JP2010195767A - 血糖値上昇抑制剤および飲食用組成物 - Google Patents
血糖値上昇抑制剤および飲食用組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方からの抽出物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤とする。また、ムラサキシメジの菌糸体培養物の培養ろ液を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤とする。
【選択図】 図1
Description
本発明の血糖値上昇抑制剤は、ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方からの抽出物を有効成分として含有する組成物である。
ムラサキシメジの第1次抽出に用いられる抽出溶媒としては、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて混合溶媒として用いられてもよい。溶媒を混合して用いる場合には、各溶媒の混合比は、溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。
エタノール抽出物のα−グルコシターゼ阻害活性について、以下の評価1を行って確認した。
ムラサキシメジの子実体、菌糸体を、それぞれ50%エタノール水溶液に浸漬し、8℃で3日間静置して、浸漬抽出した。抽出に用いた試料および溶媒の量を表1に示す。抽出後、桐山ロートおよび桐山ロート用濾紙を用いて吸引濾過し、残渣に再度50%エタノール水溶液を加えて1回目と同様にして浸漬抽出した。2回の抽出操作で得られた抽出液を合わせて50%エタノール抽出液とし、このエタノール抽出液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、50%エタノール抽出物とした。得られたムラサキシメジの子実体、菌糸体の50%エタノール抽出物について、α−グルコシターゼ阻害活性を、以下のようにして評価した。各エタノール抽出物のα−グルコシターゼ阻害活性試験における試料溶液の濃度は、1mg/mlおよび5mg/mlとした。評価結果を表1に示す。
株式会社シグマ製のラット小腸由来アセトンパウダーの0.1gに0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)3mlを添加し、超音波ホモジナイザーにて氷上で10秒間の破砕を20回行った後、4℃で15分間遠心分離(11000rpm)した。その上清を1.2μg/ml/minの基質を分解する酵素量に調製したものを粗酵素液とした。
nitrophenyl-α-D-glucopyranoside)100μlを添加し、反応溶液全量を250μlとして37℃で15分間インキュベートした。その後、100℃で5分間加熱処理し、酵素反応を停止させた。反応溶液を4℃で5分間遠心分離(6000rpm)し、その上清をサンプルSとする。
測定した。測定結果からα−グルコシターゼ阻害活性率を下記式(1)に従い、算出した。α−グルコシターゼ阻害活性率は、その値が大きいほど、α−グルコシターゼ阻害活性が高いことを示す。
式(1)において、符号CはコントロールCの吸光度を示し、SはサンプルSの吸光度を示す。
ムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物の血糖値上昇抑制作用について、以下の評価2を行って確認した。
15時間絶食させた10〜20週齢のSHRSPラット(脳卒中易発症高血圧自然発症ラット)を用い、1群4匹で2群に分けた。群構成は、ムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物が10%含有されるグルコースの2g/生理食塩水10mlを1ml/100gb.wt経口投与した試料投与群と、エタノール抽出物が含有されていないグルコースの2g/生理食塩水10mlを1ml/100gb.wt経口投与した対照群とした。
前述の第1次抽出によってムラサキシメジからエタノール抽出物を得た後、濾過、遠心分離などの常法によって残渣と固液分離することによって、抽出液を得ることができる。このようにして得られる抽出液を、濃縮してまたは濃縮せずに、分配抽出する。
エタノール抽出物の水画分および酢酸エチル画分のα−グルコシターゼ阻害活性について、以下の評価3を行って確認した。
ムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物27.5gに水300mlおよび酢酸エチル300mlを加えて液−液分配し、水画分(27.0g)および酢酸エチル画分(407mg)を得た。得られた水画分および酢酸エチル画分について、前述した評価1と同様にしてα−グルコシターゼ阻害活性を評価した。評価結果を表2に示す。なお、表2中の「−」は、α−グルコシターゼ阻害活性を評価していないことを示す。
エタノール抽出物の水画分(抽出物(1))をカラムクロマトグラフィーにより分画した画分のα−グルコシターゼ阻害活性について、以下の評価4を行って確認した。
ムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物の水画分(抽出物(1))19.7gを、カラム充填剤として逆相吸着樹脂であるDIAION(登録商標)HP−20(三菱化学株式会社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに供し、水およびメタノールを用いたステップワイズグラジエント法にて、0%メタノール(水)画分(14.1g)、25%メタノール画分(580mg)、50%メタノール画分(195mg)、75%メタノール画分(83mg)、100%メタノール画分(129mg)に分画した。得られた各画分について、前述した評価1と同様にしてα−グルコシターゼ阻害活性を評価した。評価結果を表3に示す。なお、表3中の「−」は、α−グルコシターゼ阻害活性を評価していないことを示す。
次に、ムラサキシメジの抽出物に含まれるα−グルコシターゼ阻害活性物質を推定するために行った、評価5〜7について説明する。
展開溶媒をクロロホルム:メタノール:水=6:4:1として、薄層クロマトグラフィー(略称TLC)を用いてムラサキシメジの抽出物を分析したところ、図3に示すようなスポットが確認された。図3は、ムラサキシメジの抽出物のTLCによる展開結果を示す図である。なお、分析に用いたTLCは、TLC−Plate Silicagel60 F254(メルク株式会社製)であり、発色剤として50%硫酸を用いた。図3では、紙面に向かって左側から順に、ムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物の水画分(抽出物(1))、カラムクロマトグラフィーにより分画した0%メタノール画分(抽出物(2))、25%メタノール画分、50%メタノール画分、75%メタノール画分(抽出物(3))、100%メタノール画分の展開結果を示す。
次に、高速液体クロマトグラフィー(略称HPLC)によって0%メタノール画分である抽出物(2)を分析したところ、図4に示すようなチャートが得られた。図4は、0%メタノール画分を分画するときのHPLCのチャートである。なお、分析に用いたHPLCは、Class AV HPLC System(株式会社島津製作所製)である。また、HPLCによる分析は、表4に示す条件で行った。
高いα−グルコシターゼ阻害活性を有する成分が含有されるムラサキシメジ菌糸体の50%エタノール抽出物を、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に溶解し、100℃で1時間加熱処理し、α−グルコシターゼ阻害活性を評価した。評価結果を表5に示す。なお、表5には、加熱処理を施していないエタノール抽出物の評価結果も比較のために示している。
高いα−グルコシターゼ阻害活性を有する、カラムクロマトグラフィーにより分画した0%メタノール画分である抽出物(2)について、MS、1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを測定した。その抽出物(2)のスペクトルデータを表6に示す。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、ムラサキシメジの菌糸体培養物の培養ろ液を有効成分として含有する組成物とすることもできる。
本発明の血糖値上昇抑制剤は、前述のようにして得られる、高いα−グルコシターゼ阻害活性を有する成分を含むムラサキシメジからの抽出物(1),(2),(3)、またはムラサキシメジの菌糸体培養物の培養ろ液を、有効成分として含有する。血糖値上昇抑制剤は、ムラサキシメジの抽出物、ムラサキシメジの菌糸体培養物の培養ろ液の単独からなるように構成してもよいし、栄養補強剤として各種ビタミン類などを添加して構成してもよい。また、血糖値上昇抑制剤の剤形は特に制限されず、たとえば、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤、液状剤などが挙げられる。
本発明の飲食用組成物は、前述の血糖値上昇抑制剤を含む。飲食用組成物は、本発明の血糖値上昇抑制剤を飲食物材料に混合して得られる。
Claims (7)
- ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血糖値上昇抑制剤。
- 抽出物は、ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方をエタノール水溶液で抽出してエタノール抽出物を得て、このエタノール抽出物を水および酢酸エチルで分配して得られる水画分であることを特徴とする請求項1に記載の血糖値上昇抑制剤。
- 抽出物は、ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方をエタノール水溶液で抽出してエタノール抽出物を得て、このエタノール抽出物を水および酢酸エチルで分配して水画分を得て、この水画分をカラムクロマトグラフィーに供して水およびメタノールを用いて、ステップワイズグラジエント法にて分配して得られる0%メタノール画分であることを特徴とする請求項1に記載の血糖値上昇抑制剤。
- 抽出物は、ムラサキシメジの菌糸体および子実体の少なくともいずれか一方をエタノール水溶液で抽出してエタノール抽出物を得て、このエタノール抽出物を水および酢酸エチルで分配して水画分を得て、この水画分をカラムクロマトグラフィーに供して水およびメタノールを用いて、ステップワイズグラジエント法にて分配して得られる75%メタノール画分であることを特徴とする請求項1に記載の血糖値上昇抑制剤。
- 抽出物は、下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の血糖値上昇抑制剤。
- ムラサキシメジの菌糸体を液体培地中で培養して得られる菌糸体培養物の液体成分である培養ろ液を、有効成分として含有することを特徴とする血糖値上昇抑制剤。
- 請求項1〜6のいずれか1つに記載の血糖値上昇抑制剤を含むことを特徴とする飲食用組成物。
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