JP2010195639A - セラミックスラリーの調製方法、セラミック粉末の製造方法、セラミック粉末およびセラミックグリーンシートの形成方法 - Google Patents

セラミックスラリーの調製方法、セラミック粉末の製造方法、セラミック粉末およびセラミックグリーンシートの形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミック粒子の分散性のよいセラミックスラリーの調製方法、分散性の良好なセラミック粉末、その製造方法、およびパッキング性,平滑性の良好なセラミックグリーンシートの形成方法を提供する。
【解決手段】チタン酸バリウム系原料粉末に酸性溶液を付与し,分散させた後、酸性溶液を水で置換して、チタン酸バリウム系原料粉末と、水とを含むスラリーとする。
前記セラミックスラリーを乾燥させることにより、チタン酸バリウム系セラミックの表面に分散剤が吸着されたセラミック粉末とする。
チタン酸バリウム系セラミックスラリーにバインダーを添加したスラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする。
本発明のセラミック粉末と、バインダーと、分散媒を含むスラリーを調製し、これをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックスラリーの調製方法、該方法により調製されたセラミックスラリーを用いてセラミック粉末を製造する方法、該方法により製造されるセラミック粉末および,上記セラミックスラリーまたはセラミック粉末を用いてセラミックグリーンシートを形成する方法に関する。
誘電体材料として、積層セラミックコンデンサなどの電子部品に広く用いられているチタン酸バリウムは、一般的な固相合成法の場合、TiO2とBaCO3の混合物を熱処理し、両者を固相反応させることにより作製されている。
この一般的な固相合成法の場合、固相反応時に、BaTiO3が生成すると同時に、BaTiO3粒子どうしがネッキングを生じ、強固な凝集体が形成されることになる。
ところで、積層セラミックコンデンサは、通常、内部電極パターンを形成した誘電体セラミックグリーンシートを積層,圧着し、焼成する工程を経て製造されている。
また、上述の誘電体セラミックグリーンシートを作製するにあたっては、BaTiO3と添加物を含むセラミックスラリーを調製し、これをシート成形する工法が一般に用いられている。この工法の場合、セラミックスラリー中のセラミック粒子が十分に分散した状態とすることが必要である。そして、セラミック粒子が十分に分散した状態とするためには、固相反応後の凝集したBaTiO3粒子を十分に解砕することが必要になる。
そして、従来は、BaTiO3を分散させる方法として、
(1)衝撃粉砕機などの粉砕機を用いて乾式解砕する方法(特許文献1参照)、
(2)メディア攪拌型の粉砕機(ビーズミル)を用いて湿式解砕する方法(特許文献2参照)、
(3)高圧ホモジナイザーなどのメディアレス衝撃分散機を用いて湿式解砕する方法(特許文献3参照)
などの方法が用いられている。
しかしながら、上記(1)〜(3)の方法には、それぞれ以下に述べるような問題点がある。
すなわち、上記(1)の方法は,凝集体を粗く解砕するには適しているが、処理後に多くの凝集体が残存するという問題点がある。
また、上記(2)の方法は、通常0.5mm以下の小径のメディア(例えば、ZrO2ボールなど)を用い、分散剤を添加したスラリーを処理するようにしているので、セラミック粒子が粉砕されてしまうことを抑制して、凝集したセラミック粒子(凝集体)を解砕することが可能であるが、ランニングコストが高いという問題点がある。また、小径のメディアはメディアどうしの接触点数が多く、メディアからスラリーヘのコンタミネーションの混入が問題となる。
また、上記(3)の方法は、処理量が少なく、コストの増大を招くこと、仮焼後の強固な凝集体を解砕することが困難であることなどの問題点がある。
特開2003−12377号公報 特開2001−46899号公報 特開平8−118329号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、セラミック粒子の凝集が少なく、分散性の良好なセラミックスラリーを得ることが可能なセラミックスラリーの調製方法、該セラミックスラリーを用いて分散性の良好なセラミック粉末を製造する方法、該方法により製造される分散性の良好なセラミック粉末および、パッキング性,平滑性に優れたセラミックグリーンシートの形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のセラミックスラリーの調製方法は、
チタン酸バリウム系原料粉末を用意する工程と、
前記チタン酸バリウム系原料粉末に酸性溶液を付与し、前記チタン酸バリウム系原料粉末を前記酸性溶液に分散させる工程と、
前記酸性溶液を水で置換して、前記チタン酸バリウム系原料粉末と、水とを含むスラリーとする工程と、
前記スラリーに分散剤を付与して、前記チタン酸バリウム系原料粉末と、水と、分散剤を含むセラミックスラリーとする工程と
を具備することを特徴としている。
また、本発明のセラミック粉末の製造方法は、請求項1の方法により調製された前記セラミックスラリーを乾燥させることにより、チタン酸バリウム系セラミックの表面に分散剤が吸着されたセラミック粉末を得ることを特徴としている。
また、本発明のセラミック粉末は、請求項2の方法により製造されたセラミック粉末であって、チタン酸バリウム系セラミック粉末の表面に分散剤が吸着されていることを特徴としている。
また、本発明のセラミックグリーンシートの形成方法は、
請求項1の方法により調製されたチタン酸バリウム系セラミックスラリーにバインダーを添加してシート成形用スラリーとする工程と、
前記シート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする工程と
を具備することを特徴としている。
また、本発明のセラミックグリーンシートの形成方法は、
請求項3のセラミック粉末と、バインダーと、分散媒を含むシート成形用スラリーを調製する工程と、
前記シート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする工程と
を具備することを特徴としている。
本発明のセラミックスラリーの調製方法は、チタン酸バリウム系原料粉末に酸性溶液を付与し、チタン酸バリウム系原料粉末を酸性溶液に分散させた後、酸性溶液を水で置換し、その後、分散剤を付与して、チタン酸バリウム系原料粉末と、水と、分散剤を含むセラミックスラリーとするようにしているので、例えば、チタン酸バリウム系原料粉末が、固相反応により製造され、粒子間のネッキングを起こした状態にあるような場合にも、ネッキング部分を崩壊させ、個々の粒子に解砕することが可能になる。
すなわち、チタン酸バリウム系原料粉末を酸溶液中に分散させることにより、ネッキングを起こし,凝集したチタン酸バリウム系原料粉末を効率よく分散させることが可能になるとともに、酸性溶液を水で置換後に分散剤を添加することにより、チタン酸バリウム系原料粉末を分散した状態に保つことが可能になる。
なお、チタン酸バリウム系原料粉末を酸性溶液に分散させた後、水で洗浄して酸性溶液を水で置換した後、これを乾燥すると、分散剤が添加されていない場合には、再び粒子どうしが付着し、凝集してしまうことになるが、本発明では、上述のように、酸性溶液を水で置換した後に、乾燥することなく、分散剤を付与するようにしているので、乾燥した後でも粒子どうしが強く凝集することを抑制、防止することが可能になる。
本発明においては,好ましい酸性溶液として,塩酸水溶液や硝酸水溶液などの一般的な無機酸が例示される。
本発明においては、好ましい分散剤としては、例えば、有機系の高分子分散剤などが例示される。
また、本発明の方法により調製された、分散剤を含むセラミックスラリーは、乾燥させた場合にも、粒子どうしが強く凝集することがない。そのため、本発明のセラミック粉末を用意しておくことにより、セラミック電子部品の製造プロセスを効率化することが可能になる。
また、本発明のセラミック粉末は、チタン酸バリウム系セラミック粉末の表面に分散剤が吸着されており、分散された状態で保持することが可能であるとともに、分散媒に分散させた場合にも,セラミック粉末の分散性に優れたセラミックスラリーを効率よく調製することが可能になる。したがって、本発明のセラミック粉末を用いることにより、特性の良好なセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
また、本発明のセラミックグリーンシートの形成方法のように、本発明の方法により調製されたチタン酸バリウム系セラミックスラリーにバインダーを添加してなるシート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとするようにした場合、パッキング性,平滑性に優れたセラミックグリーンシートを確実に形成することが可能になる。したがって、それを用いることにより、特性の良好なセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
また、本発明によれば、上述の本発明のセラミック粉末と、バインダーと、分散媒を含むシート成形用スラリーを調製し,このシート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとすることも可能である。なお、本発明のセラミック粉末は、上述のように、チタン酸バリウム系セラミック粉末の表面に分散剤が吸着されたセラミック粉末であり、分散性に優れているため,セラミック粉末が十分に分散されたシート成形用セラミックスラリーを容易かつ確実に調製することが可能で、それを用いることにより、パッキング性,平滑性に優れたセラミックグリーンシートを確実に形成することができる。
本発明の実施例にかかるセラミック粉末を用いて製造される積層セラミックコンデンサを示す図である。
以下に本発明の実施の形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[セラミック粉末の調製]
(1)原料である炭酸バリウムと酸化チタンとの固相反応によりに製造されたチタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を用意した。
(2)そして、このチタン酸バリウム粉末(セラミック粉末)300gを秤取し、0.6規定の希塩酸1L中に投入し、室温で2時間攪拌してスラリー化した。
(3)それから、このスラリーをろ過して、チタン酸バリウム粉末と希塩酸を分離した後、希塩酸が付着したチタン酸バリウム粉末を1Lの純水に投入し、1時間攪拌し、ろ過することによりチタン酸バリウム粉末を洗浄し,希塩酸と水を置換した。
なお、チタン酸バリウム粉末を純水に投入した後、攪拌を開始する際に,分散剤として、無水マレイン酸系クシ型高分子分散剤(日本油脂製マリアリムAKM0531)を1.8g添加した。なお、このときの分散剤のセラミック粉末に対する割合は0.6重量%である。
(4)それから、上記(3)の、純水によるチタン酸バリウム粉末の洗浄操作(純水による置換操作)をさらに2回繰り返して行った後、ろ過後のチタン酸バリウム粉末を140℃で2時間乾燥させることにより、本発明の実施例にかかるセラミック粉末(チタン酸バリウム粉末)を得た。
なお、この実施例では、ろ過後のチタン酸バリウム粉末を純水に投入後、攪拌を行う際に上記高分子分散剤を添加する操作は、上記(3)の工程における1回のみとした。なお、2回目、3回目の、ろ過後のチタン酸バリウム粉末の純水への投入後にも、上記高分子分散剤を添加してもよい。すなわち、分散剤を添加する操作を2回あるいは3回行ってもよい。
上述のように、ろ過後のチタン酸バリウム粉末を純水に投入後、攪拌を行う際に分散剤を添加する操作を1回だけ行った試料を熱分析した結果、乾燥試料は0.37重量%の分散剤を含むことが確認された。
また、上述のようにして3回の洗浄を行った試料を乾燥させることにより得られたセラミック粉末の比表面積(SSA)、90%平均粒子径であるD90、およびZrO2含有量を測定した。その結果を表1に示す。
[セラミックグリーンシートと積層コンデンサの作製]
(1)上述のようにして作製した、乾燥後のチタン酸バリウム粉末に対して、積層セラミックコンデンサとしての電気特性を調整する目的で、Dy23、MnCO3、MgCO3、SiO2、BaCO3の粉末をそれぞれ以下の割合で添加した。
なお、以下の添加割合は、チタン酸バリウム粉末100モル部に対する割合である。
Dy23 :1モル部、
MnCO3:0.5モル部、
MgCO3:1.5モル部、
SiO2 :1.5モル部、
BaCO3:1.0モル部
(2)それから、この原料粉末を、バインダーであるポリビニルブチラールを有機溶剤に溶解したバインダー溶液と混合し、スラリー化した。混合を行うにあたっては、内容積が500mlの樹脂製ポットを使用し、直径が2mmのジルコニア製のメディアを投入した後に混合を行い、試料(セラミック粉末)の表面積(SSA)が7.0m2/gになるまで混合してスラリー化した。
(3)次に、このスラリーをろ過した後、焼成後の厚さが1.7μm、2.0μm、および2.5μmになるように厚さを調整して、それぞれの厚みのセラミックグリーンシートを作製した。
(4)得られたセラミックグリーンシートの密度を以下の方法で調べた。
セラミックグリーンシートの密度を調べるにあたっては、焼成後の厚さが2.5μmになるように調整したセラミックグリーンシートを50mm×50mmの寸法にカットした後、シートの厚さと重量を測定し、試料寸法と重量からセラミックグリーンシートの密度を算出した。
また、同じく、焼成後の厚さが2.5μmになるように調整したセラミックグリーンシートの平均表面粗さを非接触型表面粗さ計により測定するとともに、ZrO2含有量についても調べた。その結果を表2に示す。なお、表2には、スラリー中のセラミック粒子の比表面積が7.0m2/gになるまでの混合時間を併せて示す。
(5)次に、焼成後の厚さが1.7μm、2.0μm、および2.5μmになるよう厚さを変化させた各セラミックグリーンシートに内部電極用の導電性ペーストを印刷して、内部電極パターンを形成した。
(6)それから、上述のようにして内部電極パターンを形成したセラミックグリーンシートと、内部電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを所定の順序で積層し、カットして個々の素子に分割した後、焼成することにより、積層数が10層、焼成後のサイズが3.2×1.6mm、内部電極間の誘電体(セラミック層)厚さ(素子厚)が1.7μm、2.0μm、および,2.5μmのコンデンサ素子を得た。
それから、このコンデンサ素子に、外部電極ペーストを塗布して焼き付けることにより、図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。この積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、内部電極2a,2bが、セラミック層(誘電体層)3を介して対向するように配設されたセラミック素子(コンデンサ素子)1の両端部に、内部電極2a,2bと導通するように外部電極4a,4bが配設された構造を有している。なお、図1の積層セラミックコンデンサでは、内部電極間の誘電体層(セラミック層)厚さtが上記素子厚となる。
そして、得られた内部電極間のセラミック層3の厚さが2.5μmの積層セラミックコンデンサを使用して、−55〜130℃の範囲で積層セラミックコンデンサの静電容量の変化を測定することにより、静電容量の温度変化率(TCC)を調べた。
また、内部電極間のセラミック層の厚さが1.7μm、2.0μm、および,2.5μmの各積層セラミックコンデンサについて、150℃,25Vの条件による加速試験を実施し、平均故障寿命(MTTF)を算出した。その結果を表3に示す。
[比較例]
(1)比較例1(酸処理なし→水とともに分散剤を添加し攪拌)
上記実施例1で行った、希塩酸による処理工程、および、その後の水洗の工程を実施しないことを除いては、上記実施例1で用いたものと同じチタン酸バリウム粉末原料を用い、実施例1と同じ方法、条件でセラミック粉末(チタン酸バリウム粉末)を作製した。そして、得られたセラミック粉体の特性(比表面積SSA、90%平均粒子径であるD90、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表1に示す。
また、このセラミック粉末を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、セラミックグリーンシートを成形した。
そして、得られたセラミックグリーンシートについて、その特性(シート密度、平均表面粗さ、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表2に示す。なお、表2には、スラリー中のセラミック粒子の比表面積が7.0m2/gになるまでの混合時間を併せて示す。
また、上記セラミックグリーンシートを用いて上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、積層セラミックコンデンサを製造した。
そして、内部電極間のセラミック層の厚さが2.5μmの積層セラミックコンデンサについて、静電容量の温度変化率(TCC)を調べるとともに、内部電極間のセラミック層の厚さが1.7μm、2.0μm、および,2.5μmの各積層セラミックコンデンサについて、150℃,25Vの条件による加速試験を実施し、平均故障寿命(MTTF)を算出した。その結果を表3に示す。
(2)比較例2(酸処理→水洗→乾燥→水とともに分散剤を添加し攪拌)
上記実施例1で行った、分散剤の添加(すなわち、チタン酸バリウム粉末を塩酸処理した後、純水で洗浄する際における分散剤の添加)を行わないことを除いては、上記実施例1で用いたものと同じチタン酸バリウム粉末を用い、実施例1と同じ方法、条件でセラミック粉末(チタン酸バリウム粉末)を作製した。そして、得られたセラミック粉体の特性(比表面積SSA、90%平均粒子径であるD90、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表1に示す。
また、このセラミック粉末を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、セラミックグリーンシートを成形した。
そして、得られたセラミックグリーンシートについて、その特性(シート密度、平均表面粗さ、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表2に示す。なお、表2には、スラリー中のセラミック粒子の比表面積が7.0m2/gになるまでの混合時間を併せて示す。
また、上記セラミックグリーンシートを用いて上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、積層セラミックコンデンサを製造した。
そして、内部電極間のセラミック層の厚さが2.5μmの積層セラミックコンデンサについて、静電容量の温度変化率(TCC)を調べるとともに、内部電極間のセラミック層の厚さが1.7μm、2.0μm、および,2.5μmの各積層セラミックコンデンサについて、150℃,25Vの条件による加速試験を実施し、平均故障寿命(MTTF)を算出した。その結果を表3に示す。
(3)比較例3(酸処理なし→水とともに分散剤を添加→分散機で分散)
実施例1で用いたチタン酸バリウム原料粉末を、0.3mmφジルコニア(ZrO2)製のメディアを使用した分散機(ビーズミル)を用い、0.6重量%の割合となるように分散剤を添加して、湿式で分散した。そして、解砕時間を変化させSSAが実施例1で得たセラミック粉体と同一になる条件でセラミック粉末(チタン酸バリウム粉末)を作製した。そして、得られたセラミック粉体の特性(比表面積SSA、90%平均粒子径であるD90、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表1に示す。
また、このセラミック粉末を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、セラミックグリーンシートを成形した。
そして、得られたセラミックグリーンシートについて、その特性(シート密度、平均表面粗さ、ZrO2含有量)を調べた。その結果を表2に示す。なお、表2には、スラリー中のセラミック粒子の比表面積が7.0m2/gになるまでの混合時間を併せて示す。
また、上記セラミックグリーンシートを用いて上記実施例1の場合と同様の方法、条件で、積層セラミックコンデンサを製造した。
そして、内部電極間のセラミック層の厚さが2.5μmの積層セラミックコンデンサについて、静電容量の温度変化率(TCC)を調べるとともに、内部電極間のセラミック層の厚さが1.7μm、2.0μm、および,2.5μmの各積層セラミックコンデンサについて、150℃,25Vの条件による加速試験を実施し、平均故障寿命(MTTF)を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2010195639
Figure 2010195639
Figure 2010195639
[評価結果]
セラミック粉末の特性を示す表1より、比表面積(SSA)については、酸処理を行っていないセラミック粉末(チタン酸バリウム粉末)を用いた比較例1と比較して、酸処理を施した比較例2のセラミック粉末や、酸処理と分散剤の添加を行った実施例のチタン酸バリウム粉末では、比表面積(SSA)が増加することが確認された。これは、酸処理により、ネッキング部分が溶解し、凝集がほぐれることによるものと考えられる。なお、実施例、比較例2、比較例3の各試料間では、比表面積(SSA)の値に大きな差がないことが確認された。
また、表1に示されているように、実施例の試料と、比較例2、比較例3の試料とでは、比表面積(SSA)がほぼ同じであるにもかかわらず、90%平均粒子径であるD90は、実施例の試料が最も小さい値となっている。このことから、実施例のセラミック粉末においては、一次粒子の大きさ(粒径)は、比較例2,比較例3の試料とほぼ同じであるが、粗大粒子が少ない(すなわち凝集度が小さい)ことがわかる。
なお、酸処理を行っていない比較例1の試料の場合、比表面積(SSA)が小さく、D90の値が大きいことが確認された。これは、酸処理によりネッキング部分が溶解したり、凝集がほぐれたりするという効果が得られないことによるものである。
また、ZrO2含有量を比較すると、比較例3のみが0.12重量%と高い値となった。これは分散機(ビーズミル)において用いられているZrO2製のメディアからのコンタミネーションと考えられる。
一方、実施例および比較例2,比較例3の試料は、ZrO2製のメディアを使用した分散機による分散を行うことなく作製されているため、ZrO2は検出限界以下となっている。
なお、上述のZrO2のコンタミネーションがないセラミック粉末のほうが、特性のロット間ばらつきが少なくなるため、工程制御しやすく、望ましいことはいうまでもない。
以上の結果から、実施例のように、酸処理,水洗、および分散剤の添加を行うことにより、分散機(ビーズミル)を使用した、従来の工法と比較して、容易かつ、経済的に、コンタミネーションのない、高品位のセラミック粉体を製造できるようになることがわかる。
また、スラリー中のセラミック粒子の比表面積(SSA)が7.0m2/gに達する時間や、セラミックグリーンシートの特性などを示す表2より、比表面積(SSA)が7.0m2/gに達する時間は、実施例の試料の場合が最短であることがわかる。そして、分散に要する時間の最も短い実施例の方法の場合、粉砕に用いられるメディアからのコンタミネーションの混入量を他の比較例の試料と比較して減少させることが可能であることがわかる。
また、実施例の試料(セラミック粉末)は、粉体表面が分散剤によりコートされているため、スラリー化する際に、例えば有機溶媒中で解砕しやすく、分散性の高いセラミックスラリーを効率よく調製することができる。
さらに、比表面積(SSA)が7.0m2/gに達したセラミック粒子が分散したスラリーを用いて作製したセラミックグリーンシートの密度は、表2に示されているように、実施例の試料が最も大きく、十分に充填されていることがわかる。また、表面粗さも最も小さくなっている。これは、実施例のセラミック粉末は、凝集がほぐれやすいため、セラミックグリーンシートの成形時にセラミック粒子が緻密に充填され、シート密度が増大するとともに、表面粗さが減少したことによるものと考えられる。
また、作製した積層セラミックコンデンサの特性を示す表3において、静電容量の温度変化率(TCC)をみると、実施例の積層セラミックコンデンサのみが、電子工業会(EIA)が規定する、静電容量の温度係数(TCC)に関する規格X7Rの要件(125℃でTCCが25℃を基準として±15%以下)を満足していることがわかる。なお、静電容量の温度係数(TCC)は、実施例、比較例2、比較例1、比較例3の順に悪化しているが、この順は、ZrO2含有量の増加の順と一致している。このことから、実施例の方法によれば、セラミック粉末へのメディアからのZrO2の混入を抑制することが可能になり、温度特性に優れた積層セラミックコンデンサが得られることがわかる。
さらに、平均故障寿命(MTTF)についてみると、実施例の試料(積層セラミックコンデンサ)では、素子厚が2.5μmの場合で平均故障寿命(MTTF)が220h、素子厚が2.0μmの場合で平均故障寿命(MTTF)が119hと長く、素子厚が1.7μmの場合でも、平均故障寿命(MTTF)が49hと良好であったのに対し、比較例1の試料(積層セラミックコンデンサ)では素子厚2.0μmの場合で平均故障寿命(MTTF)が1h未満となり、比較例2および3の試料(積層セラミックコンデンサ)では素子厚1.7μmの場合で平均故障寿命(MTTF)が1h未満となった。
この結果より、本発明の方法により作製した、分散性に優れたセラミック粉体を用いることにより、緻密なセラミックグリーンシートが得られ、これを用いた積層セラミックコンデンサも高い信頼性を達成できることが確認された。すなわち、本発明を適用することにより、従来法と比較してより素子厚が薄く、小型,大容量で、信頼性の高い積層セラミックコンデンサを製造できることがわかる。
以上のように本発明によると、高価な設備を使用することなく、簡潔な方法でコンタミネーションが少なく、分散性に優れた高品質のセラミック粉末を得ることが可能になるとともに、このセラミック粉末を用いることにより、電気特性に優れたセラミック電子部品を効率よく作製することが可能になる。したがって、本発明は、産業上極めて有用な発明であるということができる。
なお、上記実施例では,本発明を適用して,誘電体セラミック粉末であるチタン酸バリウム粉末を作製するとともに、それを用いて誘電体セラミックグリーンシートを作製し、さらに得られたセラミックグリーンシートを用いて積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明したが、本発明により製造されるセラミック粉末は積層セラミックコンデンサに限らず、LC複合部品、PTCサーミスタなどにも適用することが可能である。
また、上記実施例では,酸処理に用いる酸として0.6規定の希塩酸を用いた場合を例にとって説明したが、酸処理に使用する酸の濃度や酸の種類などはこれに限られるものではなく、例えば、上記実施例よりも濃い酸や、薄い酸を用いることも可能であり、また酸の種類としても、塩酸以外の一般的な酸、例えば硝酸など種々の酸を用いることが可能である。
また、本発明においては、分散剤として、無水マレイン酸系クシ型高分子分散剤を用いたが、分散剤の種類はこれに限られるものではなく、種々の分散剤を用いることが可能である。また、分散剤の添加割合についても、上記実施例に限られるものではない。ただし、分散剤としては、水と有機溶媒の両方において効力の大きいものを用いることが好ましい。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、酸性溶液を水で置換する方法、本発明のセラミック粉末を用いてセラミックグリーンシートを成形する際に用いられるバインダーの種類、セラミックグリーンシートの成形方法などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
1 セラミック素子(コンデンサ素子)
2a,2b 内部電極
3 セラミック層
4a,4b 外部電極
t 素子厚(セラミック層の厚さ)

Claims (5)

  1. チタン酸バリウム系原料粉末を用意する工程と、
    前記チタン酸バリウム系原料粉末に酸性溶液を付与し、前記チタン酸バリウム系原料粉末を前記酸性溶液に分散させる工程と、
    前記酸性溶液を水で置換して、前記チタン酸バリウム系原料粉末と、水とを含むスラリーとする工程と、
    前記スラリーに分散剤を付与して、前記チタン酸バリウム系原料粉末と、水と、分散剤を含むセラミックスラリーとする工程と
    を具備することを特徴とするセラミックスラリーの調製方法。
  2. 請求項1の方法により調製された前記セラミックスラリーを乾燥させることにより、チタン酸バリウム系セラミックの表面に分散剤が吸着されたセラミック粉末を得ること
    を特徴とするセラミック粉末の製造方法。
  3. 請求項2の方法により製造されたセラミック粉末であって、チタン酸バリウム系セラミック粉末の表面に分散剤が吸着されていることを特徴とするセラミック粉末。
  4. 請求項1の方法により調製されたチタン酸バリウム系セラミックスラリーにバインダーを添加してシート成形用スラリーとする工程と、
    前記シート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする工程と
    を具備することを特徴とするセラミックグリーンシートの形成方法。
  5. 請求項3のセラミック粉末と、バインダーと、分散媒を含むシート成形用スラリーを調製する工程と、
    前記シート成形用スラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシートとする工程と
    を具備することを特徴とするセラミックグリーンシートの形成方法。
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