1重量%になるように加え、更に凍結卵白と同量の砂糖を加えて溶解し、ケンウッドミキサーで高速攪拌してメレンゲを調製した。得られたメレンゲは生卵白と同等の起泡性があり、安定であった。また、このメレンゲを原料としてスポンジケーキを焼成したところ、小麦粉等を加えても生地が安定で、焼成後も保形力があり、風味、色調とも異常のないスポンジが得られた。
Claims (6)
- 大豆または大豆の処理物から、pH2.4〜4.0のpHで100℃を超える温度で加熱抽出することにより得られる、水溶性大豆多糖類を有効成分とする、卵白用の起泡性向上剤。
- 卵白が、凍結処理または乾燥処理を施されたか、卵黄が混入したものである、請求項1に記載の卵白用の起泡性向上剤。
- 請求項1の起泡性向上剤を用いた、卵白の起泡性の向上方法。
- 水溶性大豆多糖類を卵白固形分に対して0.5〜100重量%添加する、請求項3に記載の卵白の起泡性の向上方法。
- 請求項1の起泡性向上剤を添加することを特徴とした、起泡性の向上した卵白の製造方法。
- 水溶性大豆多糖類を卵白固形分に対して0.5〜100重量%添加する、請求項5に記載の起泡性の向上した卵白の製造方法。
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